【文徒】2018年(平成30)1月31日(第6巻18号・通巻1192号)

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1)【記事】「TOPPOINT」なんて雑誌がある!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「TOPPOINT」なんて雑誌がある!

「TOPPOINT」なんて雑誌があるんだねぇ。私は不勉強にして今日の今日まで、その存在すら知らなかった。「『TOPPOINT』は、忙しいあなたに代わって、毎月大量に発行される新刊書の中から、『一読の価値ある書』を厳選して紹介することを使命」としているようだ。書店では販売せず、年間定期購読誌だそうだ。版元はパーソナルブレーン。30年も続いているのか!
https://www.toppoint.jp/service/about-toppoint
橋本忠明社長は昨年、日本経済新聞出版社から「ビジネス名著大全」を出しているが、「TOPPOINT」について次のように語っている。
「毎月100冊前後の新刊書の内容をチェックして、"一読の価値ある"ビジネス書を9冊選び、概要をそれぞれB5判3ページにまとめて上げて紹介しています。1冊はロングセラー書を取り上げています。年間購読システムで、経営者や管理職を中心に発行部数は1万部以上。多忙なため読書の時間がなかなかとれないが、それでも良書に出会いたい、そうしたビジネスパーソンに新刊情報を提供し、その書籍を販売しています。選書基準はまず第1にそのビジネス書のテーマや内容が斬新なもの、また、取り上げているテーマに関して総合的によくまとまっているものを優先しています」
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/151071913.html
「TOPPOINT大賞」なんてのもやっている。第27回「TOPPOINT大賞」(2017年下半期)は河合雅司の「未来の年表」(講談社現代新書)に決まった。むろん、「TOPPOINT大賞」は知らなくとも「未来の年表」は知っている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000031087.html
声を大にして言いたくはないが、「文徒」の有料購読者であれば、こんなの買うのであれば私に電話一本なり、メール一本なりをくれたほうが「一読の価値ある」書物をタダで紹介しますよ。

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2)【本日の一行情報】

◎「出版人・広告人」の執筆協力者のひとりである高崎俊夫の単著デビュー作「祝祭の日々 私の映画アトランダム」が国書刊行会から2月20日に刊行されることになった。
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336062482/
3月3日には東京堂書店トークショーが開催される。

川村元気が脚本家としてデビューする。その作品は「映画ドラえもん のび太の宝島」。川村は「悪人」「君の名は。」などの映画プロデューサーだが、「世界から猫が消えたなら」「億男」などのベストセラー作家でもある。
映画ドラえもん のび太の宝島」は映画の公開に先立って小学館でノベライズされた。ノベライズを担当したのは、涌井学。川村の「世界から猫が消えたなら」が映画化されたときに生まれたスピンオフ作品「世界からボクが消えたなら」を手がけている。
https://www.oricon.co.jp/news/2104826/full/
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406491

◎ECとドラッグストアやミニスーパーに挟撃され、コンビニが苦境に陥っている。コンビニに販売の軸足を置いている雑誌にとっては他人事ではあるまい。コンビニは、雑誌売場を削って、そうした勢力に対抗する施策を打ち出してくるのではないか。
http://biz-journal.jp/2018/01/post_22131.html
セブンイレブン津田沼店の日本酒の品揃えがハンパではないとツイッターで話題になっているようである。
http://www.mag2.com/p/news/348333
コンビニで雑誌の品揃えがハンパではないと話題になることは残念ながらあるまい。出版社が雑誌販売の重心を書店に戻そうと思っても、書店の数は減るばかりである。

講談社文芸文庫創刊30周年記念を記念して2月21日(水)、紀伊國屋書店新宿本店9階イベントスペースで高橋源一郎奥泉光トークイベントが開催される。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20180129100001.html
高橋は第4回群像新人長編小説賞の優秀作を「さようなら、ギャングたち」で獲得し、デビューする。群像新人長編小説賞は講談社の文芸誌「群像」が群像新人文学賞とは別に1978年に設け、1982年まで続いた公募新人文学賞だ。文芸文庫の解説を書いているのは加藤典洋。高橋は明治学院大学の「言語表現法」の講義の担当を加藤からバトンを受け渡されている。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061975620
奥泉光集英社の文芸誌「すばる」でデビューしている。文芸文庫には芥川賞の「石の来歴」を収めた「石の来歴 浪漫的な行軍の記録」が収められている。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062900706

