【文徒】2018年(平成30)10月18日(第6巻195号・通巻1369号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「COREDO室町テラス」のメインテナントは何と「誠品生活日本橋
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】「COREDO室町テラス」のメインテナントは何と「誠品生活日本橋

仕掛けたのは三井不動産であった。
三井不動産は、中央区日本橋室町三丁目に建設中の建物の名称を「日本橋室町三井タワー」とし、商業施設「COREDO室町テラス」を2019年秋にグランドオープンすることを決定したが、メインテナントとして迎えるのが、台湾の「誠品生活」なのである。「誠品」は米国CNNの“世界で最もクールな百貨店14”に選ばれたし、「TIME」誌アジア版で“アジアで最も優れた書店”に選ばれたことでも知られている。その日本第一号店舗が「誠品生活日本橋」になる。
出店に当たって三井不動産株は誠品生活股フン(=人偏に分)有限公司と日本における誠品生活のライセンス保有会社として誠品生活MFを合弁会社として設立した。
「誠品生活日本橋」は、「日比谷セントラルマーケット」(東京ミッドタウン日比谷内)などを手がけて来た有隣堂がライセンシーとして店舗運営を担う。
三井不動産はこれまで商業施設運営において、多数の海外ブランドを誘致して来たが、ライセンス保有会社への共同出資は初めてのことだそうだ。出資比率は誠品生活が61%、三井が39%となっている。
「COREDO室町テラス」は「日本橋室町三井タワー」の地下1階~地上2階までを占め、「誠品生活日本橋」は2階全フロアを占める。「誠品生活日本橋」は書籍ゾーン、具・雑貨ゾーン、ライフスタイル体験型のセレクト物販・ワークショップゾーン、そしてレストラン・食物販ゾーンで構成されるそうだ。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2018/1015_01/index.html
https://www.sankei.com/economy/news/181015/ecn1810150021-n1.html
「フォーカス台湾」が「誠品生活、東京に日本1号店 19年秋開業 日台化の交流の場に」を掲載している。
「誠品生活の日本進出は、三井不動産の働きかけにより実現。会見に出席した三井不動産の石神裕之取締役常務執行役員は誠品を『台湾の宝』とたたえる。誘致は4年に及んだという。海外のブランドをテナントに選んだ理由については、歴史ある日本橋の再生には、外から日本橋を見てもらい、変えてもらう必要があるとし、その役割を誠品生活に託したと説明した」
http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201810160009.aspx
日経は10月15日付で「『おばあちゃんと孫とで来て』台湾・誠品生活が日本進出」を掲載している。
「記者会見に出席した誠品生活のマーシー・ウー董事長は『ビジネスパーソンにターゲットは絞らない』と話し、『おばあちゃんと孫が一緒にくる。そんな空間をめざす』とした。
三井不動産の石神取締役は『誠品生活をコレドだけでなく、多くの商業施設に出店いただくことで新たなライフスタイルを提案していきたい』と話し、今後は三井不動産の別の商業施設への出店も検討しているという」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36490370V11C18A0000000/
「誠品生活日本橋」を成功させれば、「ららぽーと」にも出店していくのだろう。
政治学者の鈴木一人が早速ツイートしている。
「台湾の誠品生活は本当に素敵な本屋さん。街のあちこちにあるが台北101の近くにあるお店が好き。台湾の本屋さんはまだまだ活況で台北駅の近くにも書店街がある」
https://twitter.com/KS_1013/status/1052162779090575360
こんな評価が早くも呟かれた。
「誠品生活日本に出店するのか。雑貨可愛いからチョット楽しみ」
https://twitter.com/fururu999/status/1051802441350402048
既に台湾の誠品生活は絶賛されている。
「誠品生活、誠品書店もセンス良すぎて雑貨好きなひとぶっ倒れると思う。デパートごと持って帰りたい…」
https://twitter.com/3210bw/status/1050307185710788608
堀江貴が絶賛しているのはホテル。台湾ではホテルも経営しているのか。
「こないだ誠品のホテルに泊まったんですが素晴らしかったです」
https://twitter.com/takapon_jp/status/1052105635574112256
蔦屋書店が代官山に出店するにあたって参考にしたのが「誠品」であったと言われている。
「台湾の誠品が遂に日本上陸。元祖が来ちゃうわけですが、CCCとかどうすんだろうなあ」
https://twitter.com/ODA_80_90/status/1051846750934159360
「誠品生活はパクリの蔦屋書店を駆逐して欲しい」
https://twitter.com/ddeadr1ngers/status/1051815942001291266
2016年7月のことだけれど、台北の誠品書店でマガジンハウスの雑誌の展覧会とトークイベントが実施された。こういうセンスが日本に上陸するのである。
https://www.wowlavie.com/action/event.php?id=1757
https://www.setn.com/E/News.aspx?NewsID=163198
ただし、私などは有隣堂が運営を担うことに一抹の不安を感じないわけではないが、「Numero TOKYO」の軍地彩弓が4年以上前にフェイスブックに投稿した章を読んでいると、「誠品生活日本橋」にやはり期待を抱かないわけにはいくまい。
「代官山TSUTAYAのモデルにもなっているとか。なにしろ興味の発信が『本』にあり、そこから広がる想像の翼としての物販がある。つまり『物語』がすべてを繋いでいるのですね。
今回いろいろ商業施設も回ったけどここが一番混んでいました。老若男女。大人も子ども。特にファミリーで楽しめる。
こんなところにいたら本好きになるよねー、と思いながら。
SNS大国でもある台北の一方で起きている『物語』ビジネス」
https://www.facebook.com/sayumi.gunji/posts/10201564260547670

