【文徒】2019年(平成31)3月14日(第7巻47号・通巻1465号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】自民党著作権法改正案提出見送り
2)【記事】ピエール瀧がコカイン使用で逮捕の衝撃
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.3.14 Shuppanjin

1)【記事】自民党著作権法改正案提出見送り

3月12日、菅義偉官房長官は違法ダウンロード規制について強化について「被害は深刻さを増しており、一刻も早い対策が求められている」と述べたようだ。
https://www.sankei.com/politics/news/190312/plt1903120027-n1.html
この報道を踏まえて池田信夫が3月12日にツイートしている。
「常識的には臨時国会に先送りだと思うが、この答え方だとDL規制を削除して、リーチサイト規制だけで今国会に出すと解釈できる。そうなると肝心のDL規制は消滅するが、族議員が黙ってないのではないか」
https://twitter.com/ikedanob/status/1105391211131691008
東京国際知財仲裁センター(IACT)理事長でもある玉井克哉がリプライしている。
「それが、このダウンロード規制案、なぜかどこにも推進派の『族議員』が見当たらない状況でして。本来なら保護されて喜ぶはずの著作者や出版社、周辺業界からこぞって反対の声が出ているという、わけのわからない状況なのです」
https://twitter.com/tamai1961/status/1105418468248223750
朝日新聞記者の丹治吉順がツイートしていた。
「『漫画村』を実際に潰したのもCDNへの発信者開示請求だったわけで、ダウンロード側の追及なんて何の役にも立っていない。あえて汚い言葉を使えば、この立法を進めている奴はどこまで馬鹿なんだ」
要するに“どこまでも馬鹿な奴”が見当たらないのである。
https://twitter.com/tanji_y/status/1105437695214407680
翌3月13日、事態は動く。自民党はインターネット上の違法ダウンロード規制を強化する著作権法改正案の今国会への提出を見送ることになった。朝日新聞デジタルの「ダウンロード違法化法案、通常国会提出見送り 自民」は異例の見送りだったと書いている。
「いったん法案提出を了承した部会と調査会が一転して判断を変える異例の展開となった」
安倍晋三首相に進言した古屋圭司国家公安委員長に軍配が上がった。朝日の記事もこう書いている。
「党内にも同調する声があったほか、MANGA(漫画)議連会長古屋圭司国家公安委員長通常国会への提出見送りを主張。化庁の提案通りの隙間ない海賊版対策を支持する甘利明・党知財戦略調査会長らと意見が分かれていた」
https://www.asahi.com/articles/ASM3F31MFM3FUCLV001.html
そのMANGA議連会長・古屋圭司がツイートしている。古屋、どうやら4年ぶりの呟きのようである。しかも全ツイートは17。
「報告です。著作権改正法案は次期国会に先送り決定。今朝自民党幹部会で決定しました。党最高意思決定機関である総務会にて差戻しになってから、鋭意再検討してきた結果だ。自民党の良識を示せたと思う。皆が納得できる法律に仕上る。その為に党主導で関係者からヒアリングなど丁寧な対応をしていく」
https://twitter.com/Furuya_keiji/status/1105627706517905408
東京新聞が、この日の朝刊で掲載した社説「著作権法改正 現場の声をよく聞いて」は、こう結ばれていた。
「健全な市場や利用法が著作権者と化を守る。著作権分科会は漫画家ら関係者や利用者の意見を聞いて法案を練り直したらどうか」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019031302000159.html
赤松健のツイート。
「まずは今回動いて下さった関係者の方々とネットの皆さんに感謝を。早速来週、漫協と化庁との会談があります。実はこれからが本番であり、今度こそ皆さん納得&安心の法案になればと願っています」
https://twitter.com/KenAkamatsu/status/1105645652107649029
前出・朝日記者の丹治吉順も今回の見送りを踏まえてツイートする
著作権侵害非親告罪化は化自体への破壊要因になるので、本来あってはならない。TPPのような総合的外交問題の際に極度に慎重に検討する類の問題。そして海賊版対策は、アップロード者への捜査強化と広告規制が第一」
https://twitter.com/tanji_y/status/1105653484433477633
こちらは日経BPでIT記者をつとめる浅川直輝が呟いている。
「DL違法化やリーチサイトなど改正案全て全て見送りへ。せめて範囲を縮小した上で通して欲しかった漫画出版社にはやや痛い展開
https://twitter.com/nasakawa/status/1105643553181523968

