【文徒】2018年(平成30)6月7日(第6巻104号・通巻1278号)

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1)【記事】ゲームアプリ「画太郎ババァタワーバトル」配信中止
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.6.7 Shuppanjin

1)【記事】ゲームアプリ「画太郎ババァタワーバトル」配信中止

集英社の「少年ジャンプ+」編集部は、「ゲームアプリ『画太郎ババァタワーバトル』配信中止のお知らせ」を発表した。
「6月4日に株式会社ミリオンダウトよりリリースされたゲームアプリ『画太郎ババァタワーバトル』を、同社と協議のうえ、本日、配信中止といたしました。
同ゲームは、集英社の許諾のもと、ミリオンダウトにより企画開発されたもので、先行するパズルゲームのひとつ『どうぶつタワーバトル』の面白さとアイデアに着目して、それらを漫画キャラクターの世界観の中で新たに組み立てられないかと模索し制作されました。
しかしながら、結果的には『どうぶつタワーバトル』の開発者の方に対する敬意と配慮に欠けた内容のリリースとなってしまい、反省しております。
先行ゲーム開発者のYabuzaki様、ならびに配信中止によりご迷惑をおかけしたユーザーの皆様に、深くお詫び申し上げます」
https://babaa.jp/
これは「どうぶつタワーバトル」開発者のツイート。
「漫画大好きだけど、2巻発売記念リリース☆みたいなノリでパクられてるのすごく悲しい」
https://twitter.com/planet12app/status/1003565224211804160
開発者のみならず「どうぶつタワーバトル」と似ているとの声がSNSで上がったようだ。「BIGLOBEニュース」は「集英社の『画太郎ババァタワーバトル』が物議 ゲーム内容が『どうぶつタワーバトル』と類似も作者に無断」を掲載している。
「キャラクターを回転させるなどしてバランスよく積んで競うというゲーム内容は、動物を積み上げる人気ゲーム『どうぶつタワーバトル』と似ているとの指摘が多数。『もし悪ノリだとしても度が過ぎて不快』『きっと問題ないからリリースしてるんでしょうけど、世間からの心象は最悪』『許可無しにリリースは流石にあかんやろ』と批判する声や、『版権で食っている企業がここまで露骨な盗作をやるのは、ちょっと』といったコメントが寄せられている」
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0605/blnews_180605_6275475458.html
こうしたネット民の評価に集英社は敏感に反応した。「どうぶつタワーバトル」開発者は悲しいと心情を吐露してから一日と経たないうちに次のようにツイートしている。
「ジャンプ+の担当者さまから、パロディ的なもので明確な差異があり利益的な侵害は生じないと考えていましたが、作者が悲しい気持ちになるとは想像しておらず配慮・敬意不足でしたとメールをいただきました。
先ほどストアの配信を停止したとご連絡もいただきました」
https://twitter.com/planet12app/status/1003932028469821440
集英社のリスクマネジメントは相当、高い水準にあると言って良いだろう。その運動神経の良さに脱帽したい。

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2)【本日の一行情報】

鹿砦社はブログ「世に倦む日日」の主宰たる田中宏和と絶縁宣言。
「『SEALDsの真実』『しばき隊の真実』の在庫を断裁処分し絶版にすると共に、田中宏和氏との絶縁するほか選択肢はない。版権は放棄するので他社で再刊いただきたい」
http://www.rokusaisha.com/wp/?p=26239

◎中山七里は宝島社の「このミステリーがすごい!」で「さよならドビュッシー」が大賞を獲得しているが、同時に応募した「連続殺人鬼カエル男」も最終選考に残ったという。同一投稿者の2作品が最終選考まで残ったのは「このミステリーがすごい!」大賞の選考史上、初めてのことだった。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」は7年ぶりの続編だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000688.000005069.html

◎今年で創業140周年をむかえる春陽堂書店は、自社ウェブサイトをリニューアルし、「もっと知的に もっと自由に」をコンセプトに文学、芸術、生活に関する記事も連載する。
http://www.shunyodo.co.jp/
岡本綺堂の「半七捕物帳」は光文社文庫ではなく春陽文庫で読んだ。江戸川乱歩もそうだった。昭和の初期に「明治大正文学全集」を刊行し、円本ブームの一翼を担ったことでも知られる版元である。
https://www.shun-yo-do.co.jp/history/

集英社女性誌メディアネットワーク「HAPPY PLUS」(ハピプラ)が1億6,000万PVを突破した。
Marisol ONLINE」3,904万PV(前月比111%)
「SPUR.JP」    3,226万PV(前月比120%)
「MAQUIA ONLINE」2,497万PV(前月比121%)
「@BAILA」   1,715万PV(前月比107%)
「DAILY MORE」  1,522万PV(前月比101%)
「non-no Web」 1,390万PV(前月比100%)
「LEE」     1,071万PV(前月比103%)
「Web eclat」   682万PV(前月比113%)
「HAPPY PLUS ONE」128万PV(前月比104%)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000011454.html

◎「WWD」の書く通りだ。
「紙媒体とウェブ媒体を並行して制作するメディアが大半を占める中、一つの編集部で運営するか、それぞれに編集部を設けるかは各メディアで異なるが、今回の人事で、講談社が発行する女性誌の編集部は紙媒体とウェブが分離する組織となった。新体制のもとデジタル施策にさらに注力していくのが目的だ」
https://www.wwdjapan.com/624544

