【文徒】2018年(平成30)8月20日(第6巻155号・通巻1329号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「週刊新潮」に太田光代社長が激怒!
2)【記事】出版と軽減税率をめぐって
3)【記事】約400の米新聞が社説でトランプ大統領に抗議
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「週刊新潮」に太田光代社長が激怒!

週刊新潮」は8月16・23日夏季特大号で「爆笑問題太田光』を日大に裏口入学させた父の溺愛」を掲載した。「日大関係者」の暴露によって成立している記事なんだけれど……。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
これに太田光代ツイッターで激怒した。太田光代爆笑問題太田光の妻にして、芸能事務所タイタンの社長である。「週刊新潮」が発売される前日の8月7日に呟いた。
「訴えます!
民事と刑事両方で。訴えます。残念ながら訴えます」
https://twitter.com/ota324/status/1026874607876202496
橋下徹はタイタンの所属タレントにして、顧問弁護士でもある。
「弊社の顧問弁護士事務所に委託書を出しました。あとは弁護士が書類作成し提出するだけです。迅速な弁護士事務所なので提出までの時間は、大して要しないと思います」
https://twitter.com/ota324/status/1027162702504837121
怒りの焦点が「週刊新潮」=新潮社にフォーカスされていく。
週刊新潮さんは思わなかったのかな。国語力が高いことを買って小説やその他の雑誌に寄稿した太田の能力を。なぜ、考えて思わなかった。日芸マークシートが限りなくゼロなんて言ったのかな。調べるように言ったんだけど、記事が次の日に印刷所にある不思議。頼まれてたよ。いつも」
https://twitter.com/ota324/status/1027550259713437703
太田光の今は亡き父母の遺影と位牌をアップし、ツイート。
「ここに手を合わせられないのは誰?私の部屋に全てあるわ」
「顔向けが出来ないなら、説明してよ。週刊新潮の誰か」
https://twitter.com/ota324/status/1028995927619424257
https://twitter.com/ota324/status/1028998765384855552
こう呟いた後、怒りを爆発させる。
「火のないところに煙立たすヤツ。誰。裁判が民主主義の根源でしょう。日本は民主主義のもと、成り立っている国でしょう。だから、法定に」
「法定」は「法廷」の変換ミスだろう。
https://twitter.com/ota324/status/1029001087104106499
取材を受けた内幕も暴露する。
「随分と自信を持っていらして5ページ。日曜日、2時間以上説明したのは記事に全く反映しなかった。調べてもくれなかった」
https://twitter.com/ota324/status/1029005443111084032
指定暴力団の名前を何故、私に言ったの。私も知り得ない人の名前。私を脅したのかな。同席したマネージャーが覚えていることもあるかも。
弊社、私は、公の場でしか、色々とお話できないので、訴えを起こしました。先方にはまだ届いていないと思いますから、確認が取れ次第、お話しします」
https://twitter.com/ota324/status/1029007149467295744
「意見とか、笑いにするとか。それは良いから民主主義。どこの国もさ。
だからもちろん、意見は行った方が良い。
意見を言うベースがマスコミにある。でも、そのベースが死人に口なしになったら、なんでもアリの嘘ついて金儲ける側になる。私はマスコミ側にいるから許せない。死人に口なしは無理だ」
https://twitter.com/ota324/status/1029014198188105728
これも「行った」は「言った」だろう。
事務所の社長という立場からすれば「週刊新潮」に書かれたことが信じられないのだろう。何故なら、太田光は新潮社から短編小説集「マボロシの鳥」、長編小説「文明の子」、エッセイ集「トリックスターから、空へ」を上梓している作家でもあるのだ。こうツイートしている。
「仲良くしてたはず。新潮社。作家をバカバカ扱いするように仕向けたのは誰?教えてよ」
https://twitter.com/ota324/status/1029041287695978496
「懇切丁寧に2時間以上も説明したのよ。丁寧に、こんな風に調べたらって言ったのに!恥をかかせたくなかったの!新潮社に。弊社の書籍担当は痛風になったわ。貴方に言う事ではないけど!
弊社は、新潮社に協力こそしてきたけど、こんな仕打ちに合うと思ってなかった!分かって」
https://twitter.com/ota324/status/1029050913342672901
日刊スポーツが「太田光代社長『死人に口なしは無理だ』新潮社に怒り」を掲載している。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201808140000209.html
新潮社は 太田光の「文才」よりも、「週刊新潮」で太田のスキャンダルを報じたほうがカネになると判断したのだろうか。

