【文徒】2019年(平成31)1月29日(第7巻16号・通巻1434号)


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1)【記事】フジテレビ「プライムニュース イブニング」に朝日新聞が噛みついた!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】フジテレビ「プライムニュース イブニング」に朝日新聞が噛みついた!

朝日新聞デジタルは1月25日付で掲載した湊彬子による「フジ報道に差別と批判の声 専務『誤解招きやすい表現』」はフジテレビが1月24日夕方に放送した「プライムニュース イブニング」で、海上自衛隊の哨戒機に韓国海軍の駆逐艦が火器管制レーダーを照射したとされる一連の問題について伝えた際のメインキャスターの反町理の解説を問題にしている。どんな解説であったのか記事は、こう書く。
「韓国化をよく知る産経新聞記者から聞いた内容だと前置きし、『韓国人の交渉術』は『一つ、強い言葉で相手を威圧する。二つ、周囲にアピールして理解者を増やす。三つ、論点をずらして優位に立つ』と説明。反町氏は『韓国人の行動パターンが国にも当てはまるとは限りませんが』とことわった上で、『レーダー照射』問題が起きている中で韓国が『威嚇飛行』を新たに主張したことは『論点ずらし』に当たる、と産経新聞記者が指摘していると伝えた」
この解説についてフジの岸本一朗専務は定例会見で「日韓関係の改善策を探る報道ニュース内容。差別する意図はまったくございません」と発言したと記事は書いている。
https://www.asahi.com/articles/ASM1T76KMM1TUCVL02Z.html
小説家の平野啓一郎は最近、社会問題や政治問題についてのツイートが増えたのではないだろうか。今回も、こう呟いている。
「『誤解を招きやすい表現』とかいう意味不明な言い訳は社会が認めるべきじゃない。政治も含めて、色んなケースで、責任回避のために乱発されてる」
https://twitter.com/hiranok/status/1088968758771691520
記事を書いた湊彬子は朝日新聞化くらし報道部の記者だ。ツイッターには次のように投稿している。
「フジテレビ会見で質問しました。担当専務は『日韓関係の改善策を探る報道ニュース内容。差別する意図はまったくございません』とする一方、『『韓国人』という形でプレゼンテーションしたことについては誤解を招きやすい表現になっている』とも答えました」
https://twitter.com/minato_a1/status/1088807794164289536
BuzzFeed News」は1月25日付で「フジテレビが放送した『韓国人の交渉術』 差別的との指摘相次ぎ『真摯に受け止める』」を発表している。
ヘイトスピーチ問題に取り組む東京大学大学院特任助教の明戸隆浩さんはBuzzFeed Newsの取材に対し、『偏見をもたらす差別的な言動で、その集団に対する名誉を毀損しています』と指摘する。
『放送の内容は、差別の扇動に当たるとも言えます。レーダー照射の件に限らず、韓国人たるものはこういう論法を使うんだということは、一定の集団に属する人たちは信用できないと流布することと同じだからです』
『このように、あるコミュニケーションのスタイルが集団の問題だ、とするのは『嫌韓流以来の伝統とも言えるステレオタイプの作り方です。古典的なものではなく、最近になって一般化したものだと思っています』
そのうえで明戸さんは、ヘイトスピーチは『殺せ、追い出せ』と強い言葉が該当すると思われがちだが、一番数の多いパターンはこうした『信頼の毀損』だ、と指摘。
影響力の大きいテレビがこうした内容を報じることについても『一線を超えている』と問題視した」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/prime-news
湊記者は反町の解説を「レイシズム(人種差別)」と批判する声がネットなどで上がっていると書いているが、そうした声は「炎上」というほど多くはなかったことも記しておこう。
「韓国窃盗ビジネスを追え 狙われる日本の『国宝』」(新潮社)の菅野朋子はソウル在住のジャーナリストで、「週刊春」元記者だが、「なぜ新日鉄資産差し押さえの判決はくだり、反日書籍は書店から消えたのか」を「春オンライン」に発表している。
「思えば、かつての韓国がそうだった。10数年前頃までは、何かといえば日本の話題が必ず取り上げられていたが、今、韓国の大手ポータルサイトのホームページを開いても、嫌日反日記事は当たり前のようには見当たらない。90年代にあった反日書籍なども今は見ることはない。韓国の人々のそうした関心が薄くなり、端的に売れないからだ。その代わりソウルの書店で見かけるのは、日本の小説や漫画の韓国版や日本のおいしいものや店、見所などのコンテンツ本が圧倒的で、そうした分野での日本への関心はとても高いのが分かる。
政治的な問題について積極的に関与しようという姿勢は昔と比べると格段に薄れていて、かつてなら日本人だと分かれば議論をふっかけられたりもしたが、それも遠い昔のことだ」
http://bunshun.jp/articles/-/10510

