【文徒】2017年(平成29)年4月17日(第5巻71号・通巻1000)

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1)【記事】お陰様で創刊1000号を迎えました
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】お陰様で創刊1000号を迎えました

何とか1000号に辿り着いた。創刊したのは2013年3月だから、4年と少しで1000号か。精神的には、それほどダメージを蒙ってはいないものの、肉体的にはボロボロ、なのかもしれない。2月2日には生まれて初めて自分の身体にメスを入れた。
雑誌の世界で1000号は、それなりに重い意味を持つ。月刊誌であれば、1000号に辿り着くには80年以上の歳月を要するし、週刊誌でも20年はかかるはずだ。
私は月に二回出す情報紙を四半世紀にわたって書き続けてきたが、その一回分の情報量は「文徒」一日分の情報量にすら及ばない。このことが何を意味するかといえば、「文徒」1000号分の情報量は、月2回刊の情報紙に換算するならば40年分以上に及ぶのである。インターネットの普及はメディアのあり方を劇的に変えないわけがないのである。
確かに新聞からすれば1000号といっても大した数字ではあるまい。もっともインターネットを棲家とし、刻々更新される類のメディアにすれば、このような数え方自体が無意味であるかもしれない。
現在、「文徒」は月曜日から金曜日までのデイリーのペースで配信している。当初、「文徒」を立ち上げるにあたって、「ほぼデイリー」であると説明して回った。厳密なデイリー配信は、さすがに無理だろうと思っていた。しかし、始めてみると不思議なもので「ほぼ」は妥協や甘えとしてしか思えないようになり、今日に至るまで「ほぼ」は私の脳内から排除されることになる。
「文徒」は基本的にはキュレーション・メディアである。というよりも、インターネットを駆使した情報発信を考えていた私の脳裏を過ったのは「革命・情報・認識」という教育にかかわるシリーズの一冊として刊行された書籍のタイトルであった。この書籍は「革命・情報・認識」を大胆にも「よみかきのしかた」と読ませた。
私は「革命・情報・認識」の「革命」の部分を私は「イノベーション」に置き換えた。
イノベーション・情報・認識」をもって「よみかきのしかた」とし、この「よみかきのしかた」を発信するのが、キュレーションメディアとしての「文徒」の役割であると確信したのである。むろん「よみかきのしかた」を支えるのは批評性である。
この私の目論見がどこまで達成できているのかは自信がない。日々研鑽を繰り返すのみである。そう2000号を目指して。

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2)【本日の一行情報】

文藝春秋の「ナンバー」とダイヤモンド社の「嫌われる勇気」のコラボがどういう相乗効果を生み出すものか興味深い。「ダイヤモンドオンライン」に「ナンバー」の松井一晃編集長が登場。
〈――今回、『Number』が「スポーツ 嫌われる勇気」という特集を組むことが話題になっています。やはり最初にお聞きしたいのは、なぜスポーツ雑誌の『Number』が嫌われる勇気なのか? ということです。
松井一晃編集長(以下松井) 最初のきっかけまでさかのぼると、昨年8月の『Number』の甲子園特集、というか清原和博選手の記事ということになります。賛否両論ある企画でしたが、“1985年の清原和博”への思いを込めた記事でした。私が僭越ながらその号の編集後記に清原さんに宛てたつもりで記したメッセージをTwitterで拡散してくれたのが、『嫌われる勇気』の著者のひとりである古賀史健さんでした。〉
http://diamond.jp/articles/-/124339
文藝春秋ダイヤモンド社も週刊誌的な感性を持った出版社なのである。「週刊誌的な感性」とは…機を見るに敏な運動神経のことである。更に言えば広告代理店もそうした運動神経は絶対に必要なはずだが、最近、鈍り始めてはいないかと私は敢えて問うてみたい。

集英社の女性ファッション誌「BAILA」の公式ウェブサイト「@BAILA」は、月間90万UU、1,100万PVを超えているそうだ。しかもSNSオーディエンス数はFacebookTwitterInstagram、LINEのトータルで約14万人だという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000011454.html