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2)【記事】出版と軽減税率をめぐって

ダ・ヴィンチニュース」が「出版界が『軽減税率導入』で直面する問題とは?  ポルノと違い線引きがあいまいな有害図書は排除」を掲載している。
「売上の減少が続く出版業界が、軽減税率に期待を掛けたいという背景も理解できる。また、『ポルノ』(的な表現)全体に標準税率の適用を拡げてしまっては、今度は対象が大きくなりすぎ却って売上が縮小するという懸念があることも容易に想像できる。しかし、政治すなわち権力からの要請に沿って、その内容についての検閲や表現規制を行う仕組みを整えるというのは、表現の自由を自ら捨てるきっかけにもなりかねない。もう一度、出版と表現の自由のあり方について慎重な検討が必要ではないだろうか? 」
https://ddnavi.com/review/480568/a/
産経ニュースが8月18日付で「出版団体、政府と軽減税率で対立 『有害図書以外適用を』」を掲載した。
「8%から10%への消費税率引き上げが来年10月に迫る中、有害図書を除く書籍や雑誌に対し税率を低く抑える『軽減税率』の適用を求める出版社団体と、適用に慎重な政府が対立していることが17日、分かった」
https://www.sankei.com/economy/news/180818/ecn1808180003-n1.html
https://twitter.com/Sankei_news/status/1030622185180655616
参議院議員山田太郎がこの記事についてツイートしている。
「軽減税率と有害図書指定、産経新聞がマスコミとして重い腰をあげました。税区分を民間が決めるのは違法、国による有害図書指定判別は検閲にあたるは、2016年の私が総理や官房長官から引き出した答弁がそのまま政府の見解となってます。私の国会質疑が確実に政治に生きてます」
https://twitter.com/yamadataro43/status/1030803406162558981
「軽減税率には所得分配を是正する効果はないが、マスコミを黙らせる効果は大きい 」とは池田信夫の指摘である。
http://agora-web.jp/archives/2034300-2.html
これは堀江貴文の呟き。
「マジで軽減税率とかやめてほしい」
https://twitter.com/takapon_jp/status/1030772564660969472
「字が汚い!」(文藝春秋)という著書を持つ新保信長のツイートも紹介しておこう。
「印税と同じ率を税金で持っていかれるのは納得いかんがコレはあかん。おめこぼししてもらったら政府批判もできなくなるよ。『有害図書以外』ってのも自殺行為。歯を食いしばって受け入れろ 」
https://twitter.com/nobunagashinbo/status/1030812522478153730
作家の盛田隆二もツイートしている。盛田は「ぴあ」の編集者であった。
「書協・雑協など出版4団体が『新聞と同じく、書籍や雑誌にも『軽減税率』を適用せよ。ただし有害図書を除く』と訴えている。
もちろん本が高くなるのは歓迎しないが、出版業界自らが図書の『有害/無害』を区別するなど自殺行為。ここまで露骨に政府にすり寄るのか。情けない」
https://twitter.com/product1954/status/1031039320667258880
「子どもの貧困」が増刷となった水曜社のツイート。言い切っている。
「【私的なこと】軽減税率の適用不要 」
https://twitter.com/suiyosha/status/1030823199636742144
ただし、軽減税率が適用されなかったら、消費税率が引き上げられると書店の閉店が更に加速することにはなろう。

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3)【記事】約400の米新聞が社説でトランプ大統領に抗議

