【文徒】2016年(平成28)10月7日(第4巻188号・通巻875号)

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1)【記事】動画シフトを真剣に考えよう!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】動画シフトを真剣に考えよう!

アメリカではモバイルライブストリーミングがトレンドだ。日本でも「LINE LIVE」が注目を集めている。「DIGIDAY」は「LINE LIVE」を担当するLINE執行役員・エンタテイメント事業部の佐々木大輔を取材し、「LINE LIVEが切り開く『動画コミュニケーション』」を掲載している。
LINE LIVEは当初有名人に限定していた配信者を今年8月に利用者にも開放。誰でもライブ動画を配信できるようになった。これによりLINE LIVEのライブ動画数は増え、視聴者は少数のものに偏らず、さまざまなコンテンツに散っているようだ。公式チャンネルと一般配信で再生数に差はつきにくく、人と人のあいだで動画がコミュニケーションツールとして機能しはじめていることが分かる。
『さまざまなコンテンツとの出会い方がある。例えばテレビでは、つけっぱなしでなんとなく番組と出会う。YouTubeなどでは目的の動画を検索して出会う。FacebookInstagramでは、共通の趣味の友達を通じて動画と出会う。でもLINE LIVEでは、アプリからプッシュ通知されたものをリアルタイムで見る。このため、配信者とともに体験・コミュニケーションするコンテンツを求めるようになる』」
http://digiday.jp/platforms/line-live-sasaki-anybody-can-stream-video/
動画に臆病な雑誌のデジタルシフトは論外である。
クーリエ・ジャポン」の「圧倒的熱気! 世界最大のデジタル・ジャーナリズム会議『ONA』 日本のジャーナリストが見たテック+メディアの最前線」で「ニューヨーク・タイムズ」のライブ動画の事例が紹介されているのだが、これがとても興味深い。
同紙の記者がマンハッタンの歩道で、ゴミ袋に無造作に入れられたスライドが山積みになっているのを発見し、これを透かしてみると、数十年前に撮影されたとみられる女性、子供、飛行機などの美しい写真である。
ちなみにニューヨークでは私的なものを公共のゴミ箱に捨てることが禁じられている。誰が、なぜこのスライドを捨てたのか?
記者はこの光景の謎を知りたくなり、即座に編集長とかけあい、ライブ動画という形で配信を決める。
「証拠を集め、写真に写る関係者を見つけ出す過程をニューヨーク・タイムズは数回にわたってライブ配信した。記者が歩く道を視聴者も一緒に歩き、人に話を聞いていく。
視聴者は記者とともに、スライドの裏に隠された秘密を探す旅に出ている感覚を共有し、ストーリーに強く引きつけられる。視聴者が共感したり疑問に思ったことを、記者がコメントから抜粋してインタビューの相手に聞くこともできるのだ。
初回のライブ動画は6300人以上が視聴し、その後このプロジェクトは大きな反響を呼んだ。ニューヨーク・タイムズの社内には早くもフェイスブック・ライブの専門チームが編成された。どのストーリーをどのように伝えるのか? 一方向的な記事や動画配信ではなく、視聴者との対話をいかす形で新聞社が新たなツールを積極的に使っている点はとても面白い」
http://courrier.jp/news/archives/64166/
クーリエ・ジャポン」もやってみれば良いだろう。時代の最前線を伝えるだけではなく、自らもそこに身を置いてみることも大切なのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎9月30日(金)で創刊4周年を迎えた主婦の友社ライトノベルヒーロー文庫」だが、現在「ナイツ&マジック」のアニメ化が決定し、「異世界食堂」もアニメ企画が進行しているという。主婦の友社はメディアミックス戦略を加速させるようだ。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/10249/

主婦の友社は、「S Cawaii!」ムックシリーズから「365日パリピBOOK―その遊び方、 古くない?」を発売した。ンッ!パリピパリピとはPARTY PEOPLEのことなんだって。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/10238/

◎ボルテージは、恋愛ドラマアプリ「あの夜からキミに恋してた」の配信を開始した。大手広告代理店を舞台に、一夜の過ちから始まる、リアルなオトナの恋を描いているそうだ。
http://www.4gamer.net/games/358/G035878/20161004076/

