【文徒】2017年(平成29)10月24日(第5巻200号・通巻1129号)
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1)【記事】クラウドワークス「180日以内に出金しないと報酬没収」の規約改定にライターが激怒
2)【本日の一行情報】
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- 2017.10.24 Shuppanjin
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1)【記事】クラウドワークス「180日以内に出金しないと報酬没収」の規約改定にライターが激怒(岩本太郎)
『東洋経済オンライン』が18日付「【公取が調査、クラウドソーシングの曲がり角】 安値受発注で急成長してきたが…」という記事で、公正取引委員会が9月上旬からフリーランスとして働く人々への実態調査に乗り出したことに絡めて、DeNA騒動から1年後の現状をレポートしている。業界最大手であるクラウドワークスとランサーズの2社のほか、両社を主要メンバーとして2014年に設立された一般社団法人クラウドソーシング協会にも取材し、関係者のコメントも交えながら、この間の業界における動きを以下のように伝えている。
《(DeNA騒動の)以降は「極端に単価が低い案件は減った」(クラウドワークス)ものの、低単価の案件は今でも少なくない。(略)前出の中村さんも仕事を始めた約2年前は、1500文字の原稿を300円で受けた。かかった時間は1時間ほど。手数料(通常、成約価格の5〜20%)を差し引くと手元にほとんど残らない。「当時は相場がわからず、紹介料だと思って納得した」(中村さん)。
低単価でも受注する人がいる以上、サービスの運営側は報酬を規制することが難しい。そのことが「高収入を求めるプロ人材は不特定多数への発注を前提としたサービスを使わなくなっている」(湯田健一郎・クラウドソーシング協会事務局長)という事態を招いている》
《法的な整備も必要だ。クラウドソーシングの契約は業務委託が一般的。最低賃金や労働時間など労働法の規制対象外だ》
http://toyokeizai.net/articles/-/193025
だとすれば「それでも少しずつ改善は進んでいる」という中で、むしろ改悪の方向に進んだ事例も押さえておかねばならないだろう。上記に名前の出たクラウドワークスが去る7月11日付で行った規約改定だ。第12条「決済手続き」の「7(7)」および「10(1)(2)」」として、要するに「報酬が確定した日から出金されないまま180日が経過したお金は没収しますよ」との旨の条文が追加されたのだ。
https://crowdworks.jp/pages/agreement.html
つまり、お店で買い物をした際にカードにたまったポイントを「〇か月以内に使わないと無効になってしまいますよ」というのと同様、「半年以内に原稿料を引き出さない場合は全部タダになる」ということらしい。この件について『ねとらぼ』は21日付の記事で、現役のクラウドワークスライターによるこんな怒りのコメントも紹介しながらレポートしている。
《クラウドワークスでは報酬の出金時に手数料が必要となります。楽天銀行を使えば100円、他行宛なら500円です。1000文字1円などのタスクをこなすという場合に、この手数料は大きいですし、ある程度ためてからの出金にせざるを得ません。そんな中180日縛りが導入されてしまい、困っている人が多いと思いますし、180日以内に引き出さないと報酬を没収するのはいささかやりすぎのように感じました。(略)また180日ルール以外にも規約の中には「サイトを利用しての契約に関して 受注者発注者ともに過去5年間CWのサービスを利用していたものの直接契約を禁止する」というものもあり、これについても批判が集まっています》
この「1回の仕事のギャラが百円千円単位なのに手数料が500円なのは高すぎる(ので何回かぶんがたまった段階で手元に引き落としている)」という実体験談は、私(岩本)も1年前の取材の際に知人のライターから聞いていたが、クラウドワークス側もセコイことに今度はそこに目をつけてきたというわけだ(後段の「5年間ルール」も相変わらずのようだ)。
このライター氏は他に《WELQ騒動以降、かえってグレーな案件は増えている印象です》《「MERY経験者大歓迎!」など美容系のまとめサイトライターを募集している案件も珍しくありません》とも述べている。証言を受ける形で『ねとらぼ』はクラウドワークス側にも「ライターからは不評ですが、いかがでしょうか」と取材を申し込んでいるのだが、それに対する同社の回答も(おそらく直接取材や電話ではなくメールでのやり取りと思われるが)何とも木で鼻をくくったような調子だ。
《ユーザーの報酬・仮払金を長期間預かることに関し、当社顧問弁護士とも相談の上、コンプライアンスの観点から出金期限を設定しました。リスクを防ぐことで、ユーザーのみなさまに安心して利用いただけるサービスであり続けることが今回の目的となります》
《出金時に振込手数料が発生するため、弊社としても検討を重ねてまいりましたが、前述の通りユーザーの報酬・仮払金を長期間預かることに関し、当社顧問弁護士とも相談の上でコンプライアンスの観点から今回の決定となっております。健全なサービス運営を行っていくためにご理解をいただければ幸いです》
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/21/news001.html
ただ、クラウドワークス側は上記『ねとらぼ』の記事が出た後、社長の吉田浩一郎が自ら《さすがに行き過ぎでは無いかと思うのでつぶやいてみますね》と、自らのアカウントで十数本に及ぶ反論の連弾ツイートを始めた(以下、一部のみ引用)。
《前提として、正式な回答は広報からしている以上のことはありません。私からは世の中の背景などからかみ砕いて説明します。説明する目的は、クラウドワークスのユーザーであるクラウドワーカーの方々に誤解が生まれることの無いようにしたい、というものです》
《その中で半年以内に出金してください、とさせて頂いたのは社内に蓄積されたデータを基にワーカーの皆さまのお仕事のサイクルを分析した上で6か月に1度出金するぐらいは促しても良いだろう、と考えて実行しています》
