【文徒】2019年(平成31)3月13日(第7巻46号・通巻1464号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】朝日新聞出版のヒットメーカーはKKベストセラーズ出身
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.3.13 Shuppanjin

1)【記事】朝日新聞出版のヒットメーカーはKKベストセラーズ出身

東スポWeb」の「山里亮太 今も忘れない『エンタの神様』“自称プロデューサー”に受けた仕打ち」によれば、朝日新聞出版が刊行したお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太の「天才はあきらめた」は13万部を突破するヒットとなった。
「前作は『ダウンタウン松本人志(55)のベストセラー「遺書」を手掛けた編集者が、『次は山里さんだ!』と白羽の矢を立てて世に出したものの『その結果が良いものではなく、地方に飛ばされてしまった。本はブックオフで10円になって死んだ』という“いわくつき”の書籍だった。しかし、ヒットメーカーの編集者・大坂温子氏から『この本を死なせておくわけにはいかない』とオファーを受けて、見事に“復活”した」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190310-00000018-tospoweb-ent
紀伊國屋書店新宿本店では「大坂温子フェア」が開催されている。
https://twitter.com/as2ahi_hi/status/1096331615138009088/photo/1
小池一夫がツイート。
「僕の『人生の結論』(絶賛発売中!)を担当していただいた、大坂温子さンがフェア開催中。入院中じゃなければ伺うのになあ、、、。お近くの人は是非足をお運びください」
https://twitter.com/koikekazuo/status/1098909775776014337
橘玲がツイート。
「『朝日ぎらい』を担当してもらった朝日新聞出版の大坂温子さんが編集した本のフェアが新宿紀伊國屋で始まりました。2階エレベータ前で展開されています」
https://twitter.com/ak_tch/status/1096683008667529216
棋士佐藤天彦がツイート。
「『理想を現実にする力』でお世話になった編集者、大坂温子さんのフェアをやっているようです! お近くにいらした際は是非お立ち寄りください」
https://twitter.com/AMAHIKOSATOh/status/1100966545096753153
大坂は、こんな発言をしているのか。
「周りの人に『ねえ、聞いて! 絶対おもしろいから』とばかりに、強烈な『伝えたい』という意志を持つ人が、編集者に向いています。ですから、極端な話、別に本が好きでなくともかまいません(事実、本という媒体に特に思い入れのない編集者が、ベストセラーを出す事例を多々知っています)」
https://twitter.com/pourguoi/status/950529358376009728
もともと大坂はKKベストセラーズの編集者だった。
https://twitter.com/nobuogohara/status/39108715940417536
田村耕太郎の「頭に来てもアホとは戦うな」の編集も大坂である。同書は現在、70万部突破のベストセラーだ。田村は「現代ビジネス」で、こう書いている。
「この本は『頭に来てもアホとは戦うな』という私のツイートから始まった。まさにこの本のタイトルである。このツイートを見て『本にしませんか』と声をかけてくれたのが、この本の編集者・大坂温子さんである」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/39713?page=2
「頭に来てもアホとは戦うな」というフレーズに大坂はピンと来たのだという。「AERAdot.com」で大坂自身が語っている。
「その言葉にピンと来たことを、今でも鮮明に覚えています。田村さんにご連絡したところ、すぐに『やりましょう』と言ってくださいました」
https://dot.asahi.com/dot/2019022100024.html?page=1

------------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎「N氏の“不適切行為”の詳細については、『週刊春デジタル』のオリジナル記事で報じている。また、関連動画も同サイトで公開中だ」とのことである。「N氏」というのは、小学生向け人気ファッション誌「JSガール」(発売・三栄書房発行・エルティーエム、隔月刊)のカリスマ編集長に他ならない。この編集長から“不適切行為”を受けたキッズモデルのA子はショックを受け、1年ほどで出演を辞退するようになったそうだ。「週春デジタル」は「A子さんの友人」の驚愕の発言を掲載している。
「初めて1人で東京に泊まった夜、N編集長がパンツにバスローブ姿だったのが衝撃的で目に焼き付いていると話していました。同じベッドで寝ていると、N編集長がじわじわと近づいてくる。身体が触れる瞬間もあって、A子ちゃんは『襲われるかもしれない』と感じ、そのたびにトイレに行ったりして、うまくかわしていたそうです。回数を重ねていくたびに、N編集長からの“不適切行為”はどんどんエスカレートしていったそうです」
https://bunshun.jp/articles/-/11006
「オリジナル記事+関連動画」というアプローチには成功してもらいたいものだ。こうしたオンラインにおける「小さなオリジナルスクープ」の積み重ねが雑誌ジャーナリズムの新しい可能性を切り拓くことになると私は信じている。

