【文徒】2014年(平成26)10月27日(第2巻202号・通巻404号)

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1)【記事】CCC のネット戦略における光と影
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】CCC のネット戦略における光と影

CCCことカルチュア・コンビニエンス・クラブがインターネット戦略の再編に乗り出した。
CCCグループでネットエンタテインメント事業を担うT-MEDIAホールディングスは、CCCグループが運営するTSUTAYA online等の全てのネットサービスを統合したネットサービス「T-SITE」を10月22日からオープンした。
「T-SITE」は、最新のライフスタイルニュース、映画、音楽、書籍などのエンタテインメント情報が集まる新たなネットサービスであり、10月22日の段階で情報提供を開始したのは「GIZMODE」、「Lifehacker」、「Kotaku」、「cafeglobe」、「TABROID」、「MY LOHAS」、「glitty」、「roomie」、「マイナビニュース」、「キャリアコンパス」、「TABIZINE」、「シブヤ経済新聞」、「ノーツマルシェ」、「インテリア情報サイト」、「ハリウッドニュース」、「弁護士ドットコム」、「税理士ドットコム」「Huglog」、「JDN」、「シアターガイド」、「ライフハッカー日本版」、「Kotaku JAPAN」。
11月以降は「Newsweek日本版」、「Pen Online」、「madameFIGARO.jp」、「東京カレンダー」、「RBB Today」、「アニメ!アニメ!」、「サイクルスタイル」、「Response」、「コロカル」、「登山情報サイト ヤマケイオンライン」など年内に合計40メディアが情報提供を開始する。
「T-SITE」を立ち上げるに際して、T‐MEDIA社内に編集部を新設し、この編集部が作成したエンタテインメントとライフスタイル分野のオリジナルのニュース記事も配信する。オリジナルニュース記事は今後他社サイトにも提供を予定している。
さらに、ネット企業とのサービス提携や、ベンチャー企業向けのマーケティング支援プログラム 「T-VENTURE PROGRAM」を通じて、「T-SITE」をオープンプラットフォームとして活用した、ネット上での新たなライフスタイル提案サービスを来春以降に予定しているというし、CCCグループの特性を生かし、代官山T-SITE(東京都渋谷区)や今冬開業予定の湘南T-SITE(神奈川県藤沢市)等のリアル店舗と連携した新たなオムニチャネル・サービスの展開も視野に入れている。
http://www.ccc.co.jp/news/2014/20141022_004618.html
CCCにとって「T-SITE」が光の部分であるとするならば、電子書籍ビジネスからの撤退は影の部分といってよいだろう。T-MEDIAホールディングスは、同社が運営する電子書籍ストア「TSUTAYA.com eBOOKs」のすべてのサービスが12月31日で終了することを次のように告知した。
「このたび、『TSUTAYA.com eBOOKs』は、2014年10月31日(金)に販売を終了、2014年12月31日(水)をもって全てのサービスを終了させていただくことになりました。
これまで、ご購入いただいたコンテンツについては、2015年1月中旬(予定)より、株式会社BookLiveの運営する『BookLive!』サービスにて、引き続き閲覧いただけます。
※一部、引継ぎができないコンテンツがございます。ご購入いただいた中に引継ぎできないコンテンツがあった場合は、購入金額分を『1ポイント=1円』とし、Tポイントにて返還させていただきます」
http://tsutaya.com/ebooks/pc/
http://booklive.co.jp/release/2014/10/231800.html
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20141023_672781.html
電子書籍市場は急速に拡大していくのだろうが、CCCをして撤退に追い込まれた電子書籍書店は簡単には儲からないということであろう。

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2)【本日の一行情報】

主婦と生活社の「ジュノン」12月号が30頁にわたって「美男子の壁ドン 決定的瞬間」を特集しているが、ジャニーズ事務所のタレントを欠如していては、そう簡単に低迷を脱出するわけにはいくまい。といって「ジュノンスーパーボーイコンテスト」をやめてしまっては元も子もあるまい。主婦と生活社の経営が決断すべきなのは、刊行形態の季刊への変更であろう。
http://mantan-web.jp/2014/10/23/20141022dog00m200046000c.html

