【文徒】2017年(平成29)9月29日(第5巻184号・通巻1113号)

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1)【記事】「けものフレンズ」騒動鎮火せず
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.9.29 Shuppanjin

1)【記事】「けものフレンズ」騒動鎮火せず

栗田穣崇のツイッターのタイムラインを追って読んでいくと、栗田の誠実な人柄がうかがえる。栗田はドワンゴ執行役員だが、ドコモ出身の人材である。
ドワンゴ社員の多くは一個人としても『けものフレンズファン』ばかりであり、今回の騒動についてもみんなが憂慮しているということをドワンゴを代表して伝えたいです」
https://twitter.com/sigekun/status/912721713460240384
ドワンゴがこの件について直接的にできることはありません。ドワンゴはあくまでカドカワのグループ会社のひとつでしかなく、例えるならFGOのアプリで起こった問題についてソニーモバイルコミュニケーションズXPERIAのメーカー)が責められているようなものです」
https://twitter.com/sigekun/status/912830371867193344
しかし、そんな栗田にも火の粉が降りかかって来た。ガジェット通信が9月25日21時45分に配信した記事「『けものフレンズたつき監督が外れる! 『Twitter』でもトレンド1位に」は即座に話題となったが、「ニコニコニュース」のランキングには即座に反映されず、ランキング上位に表示されたのは4時間弱が経過した26時35分ごろであった。こうした遅れがオーディエンスからすればKADOKAWAの不祥事を隠蔽する意図があったのではないかという疑惑を駆り立てることになった。これについて栗田は、その誠実な性格ゆえ連続ツイートすることになる。
Twitterでいくつかお問い合わせいただいている『ニコニコニュースのランキングに意図的な操作があったのではないか』という点についてお答えさせてください」
https://twitter.com/sigekun/status/912900066364534785
「社内確認をしましたが、『該当記事が一時的に非表示になる』状態が存在したのは事実です。ユーザーのみなさまにご迷惑やご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。心からお詫びいたします」
https://twitter.com/sigekun/status/912900990046736386
「ただ、『該当記事が一時的に非表示になった』理由としましては、ニュース表示のロジックおよび運用ルールから生じたもので、他意があるものではありませんでした」
https://twitter.com/sigekun/status/912901360160591882
「ニコニコニュースには『過度に炎上を助長しない』という運用ルール&ロジックがあります。それは常に新しいコメントがつくような記事があった場合、その記事がずっと上に固定され表示し続けてしまわないよう、入れ替えるようにするためです」
https://twitter.com/sigekun/status/912901957706240003
「今回は、そうした対応を通常通り行った結果、ユーザーのみなさまに疑念を抱かせることになってしまいました。その後、その事実のご指摘を受けまして、すぐに表示を戻す対応をしたのですが、それがさらに疑念を抱かせるような結果になってしまいました」
https://twitter.com/sigekun/status/912902579738292225
「ただ、どのような理由だとしましても、けものフレンズを応援されているファンのみなさまに誤解を与えるようなことをドワンゴが起こしてしまったことは事実ですので、この場をお借りしましてお詫びいたします。申し訳ありませんでした」
https://twitter.com/sigekun/status/912903710304608258
「本件に関しては、追ってドワンゴとしても正式にコメントを出すとのことなので、詳細はそちらもご参照頂ければと思います。お騒がせして申し訳ありませんでした」
https://twitter.com/sigekun/status/912904028283133953
私たちは栗田穣崇の誠実さを評価するが(KADOKAWAに誠実な人材はいるのだろうか?少なくとも角川歴彦が誠実な人間でないことは間違いあるまい)、その言い分を評価するかどうかは別問題である。そう私は評価できない。ニコニコニュースには「過度に炎上を助長しない」という運用ルール&ロジックが存在するというのであれば、あらゆる局面において、このルールとロジックは貫徹されていなければなるまい。
少なくとも栗田は次のような質問には答えねばなるまい。この質問に書かれていることが事実であるとすればニコニコニュースの「過度に炎上を助長しない」という運用ルール&ロジックのあり方に疑問符をつけざるを得まい。ことはジャーナリズムの問題なのである。
たつき監督に関する他の小規模記事も当時はすべて新着コメントから除外されていたように記憶しています。
また、ヤマカン氏の発言記事も『炎上を助長』しそう&常に新しいコメントが付いてますが、ずーっとランキングに表示されています」
https://twitter.com/sigekun/status/912913890387877889
けものフレンズ」騒動について津田大介は次のようにツイートしている。
ツイッターだけを見ていると『けものフレンズの監督を元に戻す』ということを公約にした党が大躍進しそうに思えるので、これこそがポスト真実ということなのかもしれない」
https://twitter.com/tsuda/status/913073703973306369
これは大森望のツイート。
日本SF大賞の一般エントリーでいまのところいちばん数が多いのは『けものフレンズ』なんだけど、候補に入っても入らなくても炎上しそう(ちなみにエントリー数は、候補になるかどうかとは無関係です)」
https://twitter.com/nzm/status/912777662321508352
ノンスタイル井上裕介も投稿している。
「僕も、アニメ『けものフレンズ』の監督は、たつきさんがいいなぁ。
色々な事情はあるのだろうけど、監督、スタッフ、このアニメに携わる人々、全ての人で『けものフレンズ』だと思う。
けものは居ても、除け者はいない。
除け者のない二期が始まればファンとしては嬉しいなぁ」
https://twitter.com/inoueyusuke/status/912551630934908929
ふぅ、赤木智弘のツイートで頭を少し冷やすか。
アイマス2のときもそうだったけど、けもフレの件で批判が話題になって、どうやら『一方的に叩いていいらしい』という話になると、全くけもフレを見ていなかったようなやつが突然でてきて『知らないけどけもフレファンかわいそう。角川くたばれ』とか騒ぎ出すんだよな」
https://twitter.com/T_akagi/status/913196117419999232
少なくともKADOKAWAサイドは「関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用」とは、具体的にはどのような事態を指すのか説明すべきではないのか。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1709/27/news105.html
「デイリーニュースオンライン」が掲載した「けものフレンズ監督降板騒動『功労者をのけものにする』KADOKAWAの企業体質」を読めば、KADOKAWAが原作者の吉崎観音たつき監督に対する嫉妬を爆発させ、これをKADOKAWAが抑えられなかったことが原因だと思わざるを得ない。しかも、こうした事態は今回に限ってではないようだ。
「過去にも、KADOKAWAは人気シリーズのアニメの続編で制作陣を総入れ替えしたり、ヒットタイトルの立役者を外してKADOKAWA色の強い息のかかったクリエイターを送り込んで台無しにするケースは存在する。同じ轍を『けものフレンズ』でも繰り返してしまったのか」
http://dailynewsonline.jp/article/1359354/
KADOKAWAが取り組むべきは、たつき監督を切り捨てることではなく、吉崎観音たつき監督の仲を取り持つことであったのではないか。

