【文徒】2018年(平成30)7月24日(第6巻136号・通巻1310号)

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1)【記事】杉田水脈LGBTに生産性なし」で炎上・殺害予告に関連ツイートを削除
2)【本日の一行情報】
3)【人事】集英社 7月15日付人事異動

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1)【記事】杉田水脈LGBTに生産性なし」で炎上・殺害予告に関連ツイートを削除(岩本太郎)

杉田水脈が18日発売『新潮45』8月号に寄せた「『LGBT』支援の度が過ぎる」をめぐってまた炎上した。同号の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」の7本中一番最後に掲載された論考で、表題通りLGBTに関する朝日新聞の論調を俎上に載せたものだが、論旨が途中から朝日批判より杉田自身のLGBT論へとシフトし、《LGBTカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない。つまり「生産性」がないのです》と書いたことについて、同じ衆議院議員尾辻かな子立憲民主党)が発売当日の夕刻、Twitter上で同記事のコピーを写真に添えながらさっそく槍玉に挙げた。
杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌「新潮45」への記事。LGBTカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、その事自体に価値がある。》
https://twitter.com/otsujikanako/status/1019511223979728896
ここから話題が拡散したらしい。杉田はTwitter上で「記事を全部読めば理解してもらえる」との趣旨のツイート(現在は既に削除)をしながら釈明に務めていたが、21日夕刻には毎日新聞が《LGBT「生産性なし」自民・杉田議員の寄稿が炎上》と報じたこともあってか、さらに騒ぎが拡大。
https://mainichi.jp/articles/20180722/k00/00m/040/028000c
常見陽平は上記『新潮45』8月号の杉田記事に付箋紙を大量に貼り付けた写真を添えつつ《他にも問題発言、間違った認識のデパート》と、22日夜9時過ぎから連弾ツイートで問題箇所を指摘。
https://twitter.com/yoheitsunemi/status/1021003723072421888
これを受けて菅野完も、杉田がツイートで「党の立場も配慮して言葉を選んで書いている」と先輩議員に言われたなどとツイート(既に削除)したことについて《杉田水脈の証言が真実だとすれば、「LGBTは『生産性が低い』から支援する必要がない」ってのが、自由民主党の「党の意見」だということになりますね。すげぇな自由民主党》と突っ込み。
https://twitter.com/officeSugano/status/1020961054757535751
常見は翌23日も今度はブログで『新潮45』杉田記事より長めに引用しながら長文での批判を行っている。
LGBTも、それぞれの指向において多様である。変化もある。LGBTカップルと出産というのは非常にデリケートなテーマではあるが、一部の指向においては出産はあり得るのである。「生産性」という言葉の使い方も、雑である。労働する、納税するという意味で国に貢献している》
http://www.yo-hey.com/archives/55713858.html
弁護士の猪野亨も「生産性のない人に税金を使うのは無駄 要は子を産まない女性に価値なしという杉田水脈議員の発想は恐ろしい 賛同する閣僚級自民党議員って誰だ?」と題したブログ記事で批判。
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-3536.html
一般社団法人LGBT理解増進会LGBT理解増進ネット」は23日付で《当会として重大な懸念を表明します》との緊急声明を発表。
《当会代表理事は、自民党本部政務調査会性的指向性自認に関する特命委員会のアドバイザー職として、党に対してLGBT理解増進法の制定を助言してきました。杉田議員の記事は、自民党特命委員会の考え方とは全く異なっています。それだけではなく、党の直近の2回の国政選挙で掲げた公約にも反していると考えます。
よって、当会は、正式に自民党本部に対して重大な懸念を表明し、善処するよう申し入れましたので、取り急ぎご報告させて頂きます》
http://lgbtrikai.hatenablog.com/entry/2018/07/23/001453
もっとも、この「緊急声明」に対しても赤木智弘が、既に削除された杉田のツイートの画面写真も挙げつつ以下のように揶揄していた。
自民党のポーズのために利用されて、自民党の本音を見てもなお、自民党を擁護する間抜けなLGBT団体。ロビイスト気取りの末路》
《この杉田水脈のツイートを見れば、いかにこのLGBT団体が間抜けか、一目瞭然》
https://twitter.com/T_akagi/status/1021251481670860800
https://twitter.com/T_akagi/status/1021252525238845445
産経新聞は23日昼、杉田のもとに《ゲイを自称する人物から殺害を予告するメールが届いていた》と報道。
https://www.sankei.com/politics/news/180723/plt1807230013-n1.html
杉田自身は同日の昼前、上記の件で警察に被害届を出し、上記のLGBT関連のツイートを全て削除したことを報告した。
《北海道に旅立つ前に赤坂警察署に来ました。先日、自分はゲイだと名乗る人間から事務所のメールに「お前を殺してやる!絶対に殺してやる!」と殺人予告が届きました。これに対して被害届を出しました。警察と相談の上、一連のLGBTに関連する投稿は全て削除いたしました。》
https://twitter.com/miosugita/status/1021213480571973633