朝日新聞デジタルが3月11日付で「『テラヤマ・キッズ』、寺山修司作品の主人公ら漫画に」を掲載している。
https://www.asahi.com/articles/ASM2V4CTBM2VUBNB008.html
これ、これ、これがそう。
https://twitter.com/i/moments/1093444021941223424
私は寺山修司の俳句が好きである。
葱坊主どこをふり向きても故郷
わが夏帽どこまで転べども故郷
アカハタと葱置くベット五月来たる
もしジャズが止めば凧ばかりの夜

双葉社はタレントゆきぽよの初イメージDVD「YukipoyoTube」(双葉社)を発売した。
https://news.walkerplus.com/article/181734/

讀賣新聞オンラインが3月11日付で「[夕刊エンタメ]ラジオの魅力 SNSで拡散…NHK・民放タッグ」を公開した。
「NHKと民放ラジオ局がタッグを組み、ツイッターでラジオ番組の魅力を発信する共同キャンペーン『#このラジオがヤバい』が2月に始まった。SNSに慣れた若い世代にラジオの魅力を『拡散する』のが狙いで、リスナーからは『知らない番組に触れるきっかけになった』などと好評。新たなラジオファンの開拓につながる試みとして注目されている」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20190311-OYT1T50162/

KADOKAWAは、人気Webラジオ「木村良平岡本信彦電撃Girl’sSmile」の番組内企画である「神様しばい」のゲーム化を決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005630.000007006.html

朝日新聞の「好書好日」が「大戦末期の壮絶なサバイバル、なぜ3頭身キャラで描くのか 武田一義さんに聞く漫画『ペリリュー』」を公開している。武田は次のように発言している。
「…知らないことを『教える』漫画ではなく、知らないことを腑に落ちるように、『体感させられる』ように意図して描いて、それがうまくいっているのかなと思います」
「でも実際どこまで描けるか、はじめはわかっていなくて、たとえば人肉食は表現としてはタブー視されているところもあり、どこまで描けるかなって。作品のなかに絶対入れたかったたけど、でもどこまで描けばいいのだろうかというのはずっと悩みながら作品を進めてます。読者さんって本当につらいものって、やっぱり見るのをやめてしまう。でもつらいことも描かなければいけなくて、そのさじ加減というか、読者さんとの綱引きです。一話描くたびに緊張感があります。でもそれを読んでもなお、そこで読むのやめられないように頑張ってやってる感じです」
「平塚さんが昔取材したテープを聞いたり、書籍を読んだり、米軍の写真を見たり、はじめは平塚さんにすべて持っているものを見せてもらいました。連載はその状態でスタートしたんです」
https://book.asahi.com/article/12192519?cid=asadigi_rnavi_book
「ペリリュー」には平塚柾緒が原案協力として名前を連ねている。
平塚は「証言記録生還 玉砕の島ペリリュー戦記」(学研パブリッシング)や「写真で見るペリリューの戦い 忘れてはならない日米の戦場」(山川出版社)、「玉砕の島 ペリリュー 生還兵34人の証言」(PHP研究所)といった著書も持つ戦史研究家である。
新日本学会出身で、徳間書店『アサヒ芸能』時代は松川事件の犯人告白をスクープ、日本芸社『話のチャンネル』が週刊化するときに編集長に招聘され、同社を退社してからは社を設立。近現代フォトライブラリーを運営しながら戦史ものを執筆してきた。私は平塚の「見捨てられた戦場」(洋泉社)が好きである。「ペリリュー」の版元は白泉社である。