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2)【本日の一行情報】

東日本旅客鉄道JR東日本ステーションリテイリングが主催するお子さま向けイベント「詰める、食べる、オリジナル 夢の駅弁をつくろう!」にCS日テレプラス「鉄道発見伝」と生活情報雑誌「オレンジページ」が協力する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000017557.html
月2回刊はそろそろ限界を迎えつつあるということはさておき、「オレンジページ」はJR東日本にもっともっと積極的に絡んでいくべきなのではないか。JR東日本に積極的に利用され得る間口を持つ必要があるということだ。

YouTubeチャンネル「一月万冊」は読書をテーマとしたイベント「万冊祭」を新宿紀伊国屋ホールで開催したが、このイベントに登壇した烏賀陽弘道の「『Jポップ』は死んだ』と『フェイクニュースの作り方』が新宿紀伊国屋書店で180冊売れたそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000028224.html
まさに啖呵売である。ということはユーチューバーって現代の香具師か…。

高塚猛ダイヤモンド社の再建はできただろうか。ダイヤモンド社に専念するのであれば、できたのかもしれない。そうでない以上、無理だったのではないか。ただ高塚がダイヤモンド社に関わらなければ鹿谷史明がこれほどまでにダイヤモンド社に深く関わっていくこともなかったのではないか。収入面だけ考えれば、鹿谷にとってダイヤモンド社よりも条件の良い仕事先はあったはずである。
http://www.data-max.co.jp/kodama/290925_ib1701_01/
http://www.data-max.co.jp/kodama/290926_ib1701_02/
http://www.data-max.co.jp/kodama/290927_ib1701_03/
http://www.data-max.co.jp/kodama/290928_dm1701_04/