◎「キンドル・アンリミテッドの衝撃 読み放題サービスの出現で、出版社・企業・個人の稼ぎ方はこう変わる!」なる本が講談社から刊行されている。「キンドル・アンリミテッド」から総ての作品が削除され、アマゾンに抗議した講談社からすれば、まさに「キンドル・アンリミテッドの衝撃」なのだが、こちらはアマゾンのヨイショ本である。間が悪いというか、何というか。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062203128
アマゾンを襲ったのは、私たちも指摘しているようにマンガや写真集の衝撃だ。日経産業新聞の指摘通りである。
「アマゾンの誤算は日本市場におけるコミックの存在だ。米国など日本以外の国でのキンドル・アンリミテッドでは、読まれる書籍は小説などが中心で1冊を読み終えるのに数時間〜数日かかる」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07991200U6A001C1X11000/
日本は電子コミックの存在によって世界に類例を見ない電子書籍大国になりつつあるのだ。

◎MKカンパニーは、女性ファッション誌「GLITTER」を擁するトランスメディアとの共同制作により、20代女性をコアターゲットにした情報発信型ファッション誌「SHE THREE」を創刊した。11月号、2月号、4月号の年3回刊行を予定しているそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000020429.html

講談社のマンガアプリ「マガジンポケット」は、10月5日(水)からファンタジーバトル漫画「GetBackers-奪還屋-」(原作/青樹佑夜 漫画/綾峰欄人)の「全話読破キャンペーン」を開催している。全39巻344話のうち、10月5日に1〜5話を無料配信、6日には6〜10話、7日に11〜15話……と毎日無料公開されていく。6話以降のエピソードは3日間無料公開、無料公開以外の全話を通常の半額ポイントで購読できる。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001121.000001719.html

大隅良典東京工業大学栄誉教授がノーベル医学・生理学賞を受賞して、マスメディアのバカ騒ぎが始まったが、読売新聞のニュースサイト「YOMIURI ONLINE」や日本テレビ系の動画ニュースサイト「日テレNEWS24」、「スポニチAnnex」、フジテレビ系の「fnn-news.com」は「大隈」と書き間違えて配信してしまったという。
http://www.j-cast.com/2016/10/04279757.html

◎ファッションメディアアプリ「TOPLOG」がウエブ版の提供を開始した。
http://shopping-tribe.com/news/33512/

高崎俊夫が「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」を紹介している。
「巻頭、パーキンズが、持ち込まれた膨大なトマス・ウルフの原稿を帰りの列車で読み始め、家族の賑わいと喧騒の中、クローゼットにこもって読み続け、翌朝、出社途中の車内で読み終えるや、深い充足感に笑みを浮かべるまでの簡潔きわまりない描写が見事だ」
http://eiga.com/movie/83689/critic/

◎トラベル誌「TRANSIT」とJALカードがコラボ。
http://www.transit.ne.jp/contents/info/2016/10/jal-card-transit.php

◎女性ファッション誌「VOGUE JAPAN」と三越伊勢丹ホールディングスはデジタルマガジン「PEEK-A-NOREN WITH VOGUE JAPAN」を10月5日に運営を本格的に開始した。
http://peeka.norennoren.jp/
http://shopping-tribe.com/news/33493/

◎米「フォーブス」が発表した2016年版の長者番付で、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスが2位になった。昨年は4位だった。
http://www.asahi.com/articles/ASJB534Q3JB5UHBI00D.html

◎学研教育アイ・シー・ティーは、小中学生対象のオンライン学習サービスに幼児向け知育教材、電子図書館、教科書対応の教科学習ドリルの新規3サービスを追加、対象を幼児から中学3年生までに広げ、10月5日(水)に「学研ゼミ」をグランドオープンした。
http://gakken-ict.co.jp/news/201610/20161005.html

柴田錬三郎賞井上荒野の「赤へ」(祥伝社)に決定した。
http://www.hochi.co.jp/topics/20161005-OHT1T50202.html

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3)【深夜の誌人語録】

夢と夢物語は違う。夢は未来を切り拓き、夢物語は未来を停滞させる。