【文徒】2018年(平成30)2月27日(第6巻36号・通巻1210号)

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1)【記事】漫画村は合法? 仮想通貨採掘スクリプトなど問題拡大中の海賊版サイト
2)【本日の一行情報】
3)【人事】朝日新聞出版

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1)【記事】漫画村は合法? 仮想通貨採掘スクリプトなど問題拡大中の海賊版サイト(岩本太郎)

11日放送の『ニュース7』にてNHKが紹介したことから、ネットメディアのみならずマスメディアでも「漫画村」などの海賊版サイトの問題が大々的に報じられるようになった。番組では日本漫画家協会の理事長を務めるちばてつやが「特に、若い漫画家たちがかわいそうだ」などと訴えるインタビューを流しつつ、同協会が近く声明を発表することを紹介。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180211/k10011324911000.html
2日後の13日には同協会の公式サイトにも「日本漫画家協会が13日に「海賊版サイトについての見解」を公表した。
https://www.nihonmangakakyokai.or.jp/?tbl=information&id=7015
そんな展開での広報効果も大きなものがあったと言えようが、ネット上ではさっそく逆効果を指摘する声も上がっている。上記のNHKの番組中、「海賊版サイトを閲覧するだけの行為は、日本の法律では罪に問われることはない」との下りもあったことから、例えばネットメディアの『コジテク』は19日付で「漫画村は合法!NHKが漫画の海賊版サイトの閲覧に違法性はないと報道し利用者がさらに急増か」との記事を掲載。前月に「漫画村」自ら「漫画村は違法ではない」と主張した一件と併せて紹介している。
https://koji.tech/?p=15886
https://koji.tech/?p=14827
経済産業省が4年前にまとめた報告書では、海賊版サイトによる被害額として以下のような数字が挙げられている。上記のNHKもこれをもとに被害額は「500億円」と報じていた。
《ユーザーのオンライン海賊版利用時間を年間小売市場規模に換算すると、日本のマンガは500億円、アニメは1,488億円、 アメリカのマンガは1.3兆円、アニメは8,524億円相当の被害額となる 》
www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E003740.pdf
実用書やビジネス書の版元であるクロスメディア・パブリッシングもこの数字を踏まえつつ、一方で佐藤秀峰や吉田貴司など「コミックやマンガ雑誌の売上が落ちているのは海賊版の影響とは言えない」と主張する漫画家がいることにも言及。
《音楽業界で、違法ダウンロードに対抗してiTunesSpotifyが台頭してきたことも鑑み、そうしたストリーミングサイトと同様のシステムを出版社がつくることが求められているとも言えます。そうした観点で、「違法サイトの存在によって、初めて業界はその体制を時代に合わせて変えられる」という意見もあるようです。》
www.toushin-1.jp/articles/-/5374
他方、さらに厄介な問題点を指摘する声も挙がっている。『ねとらぼ』は24日付の記事で、セキュリティ会社のトレンドマイクロの調査データや同社担当者の証言をもとに、海賊版サイトが利用者に無断で“仮想通貨の採掘(マイニング)”を行っている実態に言及した。
《ある大手海賊版サイトでは、トップページを開いただけで採掘用のスクリプトが起動する仕様になっていました。》
《また別の海賊版サイトでは、表示された広告をクリックすることで同じく仮想通貨採掘がスタートするケースもみられました。こちらはサイト側ではなく広告配信側の問題ですが、こうした違法なサイトでは、一般的なサイトに比べて表示される広告内容もきわどいものが多くなりがちなため、「悪意のある広告が表示されるリスクは高いとみるべきでしょう」とトレンドマイクロは指摘します。》
《こうしたサイトを利用することで間接的に漫画文化の破壊に加担してしまうのはもちろんのこと、利用者自身もまた多大なリスクを負っているという点は自覚しておくべきでしょう。》
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1802/20/news114.html

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎作家・民俗学者の畑中章宏が『WIRED』の体制変更(紙版の発行休止など)によって行き場がなくなってしまった連載の引き受け先を自身のTwitterアカウントで募集中。
若林恵編集長がWIREDを解任されてしまい〈21世紀の民俗学〉の続篇の〈22世紀の民俗学〉が宙に浮いてしまったのでどこかで連載させてください。》
https://twitter.com/akirevolution/status/965606137432227840

