【文徒】2017年(平成29)年3月6日(第5巻42号・通巻971号)

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1)【記事】メディアドゥ藤田恭嗣の「郷土愛」について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】メディアドゥ藤田恭嗣の「郷土愛」について

メディアドゥの藤田恭嗣 代表取締役徳島県の出身であることは、よく知られている。徳島新聞の伝えるところによれば藤田社長の出身は那賀町木頭西宇 であり、藤田社長は住民票を東京から同町に移すほど郷土愛が強い。メディアドゥには木頭事業所 がある。
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2016/11/2016_14803966557314.html
今年、6月には徳島のテック情報と、そのグループ会社である徳島データサービスとともに、電子書籍流通領域に関するシステム開発や業務アウトソーシングを目的とした合弁会社として メディアドゥテック徳島 を発足させる。
http://www.mediado.jp/corporate/1383/
藤田社長の郷土に対する思い入れは、父親の死と深い関係がある。那賀町は旧木頭村 だが、藤田の父親・藤田堅太郎 はこの村の助役をつとめていた。その頃、木頭村は細川内ダム 問題で揺れていた。ダム反対 派の村長とともに藤田堅太郎助役はダムに頼らない地域づくりに取り組んでいた が、国や県は ダム建設の方針を変えなかった。村はダム反対派と賛成派に割れ、助役は賛成派からの攻撃の矢面に立たされ 、その心労から61歳にして自宅の納屋で首を吊り自らの命を絶ってしまうのだ。1996年9月のことだった。藤田恭嗣はその年の4月にメディアドゥの前身にあたるフジテクノを名古屋市中村区に設立している。藤田堅太郎の遺書は「恭嗣、がんばれ」 と結ばれていた。国がダム建設の中止を決めたのは2000年のことであった。
藤田堅太郎は助役になる以前からダムに頼らない地域づくりを志向して、その一環としてゆず栽培の研究に取り組んでいた。その結果、ゆずは木頭の特産品として定着する。この父親の遺志をメディアドゥで成功を収めた藤田恭嗣社長も継ぐことになる。「木頭ゆず」をぽん酢やジャムなどに加工して販売する 黄金の村を創立し、藤田自らが代表取締役に収まる。
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO012651/20150103-OYTAT50000.html
https://www.topics.or.jp/award/archives/503
http://ogonnomura.jp/about/
藤田は西麻布にイタリアンレストラン「リッカドンナ」を2015年7月7日にオープンさせたが、このレストランは木頭ゆずを使った料理や飲み物を提供し、 黄金の村が製造した化粧品や調味料を展示・販売している。
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2015/07/2015_14362467538407.html
http://www.nukuizenka.com/index.html
NNNドキュメント「託された夢〜ダムと柚子と父の遺言〜」は昨年5月23日 に日本テレビで放映された。
http://bit.ly/2mrhrwx
https://www.youtube.com/watch?v=jzAw5dbPOMs&t=16s

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2)【本日の一行情報】

サントリー「角ハイボール」のCMソング 「ウイスキーが、お好きでしょ」を EXILEのATSUSHI が歌っている。「ウイスキーが、お好きでしょ」はCM史に残る名曲だ。
http://mantan-web.jp/2017/03/02/20170301dog00m200053000c.html

◎「ニコニコ動画」 の時代は終わった。スマホによって時代から弾かれたというべきか。「出版大手のKADOKAWAとネットメディアのドワンゴによる「異色の統合」から2年半。市場からは統合効果を疑問視する声も出ている 」(日経)のも当然だろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO13552630R00C17A3000000/

トーハンの「ほんをうえるプロジェクト」は、本と人をつなげる読書コミュニティ「#好きな本を語ろう」を2月21日より開始している。
http://www.tohan.jp/news/20170302_930.html
https://twitter.com/honwokatarou

トーハンの「ほんをうえるプロジェクト」は、祥伝社と協力し、4コマ漫画「Aさんの場合。」(やまもとりえ )の重版記念イベントをtwitter上にて2月10日より実施している。
http://www.tohan.jp/news/20170303_931.html
http://www.shodensha.co.jp/asannobaai/
トーハンニュースリリースって遅くない? 2月の出来事を3月上旬に紹介しているんだもの。