◎「白泉社即日デビューまんが賞2018」が7月29日に開催される。鳥嶋和彦社長は相変わらず熱いぜ!激しいぜ!ひとりでやっている人はプロになれない。編集者がついて作らないものはマンガではない。マンガみたいなものだと。
http://www.hakusensha.co.jp/sokujitsu-manga/
これ、このまま文字起こしをして記事にしたいなあ。オレ、聞き惚れちゃったもん。鳥嶋は編集者の資質についても的確な発言をしている。ズバリと作家に切り込まず、斟酌、忖度しちゃう編集者が多くなったように思うんだよね。

TOKYO FMをはじめとするJFN38局では、8月5日(日)に村上春樹を迎えて村上自身がディレクターをつとめる特別番組「村上RADIO」を放送する。テーマは「RUN&SONGS」。むろん、選曲も村上が担当する。ラジオ史上、初めてとなる取り組みだ。村上が「他の番組ではあまり聴けないような曲を、でもできるだけ寛いで聴ける音楽を選んでかけていきたいと思います」と語っているだけに一聴の価値はありそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001422.000004829.html

◎CookpadTVは、全国の流通チェーンと連携し、売り場で料理動画を配信するサービス「cookpad storeTV」において、サイネージの導入数が6,000台を超え、全国47都道府県のスーパーマーケットへの設置を完了している。2018年5月末時点でトライアル実施店舗を含めた導入チェーン数は42チェーンへと拡大、6月末までに3,000店舗、2018年 年末までに5,000店舗への導入を目指す。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000027849.html

電通は、フジテレビで6月20日(水)の深夜24時30分〜25時30分(関東ローカル)に放送されるドラマ「名探偵コジン〜突然コマーシャルドラマ〜」において、本編にCMを融合させる広告手法「アドフュージョン」を実施する。
アドフュージョンとは、CMとの融合でメインコンテンツの魅力をさらにアップさせる新しい広告手法で、その第1弾となる。電通のアドフュージョンチームとフジテレビの制作チームが共同制作し、CMが主人公の性格や特徴の一端をのぞかせる役割を果たしたり、事件の謎を解く鍵になったり、まさかの時の重要アイテムになったりするのが見どころになる。
スポンサーはサントリーホールディングス、エクスコムグローバル、LINEの3社である。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018064-0605.pdf
日刊スポーツが記事にしている。
「野崎理プロデューサーは『主人公の探偵が幽霊という奇想天外なストーリーはもちろん、本編の世界感そのままにCM部分に突入し、さらにそのCM部分が結末に大きく関わってくるという番組システム全体にもご注目いただきたいです。この番組が、テレビの可能性を変えるきっかけとなり、見てくださった視聴者の方々がフジテレビが深夜に面白いことをやっているなと思ってもらえたら本望です』と語った」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201806050000389.html
こういう挑戦、好きだなあ。出版業界も見習うべきだ。まだまだやっていないことは多いはずだ。いずれにしても、電通はアドフュージョンを「ドラマ×CM」にとどまらず、バラエティー、映画、スポーツ、ゲームなど、コンテンツカテゴリーの垣根を超えたところで活用する手法を検討していくそうだ。

書泉ブックタワー含む書泉の店舗における5月の「女性タレント写真集売上ランキング」。
1位 菜乃花DVD付き写真集 ICHIZU (秋田書店、 発売4/27)
2位 西野七瀬1stフォトブック『わたしのこと』(集英社、 発売5/9)
3位 飯窪春菜モーニング娘。 ’18)ビジュアルフォトブック「female」
(オデッセー出版、 発売5/12)
4位 AKB48総選挙公式ガイドブック2018(講談社、 発売5/16)
5位 有村架純写真集 「Clear」(集英社、 発売5/9)
6位 小倉優香ファースト写真集 ぐらでーしょん(講談社、 発売5/22)
7位同率 AKB48 Team8 4th Anniversary Book(光文社、 発売4/27)
7位同率 志田未来 写真集 『 AM/PM 』(ワニブックス、 発売5/10)
9位 乃木坂46 星野みなみ1st写真集 いたずら(白夜書房、 発売4/10)
10位 大原優乃ファースト写真集 ゆうのだけ(集英社、 発売3/1)
https://www.rbbtoday.com/article/2018/06/05/161051.html
集英社が3点もランクインさせている。

鉾田市(茨木)は6月6日「メロンの日」に合わせて、エッセイスト&バーマン島地勝彦を起用したWEBサイト「メロンダンディズム」をオープンした。
島地が、愛飲する銘酒「タリスカー10年」を用いた新たなメロンレシピ「タリスカーメロンソーダ 」を開発したんだってさ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000018285.html
にしても、島地さん、元気だ。

◎6月6日午前11時より、帝国ホテル本館2階 孔雀の間で「浜田博信 お別れの会」が開かれた。講談社野間省伸社長が書いているように浜田さんは「気配り」と「胆力」の人であった。その「気配り」と「胆力」で野間佐和子社長を支え切った。ご冥福をお祈りしたい。

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3)【深夜の誌人語録】

配慮は気がつかれたならばスタンドプレイでしかない。