【文徒】2015年(平成27)3月30日(第3巻59号・通巻504号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「報道ステーション」で古舘キャスターVS古賀茂明が激突!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.3.30 Shuppanjin

1)【記事】「報道ステーション」で古舘キャスターVS古賀茂明が激突!

3月27日、テレビ朝日の「報道ステーション」でキャスターの古舘伊知郎と元経済産業省官僚のコメンテーター古賀茂明が番組内で口論に及んだ。
きっかけは、安倍政権に批判的な発言を繰り返してきた古賀がこの日を最後にコメンテーター降板となったわけだが、それはテレビ朝日早河洋会長や古舘プロダクションの佐藤孝会長の意向によるものであると突然、語り始めたことから。これに古舘が応戦する形で口論になった。
ハフィントンポストがその模様を活字で再現している。当初、この場面はYouTubeなどで流れていたが、テレビ朝日から著作権侵害だと指摘があり、今では削除されている。
「古賀:ちょっとその話をする前に。わたし、今日が最後ということで、テレビ朝日の早河(洋)会長とか、あるいは(制作協力している)古舘プロダクションの佐藤(孝)会長のご意向でですね、わたしはこれが最後ということなんです。
これまで非常に多くの方から激励を受けまして。で一方で、菅(義偉)官房長官をはじめですね、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきましたけれども、まあ、それを上回る皆さんの応援のおかげでですね、非常に楽しくやらせていただいたということで、心からお礼を申し上げたいなという風に思います。本当にありがとうございました。
古舘:古賀さん、ちょっと待って下さい。ちょっと待って下さい、古賀さん、待って下さい。いまのお話は、私としては承服できません。古賀さんは金曜日に、時折出て下さって、大変わたしも勉強させていただいている流れの中で、番組が4月から様相が変わっていく中でも、古賀さんに機会があれば、企画が合うなら出ていただきたいと相変わらず思ってますし。
古賀:それは本当にありがたいことです。もし本当であれば、本当にありがたいです。
古舘:古賀さんが、これで、すべて、なにかテレビ側から降ろされるっていうことは、ちょっと古賀さんそれは、違うと思いますよ。
古賀:いや、でも、古舘さん言われましたよね、「わたしがこういう風になるということについて自分は何もできなかった、本当に申し訳ない」と。
古舘:もちろんそれは、この前お話したのは、楽屋で、古賀さんにいろいろ教えていただいている中で、古賀さんの思うような意向に沿って流れができてないんであるとしたら大変申し訳ないとわたしは思っている、今でも…。しかしさっきのはちょっと極端過ぎる。
古賀:録音させていただきましたので、もしそういう風に言われるんだったら、全部出させていただきますけれども。
古舘:いや、こちらもそれを出させていただくってことになっちゃいます、古賀さん。
古賀:いいですよ。
古舘:だから、ちょっとじゃあそれは置いて、これはわたしは違うと思っていますが、じゃあ、イエメンのお話、アメリカのことを聞かせていただけますか」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/27/dispute-between-koga-and-furutachi_n_6959330.html
NHK出身の池田信夫は、この出来事を「出演者が私怨をぶちまけたのは放送事故に近い」としたうえで次のように書いている。
「奇妙なのは、彼が今回で降ろされるという事実関係がはっきりしないことだ。古舘氏もいうように4月以降も、話題に応じて出てもらう可能性もあった(この事件でなくなっただろうが)。古賀氏のいう『菅官房長官から局に圧力がかかった』ということもありえない。私はNHKの『日曜討論』というもっとも政治的圧力の強い番組を担当していたが、政治家が出演者をおろせなどということは絶対ない(あったら大事件になる)」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51933593.html
岩上安身が番組終了後、古賀茂明に直撃している。ここでも古賀は持論を例えば次のように展開している。
「古舘さんとはとても仲良くしていただいていたので、止められて、非常に驚きました。だから『言っていることと違うじゃないか』と言わせていただいた。『I AM NOT ABE』のプラカードを出し、『なぜあそこまでするか』と思う人も多かったでしょう。
何もなくプラカードを出せばただの馬鹿ですが、官邸が個人攻撃をしてきているんです。菅官房長官が、名前を出さず、私を批判してきています。『とんでもない放送法違反だ』と裏で言っていると聞いています。それは大変なこと。免許取消もあるという脅しですから」
「今日は番組後に、報道局長をはじめガンガンガンガン言われました。あんなニュースと関係ないこと言うのはおかしい、事前に言ってくれないのもおかしい、と。でも僕は、話す内容を打ち合わせること自体が変だと思っています」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/240770
ニューズウィーク日本版」元編集長の竹田圭吾は古賀に厳しい。ツイッターで次のように書いている。
「古賀茂明という人はテレビで発言する機会を与えられていることの責任と義務をまったく理解していない」
https://twitter.com/KeigoTakeda/status/581458070368231424
江川紹子も古賀を名指ししているわけではないが、次のようにツイートしている。
「公共の電波で自分の見解を伝えるという貴重な機会を、個人的な恨みの吐露に使っている人を見ると、なんとももったいないことをするのか…と思う」
https://twitter.com/amneris84/status/581452556523560960