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2)【本日の一行情報】

◎設立40周年を迎えたアミューズがマガジンハウスのカルチャー誌「BRUTUS」特別編集による「2018年の会社案内」を作成した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000203.000002883.html
その内容をネットでも公開している。
http://www.amuse.co.jp/amusebook2018/

◎9月末に岸田一郎編集長退任、荻山尚新編集長就任を発表した「GG」(ジジ)であったが、結局、休刊することになった。
https://www.wwdjapan.com/721306

神戸新聞NEXTの「美酒と学夜ごと語り24年 伝説の編集者のバー閉店へ」は次のように書いている。
「『ですぺら』という名のバーが兵庫県明石市にある。シングルモルトウイスキーの、通には知られた専門店だ。主は渡辺一考さん(71)。1970年代の『コーベブックス』を皮切りに、美麗な造本で愛書家をうならせてきた伝説の編集者だ」
「酒友でもある博覧強記の学者澁澤龍彦さんや種村季弘さんらの協力で、知られざる幻想学を出版。三橋敏雄さんら新興俳句の旗手の句集を編み、俳句史の刷新を試みた。俳人永田耕衣さん、詩人の多田智満子さんら地元の偉才の作品も世に送り、読書人の注目を集めた」
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201810/0011735582.shtml
渡辺が企画したタロット展には、その初日に寺山修司が「雨のなかを赤い雨靴を履いて」現われたそうである。
http://www.despera.com/bbs2/2008/07/post_362.html

講談社は、電子コミックサービス「コミックDAYS」において、「週刊少年マガジン」「モーニング」「ヤングマガジン」「イブニング」「BE・LOVE」「アフタヌーン」「Kiss」「月刊少年シリウス」「月刊少年マガジン」「少年マガジンエッジ「デザート」「なかよし」「別冊フレンド」という同社が擁するコミック13誌を月額960円(税込/初月0円)で読める定期購読プラン「もっとプレミアム」を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001898.000001719.html
電車のなかでマンガ誌を読んでいる乗客がいなくなったことを考えれば、当然の選択なのだろうが、このサービスが伸びれば伸びるほど、紙のマンガ誌の市場は縮小することになるのだろう。

◎日経の10月15日付「学研が学習塾100社連合 教育・入試改革で再編の波」によれば、学研ホールディングスは全国の約100社からなる「塾連合」を11月に立ち上げるという。IT化と少子化がもたらした歴史の必然である。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36482870V11C18A0000000/

◎「PRESIDENT Online」が元木昌彦の連載「週刊誌、私はこう読んだ」で新潮社を取り上げている。題して「爆笑太田が怒り続ける『週刊新潮』の迷走」。確かに斎藤十一が存命であれば「新潮45」騒動も起きなかったろう。元木もこう結んでいる。
「この現状を齋藤が見たらこういうに違いない。『いくら金になるからって下等な事はやってくれるなよ』。老舗の新潮ジャーナリズムが大きく揺らいでいる今こそ、編集に携わっている人間みんなで、雑誌のレーゾンデートルとは何かを、もう一度真剣に考えてみる必要があると、私は思う」
https://president.jp/articles/-/26456

集英社が11月1日にローンチする女性向けマンガアプリ「マンガMee」(マンガミー)は名作をカラー化して配信するプロジェクトに取り組む。第一弾は一条ゆかりの「有閑倶楽部」のオールカラー版を配信する。縦スクロールのマンガにも挑戦するなど意欲的である。
https://mantan-web.jp/article/20181015dog00m200039000c.html

花王のヘアケアブランド「セグレタ」と光社の女性誌「HERS」のコラボレキャンペーン『「自分のために」始めます!』企画がスタート。3カ月強にわたって、期間限定の読者ブログを開設するとともに、リアルイベントも開催、プロモーション企画も同時に展開していくことになる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000021468.html

小学館が運営する子育て・教育ウェブメディア「HugKum」(はぐくむ)の専用チャンネルが、10月12日、「SmartNews」チャンネルプラスでオープンした。
https://ict-enews.net/2018/10/15shogakukan/

橘玲の「『ヘイト』の烙印を捺されたら休刊の理由」は「ハリウッドがどんどんリベラルになり、グーグルやフェイスブックがあらゆる差別に反対するのは、リバタニアから排除されれば事業が成り立たないから」だと指摘している。グローバル化(≒アメリカ化)がPCに拍車をかけるという局面は確かにあるだろう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tachibanaakira/20181015-00098642/

集英社は「キングダム」のコミックス52巻の発売を記念して、1~30巻にビジネス書風の惹句を付けた特別版を三省堂書店、蔦屋書店などの書店で販売を開始した。確かに「今、一番売れている、ビジネス書」だ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1810/15/news100.html
https://youngjump.jp/kingdom/business/#/

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3)【深夜の誌人語録】

理想と夢は違う。理想はイデオロギーであるのに対し、夢は学である。