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2)【記事】ピエール瀧がコカイン使用で逮捕の衝撃 

ピエール瀧がコカイン使用で逮捕された。NHK大河ドラマ「いだてん」に出演しているし、5月公開の映画「居眠り磐音」にも出演している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00000001-spnannex-ent
民放テレビの動きは速い。スポーツニッポンは3月13日付「ピエール瀧容疑者逮捕 出演番組HP、ツイッターが続々削除 テレビ欄『未定』も」で次のように書いている。
CBCテレビ制作のTBS系『ゲンバビト』の公式サイトは削除され、『ファイルまたはディレクトリが見つかりません。』とのアナウンス。公式ツイッターは非公開となった。
また、2010年10月から、同容疑者の地元静岡で放送されてい静岡朝日テレビ冠番組ピエール瀧のしょんないTV』(金曜深夜0・20)の公式HP、ツイッターも削除され、14日放送のテレビ欄も『未定』となっている」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/03/13/kiji/20190313s00041000649000c.html
プレイステーション4向けゲーム「JUDGE EYES:死神の遺言」の出荷とダウンロード販売が当面の間自粛されることになった。セガゲームスが「弊社製品『JUDGE EYES:死神の遺言』の販売自粛について」を発表した。
「弊社製品『JUDGE EYES:死神の遺言』の出演者であるピエール瀧容疑者が逮捕されたことは、大変遺憾なことと受け止めております。
弊社では逮捕報道を受け、現在事実を確認中ですが、当面の間、当該製品の出荷及びDL販売、製品HPの掲出等を自粛させていただくことといたしました。お客様ならびに関係の皆様にご迷惑をおかけいたしますことお詫び申し上げます。
今後の対応につきましては、検討の上決まり次第、お知らせしてまいります」
https://sega-games.co.jp/release/190313_1.html
当然、電気グルーヴが3月15日(金)、3月16日(土)に予定していたコンサートは中止を決めた。
http://www.denkigroove.com/info/archive/?504888
ソニー・ミュージックアーティスツはホームページのトップに「ピエール瀧の逮捕について」を掲げた。
「この度、弊社所属タレントのピエール瀧が麻薬取締法違反の容疑で逮捕された件につきまして、関係各所の皆様、ファンの皆様へご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます
現在、詳細な事実確認を行っておりますが、この事態を真摯に受け止め、多大なるご迷惑をおかけしております関係各位の皆様へ対応させていただく所存です。また、本人の処遇につきましては、捜査の進捗を見守りつつ厳正に対処してまいります」
https://www.sma.co.jp/s/sma/?ima=0000#/
NHK NEWS WEB」は「瀧容疑者逮捕で広告取り止めも」を掲載している。
ピエール瀧容疑者がコカインを使用したとして逮捕されたことを受けて企業の間では、広告を取りやめる動きが出ています」
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190313/0026821.html
コンサートの中止は当然だろうし、広告の取りやめも致し方ないのかもしれないが、作品に罪はないし、被害者も実はピエール瀧本人しかいない。それを踏まえるのであれば、私は江川紹子のツイートに全面的に同意したい。
「またも過去の作品お蔵入り、収録済み映像も編集し直し消去、みたいなことをやるのか…。薬物自己使用とか被害者がいない事件で、そういう非生産的なことは、もうやめた方がいい」
https://twitter.com/amneris84/status/1105633385144172544
テレビプロデューサーの斎藤充もツイートしている。
ピエール瀧出演作品のお蔵入り、被害者がいないんだからもういい加減にこんな事やめりゃあいいのに。誰のため??国民はそれで幸せ民度は上がるの??近年の日本映画の良作が根こそぎみられなくなることがそんなに正しい判断か??誰の要請なんだ」
https://twitter.com/Garysaito/status/1105648119276920833
白石和彌iPhoneで撮ったという「麻雀放浪記2020」が呪われた映画にならないことを祈るばかりである。

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3)【本日の一行情報】

講談社の女性マンガ誌「BE・LOVE」に連載されている「おっさんずラブ」のコミックス第1巻が発売された。ストーリーはドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日)の脚本に準拠している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002060.000001719.html

Amazonは法人・個人事業主向けの新しいビジネス購買専門サイト「Amazonビジネス」をオープンした。利用は無料で、数分で申し込みができる。
https://t.co/PkIQr3XBA1

◎「遊牧夫婦」(ミシマ社)や「旅に出よう」(岩波ジュニア新書)などの著書で知られる近藤雄生は「吃音―伝えられないもどかしさ―」を新潮社から1月に上梓したが、朝日新聞が近藤を3月6日付の「ひと」欄で紹介した。「J-CASTニュース」も「BOOKウォッチ」で取り上げ次のように書いている。
「本書は足掛け4年にわたり『新潮45』に連載された記事をもとに単行本にしたものだ。『あとがき』で近藤さんは、同誌の編集長や複数の編集部員のアドバイスや後押しに長い謝辞を述べている。
同誌は2018年9月、LGBT性的少数者)をめぐる特集『そんなにおかしいか『杉田水脈』論』が批判を受け、休刊になった。しかし、一方では今回の吃音問題のように、社会的少数者に寄り添った企画も続けていたことを改めて知った」
https://www.j-cast.com/bookwatch/2019/03/12008756.html

