【文徒】2015年(平成27)4月2日(第3巻62号・通巻507号)

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1)【記事】トーハンによるアダルト系出版社イジメがネットで話題に
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】トーハンによるアダルト系出版社イジメがネットで話題に

トーハンが協和出版販売を子会社化したことでアダルト系出版社が困り果てているようだ。
「おたぽる」の「ついにエロマンガ壊滅へ!? トーハンの取引条件変更で、エロ系出版社が続々と破綻秒読みか…」は物凄い勢いで拡散しているが、この記事によれば、茜新社コアマガジン辰巳出版など出版倫理懇話会に属するアダルト系雑誌を発行する出版社の協和出版販売との取引条件が、トーハンの取引条件に変更されそうなのだ。何しろ売上の約7割を協和出版販売に依存している版元もあるのである。
トーハンの条件に変更になると、卸値が5%も下がり、支払いも書店注文分に関しては全額翌月支払いだったものが、代金の7割が翌月払いで、残り3割は3カ月後払いになるというのだ。しかも、部戻しは6カ月後払いが、1カ月後払いに短縮される。
まさにアダルト系出版社からすれば、踏んだり蹴ったりどころか死活問題であるというわけだ。アダルト系出版社に強く、セブン‐イレブンに弱いトーハンである。つまり、トーハンは弱いものに強く、強いものに弱いのである。トーハンの名誉のために言っておくと弱いものに強く、強いものに弱いのは、日販にしても同じようなものだろう。
http://otapol.jp/2015/03/post-2692.html

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2)【本日の一行情報】

中島貞夫は私が尊敬する映画監督の一人である。「にっぽん'69 セックス猟奇地帯」や「鉄砲玉の美学」「総長の首」、そして血盟団事件をメインに据えた日本における革命とは何かを鋭く問うた「日本暗殺秘録」など、もっともっと評価されても良いはずだ。そんな中島に頁を割けるのが、「文藝春秋」の胃袋の強さなのだろう。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1257

◎「組曲」、「ICB」、「23区」、「自由区」というオンワード樫山4ブランドと、「CLASSY.」、「VERY」、「STORY」の光文社の女性ファッション誌3誌がタッグを組んだコラボキャンペーン「Hello. HAPPY WARDROBE!」が、この春も展開されている。
http://www.onward.co.jp/news/2015/03/3_-icb23_1.html

◎マイボイスコムが実施した「屋外広告」に関するインターネット調査によれば、屋外にある電光掲示板や立看板、建物の屋上・壁・電柱などの広告に対して、「意識して見る」は3.9%、「興味をひかれる広告があれば見る」は28.8%、「暇つぶし程度になんとなく見る」は35.9%。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000246.000007815.html

◎あるた出版は、札幌の出版社だが、酒場詩人・吉田類責任編集の「旅人類」を創刊。北海道をじっくり巡る、大人の旅ガイドだ。
http://www.alter.co.jp/blog/info/157.html

弘兼憲史の画業40年突破と、「ビッグコミックオリジナル」で連載されている「黄昏流星群」の連載20周年を記念してを記念して、「ビッグコミックオリジナル」(小学館)の「弘兼憲史増刊」が刊行された。
http://natalie.mu/comic/news/142419

◎月間9650万PV、ユニークユーザー1100万という実力を持つニュースサイト「NEWSポストセブン」が紙に挑戦した。「NEWSポストセブンマガジン」がそう。「NEWSポストセブン」のコンテンツをもとに、雑誌向けに再編集するという試みだ。「ネットにはネットの、紙には紙の文化があります。ならば"融合"などと考えずに、ネットの面白いコンテンツをきちんと再編集して紙で読んでもらってもよいのではないか、と考えました」と語っているのは鈴木崇司編集長である。
http://www.news-postseven.com/archives/20150401_313475.html

◎米「Vogue」のアナ・ウィンターの発言だ。
「自信がなくてもあるふりをするんです、その方が周りにはっきり伝わります。大半の人は装っているものですよ。私は決断が早いだけです。その方が自分のために働いてくれている人々も助かると思いますよ。今の時代はとにかく直感とスピード、機敏な対応が重要です」
同感です。
http://www.afpbb.com/articles/-/3044004

ハースト婦人画報社は、4月1日付で「エル・ジャポン」編集部、「エル・ガール」編集部、「エル・オンライン」編集部をエル コンテンツ部として統合した。
http://www.wwdjapan.com/business/2015/03/31/00015941.html

◎日販によると、2014年10月より実施している、書店が講談社文庫の作家24人の候補から好きな作家を指名し、その代表作から本当に面白いと思う本を「傑作宣言」しプロモーションするという企画「傑作宣言プロモーション」において、実施後5か月で対象商品の売上が2.6倍(「代表作」は2.7倍、「次の一冊」は2.3倍)と大きく伸長させたという。4月から第2タームが展開されている。
http://news.livedoor.com/article/detail/9934879/
既刊本をいかに売るかは、出版界全体の大きなテーマである。

◎な〜んだ!古賀茂明はテレビから完全に干されたのではなかったのか。テレビ朝日系列のABCテレビの情報番組「キャスト」ではレギュラーコメンテーターを未だつとめている。
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/383443/
古舘伊知郎は30日放映の「報道ステーション」で「番組としては、古賀さんがニュースと関係のない部分でコメントをしたことは残念。テレビ朝日としても、そういった事態を防げなかったという一点において、テレビをご覧の皆様方に、重ねておわびをしなければいけない」と謝罪したというけれど、古舘VS古賀は、古舘の評判を落としたと私は見ている。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150330-OYT1T50119.html