みすず書房から「廣松渉の思想 内在のダイナミズム」(渡辺恭彦)が刊行される。これは買わねば!
https://www.msz.co.jp/book/detail/08681.html
渡辺の博士学位申請論文が土台となっているのだろう。
「本論文は、廣松の個別研究の背後に大きなテーマを潜ませている。マルクス主義研究がある意味で沈滞している今日、廣松の思想のなかにそうした滞りを乗り越える契機を見出そうというテーマである。本論文は、そうした意味で、それ自体で独立したアクチュアルな意義をもつ意欲的な論文ということもできる」
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/199385/1/ynink00714.pdf
廣松は高校を退学し、大検で東大に入っている。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/126709/1/bkr00006_079.pdf
高校生の頃だったかな、「世界の共同主観的存在構造」とか、「事的世界観への前哨 物象化論の認識論的=存在論的位相」とか、理解したとは言い難かったが、貪るようにして読んだ記憶がある。

ちくま文庫源氏鶏太獅子文六の復刻に取り組み、光文社時代小説文庫でも川口松太郎の復刻に取り組んでいる。
http://www.sankei.com/life/news/180129/lif1801290017-n1.html

◎デイリースポーツが掲載した「電子コミック業界の今、漫画家・編集に聞く 読者コメが励み 『絶版』減る」が書いているが、電子コミックの最大の利点は今すぐマンガを読みたいという衝動に応えられることだという指摘はその通りだし、電子コミックの出現によって、新作マンガが過去の巨人というとんでもないライバルと永遠に戦い続けることになったのも全くその通りだと思う。
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/01/28/0010936487.shtml

◎マガジンハウスの「Hanako」は今年、創刊30周年を迎える。創刊記念号となる3月22日発売号は当然「銀座特集」だ。
https://www.atpress.ne.jp/news/147939

◎1月21日(日)にはナゴヤドーム(名古屋市東区)で、1月27日(土)、28日(日)に、幕張メッセ開催で「次世代ワールドホビーフェア '18 Winter」が開催された。2月4日(日)には福岡・ヤフオク!ドームで、2月11日(日)には京セラドーム大阪でも開催される。
https://www.famitsu.com/news/201801/28150647.html

◎新潮社の「コミック@バンチ」が運営するWEBマンガサイト「くらげバンチ」に連載されている小谷真倫の「私だってするんです」は、正面から女子の自慰をテーマにしているマンガだ。まあ、お読み下さい。
http://www.kurage-bunch.com/manga/orgasm/
ダ・ヴィンチニュース」が取り上げている。
https://ddnavi.com/review/431335/a/
小谷真倫は講談社の新人賞「第23回講談社MANGA OPEN」で奨励賞を獲得してプロデビューしている。小谷は「日刊サイゾー」のインタビューを受け、「私だってするんです」について「最初は、中にはこういう人もいるのかなと思って描いたんです。それが、<わかる>という人が何人もいて反対にびっくりしたんです」と語っている。
http://www.cyzo.com/2017/12/post_144853_entry.html

◎2月4日(日)の世界がんデーに「LAVENDER RING DAY」(ラベンダー リング デイ)」が開催される。資生堂クレディセゾン、ヤフーがサポートしている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000025644.html
私が、がん研有明病院で手術したのが昨年2月2日のことであった。

◎2月1日から限定発売となる「SHISEIDO」のメイクアップシリーズ「ピコ」はヒットするんじゃないの。
http://www.shiseidogroup.jp/newsimg/2346_k6f36_jp.pdf

