【文徒】2019年(令和元)5月29日(第7巻92号・通巻1512号)


Index------------------------------------------------------
1)【お詫びと訂正】5月28日号「日本雑誌広告協会が『電子雑誌広告ガイドライン』を発表」について
2)【記事】百田尚樹現象をめぐっての幻冬舎津原泰水のツイート合戦の結末
3)【記事】TBS「サンデー・ジャポン」がツイッターで「お詫び」
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.5.29 Shuppanjin

1)【お詫びと訂正】5月28日号「日本雑誌広告協会が『電子雑誌広告ガイドライン』を発表」について

昨日5月28日に配信した『』掲載の【記事】「日本雑誌広告協会が『電子雑誌広告ガイドライン』を発表」におきまして誤りがありました。
同記事中「(2)森紀一朗・企画委員会委員長による説明」の中で

誤)「日本の電子雑誌広告市場は2017年時点で約350億円(電通の2018年調査データによる)に達し」

とありますが、正しくは、

正)「日本の電子雑誌市場は2017年時点で約350億円に達し

の誤りでした。お詫びのうえ、訂正致します。
なお、その後に続く、「2020年には430億円(インプレス予測)にのぼるとも言われている」についても、「2020年430億円」とは同社が2017年7月に発表した「電子雑誌市場規模」の予測(下記URL参照)であり、2018年に発表の数字は下方修正されていることも、併せてお伝え致します。
2017年7月のリリース
https://www.impress.co.jp/newsrelease/2017/07/20170727-01.html
2018年7月のリリース
https://www.impress.co.jp/newsrelease/2018/07/20180724-01.html

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2)【記事】百田尚樹現象をめぐっての幻冬舎津原泰水のツイート合戦の結末

