【文徒】2019年(平成31)3月29日(第7巻57号・通巻1475号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】「Anime Japan」の女性キャラ等身大パネルをめぐり炎上
2)【本日の一行情報】
----------------------------------------2019.3.29 Shuppanjin

1)【記事】「Anime Japan」の女性キャラ等身大パネルをめぐり炎上(岩本太郎)

ヤングマガジン』に連載され、4月からTOKYO MXなどでアニメ化されることになった「なんでここに先生が!?」が炎上した。きっかけは東京ビッグサイトで23~26日に開催された「Anime Japan2019」のブースに設置したパネル。作中に登場する女性キャラクターの「等身大」パネルで、胸の部分だけが膨らみ“お触り”できるようになっているというものだが、これをTVアニメの公式アカウントが24日朝に写真入りでこんなふうにツイートしたのが騒ぎの発端だった。
《先生たちの横からの画像も上げておきますね。先生たちはお触り、自由です。優しくふれてほしいです。》
《ブースいらっしゃった方ありがとうございました。放送まであと少しですが、よろしくお願い致します!画像は下乳からの眺めです。》
https://twitter.com/nankoko_anime/status/1109613301036511232
https://twitter.com/nankoko_anime/status/1109735298961858562
さっそく批判ツイートが寄せられるようになった。
《てえかさ。子供と女性が出入りする全年齢の一般イベントでこれを展示したのか。普通に環境型セクハラだよね。そして児童虐待にもなるよね。少しは考えろよと言いたい。》
https://twitter.com/xxNankaixx/status/1111027092525715456
表現の自由ってさぁ…
女性の持つ胸やらカラダを妄想のままに男が自由にしていい権利なん?
たとえリアルで女性自身が自分の胸を触れとやっても書類送検になるようなことなんだけれど、女性のカラダを商品化すること・商品として頒布することはもういい加減にやめてもらいたい。》
https://twitter.com/Rena_thanx/status/1110324838718033920
《あまりに女性蔑視的で吐き気がします。国際基準から大きくハズレてますよ。あまりに女性蔑視的な日本のアニメはどんどん忌避され、国際的にも日本国内でさえも中国アニメに取って代わられるでしょうね。》
https://twitter.com/tubodaremoyou2/status/1110447199026999296
一方、こうした批判に対しての反論も飛び出しTwitter上はバトル状態に。
《この画像で立て看板とリアルの女性の区別がつかないのは眼か脳の何かの病気なので、ネットなんかやってないでさっさと病院に行きなさい。》
https://twitter.com/SASNIKU/status/1110697408076247040
《漫画のパネルにピーピー喚く暇あったら、『親や学校の教育虚しく性犯罪犯したクソクズ』をボコボコに断罪すりゃ良くね?》
https://twitter.com/ryohirori1/status/1110567497210593280
《放送を見もしない、お金を払いもしない、でも意見だけはするとかいう頭のおかしい人達の意見が集まってるみたいですが、決して屈しないで下さい。
仮にフェミニスト達の意見を採用したところで彼女達が何か買うのかといったらそんなことは絶対にありません。
アンチ10億人はファン1人より無価値です。》
https://twitter.com/guo_same/status/1110328122778357760
《この作品を見ない人の考えなんか聞いてない。
イベント会場はあなたの部屋じゃない。
アニメイベントはそのアニメを愛する人々の意見が採用されるべきであり、そのアニメを見もしない人間の意見に価値は無い。
不快ならイベント会場に行かなければ良いだけ。》
https://twitter.com/guo_same/status/1110327056565301248
《え? だってそこは、温泉街の「秘宝館」じゃなくて、子どもも行けるような一般向けのアニメイベントなんでしょう? その主張はおかしいわ。というか、一般向けのエロと一般向けではない(加害性のある)エロの区別が付かない問題かな。》
https://twitter.com/harupiyo1582/status/1110825405148061696
そうこうするうちに議論は件のパネルを離れて他の作品にも及んだ
《もう何回か話のネタにしてますが、今回のお胸パネルに口汚い言葉で怒ってる人達、これが発売された時はどこで何してたんですかね(あ、私はどっちもあっていいと思いますよ》
https://twitter.com/dominiasan/status/1110388885845102592
集英社のジャンプの漫画のキャラクターの尻の展示が、同じ扱い受けて炎上したのを見てなかったんですか?
貴社のジェンダーコンプライアンス、かなり問題有りですよ。下手するとスポンサーさんに苦情行きかねないから、人体を玩具のように扱う表現はやめた方が良いですよ。》
https://twitter.com/beizjager/status/1110243800532672521
28日にはネットメディアの『リアルライブ』がこの騒ぎをレポート。「芸能ライター」のこんなコメントを紹介。上記の「ジャンプの漫画のキャラクター」の件にも言及している。
《実は昨年12月22日、23日に行われた『ジャンプフェスタ2019』でも、アニプレックスブースに設置されたアニメ『ゆらぎ荘の幽奈さん』キャラクターの触れる等身大のお尻が物議を醸していました。特に、『ゆらぎ荘の幽奈さん』は原作が『少年ジャンプ』(集英社)ということもあり、『子ども向けカルチャーに相応しくない』という声が噴出していましたが、今回のイベント『AnimeJapan』でも、子どもが多く来場していたこということもあり、前回同様、“環境型セクハラ”に当たるとの指摘も上がっています》
https://npn.co.jp/article/detail/11421486/
ただ、当のTVアニメ「なんでここに先生が!?」公式ツイートは結局「Anime Japan2019」の期間中、この騒ぎについては最後まで「スルー」したまま。
公式サイトも含めて28日現在、特に対応していない。
https://twitter.com/nankoko_anime
http://nankoko-anime.com/
「Anime Japan」といえば、かつて2010年に東京都が青少年健全育成条例を改正した際の出版物への「不健全図書」指定に対し反発した版元側が同年より「アニメ コンテンツ エキスポ」を開催する分裂状態となった件が思い起こされる。2014年には再び一本化されたが、そこで今回こうした騒ぎが生じたことに対して、主催者や出展者は敏感でなければならないはずだ。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎妻を殺害したとして殺人罪に問われ、一審で懲役11年の判決を受けていた講談社社員(休職中)に対し、東京地裁は27日に保釈を認める異例の決定。
https://www.sankei.com/affairs/news/190327/afr1903270023-n1.html … 
https://www.fnn.jp/posts/00415097CX
しかしこれを不服とした検察側の広告を受けた東京高裁は、翌28日に保釈を取り消す決定を下した。
https://www.asahi.com/articles/ASM3X3V2VM3XUTIL01Z.html