◎わが母校でもある中央大学は、産経新聞社寄附講座を開講しているのか。
http://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/news/2015/03/29933/

星海社ツイッターアカウント「ツイ4」は、4コママンガを毎日更新しているのか。
http://natalie.mu/comic/news/142538
こういうノリが女性ファッション誌には欠けている。

Kindle無料マンガ雑誌の対象雑誌に「漫画ゴラクエッグ」、「ルチル」、「本当にあった笑える話」の3誌が加わった。楽天も、こういうサービスをアマゾンを凌駕するスケールで開始すべきだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000364.000004612.html

KADOKAWAは、ウエブサイトで商品の事前予約を募り、規定数に達した場合に製造販売するクラウドファンディング型のECサービス「ketsujitu」を立ち上げた。現在、公開されているのは「希少性の高い終戦前後の鉄道時刻表の復刻本プロジェクト」や「レース切り絵の体験会イベントの参加権」「ファミ通クロスレビューコーナーでおなじみのレビュアー似顔絵を描いてもらえる権利」という三つのプロジェクトだが、これじゃあ魅力も価値もない。ただし、このアイデアは面白い。もっと真っ当な出版社にこういうサービスを立ち上げてもらいたい。
http://ketsujitsu.kadokawa.co.jp/

◎ビズリーチが提供する友だちとクイズで競える学習アプリ「zuknow」(ズノウ)は、学研教育出版が発行する「高校入試ランク順シリーズ」で学習した内容をクイズ形式で確認できるコンテンツの無料配信を開始した。
http://resemom.jp/article/2015/03/31/23809.html

◎オールアバウトで編集長人事があった。メディアビジネス事業部 ガイドメディア編集部編集長に松井直之が就任。松井は徳間書店の出身である。
http://japan.cnet.com/release/30097774/

SBクリエイティブが運営する電子書籍サイト「ロマンスブックカフェ」は女性のみならず、男性も楽しめるサービスとして知られている。そのなかの「TL◆蜜姫文庫チュチュ」のレーベルで刊行された「艶縛〜先生、もう許してください〜」を紹介したい。「TL」と謳いながらも、これ立派なSM小説なのである。しかも、舞台は出版社ときている。解説には、こうある。
「冷めた瞳の官能小説家が、私を縛る。手を、胸を、そして心を……。『私がいうことのすべては、作品のためだと、思っていてください』。作家はスカーフを外すと、女性編集者の両手を縛りはじめる。彼女は、作家に無垢な身体と心を捧げた――大学出たての新人編集者・凜子は、官能小説の編集部に配属される。
いまだ男性経験のない凜子にとって、まったくの未知の世界。だが、気鋭の作家・西條広夢の作品を読んだとき、その耽美的で豊かな表現に、凜子はたちまち魅了される。気がつけば、花芯のうずきを堪えきれず、ページを繰っていた指をそのまま下半身に這わせてしまうのだった。
折からその作品が映画化され、社命で試写会に赴いた凜子は、西條との対面を果たす。西條は凜子が編集者だと知ると『新たな作品づくりに力を貸してほしい』と言い、東京タワーの夜景も眩い一流ホテルのスイートルームに凜子をいざなった。凜子は抗えない、拒まない……“業界”の内側にいる著者が、“官能小説界”を活写した虚々実々のインサイドストーリー!!」
「まゆみ」という聞きなれない名前の作家だが、一読すればわかるように、そのディテールからしても、この解説通り「まゆみ」が出版業界の「内側」にいる人物であることは間違いあるまい。まさか「彼女」じゃないよなあ。
http://www.romancebookcafe.jp/book/novel/id/r00025

◎私にとってライオンといえば歯磨きや洗剤の会社というイメージがあり、まさかプロ野球の創生期に球団を擁していたとは、山際康之の「広告を着た野球選手 史上最弱ライオン軍の最強宣伝作戦」(河出書房新社)を読むまで知らなかった。しかもタイトルにもあるように連敗続きの弱いチームだった。
本拠地は洲崎球場というから、洲崎パラダイスの近くにあったのだろう。ライオンは当時、小林商店といっていたが、その広告部の奮闘がライオン軍を通じて描かれている。当時の小林商店は日本初のCMソングや通天閣の巨大ネオン看板などを手がける広告先進企業であったのである。それもそのはず、広告部には大手拓次、河目悌二、北島浅一といった才能が結集していたのだ。やがて大手は詩人として、河目は挿絵画家として、北島は洋画家として活躍することになる。
ライオン軍は3年半しか存在しなかったが、政府からの英語禁止通達によってであった。
ちなみに著者の山際はソニーウォークマンなどの開発にあたった技術者である。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309275741/

◎今年も講談社のエイプリルフールが笑わせてくれた。7月より、ドローン(無人小型航空機)による選書宅配サービス「いかが書店」を開始すると発表しちゃった。
http://comic-sp.kodansha.co.jp/ikagashoten/

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3)【深夜の誌人語録】

遠くを見るようにして近くを見なければならないし、近くを見るようにして遠くを見なければならない。