【文徒】2018年(平成30)8月9日(第6巻148号・通巻1322号)

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1)【記事】LINEが運営する「ブロゴス」が「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」を掲載!
2)【記事】小林麻耶をめぐる「女性セブン」VS「週刊女性
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】LINEが運営する「ブロゴス」が「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」を掲載!

ブログ「編集者の日々の泡」が「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」をエントリしている。この記事は「ブロゴス」にも転載されている。講談社が昨年秋に発売した「コリ、むくみ、冷えをギューッと吸い出す! 解毒玉 ゲルマニウムチップ入り」 について、「これのなにが問題かって、書名にも入っているように『ゲルマニウムチップ入り』のところ。要はイカサマを国民生活センターに摘発された『ゲルマニウム商法』そのものじゃん」と指摘しているのだ。
かつて国民生活センターは「体に良いとうたうゲルマニウム使用のブレスレット」を発表している(2009年)。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20090625_1.pdf
このとき国民生活センターゲルマニウム使用を謳ったブレスレットを取り扱う業界に次の3点を要望している。
ゲルマニウムのヒトに対する効果に関する表示について、明確な科学的根拠がなければ表示を取りやめるよう要望する。
インターネット上の広告について、薬事法に抵触するおそれがある表現がみられたため、改善を要望する。
ブレスレットは体に身に付けて使用する商品であることから、錆の生じにくい素材を使用するよう、要望する」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090625_1.html
ブログ「編集者の日々の泡」に掲載された「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」は次のように書いている。
「念のため改めて書いとくけど、国民生活センターによると『ゲルマニウムの人体への効果に関する論文はない』『業者に訊いても科学的根拠を出せなかった』『表示が薬事法違反の恐れあり』――だ。今回の講談社の商品、そのまままるっと全部当てはまるな 」
「出版御三家の講談社ともあろう企業が、なんでこんなデタラメ商品に手を出したのか。こういうインチキ商売は、『ムー』の学研とか徳間、ごま書房とかが得意なイメージがあったんだけどなあ……。まさか講談社が。
出版社売上上位10社とかのクラスの社員だと、普通はコンプライアンスや倫理に関する研修を受けてるはずなんだけど。編集も営業も、誰一人この企画に反対しなかったのだろうか。残念だ 」
http://blog.livedoor.jp/editors_brain/archives/1965799.html
http://blogos.com/article/316222/
アマゾンで講談社が販売している「コリ、むくみ、冷えをギューッと吸い出す! 解毒玉 ゲルマニウムチップ入り」を検索してみると「内容紹介」には次のように書かれている。
「コリ、むくみ、冷え、疲れ・・・・・ 調子の悪い部分に吸い玉をつけるだけ。
カップ内の空気が抜けて真空状態に近くなることでギューッと皮膚に吸いつき、ほうっておくだけで血行が促進され、マッサージ効果が味わえます。
1~3分たって外せば、驚くほどスッキリ。
解毒玉にできること
→血行促進
→老廃物の排出
→血液がきれいになる
→自律神経を整える
その結果
→首・肩・背中のコリがラクに!
→ふくらはぎのむくみが軽く!
→顔のむくみがスッキリ!
→腰痛がやわらぐ!
→足先の冷えがポカポカに!
→二の腕、ひざ上のたるみがスラリ!
血行がよくなることで、体全体のだるさや疲れも改善されます。
吸い玉療法のスッキリ感をぜひご自宅で味わってください 」
https://amzn.to/2OozI8r
もし、「編集者の日々の泡」がエントリした、この「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」なる記事が間違いであれば、講談社は、このブログや「ブロゴス」を運営するLINEに対して、強く抗議するとともに、当該エントリの速やかなる削除と謝罪を要求すべきである。講談社がこの記事をこのまま放置しておけば、この記事の内容が正しいと認めることになってしまうのである。
少なくとも「ブロゴス」はLINEが運営する日本最大級の提言型ニュースサイト であり、その影響力は大である。ちなみにコミックを中心とするデジタルコンテンツ配信のグローバル展開を推進するためのLINEの連結子会社であるLINE Book Distribution は講談社小学館、メディアドゥ、LINEの4社による合弁事業会社である。
http://otakuindustry.biz/archives/54141
講談社では「解毒玉」に違法性があるのかないのかを含めて社内調査、聞き取りを開始したという。ブログへの対応は、その結果に鑑みてということになるようである。
しかし、である。LINEがビジネスパートナーである講談社を揶揄し、批判するブログ文章に対して、事実かどうかを検証することなく、そのまま転載してしまうことは許されて良いのだろうか。ビジネスパートナーである講談社に対する敵対的言動を振りまくことをLINEが是とするのであれば、講談社としては当然、LINEとの関係を見直さざるを得ないはずである。

