【文徒】2018年(平成30)11月13日(第6巻213号・通巻1387号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】アリババ11.11「独身の日」の衝撃
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.11.13 Shuppanjin

1)【記事】アリババ11.11「独身の日」の衝撃

毎日新聞グループホールディングス取締役の小川一のツイートによれば、11月11日は日本では46もの記念日があるという。鮭の日、サムライの日…。しかし、今や11月11日は中国のアリババが提唱した「独身の日」である。一日の取引額は3兆円を超える!https://twitter.com/pinpinkiri/status/1061722472700043264
産経ニュースは11月12日付「独身の日、取引3兆円突破 中国アリババ、最高更新」で次のように書いている。
「中国で『独身の日』と呼ばれる11日、インターネット通販各社が毎年恒例の値引きセールを展開した。最大手アリババグループサイトの取引額は2135億元(約3兆5千億円)となり、過去最高だった昨年の1682億元を大きく上回った」
https://www.sankei.com/economy/news/181112/ecn1811120003-n1.html
BBCによれば「今年の商戦の売上は、電子商取引における売上の世界記録を更新した」とも。
https://www.bbc.com/japanese/46175870
海外から商品を購入することを越境通販というが、この産経ニュースの記事はこう書く。
「国別で日本が首位で米国が続いた。商品別ではユニ・チャーム花王の紙おむつの人気が高かった。化粧品や健康食品も売れた」
https://www.sankei.com/economy/news/181112/ecn1811120003-n1.html
朝鮮日報が「アリババ『独身の日』セール、韓国3位復帰=1位は日本」を掲載している。これによれば1位が日本、2位がアメリ、3位が韓国、4位がオーストラリア、5位がドイツという越境通販の順位になっている。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/11/12/2018111200599.html
ロイターが発表した「アリババ、独身の日売上高は過去最高の307億ドル 伸び鈍化」によれば「独身の日は、米国の感謝祭後の『ブラックフライデー』や『サイバーマンデー』をしのいで、今や世界最大のオンライン小売売上高を記録する一大イベントになっている」そうだ。最高経営責任者(CEO)のダニエル・チャンが「独身の日セールはデジタル経済のオリンピックになった」と豪語するのも頷ける。もっとも、ロイターは「ただ前年比の伸び率は27%と、2017年の39%から鈍化し、これまでで最低になった」と書くことも忘れない。
いずれにしても、楽天の1年間の取扱高とほぼ同じ金額を一日で達成したことになる。中国が生産大国から消費大国へと変貌しつつあることを象徴していると言って良いだろう。
https://jp.reuters.com/article/china-consumer-alibaba-idJPKCN1NG0VM?feedType=RSS&feedName=special20
渡辺直美は、「独身の日」を記念する音楽イベントに招かれたという。しかも、マライア・キャリーと共演だ。
アリババグループのJack Maさんが主催している日本でいうと紅白的な中国の凄い音楽番組にまさかの本日生出演します。ビヨンセ踊るよー。8年前に上海万博でビヨンセやったら鬼スベりしたからトラウマだよ。テレビの前の13億人の前でスベりたくないよ。ちなみに、他の出演者はマライアキャリーだよ」
https://twitter.com/watanabe_naomi/status/1061185718184116225
断るまでもないだろうがアリババは私企業というよりも、中国の習近平体制の一部を担う「経済装置」であることを忘れてはなるまい。この「経済装置」を介して中国人民のみならず、全世界が監視されているのである。
政治学ではデジタル・レーニン主義という言い方もあるが(セバスチャン・ハイルマン)、これに倣えばデジタル習近平主義が志向するのは、ビッグデータ独裁であり、AI独裁なのであろう。歴史は習近平において「ビッグブラザー」を実現させるかもしれないのである。

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2)【本日の一行情報】

◎メディアドゥホールディングスの藤田恭嗣社長が設立した徳島県那賀町特産の木頭ゆずを使ったスイーツを販売する「KITO YUZU」は北千住駅に直結するメインフロアの2階に売り場をオープンした。
http://www.topics.or.jp/articles/-/123214

東洋経済オンラインの編集長に武政秀明副編集長が12月1日付で昇任する。武政は1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、日本工業新聞(現フジサンケイ ビジネスアイ)記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000095.000004767.html

