【文徒】2016年(平成28)2月1日(第4巻19号・通巻706)

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1)【記事】日経のトヨタによるダイハツの子会社化はスクープ!スズキとの提携は果たして?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】日経のトヨタによるダイハツの子会社化はスクープ!スズキとの提携は果たして?

日経は1月27日付で「トヨタ自動車とスズキが提携交渉に入ったことが26日、明らかになった 」と書いたが、トヨタ自動車は即座に全面否定した。
「本日、日本経済新聞において、当社とスズキ株式会社との提携交渉に関する報道が ありましたが、そのような事実はありません 」
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120160127496436.pdf
スズキも同じ趣旨の文章をトヨタ同様に1月27日付で発表。
「本日、日本経済新聞において当社とトヨタ自動車株式会社との提携に関する報道があり ましたが、提携交渉に入ったという事実はありません」
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120160127496352.pdf
日経はやはり1月27日に「トヨタ自動車は51.2%出資するダイハツ工業を完全子会社にする方針を固めた 」とも書いたが、これについてもトヨタは次のような文章を即座に発表した。
「本日、日本経済新聞において、当社によるダイハツ工業株式会社の完全子会社化に 関する報道がありましたが、本件は当社が公表したものではありません。 当社は『もっといいクルマづくり』を推進するために、ダイハツ工業株式会社の完 全子会社化も含め、提携・事業再編等について常に様々な検討をしておりますが、現 時点で決定した事実はありません 」
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120160127496455.pdf
こちらはダイハツのリリース。
「本日、日本経済新聞において、当社の完全子会社化に関する報道がありましたが、 本件は当社が公表したものではありません。 当社はトヨタグループ企業として、トヨタ自動車株式会社との業務連携を以前より 進めており、完全子会社化も含め検討しておりますが、現時点で決定した事実はあり ません 」
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120160127496486.pdf
日経が得意とする「飛ばし」かと思った矢先のことである。トヨタは1月29日になるとトヨタダイハツの完全子会社化を発表した。
トヨタ自動車(株)(社長 : 豊田 章男、以下、トヨタ)と子会社であるダイハツ工業(株)(社長 : 三井 正則、以下、ダイハツ)は、株式交換によるダイハツの完全子会社化(2016年8月予定)について合意した。今回の合意は、トヨタおよびダイハツの更なる持続的成長に向け、同一の戦略のもと、小型車事業においてより選択と集中を進め、両ブランドにおける「もっといいクルマづくり」を一層進化させていくことを狙いとしたものである 」
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/11038291
果たしてスズキの一件はスクープとなるのか、それとも飛ばしに終わってしまうのか。ロイターは次のように書いている。
「大きな成長が期待されるインドでは、シェア約4割の首位スズキに対し、トヨタは約4%にとどまる。トヨタはスズキの販売網などを活用すれば市場開拓につなげられる。現地では大気汚染も問題になっており、環境対応車の需要も高い。スズキにとっても環境技術で先行するトヨタとの連携にはメリットがある。
スズキはまた、十分な利益を生んでいないタイなどでトヨタの事業基盤を活用できればコスト削減も実現しやすい。巨額の開発費用がかさむ環境技術や自動運転などの安全技術でトヨタの支援も得られる 」
http://jp.reuters.com/article/daihatsu-toyota-idJPKCN0V504Y

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2)【本日の一行情報】

◎「ユリイカ 2016年2月臨時増刊号」の「出版の未来 書店・取次・出版社のリアル」は、やはり読んでおくべきだろう。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791703050

◎1月20日配信の【本日の一行情報】で紹介した知念実希人「仮面病棟」(実業之日本社文庫)がすごいことになっている。「ダ・ヴィンチニュース」によれば増刷が止まらないそうだ。
http://ddnavi.com/news/281311/a/
同じ著者による新潮文庫nexの「天久鷹央」シリーズ も絶好調だ。最新作「天久鷹央の推理カルテIV―悲恋のシンドローム―」が刊行されたばかりだ。
http://www.shinchosha.co.jp/book/180057/
フェイスブックの「実業之日本社適当情報」も参考されたし。
https://www.facebook.com/jippikubota.fb/posts/1002015853177385
病院の表の顔が「天久鷹央」シリーズで、裏の顔が「仮面病棟」だそうだ。
http://www.j-n.co.jp/static/pdf/special_interview_55199.pdf