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2)【本日の一行情報】

朝日新聞デジタルは1月25日付で掲載した「新生、耐える大坂 フルセット勝利3度、裏かくしたたかさも テニス・全豪オープン」について、1月27日付で「訂正」を発表した。
「1月25日配信の『新生、耐える大坂 フルセット勝利3度、裏かくしたたかさも テニス・全豪オープン 24日』の記事で、大坂なおみ選手の発言内容が『なぜ多くの人が騒いでいるのか分からない。この件についてはあまり関心が無いし、悪く言いたくない』とあるのは、『騒ぐ人たちのことも理解はできる。この件についてはあまり気にしてこなかった。答えるのはきちんと調べてからにしたい』の誤りでした。大坂選手の英語での会見内容を、誤って訳しました」
https://www.asahi.com/articles/ASM1W0FG8M1VUEHF00D.html

◎昨年9月、「ニューズウィーク日本版」にパックンことパトリック・ハーランが「日本は大坂なおみ二重国籍を認めるべき!」を発表していた。再読すべきだろう。
IOC国際オリンピック委員会)のルールとして、アスリートは国籍のない国の代表選手になれない。そして、日本のルールとして、外国籍を有するものは日本の国籍を有せない。法律上、アメリカ人の父と日本人の母に生まれ日米二重国籍の大坂選手は、22歳になるまでに1つの国籍を選び、もう1つから離脱しないといけない」
https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2018/09/post-40.php

ベネッセコーポレーションの人気キャラクターが登場するテレビせとうち(TSC)の子ども番組「しまじろうのわお!」が、第23回アジアテレビ賞の幼児番組部門で最優秀賞を受賞した。
http://www.sanyonews.jp/article/857870

双葉社の「月刊アクション」に2016年まで連載されていたOYSTERによる超身長差ラブコメ「超可動ガール1/6」のTVアニメ化が決定した。4月放送開始。
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1548379045

◎「春オンライン」が掲載した「平成の大ベストセラー『国民の歴史』の西尾幹二が語る『保守と愛国物語への違和感』」のインタビュアーは辻田真佐憲である。
「さっきの『勝利の日まで』もそうですが、日本の軍歌には哀調がある。勇ましくないんですよ。フランスの革命歌のような勇ましさがないんです。例の『海ゆかば』なんかは死へ向かう祈りの歌、葬送曲ですよ。歴史の底から響いてくるような音ですね。なぜ、こうした悲しくも美しい日本の歌をテレビは流さないんだろう。何に遠慮しているんだろう。私は疑問に思っていますよ」
http://bunshun.jp/articles/-/10473
http://bunshun.jp/articles/-/10474
http://bunshun.jp/articles/-/10475

◎宝島社の男性ファッション誌「smart」(スマート)は、SNSで人気のゆるキャラ「妖精ちぃたん☆」を専属モデル兼見習い編集者として採用した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000805.000005069.html