米の300以上の新聞社がメディアは国民の敵であり、その政権に批判的な報道はフェイクニュースだとツイッターで糾弾を続けるトランプ大統領に抗議する社説を掲載したそうである。
「16日付社説での一斉キャンペーンは、米東部ボストンに本拠を置く有力紙『ボストン・グローブ』の社説担当者の呼びかけで実施された。新聞社の政治思想や規模に関係なく、トランプ政権下で強まる『言論の自由』に対する危機感について、各紙が自由に意見を述べるように求めた」
「一方で、『独立性』を重視する姿勢から有力紙の『ワシントン・ポスト』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『ロサンゼルス・タイムズ』などは参加しなかった 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3425105017082018000000/
米国憲法修正第1条。
「議会は、国教の樹立を支援する法律を立てることも、宗教の自由行使を禁じることもできない。 表現の自由、あるいは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済のために請願する権利を制限することもできない」
AFPBB News 」は「米メディア200社、報道の自由訴えるキャンペーン トランプ氏に対抗」で次のように書いている。
「米紙USAトゥデー(USA Today)の元編集長で、現在は首都ワシントンにある報道博物館『ニュージアム(Newseum)』憲法修正第1条センター(First Amendment Center)の代表とミドルテネシー州立大学(Middle Tennessee State University)コミュニケーション学部長を兼任するケン・ポールソン(Ken Paulson)氏は、『メディアが何もせずにただ引き下がり、黙って耐え続けるだけだとは思わない。世界で最も権力を持つ人物が憲法修正第1条を損ねようとしている時こそ、メディアは自身の主張の正しさを示す必要がある』と述べた」
http://www.afpbb.com/articles/-/3186247
英紙ガーディアンなどの国際的な新聞社も賛同している。「BBC NEWS JAPAN」は「米メディア、報道の自由訴えるキャンペーン実施 トランプ氏の攻撃受け」を掲載した。
「英ロンドンに本社があるガーディアンは16日掲載予定の社説(15日午後11時59分ウェブ版公開)で、トランプ氏は『報道の仕事を弱体化し、非合法化し、危険にさらしすらする、計算され一貫した方針を持つように見える』初めての米大統領だと書いた 」
https://www.bbc.com/japanese/45204963
毎日新聞は8月18日付で社説「米350紙が大統領批判の社説 メディア敵視を改める時」を掲載した。
「『一斉社説』から改めて見えてきたのは、批判に耳を貸さずに突っ走る超大国の危うい姿だ。その危うさは人ごとでも対岸の火事でもない 」
https://mainichi.jp/articles/20180818/ddm/005/070/045000c
朝日新聞も8月18日 付で社説「自由な報道 民主主義の存立基盤だ」を掲載した。
「報道や論評自体ももちろん、批判や検証の対象である。報道への信頼を保つ責任はつねに、朝日新聞を含む世界のメディアが自覚せねばならない。
「国民の本当の敵は、無知であり、権力の乱用であり、腐敗とウソである」(ミシガン州のデッドライン・デトロイト
どんな政権に対しても、メディアは沈黙してはなるまい」
https://www.asahi.com/articles/DA3S13640288.html?ref=editorial_backnumber
地方紙では沖縄タイムスが8月19日に社説「[米政権のメディア攻撃]民主主義の土台を崩す」を掲げている。
「メディア不信は世界的な現象だといわれる。
ネットの普及などさまざまな要因が考えられるが、『自分たちが見たい事実だけを見ているのではないか』との批判が増えているのは確かである 」
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/300637
全米で社説を掲げた新聞は400紙を超えたようである。立川談四楼 のツイートである。
「『全米350紙以上の新聞が、16日付の紙面で報道の自由の必要性を訴え、トランプ大統領に反論する社説を一斉に掲載した』とのニュースの羨ましさに、溜息が出た。我が国のマスコミのトップは安倍さんのメシ友であることを恥じない。いやドヤ顔さえしているからだ。アメリカを見習うべきはここなんだが」
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1030293485851561984
事の発端はリベラル派のCNNがホワイトハウスから排除されたことに右派のFOXが抗議したことであった。でも、約400紙が「せいの!」って社説を掲げるのは、これメディアスクラムでもあるよね。 読売新聞は、この話題を社説で取り上げなかった。米流のメディアスクラムに対する異議申し立てか?!「定年退職した元フランス外交官」を名乗るYoJung Chenのツイートは皮肉が効いている。
「生涯(フランス)政府広報に携わった者としてこの様に全国の新聞数百社が団結して報道の自由を脅かす権力に立ち向かう動きに敬意を抱き、拍手をおくる。
政権を批判すると番組を降板させられたり、記者クラブ村八分にされたりする様な国々では期待出来そうもない動き」
https://twitter.com/YoJungChen/status/1030643394614255616

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4)【本日の一行情報】

◎100年以上の歴史を有する雑誌は7誌ある。「中央公論」(1887年8月)、「週刊東洋経済」(1895年11月創刊)、「婦人之友」(1903年4月創刊)、「新潮」(1904年5月創刊)、「婦人画報」(1905年7月創刊)、「週刊ダイヤモンド」(1913年5月)、「婦人公論」(1916年1月創刊)。
https://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/48a00a279bf07348d6c65d7566d442d5/
中央公論新社は100年以上の歴史を有する雑誌を2誌も擁している。

