【文徒】2019年(平成31)1月25日(第7巻14号・通巻1432号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】日清食品大坂なおみアニメCMが批判を受けて公開中止
2)【本日の一行情報】
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1)【記事】日清食品大坂なおみアニメCMが批判を受けて公開中止(岩本太郎)

日清食品は、同社の公式チャンネルなどで公開していたテニス女子プロ選手の大坂なおみが登場するカップヌードルのアニメCM動画を23日に削除した。大坂は日清食品に所属している。
https://mainichi.jp/articles/20190123/k00/00m/040/273000c
削除されたのは、大坂が同じ日清食品所属の錦織圭とテニスをする場面などを描いた動画で、かつて『少年ジャンプ』で連載された許斐剛による人気漫画「テニスの王子様」(現在も『ジャンプスクエア』で「新テニスの王子様」が連載中)とのコラボ企画である。全豪オープンを応援する趣旨のもと、今月11日から始まったシリーズだ。その第2弾として14日に公開された「いざ、グランドスラム篇」について、作中に登場する大坂の肌の色が問題となったのである。
https://togetter.com/li/1308808
『ハフポスト日本版』は既に1月16日付で「大坂なおみ選手の肌の色に違和感? テニプリコラボの日清『カップヌードル』CMで論争に」を掲載している。
《このCMの大坂選手の肌の色に対し、「ホワイトウォッシュ(非白人を白人のように描くこと)ではないか」と違和感を指摘する声があがっている》
しかし、この記事が書かれた段階では日清食品ホールディングス「ホワイトウォッシュ」を次のように否定している。
《今回、『新テニスの王子様』とコラボレーションするという企画として、アニメの世界観の中で原画をもとに大坂選手サイドにも確認をしていただきながら、アニメ用のキャラクターデザインを行いました。その後も、関係者に随時確認していただきながら、今回のオリジナルアニメの設定として完成したものですので、ご指摘のありましたような意図はございません》
https://www.huffingtonpost.jp/2019/01/15/naomiosaka-tenipri_a_23643493/
しかし、アメリカのメディアは黙っていなかった。1月22日にはニューヨークタイムズ』がこの件に言及した。
https://www.nytimes.com/2019/01/22/world/asia/naomi-osaka-anime-ad.html
J-CASTニュース』が掲載した「 NYタイムズ大坂なおみ『アニメCM』を批判 日清に取材すると『公開停止へ』」は、こう書いている。
《記事では、CMが公開されると、大坂選手のファンらから、とても失望したとする声が出ているとし、「ハーフと呼ばれる人たちがその肌のままでは不十分だと言っているのに等しい」などとする日本在住の黒人作家、バイエ・マクニールさんのコメントも紹介された》https://www.j-cast.com/2019/01/23348707.html?p=all
BBCニュース』(日本版)も1月24日付で「大坂なおみ選手をアニメで『白人化』と非難され、日清食品が謝罪」を掲載している。
《この騒動は、日本における人種と差別の問題を再び浮き彫りにした。
日本は今でも、極めて均質的な国だ。したがって、日本国内で人種や人種差別の問題が日常的に意識されることはあまりないのかもしれない。
しかし、日本における人種差別は繰り返し指摘されている。とりわけ2015年には、国連の特別報告者、ドゥドゥ・ディエン氏が、日本政府として対処するべき「深く重大な」問題だと警告している
また、『BBCニュース』は「テニスの王子様」作者の許斐剛がキラクターデザインを担当し、その許斐がSNS上に絵を載せたところ「なぜ本人とかけ離れた肌の色に変えるのか?」と疑問視する声が上がったと報道。日清食品広報の「意図的に白くした事実はない」「配慮が欠けていた。今後は多様性の問題に、より配慮したい」とのコメントも紹介している。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46969435
ただし許斐はTwitter上で、自身がキャラクターデザインを手掛けたとの上記BBCの報道を否定。次のように述べた。
《アニメCMのキャラクターデザインには関わっていませんよ
必殺技名の候補だけ協力させて戴き、CMやアニメイラストはカップヌードルさんのツイッターで初めて拝見しました・・頑張れ日本人選手!!》
https://twitter.com/konomi_takeshi/status/1088037243334193152
http://news.livedoor.com/article/detail/15916325/
毎日新聞日清食品に取材のうえ報道。日清側の見解として《日本国内では目立った批判はなかったとしている》とも伝えている。
https://mainichi.jp/articles/20190123/k00/00m/040/273000c
ニューヨークタイムズ』でコメントしていたバイエ・マクニールは一連の騒動について24日付『東洋経済オンライン』に「日清『大坂なおみ動画』炎上→削除問題の本質」を寄稿している。
YouTubeでそのコマーシャルを再生し、その中に褐色の肌をした女性が映っていなかったのを見て、私は本当に落胆した》
《大坂と典型的な日本のアニメキャラクターを「区別」するものはすべて消されていた。で、何が残ったのか? 典型的な日本のアニメキャラクターである。この背景にあるものについて、ツイッターフェイスブック、インスタグラムでは外国人が多くの議論を展開した》
《日清はこの広告のターゲットはこのアニメを見る日本人だけだと考えているかもしれないが、それは間違った思い込みだ。YouTubeやそのほかのソーシャルメディアで展開されている以上、これはグローバルキャンペーンなのである。つまり、この広告は全世界の顧客に届くものであり、その一部は大坂と同じ肌の色をした人たちだ》
《日清は、ニューヨーク・タイムズ紙に対して、広告のクリエイティブプロセスには大坂もある程度関わったと説明しているが、結果的に彼女を「誤用」し続けるのであれば、世論という法廷では責任を問われることになるのではないだろうか》
https://toyokeizai.net/articles/-/262053

