【文徒】2017年(平成29)年8月23日(第5巻158号・通巻1087号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】最近書店閉店事情
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.8.23 Shuppanjin

1)【記事】最近書店閉店事情

福島県の郡山書店 西ノ内店が7月31日(月)をもって閉店。
「え、嘘…イトーヨーカドー郡山店内の郡山書店7月31日で閉店したの…」
https://twitter.com/Life_Fukushima/status/894439561853411328
ブックスキヨスク神戸店が8月4日(金)をもって閉店。
「JR神戸駅高架下『ブックスキヨスク神戸店』が8/4をもって閉店。後継には大垣書店が9/22オープンとのこと」
https://twitter.com/kobe_machiguide/status/897733012447690754
東京・稲城市アミーゴ書店若葉台店が8月6日(日)をもって閉店。
「残念ながら閉店。コーチャンフォーの独り勝ち状態か」
https://twitter.com/kurokawa_pota/status/896964524238045185
http://www.avantibookcenter.co.jp/news.html
岐阜県くまざわ書店中津川店が8月20日(日)をもって閉店。
http://kaiten-heiten.com/kumabook-nakatsugawa/
よむよむアピタ岩槻店が8月20日(日)をもって閉店し、よむよむ羽村店が9月20日(水)をもって閉店へ。
「よむよむアピタ岩槻店は、アピタの閉館に伴い、本日8月20日(日)18時をもって営業を終了し、閉店いたします。これまでのご愛顧に感謝いたします。ありがとうございました」
https://twitter.com/libro_jp/status/899048827553890304
「日頃より、よむよむ羽村店をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
この度当店は、9月20日(水)の営業を最後に、閉店させていただくことになりました。
永らくのご愛顧を賜りましたことを心から御礼申し上げます。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解賜りますよう何卒お願い申し上げます。
リブロメンバーズカード(HonyaClub)のポイントに関しましては最終営業日までにご利用いただけますようお願い申し上げます」
http://www.libro.jp/blog/hamura/blog/close.php
北海道奥尻郡奥尻町のブックショップかまだが8月31日をもって閉店。
「青苗の通りを歩いていたら、今月いっぱいで閉店する旨の張り紙をした本屋さんを見つける
なんとなく既視感があって、その原因を知りたくて、中を覗こうとするが、カーテンがきっちり閉じられている
予定より早く廃業した…のではなく、日曜日で定休なのだろう」
https://twitter.com/oyaji_tabi/status/894845386216488960
神戸市垂水区の文進堂書店が8月31日(木)をもって閉店。筒井康隆の自宅が近く本人が来る店として知られていた。
「小学生の頃に綾辻行人さんの本に出会った場所
買う本を決めず文庫本のコーナーをウロウロしてお気に入りの一冊を見つける楽しみを教えてくれた場所
受験やバレンタイン、海外旅行の時はいつもここで買ってた嬉し恥ずかし思い出の場所
文進堂書店の皆様今まで支えて下さって有難うございました」
https://twitter.com/mami_kobe/status/897087202793934849
「高校の時、今は住宅地になっている旧垂水東口バスターミナルを降りて垂水駅に向かう途中の商店街にあった文進堂書店によく寄ってました。大型書店以外は淘汰の波が激しいすね・・・」
https://twitter.com/earlgreyz/status/897394360509005826
「東口側には文進堂しかないから、寂しいわ。あとは西口前の広文館書店か、ジャスコ内のアミーゴ書店か」
https://twitter.com/Jneysan/status/897692512248352768
熊谷市の藤村書店が8月31日(木)をもって閉店。
http://goo.gl/DJatPV
甲府市の柳正堂書店オギノ湯村SC店が8月31日(木)をもって閉店。
「いよいよ閉店までのカウントダウンが始まってしまった。『Coccoのカウントダウンが脳内に響きます』当店の営業も残すところあと10日あまり。夏休みの終わりと秋の入り口が近くなった日に閉店を向かえますが、この10日間を忘れることがない大切な時間にしていきたいと思います(色んな意味で)」
https://twitter.com/yumurasc/status/899535424938360832

                                                                                                                    • -

2)【本日の一行情報】

◎メディアドゥは、小・中学生層向け電子書店としてニンテンドー3DS上で「どこでも本屋さん」を展開しているリブリカの株式を、トーセから取得し、同社の筆頭株主となった。
http://www.mediado.jp/corporate/1807/
リブリカは2008年4月にKADOKAWA講談社小学館集英社、トーセを主要株主として創業している。リブリカとはスペイン語の本=Libroと工場=Fabricaを組み合わせた造語だそうだ。
http://www.librica.co.jp/company/librica.html
トーセはゲームソフトやモバイルコンテンツに関する企画・開発・運営などの業務受託を中心に、幅広い開発サービスの提供をグローバルに展開している企業だ。
https://www.tose.co.jp/company/business.html
今回の資本提携強化によって、ニンテンドー3DS上だけで事業を展開してきた「どこでも本屋さん」は、年内にもスマートフォンと連携して利用できるマルチプラットフォーム対応のサービスへと拡張する予定だという。
いずれにしても、紙の世界では取次が自ら書店を擁するようになったのは、市場の縮小が始まってからであったが、デジタルの世界では市場が成長している段階で電子書籍取次が電子書店を擁するようになったわけである。デジタルの世界では紙の世界ほど「取次」が必要不可欠な存在ではないということなのかもしれない。