KDDIの全キャリア対応の電子書籍サービス「ブックパス」は、毎月推しマンガを紹介するキャンペーンサイト「ぺちゃくちゃ書店」(http://kddi-l.jp/jgq)を8月1日(水)より立ち上げたが、これを記念して、8月15日に東京・渋谷のBOOK LAB TOKYO で、リアル店舗「ぺちゃくちゃ書店 渋谷店」が一日限定でオープンし、最上もがが店長をつとめるイベントを開催した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000034485.html
最上は、でんぱ組を脱退して1年が経つ。「ぺちゃくちゃ書店」の8月のイチオシはおかざき真里の「サプリ」(祥伝社)だ。

青山剛昌の「名探偵コナン」からスピンオフしたキャラクター・安室透を主人公に据えた「名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)」のコミックス第1巻は8日に発売されたが、1週間もたたずして重版が決まった。累計発行部数は60万部を突破する。
https://mantan-web.jp/article/20180813dog00m200008000c.html
https://ddnavi.com/news/479642/a/
https://www.j-cast.com/trend/2018/08/15336217.html

集英社100%出資の子会社であるProject8が「広告商品開発」の正社員を募集している。応募資格としてGoogleAnalytics, MS Officeなどの5年以上の経験者、事業会社やEC系企業、新規事業で成功経験を持っていることなどが掲げられている。
https://www.itnavi.jp/details/610130657/

小学館の女性ファッション誌「CanCam」10月号(8月23日発売)はAAAを大特集し、表紙の異なる「通常版」と「AAA限定版」の2冊が同時発売される。表紙のみならず、特集においても8ページは共通するが、内容が異なる撮り下ろし12ページを掲載 する。
https://cancam.jp/archives/592396
一人で二冊買うというファンもいることだろう。ABC部数対策でもある。集英社の「non-no」10月号の表紙もAAAである。男女グループによる「non-no」の表紙は1971年の創刊以来、47年の歴史で初めてのことだそうだ。こちらも通常版と増刊の二種類が用意され、写真が異なる。
https://www.oricon.co.jp/news/2117721/full/

◎絵本「ノラネコぐんだん」シリーズの累計100万部突破記念して、作者の工藤ノリコと版元である白泉社代表取締役社長・鳥嶋和彦スペシャトーク動画が8/14に公開された。
https://www.hakusensha.co.jp/news/52551/
あのマシリトが「絵本を舐めててすみませんでした」と謝ったイベントの動画だ。私はマシリトを偉いと思うし、こうしてイベントの場で頭を下げられる度胸というか、人間としての大きさを尊敬する。

◎「ダイヤモンド・オンライン」が「中国で日本の絵本が爆発的に売れている理由、1000万部超も」を掲載している。ポプラ社の中国法人「北京蒲蒲蘭文化発展有限公司」で董事長を務める永盛史雄の発言を紹介しておこう。
「例えば中国の最大手書籍販売サイト『当当』では、絵本の中で欧米系の絵本のシェアが61%で、それ以外が日本などアジア圏の絵本です。これまで弊社の絵本は、『くまくんのあかちゃん』シリーズが累計販売数約1000万部、『ティラノサウルス』シリーズが800万部を売り上げています」
https://diamond.jp/articles/-/176906

◎麻生節が炸裂!麻生太郎は心底、朝日新聞が嫌いなのだろう。産経が「昭和のサマータイム廃止『朝日新聞の責任』、麻生氏『記者が飲みに行きにくくなるからだろ?』」を掲載。
朝日新聞の記者が、政府・与党が平成32(2020)年の東京五輪パラリンピックの酷暑対策として、サマータイムの導入を検討していることについて質問。すると麻生氏は『確か俺の記憶だけど、違ってたらごめん』と付け加えた上で、『(当時の朝日新聞サマータイム導入を)あおって書いたんだ。だけど良くないから止めた方がよいって(報道した)』と朝日記者に対して恨み節を炸裂させた」
https://www.sankei.com/politics/news/180815/plt1808150025-n1.html