◎JR名古屋駅前の超高層ビル「JRゲートタワー」8階に「三省堂書店名古屋本店」が4月17日にオープンする。約3300㎡の床面積は1フロアとしては東海地方で最大規模を誇り、取扱数は約80万冊。三省堂書店で「本店」とつくのは神保町、池袋に次ぎ三店目である。
https://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/271000c

◎累計1000万ダウンロードを4月13日に突破した小学館のコミックアプリ「マンガワン」は、手塚治虫の「火の鳥」「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」「きりひと讃歌」「三つ目がとおる」「アドルフに告ぐ」「MW」「ブッダ」「どろろ」の9作品を4月15日より連載開始する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000150894/

ハースト婦人画報社が運営する「エル・オンライン」 に掲載された「“いい女の香り”ってどんな香り? 人気メンズ誌編集長が考えるフレグランス術」に登場しているのは、「フォルツァスタイル」(講談社 )の干場義雅編集長、「グラインド」(実業之日本社 / ミディアム )の千葉琢也編集長、「メンズファッジ」(三栄書房)の鈴木幹也編集長、「ターザン」(マガジンハウス)の大田原透編集長の四氏。
私がカッコイイと思ったのは「グラインド」の唯一の香りアイテムとして スーツケースに「サンタマリア・ノヴェッラ」の石鹸を入れているという千葉である。
http://www.elle.co.jp/beauty/pick/fragrance_17_0414/4
塗香」(ずこう、って読むからね)について蘊蓄を垂れる編集長がひとりくらいいても良いよな。ここは日本なんだからさ。

◎「ミモレ」の大草直子編集長も「エル・オンライン」 に登場。
http://www.elle.co.jp/fashion/pick/workingstyle_naoko_okusa_clothes17_0405

◎「銀座 蔦屋書店」 が「GINZA SIX」 に4月20日オープンする。アートブック、スタバ、ギャラリーが融合し、目貫などの小道具類は江戸時代の骨董品が中心。日本酒、お茶から日本刀のレプリカ、本物の日本刀までも売っている。
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/i/35160339/
https://www.fashion-press.net/news/30340

◎JR広島駅前 に家電大手エディオンとエンターテインメントのTSUTAYA事業を組み合わせた「エディオン蔦屋家電」が オープンした。家電、書籍・雑誌・文具、スタバを融合する。
http://www.sankei.com/west/news/170414/wst1704140052-n1.html

◎黒岩揺光は「朝日新聞毎日新聞教育勅語の教材化に反対するのが理解できない」(ハフィントン・ポスト)で次のように書いている。
「要するに、甲子園は野球の常識を超えたレベルで選手に体を酷使させており、相当数の選手生命を奪っていたとしても、主催している新聞社が話を美化させることで、深刻さが伝わりづらい。
朝日新聞毎日新聞教育勅語の教材化を反対する前に、まず、甲子園で多投して後に故障した選手だけでなく、甲子園を目指す過程で故障した選手の数をすべてリストして公開してほしい」
http://www.huffingtonpost.jp/yoko-kuroiwa/koshien-baseball-newspaper_b_15998008.html
黒岩は毎日新聞で記者の経験もある。
http://adventurebyyoko.blog3.fc2.com/

マストドンはポスト「ツイッター」との声もあるようだ。ツイッターの場合は投稿するに際して140字という制限であったが、マストドンは500字まで書ける。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1704/13/news160.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/13/news131.html
http://did2memo.net/2017/04/13/mastodon-how-to-use/
https://mstdn.jp/about

◎LINEとキリンが組んで 新たな自動販売機サービス「Tappiness 」を 4月13日より首都圏・近畿圏 で導入した。
http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/0413_01.html

博報堂、大広、読売広告社の3月度売上高。博報堂の雑誌は前年比84.2% 。大広の雑誌は78.2% 。読売広告社の雑誌は75.2% 。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1457405