◎版元のスキージヤーナル社が年初に倒産(経営悪化で賃金未払いなどに遭った元従業員らが破産を申し立て)したことにより発行が止まっていた『月刊剣道日本』の編集部員らがベースボール・マガジン社に版元を移し、『剣道JAPAN』を24日に創刊した。
http://www.bbm-japan.com/_ct/17149230
ただし現状では別冊形態であり、第2号は4月25日に発行だが、それ以降の刊行予定は白紙とのこと。元『月刊剣道日本』書籍出版部の月岡洋光と、同第7代編集長の安藤雄一郎が、再起にかける想いを剣道関連情報メディア『Kenjoy!!』のインタビューに応えて語っている。
https://kendopark.jp/kenjoy/kendo_japan
『月刊剣道日本』は休刊決定後、編集部員らが「休刊告知号」を製作のうえ昨年末からオンライン販売し、完売していたそうだ。
https://bushizo.com/media/201712/1611/
剣道はプロスポーツにもオリンピックにも縁がないが、多くの中・高には剣道部があり学校の体育授業にも取り入れられるなど、競技人口の裾野は広い。『月刊剣道日本』の営業マンも日頃から各学校の剣道部などへよく足を運んでいたのだろう。再録だが、スキージヤーナル社の倒産が報じられた後にもこんなツイートが上がっていた。
スキージャーナル倒産。剣道日本も出していた出版社、息子の先輩が勤めていて先週「年間購読してくれていた人がいたら本当に申し訳ない」と剣道部に来て頭を下げていたとのこと。倒産の報道の前に来られたんだな。どういう気持ちで母校に立ち寄ったんだろう。これから先の良い道が見つかりますように》
https://twitter.com/snow_branch/status/952809262215868416

◎「『朝日新聞慰安婦報道めぐる集団訴訟がすべて原告敗訴で確定』をめぐる反響」と題した「まとめ」を、朝日新聞編集委員で元東京社会部デスクの北野隆一が《今後の記録とするため、関係しそうな最近のあらゆるツイートを集めて》作成。
https://togetter.com/li/1203270
https://twitter.com/R_KitanoR/status/967935709817356289
北朝鮮拉致問題や水俣病問題のほか、連載「プロメテウスの罠」でも活躍したことで知られる北野だが、東大在学中には東大新聞の記者として山本義隆に直撃取材したりしながら全共闘世代の”その後”を追い、その成果を『プレイバック東大紛争』(講談社・1990年刊)というノンフィクションにまとめたキャリアの持ち主でもある。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062044950

◎新聞社の新卒採用試験はマスコミ企業の中でもとくに筆記のウェイトが高いことで知られるが、従来からとりわけ難易度が高いとされてきた朝日新聞が、来春の採用試験から従来型の一般教養試験に代わって、一般企業でもよく使われているリクルートのSPI3の導入を決めたそうだ。
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22435.html

◎さる20日の決算・役員人事報告会でも「海外が過去最高の収入」との発表があった講談社の、文芸第三出版部編集長・河北壮平と国際ライツ担当者らが『ITMediaビジネスオンライン』の取材に応えて好調の舞台裏を披露。
欧米のアニメ・マンガファンが集うポータルサイトでは、日本国内での知名度はまださほど高くない御影瑛路ライトノベル空ろの箱と零のマリア』が登録者数で断トツの1位だとか。講談社で御影を担当する泉友之によれば、御影の新作『殺人鬼探偵の捏造美学』が国内でも好評で、発売後1ヶ月で海外版の発売予定も決まったそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/23/news019.html

◎3月19日から六本木の森アーツセンターギャラリーで始まる「週刊少年ジャンプ展」に先駆け、同15日から26日まで、同じ六本木ヒルズヒルサイド2階カフェスペースに「ジャンプ図書館」が開設される。創刊号以来の50年間に発行された2406冊のほとんどが入場無料で読めるそうだ。
https://www.shonenjump.com/j/sp_toshokan/
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1802/26/news045.html

◎『日刊サイゾー』が神田神保町すずらん通りの古書「湘南堂書店」社長が児童ポルノの写真集や書籍の販売で摘発された一件を追跡レポート。界隈の同業者や常連客の間では「摘発は時間の問題だった」との声も挙がっていたそうだ。少し前には、10代初めの栗山千明のヌード写真集『神話少女』(篠山紀信・新潮社から1997年刊行・絶版)も陳列し、10万円で販売していたとか。かつて児童ポルノ法に抵触するのではないかと物議を醸した作品だ。
http://www.cyzo.com/2018/02/post_152464_entry.html