◎「bizSPA!フレッシュ」が「上陸から3年…“動画サービスの黒船”Netflixが苦戦する日本市場の壁」を掲載している。Netflixの日本における動画サービス市場のシェアは7%程度に過ぎない。日本では動画サービス市場はAmazonプライム・ビデオの一人勝ち。Amazonプライム・ビデオに次いでユーザーが多いのはAbemaTVだが、AbemaTVは2017年11月をピークに横ばいだそうだ。
https://bizspa.jp/post-52342/
アメリカではNetflixが独走している。
https://wired.jp/2018/08/17/hulu-netflix-amazon-streaming/

◎「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)に連載され、コミックスは94巻を数える「江戸前の旬」(原作・九十九森 漫画・さとう輝)がTVドラマ化されることになった。
https://twitter.com/BETSUGORAKU/status/1028869058370756609

◎シニア女性誌「ハルメク」は8月15日、雑誌と連動した50代からの女性のための情報サイト「ハルメクWEB」をローンチした。
https://www.tsuhannews.jp/55511

◎KKベストセラーズは「【お詫び】『柳美里 自選作品集』刊行中止のお知らせ」を7月に発表していた。ライターの荒井カオルのツイートで知ったのだけれど、それまで私は気がつかなかった。業界誌記者失格である。反省。
「『柳美里 自選作品集』全六巻の、2018年8月発売として案内しておりました第三巻以降の刊行が中止となりました。第三巻以降を予約されていました読者の皆様、書店の皆様には、突然のご案内にて大変ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げます」
https://twitter.com/araikaoru/status/1030255847547392000
http://www.kk-bestsellers.com/cgi-bin/detail.cgi?isbn=978-4-584-13871-7

北田暁大は「終わらない『失われた20年』」(筑摩書房)で上野千鶴子を厳しく批判しているが、上野はブログに「北田暁大さんへの応答」を発表した。
社会学者としてわたしは『理想主義を忘れない現実主義者』を自認してきたが、理想主義と現実主義のバランスをとるのは難しい。現実主義を忘れた理想主義はただの夢想だが、理想主義を忘れた現実主義も困りものだ。ここではわたしは後者へと傾いてしまったようだ」
「わたしは性差別の解消について理想主義を失ったことがないのだから、人種差別の解消についても理想主義を失うべきではなかった」
https://wan.or.jp/article/show/8029
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016690/
北田の鋭さを褒めるよりも、自己批判を厭わない上野の誠実さに私は共感する。

大塚英志が「手塚マンガで憲法九条を読む」(子どもの未来社)を「週刊ポスト」の書評で取り上げ、次のように喝破する。異議なし!
憲法九条を変えるべきではないという本書の政治的立場にぼくは賛同する。しかし、その上で、本書のようにその学習教材として直截の手塚作品を読ませることには違和を表明する」
https://www.news-postseven.com/archives/20180816_735379.html
護憲派と自称する連中の一部がソフトスターリニズムの悪臭を漂わせていると思っているのは私だけではあるまい。そういう輩は手塚治虫に限らず、大衆文化を自らの政治主義に隷属させることに何のためらいもないのである。天皇さえ利用しかねないものな、こいつらは。


◎「ニュースイッチ」が「翻訳家・柴田元幸さん『教養を身につけても別に良いことはない』」を掲載している。周知のように柴田は文芸誌「MONKEY」に携わり、「15号まで”広告なし”で赤字も出さずやってこられた」そうだ。そんな柴田がソーシャルメディアの時代の本質を言い当てた発言をしている。
「言葉は真実を伝えるためのものだという前提が今まではあったが、その前提がなくなってきている。以前は「嘘をつけば世の中機能しない」という考えのもとに何らかの歯止めがあった。言葉を公の場で発する時には新聞や本があり、色々な人が関わることでチェック機能も働いていた。今はチェック機能なしで全世界に情報を流せる。実はチェックが働いていた方が幸運な状態だったのかもしれない」
https://newswitch.jp/p/14081
ソーシャルメディアの時代は、最良の展開を回避し、その可能性において最悪の局面を露呈させていると言っては言い過ぎになるだろうか。ソーシャルメディアの時代がソクラテス殺しに加担しないことを私は心底願っている。

田中康夫が『「貧すれば鈍した」日販に物申せぬ日本「文壇人」の鈍感力w #銀座ソニーパークださい 騒動が映し出す「企業倫理」 YouTubeでも解説Part2』で日販を強烈に批判している。
https://buzzwall.net/ginza/archives/3526
https://youtu.be/ZYLh-uiHXHQ
「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」とは坂口安吾の「堕落論」である。