紀伊國屋書店は創業90年を記念し「知の絆を未来につなげ」をキーワードに、「河出文庫×ちくま文庫ちくま学芸文庫 合同フェア」を9月上旬より開催する。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20170821120000.html

◎8月28日発売の「VOGUE JAPAN」10月号の表紙をX JAPANYOSHIKIが飾っているそうだ。日本人男性が表紙に起用されるのは、同誌創刊以来18年の歴史で初めてのこととなる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000021123.html

◎「日経トレンディネット」で山谷剛史は「中国各地、内陸に至るまで各都市に、カフェを併設したオシャレな内装の書店が増えている」と書いている。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1031523/080800049/

奈良県の啓林堂書店全店、ジュンク堂書店奈良店は「夏休みこども読書マラソン」を8月31日まで開催している。
「店で受け取った『感想カード』に好きな本の感想文を書き、店に提出すると、スタンプを1個押してもらえる。3個集めると、9月30日まで使える100円分の買い物券が贈られる」(読売新聞奈良版)
http://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20170820-OYTNT50064.html
読売新聞奈良支局も後援している。
http://www.books-keirindo.co.jp/blog/top/5_9.html

白泉社の「ヤングアニマル」で連載されている羽海野チカの「3月のライオン」の第2シリーズの放送が10月14日よりNHK総合テレビで開始される。
https://abematimes.com/posts/2829895

◎少女マンガ誌「ちゃお」小学館)のモデルを選出する「ちゃおガール☆2017オーディション」のグランプリが決まった。所属はアミューズとなる。
https://mainichi.jp/articles/20170820/dyo/00m/200/011000c

集英社の経営をまさに支えている「週刊少年ジャンプ」の歴史を回顧する企画展の第1弾「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.1創刊〜1980年代、伝説のはじまり」の後期展示が9月1日よりスタートする。100点以上の原画が入れ替えとなる。
https://mainichi.jp/articles/20170820/dyo/00m/200/007000c
「ストップ!!ひばりくん!」の複製原画が公式ショップで販売されるのか!買いに行っちゃおうかなあ。」

集英社が運営するファッション通販サイト「FLAG SHOP」(フラッグショップ)は、夏から秋の衣替えシーズンにむけたデジタルカタログ「新・定番12着で秋まで着まわしBOOK」のリリースを開始した。
http://ascii.jp/elem/000/001/534/1534531/
https://flagshop.jp/fs/shop/pages/fs_ecatalog1708bs.aspx?ecataid=0&aid=fstp_digicata1708bs
「FLAG SHOP」は雑誌が生き残る方法論を示唆している。

◎学研グループのデジタル事業会社であるブックビヨンドが運営する、600冊以上の電子書籍を月額500円(税別)の定額で読み放題のサービス「学研図書ライブラリー」は、「第11回キッズデザイン賞」の「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」を受賞した。
https://gk-zemi.jp/service/library/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000348.000009949.html

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の、堀越耕平氏による大人気コミック「僕のヒーローアカデミア」はTVアニメ第2期シリーズが、読売テレビ日本テレビ系全国29局ネットで毎週土曜夕方5:30に放送中だが、このTVアニメと東急ハンズのコラボ企画が決定した。具体的には東急ハンズ9店舗、hands be1店舗、ハンズカフェ4店舗にて、9月16日(土)から10月9日(月・祝)まで「僕のヒーローアカデミア リアル職場体験in東急ハンズ」と題した特設コーナーを展開する。
https://abematimes.com/posts/2824567

◎日販が刊行した「書店経営指標」2017年版によれば、企業ベースの売上総利益率を、Book売上構成比が80%以上の専業企業と80%未満の複合企業で比較した場合、専業企業の売上総利益率が23.08%で1.68ポイント減だったのに対し、複合企業は30.25%で1.07ポイント増となり、その差は7.17ポイントと、前年より更に拡大した。
http://www.nippan.co.jp/news/%e3%80%8e%e6%9b%b8%e5%ba%97%e7%b5%8c%e5%96%b6%e6%8c%87%e6%a8%99%e3%80%8f2017%e5%b9%b4%e7%89%88%e7%99%ba%e8%a1%8c%e3%81%ae%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/