◎2月25日に創刊50周年を迎えた夕刊フジが主催するイベントのなかで一番歴史のあるのが「夕刊フジ杯争奪愛読者ゴルフ大会」だそうだ。今年も5月28日(火)に千葉県・勝浦東急ゴルフコースで開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000564.000022608.html

清水エスパルス学研ホールディングスと地域事業応援パートナー「幼稚園・保育園巡回教室 健全育成サポート事業」契約を新たに締結した。
https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/42196/

◎「デジタル化とペーパーレスが進み、業績不振にあえぐ製紙会社」であることは間違いあるまい。「東洋経済ONLINE」は「製紙各社、10年ぶり『新聞用紙値上げ』の覚悟」で次のように書いている。
「製紙各社は2018年から印刷・情報用紙や段ボール原紙などの値上げに動いている。紙の需要が減少している中での価格引き上げだけに、製紙会社は『背水の陣』の姿勢で臨んでいる。中でも、2008年以来、実に10年ぶりの値上げとなるのが新聞用紙だ」
https://toyokeizai.net/articles/-/270403

◎1978年に「花とゆめ」で連載が開始され、後に「別冊花とゆめ」「メロディ」と移籍しながらも連載がつづき、現在も白泉社総合エンタメアプリ「マンガPark」で連載されている魔夜峰央の「パタリロ」が実写映画化され、6月28日から公開される。魔夜峰央の同名原作の映画「翔んで埼玉」が大ヒットしているだけに、その勢いを持ち込みたいところだろう
https://natalie.mu/comic/news/323481
魔夜峰央は「日刊大衆」(双葉社)の「映画『翔んで埼玉』大ヒットに原作者・魔夜峰央が『30年前は反響もなかった』と驚き」で、次のように語っている。
「この漫画が生まれた経緯は、郷里の新潟から、最初は東京出るつもりだったのが、編集者に相談して連れていかれた先が埼玉県の所沢だった。すぐそばに当時の『花とゆめ』(白泉社)の編集長、もっと怖い編集局長が住んでいた。
要するに編集者の罠で引っ張っていかれたんですよね。ずっと見張られてる感じだったので、早く逃げ出したくてしょうがなかったわけですよ。脱獄するのに4年かかりましたが(笑)。そういう鬱憤が詰まってできた作品なのかなと思います」
https://taishu.jp/articles/-/63971?page=1
「翔んで埼玉」も、もともとは白泉社から刊行されたが、これを2015年に復刊させた宝島社が現在のブームに火をつけたと言って良いだろう。
https://tkj.jp/book/?cd=02493901

◎近代映画社の「SCREEN」は4月号(2月21日発売)からARのページを導入している。
https://screenonline.jp/_ct/17257006

Netflixはアニメ制作会社のアニマ、サブリメイション、デイヴィッドプロダクションの3社とアニメ制作における包括的業務提携契約を締結した。昨年は、プロダクションI.Gボンズ締結している。
https://mantan-web.jp/article/20190312dog00m200000000c.html

◎オ、オレのパソコンがイカれたのかと最初は思ったけれど全世界的な規模でGメールに障害が発生した。「engadget日本版」が「GmailGoogleドライブで全世界的な障害が発生中(2019年3月13日午後12時現在)。症状は人によってさまざま」を発表している。
https://japanese.engadget.com/2019/03/12/gmail-google-2019-3-13-12/
「グーグルは15時13分、Gmailで発生していた問題が解決されたと発表」した。
https://ascii.jp/elem/000/001/827/1827503/

真言宗豊山派総本山長谷寺凸版印刷は、同寺所蔵の日本最大級巨大掛軸「長谷寺大観音大画軸」のデジタルアーカイブを実施した宗務所護国寺)などで出開帳が予定されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000189.000033034.html

◎「第4回 本のフェス」が3月23、24日の両日、DNPプラザ(新宿区市谷田町1)、DNP市谷左内町ビル(新宿区市谷左内町)をメイン会場に市ヶ谷~神楽坂エリアで開催される。黒沢清オールナイト上映会ぐらいしか行きたいと思う企画が私にはない。
https://honnofes.com/wp/wp-content/uploads/2019/03/bookfes2019.pdf
https://ichigaya.keizai.biz/headline/2848/

古代オリエントを舞台にした「天は赤い河のほとり」(小学館、16世紀のオスマン帝国後宮を舞台にした「夢の雫、黄金の鳥籠」(「姉系プチコミック」連載中)で知られるマンガ家の篠原千絵が、3月20日より国立新美術館で開催される「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」のスペシャルサポーターに就任した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000245.000013640.html

電通と株式会社シンカは、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)から、2019年から2023年の間に開催されるIFSC主催大会の全世界におけるマーケティング権および一部放映権(日本、アジア〔中国および中東を除く〕、オセアニア中南米カリブ)を共同取得した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019025-0312.pdf

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4)【深夜の誌人語録】

酔ったら負けだ。