原発のコスト----エネルギー転換への視点」の著者として知られている立命館大学の大島堅一は古賀を次のように擁護するツイートを投稿している。
「テレビがないもんで知らなかったのだが、報道ステーションにおける古賀茂明さんの発言とかで話題になっているらしい。まわってきたリンクの動画をみたが、一体何がいけないのかさっぱりわからない。こんなんでバッシングとか、よほど頭がどうかしてる。イギリスBBCなんてこんなもんじゃないよ」
https://twitter.com/kenichioshima/status/581653398442790912
BBCのインタビューなんて、日本のおこちゃまインタビューアーとちがって、日本のレベルでいうと追及そのもの。もちろん一番のターゲットになるのは、首相だったりする。議論のレベルでは幼すぎるね。古賀さんが登場したことは、メディアを含めて社会が成熟するきっかけになるんじゃないかと思う」
https://twitter.com/kenichioshima/status/581654008961470464
参議院議員有田芳生は、今回の件で古賀がテレビから消えることをツイッターで次のように惜しんでいる。
「古賀茂明さんの『報道ステーション』での発言に賛成もあれば反対があってもいい。かつて草野仁さんに『生番組は言ってしまえば勝ちですから』と教えられた。古賀さんの安倍政権反対の行動は、ゲリラ的で番組の調和を破壊し、快哉を覚える。しかしこれでテレビ起用は難しくなった。それがもったいない」
https://twitter.com/aritayoshifu/status/581650501776748544
こう書く一方で有田は竹田や江川のツイートを踏まえ、こうも呟いている。
「江川さんと竹田圭吾さんの意見は真っ当です。現状を追認することなく、抗していくには、戦略的な行動が必要でしょう。古賀さんの前半の発言は私怨、後半の安倍政権批判は正当だと思います」
https://twitter.com/aritayoshifu/status/581669804064440320
原発や反ヘイトスピーチのアクティビスト野間易通は江川や竹田に手厳しい。
「いま初めて全部見たけど、何の問題もないどころかすごいじゃんこれ。こんなもので電波の私物化とか言ってる竹田圭吾とかエガショーってほんとにジャーナリストかよ」
https://twitter.com/kdxn/status/581476569375375360
村山富市首相の秘書経験もあるジャーナリストの田中稔にとって古賀は公共の電波を私物化したのではなく、「勇気ある行動」ということになる。
「今夜の報道ステーション。元経産省職員の古賀茂明さんは番組側が用意していない『I'm not ABE』と書かれた黒ベタ白抜きの大きな紙を掲げ、この間の首相官邸による番組製作への圧力を厳しく批判した。古賀さんの勇気ある行動に私たちは励まされる」
https://twitter.com/minorucchu/status/581452501351706626
森永卓郎は、今回の件を予期していたかのように2月9日に文化放送の番組で古賀茂明を擁護していた。森永が指摘しているように2月9日に発表された「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」には文化放送吉田照美など、ごく少数の例外を除き、テレビによく出演しているコメンテーターの名前はない。森永はシンクタンク時代に官僚の古賀と一緒に仕事をしている仲であったそうだ。
https://www.youtube.com/watch?t=336&v=Rfl4q03_KF8
http://hanyokusan.blogspot.jp/2015/02/blog-post_84.html
イスラーム国の衝撃」の池内恵フェイスブックで次のように書いている。
「日本でのイエメン報道を検索してみて、今頃知ったが、イエメンの話を振られたところで流れをぶち切って、圧力で自分が番組降ろされるとか楽屋でああ言ったじゃないか録音出すぞとか押し問答した人がいるらしい。
少なくともこの人が番組に出るかどうかより、イエメンをめぐる中東政治の激変の方が、はる--------かに重要だと思います」
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202876275706966?pnref=story
敗戦後論」や「人類が永遠に続くのではないとしたら」で原理的な思考を模索し続けている加藤典洋も、この件に関してはツイッターで反応している。
報道ステーション面白い。たまたま見ました。古賀さん、まとも。一人しっかりした人がいると、朝ナマなんていうのも真っ青だね。ガンジーのフリップ、素晴らしいです。古賀さんのテレビの遺言だが、反テレビの産声にも聞こえた」
https://twitter.com/ten_kato/status/581451361738354689
「いまIWJの古賀さんの活字実況を読んだところ。この人はいい。昔、フランスでインテリの出てくる討論番組をテレビで見ていたら、途中、大げんかになって一人スタジオから出ていった。でもちょっと話題になったくらいだった。そうでなきゃ。テレビってもともとそういうメディアだったんじゃないのか」
https://twitter.com/ten_kato
毎日新聞が二人の応酬を総て活字に起こしている。
http://mainichi.jp/select/news/20150328k0000e040223000c.html
次に降板するのは古舘伊知郎なんだろうなあ。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎フジテレビで、女子アナとして初めて定年退職者が生まれた。益田由美。ああ知っている、知っている。「なるほど!ザ・ワールド」でリポーターだった人だ。他のテレビ局は、どうなんだろうか?
http://www.asahi.com/articles/DA3S11670071.html

