【文徒】2018年(平成29)1月10日(第6巻3号・通巻1177号)

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1)【記事】漫画家の久世岳や小学館『&フラワー』編集部が「タダ読みサイト」の違法性をTwitterで主張
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】漫画家の久世岳や小学館『&フラワー』編集部が「タダ読みサイト」の違法性をTwitterで主張(岩本太郎)

商業雑誌に掲載された漫画が違法に転載された「タダ読みサイト」が横行している問題で、漫画家の久世岳がpixivに連載している自作のキャラ「うらみちお兄さん」が、その違法性を子どもたちに痛切に訴えるマンガを添えたツイートを4日付で発したところ、9日夕刻までに「いいね」が15万件以上、RTが12万以上に達する大反響。吹き出しの文字だけ引用すると、こんな内容だ。
《違法サイトの存在が周知されると余計に利用者が増えてしまうから 作家や出版社はだんまりを決め込むように、という風潮》
《違法サイトの違法性とは何たるかを理解してから 新たに利用を始めるなんて人は遅かれ早かれどうせ利用するよ  そもそも論点はそこじゃないんだよ》
《全部の漫画が勝手にタダで配られちゃったら 漫画を作ってお金を稼いで生きている漫画家や出版社の人達、本屋さんはどうなっちゃうかな?》
《お店で売ってるものをタダで撒き散らすことも それを利用することも、普通に考えてド☆違法だよ!》
https://twitter.com/9zegk/status/948843441378619392
出版社サイドからも共感の声が上がった。小学館『&フラワー』編集部の公式アカウントは6日付で引用RT。
《本当にそうなんです。正直、明らかに売り上げに影響出ています。このままだと違法サイトのせいで、漫画が世の中から無くなります…。(このツイートも偉い人に怒られそうだけど、、中の人減給されてもいいから声を大にして伝えたい)》
https://twitter.com/and_flower/status/949449798540697600
『ハフポスト日本版』の取材に対し、久世はTwitterを通じてこんなふうに回答してきたそうだ。
《この問題については以前から認識していましたが、個人でどうこうできる問題でもなく作家は著作権を侵害されながらも現状泣き寝入りするしかないともわかっておりました》
《以前、出版社の方へも問い合わせをしたのですが、それぞれの出版社の方でももちろん違法サイトの存在は把握した上で対処しようと動いてはいるそうです。
このような違法サイトは以前にもありましたし、それを消してもまた現れて...というように長らくイタチごっこのような状態が続いていることもあり、完全なる撲滅は今のところ出版社や作家だけの力では難しいのかもしれません。
かと言って直接大きな被害を受けている出版社や作家が何もしないのでは野放し状態が続くだけなので、少しずつでもそれぞれが声を上げていくように意識を持つことが現状大事なのかなと思います》
http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/06/manga-site_a_23326112/
実際、この問題では「出版社や作家が何もしない野放し状態」が、無料にてマンガが読めるメリットを享受するユーザーたちからは逆に醒めた目で見られてしまっているところに悩ましさがあるという現実は、久世の上記ツイートへの返信からも感じ取ることができる。
《すみせん(原文ママ
僕思いっきりそれです。
恐らく大半の無料サイトの利用者がこれですよね…。》
https://twitter.com/LieStitch626/status/949448928595927040
《まぁそういうことですね…
僕もとても好き…というわけではないので個人的には居なくなってしまっても問題はないです。
あとは僕が別の人の返信で綴った内容なのですが、学生は家庭によってはお小遣いの額的な問題で現状無料で読めてしまう漫画にまで手が伸びない…という理由もあります》
https://twitter.com/LieStitch626/status/949543766817320960
《今は法的にグレーな状況なのでダメだ買えなどとは言いません。モラルの問題です。
現在何人漫画家の方がいらっしゃるかは知りませんが、多くの方の仕事を奪う可能性のある行為に加担していることをお忘れなく》
https://twitter.com/ysntky/status/949548284506288134
《学生は家庭によれば数百円でも厳しいです…勿論話は理解していますし共感もしますが現状法で裁かれない事であれば本来漫画を通して我々を楽しませている作者の為にならないこととわかっていても利用してしまいます…
利用してしまうというより利用せざるを得ないに近いです…》
https://twitter.com/LieStitch626/status/949446752297394176
無論、その一方では「何とか現状を改善できないか」と真摯に訴えるユーザーの声もある。
漫画村、musicFM、Anitube
アニメ・マンガ・音楽業界をダメにする三種の「鈍」器を何とか追放しなければ》
https://twitter.com/Ebara_U/status/948919642340311040
漫画村については、上記『&フラワー』編集部のツイートへの返信に以下のように言及しているものもあった。
漫画村の真似をしてみることはできないだろうか?例えば小学舘さんの本をまとめたサイトを小学舘さんが作り、広告とか入れれば読者は無料で読めて会社は儲かるように
ツイートの漫画で楽に稼いでるて描いてたから多分お金は入ってくるんだろうし》
https://twitter.com/ehzDkcZaGttJmhk/status/949643145020563456
《トモリさんと言う方が、この問題を調べてあげてらっしゃいます。》
https://twitter.com/ootuyamayuko/status/949837285557587968
《【拡散希望漫画村は普通に違法サイト※でした。》
サーバーの所在地がウクライナで、ベルヌ条約加盟国。日本の著作物も保護されます。捕まりにくくしてるだけで脱法ですらないです。※著作権侵害親告罪ですが海賊版を許容する出版社が多数とは考えづらく、違法サイトと言って差し支えないという考え
https://twitter.com/memini_to/status/948582077422694400
他にも、版元の漫画誌編集者が自らTwitterで意見を述べたということから、様々な「提言」も返信されている。
《違法サイト問題とは少し違うかもしれませんが、音楽配信がアルバムの1曲単位でダウンロードできるように雑誌も1作品ごとにしてくれればお金を出したい作品はある。(ひとつの作品しか読みたくないのに紙の雑誌で買いたくない。)いっそ紙媒体をやめてコミック雑誌はストリーミングのみでいいかも。》
https://twitter.com/nylonfloren/status/949644282519891973
海賊版と競合関係にあると考えられる電子コミックの売り上げは猛然と成長しています http://www.ajpea.or.jp/information/20170725/index.html?… これはようするに御社のような旧来の出版社と、ケータイ、スマホ向けのカジュアルコミックとが競合しているという話なのであって違法サイトはあんまり関係ないんじゃないですか?》
https://twitter.com/ssig33/status/949657265962758144