◎産経ニュース「雑誌“冬の時代”内容で巻き返し 『SMAP騒動』『甘利氏疑惑』などスクープ連発」は次のように書く。
「年間の販売金額で雑誌はずっと書籍を上回ってきたが、差は徐々に縮まって逆転も間近という情勢に。出版界の牽引役という立場からの転落を目の前にして『雑誌らしさとは何か』を突き詰めていく姿勢が何よりも求められている 」
http://www.sankei.com/life/news/160128/lif1601280047-n1.html
「雑誌らしさとは何か」を突き詰めていけばいくほど、課題としてデジタルシフトがせり上がってくるはずだ。ちなみに、この記事にはこんな一文もある。
「今後は『編集面でのサポートも考えたい』と、長年雑誌を作ってきた坂本さんは、苦しさをにじませる 」
「坂本さん」とは、日本雑誌協会の坂本隆専務理事 である。日本雑誌協会がどのような形で「編集面でのサポート」を考えているのか興味津々である。

茂木健一郎はオフィシャルブログで「なぜ、スクープは週刊誌発で、新聞からは出ないのか?」を発表している。私が惹かれたのは、茂木の文章ではなく、コメント欄で発見した現役の新聞記者による書き込みにあった次のような一節だ。
「…週刊誌のなかでも、文春の取材力はやはり別格です。記者の質は高く(他の媒体のエース級記者だった人ばかり)、人員面、経費面も充実しており、記者に余裕があるようにも見えます 」
http://lineblog.me/mogikenichiro/archives/1141665.html
「他の媒体のエース級記者」が何故「週刊文春」に集まってくるかといえば、待遇が「他の媒体」よりも良いからである。

◎「フィギュアスケートぴあ Vol.2 2016」に掲載されている写真はすべて撮り下ろし だそうである。
http://www.work-master.net/201655496

トーハンは、1月28日付朝日新聞に掲載された広告特集「EDO NOVELS 第18号」との連動企画「EDO NOVELS Vol.18」(江戸ノベルズフェア)を1月下旬より全国約180書店で開催している。
対象となるのは「居酒屋お夏4 大根足 」(岡本さとる  幻冬舎)、「典雅の闇 御広敷用人 大奥記録(九) 」(上田秀人  光文社)、「夢幻の天守閣 」(上田秀人  光文社)、「完本 密命 巻之一 」(佐伯泰英 祥伝社)、「居眠り磐音 江戸双紙 50巻 竹屋ノ渡 」(佐伯泰英 双葉社)、「居眠り磐音 江戸双紙 51巻 旅立ノ朝 」(佐伯泰英 双葉社)の6冊。
http://www.tohan.jp/news/20160128_671.html

朝日放送は、テレビCMで作る広告効果を、ウェブ広告を掛け合わせて拡大することを目指し、朝日放送 のテレビ番組やCMの視聴ログ及び視聴を補足する様々なデータを活用し、2016年2月1日から1 年間、商用化に向けた実証実験を実施 する。
http://corp.asahi.co.jp/ja/info/info-693750321895588677/main/0/link/20160128.pdf
放送とネットの融合に向けてテレビは足を踏み出している。雑誌はどうする?

◎LINEは、広告配信事業の強化を目的として、フリークアウトの連結子会社である、M.T.Burn (エム・ティ・バーン) と資本業務提携し、同社を連結子会社化することに合意 した。M.T.Burnは、スマホ向けネイティブ広告プラットフォーム「Hike」(ハイク)の開発・提供を行っている企業 である。LINEはM.T.Burn の株式50.49%を取得 する。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1224

ドワンゴのモバイル事業本部と、中日本高速道路NEXCO中日本)は、共同で設立したIP製作委員会のプロジェクトとして、作家・ゲームクリエイター芝村裕吏によるストーリーおよび世界観設定、並びに関連する作品を発表する公式サイトのティザーページを公開 した。
http://dwango.co.jp/pi/ns/2016/0127/index2.html
https://genso-koryu.jp/

ぶんか社は女性ファッション誌「ジーナ」(Gina)を復活させる。今年は4月、9月の年2回の 刊行となる。
http://www.fashionsnap.com/news/2016-01-28/gina-revival/

