【文徒】2017年(平成29)年1月20日(第5巻11号・通巻940号)

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1)【記事】 アパホテル「炎上」について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2017.1.20 Shuppanjin

1)【記事】 アパホテル「炎上」について

アパホテルの客室に同社グループ代表の元谷外志雄が「藤誠志」のペンネームで著した「本当の日本の歴史 理論近現代史」が置かれていることについて、同社は「客室設置の書籍について」を発表した。
「本書籍の中の近現代史にかかわる部分については、いわゆる定説と言われるものに囚われず、著者が数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した見解に基づいて書かれたものです。国によって歴史認識歴史教育が異なることは認識していますが、本書籍は特定の国や国民を批判することを目的としたものではなく、あくまで事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたものです。したがって、異なる立場の方から批判されたことを以って、本書籍を客室から撤去することは考えておりません。日本には言論の自由が保証されており、一方的な圧力によって主張を撤回するようなことは許されてはならないと考えます」
https://www.apa.co.jp/newsrelease/8325
「『南京事件』を調査せよ」(文藝春秋)の清水潔が次のようにツイートしていた。「この番組」というのはニュース女子」。
「この番組やアパホテル騒動などを見ていると、討ち死に覚悟で次々に斬り込んで行く旧日本軍の姿と重なる」
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/821584521145368576
アパホテル南京虐殺を否定している「本当の日本の歴史 理論近現代史」が置かれていることが1月15日に中国のSNS「微博」に投稿されたようだが、この動画は「ハフィントンポスト日本版」によれば「17日午後6時現在、再生回数が7800万を超え、64万人が転載し、33万の『いいね!』が付いている」という。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/17/apa-and-nanking-massacre_n_14216356.html
産経新聞は「歴史戦」で次のように書いている。
「同グループには18日までに、1万件を超える意見が寄せられたという。その多くが『御社の判断を支持します』といった称賛や激励で、『批判的な内容はほとんどなかった』と説明している。また、『今回の件に関連して、中国人客の予約のキャンセルはほとんどない』と影響を否定した」
http://www.sankei.com/life/news/170118/lif1701180043-n1.html
ニューヨークタイムスやウォールストリートジャーナルも報じている。ニューヨークタイムスは元谷外志雄を安倍首相の支持者であると紹介している。
http://www.nytimes.com/aponline/2017/01/18/world/asia/ap-as-japan-china-rape-of-nanking.html?_r=0
http://www.wsj.com/articles/japanese-hotel-chain-draws-rebuke-from-china-1484740652
南京大虐殺」についての政府の公式見解は次の通り。
「日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています。
先の大戦における行いに対する、痛切な反省と共に、心からのお詫びの気持ちは、戦後の歴代内閣が、一貫して持ち続けてきたものです。そうした気持ちが、戦後50年に当たり、村山談話で表明され、さらに、戦後60年を機に出された小泉談話においても、そのお詫びの気持ちは、引き継がれてきました。
こうした歴代内閣が表明した気持ちを、揺るぎないものとして、引き継いでいきます。そのことを、2015年8月14日の内閣総理大臣談話の中で明確にしました」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/
百田尚樹のツイート。
アパホテル、偉い!!」
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/821325997207261186

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2)【本日の一行情報】

◎キャリアカレッジジャパンの「ペン字講座」(青山浩之監修)の企画・編集には日経BP社の「日経ウーマン」がかかわっている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000005035.html

◎「漱石と『資本論』」(祥伝社新書)は買おう。著者は三伯父に向坂逸郎を持つ山崎耕一郎と三菱商事出身の小島英俊。二人とも東大卒業の60年安保世代だ。
http://amzn.to/2k7eWPq
小島英俊の名前は東郷和彦を担ぎ出した「合理的非戦論」(イースト新書)で知った。

国立劇場PPAPが話題になっている!ピコ太郎の向こうを張っての熱演だ。
https://www.youtube.com/watch?v=Idw8PHP4yCw
https://www.facebook.com/toshasuiho/posts/1293193140741181

遠藤周作の「沈黙」が映画化効果もあって4万部の重版が決定した結果、63刷・累計200万3000部を達成した。原作よりも映画のほうが圧倒的に良いという評価もある。
http://www.shinchosha.co.jp/news/article/339/

又吉直樹芥川賞受賞作「火花」を原作とした同名のドラマがNHKで放映されるが、これはネットフリックスが昨年インターネット配信した作品である。「ネット向けに独自に制作し先行配信した作品をテレビで放映するのは異例」(日経)とのことである。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17I2S_X10C17A1TJC000/
文庫化もされる。2月10日の発売で、初版25万部。単行本の26刷253万部とあわせると累計278万部になる。当面の目標は累計300万部なのだろう。

◎「ギズモード」や「ライフハッカー」「DIGIDAY」の日本版を手がけるメディアジーンが「BUSINESS INSIDER JAPAN」を1月16日にローンチした。
https://www.businessinsider.jp/
発行人をつとめる小林弘人は次のように語っている。
「たとえば、アメリカのBUSINESS INSIDERでは、マネタイズ施策のひとつとして『BI Intelligence』という業界分析とデータ提供を購読契約者向けに行なっています。
記事をつくるうえで集めてきた情報を、特定の企業のためにレポートするという従前からある方法ですが、やがて、そのレポーティングも、単なる調査結果をまとめて紙で渡したり、ウェブで読めたりするようなものだけでなく、アナリストがソースを伴い直接行って話すなど、限りなくコンサルティング領域に近づくでしょうね。
今後はそういった体験の価値がメディアよりも高まると思っていますし、ぼくも今年はほかにも『体験』に軸をおいたプロジェクトを仕掛けていきますので、注目してください」
http://wired.jp/2017/01/18/business-insider-launch/