◎ペンギン・ランダムハウスは、オバマ米大統領夫妻の回顧録出版を6千万ドル(約68億円)以上で契約した。歴代米大統領の中でも最高額の契約金だそうである。
http://www.sankei.com/world/news/170302/wor1703020012-n1.html

◎米国出版社協会(AAP) によれば、2016年1月から9月までの期間の大人向けの電子書籍の売上は2015年の同期間と比べ、16.9%減少したという。「フォーブスジャパン」は次のように書いている。
「ニールセンのグローバルマネージャーのJonathan Stolperは1月のDigital Book Worldカンファレンスで、電子書籍の売上低下の原因の一つに価格の上昇を挙げている。2015年に大手出版社らが一冊あたり平均3ドル価格を値上げし、大手の電子書籍の単価は約8ドルまで上昇している。
もう一つの原因をStolperは、キンドル等の電子書籍専用リーダーの利用率の低下だとしている。電子書籍を最も盛んに購入するのは専用リーダーを用いる消費者だが、電子書籍を専用リーダーで読む消費者の比率は2011年に70%以上だったのに対し、2016年には24%まで低下している」
http://forbesjapan.com/articles/detail/15410

文藝春秋電子書籍オリジナルレーベル「文春e-Books」より、「『トイレ探検隊』がゆく!」(坂上遼)を発売した。「週刊文春」で約2年間連載した同名コラムをまとめたものだ。
https://www.atpress.ne.jp/news/123375

小学館の少女マンガ誌「ちゃお」4月号 の付録はテレビアニメ化される「プリプリちぃちゃん!!」のキャラクターをデザインした卓上掃除機 だ。それでいて定価は580円(税込) というのだから驚かされる。これ、大人だって欲しいよな。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1703/03/news085.html

◎「広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?」(毎日新聞出版)を上梓した前田将多が電通関西支社に昔から出入り している「まや書店 」について自らのブログで書いている。
「驚くほどいい加減なシステムで、注文した本をおじいちゃんがデスクに置いてくれて、僕が打合せや出先から席に戻ると、本と請求書がある。
で、どうやって支払うかというと、『次に偶然会った時に払う』のだ。だから、全然出会わなくて、ツケをため込んでる人もいる」
このおじいちゃんが亡くなった後も息子さんが同じ商売を引き継いでいるそうだ。前田は電通を退職する際に何と5000円の図書カードをプレゼントされたそうだ。物凄くステキな書店だ。
http://monthly-shota.hatenablog.com/entry/2017/02/28/214108
前田はツイッターでこんなことも呟いている。
電通マンは早よ帰って本でも読めよ。『電通の人は優秀な人が入ってきても、いればいるほど馬鹿になる』と(社内の格言?として)言われています。仕事熱心な人ほど本すら読むヒマがないからです。熱心でない人は本ばかり読んで前田将多や田中泰延みたいになっちまいます。どっちもどないしたらええねん 」
https://twitter.com/monthly_shota/status/837663573996261378

◎カメラマンの中村昇は集英社の社員カメラマンとして活躍し、退職後フリーになった。「週刊ポスト」が中村を取り上げている。
http://www.news-postseven.com/archives/20170303_497024.html?google_editors_picks=true

オンライン書店Fujisan.co.jp が主催する「第3回カバーガール大賞 」は高畑充希 に決定した。ファッション部門の1位は石原さとみ。AKBは峠を過ぎたね。
http://magazinesummit.jp/covergirl/
http://www.yomiuri.co.jp/topics/ichiran/20170303-OYT8T50025.html

◎これは長いタイトルだ。「(この世界はもう俺が救って富と権力を手に入れたし、女騎士や女魔王と城で楽しく暮らしてるから、俺以外の勇者は)もう異世界に来ないでください。」(KADOKAWA)だって!著者は伊藤ヒロ
http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1525

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が柏市に開業した複合商業施設「柏の葉T―SITE」 は約3万冊を揃えた国内最大の児童書売り場を擁している。
https://ryutsuu.biz/report/j0030105.html

小学館の運営する「News MagVi 」(ニュース マグビ)は 「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」に掲載された 記事のエッセンスを20〜30秒の動画ニュースとして、女性キャスターが記事の要点を読み上げ、紹介するというもの。スマホ最適化された動画はfacebooktwitterなどのSNSYouTube上で週3〜4回配信予定 だという。 一日3回とは言わないが、デイリー程度のペースで配信できないものか。動画でなければならない必然性がまだ弱いということも指摘しておこう。
https://www.facebook.com/newsmagvi/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000013640.html

