【文徒】2014年(平成26)7月29日(第2巻140号・通巻342号)

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1)【記事】KADOKAWAのドル箱「とある」シリーズ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】KADOKAWAのドル箱「とある」シリーズ!

とある魔術の禁書目録(インデックス)」(電撃文庫)と「とある科学の超電磁砲(レールガン)」(電撃コミックス)の「とある」シリーズは累計発行2100万部にも及ぶという。7月25日には「とある魔術の禁書目録」シリーズの外伝コミック「とある科学の超電磁砲」と「とある科学の一方通行」の2冊を同時刊行した。
もともと「電撃文庫」のライトノベルスとして2004年4月に誕生し、その後、コミカライズされ、テレビアニメ化やラジオ化、PSP専用ソフトやウエブラジオ、ソーシャルゲームにもなっている。何と10年以上にわたってIPビジネスを絶え間なく展開しているのだ。ライトノベルス自体もパロディ作品をスピンオフさせている。「とある魔術の禁書目録」を球根として、様々なコンテンツ領域、メディア領域に根を張っていったのである。
ここで紹介されているのはゲームアプリが「とある魔術と科学の謎解目録(パズデックス)」だ。
http://iphone.ascii.jp/2014/07/26/puzzdex-dev9/
東京ヴェルディとのコラボレーション企画も実施する。
http://www.jsgoal.jp/official/00176000/00176018.html
KADOKAWAの「電撃」プランドは、いわば「少年ジャンプ」のサブカル版ビジネスを行ってきたといえるが、「とある魔術の禁書目録」を起点としたIP戦略による展開は、その代表的な成功例である。

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2)【本日の一行情報】

森達也の次のような「WEB RONZA」における発言はドキュメンタリーをジャーナリズムと置き換えても良いだろう。
「ドキュメンタリーは時として人を傷つける。鬼畜の所業だと思うことがある。少なくとも穏やかな人格者には撮れない。監督やディレクターがエゴイスティックでファナティックであればあるほど、作品は面白くなる」
次の「テレビ・ドキュメンタリー」は「雑誌ジャーナリズム」と読み替えねばなるまい。
「テレビ・メディアが公正中立や客観性を理由に社会や政治に対しての批評性を失いつつある現状において、テレビ・ドキュメンタリーの存在意義は(皮肉なことだけど)、かつてないほどに高まりつづけている」
http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/special/2014072500006.html?iref=com_fbox_u07

◎「週刊文春」が佐村河内守ゴーストライター騒動で渦中の人となった新垣隆に依頼して作曲した交響曲「HARIKOMI」がネットで大反響を呼んでいる。ニコニコ動画で公開して5日で再生回数18万回を突破。文藝春秋からすれば「してやったり」だろうなあ。恐らく週刊誌のなかで若い読者が最も多いのは今や「週刊文春」かもしれない。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20140725-00037227-r25

◎「週刊実話」が中国人観光客の「買春ツアー」に警鐘を鳴らしている。こういう切り口は実話ジャーナリズムならではの「毒」を孕んでいる。
http://wjn.jp/article/detail/2537832/

◎JR南武線鹿島田駅からデッキで直結するスーパーの2階という立地にある北野書店が「CREA WEB」の「週末の旅は本屋さん」に紹介されている。「読み聞かせ」や「絵本カフェ」、「リボンレイ教室」など街に根を張る書店ならではのイベントに取り組んでいる。
http://crea.bunshun.jp/articles/-/5808
http://kitanobook.co.jp/e/kourei.html

朝日新聞社は、ウェブエンジニアやデザイナーを対象に、4月から開催されてきた「HTML5 Japan Cup」(主催・運営:html5j、一般社団法人日本オープン・ウェブ・アソシエーション)にプラチナ・スポンサーとして協賛していた。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000009214.html
また、モバイル端末向けゲーム制作会社のモバイルファクトリーと提携し、両社の所有する記事データやゲームキャラクターなどの素材を組み合わせて、新しいソフトウエアを開発するイベント「ハッカソン」を8月3日に開催するという。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000009214.html
朝日新聞の「嗅覚」は出版社も見習いたいところだ。こうした「嗅覚」は讀賣新聞にもあるんだよなあ。

凸版印刷が運営する国内最大級の電子チラシポータルサイトShufoo!(シュフー)」と凸版印刷のグループ企業である国内最大級の地図検索サイト「Mapionマピオン)」が連携。これにより「Shufoo!ミニチラ」を、「Mapion」上で閲覧できる新サービス「マピオン電話帳」×「Shufoo!ミニチラ」を提供開始する。凸版印刷は今年中にユーザーに毎日電子チラシを配信する「Myチラシポスト」のダウンロード数1000万件を目指す。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/07/newsrelease140728.html

電通イージス・ネットワークは、インド最大のOOH(屋外/交通広告)専門の広告会社であるマイルストーン社の株式51%の取得と、今後段階的にシェアを拡大し完全子会社化するオプションを当社グループが有することにつき、同社株主と合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/0728-003787.html

◎トゥ・ディファクトの運営する電子書店サービス「honto」は、ダイヤモンド・ビッグ社が主催する「20代の旅レポ大賞」に協賛する。大賞作品は電子書籍として「honto」から刊行される。
http://www.news2u.net/releases/125303

集英社ニコニコ静画と組んで、テレビアニメ化が決まった「週刊少年ジャンプ」連載の「ワールドトリガー」について二つのテーマでイラストを募集する企画を開始した。「キミの描いたPOPが実際に書店に展示される書店POPイラストコンテスト!」と「アニメ化おめでとう!ファンアート大募集!」である。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1406518528&p=2
ドワンゴとの相性は、ドワンゴ経営統合するKADOKAWAよりも、集英社のほうが良いと思うのは私だけであろうか。集英社KADOKAWA・DWANGOを傘下に収めるということが現実に起きれば面白いのだけれどもなあ。

講談社はアジア圏で810万人の会員を持つ写真共有ソーシャルメディアとして知られる「Snapeee」を企画・開発・運営するマインドパレット社にグローバル・ブレイン、環境エネルギー投資とともに出資し、業務提携を結んだ。これにより講談社の「ViVi」などの女性誌コンテンツを「Snapeee」を通じてアジアに配信していくことになる。日経によれば講談社の出資は1億円未満のようだ。
http://mindpl.co.jp/pr/Snapeee_press_release20140728.pdf
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO74799050W4A720C1TJE000/
講談社として、時宜に適ったとても良い出資であり、提携だと思う。出資するばかりではなく、出資されるような提携も考えても良いはずだ。

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3)【深夜の誌人語録】

自分の弱さと戦うことが人間としての強さなのである。