講談社は、初めての紙版と電子版コミックスの合同キャンペーン「春のマンガまつり2019」を開催している。キャンペーン参加書店で紙版のコミックスを購入すると「人気漫画家による描きおろミッキーマウスイラスト入りブックカバー」をプレゼントされる。抽選で5,000組10,000名様を東京ディズニーシーのスペシャルナイトに招待するプレゼント企画が実施される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002032.000001719.html
講談社は創業110周年を迎える。

◎「Newsweekjapan」が「サブスクリプションに刷新、『少年ジャンプ』英語版が挑むアメリカンドリーム」を掲載している。
「発行元のビズ・メディアは2018年12月、少年ジャンプ英語版の購読システムを刷新した。今後は1カ月1.99ドルの会費で最新号と1万話を超える過去の連載を読むことができる」
https://www.newsweekjapan.jp/nippon/season2/2019/01/230503.php

◎ぴあより「アニメ版シティーハンター冴羽〓(けものへん+尞)×ぴあ」が発売される。TSUTAYA限定購入特典クリアファイルが用意されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001096.000011710.html

◎新刊ビジネス書情報誌「TOPPOINT」(パーソナルブレーン)は、1万名以上の定期購読者を対象とした定例の読者アンケートによる2018年下半期「トップポイント大賞」を発表した。大賞はスコット・ギャロウェイの「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)。2位以下は次の通り。
2位 「劣化するオッサン社会の処方箋」 山口周 光社新書
3位 「対立の世紀」 イアン・ブレマー 日本経済新聞出版社
4位 「遊ぶ鉄工所」 山本昌ダイヤモンド社
5位 「未来の年表2」 河合雅司 講談社現代新書
6位 「日本人として知っておきたい世界史の教訓」 中西輝政 育鵬社
7位 「世界でいちばん働きがいのある会社」 マイケル C. ブッシュ 日経BP
8位 「〔エッセンシャル版〕 行動経済学」 ミシェル・バデリー 早川書房
9位 「新世界秩序」 ジャック・アタリ 作品社
10位「逃げられない世代」宇佐美典也 新潮新書
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000031087.html

◎「アエラドット」で津田大介は次のように指摘している。
「…ソーシャルメディア権威主義の体制と矛盾するものではなく、むしろその体制を強化するということだ。ソーシャルメディアフェイクニュースヘイトスピーチが蔓延していることからもわかるように、現代の情報過多の環境では、慎重なものよりも極端で過激な情報に注目が集まる。その特性を利用して、すでに複数の政府が、国民の統制や説明責任の回避を目的とした世論操作を実施している」
https://dot.asahi.com/wa/2019012300017.html?page=1

◎出版科学研究所によれば、2018年の紙の出版物の推定販売金額は前年比5.7%減の1兆2921億円。14年連続のマイナス。ピークの1996年(2兆6563億円)の半分以下!内訳では、紙の雑誌が9.4%減の5930億円、書籍が2.3%減の6991億円。一方、デジタル出版物は前年比11.9%増の2479億円。そのうち電子マンガは前年比14・8%増の1965億円。電子雑誌は前年比9・8%減の193億円。平成26年の調査開始以来、初めてマイナス成長に転じた。紙と電子を合わせた出版全体の市場は3.2%減の1兆5400億円。デジタルが出版市場全体の約16%を占める。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40490140V20C19A1CR8000/
https://www.sankei.com/entertainments/news/190125/ent1901250008-n1.html
書籍と雑誌の差は約1000億円にまで拡大した。

NHK新書「マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する」が売れているそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000018219.html
「現代に巣喰う『無意味』の底をぶちぬいて『意味』へと突破しようとする哲学的思索の努力と要約しうる」と浅沼光樹が喝破したマルクス・ガブリエルの講談社選書メチエ「なぜ世界は存在しないのか」も読んでおきたい。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195628
https://dokushojin.com/article.html?i=2831

