【文徒】2015年(平成27)4月22日(第3巻76号・通巻521号)

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1)【記事】竹内洋が産経で古賀茂明を全共闘学生になぞらえている
2)【記事】電通新聞局出身の長澤秀行の「新聞の轍を踏むな!今こそテレビ局は一つになる時」
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】竹内洋が産経で古賀茂明を全共闘学生になぞらえている

古賀茂明の「報道ステーション」における「自爆テロ」について「革新幻想の戦後史」を著書に持つ竹内洋は、古賀が全共闘学生に、古舘が全共闘に糾弾される「大衆や弱者に肩入れした発言はしても、過激なデモの先頭に立つような危ない橋は渡らない」進歩的教授に、二重写しで見えてきたと産経新聞で喝破している。竹内は、そのうえで次のように書いている。
「民放テレビというメディアそのものが無意識のうちに自らに拘束をかける内なる敵にもっと自覚的でなければならない、と言いたいのである。古賀氏の『更迭』にしても、コメントの内容がなんであれ、十分あり得たのである。テレビは、出演者を消費するメディアだから、同じ出演者にはあきてくるからである。
言論が商品となり、言論活動が産業として展開するところでは、メディア産業は何を発信するかだけではなく、その反響を絶えず斟酌しなければならないという制約を背負う」
http://www.sankei.com/column/news/150421/clm1504210001-n2.html
「自粛という名の翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」に「おはよう日本」で知られるNHKの首都圏放送センターのチーフプロデューサー飯田能生が賛同していた。約5000人が賛同しているがテレビ局の社員は数名に過ぎなかった。竹内にならえば、この約5000人は「全国全共闘」?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243038

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2)【記事】電通新聞局出身の長澤秀行の「新聞の轍を踏むな!今こそテレビ局は一つになる時」

長澤秀行の「新聞の轍を踏むな!今こそテレビ局は一つになる時」は、メディアにかかわっている者であれば熟読しておく必要がある。
「単独テレビ局がそれぞれ独自にネット上でコンテンツ流通を手掛けるのは多難だという事は新聞デジタルの15年の歴史が証明している。ネットの世界では情報流通プラットフォームは多様な利用層の精密なターゲッティングが可能でさらに顧客を獲得するのに要した単価まで追跡し算出することができるデ―タ効率最優先の構造。デ―タを制したものが勝者」
「ユーチューブ、ネットフリックスなどネットで動画コンテンツを流通させるプラットフォームと、そこへコンテンツを提供するテレビ局側とで視聴データや広告の販売権等のイニシアチブをどちらが握るかの争いにかならずなると新聞各社とポータルメディア、サーチメディアのせめぎあいをみてきた自分は思う」
http://www.huffingtonpost.jp/hideyuki-nagasawa/tv-internet-newspaper-media-ad_b_7094334.html
マス4媒体にデジタル戦略が問われている、そう私なども書いてきたが、そういうレベルの段階ではないのかもしれない。マス4媒体にはデジタル企業に生まれ変われるかどうかが問われているということだ。

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3)【本日の一行情報】

池内恵の翻訳による講談社選書メチエ「中東戦記」が600部の増刷となった。池内はブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」で次のように書いている。
「よく増刷してくれた、と思うとともに、そこから翻訳者に回ってくる印税など微々たるものなので、ここまでの小規模ロットで出荷できるようになると、末端の書き手にとってビジネスとして成り立つのか?という疑問は沸きます」
http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-311.html
筆一本では喰っていけない時代なのである。

ドワンゴ川上量生が「ニュースピックス」のインタビューに答えて、次のように述べている。
「確かに、才能のある人を発掘するのはすごく重要なんだけれど、最終的にはやっぱり、プロモーション能力で決まるんですよ。それがおそらく編集者に必要とされる能力です。ただ、それは編集者一人じゃできないので、会社として彼らに力を提供するのが出版社という構造になるでしょうね。
もし、そうならないんだとしたら、要するに出版業界というものがなくなっちゃうということでしょうね」
https://newspicks.com/news/929210/body/

◎全国学図書館協議会毎日新聞社と共同で毎年実施している「読書調査」の公開データをもとにして言えば、小中高校生の一か月間の平均読書冊数は増えている一方で、雑誌離れが深刻な状況になっている。
http://www.garbagenews.net/archives/2255769.html

講談社から23日に発売されるビューティ雑誌「VOCE」6月号の付録は、「進撃の巨人」をデザインした一心堂本舗のフェイスパックである。
http://www.oricon.co.jp/news/2051800/full/