◎創業は明治時代にさかのぼるという、高知市はりまや町の「本のデパート」片桐書店が31日に閉店する。朝日新聞は地方版で次のように書いている。
「梅田賢一社長(63)によると、書店の経営は10年ほど前から赤字に。この数年は、在庫を減らさないと資金繰りができなかったという」
「厳しい経営が続く中、向かいの土産物店から入居の申し出があった。書店が入るビルは7階建てで、片桐開成社が所有する。テナント料が定期的に入れば、従業員の雇用を守れると判断。店頭での書籍販売はやめ、外商だけを残すことに決めた」
http://www.asahi.com/articles/ASGBP01GRGBNPLPB00Q.html

◎「読書の時間をギフトする」をテーマに、丸善ジュンク堂書店と、佐賀県の「FACTORY SAGA」がコラボした「ほんのひととき 〜本と、半径1mの、おくりもの。」について丸善ジュンク堂書店の工藤淳也は次のように語っている。
「『FACTORY SAGA』の“自分たちのところには良いものがたくさんあるのに、それを知ってもらえていない。企業とコラボレーションすることで知ってもらうきっかけをつくりたい”という思いが、自分たちの“たくさんの名著があるのになかなか読んでもらえない”という書籍に対する思いと同じだと思ったんです」
http://suumo.jp/journal/2014/10/22/71669/?vos=nsuusbsp20111206001

◎時代劇を論じたら今や無敵の春日太一が「集英社新書、ナメんじゃねえぞ。たとえ飢え死にすることになっても集英社新書じゃ絶対に本は出さない。久々にガチで頭に血がのぼった」と怒っていた。リテラは、こう書いている。
「どうやら、絶版状態にあった『時代劇は死なず』を河出書房新社から復刊することで正式に決定していたにも関わらず、集英社は『なぜ時代劇は滅びるのか』のヒットを受けて、ギリギリになって『時代劇は死なず』の増刷を決めたということのようだ」
http://lite-ra.com/2014/10/post-569.html

舞川あいくが、小学館の女性ファッション誌「CanCam」の専属モデルを12月号で卒業した。舞川のカメラマンとしての才能がどのように花開くか、だ。
http://news.mynavi.jp/news/2014/10/23/001/

◎私は小学館文庫を殆んど買ったことがないのだが、これは買った。荒木一郎の「ありんこアフター・ダーク」。直木賞の候補にもなった作品なんだよね。東京オリンピック前夜の東京を舞台にした、クールな青春ジャズ小説である。カーティス・フラーの「ファイブスポット・アフター・ダーク」を聴きながら読みたい。
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060898
https://www.youtube.com/watch?v=_BlHRPXPx-4
荒木一郎は私のアイドルのひとりである。映画でいえば「日本春歌考」「893愚連隊」「白い指の戯れ」があるし、シンガーソナグライターとしての才能は「いとしのマックス」もあれば「今夜は踊ろう」「ジャニスを聴きながら」を聴けば痛いほど理解できるだろう。小説には「シャワールームの女」や「雨の日にはプッシィ・ブルースを」があるのも忘れてはなるまい。ちなみに荒木の親父は菊池章一である。新日本文学会の「論客」のひとりであった。こんな文章をネットで発見した。
http://homepage2.nifty.com/akihiko-nakano/s-kikuchi.htm

◎「拉致被害者救う会山口長門支部長」「日本会議山口長門支部長」の渡邉雅春がアグネス・チャン日本ユニセフ協会に謝罪した。アグネス・チャンは自らのブログに渡邉の謝罪文を全文公開。アグネスは自らのブログで次のように書いている。
「肖像権や著作権の侵害をはじめ、誹謗中傷や、デマを流し、無責任な文章の書き込みを止めない人物には、今後も徹底して責任を追求し続けて行きます」
http://www.agneschan.gr.jp/news/index.php?year=2014#1
渡邉は自民党というより安倍晋三を支持していると言って憚らない人物であるようだ。

弘兼憲史の「少年 島耕作」が、NHN PlayArtのスマホアプリ「comico(コミコ)」で無料公開された。
http://mantan-web.jp/2014/10/22/20141022dog00m200013000c.html
弘兼の画業40周年を記念して、「島耕作」ばかりでなく、こんなに沢山の作品が無料配信されている。講談社小学館のコラボである。
http://k-kinoppy.jp/kinokuniya/hirokane/web/
http://www.ebookjapan.jp/ebj/special/st/hirokane_40th.asp

ジャストシステムの「電子書籍に関するアンケート」によれば、2014年に購入した電子書籍で最も多いジャンルは、男性が「小説」、女性は「マンガ」。男性の2位は「マンガ」で、女性の2位は「小説」である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000007597.html