◎光文社の「storyweb」はイタリアのストールメーカー「Ottotredici」とスタイリスト川田亜貴子がコラボしたコラボした25,920円(税込)のストールを先行販売した。川田「師匠」直伝のストールの巻き方講座として全6パターンの動画を公開している。「STORY」2月号でも取り上げている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000021468.html
http://storyweb.jp/articles/-/2875?utm_source=pr_170118_1&utm_medium=pr_170118_1&utm_campaign=pr_170118_1

◎東京地方裁判所が菅野完「日本会議の研究」の出版禁止の仮処分の決定を出したことを受けて版元の扶桑社は1月18日、異議を申し立てた。
「平成29年1月6日、東京地方裁判所において、『日本会議の研究』(菅野完著)の一部の記述を削除等しない限り販売を差し止める旨の仮処分決定がなされましたが、同決定には表現・出版の自由に関する重大な問題等があるので、弊社はこれを不服として、本日、同裁判所に対して異議の申立を行いましたので、ご報告申し上げます」
http://www.fusosha.co.jp/news/info/info_article/227
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170118/k10010844431000.html

◎「2017年本屋大賞」の候補作が次の通り決まった。
西加奈子「i」(ポプラ社)、原田マハ「暗幕のゲルニカ」(新潮社)、村山早紀「桜風堂ものがたり」(PHP研究所)、川口俊和コーヒーが冷めないうちに」(サンマーク出版)、村田沙耶香コンビニ人間」(文藝春秋)、小川糸「ツバキ文具店」(幻冬舎)、塩田武士「罪の声」(講談社)、森絵都みかづき」(集英社)、恩田陸蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)、森見登美彦「夜行」(小学館)。
http://mainichi.jp/articles/20170118/k00/00e/040/258000c
「桜風堂ものがたり」(PHP研究所)が大賞になるんじゃないの。現時点で他の候補作に比べて売れてないし、書店員が主人公だし、涙を誘う展開だし、本屋大賞をきっかけにベストセラーとなる可能性が高い作品だ。
http://www.php.co.jp/news/2017/01/oufudo20170118.php

◎アマゾンジャパンは18日、スタートアップ企業の製品を扱う専門サイト「Amazon Launchpad」を立ち上げた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18HIH_Y7A110C1000000/
楽天には、こういう発想はなかった…ということなのだろうか。

◎アマゾンはチケット事業をイギリスで既に開始しているのか!
http://blogos.com/article/206218/

主婦の友社は1月18日(水)にシリーズ累計550万部以上のライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」の兄弟レーベルとなる、「プライムノベルス」を創刊した。「プライムノベルス」の判型はB6で、大人が楽しめるライトノベルレーベル。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/10749/

電通は「労務問題に関する社内処分等について」を発表した。
「株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:石井 直)は、2016年12月28日、法人としての当社および当社社員が東京労働局から労働基準法違反の容疑で書類送検されました事実を大変厳粛に受け止めております。
既に、社長執行役員の石井直が、労務問題をはじめとする一連の課題を根本的な解決に導くことができなかった全ての責任を取り、本年1月に開催する取締役会をもって、社長執行役員を辞任する旨を表明しております。
加えて、当時高橋まつりさんが所属していた部署の関係社員3名に対し、社内規則に則り、厳正な処分を行うとともに、関係役員の処分を以下のとおり行いました。
・副社長執行役員1名:月額報酬20%の減額を3カ月
・常務執行役員1名 :月額報酬20%の減額を3カ月
執行役員3名   :月額報酬20%の減額を3カ月
また、当社では昨年10月から12月の間、社長をはじめとする執行役員10名が、役員報酬の一部を自主的に返上しておりました。新たに、執行役員4名(2016年12月時点の役位)から役員報酬を自主返上する旨の申し入れがありましたので、お知らせいたします。
執行役員4名  :月額報酬10%の3カ月分を返上
なお、当社の労務問題に対する当局調査は現在も継続しております。労務問題全般に関する執行役員および社員を対象にした責任の明確化・社内処分などについては、進行中の当局調査が終了した時点で、調査結果に基づき、厳正に行う予定です」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017006-0118.pdf

電通の次期社長が決まった。現常務執行役員山本敏博が社長に就任する。中本蘒一副社長、郄田佳夫専務も代表権を持つ。山本新社長は次のようなコメントを発表した。
「最優先の経営課題は、労働環境の改革であると認識しています。強い決意のもと、社員と共に改善施策を着実に遂行してまいります。
また、経営の健全性や透明性の確保を図るガバナンス体制を強化すると同時に、当社の企業価値の源泉を見つめ直して、新しい電通の創造に向けて、全社を挙げて取り組んでまいります」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017007-0119.pdf

◎米Deadlineが報じた「進撃の巨人」ハリウッド映画化をめぐって、「シネマトゥディ」は次のように書いている。
「この報道について、問い合わせに応じた担当者は『映画化について交渉を進めている作品はさまざまあります。契約交渉中のものについてはコメントできません』としつつ、『Deadlineの報道は誤っています』と答えた」
http://www.cinematoday.jp/page/N0089009

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3)【深夜の誌人語録】

情熱と努力を両輪にして未来を切り拓け!