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎7日に読売テレビ系で放送された「上沼・高田のクギズケ!」で、「講談社編集長」の藤谷英志が、貴乃花親方が独立のうえ「新たな相撲興行団体を起ち上げます」と断言。新団体の名称も考えてきたとして「シン・相撲」と発表したそうだ。藤谷は講談社で休刊した『GLAMOROUS』編集長などを務め、現在は同社と日経新聞との共同事業である無料ファッション誌『Ai』編集長だ。
http://news.livedoor.com/article/detail/14129357/
http://ad.kodansha.net/mag_info.php?id=66

開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』著者の畠山理仁と久米宏が『週プレNEWS』で対談。「泡沫候補」なるネーミングを考えた人はかなりの天才だと評する久米だが、一方ではマック赤坂との出会いをきっかけとして、そう呼ばれる彼らに対する認識を改めたとも語る。
《マックさんに会って以来、何十年と「泡沫候補」と言い続けてきたことを、心から恥じています。今度、ラジオで「泡沫候補という言葉を使った放送局に抗議の電話をかけよう」というキャンペーンをやってみようかな。本当に放送禁止用語にしてもいいぐらい、ひどい言葉ですよ》
http://wpb.shueisha.co.jp/2018/01/06/97166/

福井新聞が4日付1面の日付を「2017年(平成29年)1月4日」と誤記。翌日付でおわびと訂正。
https://twitter.com/Dear_Fukui/status/948784894603350016/
https://togetter.com/li/1186874