◎「自分の漫画作品のキャラクターを無許可で使った玄関マットがアマゾンで販売されている」と複数の漫画家がウェブ上に訴えて話題になっている。講談社『イブニング』で「いとしのムーコ」を連載しているみずしな孝之は26日にTwitter上に商品の写真を添えて《現在アマゾンで販売されているこちらの商品は、無許可無認可のものなので購入されないようお願いします》とツイート(後に当該商品は取り下げになった模様)。販売者の住所には中国の地名や現地の電話番号が記されていたという。『JCASTニュース』の取材に『イブニング』は「現在事実関係を確認中です」と回答。
https://twitter.com/sinamism/status/1110509164051062785
https://www.j-cast.com/2019/03/27353723.html
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1903/27/news126.html 

◎「ホリエモン」こと堀江貴と「ひろゆき」こと西村博之が『週刊プレイボーイ』の連載対談(24日付『週プレNEWS』に掲載)でドワンゴの今後に言及。「川上さんが降りたことで、ドワンゴが普通の会社になってしまうんですかね」(西村)。「やっぱり大胆な改革が必要になってくるんじゃないの?」「夏野さんの手腕に期待したいところではあるよね」(堀江)などと語り合っていた。
https://wpb.shueisha.co.jp/news/technology/2019/03/24/108471/
そのドワンゴは27日に「AbemaTV」と動画配信で協業することを発表。4月1日から「niconico」で「AbemaTV」の番組を配信するという。
https://www.nikkansports.com/general/news/201903270000906.html
http://musicman-net.com/business/85133
『ITmediaNews』が27日付でドワンゴ夏野剛、サイバーエージェントの藤田晋の両社長に取材。「日本国内で競争している場合ではない」(藤田)「日本のネット業界に足りないのは連携。AbemaTVとは補完関係が築けそうだ」(夏野)とのコメントや、両者が握手するツーショット写真も添えながら報じている
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/27/news111.html
山本一郎は「宿敵」の川上量生から夏野にバトンタッチされたドワンゴのこの動きについて「AbemaTVにぶん殴られて降伏」と論評。
カドカワグループの孫会社となり大幅な減資をしたからには、コンテンツの調達を進められる全方位外交をしたうえで、いずれ大幅な増資をして外から資金調達し、カドカワグループから離れていくことが企図されるのではないでしょうか》
《「国内で競争している場合ではない」というセリフがタイトルに入っていますが、どっちかの社長さんは「海外勢は競合相手ではない」という趣旨の発言をメディアでも株主総会でも繰り返しされていたことが思い出されます》
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13219961.html

カドカワの子会社でグループ内における物流サービス事業を担当するビルディング・ブックセンター(旧角川庫流通センター・本社は埼玉県三芳町)は京区本郷にある固定資産を譲渡する。譲渡先は非公表で、これにより16億4500万円の譲渡益を見込むという。
https://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/190327500061.html
https://lnews.jp/2019/03/l0326403.html
http://www.bbc-kadokawa.co.jp/

