【文徒】2014年(平成26)7月31日(第2巻142号・通巻344号)

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1)【記事】小冊子「M-VALUE報告書」に驚かされた!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】小冊子「M-VALUE報告書」に驚かされた!

日本雑誌協会と日本雑誌広告協会は、雑誌広告の効果を測る業界標準指標の構築を目的に実施した「第1回雑誌広告効果測定調査(M-VALUE=エム・バリュー)」の調査結果や概要などを記した16ページの小冊子「M-VALUE報告書」をこのほど作成。恥ずかしげもなく広告主に配ってしまおうという神経が私には理解しかねる。これを読んで広告主が雑誌を好きになるとお考えか。
ある程度、部数の透明性が明らかになったのだから、雑誌社は個別に広告主、広告会社を説得できる情報発信を真剣に考えてもらいたい。まとまって何かを取り組んでいては、時代遅れの情報発信しかできないということを「M-VALUE報告書」は、はからずも証明してしまったのである。雑誌広告業界として「M-VALUE報告書」に妙にこだわるよりも、それぞれの雑誌が雑誌広告ビジネスの成功事例集を作成したほうが遥かに生産的なのではなかろうか。
http://www.advertimes.com/20140729/article166044/
ついでに言っておくと雑誌は広告料金から何から見直すべきであるし、純稿に関してはスポット的な運用を真剣に考えるべきだと進言しておきたい。雑誌広告業界の「旧態依然」は、雑誌広告市場を更に細らせるのだという認識はお持ちいただきたいところだ。
それにしても、この「報告書」のクリエイティブ水準の低さは何なのだ。広告をメシの種にしているとは、私には信じ難いようなデザインである。ここからして普通、恥ずかしいと思わなくちゃ!

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2)【本日の一行情報】

◎「週刊朝日」でホリエモンが指摘する通りだよ。
「つまりお父さんが新聞を取らなくなったら誰も読む人がいなくなる。しかも収入は以前と違って右肩上がりとは言えない状況だ。不要な支出は減らすとなれば、新聞が真っ先に支出項目から削られる可能性が高い。スマホ時代になってそれが加速しているというわけだ」
ホリエモンはこう言うのも忘れない。「雑誌メディアはもっと危機的」だと。お父さんを取り戻す工夫を新聞と雑誌が共同してできないものだろうか。
http://dot.asahi.com/wa/2014072500056.html?page=1

大久保房男の訃報を伝える新聞記事。大久保が「群像」の編集長として「純文学の鬼」と言われていたことには触れているが、「週刊現代」初代編集長であったことに触れているのは私が目を通した限りでは産経新聞だけか。
http://mainichi.jp/select/news/20140729k0000m060045000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/obit/20140729-OYT1T50045.html
http://www.asahi.com/articles/ASG7X5210G7XUCVL01W.html
文学は出版社系週刊誌の「原点」なのである。

スマホでAR コンテンツを表示できるアプリ「ARAPPLI」は、コーセーの「ラクチュール」のリニューアルを記念して実施される、「Anecan」×「ラクチュール」のコラボレーション企画である「「カバービューティ(表紙モデル)キャンペーン」で、「AneCan」表紙モデルになったかのような体験ができるARコンテンツを提供している。このキャンペーンは「Anecan」9月号などでも紹介されると共に、「AneCan」モデルのトークイベント等の関連イベントも実施され、このイベントでも「ARAPPLI」の「AneCan」フレームARが使用される。「ARAPPLI」はレピカグループのアララが運営している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000004318.html

アニメイトは8月1日から31日まで徳間書店リュウコミックス」「ゼノンコミックス」を購入すると1冊につき1枚、特製ブロマイド(全6種)をプレゼントする。
http://www.animate-onlineshop.jp/fair/detail.php?id=972&type=2