◎淀川美代子編集長の「MAISHA」が休刊。良いホンだったのに残念である。こういう雑誌が休刊せざるを得ないほど、職人肌の編集者にとっては世知辛い世の中になったということなのだろう。
http://top.tsite.jp/news/i/22862503/

◎eBookJapanが、秋田書店、バイクブロスと共同で「ヤングチャンピオン烈」に連載中のマンガ「ばくおん!!」のキャラクターをあしらった公式コラボ車両を製作し、「東京モーターサイクルショー 2015」で展示した。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/news/detail/?news_id=24732

文藝春秋控訴審幸福の科学に勝った!
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150326-OYT1T50126.html

◎アマゾンは、3月27日より、Kindleストアの新機能として、コミックをはじめとするシリーズ作品を一括購入できる「まとめ買い」サービスの提供を開始した。「まとめ買い」の対象タイトルは、開始当初、コミックを中心に400シリーズ以上となっている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000357.000004612.html
http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3448691051

ベースボール・マガジン社大日本印刷は、各種スポーツ競技の普及・振興を支援するプロジェクトを展開することになった。そのプロジェクトの第一弾として、ソフトテニス映画「案山子(かかし)とラケット 〜亜季と珠子の夏休み〜」を製作し、4月4日(土)より全国47ヶ所の劇場で一般公開する。
http://www.dnp.co.jp/news/10108698_2482.html

◎モデルの梨花による「MY NAME IS…RINKA A to Z DICTIONARY」が、発売4日目で10万部を突破したそうだ。マガジンハウスは15〜20万部を狙う。
http://kirei.mainichi.jp/kireinews/news/20150327dog00m100006000c.html

◎カカクコムは、このたび、30〜40代男性をメインターゲットとしたファッションWebマガジン「+CLAP Men」(タスクラップ メン)を創刊した。
http://corporate.kakaku.com/press/release/20150326

◎その通りである。
「毎年減少し続けている出版市場の規模のグラフに、電子書籍市場の数字を足してみるといい。2010年前後から、市場規模の縮小がほぼ止まっているようにも見えるのだ」
http://dot.asahi.com/science/it/2015032600080.html