JTBパブリッシング主婦の友社、ぴあの三社は、2017年に大政奉還150年、2018年には明治維新150年に合わせて、高知県が2017年3月4日(土)から開催する「志国高知 幕末維新博」について、主に首都圏エリアを対象に各社のメディアを組み合わせたプロモーション事業を展開する。
JTBパブリッシングの「ノジュール」4月号では、2017年3月4日(土)オープンの「高知県高知城歴史博物館」など最新情報を掲載する。主婦の友社はアラフォーからの自分らしく生きる自立した女性のためのwebメディア「OTONA SALONE」(オトナサローネ)において、女性目線で楽しめる「高知×幕末・維新」を特集、ぴあが発行する旬な男子の”今”をお届けするビジュアル誌「SODA」5月号では、高知県観光特使でもある、俳優・和田正人のインタビュー記事を掲載 する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000698.000002372.html

◎インスタグラムで約17万人フォロワーを擁する「おさよさん(@osayosan34)」の投稿をまとめた「おさよさんの無理なくつづく家事ぐせ」(主婦の友社)が売れている。
http://ddnavi.com/news/357144/a/
創刊100周年記念として刊行される「ニッポンの主婦 100年の食卓」は買おうと思っている。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/11016/
ちなみに斎藤美奈子の「戦下のレシピ  太平洋戦争下の食を知る」(岩波書店)は読んでおきたい。
https://www.iwanami.co.jp/book/b268913.html

◎生放送で芸能人とリアルタイムコミュニケーションがとれるネットサービス「マシェバラ」は光文社の写真週刊誌「FLASH」とのコラボ企画「FLASH presents写真集争奪オーディション 第5弾」のAブロック参加者14名を発表。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000020395.html

◎「第59回 日本雑誌広告賞展」と「第55回 JAA広告賞 消費者が選んだコンクール展」が3月3〜25日、汐留のアド・ミュージアム東京で開催されている。
http://dentsu-ho.com/articles/4955

◎ぴあの矢内廣社長が「第12回渡辺晋賞」を受賞した。スポーツニッポンによれば「矢内氏は情報誌『ぴあ』の創刊などが評価され『私の人生で最高の勲章』と感激」したそうだ。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/03/03/kiji/20170302s00041000400000c.html

◎日販は、店頭販促企画「祭」の一環として、秋田書店KADOKAWA集英社小学館スクウェア・エニックス日本文芸社白泉社双葉社 という出版社8社の協力のもと、「コミック読みまくろう祭」を、3月3日(金)より首都圏の大型書店を中心に全国207書店で実施する。講談社は加わっていない。
http://www.nippan.co.jp/news/matsuri_comic/

◎コンピュータ関連の書籍を発行するインプレスSBクリエイティブ技術評論社翔泳社マイナビ出版 という出版社5社が加盟する「コンピュータ出版販売研究機構」(CPU)による「CPU大賞「書籍部門」」が発表された。「書店員さんが選んだ第1位 」は「ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング 」(翔泳社)に決定した。
http://www.shoeisha.co.jp/press/detail/339

◎ハースト・デジタル・ジャパンの「エル・デコ」は、エディターとデジタルエディター を募集している。年収は350万円〜600万円程度。
http://www.hearst.co.jp/aboutus/careers/(type)/mid?_ga=1.181992418.419272589.1482455363#job_5520

世界文化社から発売された「あいうえ築地の河岸ことば」の福地享子 は婦人画報社出身である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000260.000009728.html
http://www.asahi.com/special/tsukiji/word/#grp-A

◎米国務省は、各国の人権状況をまとめた2016年版報告書を公表したが、「日本については、メディアへの政府の圧力強化に懸念が生じていると指摘。また、大手広告代理店電通の女性社員過労自殺で関心が高まった過労死問題の現状について、「karoshi」という日本語の言葉を用いて報告」(時事通信)している。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030400289&g=pol

◎人気バンド「SEKAI NO OWARI」のメンバーSaoriこと藤崎彩織のエッセイが、「文學界」(文藝春秋)4月号に掲載される。タイトルは「村上春樹ウイスキー 」。藤崎は本についてのエッセイ を連載するそうだ。純文学を扱う文芸誌も話題作りに必死である。
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/48284/2