◎「BusinessJournal」は「ドワンゴ『ニコ動』凋落、会員流出で巨額赤字に…経営統合相手カドカワのお荷物に」を掲載した。
「川上氏はドワンゴで07年に始めた『ニコニコ動画』で頭角を現わした。しかし、皮肉にも『ニコニコ動画』『ニコニコ生放送などの不振が自身の進退につながった。
ドワンゴの主力サービスである『ニコニコ動画』は、有料会員から得る利用料を主な収入源としている。無料が当たり前だった日本のネット化に有料課金モデルを構築したのはドワンゴだ。
だが、広告収入による無料モデルで利用者を増やすグーグルの動画投稿サイト『YouTube(ユーチューブ)』にお株を奪われた。ユーチューバーと呼ばれる個人投稿者が再生回数を競い、月間数千万回を稼ぐ人も出てきた。ネット上では、『ニコ動はオワコン(=終わったコンテンツ)』と揶揄されるようになった」
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27019.html
出版不況による危機に直面したKADOKAWAドワンゴに救済を求めたのは間違いあるまい。ドワンゴが極端に経営を悪化させ、今回の事態になったわけだが、KADOKAWAが直面していた危機を克服できたのかといえば、そうではあるまい。KADOKAWAからすればドワンゴを切り捨ててでも、新しいパートナーを見つけ出すしかあるまい。私はNTTドコモの動きに注目している。でなければ、セガサミーホールディングストランスコスモスグリー、日本オラクルなど上場企業7社の社外取締役を務め、かつクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)の社外取締役でもあ夏野剛ドワンゴ代表取締役社長に据えないのではあるまいか持株会社カドカワのトップが長銀出身の松原眞樹だというのもNTTドコモとの提携を目指すのであれば、悪い選択ではあるまい。

◎今年もYahoo! JAPANは3月11日(月)に「Yahoo!検索」で「3.11」と検索すると、一人につき10円を、Yahoo! JAPANから東北復興に携わる団体へ寄付するチャリティー企画を実施した。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/03/01c/

KADOKAWAは磯部安伽の「ファッションエディター磯部安伽のスマートクローゼット~ベーシック服で1年を賢く着回す29のメソッド~」を刊行したが、磯部は集英社の「Marisolや「LEE」で仕事をして来たファッションエディターである。
https://ddnavi.com/review/523185/a/

◎「全国同人誌即売会連絡会」は「著作権法『ダウンロード違法化の対象範囲見直し』について」を発表した。
「しかしながら、今般の改定案が、1)拙速な検討の結果、海賊版対策が本来の目的であるにも関わらず、2)漫画村やFree Booksのような、これまで猛威を振るった一般的なストリーミング型の海賊版サイトの利用者が対象とならず、実質的な意味に欠けている一方で、3)『ダウンロード違法化』の範囲拡大によって、同人・商業を問わない広範なクリエイターの表現・創作活動、研究者等の活動の萎縮が懸念され、また、国民生活全般に影響を及ぼしかねない内容になっていることを、当連絡会も憂慮するものです」
http://sokubaikairenrakukai.com/news1903.html
日本建築学会(会長 古谷誠章)は「著作権法改正に伴う『ダウンロード違法化の対象範囲の見直し』についての緊急会長声明」を発表した。
「この度の著作権法改正における『ダウンロード違法化の対象範囲の見直し』において、現在の化庁案は、適法なソースからではない私的ダウンロードについて、その事情を知っている場合には、イラスト1枚、章数行といった零細なものまでをも違法とし、場合によっては刑事罰の対象とする内容となっています。
このような広範な規制は、多くの国民にとって、教育、研究、創作をはじめとしたクリエイティブな活動を行うための情報収集、コミュニケーション等に対して著しい悪影響を及ぼすと考えられます。建築学の調査研究において、また建築設計等の活動においても同様です。情報収集、コミュニケーション等が妨げられることは、国民が日常的な知的生産活動を行う場合のいわば『肥やし』の供給を断つものであり、その供給が細れば、結果的にクリエイティブな活動の土壌それ自体が痩せてしまう恐れがあります」
https://www.aij.or.jp/news/index.html?newsId=421
讀賣新聞オンラインの3月12日付「ダウンロード規制 紛糾…自民 対象拡大に反対意見」は、こう書く。
「古屋(圭司。衆院議員)氏は安倍首相と近く、同日も首相と電話で対応を協議した。周辺には、首相も自分と同意見だと説明した。これに対し、化庁幹部は『海賊版対策は元々、首相官邸主導だったはず』と困惑を隠せない」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190311-OYT1T50381/
大塚英志事務所のツイート。
「スクショ問題、何回も言うけれどまんが業界内問題としていくら声をあげても、『オタクの表現が規制されて何か?』ぐらいが世間の反応ですよ。そもそも安倍ちゃんや『超党派のMANGA議連会長を務める古屋圭司国家公安委員長』に守ってもらう『表現の自由』と言うのが僕にはどうしても理解できない」
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1105083061396336641