◎在英ジャーナリストで英国や欧州諸国のメディアウオッチャーとしても有名な小林恭子が、新著の『英国公文書の世界史:一次資料の宝石箱』(中公新書ラクレから3月8日発売予定)の刊行に際して一時帰国。3月25日には横浜の日本新聞博物館で「英国国立公文書館から見える英国社会とメディア」と題して講演を行うことになった。
http://newspark.jp/newspark/news/2018/0215_000070.html

熊本県内のNHK総合テレビで、平昌五輪のカーリング女子決勝を中継中の25日午前10時台に画面が黒くなり音声も止まるなど放送が約14分間に渡って中断するトラブルが発生。視聴者からの電話による問い合わせや苦情が約30件寄せられたとのこと。
https://www.asahi.com/articles/ASL2T6JJNL2TUCLV008.html

大阪市中央区西心斎橋付近の通称「アメリカ村」の名物書店として知られる「スタンダードブックストア心斎橋」店長の中川和彦が産経新聞「ミナミの語り場」に登場。「ふらっと入れる昔ながらの『町の食堂』的な本屋を目指している」という同店の成り立ちなどを語っている。
http://www.sankei.com/west/news/180222/wst1802220025-n1.html

◎ライブハウス「ロフト」の創始者であり、トークライブハウス「ロフトプラスワン」などの席亭としても知られる平野悠がリクルートの食情報サイト『メシ通』のロングインタビューに登場し、プラスワン誕生のきっかけから今日までを語っている。
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/nipopo/17-00491
来たる3月20日には新店舗として”ロック討論酒場”を謳う「ROCK CAFE LOFT (アナログロック喫茶&ロック居酒屋)」を歌舞伎町にオープン。当日は『出版人・広告人』で連載中のPANTA頭脳警察)も出演するそうだ。
https://twitter.com/yu_hirano/status/963632429444616197

インプレスR&Dから『インターネット白書2018』が9日に発売。同時に前年の2017年版がネット上で全文無料公開された。以前からの施策だが、代表の井芹昌信が《このことはあまり知られていないと思うので》と、改めてこの「インターネット白書ARCHIVES」について解説している。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/imreboot/column/1107728.html

◎『コロコロコミック』3月号掲載の漫画『やりすぎ!!!イタズラくん』でのモンゴルの英雄チンギス・ハーンに関する表現をめぐる問題で26日、日本在住のモンゴル人ら約90人が小学館の本社前で抗議集会を開催。同号の回収と誠実な謝罪などを求め、抗議文を同社に渡そうとしたが正面玄関が施錠されていたため断念。集会後に小学館あてに郵送したという。
https://mainichi.jp/articles/20180227/k00/00m/040/062000c
ウェブサイト「モンゴル情報クローズアップ!」によると、デモ参加者の代表は《われわれは来週満足な回答をもらえない場合、世界各国のモンゴル同胞に呼びかけて世界規模の抗議活動を行い、小学館の卑劣な行為を全世界に訴えていく。もちろん法的手段も辞さたい所存である》(以上、原文ママ)などと述べたという。
http://mongol.blog.jp/2018/02/26/51973138
共同通信の配信記事によれば紀伊國屋書店では25日から全店舗で「コロコロコミック」3月号の販売を中止したそうだ。
https://www.nikkansports.com/general/news/201802260000629.html
モンゴル商事の桜井たけしが次のようにツイートしている。
紀伊国屋書店は25日から、全店舗で3月号の販売を取りやめた。 感謝」
https://twitter.com/Morinhoor/status/968068926130171904
モンゴル商事のホームページを見ると主要取引先に小学館の名前がある。
http://mongolshoji.co.jp/company/

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3)【人事】朝日新聞出版

須田 剛
(新)書籍本部長 兼 書籍編集部長
(旧)書籍本部長 兼 生活・文化編集部長

今田 俊
(新)書籍本部生活・文化編集部長
(旧)雑誌本部医療健康編集部長

片桐 圭子
(新)営業本部宣伝プロモーション部長
(旧)雑誌本部アエラ副編集長

渡部 薫
(新)雑誌本部アエラ編集長代理 兼 紙面委員
(旧)雑誌本部アエラ副編集長 兼 紙面委員

友澤 和子
(新)朝日新聞社 教育事業担当補佐
(旧)書籍本部書籍編集部長 兼 選書編集長