◎名古屋の東海テレビ放送(フジテレビ系)で8日の朝7時58分から放送が5分40秒に渡り中断するトラブルが発生し、放送エリア(愛知・岐阜・三重)の9割の世帯に影響が及んだと同社では発表。送信機器の故障が原因らしい。
http://www.sankei.com/west/news/180108/wst1801080029-n1.html
https://mainichi.jp/articles/20180108/k00/00e/040/205000c
こういう時の総務省(同地域の場合は中部管区行政評価局)による事故後の「査察」や、局から提出しなければならない「始末書」の報告項目は細部にわたる実に厳しいものらしい。

竹書房漫画誌まんがライフWIN』連載中の「ポプテピピック」がニコニコ動画でアニメ化。第1話が7日に配信されたところ、翌日までに再生回数が100万回を突破したそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/08/news021.html
ポプテピピック」はJR飯田橋駅の改札口を出てすぐの柱に掲出された、竹書房の道案内広告のキャラクターにも起用されている。今でもまだ掲出されているのだろうか。
http://blog.kocoronoblue.com/archives/50530566.html

◎米国アマゾンが2017年1月に始めた日本アニメ専門の定額課金見放題サービス「Anime Strike」が5日付で終了。
http://animationbusiness.info/archives/4656

◎3年前に中1殺人事件が起こった川崎市の工業地帯を舞台に、音楽ライターの磯部涼が『サイゾー』に連載したドキュメントが昨年末に『ルポ 川崎』として書籍化。同連載で写真を担当した細倉真弓による『写真集 川崎 KAWASAKI PHOTOGRAPHS』も同時に出版された。これを記念したトークライブが17日19時半から都内・代官山の蔦屋書店で開催される。ゲストは開沼博
http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2018/01/post_8115/

◎都内・立川市の「けやき出版」は多摩地域に密着した情報誌や書籍の発行のほか、「会える編集部」として自ら地域の行事にも積極的に参加。取材相手から出店を誘われたイベントでは、地元クリエーターの紙雑貨なども売るなどしながら読者との交流もはかったそうだ。社長の小崎奈央子はもともと目黒区内の中堅出版社(ネコ・パブリッシングか?)で車雑誌の編集者を務め、結婚・出産を機に退社。長男が小学生になったところで求人を探して2006年に同社に入社。高齢で後継者を探していた前の社長に頼まれ、創業家の人間でもないのに社長に就任したという。
http://keyaki-s.co.jp/
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201801/CK2018010802000123.html

◎アダルト雑誌やアイドル関連のコンテンツなどの版元「ジーウォーク」が、ケータイ小説の草分け的存在「魔法のiらんど」などで知られるエヌ・ティー・エスとの協力でスマホ向けのVRサイト「LOVR」を新たに立ち上げた。
https://lovr.jp/
http://www.cyzo.com/2018/01/post_147458.html

◎フォトジャーナリズム雑誌の『DAYS JAPAN』が「DAYS国際フォトジャーナリズム大賞2018」の運営資金を、同誌では初めてのクラウドファンディング(Campfire)で2月2日まで募集している。
https://camp-fire.jp/projects/view/56779
https://imaonline.jp/news/others/20171226/

大阪府泉大津市で昨年12月24日に開局したコミュニティ放送局FMいずみおおつ」は市内の主婦を中心に約10人をパーソナリティーに起用。日常の地域の情報や交通情報のほか、災害時の緊急放送、徘徊に出たまま戻らなくなった認知症の高齢者探しの呼びかけなども行っていくそうだ。
https://fmizumiotsu.jp/
http://www.sankei.com/west/news/171230/wst1712300035-n1.html

東日本大震災の発生後、主に東北地方の各地で相次いで開局した臨時災害放送局(災害FM)はいよいよ残りわずか。原発被災地である福島県川内村富岡町の住民が避難した郡山市で運営されてきた「おだがいさまFM」は今年度限りで閉局することを決定した。作家・柳美里が現地で運営に参加していることで知られる南相馬市の「南相馬ひばりエフエム」も年度末での閉局を検討しているという。
http://www.odagaisama.info/?page_id=26
http://hibarifm.wixsite.com/870mhz
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171227-231309.php