◎光文社の女性ファッション誌「JJ」は来年、創刊40周年を迎えるにあたって、芸能プロダクション「レプロエンタテインメント」と組んで専属モデルのオーディションを開催する。
http://www.lespros.co.jp/special/jj/

学研パブリッシングとブックビヨンドは、女性誌「フィッテ」電子版の配信を開始した。
http://www.work-master.net/201401853

◎「楽天Kobo電子書籍ストア」は、KADOKAWAのコミック、ライトノベル、小説、ビジネス書など約2万タイトルが最大60%オフになる「KADOKAWA THANKS SALE」を、明日10月24日(金)10時から5日間、期間限定で開催している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000005889.html

◎「FLASH」の伝えるところによればリクルート三代目社長の河野栄子は上場により一夜にして167億円という資産を手にした。
http://news.livedoor.com/article/detail/9389270/

◎米アマゾンの第3・四半期決算は470億円という、予想を上回る赤字だった。アマゾンって黒字になれるのだろうか。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0IC2I420141023
ファイアフォンの失敗が予想を上回ったともいえよう。

◎「ネコろんで読める時代小説」として創刊される白泉社の「招き猫文庫」のイメージキャラクターに松井玲奈が選ばれた。
http://www.oricon.co.jp/news/2043675/full/

◎「ビッグコミックスペリオール」(小学館)は西原理恵子「ダーリンは70歳」の連載を開始する。ダーリンとは、高須クリニック高須克弥院長である。
http://mantan-web.jp/2014/10/24/20141023dog00m200069000c.html
ビッグコミックオリジナル」の「釣りバカ日誌」ではスーさんが最高顧問になってしまったそうだ。

◎創業140年の老舗「長崎次郎書店」(熊本市)の2階に喫茶店「長崎次郎喫茶室」がオープンした。ここは日本が誇る美しい書店の一つである。
http://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20141023-OYTNT50242.html?from=ycont_top_txt

バンダイは全国の書店で「あちゃちゅむ ahcahcum cat mushroom collection」を発売する。デザイナーしんやまさこさんのブランド「ムチャチャ←→あちゃちゅむ」とのコラボ商品だ。
http://gashapon.jp/ahcahcum/
http://www.work-master.net/201402216

◎「月刊アフタヌーン」12月号(講談社)が発売延期となった。話題の附録「寄生獣『ミギー』ベンダブルフィギュア」が使い方によっては一部、不具合が生じる可能性があるためだという。
http://afternoon.moae.jp/news/1644

◎日販労組合は、10月27日(月)からの第68回読書週間に合わせ、「読書推進キャンペ―ン」を例年通り実施するが、御茶ノ水駅を含めた東京の一部地域では、トーハン従業員組合との初の合同実施となることに注目したい。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB0QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.nippan.co.jp%2Fnews%2F%25E6%2597%25A5%25E8%25B2%25A9%25E5%258A%25B4%25E7%25B5%2584%25E3%2580%258C%25E8%25AA%25AD%25E6%259B%25B8%25E6%258E%25A8%25E9%2580%25B2%25E3%2582%25AD%25E3%2583%25A3%25E3%2583%25B3%25E3%2583%259A%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25B3%25E3%2580%258D10%25E6%259C%258827%25E6%2597%25A5%25E3%2582%2588%25E3%2582%258A%25E5%25AE%259F%2F&ei=n6lMVILqLqXxmAWH-4GQBA&usg=AFQjCNGedBCssH7etxuTJDHa6F_8vJ_ifw&sig2=hCqKNqQQaSC-G1qJY-Peog&bvm=bv.77880786,d.dGY
トーハンニュースリリースにも、こうある。
「…今年は日本出版販売労働組合(本部:東京都千代田区中央執行委員長:土本 知英)との合同企画として、都内主要駅(東京駅、御茶ノ水駅、水道橋駅飯田橋駅神楽坂駅江戸川橋駅)でのリーフレット合同配布を行います。企業の垣根を越えた活動を行い、読書の普及、読書人口の拡大に繋げます」
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/2014_17/

◎「ルミネ有楽町 有楽町RED FASHION SHOW Supported by 光文社」が開催された。
http://ginza.keizai.biz/headline/2620/

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3)【深夜の誌人語録】

明日もまた何もしないのであれば、君は未来に見捨てられることになるだろう。