矢吹丈力石徹の対決がいよいよ決着する。ぴあから「あしたのジョー COMPLETE DVD BOOKシリーズ」全13巻のVol.6が発売された。最近、私はカラオケで寺山修司作詞の「力石徹のテーマ」を必ず歌っている。「自分の傷は自分で舐めろ」というところが良いのよ。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=E04677
「戦え!オスパー」なんて、作詞が寺山で、作曲は冨田勲、歌ったのが山田太郎だったのよ。頭脳警察の「時代はサーカスの象にのって」も寺山修司。では、私の愛誦歌も紹介しておこう。
空は本それをめくらむためにのみ雲雀もにがき心を通る

宮内庁大膳課厨房第二係に勤務し、洋食担当の天皇の料理番であったシェフ工藤極の「「陛下、お味はいかがでしょう。『天皇の料理番』の絵日記」 が徳間書店から刊行されているが、産経フォトが「宮中のレシピはいかが 昭和天皇の食支えた日々」を掲載している。
「『宮中の日常の食事は極めてシンプル。自宅で再現して楽しんでもらいたい』との思いから、皇居内で実際に食されているカレーやサンドイッチなどの作り方も載せた」
https://www.sankei.com/photo/story/news/180816/sty1808160004-n1.html

◎この本棚が話題になっている。
https://twitter.com/aru2kan/status/1029661413969555456
「これが『少年ジャンプ』の厳しい世界か…短期連載だった漫画の単行本を集めた本棚が味わい深い」てな記事にもなって拡散している。
http://news.livedoor.com/article/detail/15168281/

◎「オレンジページ」のレシピ「フライパンちぎりパン」は、丸くてかわいい形と、ほんのり甘くて、しっとり、もっちりとした生地、そしてちぎって食べるユニークなスタイルが受けて大人気となっている。そのなかの「塩バター味」が商品化され、「ちぎりパン BY ORANGE PAGE」として「むさしの森珈琲」の春日井篠木店・松井山手店・岐阜柳津店・金沢入江店・杉並井草店・平塚桜ヶ丘店・富山経堂店という計7店舗に登場する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000033462.html
これは食べてみたい。

◎学研プラスは、「大きな字の英和辞典」「大きな字の和英辞典」(定価:各本体2,300円+税))を発売した。シニア対応商品である。
http://mainichi.jp/articles/20180817/pls/00m/020/002000c

国文学研究資料館長のロバート・キャンベル東大名誉教授は自らのブログで同性愛者であることをさらりと公表した。
「積極的に排除はしないが『触れてほしくない』が日本の常識で『美風』であるなら、改めるべき時期に来ていると私は信じます。アンケートにLGBTが『周囲にいない』と答える日本人が多いのは、存在しない、ということではなく、安心して「いるよ」と言えない社会の仕組みに原因があります。ふつうに、『ここにいる』ことが言える社会になってほしいです 」
https://robertcampbell.jp/blog/2018/08/%e3%80%8c%e3%81%93%e3%81%93%e3%81%ab%e3%81%84%e3%82%8b%e3%82%88%e3%80%8d%e3%81%a8%e8%a8%80%e3%81%88%e3%81%aa%e3%81%84%e7%a4%be%e4%bc%9a/
ロバート・キャンベルは谷川とむや杉田水脈を名指しで批判しているわけではない。ロバート・キャンベルは次のように書く。
衆院議員が性的指向性自認のことを『趣味みたいなもの』と言うのを聞いて笑ってしまった 」
「同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの人々をひっくるめて『生産性がない』ので「支援」に値しないという別の議員が発した言葉も、お粗末すぎて、反論する気持ちも起きません」
例えば朝日新聞デジタルは「ロバート・キャンベルさん同性婚公表 杉田氏寄稿を批判」を掲載しているけれど、この記事からロバート・キャンベルの奥ゆかしさは伝わらないように思えてならない。
https://www.asahi.com/articles/ASL8H643ML8HUTFK00F.html
こんなツイートを発見。同感である。
「ロバートキャンベルさんのブログ、理知的で憤るべき現状に対しても温かな未来への希望をこめていて、さすがと感動しました。しかし、それを報じるニュースサイトがカムアウトを切り取って見出しの冒頭に持ってくるのは、すこし卑怯ではないかなと思います。ニュースは伝えるべき事を伝える仕事をして 」
https://twitter.com/nachisan2/status/1029566848663080960
ロバート・キャンベルのユーモア感覚もステキだ。8月15日にツイートしている。
「昨日『公言』以来初めて近所を散策。隣人がゴミ当番で落ち葉を掃いていたから軽く手伝ってから駅前に行って買い物。ジムで汗を流しシャワーを浴び、ゆっくりと自宅まで歩く。が、何も、起こりませんでした 出迎える猫いわく『当たり前だわ』(笑)。 」
https://twitter.com/rcampbelltokyo/status/1029896215788281856