ソーシャルメディアのユーザーに大量の偽フォロワーを販売したとされる会社「Devumi」(デブーミ)にニューヨーク州の捜査が入るようである。「他人の身元を盗み、ソーシャルメディアのユーザーに大量の偽フォロワーを売った疑い」だそうである。
http://www.bbc.com/japanese/42855881
フォロワーを販売している企業は日本にもあるのだろうか。検索してみると、これがあるんですよ。ここがそうだ。
https://twitters.jp/
2014年に設立されたツイッターズは業界シェアがナンバーワンなんだそうだ。お値段は日本人1,000人フォロワーを購入して4,500円也。日本では法に抵触しないのかもしれないが、こういうビジネスが罷り通るようではソーシャルメディアの社会的な信用は毀損されることになる。

◎「CNETジャパン」に掲載された「Facebook、ジャーナリズムを学ぶ学生に奨学金を給付へ」は次のように書いている。
Facebookによると、同社は全米ヒスパニック系ジャーナリスト協会、アジア系アメリカ人ジャーナリスト協会、ネイティブアメリカンジャーナリスト協会、全米LGBTQジャーナリスト協会と提携して、今後5年間に最大100万ドル(約1億1000万円)の奨学金を給付する」
https://japan.cnet.com/article/35113839/
例えば「LINE」は、こういう取り組みをしないのであろうか。

◎LINE上級執行役員でコーポレートビジネス担当の田端信太郎の考える「広告の未来」がマンガ化されている。
https://markezine.jp/article/detail/27764
確かに広告を情報提供の手段としてしか捉えない見方に「広告の未来」を託すわけにはいくまい。広告とは新たなサービスの開拓であると私などは考えているのだけれど…。

楽天野村ホールディングス傘下の朝日火災海上保険を買収して損害保険事業に参入するようだ。これは良い判断だ。アマゾンとの正面戦を避けて、金融業にシフトするほうが楽天にとっては得策のはずだ。楽天は生命保険ではアイリオ生命保険を既に傘下に収めている。
https://mainichi.jp/articles/20180129/k00/00e/020/133000c
ちなみに「存続率24%の『楽天市場』で生き残れない店は、会社としての生存も難しい」は次のように書いている。
「一緒に『楽天大学』を受講してeコマースの成功を夢見た“同期”の仲間が75%もいなくなってしまったのだ。『楽天市場』での成功がいかに難しいのかを痛感させられた」
https://netshop.impress.co.jp/node/5071

ハースト婦人画報社の「婦人画報」3月号は通常版とアジャスト版、そして新高麗屋三代が表紙を飾る高麗屋特別版の3種類が発売される。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/fg1803_korai
加えてアヴェダの大人気「インヴァティ」シリーズから、大ヒット製品が「婦人画報」3月号とセットになって1,980円(税込)で発売される。約30%OFFになるそうだ。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/fg1803_aveda

◎「第45回アングレーム国際漫画祭」で、楳図かずおの「わたしは真悟」が、永久に残すべき作品として「遺産賞」を受賞した。日本の作家の作品としては遺産賞を受賞したのは2009年 水木しげるの「総員玉砕せよ!」、2017 年上村一夫の「離婚倶楽部」につづき3 作目だ。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20180129-OYT1T50094.html
わたしは真悟」は小学館から電子コミックとしてリリースされている。
https://csbs.shogakukan.co.jp/book/?comic_id=14039

◎マガジンハウスが擁する10誌で「漫画 君たちはどう生きるか」の魅力を総力取材した「マガジンハウス全10誌連合企画 漫画 君たちはどう生きるか Special Note」が主要な電子書籍ストアにおいて0円でリリースされている。
https://mibon.jp/i-3728092.php
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0512293

◎フジテレビの元アナウンサーである山中秀樹の次のツイートが話題になっている。
「フジテレビ、この3月末を期限に50歳以上の社員に早期退職者募集を始めたらしい。一説では50歳なら最高7000万円の退職金上乗せとか。結構出るだろうなあ」
https://twitter.com/yamachutitan/status/956898846721826818
「フジテレビ早期退職者募集は24日(水)に発表。締め切りは2月末。社内はどんな雰囲気になるのだろう。
辞めても、古巣の局は気になるんだよね」
https://twitter.com/yamachutitan/status/956905171136651274

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3)【深夜の誌人語録】

ちょっとしたことを大切にしたい。明暗を分けるのはちょっとしたことの違いによるのだから。