◎大広が「個人情報取り扱いに関するお詫びとお知らせ」を発表。
「株式会社大広は大阪府様より「おおさか魅力満喫キャンペーン事務局」業務を、株式会社大広・株式会社JTB西日本共同企業体(代表構成員 株式会社大広)で受託しております。
この度、弊社内事務局において、対象商品取扱事業者様に対し、補助金マニュアルをメールで送信した際、操作を誤ったことにより、メールアドレスが互いに見える形で送信される事案が発生いたしました。
このような事態を発生させたことにより、本キャンペーンの対象商品取扱事業者様並びに大阪府様へ多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます」
https://www.daiko.co.jp/news/2016/2009/

◎米 フェイスブックの2015年10〜12月期決算は、純利益が15億6200万ドル(1840億円) 、前年同期と比べて2倍以上増えている。売上高は前年同期と比べ、52%増の58億4100万ドル(約6890億円) 。広告収入は前年同期に比べて57%増となったが、そのうちモバイル広告が約8割を占める。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK28H06_Y6A120C1000000/
雑誌が課題としているデジタルシフトはスマホシフトでなければならない。

ワールドメイト深見東州について「AERA」は次のように書いている。
「・・・本名の半田晴久として大学進学予備校「みすず学苑」を78年に東京都杉並区内に設立、現在は首都圏で8校舎に拡大。他にも『たちばな出版』やコンサルタント会社「菱法律経済政治研究所」(菱研、会員約5千人)、高級腕時計の輸入販売を手掛け、経営者として成功を収めている。
民間信用調査会社の調べでは、グループ企業の年間売上高は国内だけで約70億円、ワールドメイトとしての売上高は昨年3月決算期で120億円に達する 」
http://dot.asahi.com/aera/2016012700087.html?page=1
深見東州こと半田晴久は、宗教を根幹に据えた超優良ビジネスを展開している。

甘利明経済再生担当大臣が1月28日 に開いた記者会見について「弁護士ドットコム」は次のように書いている。
「質問したのは、朝日新聞、読売新聞(2人)、日経新聞テレビ朝日、フジテレビ(2人)、そして、デモクラTVの8人の記者。その中で異彩を放っていたのは、ネットメディア「デモクラTV」の代表をつとめるジャーナリストで、元朝日新聞編集委員の山田厚史さんだ。
多くの記者が秘書の行動や大臣を辞めた理由などについてたずねるなかで、山田さんは、甘利氏自身の「現金授受」に絞り込んで、何度もしつこく質問を繰り返した」
「弁護士ドットコム」に山田は次のように語っている。
「こういう記者会見に出て、質問を浴びせるのがジャーナリストだと思う。新聞記者がこんなことをやっていたら、本当に情けない。今回の記者会見で、権力を監視するジャーナリズムの力が落ちているなと感じた」
https://www.bengo4.com/internet/n_4223/
新聞は「狎れ合いジャーナリズム」に堕落しつつある。

◎Association of American Publishers によれば2015年1〜9月期 の電子書籍 の売上高は前年同期比11% 減。アメリカではペーパーバック が好調だ。価格が電子書籍並みになったことによる。
http://the-digital-reader.com/2016/01/27/aap-reports-publisher-ebook-revenues-down-2/

毎日新聞の1月29日付社説「出版市場の縮小 本の多様性を守りたい」は、こう結ばれている。
「消費税率が10%に引き上げられる来年4月に書籍類も軽減税率の対象にしなければ、出版界はさらに先細るかもしれない。本にふれる機会を増やし、活字の世界を守りたい 」
http://mainichi.jp/articles/20160129/ddm/005/070/085000c

オリコンは、週刊エンターテインメント誌「オリ★スタ」を3月25日発売号(4月4日号)で休刊する ことにしたそうだ。ウエブサイトに情報を一本化する。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1601/28/news108.html

◎米アマゾンの 2015年10〜12月期決算 は過去最高 益といえどもアナリストの予想を大幅に下回った結果、株価は時間外取引で13%超下落 とロイターは伝えている。「アマゾンが受け取る1ドルのうち、同社の利益となるのはたったの0.75セントだ」 というアナリストの証言がすべてだろう。
http://jp.reuters.com/article/amazon-com-results-idJPKCN0V62ZQ?sp=true
アマゾンは超薄利超多売企業なのである。

紀伊國屋書店弘前店 は梅田店や札幌店 につづき「ホビージャパンビーフェア」 を開催した。
http://hirosaki.keizai.biz/headline/475/