《ねとらぼさんはメディアなのでサービス提供側とワーカーを対立構造として書きたいのだと思いますが、だからこそワーカーの皆さまにおかれましてはその対立構造に乗ることの無いようにお願いしたいです》
https://twitter.com/yoshidaCW/status/921999536695820288
https://twitter.com/yoshidaCW/status/922000157268250624
https://twitter.com/yoshidaCW/status/922003810205155329
https://twitter.com/yoshidaCW/status/922006260068708353
https://togetter.com/li/1163546
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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)
◎山尾志桜里は愛知7区で当選。勝利に沸く選挙事務所での会見中、『週刊文春』の記者が「なぜ(結婚)指輪はされていないのですか?」と質問。支援者からのブーイングの中、山尾は「答える必要がないと思います」と応じたそうだ。
https://www.daily.co.jp/gossip/2017/10/23/0010668534.shtml
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201710230000023.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp
◎希望の党の公式サイトに住所や電話番号が掲載されていないことで話題になったが、投票日夜の会見場所と時間を党関係者などから苦心惨憺の末に聞き出し、会場まで直接向かった『BuzzFeed NEWS』の朽木誠一郎は結局「事前の申し込みがなかったから」との理由で門前払いを食らったとのこと。
https://www.buzzfeed.com/jp/seiichirokuchiki/kibounotou-inpei-zero?utm_term=.bfKpJxKP4#.qm8AeKE4N
◎講談社と楽天の共同事業として、スマートフォン向けに無料配信されるファッションマガジン『BeViVi』が23日に創刊された。
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20171023BeViViHP.pdf
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1710/23/news075.html
https://www.wwdjapan.com/499873
◎講談社は創業110周年記念企画『大江健三郎全小説』の刊行(来年7月開始予定)へ向けて、フォーラム「なぜ、今、『大江健三郎全小説』を刊行するのか」を11月8日に「図書館総合展フォーラム」会場(パシフィコ横浜)にて開催する。
http://news.kodansha.co.jp/20170524_b01
https://eq.kds.jp/bookclub/10547/index.html?mode=preview
◎吉田秋生が1985〜90年代にかけて『別冊少女コミック』に連載した人気作品『BANANA FISH』がアニメ化され、来年フジテレビの「ノイタミナ」で放送されることが、23日に小学館の「吉田秋生特設サイト」を通じて発表された。
http://flowers.shogakukan.co.jp/y_diary/index.html
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/news044.html
https://mantan-web.jp/article/20171022dog00m200012000c.html
◎かつてミリオン出版(大洋図書の子会社)から1986〜2007年に発行され、最大発行部数は20万部にのぼったとされるグラビア雑誌『URECCO』がネット生放送の「マシェバラ」と大洋図書とのコラボ企画として復活。来年1月末に発売予定の創刊号に掲載されるグラビアアイドルを選出する「URECCO 誌面争奪オーディション」が今月末から始まるそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000020395.html
https://news.dwango.jp/2017/10/21/153416/gravure/
◎読売新聞大阪本社および同北陸支社(富山県高岡市)において、社員に違法な長時間労働をさせていたとして、昨年夏から今年春にかけて当該地区の労基署が是正勧告を行っていたと朝日新聞が報じた。
http://www.asahi.com/articles/ASKBN5F08KBNULFA02L.html
◎駿河台大学では秋の新聞週間(15〜21日)中、大学食堂で100円朝食をとる学生たちに毎日新聞の朝刊を無料で配布したそうだ。
https://mainichi.jp/univ/articles/20171020/org/00m/100/016000c
《朝食の習慣をつけると同時に活字離れを防ぐことが目的》と毎日新聞は報じている。もっとも毎日新聞にも他の目的があったのではないか。ファミレスやホテルのモーニングサービス中に無料配布される新聞の多くが、「押し紙」対策を兼ねていることは業界関係者の間では既によく知られているところだ。
◎プロデューサー・プランナーとしてアニメやSF映画、ゲームなどの情報をレポートしている高橋信之が『サンスポ』のコラムで「ブレイブストーム! 伝説のプロダクション宣弘社、その魂が蘇る!」と題して、『月光仮面』や『怪傑ハリマオ』などに遡る宣弘社の特撮作品の系譜も併せて紹介している。
http://www.sanspo.com/otacul/news/20171017/otc17101713450002-n1.html
しかし宣弘社というとこうした特撮ヒーローものの元祖として語られることが多いけど、一方では創業者の小林俊雄がラジオ広告、さらには高度成長期の銀座のネオンサインなど屋外広告に精力的に取り組んだことで「銀座の夜を演出した男」と呼ばれた故事も、広告業界的には忘れ去られてはなるまい。