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

ニッカウヰスキーの北海道余市町にある関連会社「北海道ニッカサービス」に勤める営業部長の男性がTwitter上で差別的な投稿を繰り返していたと23日付『J-CASTニュースが報道。同社広報担当者は取材に対し、投稿が本人の者であることを認めたうえで「厳正に対処したい」と表明。
ニッカウヰスキーの公式サイトにも関連会社による「お詫びとお知らせ」が掲載された。
《平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、弊社従業員がTwitterへ差別的な要素を含んだ発言を投稿したことが、その投稿をご覧になられた方からのご指摘で判明いたしました。
投稿によりご不快な思いをおかけいたしまして誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。
なお、アサヒグループでは、世界人権宣言などで定める基本的人権を尊重し、人種、国籍、思想信条等による差別は一切行わないことを「アサヒグループ企業倫理ガイドラインのなかで明示しています。
今後も引き続き社員教育を徹底してまいります。》
https://www.j-cast.com/2019/01/23348684.html
https://www.nikka.com/info/20190123/
Twitter上では前日の22日以降、あるユーザーが同営業部長のツイートを画像写真で引用しつつ、過去に同営業部長が登場した雑誌記事へのリンクを貼り、実名を挙げながら追及。他にもニッカに対し直接告発を行うユーザーも出てくるなど話題になっていた。同営業部長自身は追及を受けてか22日までに当該ツイートを含めたアカウント自体を削除したようだ。
https://twitter.com/lautream/status/1087709581973716994
https://twitter.com/udongurai/status/1087902334309388288

◎埼玉県川口市済生会川口総合病院でも、麻酔科医として勤務していた男性がTwitterで「反日野郎は死んでしまえ」などの書き込みをしたらしく、病院側にも批判が殺到したとのこと。同病院の病院長が22日付で「当院職員によるSNS上での不適切な発言について」と題したお詫びを掲載した。こちらも当該職員のツイートは既に削除された模様。
http://www.saiseikai.gr.jp/info/top_190122_01.html
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/1255564/

◎CCCによる捜査当局へのTカード情報提供問題をめぐっては「ツタヤ図書館」の第1号として2013年に開館した佐賀県の武雄市図書館にも問い合わせが数件あり、CCCの広報が、「個人情報や貸出履歴がCCCに提供されることはない」と説明したという。同図書館ではTカードが本の貸し出しカードとしても使われている
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/328049

小学館コロコロコミック』から派生した新雑誌『ミラコロコミック』が今日25日に創刊。「未来のコロコロで連載している(であろう)作品をイチ早く先取りして掲載したミラクルな雑誌」というのが誌名の由来。同誌よりデビューする新人たちが未来のベストセラー作家になるとの想いも込められているそうだ。想いも込められています。創刊号ではNHKで人気の『チコちゃんに叱られる!』の漫画家作品などが掲載されている。
http://corocoro.tv/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000013640.html

◎フランスで開かれている欧州最大規模の漫画祭「第46回アングレーム国際漫画祭」は23日、「うる星やつら」や「めぞん一刻などの作品で知られる高橋留美子が、漫画の発展に大きく貢献した作家に授与される功労賞「グランプリ」に選ばれたと発表した。
https://mainichi.jp/articles/20190124/k00/00m/030/076000c

NTT都市開発のグループ企業で、同社所有ビルでの飲食店やホールなどの運営を手掛けるデイ・ナイトが、広島市の中心街・紙屋町の専門店街「パセーラ」3階に書店とカフェの併設店「sofa HIROSHIMA」を26日にオープンする。同日には17時からオープニングイベントを開催。来月2日には盛岡さわや書店の名物書店員・田口幹人を招いたトークイベント『もういちど、本屋へようこそ』も予定されている。
http://sofabookcafe.com/
https://www.instagram.com/p/BsZNq6elNbO/
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40326940S9A120C1LC0000/