◎「境界のないセカイ」問題で声明を出した団体「レインボー・アクション」は清水晶子寄りの団体であると「おたぽる」で昼間たかしが書いている。
LGBTの社会運動は、常に対立や分裂を繰り返してきた。この人物の説明によれば、最近は大きく2つのグループに分かれているという。小さな問題も『差別』だとして運動に結びつけようとする東京大学准教授の清水晶子氏らによるグループと、一方で『当事者が“差別”と言ったものは、すべて差別』という考えに疑問を呈する評論家・伏見憲明氏らのグループだ」
http://otapol.jp/2015/03/post-2689.html

◎「昭和天皇実録」(東京書籍)の刊行が開始された。毎年3月と9月に2〜3冊ずつ刊行し、2019年3月に完結予定だそうだ。最初の「第一」と「第二」の二冊は売れそうだ。
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/74401/
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/74402/
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H6B_X20C15A3CR0000/

双葉社も児童書を扱っている。「クレヨンしんちゃんのまんが続・四字熟語辞典」が刊行された。「続」が出るということは、売れているのだろう。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-30853-2.html?c=60600&o=date&

◎無料映像配信サービス「GYAO!」は、4月13日(月)からテレビ東京の「ゴッドタン」「YOUは何しに日本へ?」「チマタの噺」「ヨソで言わんとい亭〜ココだけの話が聞ける(秘)料亭〜」「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」という5つのバラエティ番組を配信する。
http://natalie.mu/owarai/news/142119
マス4媒体は例外なく「スマホ」に橋頭堡を築き上げようと必死になるはずだ。

ハイブランド専門のネットモール「ブラモ!」は3月28日、「ジェシカ バイ ブラモ」(JESSICA by BRAMO)」を創刊した。「欲しいと思ったときにすぐ買える!」をコンセプトにシンプルなスタイルに、ハイブランドを普段使いするセレブ系ファッションを提案するそうだ。ネットから紙へというケースが本当に増えて来た。
http://jessica.bramo.jp/
女性ファッション誌は紙からネットへ、スマホへという流れを加速化しないと、時代から見捨てられるに違いない。

ツイッターで「週刊大衆」(双葉社)が注目の的となった。4月6日号で「超人気声優渕上舞がここまで見せるなんて『事件です!』」という見出しのもと渕上舞のカラーグラビアが2ページにわたって掲載された。渕上舞の初写真集「アオイトリ」を手がけたKKベストセラーズのキャラ書籍編集部がツイッターで「週刊大衆」を次のように批判した。
「渕上様の事務所の確認なしでの掲載記事であり、事務所様に一切の関係はございません」
これに対して「週刊大衆」は次のようにツイートした。
渕上舞さんの件で、たいへん敵意を受けておりますが、 手前どもがもちろん勝手に写真や記事を掲載するわけもなく、 確認はきちんと、写真集の出版社にしていただいております。 心が痛みますが、どうぞ盛り上がっていただければ幸いです」
https://twitter.com/Weekly_Taishu/status/580272155193057281
KKベストセラーズのキャラ書籍編集部は、自らの投稿が早とちりであったことを認め、ツイッターで次のように謝罪した。
「今回の『週刊大衆』様の記事に関しましては、弊社編集部による確認の不備などもあり、 『週刊大衆』編集部さまをはじめ、諸々の関係者様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」
https://twitter.com/chara_best/status/580304022575321088
これを受け「週刊大衆」は次のようにKKベストセラーズにエールを送った。
「いろいろありましたが、 手前ども週刊大衆は、渕上舞さんのこれからのご活躍、 そして写真集『アオイトリ』(ベストセラーズ)の成功を心から祈っております」
https://twitter.com/Weekly_Taishu/status/580388474588528641
http://otapol.jp/2015/03/post-2694.html
「週刊大衆」の大人の対応が光った。

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

足を使わなければ頭を使ったことにならないのだ。せっかく頭を使うのだから机上の空論に終わらせるべきではない。