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2)【記事】小林麻耶をめぐる「女性セブン」VS「週刊女性

小林麻耶がブログに「週刊誌の方へ」を発表した。
「もう、いい加減、 海老蔵さんとの記事はやめませんか?笑  いくら直撃されても、関係がないものは、ないです笑  それにですね!!!妹とは、好きな男性のタイプが違いますので笑 」
https://ameblo.jp/kobayashi-maya/entry-12396064195.html
「NEWSポストセブン」が8月1日に「小林麻耶 ”海老蔵似”夫と手つなぎデートで幸せ絶頂写真5枚」「小林麻耶、『海老蔵に似た雰囲気』の男性と結婚するまでの道」を掲載している。「女性セブン」の記事のタイトルは「独占ぶったま撮 そっくりの男と結婚!海老蔵が麻耶を苛立ちの『完無視』」。
「真夏の太陽の日差しのようなアツアツぶりを見せつける新婚カップルを発見!! 義弟・市川海老蔵(40)に『雰囲気が似ていて驚きました』(麻耶の知人)という男性とギュッと手をつなぐのは、7月24日に4才年下の一般男性と電撃婚したばかりの小林麻耶(39)だ 」
https://www.news-postseven.com/archives/20180801_731788.html
https://www.news-postseven.com/archives/20180801_731806.html
https://www.shogakukan.co.jp/magazines/2092308118
主婦と生活社の「週刊女性PRIME」が「フライデー」出身の芸能ジャーナリスト・佐々木博之に書かせた記事のタイトルを「小林麻耶さんが怒った結婚相手の描写『海老蔵似』がいかに不用意か」として、「女性セブン」と特定はしていないが、誰が読んでも「女性セブン」にケンカを売っているとしか思えない記事を掲載し、次のような写真誌記者のコメントを紹介している。
「掲載した女性週刊誌は、“麻耶は海老蔵に思いを寄せていた。だからそっくりの男性を選んだ”という方向に持っていきたかったのでしょうが、無理がありますね。雰囲気が似ていると語ったのが“知人”じゃなく、せめて“目撃者”くらいにしとけばよかったのにと思います(笑)」
http://www.jprime.jp/articles/-/13060
大昔であれば、女性週刊誌が聖子派とアンチ聖子派にわかれ、毎週のように盛り上がるということもあったが、今はそういう時代でないことを女性週刊誌は知らないようだ。女性週刊誌が源平合戦を繰り広げる前に「情報」はネットで消費し尽されてしまうのである。

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3)【本日の一行情報】

◎電子コミックサービス「LINEマンガ」で連載されている「LINEマンガ」オリジナルの「文学処女」(中野まや花)が実写ドラマ化されるが、森川葵城田優のダブル主演が決定した。森川が演じるのは恋を知らない文芸編集部の編集者、城田が演じるのは端正なルックスを持ちながら恋ができない人気小説家だ。 MBS/TBS系で9月9日より放送開始となる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001195.000001594.html
https://www.mbs.jp/bungakushojo/
「文学処女」は「LINEマンガ」では無料で提供されているということも、雑誌で連載しコミックスを刊行するという従来のビジネスモデルとは違うのである。有料で提供するマンガ誌は、無料で提供するウェブサービスに市場を蝕まれていくことになるのだろうか。むろん、「文学処女」にしても、コミックスの版元は日販アイ・ピー・エス だが、マンガビジネスのデジタルシフトは確実に進みつつあると見て間違いあるまい。

荻上チキの次のような指摘を常識としたい。
「たとえば、各報道機関が報じるニュースには、独自取材に基づくものではなく、政府、省庁、警察、役所といった、官公庁によって発表されたものが多く含まれます。しかし、官公庁が発表する資料には、誤りも多く含まれますし、各省の『省益』にデータが左右されたりもしますし、都合の悪い情報は表に出されません。
だからこそメディアには、『国民の得(知る権利)』を守るために、『国家の得』によって何か誤魔化されていることはないか、徹底的にチェックする役割が期待されるわけです。いうなれば、メディアには『国民の側』という『非中立的な立場』から、『公正な報道』を行うことが期待されているわけです 」
https://diamond.jp/articles/-/175800
ダイヤモンド社から荻上チキの「日本の大問題 残酷な日本の未来を変える22の方法」が刊行されたが、荻上はメディアにも一章を割いている。

◎「WIRED」が掲載した「TwitterFacebookは、もはや政治的な『中立』ではあり得ない」が指摘しているように「市民に力を与える目的でつくられたプラットフォームが、少しずつ権力者にとっての聖地になっていく 」可能性は否定できまい。古代ギリシア直接民主制ソクラテスを殺したように、だ。
https://wired.jp/2018/08/06/silicon-valley-must-stop-feigning-neutrality/