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎さわや書店(岩手県盛岡市)フェザン統括店長の田口幹人が『PHPオンライン 衆知』に「40年間続いた『若者の活字離れ』。書店店長が今、思うこと」を寄稿(著書『もういちど、本屋へようこそ』から抜粋)。現状への苦い思いが切々と綴られている。
《自戒を込めて言えば、この40年間、この業界は本屋という形を維持するために、経営と効率を優先し、業界内の理屈を店頭に持ち込み、本屋が本と読者に寄り添おうとしてこなかった》
《本屋の数だけ、個性があります。書店員の数だけ、違う売場があります。それは、本の数と同じように。
しかし、全国の販売データを活用し、システム化された本屋が、標準的な本屋になっている以上、それを強調しても本屋の現状への言い訳にしかならないのかもしれません》
《僕が勤めるさわや書店でも同じようなことがあり、人が去ったために余裕がなくなり、棚をつくることに専念できない時期もありました。
しかしそれでも、僕は、棚に意志を持たせようとする書店員になりたいと思い続け、ここまでやってきました。
本屋最高! と叫ぶつもりはありません。逆に、かつて経営していた本屋を倒産させたことのある者として、本屋の現実を見つめているつもりです》
https://shuchi.php.co.jp/article/5367

◎かつてGoogle日本法人立ち上げ時に責任者を務めた佐藤康夫(アタラ合同会社会長)が『MarkeZine』のインタビューに登場。インターネット広告と言えばバナー広告といった状況下で乗り出した当時のことを、こんな感じで振り返る。
《「利権の破壊」とは、インターネットが普及することで今後あらゆる中間業者が淘汰されていくという意味です。(略)ところが、インターネット広告に限って言えば「利権の破壊」どころか二重構造が生まれてしまったのです(略)そもそもインターネットは「利権の破壊」による中間層の淘汰と「投資効果」の透明化を通じて個人をエンパワーメントするものであったはずなのに、と、個人的には若干絶望的な気分でした》
《そうした中で、1999年頃にGoogleが出てきました。最初にGoogleを見たとき、「なんだこのスカスカのサイトは!?」と思いました(笑)。当時のポータルサイトはみんなバナー広告だらけのサイトだったからです》
《業界全体がいかにバナー広告を多く表示させるかという方向に向かっていたせいか、Googleが出てきた時はものすごい衝撃で「こいつらおもしろいな」と思いましたね。無駄なものは極力省いて、人と情報のマッチング・マシーンに特化した、めちゃクールなサービスだな、とものすごく興味を持ちました》
https://markezine.jp/article/detail/28768

山梨日日新聞が、去る21日に甲府市内のホテルで開催された、同紙を扱う販売店主の会「山日会」の定期総会の模様をレポート。出席した山梨日日新聞の野口英一社長は《休刊日の新聞発行、読者感謝祭など新しいことに挑戦する気持ちがなければ、下降線をたどる業界の流れに立ち向かうことはできない》と、あいさつしたそうだ。
https://www.sannichi.co.jp/article/2018/07/21/00285411
ちなみにこの山梨日日新聞はネット上では普段は「お悔やみ」まで含めた全記事を「有料会員限定」としているが、上記の記事に関しては全文を無料で公開していた。そちらの「新しいこと」にはなかなか挑戦できないらしい。