◎ビデオリサーチの「テレビタレントイメージ調査」が発表された。男性では明石家さんまが6年ぶりに1位に返り咲いた。2位は阿部寛、3位はマツコ・デラックス、4位は博多華丸・大吉、5位は内村光良
http://www.videor.co.jp/talent/man/index.htm
女性では新垣結衣が初の1位、2位は浅田真央、3位は天海祐希、4位は綾瀬はるか、5位はDREAMS COME TRUE。ドリカムは14位から大幅に順位を上げた。
http://www.videor.co.jp/talent/woman/index.htm

TOKYO FMは、 10月1日(日)から新番組「バス旅ストpresented by ウェルネット」(毎週日曜 12時〜12時25分)がスタートさせる。これは、産学連携のラジオ番組としてTOKYO FMウェルネット日本大学芸術学部と協同で同番組の企画・制作を行うものである。パーソナリティは、日本大学芸術学部放送学科教授の森中慎也がつとめる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001210.000004829.html
産学連携ハンターイ!なんて声がキャンパスに響く時代ではないのだろうね。

稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾がSNSを席捲している。
「…開設された3人のTwitterは、9月26日16時時点で、フォロワー数が全員26万人を超えており、香取のInstagramは、22万フォロワー突破、稲垣のブログは、25日付のAmeba新登場ランキング2位、男性タレント部門ランキング3位にランクイン、そして、「YouTuber草なぎ」という名称も話題となった草なぎのYouTuberデビューを発表する10秒間の動画再生数は100万回を突破するなど、(26日17時時点)SNSの情報解禁からわずか2日の間に、インターネット上では大きな反響があった」(AbemaTIMES)
https://abematimes.com/posts/3003485

◎日経によれば「インターネット広告大手のセプテーニ・ホールディングス(HD)は10月から社員の年収を平均で50万〜100万円上げる。引き上げ幅は2割程度となる」そうだ。人材確保のためには待遇を改善する必要があったのだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21576480W7A920C1TJ1000/

講談社グループの一迅社は、ピクシブの運営するpixivとの共同制作による電子書籍サービス「comic POOL」より久世 岳の「うらみちお兄さん」1巻を刊行した。発売前に重版が決定したそうだ。
https://www.atpress.ne.jp/news/138955

岩波書店のホームページに「電子書籍ダウンロードサイトにご注意下さい」という次のような文章が掲載された。
「最近、小社刊行の書籍を無料でダウンロードできるかのように表示し、そのサイトに誘導するSNSのアカウントが確認されています。誘導に従って、『無料ダウンロード』サイトに移動し、『ダウンロード』等のボタンを押すと、メールアドレスやクラウド等のアカウント、そのパスワード、さらにはクレジットカード番号の入力を要求する画面に切り替わったりするなど、フィッシング詐欺の可能性もありますので、ご注意ください。
小社の電子書籍を正規に販売しているサイトは、次のページでご案内しています。
https://www.iwanami.co.jp/news/n17133.html
小社は、上記で表示しているサイト以外での電子書籍販売を許諾しておりません。またいかなるサイトでも、小社の書籍を無料でダウンロードすることを認めておりません。ご確認のうえ、ご購入いただければ幸いです」
https://www.iwanami.co.jp/news/n21629.html

凸版印刷は、20世紀を代表する建築家の一人であるフランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル旧本館「ライト館」を、各所に散在する資料や体験を収集・記録し、在りし日の全容を再現し体感できるVR作品「帝国ホテル・ライト館の再現」の製作に着手した。
http://www.toppan.co.jp/news/2017/newsrelease170925.html
現在では「オールドインペリアルバー」が「ライト館」の面影を伝えているんだけどね。私が「オールドインペリアルバー」を好きな理由の一つである。

◎投稿サイトの時代なればこそ、投稿サイトでは味わえない醍醐味を考える必要が出版社にはあり、そうなると例えば文芸界の「関ジャム」(テレビ朝日)っていう朝井リョウの発想は面白い。
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2017/09/-jwave-sonar813.html

ハースト婦人画報社は、幅広い世代の自分磨きを応援する美の祭典「ハースト ビューティ フェスティバル 2017」を2017年11月11日(土)に東京ミッドタウン「ホール&カンファレンス・アトリウム」で開催する。同社が擁する26媒体合同で、テーマは「LOVE YOURSELF」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000008128.html

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3)【深夜の誌人語録】

過去の栄光にしがみつくのではなく未来に責任を持ちたい。