【文徒】2018年(平成30)3月8日(第6巻43号・通巻1217号)

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1)【記事】金平茂紀を蝕む「沖縄差別」
2)【記事】創刊130周年を迎えた「國華」について
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.3.8 Shuppanjin

1)【記事】金平茂紀を蝕む「沖縄差別」

沖縄タイムスプラスに掲載されている「どこへゆくオキナワンボーイ 歌が聞こえなかった名護市長選」(金平茂紀)なる文章を読んで思った。「沖縄差別」の根っこにはこの手の決めつけがあるのではないだろうか。単なる「おっちょこちょい」の水準で片づけられる問題ではあるまい。
「君らは小泉進次郎三原じゅん子の顔をみられてよかったね。それは羽生結弦選手をみるために成田空港に出迎えに行った若者たちとそんなに変わるものじゃない。けれど、それで名護市のどこがどう変わるんだい?
彼や彼女はもうしばらく名護には来ないぜ。彼ら彼女らは、お呼びがかかればどこにでも行く国会議員の人気者だ。名護だけにいつまでも関わってはいられない。次は石垣市かもしれないし、その次は沖縄市かもしれない。呼ばれればどこにでも行って、耳触りのいいことを言って帰る人たちだ。何てかっこいい人たちなんだろう。君らはそう思ったかもしれない」
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/217822
金平は熊本博之の連続ツイートを読んだのだろうか。
「あなたが如何に沖縄が好きだろうとも、あなたの好きな沖縄があなたの気に入らない決断をしようとも、自分たちに『途轍もない責任がある』と反省してみせようとも、あなたに名護の若者たちを馬鹿にする権利はない」
https://twitter.com/kumapooh0301/status/970820249326145537
「馬鹿になんかしていない、と反論するだろう。渡具知さんに投票することの意味を教えてあげようとしているんだというだろう。でも、馬鹿にしてるんですよ、あなたは。そういう上から目線の説教を、若者はとても嫌う。嫌いな人のいうことを若者がきくわけないだろう」
https://twitter.com/kumapooh0301/status/970820726272884736
「もし名護の若者に、あなたたちの判断はあなたたちの将来を不幸にするよ、ということを伝えたいのなら、若者に嫌われないような言い方を考えるべきだ。... 名護の若者が、進次郎がかっこいいから、ゴミの分別が楽になるから、スタバがほしいから、渡具知さんに投票したのだと、本当に思ってるのか?」
https://twitter.com/kumapooh0301/status/970821068242997248
「思ってるのならあなたは何もみえてないし、思っていないのにそう書いたのなら、やっぱり馬鹿にしている。かれらが渡具知さんのどこに希望を抱いたのか、稲嶺さんのどこに失望したのか、それを理解しようとすることなしに、かれらの行動を批判することはできないはずだ」
https://twitter.com/kumapooh0301/status/970821320513589249
「この文章は、むしろ名護の若者を、政治から遠ざける結果しか生まない。政府に荷担してどうするんだよ、マジで。タイムスもなんでこんな文章載せるんだよ。連載だからってそのまま載せればいいって話じゃないだろ。なんで読んだこっちがワジワジーさせられるんだよ!」
https://twitter.com/kumapooh0301/status/970821647685976064
熊本の指摘に私は同感する。そう言えば藤井誠二が「この金平さんの文章、なんか上から目線であと味悪いなあ。沖縄大好きサヨクインテリってこうなるんかなあ。そう感じるのは僕だけかなあ」とツイートしていたが、「僕だけ」では決してあるまい。
https://twitter.com/seijifujii1965/status/970873875293548544
次のようなツイートも発見。久しぶりに異議なし!と叫びたくなった。
「この2018年3月段階において、沖縄の音楽が『呆れるほど好き』として多数の沖縄音楽家の名を挙げながら、護得久栄昇先生に一言も触れない人は何をやってもダメ」
https://twitter.com/grossherzigkeit/status/970918687715639296
チャメッ、チャメッ、アッチャメー!私が若かったら、あんたの人生チンダミしてたよ。
https://www.youtube.com/watch?v=7_Dlch0rOqc
藤井は金平を「沖縄大好きサヨクインテリ」と位置付けているが、金平はサヨクとしても、インテリとしても半端なのである。金平もまた「呼ばれればどこにでも行って、耳触りのいいことを言って帰る人たち」のひとりに過ぎないのである。