幻戯書房は良い仕事をしている。神山睦美という名前に惹かれて日本国憲法と本土決戦」を購入してしまった私に、しかし後悔はない。神山は私が信頼を寄せて来た在野の知性のひとりである。神山は「はじめに」をポール・ニザンの「アデンアラビア」が冒頭に掲げる「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」を引用して書き起こし、「ここに収められた章のなかに『二十歳が一生のうち一番美しい年齢だなどとだれにも言わせまい』とする思いが、いまでも生きているならば、幸いである」と閉じている。帯にも引用されているけれど「あとがき」の次のような一節は印象深い。
「私たちが本当に対米従属からの脱却を図りたいなら、憲法をアメリカの押し付けとみなすのではなく、押し付けや従属という関係そのものを根底から改変するものとして九条を受け取ることである。のみならず、それを対米自立のための手段とするのではなく、対米自立の目的として育てていくことである」
https://genkishobo.exblog.jp/27116147/

西島大介の「ディエンビエンフー」(双葉社)が完結したが、読売新聞は11月8日付で「戦争の狂気に『嘘』で迫る…『ディエンビエンフー』 西島大介」を掲載している。ここで西島は次のように語っている。
「戦争が悪しきものなのは自明です。反面、子どもが戦争ごっこ興じるように、どこか人を高揚させるのも事実。その矛盾を表現するため、戦争を面白く軽薄に描くやり方も『あり』じゃないかと考えました」
https://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20181029-OYT8T50142.html

朝日新聞社の編集局に勤務する50代男性社員は約1900人分の個人情報が入ったノートパソコンを紛失。電車に置き忘れた。
https://www.sankei.com/affairs/news/181108/afr1811080048-n1.html

◎橋本花鳥の「虫籠のカガステル」(徳間書店リュウコミックス)がアニメ化され、Netflixで配信される。
https://www.cinematoday.jp/news/N0104799

小学館集英社プロダクションは、小学館のライフスタイル誌通販サイト「大人の逸品」を、11月9日(金)10時に、リニューアルオープンした。
https://www.dreamnews.jp/press/0000184361/
https://www.pal-shop.jp/ippin/

◎マガジンハウスは11月9日付で、「ギンザ」の河田紗弥編集長が「&Premium」編集部に異動し、「ギンザ」編集長には「カーサ ブルータス」副編集長の芦谷富美子が就任する人事を発表した。河田は1月に「ギンザ」編集長に就任したばかりであった。
https://www.fashionsnap.com/article/2018-11-09/magazine-house-ginza-change/

◎「週プレNEWS」の「フランス人記者が見る、安田純平氏『自己責任論』の根底にある社会的背景」でフランス「ル・モンド」誌の東京特派員フィリップ・メスメールは次のように語っている。
「日本社会が『情報の価値』よりも優先するのは『社会の調和と安定』です。リスクを冒して戦地から得る貴重な情報よりも、日本人が現地で事件や事故に巻き込まれないことが優先される。だから、政府は危険地域への渡航自粛を呼びかけ、テレビや新聞などの大手メディアもその要請を受け入れる」
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2018/11/09/107495/

日本ABC協会より、2018年上半期(2018年1~6月)の雑誌販売部数が2018年11月9日に発表されたが、宝島社は日本ABC協会に参加する雑誌の平均実売部数の合計が1,425,100部となり、全39の出版社の中で、トップとなった
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000768.000005069.html

◎小説投稿サイト「エブリスタ」は、イオングループの「未来屋書店」とコラボし、10~20代を対象とした「エブリスタ」発の児童書・ライト芸から選りすぐりの作品を紹介する「ココロ動かす本」フェアを、11月10日(土)から全国の未来屋書店98店舗で実施する。2019年1月31日までに未来屋書店公式アプリをダウンロード&会員登録すると、会員全員にオリジナル書き下ろし作品「あなたと私の関係は?mibon限定短編」がプレゼントされる。「あなたと私の関係は?」は2017年6月の閲読者数で エブリスタ総合1位に輝いた恋愛小説で、今年7月10日に一迅社メゾン庫より紙版が刊行されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000116.000009132.html
http://blog.estar.jp/archives/34461844.html

◎絵本作家・ヨシタケシンスケの限定デザインの紙袋やスマホ用壁紙がもらえる「“ちょっぴり”幸せ クリスマス絵本たっぷりあります」キャンペーンが、11月10日(土)より全国の未来屋書店で開催されている。
http://hon-hikidashi.jp/bookstore/66972/