吉川英治文学賞藤田宜永の「大雪物語」(講談社)、吉川英治文学新人賞は 本城雅人の「ミッドナイト・ジャーナル」(講談社)と宮内悠介の「彼女がエスパーだったころ」(講談社)と講談社が独占した。吉川英治文庫賞は今野敏の「隠蔽捜査」シリーズ、これは新潮社だ。
http://www.sankei.com/life/news/170303/lif1703030038-n1.html

講談社は、原寸大サイズでセクシーアイドルのすみずみまでを閲覧できる、iPhoneiPadアプリ「原寸大ガールズ」第1弾をリリースした。これだって立派な雑誌文化のデジタルシフトだ。
https://qetic.jp/art-culture/ebisumuscats-170302/237215/

◎グレンジは、スマホ向けRPGゲーム「ポコロンダンジョンズ」で、「週刊少年サンデー」(小学館)連載の「マギ」とコラボ企画を実施している。
http://gamebiz.jp/?p=179714

◎ 「真島ヒロ原画展」 が松屋銀座8階イベントスクエア で3月22日(水)から4月3日(月) まで開催される。真島は「RAVE」「FAIRY TAIL」で講談社のファンタジー漫画を支えて来た作家だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001255.000001719.html

伊藤潤二の漫画家生活30周年を記念し、朝日新聞出版は公式サイト「伊藤潤二の呪いの館」を開設し、3月17日までの期間限定で、「なめくじ少女」と新作「恐怖の重層」を無料公開している。
http://publications.asahi.com/junji_ito/#JunjiitoNav1
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000168.000004702.html

◎「田中清玄自伝」 の大須賀瑞夫 による「評伝田中清玄 昭和を陰で動かした男」が勉誠出版から刊行された。これは読まねばなるまい。
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100695
田中清玄は武装共産党の委員長をつとめ、獄中転向。出獄後、山本玄峰老師に学び、戦後はフィクサーとか右翼の大物と呼ばれることになる人物だ。60年安保においては全学連=共産同に資金提供していたことでも知られる。ちなみに共産同の島と田中を仲介したのは、後に中曽根康弘の平和研究所に属することになる小島弘である。「田中清玄自伝」は松岡正剛が「千夜千冊」で取り上げているが、これを読むだけで田中がいかに魅力的な人物かわかるだろう。
http://1000ya.isis.ne.jp/1112.html
あまり知られていないことかもしれないが、田中清玄は児童書で知られる「あかね書房」と深いかかわりを持っていた。

双葉社は「人外」ジャンル専門の新デジタルBL誌「comic marginal 」(コミックマージナル)を創刊した。
http://www.futabasha.co.jp/comic_marginal/
その昔「マージナル」(現代書館)という不定期刊の雑誌があったが、これとは全く縁はない。さすがに創刊号は品切れのようだ。執筆陣に「円井照容」とあるのは、オレのこと。
http://www.gendaishokan.co.jp/tC1303101.htm

朝日新聞記者の動向については、やはり産経が詳しい。
朝日新聞金沢総局の20代男性記者が運転免許証失効後も運転を続けていたとして、石川県警が道交法違反(無免許)の疑いで書類送検していたことが4日、捜査関係者への取材で分かった」
http://www.sankei.com/west/news/170304/wst1703040038-n1.html

Twitterフォロワー数40万人を超える現役男性保育士「てぃ先生」のツイートをもとにコミカライズした「月刊コミックフラッパー」(KADOKAWA)連載の「てぃ先生」がアニメ化されることになった。
http://news.mynavi.jp/news/2017/03/04/010/

◎スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」 に出席したLINE代表取締役社長の出澤剛によれば「ポストスマートフォン、ポストディスプレイ、ポストタッチはAIになる」 そうだ。
https://japan.cnet.com/article/35097551/

ローソンHMVエンタテイメントが開始した有料会員サービス「ローチケHMVプレミアム」は専用アプリを使用し、月額500円(税抜)で 提携する「タブホ」から180誌、600冊以上の趣味に関する雑誌を、「クランクイン!ビデオ」からは新作映画や話題のドラマを好きな時に楽しめる。
http://l-tike.com/lhp/premium/

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3)【深夜の誌人語録】

欠点から長所が生まれ、長所から欠点が生まれるものだ。