講談社の女性ファッション誌「ViVi」の2017年6月号(4月22日発売)で、浜崎あゆみが表紙を飾る増刊号の刊行が決定 した。通常版でも浜崎あゆみスペシャル撮り下ろしカット、インタビューは掲載されるが、増刊号ではカバーを飾るとともに16ページ(通常版は8ページ)に渡って、スペシャルカットやインタビューのロングバージョンが掲載される。
http://www.vivi.tv/topics/2017/04/3976/
増刊号は定価を約二倍の1500円にしても良いから、コミックスの特装版に写真集がつくとか、もう一歩踏み込んだ仕掛けが欲しいと思うのは私だけだろうか。

新潮新書から石破茂の「日本列島創生論」 が刊行される。
https://mainichi.jp/articles/20170415/k00/00m/010/030000c
http://www.asahi.com/articles/ASK4G4QFLK4GUTFK008.html
http://www.shinchosha.co.jp/book/610712/
石破はクリスチャン政治家として知られているが、果たして石破に大平正芳ほどの器量があるかどうか。

◎ 「週刊文春」の新谷学編集長の言う取材過程の「見える化」はソーシャルメディアの時代なればこそ重要な意味を持つ。このことに新谷はいち早く気づき、即座に実践した。これは実は大変なことなんだよね。ある意味、特権化された存在から、読者と同じ土俵に降りていくということだもの。
ジャーナリズムに長らくかかわっていると、どうしても「偉い」存在になりたくなってしまうものだが、そうした欲望を排除するということでもある。新谷は決して強面ではないんだよな。その逆なんだよ。そこが週刊誌の編集長としては新しいのである。
http://www.sankei.com/entertainments/news/170415/ent1704150001-n1.html
オレだったら次は「文春砲」のキャラクタービジネスを考える。

恩田陸曰く――。
「子どもの頃から本を読むのが大好きで、今も年間300冊は読んでいます」
http://president.jp/articles/-/21811

◎学研プラスの青文字系ファッション誌「mer」は、イオンのカジュアルファッションブランド「ダブルフォーカス」とコラボした商品10種類を制作した。4月17日(月)より、全国の「ダブルフォーカス」店舗とオンラインショップで発売となる。
https://shops.aeonsquare.net/shop/c/c08010178/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001073.000002535.html

◎これは誇張ではない。CM制作会社の異様な長時間労働の現状。
「一昨日の徹夜も、朝から撮影なのに監督が深夜2時に『この小道具が欲しい』って言いだして、探し出すしかなくて」
「朝4時まで撮影して、次の撮影が6時からだとしても『あと2時間仮眠取れる!』って思っちゃう 」
https://news.careerconnection.jp/?p=34144
制作進行は今も昔も同じなんだなあ。オレも実は制作進行出身。ここにいた。昔はプロダクション21という社名で、1階に「シェ・ルネ」があった。
http://www.21inc.co.jp/about/index.html
「シェ・ルネ」は開高健がこよなく愛したフレンチとして知る人ぞ知る名店であった。「ダックコール」の稲見一良はプロダクション21の副社長だったことから、やはり「シェ・ルネ」の常連であった。その後「シェ・ルネ」は移転した後に閉店してしまったが、娘さんが築地に「レストラン クー」 を構えている。
https://www.facebook.com/kotaro.kashiwabara/posts/487645477956744

◎4月16日(日)の夕方「『平均的サラリーマンの最強の生き方』の発刊記念!安部礼司の直接お渡し会in神保町三省堂書店!」が開かれた。
同書(チーム安部礼司+TOKYO FM 著/マガジンハウス発行)は日曜の夕方TOKYO FMで12年間放送されているカルト番組「NISSAN あ、安部礼司」(17:00〜17:55)の関連書籍だ。発売日の20日よりも4日も早く店頭での手渡し販売するというイベントをそのまま生放送。
同番組には神保町のスペイン料理屋「オーレ・オーレ」の親父が登場することもある。
http://www.tfm.co.jp/abe/index_pc.php

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3)【深夜の誌人語録】

君は笑顔を失ってはならない。楽しくなければ人生ではないのだから。
君は牙を失ってはならない。戦わなければ生きていけないのだから。