◎「差別と想像力」と題された特集ばかりが話題となっている「新潮」12月号だが、岸政彦の「図書室」は芥川賞の候補となるのではないだろうか。岸は勁草書房から「マンゴーと手榴弾生活史の理論―」を上梓して、まさに学と社会学の二刀流で売り出し中である。
「私たちは、歴史と構造によって、私たちの人生の多くの部分を規定されてしまっている。そういう意味で私たちはひとりきりではない。そして私たちは、そうした歴史と構造のなかで、それぞれひとりきりの人生を送らなければならない。そういう意味で私たちはひとりきりである」
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b372622.html
岸は「私たちは、鉤括弧を増やすのではなく、減らす方向で考えたほうがよいのではないだろうか」と書いている。

◎NTTソルマーレが提供する「コミックシーモア」は、どの書店よりもいち早く読める作品を集めた「独占先行作品コーナー」を11月9日よりリリースした。独占先行配信される主な作品は次の通り。
小学館 フラワーコミックス「恋と弾丸」1巻~5巻/其野希望
ソルマーレ編集部「松岡、脱OLします」4巻/かいだ広
小学館 フラワーコミックス「心読みちゃんは赤らめる」1巻/さよし
小学館 裏サンデー女子部「プロミスシンデレラ」19巻/橘オレコ
小学館 裏サンデー女子部「おとな未満」1~3巻/ほの香
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000256.000009284.html

資生堂のWEB「花椿」に連載されていた「ダルちゃん」(はる檸檬)が単行本化されることになった。版元はコンペの結果、小学館に決まったが、何とコンペに勝ったのはポスト・セブン局。しかも、「女性セブン」ではなく「週刊ポスト」編集部の若手のお手柄だそうだ。このマンガ胸をキュンとさせるね。実写テレビドラマ化も可能なのではないだろうか。発売は12月6日。
http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp/comic2/
https://twitter.com/dullchancomics/status/1061850384845594624
https://www.shogakukan.co.jp/books/09179268

◎「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」の2018年ノミネート語30に、「グレイヘア」が選出されたが、2016年9月に「パリマダム グレイヘアスタイル」を発売し、いち早く女性の「グレイヘア」に注目したのは主婦の友社だった。今年10月には「グレイヘアの美しい人」を発売し、発売後即重版を達成している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000859.000002372.html

こうの史代の「ギガタウン 漫符図譜」(朝日新聞出版)を紹介する展覧会「ギガタウン・イン・テラタウン―こうの史代の『漫符図譜』」が、11月22日より京都国際マンガミュージアムで開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000560.000004702.html

◎「NEWSポストセブン」に掲載された「熱狂的ファン集めるラジオの底力、広告費増とネットの貢献」は「女性セブン」の記事である。
(ラジコの)「『エリアフリー機能』と『タイムフリー機能』によって、ラジオは『どこでもいつでも聞ける』という強みを手に入れたのだ」
https://www.news-postseven.com/archives/20181109_798403.html?PAGE=1#container

博報堂、大広、読売広告社の単体売上高。博報堂ではテレビとラジオが前年同月比を上回っている。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1646271

◎12人の声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」が12月よりコミカライズされる。しかも講談社少年マガジンエッジ」、講談社月刊少年シリウス」、一迅社月刊コミックZERO-SUM」の3誌で同時スタートする。
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1541833776

◎上毛新聞が11月12日付で「《ニュース最前線》出版不況 書店の挑戦 生き残りへ創意工夫」を掲載している。
未来屋書店(本部・千葉市)の高崎オーパ店は、同社が唯一、店に時間制のブックカフェを併設する店舗だ。料金は2時間500円。ドリンクコーナーが設置され、コーヒーや紅茶、ソフトクリームなどを食べながら、カフェの本棚に並ぶ本をゆっくり閲覧できる。『気軽な読書体験が出版物への興味を促し、経営存続につながる』と同店。利用者をさらに増やそうと、10月末、月額の会員制度を導入した」
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/91915

中央大学生協ってオレが学生だった頃と体質は変わっていないんだね。百田尚樹の「日本国紀」(幻燈舎)を「平成最後の年に満を持して出版された日本通史の決定版」として書籍売場レジ前で販売している。
https://twitter.com/chuocoop/status/1061072101128396800

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3)【深夜の誌人語録】

腰を低くすることが胸を張ることなのである。

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