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2)【記事】創刊130周年を迎えた「國華」について

創刊記念「國華」130周年・朝日新聞140周年 特別展「名作誕生−つながる日本美術」が東京国立博物館平成館で4月13日(金)より開催される。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1889#top
この展覧会で菱川師宣の「見返り美人図」が公開されるが、そこで「週刊朝日」3月16日号(3月6日発売)の表紙を飾ったのは、見返り美人に扮した壇蜜であった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000388.000004702.html
岡倉天心と高橋健三の二人が中心となって創刊された「國華」は現存する雑誌のなかでは最も古い雑誌として知られている。1889年(明治22)の創刊である。
「國華」の名編集者といえば高橋の甥にあたる瀧精一であろう。瀧は1898年(明治31)から1945年(昭和20年)5月に72歳で亡くなるまで率いた。瀧は東大教授として美術史を教えていたこともあって、美術界において絶大な権威と権力を持っていたと考えられる。
谷沢永一の「読書通-知の巨人に出会う愉しみ」(学研新書)によれば、美術史学者・八代幸雄が1925年、35歳でイタリアルネサンス美術研究書「サンドロ・ボッティチェルリ」を英文によって刊行し、欧米で名を上げると「嫉妬に狂った東京大学系の美術史学者は申し合わせたように以後ながく黙殺をもって遇し、斯界の親分格である拙庵瀧精一に至っては、この刊行に激怒したと伝えられている。ちなみに、この瀧精一は後継者たるべき助教授に、団伊能という学者としては全く無能な男を選んだ」という。
高階秀爾らを翻訳者にして「サンドロ・ボッティチェルリ」が岩波書店から刊行されたのは1977年(昭和52)になってからのことである。英文で刊行してから半世紀以上が経っていたことになる!
団伊能の父は血盟団事件で殺された団琢磨であり、息子は団伊玖磨である。
https://hon.gakken.jp/book/1340345400
http://www.kamit.jp/15_kosho/40_yashiro/xbotticelli.htm
こういう雑誌の歴史を忘れてはなるまい。

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3)【本日の一行情報】

◎料理をメインとした生活実用情報誌「オレンジページ」がメニュー原案&監修をつとめ、「メロディ」に連載されているマンガ「はらぺこ男子飯」(芳川由実)のコミックス1巻が白泉社から発売となった。
https://www.youtube.com/watch?v=2e9rAksxqkk&feature=youtu.be
http://www.dreamnews.jp/press/0000169594/
こうした出版社の垣根を越えた取り組みは、もっと増えて欲しいものだ。

◎FRONTEOの100%子会社で人工知能を活用したデジタルコミュニケーション事業を展開するFRONTEOコミュニケーションズと学研塾ホールディングスは、自立型個別学習塾「G-PAPILS」において、見守り支援ロボット「Kibiro」(キビロ)を活用した「家庭学習の促進」に関する実証研究を3月中旬より開始する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000199.000006776.html

◎ニューアルバム「VECTOR」をリリースし、全国ツアーも始まるBLUE ENCOUNTの魅力を一冊に詰め込んだ「BLUE ENCOUNTぴあ」が発売された。この手のオフィシャルブックは、ぴあならではの出版物であろう。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000786.000011710.html