株主総会などに突撃取材のうえ現場からtwitterなどでレポートしている「すずき」が28日に行われた電通株主総会の模様も会場からリアルタイムで報じていた。こんな調子だ。
《質疑応答へ。事前質問2問に回答してから、会場の質問へ
事前Q 採用面談での不適切発言について。昨年の株主総会で「厳正な処分を行う」との発言があったが、その後どうなったか》
《遠谷信幸:社内調査に外部弁護士事務所も入れて調査。役員には指摘された事実は認められなかった。「高橋まつりさんが亡くなったことをどう思うか」「報道されたことが必ずしも事実と思っていない」といった発言。ただ、就労環境などについて学生と対話し、質問に答えた事実は認められた》
《遠谷:面談担当の社員による不適切発言、スカートのたけなどについての発言などはあった。社内規則にもとづき、人事採用責任者に対して厳正な処分を行った。不快な思いをさせてしまい、深くおわびする。教育の再徹底を行う》
https://twitter.com/michsuzu/status/1111106828576776192
https://twitter.com/michsuzu/status/1111106830246113280
https://twitter.com/michsuzu/status/1111106831437320193
一部始終はブログ「スズキオンライン」の28日付エントリ「今の電通社内の人材以外も持株会社化後のトップ候補となりうる――電通 2019年株主総会の内容まとめ」に収録されている。
https://michsuzuki.hatenablog.com/entry/2019/03/28/000949

イカロス出版発行のミリタリー系雑誌『MC☆あくしず』が3月20日に発売の最新号の表紙で、アニメ風の女性キャラクターの胸元を強調したイラストを掲載。定期購読者などに向けて発送したところ、透明の封筒が使われていたために家族などの同居人にも表紙が丸見えの状態で送付されることとなったことからウェブ上で「肌色テロ」などと話題になる騒ぎに発展。編集部が公式Twitterで「お詫び」をすることとなった。同号から雑誌の判型が変わり、発送代行業者のもとに手違いで透明な封筒が送られたことが原因だったらしい。
https://twitter.com/mc_axis/status/1108348334777892864
http://otakei.otakuma.net/archives/2019032701.html

◎「安倍首相と最も近い記者」と呼ばれた産経新聞政治部長の石橋登が4月末で同社を退職。産経は2月中旬から51歳以上59歳以下の社員を対象に希望退職を募っており、現在52歳の石橋はこれに応じたという。『週刊春』が最新号で石橋に電話インタビューを行っている。
https://bunshun.jp/articles/-/11230

日本民間放送連盟(民放連)は27日に行われた総務省有識者会議で、ラジオのAM放送をやめてFM放送に転換できるようにするための制度改正を正式に要望。日経新聞は背景に民放ラジオ局の経営的な厳しさのほか、AM電波の送信設備の老朽化に伴う更新の問題を挙げている。無論、設備の更新はAMに限らず地上波テレビやCATVを含めたローカル放送局全体が直面する問題でもある。
総務省は今後、有識者を集めて18年秋に立ち上げた「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」で具体策を議論する。
分科会は今夏に中間報告、来春に最終報告をまとめる。自民党はケーブルテレビ局による地域メディア経営統合など、狭義の放送の枠を超えた再編などを提言。今後、設備共用といった緩やかな連携だけでなく隣接県での経営統合やブロック単位での統合などが浮上する可能性がある》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43001520X20C19A3TJ2000/
ロイターは「岐路に立つラジオ、収入低迷とコスト増 地域密着で活路」と題した記事で、北海道においてAMラジオのHBCと道内各地のコミュニティFMの連携が進んでいることに言及している。
https://jp.reuters.com/article/radio-am-fm-idJPKCN1R80OT
北海道にはJFN系列のFM北海道JFL系列のFMノースウェーブという2つの道内FM局があるが、コスト面から中継局の数が限られ、道内全域をカバーできていない。今から11年前には、こうした「民放ラジオ過疎」状態にある道東地区で、勝手にFM電波を中継した地元住民が逮捕される事件も発生した。
https://www.j-cast.com/2008/03/07017579.html

◎個人が音声によるコンテンツを投稿できる「声のブログ」として知られる「Voicy」が第三者割当増資により約1.2億円を調達したことを26日に発表。新たに朝日放送グループホールディングスの子会社・ABCドリームベンチャーズ化放送などが出資した。
https://jp.techcrunch.com/2019/03/26/voicy-abc-joqr/
音声コンテンツ主体のメディアに親しむユーザーは増えており、そこにはこうしてラジオ局のほか、TBSや電通のグループ会社、中京テレビ放送、スポーツニッポン新聞社なども出資している。日経新聞も今年1月に「Voicy」と業務提携を結んでいる。
https://jp.techcrunch.com/2019/01/09/voicy-nikkei/

◎5月に閉店することが発表された青森県弘前市紀伊國屋書店前店は1983年の開店だが、その進出の際には地元の書店が「閉店スト」を行うなどして激しく抵抗したという。地元紙の東奥日報が「ブック戦争 火噴く」と題された38年前の記事を27日付の記事で紹介していた。
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/170663