小保方晴子の手記「あの日」(講談社)は発売と同時に新聞やテレビでも取り上げられたこともあって、初速は好調のようだ。アマゾンの「本の売れ筋ランキング」で1位 も獲得した。私が首を傾げるのは、なぜ「週刊現代」と連動させなかったのかである。
http://www.sankei.com/west/news/160129/wst1601290038-n1.html
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/499782/

幻冬舎は、会田誠沖田×華開沼博國分功一郎清水ミチコ辛酸なめ子、中村淳彦、橋本治、藤沢数希ら総勢28名の著者による電子オリジナル書籍「時代の動かし方 日本を読みなおす28の論点」を1月29日に リリースした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000163.000007254.html

Google Play ストアの電子書籍コーナーに「マンガストア」 がオープンした。
http://getnews.jp/archives/1370168

講談社女性誌「with」3月号 にDAIGOと北川景子 がW登場 !
http://news.dwango.jp/2016/01/28/74479/news/

日経広告研究所は16年度の国内企業の広告費を前年度比2.0%増と予測 。テレビ1.6%増、新聞3.8%減、雑誌3.3%減、ラジオ0.1%減、交通0.8%増、折込・ダイレクトメール0.8%減、インターネット13.8%増と媒体別では予測している。
http://www.nikkei-koken.gr.jp/research/research.php?research=0&recno=682
新聞や雑誌はデジタルシフトしない限り、広告費を減らすばかりである。

◎絵本の情報・通販サイトを運営する絵本ナビは、日販が2015年より始めた「いくつのえほん」企画に 協力しているという。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000003893.html

Sound Horizonのコミカライズ・ノベライズ情報を扱う総合サイトを、KADOKAWAが オープンした。これが、そう。
http://www.kadokawa.co.jp/sp/soundhorizon/
Sound Horizonは、サウンドクリエイター「Revo」(作詞/作編曲)が主宰するアーティスト集団 である。
http://www.soundhorizon.com/history/

KADOKAWA から刊行されている雪乃 紗衣の「彩雲国物語」シリーズは、架空の国・彩雲国を舞台とした中華風ファンタジー であり、シリーズ全22巻 で累計650万部 を売っている。「彩雲国物語」では描ききれなかった、知られざる禁断のエピソード による連作集「彩雲国秘抄 骸骨を乞う 」は角川文庫版と角川ビーンズ文庫版が刊行される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002082.000007006.html

文藝春秋は、電子書籍オリジナルとして「プロローグ」刊行を記念して円城塔大森望でなされた対談「文学とSFの狭間で」をリリースした。200円。
https://www.atpress.ne.jp/news/89037

大日本印刷は、企業に対する標的型サイバー攻撃への対策要員を訓練、養成するアカデミーの運営会社「株式会社サイバーナレッジアカデミー」を3月に設立 する。
http://www.dnp.co.jp/news/10119123_2482.html

◎これはオレ買っちゃうよ。「大川隆法幸福の科学総裁がこのほど、『大人の遊びとして、多少のお相手をする』という趣旨で、見城氏の守護霊を呼んだ。この内容をまとめた書籍『幻冬舎社長 見城徹 天才の嗅覚』 」を刊行した!
https://the-liberty.com/article.php?item_id=10850

書泉グランデ小学館星野之宣 Artworks」発売記念ブックフェア「星野之宣の世界」 を1月29日(金)〜2月28日(日) まで開催する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000126187/

大藪春彦賞は、須賀しのぶの「革命前夜」(文藝春秋)に決定した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000016935.html
須賀は次のように喜びをツイートしている。
「本日の選考会にて、第18回大藪春彦賞に拙著『革命前夜』(文藝春秋)が選出されました。みなさま本当に本当にありがとうございます!! 今日は夢のような時間を過ごしまして、帰宅してなおたくさんのお祝いのお言葉を拝見して、喜びのあまりちょっとヤバイ所に飛んでいきそうです 」
https://twitter.com/sugashinobu/status/692722951905390593

◎「サンリオ男子」をご存じだろうか。まあ、これをご覧ください。
https://twitter.com/Sdan_sanrio?lang=ja
サンリオ男子」とはサンリオのキャラクターが好きな男子高校生5人組 であり、2015年11月よりツイッターで活動が 開始された。現在のフォロワー数は104,424(1月31日20時現在) 。この「サンリオ男子」を主人公にしたマンガが小学館のアプリ「Manga ONE」と少女マンガ誌「Sho-Comi」という2媒体で 連載されることになった。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1454045972

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3)【深夜の誌人語録】

腰は低くしても、腰を引くな!