◎学研プラスは、「ムー公式 実践・超日常英会話」を刊行する。こういう悪ふざけを私は個人的には嫌いではないが、学研という企業は、教育サービス事業や教育コンテンツ事業、教育ソリューション事業を根幹に据えているのではないか。だとすれば、こうした「悪ふざけ」は本来、慎むべきであろう。学研に限らず、出版にかかわる日本企業の後進性という問題は、グローバル化が進展するなかで、いつの日か必ず桎梏になると私は考えている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001247.000002535.html

朝日新聞が運営するクラウドファンディング「A-port」は全日本空輸ANA)と協力し、それぞれの運営するクラウドファンディングプラットフォームで連携した資金調達を始める。ANAクラウドファンディングサイト「WonderFly」で、「あなたの日常に防災をプラスする」をテーマに独創的なモノづくりのアイデアを募集し、受賞作の商品開発に必要な資金調達のフェーズでA-portも協力する。運営主体が異なるプラットフォームが連携して、同じアイデアに対して同時にクラウドファンディングを実施するというのは、確かに極めて珍しい取り組みだ。
https://a-port.asahi.com/column/detail/82/

◎個人聴取率の局別ランキングで16年首位の座を守りつづけているTBSラジオの古川博志取締役編成局長の「マイナビニュース」のインタビューに応じての発言だ。
「ラジオの改編は気づいたら変わっていたぐらいの方がいいんです。ガラッと変わるとリスナーにフィットしない局になってしまいがちですから。番組はたいてい2年続けてやっと腰の据わった番組になっていくものなので、いたずらに改編してはいけないと思っています」
http://news.mynavi.jp/articles/2017/08/21/radio/
小沢昭一永六輔らの築きあげた伝統が生きているのかもしれない。

◎渡辺小春という地下アイドルが書評の連載を始めた。悪いことではない。ただし、それは一般メディアにおいてのことだと思う。書評専門紙としては、こういう変化球は直球を生かせずに終わる可能性が大なのではあるまいか。
http://dokushojin.com/article.html?i=1916

小林秀雄賞は國分功一郎の「中動態の世界 意志と責任の考古学」(医学書院)に決定。
http://kangaeruhito.jp/articles/-/2194
新潮ドキュメント賞ブレイディみかこの「子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から」(みすず書房)に決定。
http://www.shinchosha.co.jp/prizes/documentsho/
ブレイディみかこがブログで次のように書いている。
「英国から福岡に着くなりうれしい報せでした。
『子どもたちの階級闘争』は、みなさん仰る通り、時系列に逆らった二部構成の効果が大きく、
このすばらしいアイディアを考案した編集の市原さんと一緒にいただいた賞だと思います。
http://www.shinchosha.co.jp/prizes/documentsho/
しかも、小林秀雄賞はやっぱり(!)國分功一郎さん。
薔薇族ダブル受賞で、盆と正月がいっぺんに来た気分です(笑)」
http://blog.livedoor.jp/mikako0607jp/
新潮社の左傾化が始まった(笑)。二人には共著もある。太田出版から刊行されている「保育園を呼ぶ声が聞こえる」がそうだ。
https://www.amazon.co.jp/dp/477831574X/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_LfSLzbZ209D6Z
リブロは、このことをツイートしている。
https://twitter.com/libro_jp/status/898450338272821248

◎日本はツイッター大国である。フェイスブック、インスタグラムよりもツイッターが使われている。その匿名性が支持されているのだろう。
http://digiday.jp/platforms/how-people-spend-time-on-social-platforms-globally-in-5-charts/

◎「石橋湛山賞」は、水島治郎(千葉大学政経学部教授)の「ポピュリズムとは何か――民主主義の敵か、改革の希望か」(中央公論新社)に決定。
http://corp.toyokeizai.net/news/wp-content/uploads/sites/5/2017/08/20170821.pdf
「また歴史をたどれば、南北アメリカいずれにおいてもそうであったように、ポピュリズムには、『権力を独占するエリートに対する民衆の解放運動』という側面がありました。その点でも、『ポピュリズムはデモクラシーを脅かす害悪だ』と一方的に断ずることには慎重であったほうがいい。ポピュリズムは両義的な存在だと思います」
http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/101818.html
水島によれば直接民主主義と排外主義は矛盾しない。

集英社の「りぼん」で連載された吉住渉の「ママレード・ボーイ」が実写映画化されることになった。桜井日奈子吉沢亮が主演し、廣木隆一が監督する。
https://www.fashion-press.net/news/32931

◎ぴあがアニメ誌「アニメぴあ Shin−Q」を9月8日に創刊する。季刊を予定しているようだ。
https://animeanime.jp/article/2017/08/22/35059.html

◎音楽誌「Mixmag Japan」が9月7日に創刊される。年4回刊だそうだ。ウェブサイト「mixmag.jp」は毎日更新する。
https://www.cinra.net/news/20170821-mixmag

                                                                                                                    • -

3)【深夜の誌人語録】

正しくは成功は失敗のもとと言うべきである。