主婦の友社は、洗剤を使わなくても洗たくができると昨年テレビで紹介されるや注が殺到し、これまでにシリーズ累計売上200万個を突破した「洗たくマグちゃん」を付録にした「洗たくマグちゃんプレミアムブック」(本体1800円+税)を3月23日(土)に発売する。「洗たくマグちゃん」を書店で売る企画だ。「洗たくマグちゃん」の正体は、純度99.95%のマグネシウムである。
https://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/12562/

◎「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)の表紙が格好良い。「リニューアルしたら、火がついた。」というコピーのもと、真っ白な表紙が燃えかかっているという大胆なデザインのである。
http://hon-hikidashi.jp/enjoy/78305/

◎少年コミック誌で100万部超えの雑誌は「週刊少年ジャンプ(集英社)だけになってしまった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190312-00117272/

お茶の水女子大学社会学研究科教授の坂本佳鶴恵新曜社から「女性雑誌とファッションの歴史社会学」を上梓した。
「横田はインタビューのなかで、時には事実と読者の期待との間で葛藤もあると語っていた」
横田とは「女性自身」編集長をつとめた横田可也である。「アンアン」と「ノンノ」については、次のように述べている。
「両誌は、従来のファッションを扱う女性雑誌が衣服の作り方を中心としたのに対して、衣服やアクセサリーなどをどう選ぶかに焦点をあて、その基準となる美的センス、あるいは美意識を扱うことを編集方針としたのである。その美意識は生活全般と関わり、生活をいわばファッション化することによって表現された」
「JJ」については、こう書く。
「『JJ』は親や周囲に受け入れやすい当時の実態に近いファッションや結婚観を示していたという点で『保守的』な雑誌であったが、まだ少数派であった四年生女子大生も対象とし、結婚も就職の支援もする、当時の多くの女子大生のニーズに合わせた雑誌であった」
こんな件もある。
フェミニズム思想の影響と反発、新しい生き方への読者の欲求、そして読者に対する広告対象としての注目。それらの交錯のなかで『MORE』と『クロワッサン』はモノやおしゃれのなかに新しい生き方の表現を追求していった。しかしその条件は、読者や広告を他誌と取り合うなかで崩れていった」
坂本佳鶴恵は女性雑誌の元編集長にインタビューを丁寧に重ねている。そうであればこそ、女性を対象としたジャーナリズムでありながら、作り手から徹底的に女性が疎外されていた歴史についても言及すべきではなかったのか。例えば『MORE』と『クロワッサン』のイデオロギーがどんなに新しくとも、それは男性から発信された情報であったいう点を無視できないはずなのだけれど。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784788516106

◎「週刊少年サンデー」(小学館)などで1989~96年に連載されていた「スプリガン」(たかしげ宙原作/皆川亮二画)が連載終了から20年以上を経てアニメ化されることになった。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどのdavid productionが制作し、動画配信サービス「Netflix」で全世界に配信される。
https://mantan-web.jp/article/20190311dog00m200059000c.html

◎「移住者と連帯する全国ネットワーク」という特定非営利活動法人 は堤未果の「日本が売られる」についてのファクトチェックを幻冬舎に送付したことを発表した。
堤未果著『日本が売られる』「6 医療が売られる」では、「YOUは何しに日本へ?国保を食い潰す外国人たち」という見出しから始まり、外国人が医療目的に来日し国民健康保険を利用して高額治療を受け、出産一時金を不正に受給しているということを強調し、「国民皆保険制度というインフラは、安易な移民50万人計画を進めることで、雪崩のように崩壊させて良いものでは、決してない」としています。しかしそのことを実証するデータは何一つ示されていないどころか、事実に基づかない主張で塗り固められた、「ウソ八百」ともいうべきシロモノです」
http://migrants.jp/news/factcheck-nihongaurareru/

------------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

細心に行動する必要はあるが躊躇は禁物である。