◎「TSUTAYA BOOKS」では「文藝春秋×TSUTAYAオリジナル文庫フェア」を開催中。
http://top.tsite.jp/news/i/23146248/

◎日本エンタープライズは、「週刊少年ジャンプ」などで人気の集英社コミック約1700タイトルを、スマホタブレット向けの電子書籍サービス「BOOKSMART」で配信を開始したと発表したところ、同社の株価が急伸したそうだ。この程度のことで株価が急伸してしまうような「市場」は、リアルを反映していないと私は思う。
http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201504200063

◎少女マンガ「花より男子」(集英社)のミュージカル化が決定した。
http://animeanime.jp/article/2015/04/20/22929.html

◎マンガ「DEATH NOTE」(集英社)が日本テレビ系で連続ドラマ化され、7月から放映される。
http://www.oricon.co.jp/news/2051767/full/

E-girlsの楓が、小学館の女性ファッション誌「CanCam」6月号の表紙を飾った。E-girlsもメンバーが次々に女性ファッション誌の専属モデルとなっている。藤井萩花藤井夏恋は「JJ」、佐藤晴美は「Ray」、坂東希は「Seventeen」という具合である。
http://mdpr.jp/review/detail/1482095

電通総研が実施した「若者まるわかり調査2015」によれば、5つの裏腹な意識=「ウラハラ・マインド」を持つ今の若者像が明らかになったそうだ。
1.『日本の将来は不安』だけど、日本のことは好き
2.つながっていたいけど、『リセットしたい人間関係』
3.自分たちが『社会をリードしたい』けど、変えることまでは考えていない男子
4.『老後の生活が不安』だけど、今は楽しみたい女子
5.欲しいものはあるけど、『堅実・節約家と思われたい』
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0420-004029.html

電通イージス・ネットワークは、イスラエル周辺諸国におけるデジタルサービスの強化とプレゼンスを向上させるために、同国のデジタルエージェンシー 「abaGada Internet Ltd」の株式100%を取得することで、同社株主と合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0420-004030.html

安倍晋三首相を「バカ」と言い放った爆笑問題太田光が首相主催の「桜を見る会」に出席したことについて、「爆笑問題の日曜サンデー」に出演した大橋巨泉は、太田に「お前利用されているんだよ」と一喝した。
http://news.livedoor.com/article/detail/10027048/

◎大広は、シンガポール独立系最大手のアドプラネットグループと合弁会社「アドプラネット大広」(AD PLANET DAIKO PTE. LED.)をシンガポールに設立した。年内に10社のクライアント獲得を目標とするそうだ。
http://www.asiax.biz/news/2015/04/20-180952.php

◎梅田の商業施設「ルクア イーレ」9階に5月8日オープンの「梅田 蔦屋書店」に、カフェ・カンパニーの新業態「LE GARAGE」(ル・ガラージュ)が入るそうだ。
「広さ1000坪の梅田 蔦屋書店は、売り場内に共用の400席を設ける予定。購入したフード・ドリンクはどの席でも飲食可能なため、コーヒーやワインを片手に本や雑誌を読めるほか、ミーティングなどのビジネス用途にも使用できる」
http://umeda.keizai.biz/headline/2060/

◎マガジンハウスは、4月24日(金)より、全国の「JOURNAL STANDARD」各店において、「より良き日々」のためのライフスタイル誌「&Premium」と提案する、夏を楽しむためのワードローブを集めた期間限定イベント「INDIGO SUMMER LIFE」を開催する。
http://www.atpress.ne.jp/view/60572

◎NHN PlayArtと講談社は、共同で企画開発しているスマートフォンアプリ「ザキヤマのクイズがくる〜!? by Hot-Dog PRESS」(Android対応/有料)を5月中旬より配信することになった。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201504209518/
http://app.nhn-playart.com/detail.nhn?svcid=SJQUIZKURU

◎「月刊コロコロコミック」(小学館)5月号の「大人でも難解なクイズ」がネットでも話題となっている。
http://irorio.jp/nhikaru/20150420/223045/

◎古関彰一の「平和憲法の深層」(ちくま新書)に次のような一文があった。
「沖縄から見て日本国憲法は、沖縄県民をその出発点から論外の存在としてきたことになる。その後の沖縄の基地への本土の無関心ぶりの源泉も、この辺にあるのであろうか」
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068279/

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4)【深夜の誌人語録】

自分でできないことを他人に強制することほど卑怯なことは他にあるまい。例えば本が売れないと酒場で嘆く前に自らに今月は本を何冊買って読んだのかと問いかけるべきである。