◎『枚方つーしん』は人口40万の枚方市をエリアに、徹底的に地元の街ネタに拘る姿勢が好評を博してか現在では月間300万PVという、ローカルメディアとしてはかなり高い数字をあげている。先頃の大阪北部地震でも災害情報の発信に力を入れたそうだ。ちなみに枚方TSUTAYAの創業地でもある。
https://withnews.jp/article/f0180711000qq000000000000000W04y10601qq000017477A

◎その『枚方つーしん』が21日付で《TSUTAYA長尾店向かいに建設してる倉庫の一部は楽天が使用することになったみたい。カフェテリアや売店も》と、建設中の倉庫などの写真も添え、楽天による公式発表にもリンクを貼りつつ報じていた。
《大まかにいうと「楽天スーパーロジスティクス」という『楽天市場』の出店店舗の商品の保管から出荷までを楽天が一括で担う総合物流サービスの処理能力をあげるために、この長尾や千葉県に新拠点を開設したのだとか》
《貸会議室や売店、カフェテリアなどが設置されるようで、京都・大阪地域の内陸型物流拠点として2019年から稼働開始予定だそうです。(売店やカフェテリアは関係者のみの利用という可能性もあります)》
《拠点名は今のところ「Rakuten Fulfillment Center Hirakata【仮】」という名前だそう》
http://www.hira2.jp/town/glp3-20180721.html

産経新聞出版が、ノンフィクションなどを中心とした新レーベル「産経NF(ノンフィクション)文庫」を22日に創刊した。昨年11月から同社グループ会社となった潮書房光人新社が発行・発売を担当。旧潮書房光人社から受け継いだ光人社NF文庫とは互いに「相乗効果を目指します」とのこと。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000380.000022608.html
潮書房光人新社は、昨年11月に旧潮書房光人社を会社分割のうえ、上記NF文庫や月刊誌『丸』などの出版を引き継いだ事業会社の全株式を産経新聞出版が取得のうえ傘下に収めている。
『丸』はもともと1948年に聯合プレスから創刊された雑誌で版元の移り変わりを経て今日に至るが、内容的にも当初は現在の軍事情報誌とは全く異なる雑誌だった。かつて同誌に関わっていた故・井家上隆幸が『出版人・広告人』2015年5月号の元木昌彦との対談(後に単行本『知られざる出版「裏面」史』)の中で当時の『丸』について語っている。

◎世界大手の広告会社グループ「ピュブリシス」(本社フランス)が去る19日に発表した今年4〜6月期経営成績が振るわなかったことから欧州を中心に広告市場悪化への警戒感が拡大。同日にはピュブリシス株が一時10%、WPP株が同4%、20日東京市場でも電通株が同8%のダウンを記録した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33223270Q8A720C1DTA000/

幻冬舎・箕輪厚介主演ドキュメンタリー映画を作ろうということで、またクラウドファンディング・プロジェクトが「CAMPFIRE」で進行中(今月29日まで)。8月28日に上映イベントを企画しているとのこと。
https://camp-fire.jp/projects/view/83596
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000033659.html

大阪市の「スタンダードブックストア心斎橋」代表の中川和彦は、9月15日に未来の本屋像を語るイベント「本屋はなんや祭」を大阪市平野区クレオ大阪南で開催する予定。こちらも現在クラウドファンディングで開催費用を募っている(今月30日まで)ほか、開催に向けての「懇親会(という名の飲み会)」も行ったりしているらしい。
https://camp-fire.jp/projects/view/85368
https://www.facebook.com/events/872709982920808/
https://www.sankei.com/west/news/180719/wst1807190029-n1.html

青森県八戸市の書店「成田本店みなと高台店」では、地元十和田市出身の高橋弘希による芥川賞受賞作『送り火』の店頭在庫が19日までに完売したそうだ。
https://twitter.com/minatonarihon/status/1019840213751771136

◎J.D.サリンジャーの伝記映画『ライ麦畑の反逆児』(原題Rebel in the Rye)が、彼の生誕100周年にあたる来年(2019年)の1月に日本で公開されることになった。
http://rebelintherye-movie.com/teaser/index.html
https://eiga.com/l/jhKqp

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3)【人事】集英社 7月15日付人事異動

小倉 千絵
新:ブランド事業部部長
旧:ブランド事業部部長代理