資生堂の魚谷雅彦社長が産経新聞のインタビューに応じている。魚谷の「日本企業の悪いところは部門ごとにぶつ切りになっていること。世界で強い会社は組織に横の連携がある。開発部門も営業の人もある商品について議論し、全社を挙げた準備ができているほど市場での成功率は高くなる」という認識は正鵠を射ている。逆に魚谷に問われるべきは資生堂の歴史をいかなる水準で認識できているかである。この手の経営者が失敗するケースで多いのは歴史にしっぺ返しを喰らってのことだろう。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140728/biz14072821080015-n1.htm

◎とても重要な指摘だ。
「LINEの場合には、同社単体としての経営戦略以外にも、親会社の意向も考慮する必要があるでしょう。LINEは登記こそ日本にされていますが、親会社は韓国のネット企業であるネイバー株式会社であり、基本的な経営権はすべてネイバー側が握っています。LINEが上場した後、LINEをどのような方向に持って行くかは、ネイバー社が何割の株式シェアを維持するのかにかかっています」
http://thepage.jp/detail/20140729-00000001-wordleaf?pattern=1&utm_expid=72375470-10.2doGLa_LSRCqwZr5zC_E0A.1&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F

スマホ向けコミックサービス「comico(コミコ)」を運営するNHN PlayArtは7月29日、ピクシブと提携。イラストSNS「pixiv」内にcomicoへの作品投稿機能を設置し、pixiv会員が簡単にcomicoにマンガ作品を投稿できるようになった。NHN PlayArtも韓国系企業である。
http://japan.cnet.com/news/service/35051548/

◎日本のスマホ広告市場。2013年は前年比193%の1652億円。「サイバーエージェントの子会社CyberZによれば、2014年には2000億円、2016年には3000億円を突破する見込みだ」そうだ。
http://japan.cnet.com/marketers/interview/35051449/
雑誌広告業界にしても指をくわえているだけで良いはずあるまい。

博報堂の消費税対策研究プロジェクト「増税後の主婦の消費意識」調査によれば、消費税増税後の日常的な買い物で、「買い控え」したという人は、57.6%。年収の低い若年層ほど「買い控え」傾向が強いことがわかった。買い控えの理由は「商品の値ごろ感が分からなくなった=76.0%」、「価格表示が分からなくなった=74.0%」。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/07/20140729.pdf

◎電子コミック配信大手の米Comixologyは、ユーザーが購入した作品をDRMフリーのファイルでもダウンロードできるようにしたそうだ。Comixologyはアマゾンの傘下企業である。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1407/29/news078.html

◎アマゾンは7月29日、日本政府の外国語広報誌「We Are Tomodachi」の英語版を日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペインで配信開始した。0円である。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1407/29/news056.html

ボイジャー電子書籍専門の版元として良い仕事をしている。「ヒロシマナガサキのまえに」をリリース。翻訳は「青空文庫」の故富田倫生である。
http://binb-store.com/ss/trinity

◎「長崎次郎書店」(熊本市中央区新町)が今日から再開!蔦屋書店が開業しても嬉しいという感情は湧かないが、これは嬉しいニュースだ。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/104522

◎ロイターによれば米アマゾンは電子書籍値下げのメリットを主張しているようだ。
「アマゾンは自社サイトのブログ(amzn.to/1rD27WM )で、電子書籍は価格に敏感に反応すると主張。1冊9.99ドルの電子書籍は1冊14.99ドルの書籍の1.74倍売れ、売上高は16%多いと指摘した。電子書籍の値下げは消費者にとってプラスであるばかりでなく、著者が受け取る印税も増えると主張。読者も74%拡大し、出版社の収入も増えるとしている」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0Q46GT20140729

◎ニュース閲覧アプリ「SmartNews(スマートニュース)」のテレビCMが8月1日より放映される。
https://www.youtube.com/watch?v=b2ukMvyDlRQ

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3)【深夜の誌人語録】

見ようとしないから見えないのである。問われているのは視力ではなく意志である。