◎元会社員で現在は『マガジン航』などでもライターとして活躍す伊川佐保子が、東京・小伝馬町駅近くにあるビルの2階にある広さが3畳に満たないスペースで、1人書店の「ほんやのほ」を2月1日にオープンする。ネットメディアの『DANRO』のインタビューに応えて店のコンセプトを語っている。
https://books-ho.tokyo/
https://www.danro.bar/article/12080646
伊川は10月末にも「note」で「つい、本屋をはじめることにしました」と題したエントリを公表している。翌月の八王子での「NovelJam2018」にも取材に来ていて「観戦記」を『マガジン航』で書いていた。
https://note.mu/ho_bo_po/n/n602d184b37a1
https://magazine-k.jp/2018/12/13/noveljam-kansenki/

◎コンビニ大手3社による成人向け雑誌販売取りやめの件に関連して、コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会の伊藤廣幸専務理事に対し『BuzzFeedNEWS』が『週刊プレイボーイ』のヌードグラビアや『週刊現代』『週刊ポスト』『anan』のセックス特集はどうなのかと問うインタビュー取材を行っている。
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/seijinshi

◎映像技術・制作プロダクションのハイクロスシネマトグラフィ(渋谷区千駄ヶ谷)が出版事業の第1弾として、ドキュメンタリーの作り手による批評雑誌『f/22』を2月1日に創刊。第1号の特集は「日本のドキュメンタリーを振り返る座談会」や監督・ディレクターへのアンケート「キャメラマン不要論」。連載として「ぼくらのシエラマエストラ~若松孝二と戦った映画のゲリラ戦紀」(辻智彦)なども掲載。2月4日には出版記念イベント千代田区紀尾井町城西国際大学キャンパスで開催するそうだ。
http://www.hicross-cinematography.com/news/f22/
https://www.facebook.com/f22-1965459810242319/

◎かつて労働者の街として知られた東京・山谷に、生活困窮者でも安い料金で映画が観られる映画喫茶を作ろうというクラウドファンディング・プロジェクトが進行中だ。『泪橋ホール』との名称で、泪橋交差点のパチンコ屋の斜め前にできるらしい。古い娯楽映画のほか、ドキュメンタリーも数多く上映していく意向だという。
https://motion-gallery.net/projects/namidabasi
山谷を舞台にしたドキュメンタリー映画と言えば、やはり佐藤満夫(映画冒頭で殺害される)・山岡強一監督『山谷(やま)やられたらやりかえせ』だ。現在も同映画の制作上映委員会が都内中野富士見町の「plan-B」などで定期的に上映活動を続けている。山谷も今やかつての労働者たちが高齢化して生活保護受給者になる者も多くなっている。
http://www.anerkhot.net/yama_jyoeii/
泪橋を逆に渡れをテーゼとしたのは矢吹丈であった。金竜飛はベトナム戦争に従軍したことがあるという設定である。!「あしたのジョー2COMPLETE DVD BOOKシリーズ 」 Vol.3がぴあから発売された。

◎経営トップによるパワハラなどが4年ほど前から労使問題へと発展していたKKベストセラーズは、昨年2月の身売り以降は本社を西池袋に移転。南大塚にあった旧社屋は最近解体工事が始まったらしい。
https://www.instagram.com/p/Bs4gj1jAPp5Q8JeBPhZG5Rnq9TxnCHsyMA-yeA0/?utm_source=ig_twitter_share&igshid=i6eudsyou0zd

琉球新報の「ファクトチェック取材班」が1日から始めた連載「沖縄フェイクを追う~ネットに潜む闇」が21日付で完結。担当した同取材班の記者たちによる座談会が23日付で掲載された。話題を呼んだ『netgeek』への取材をめぐっては《12月中旬以降、琉球新報社からネットギークのサイトが閲覧できなくなった。ネットギーク側から遮断された可能性があることが分かった》とのこと。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-864945.html

◎19~21日に行われた沢田研二日本武道館公演でネットなどを通じて「無料招待」がかなりの規模で行われていたのではないかとの噂について『NEWSポストセブン』が自宅まで沢田本人を直撃のうえレポートしている。
https://www.news-postseven.com/archives/20190123_854116.html
噂は事実だろう。なぜなら私(岩本)のところにも21日午後の公演への「ご招待」が来たからだ(仕事で行けなかったけど)。SNSなどでの拡散はNGだが親しい人に送るのはOKとのことだった

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