◎「YOMIURI ONLINE」1月25日付石川版の「書店でコーヒー片手に哲学思索…金沢大・仲正氏」は、金沢市石引の書店「石引パブリック」で始まった「哲学ジャム」の取り組みを紹介している。
「金沢大教授の哲学者、仲正昌樹氏と共に10回にわたり、独裁や格差社会、バイオサイエンスなどをテーマにコーヒー片手に考え、未来を生き抜くヒントを見つけることを目指すという。ジャムは初回から満席となり、哲学への関心の高さをうかがわせた」
https://www.yomiuri.co.jp/local/ishikawa/news/20190125-OYTNT50099.html

◎ギャル雑誌「egg」の復刊が決まった。
https://www.oricon.co.jp/news/2128218/full/
3万リツイートを達成!
「eggが遂に雑誌で復活!?このツイートが1万RT達成すれば、5月にeggが雑誌で復活します!日頃の感謝を込め、egg編集部から100名様に100冊eggをプレゼントします。応募方法はeggをフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/31まで。当選者にはDMします!」
https://twitter.com/new_eggofficial/status/1088708065833013248
https://eggegg.jp/

◎「FNN PRIME」が「同窓会の手配や両親との過ごし方相談も! 企業内に従業員向けコンシェルジュ登場の狙い」を掲載している。
「大手広告代理店の電通が従業員向けに新しいサポートサービスYour Concierge』を導入した。  
企業内にコンシェルジュを常駐させ、従業員の仕事やプライベートにおける様々な要望に応えるというもので、ベンチャー企業の『TPO(ティピーオー)』と提携して今年からスタート」
https://www.fnn.jp/posts/00416130HDK

NHKチコちゃんに叱られる!」から生まれた「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は今年の流行語大賞にノミネートされることは間違いないんじゃないの。
https://www.j-cast.com/tv/2019/01/25348864.html

◎「マンガワン」(小学館)で連載中の「ダンベル何キロ持てる?」がTVアニメ化され、2019年夏より放送開始となる。
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1548413785

小学館の「週刊少年サンデー」とサイバードは、漫画やスタンプ、アニメなど、「名探偵コナン」の全ての情報が詰まった「名探偵コナン公式アプリ」の3周年記念キャンペーンを実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001492.000001661.html

◎「週刊ポスト」に掲載された関川夏央による津野海太郎「最後の読書」の書評の結びの一がステキだ。
「『学産業』は滅び、蔵書は打ち捨てられても、学は『細々と』不滅でありつづける」
https://www.news-postseven.com/archives/20190125_851221.html

◎LINEは、実店舗での商品購入時にLINE内に表示される専用のバーコードを読み取ることで「LINEポイントが付与される新サービス「SHOPPING GO」において、サービス開始から1ヶ月で、会員登録数が100万人を突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001455.000001594.html

有田芳生ツイッターでの報告によると紀伊国屋書店には百田尚樹の「日本国紀」(幻冬舎)の初版から8版までが、ずらり同じ棚に置いてあったそうである。
https://twitter.com/aritayoshifu/status/1089439220756705280
外山恒一の次のようなツイートも発見した。
「所用で新宿に来たついでに噂を確かめようと紀伊国屋書店に寄ってみると、本当に『全共闘以後』と『日本国紀』が並べて平積みされていた」
https://twitter.com/toyamakoichi/status/1089419056459837442
茂木健一郎はブログに「百田尚樹さん『日本国紀』を読んだ感想。」をエントリしている。
「感想だけれども、まず、これだけ長い期間にわたる日本の通史を、細かく記述した、その労力には頭が下がる。
ぼくにはとてもできない。
また、『日本国紀』の根本感情は、日本という国を肯定したいということだと思うのだけれども、これも、グローバル化の時代に、それぞれの化、歴史のアイデンティティを確立し、育みたいという人間の自然な気持ちとしてわかる。
 以上のような点から、ぼくは『日本国紀』が世間の一部で言われているほど悪い本だとは思わなかった」
https://lineblog.me/mogikenichiro/archives/8406956.html

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3)【深夜の誌人語録】

広さと深さは矛盾する。