博報堂DYホールディングス はインターネット広告会社のD.A.コンソーシアムホールディングスの完全子会社化に向けて株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け代金は最大1140億円になるそうだ。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1618637

電子書籍コンテンツ「全巻一冊」シリーズのラインナップに、岸本斉史NARUTO-ナルト-」が加わる。本編全72巻と外伝「NARUTO-ナルト-外伝 〜七代目火影と緋色の花つ月〜」全1巻のほか、ファンブックや映画、原画展などで配られた特典本に収録された短編を収録している。税別で27390円。
https://progresstech.jp/zenkan/
https://natalie.mu/comic/news/294347
これ売れるんじゃないのかな。

◎「アニメフィルムフェスティバル東京2018 」が「新宿まちフェス」 と連携して10月6日(土)〜10月22日(月) に開催される。実行委員会構成社はトムス・エンタテインメントサンライズ東映アニメーションアサツー ディ・ケイアニプレックスエイベックス・ピクチャーズ日本アニメーションぴえろ
http://animefilmfestivaltokyo.jp/

京都新聞が提唱した文化支援キャンペーン「時を超えて・祇園祭2018」に 今年はキリンビールハースト婦人画報社が協賛 した。
https://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180806000190

◎スキンケアブランド「For fam」(フォーファム)の「フォーファム アウトドアUVミルク」が、ハースト婦人画報社のラグジュアリー住宅誌「MODERN LIVING」(モダンリビング)とセットになった「SPECIAL BOX」として発売された。価格は2100円(税込) 。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000010343.html

◎Tangerineは、国内デジタル広告大手であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムDAC)を引受先とする第三者割当増資による資金調達、並びに広告主と生活者の双方に有益なO2O(Online to Offline)マーケティングソリューション提供力強化のための業務提携を推進することを決議した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000010314.html

ベネッセホールディングスが発表した2018年4〜6月期連結決算は、最終損益が33億円の赤字と、4800万円の赤字だった前年同期に比べ赤字幅が拡大した。
http://pdf.irpocket.com/C9783/N9qg/LkSC/PyPb.pdf
http://pdf.irpocket.com/C9783/N9qg/LkSC/t3Fc.pdf

◎新潮社の元常務取締役というよりも元「週刊新潮」編集長だった松田宏が8月5日に亡くなった。主婦と生活社の「週刊女性」OBでもある。もともとは保守派ではなく、ガチガチの左翼だった人物である。「週刊新潮」ではキャリアを契約記者からスタートさせている。
https://www.sankei.com/life/news/180808/lif1808080015-n1.html

JR東日本エリアの「NewDays」「NewDays KIOSK」「KIOSK」は、8月31日の「野菜の日」に合わせて、8月21日(火)〜9月3日(月)の期間、「いつでも、楽しく、野菜をもっと!」をコンセプトにさまざまな企画を実施するが、 そのPRキャラクターとして、創刊25周年を迎えるKADOKAWAの「電撃文庫」より、人気6作品のメインキャラクターを起用し、「NewDays×電撃文庫25周年キャンペーン」 として展開することになった。
キャンペーン期間中、NewDaysKIOSKで税込700円以上(一部商品を除く)購入すると、先着で「電撃文庫作家書き下ろし掌編小説付オリジナルA4クリアファイル」(全6種)がプレゼントされる。また、 8月28日(火)13時より、「NewDays×電撃文庫25周年 831コラボショップ」が秋葉原駅構内に期間限定オープン するという。
https://hobby.dengeki.com/news/615054/

◎「週刊少年マガジン」(講談社)は、編集部の広報として二人の公式VTuber を発表した。一人は「マガジンポケット」で「イジらないで、長瀞さん」を連載中の漫画家・ナナシがデザインする女子高生「マガジ ヨミ」。もう一人は「週刊少年マガジン」の精霊「御魔我神之介」(おまがじんのすけ)だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001819.000001719.html

◎「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されている春場ねぎの「五等分の花嫁」がテレビアニメ化され、2019年にTBSほかで放送されること になった。
https://mainichi.jp/articles/20180807/dyo/00m/200/024000c

小学館から「名探偵コナン ゼロの日常」1巻 が発売された。安室透 ものである。
https://natalie.mu/comic/news/294410

是枝裕和 監督自ら書き下ろした 小説「万引き家族」(宝島社)は、5刷り14万部を突破 。現在世界8カ国以上で発売が決定 しているという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000718.000005069.html

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4)【深夜の誌人語録】

余裕を創造する工夫が大切である。