山本一郎が「ヤフー!ニュース個人」に発表した「小学館、外務省のやらかしで『チンギスハン肖像画に落書きのコロコロコミック発売中止』の不幸なやばみ」は次のように結ばれている。
「繰り返しになりますが、私自身も今回のコロコロコミックの表現は望ましくないものだと思っています。しかしながら、日本人が持つ表現の自由は大多数の人たちから嫌われる少数者の表現も許容され、守られるために存在すると認識しています。日本が言いたいことを言える世の中であり続けるためにも、本件のような問題はきちんと考察しておくべきでしょう」
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20180306-00082403/
この文章を踏まえて竹熊健太郎は次のようにツイートしている。
「この切込隊長の意見には賛成だ。コロコロに抗議するのは構わないが外務省が率先して圧力をかけるのは明らかに憲法違反」
https://twitter.com/kentaro666/status/970947562789249024
中川淳一郎のツイート。
コロコロコミックチンギス・ハーン問題。学生プロレスの卑猥なリングネームの数々にも飛び火しそうで恐ろしいわ。『どうせバカなことやってるんだから(苦笑)』というのが通用しない世の中なんだな」
https://twitter.com/unkotaberuno/status/970950430711664640
田中芳樹事務所の代表である安達裕章は次のようなツイートを投稿している。
「『モンゴル外務省から抗議があった』と、日本の外務省が小学館に伝えたところ、最終的に一部書店がコロコロコミックの発売を取りやめたらしい。
全国の医療関係者が近藤誠氏やらのニセ医学本についての抗議を厚生労働省に伝えたとしたら、厚生労働省は版元にその声を届けてくれるんだろうか」
https://twitter.com/adachi_hiro/status/969038065036541952

◎「ニュース女子」の放送が東京MXテレビでは終了となるが、番組自体は終了しないようだ。制作会社のDHCテレビジョンが山田晃代表取締役社長名義で「『ニュース女子東京MXテレビの放送終了について」を発表した。
DHCテレビジョンが製作しております番組「ニュース女子」は2018年3月26日の放送を持ちまして東京MXテレビでの放送を終了いたします。
なお、番組製作はこれまで通り継続し、4月以降インターネット媒体はYouTubeライブ、ニコニコ生放送Fresh!にて毎週月曜22時から最新分をライブ配信いたします。
また、衛星放送や地方局での放送も継続いたします。
今まで東京MXテレビニュース女子をご覧いただきました皆様、ありがとうございました。
4月以降はインターネットなど各種媒体にて引き続き番組をご愛顧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます」
https://dhctv.jp/information/2018-03-05-309104/

◎大広の4月1日付執行役員人事、6月取締役内定人事が発表された。
https://www.daiko.co.jp/dwp/wp-content/uploads/2018/03/180306_release.pdf

ビジョナリーホールディングスの子会社であるメガネスーパーは、「i-mine」コラボ企画第3弾として、集英社女性誌Marisol」(マリソル)と、トレンド感とオトナらしさのバランスを程良く兼ね備えた「i-mine」(イマイン) 第3弾を、全国のメガネスーパー、メガネハウス、シミズメガネの店舗にて3月7日(水)から販売している。
https://www.meganesuper.co.jp/glasses/marisol-i-mine/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000019511.html

日本橋三越本店は春の社交シーズンに向けてエレガントでラグジュアリーなスタイルを提案する「Royal Lady Debutante」をハースト婦人画報社のファッション誌「25ans」との合同イベントも交えて開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000638.000008372.html

主婦の友社は「S Cawaii!」の季刊ムック化を決めた。5月7日売り6月号をもって月刊誌としての刊行を止め、8月6日発売の秋号より季刊に移行する。季刊化にともないブランドやIPを生かした新規事業にも挑戦するそうだ。

朝日新聞社朝日放送は共同で、全国のコミュニティを動画によって支援する新チャンネルブランド「#ONE!」(ワン)をYouTube上に立ち上げ、その第1弾として「#部活ONE!」(URL:https://www.youtube.com/c/BukatsuONE/)を開設した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000500.000009214.html
https://www.youtube.com/c/BukatsuONE/

小学館が運営する介護情報サイト「介護ポストセブン」が2月に月間233万PV/104万UUを突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000013640.html
https://kaigo.news-postseven.com/
「ポスト」でも「セブン」でもなく時代は「ポストセブン」へ。

◎2009年から2013年に「週刊少年マガジン」で連載されていた「我間乱」の連載がアプリ「マガジンポケット」で3月22日(木)から再開されることになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001624.000001719.html

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4)【深夜の誌人語録】

仕事の基本は「先手」にあり。後手後手は仕事にとって失敗の始まりである。