◎エディアと講談社の共同プロジェクトである新作位置情報恋愛シミュレーションゲーム「マップラス+カノジョ」の事前登録者数が7万人を突破した。
http://www.edia.co.jp/news/press/20180817-purakano.html

◎「AFPBB News 」は「グーグル従業員1400人、中国の検閲向け検索エンジン開発に抗議署名」を掲載し、次のように書いている。
「米グーグルが中国に再進出するために、中国政府の検閲に適合させた検索エンジンを開発しているとの報道を受け、同社の従業員1400人がこれに抗議する書簡に署名した 」
http://www.afpbb.com/articles/-/3186334

◎エブリスタと双葉社の共同出資会社であるDEF STUDIOSは、10月1日(月)より、「キャラクター小説」をテーマにした小説大賞「DEF STUDIOS presents 双葉社からデビュー賞」を小説投稿サイト「エブリスタ」で実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000033139.html

◎9月8日(土)から22日(土)まで「第40回ぴあフィルムフェスティバル」(PFF)が 国立映画アーカイブ(旧東京国立近代美術館フィルムセンター)で開催される。「映画は孤独に効く」という荒木啓子(総合ディレクター)の発言は本当にそう思う。私が貪るように映画を見たのも孤独に効いたからだ。映画を浴びることによって孤独が「個立」に鍛えられていった。
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2018/08/40th-pia-film-festival-keiko-araki-interview.html

中公新書の刊行点数が2500に達する。「YOMIURI ONLINE」は次のように解説している。
「創刊は岩波新書の方が早いが、青版、黄版などがあったため、通巻番号が2500に至ったのは新書では初という」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20180817-OYT1T50107.html

電通イージス・ネットワークの取締役会議長でもあるティム・アンドレーが「Campaign Japan」のインタビューに応えている。
「2017年の我が社の新規獲得売上高(純増分)は52億米ドル(約5720億円)で、どのライバル企業よりも多いものでした。競争のプレッシャーが良い結果を引き出したのでしょう。ですが、昨年の成長率は17%でした。通常のオーガニック成長は全体の50%なので、大きく後退したことになります。他社をしのげなかったことは(イージスの買収以来)はじめてのことで、我々は「抜きん出た存在」ではなくなってしまいました」
https://www.campaignjapan.com/article/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%93%E3%81%9D-%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E6%88%90%E9%95%B7%E6%A9%9F%E4%BC%9A%EF%BC%9A%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%EF%BC%88%E9%9B%BB%E9%80%9A%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B9%EF%BC%89/446610

◎元プロ野球選手の清原和博の半生を綴った「清原和博告白」の重版(4刷)を文藝春秋は決定した。累計発行部数が10万部。
https://www.hochi.co.jp/topics/20180817-OHT1T50137.html

◎「REALKYOTO」に福嶋亮大が「文壇の末期的状況を批判する」を特別寄稿している。福嶋は「渡部直己のセクハラ事件を端緒にした一連の騒動」と「北条裕子『美しい顔』をめぐる盗用疑惑」を取り上げて、まさに批評している。
「私は文芸批評家を自称しているけれど、文芸誌では特段大きな仕事をしたことはないし、今後もその予定も意志もないが、今のように『責任ある大人たち』が文学をめちゃくちゃにし、しかもそのことをまともに自覚すらしていない現状を放置するのも無責任かと思い、この文章を記した」
http://realkyoto.jp/article/fukushima_bundan/
文学業界も「忖度」が重要な意味を持つ、「原子力ムラ」と同じような類の「ムラ」でしかないのかもしれない。

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5)【深夜の誌人語録】

実力以上を目指すから実力を発揮できるのである。