朝日新聞デジタルが5月28日付で「版元の幻冬舎学賞贈呈式で批判 作家の葉真中顕さん」を公開した。
「優れたミステリー作品に贈られる日本推理作家協会賞の贈呈式が27日、都内であり、小説『凍てつく太陽』で受賞した作家の葉真中顕さん(43)が版元である幻冬舎をめぐる騒動に言及した。同社の見城徹社長が特定の作家の実売部数をツイッター上で公表(後に削除)したことに対して、『非常に問題があるということについては同じ思いの方が多いと思う』と批判した」
https://www.asahi.com/articles/ASM5W34RTM5WUCVL001.html
「凍てつく太陽」の版元は幻冬舎である。葉真中顕のツイートによれば幻冬舎の編集担当者も了解したうえでのスピーチであった。
「昨日のスピーチ、記事になったんですね。
話した内容は概ね記事の通りですが、批判というより現状への危惧と自分がどうありたいかを述べたつもりです。
なお『例の件触れていい?』と相談したとき『是非、やってください』と背中を押してくれたのは幻冬舎の編集者でした」
https://twitter.com/akihamanaka/status/1133170835156377600
CCCメディアハウスの「ニューズウィーク日本版」6月4日号の特集は「百田尚樹現象」!総20頁に及ぶ記事とインタビューを手がけているのは石戸諭である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000284.000011369.html
幻冬舎見城徹社長や百田尚樹がインタビューに答えている。ただし、津原泰水庫問題が起きる前のインタビューだそうである。これは見城徹の発言。
「僕にはビジネス的に右派が売れているから右派の本を出そうという考えは全くない。右派的な本や雑誌ばかりが売れるのはどうかと思っている。もちろん、売れることは大事だ。売れる本があるから、全く売れないと分かっていても世に必要な本が出せる。僕が元日本赤軍極左重信房子の本を何冊も出していることから分かるでしょう。その時は批判なんて来なかった。僕は右でも左でもない。見城という『個体』だよ」
コピペ問題については、次のように答えている。
「こちらにやましいことは一切ない。ある全国紙から何度も、コピペ問題について取材依頼が来ましたが、応じるまでもなく、どうぞ好きに書いてくださいというのがこちらの考え。ウィキペディア含めてさまざまな献を調べたことは当然、あったでしょう。だけど、そこからのコピペで、これだけ多くの読者を引きつけられるものは書けない」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12205_1.php
石戸諭は次のように書いている。
百田尚樹とは『ごく普通の感覚を忘れない人』であり、百田現象とは『ごく普通の人』の心情を熟知したベストセラー作家と、90年代から積み上がってきた『反権威主義』的な右派言説が結び付き、『ごく普通の人』の間で人気を獲得したものだというのが、このレポートの結論である」
百田尚樹もこうツイートし、評価している。
「『ニューズウィーク日本版』は過去、『沖縄特集』が15ページの最長だったらしいのですが、今回、「百田尚樹」特集はなんと20ページでした!
私個人は、記事に対する不満は大いにありますが、ライターは誠実な仕事をしたと思います」
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1132974274572984320
東浩紀がこんなツイートを投稿している。
Newsweek百田尚樹特集、ツイートが炎上した以上責任を感じて読んだ。そして結論からいうと、まじめにこれは百田さん大勝利だと思った。石戸くんの記事が百田支持ということではない。けれども百田さん勝利についての記事ではある。いいとか悪いとかの判断以前に、皆記事を読むといいと思う」
https://twitter.com/hazuma/status/1133247014223802368
仲俣暁生の次のような指摘は重要だ。
「この記事は新聞でもネットでも難しかったろう。雑誌ジャーナリズムにわずかな可能性があるとしたら、ああいう記事をあらゆる分野でやることだ。書ける人を育てることだ」
https://twitter.com/solar1964/status/1133075936805498881
仲俣は、こうもツイートしている。
「石戸諭さんの記事を読んで思ったが、リベラル再生の鍵は簡単だよ。安易に答えを出す前に、必要と思っただけ自分の足で取材すること、学び続けること、そして批判の対象から目を逸らさずに見据えることだ。読まずに批判なんてできるはずもないし、そもそも本当の問題点を見失ってしまう」
https://twitter.com/solar1964/status/1133146636757098497
「井上静 網誌」にエントリした「見城徹社長は津原泰水氏へきちんと反論すべきだった」で、「見城社長は、百田尚樹『日本国紀』のウィキペディア丸写し批判に対して、堂々と反論すべきだったのだ」と書いている。井上静には「防衛医大の場合は ドキュメント医療裁判」「宇宙戦艦ヤマトの時代」といった著書がある。
https://ruhiginoue.exblog.jp/30610927/
このエントリに津原泰水も呟いている。
「簡にして要を得た論評。付け足すべき事はありません」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1132449793878310913
何故、石戸に応対したように津原に応対できなかったのか。それはツイッターを介してのコミュニケーションを選択してしまったためであろう。ツイッターから撤退した見城徹だが、アカウントも残したままであり、投稿したツイートを総て削除しているわけではない。次のようなツイートも残っている。
「津原さんの[日本国紀]及び著者に対する誹謗中傷は執拗に続き、担当者は沈黙を破って『これでは、私の立場がない。困ります』と電話をしたのです。ならば袂を分かとうと津原さんが言い、化中止の意思は担当者に伝わったのです。やがてメールのやり取りの全も何らかの形で明らかになるでしょう」
https://twitter.com/kenjo_toru1229/status/1129025896428462080
津原がリツイートしている。
「アカウント消してないんかい! 僕から見ればデマでしかないこの辺の主張に於いては、譲れないというのが幻冬舎の立場? 縦んば僕が『袂を分かとう』と口走ったと仮定しても、作業貫徹寸前の商業出版物を一編集者が即日出版中止に出来るだなんて、もはや会社の体をなしていないじゃないですか」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1132415712574599168

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3)【記事】TBS「サンデー・ジャポン」がツイッターで「お詫び」

こんな内容のツイートがタイムラインに溢れた。
サンジャポで流れた
『3人は望んで卒業した訳ではありません』
『その意味を考え続けてください』
この2つの発言、
山口真帆さんが投稿したインスタグラムの発言ではありません。
山口さんがこの発言をしたというのはサンジャポの捏造です」
https://twitter.com/ck04400/status/1132490111482941440
サンジャポで誤って放送された山口真帆さんのインスタグラムの発言動画。
彼女は「3人は望んで卒業した訳ではありません。その意味を考え続けて下さい」とは投稿していません。
その直前にはかとみなのネイル誤爆による炎上を取り上げていたのに…。人のこと言えないよ…」
https://twitter.com/suuu085/status/1132566000925200384
「WEB女性自身」が「サンジャポに捏造と非難殺到 一般投稿を山口真帆発言と放送か」を公開した。
「5月26日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)で、山口真帆(23)に関する特集が放送された。その際に『山口がインスタグラムに投稿した』とされたコメントが事実と違うとして、ネット上で非難の声が上がっている」
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1740295/
スポニチアネックス」が5月27日付で「サンジャポが謝罪 NGT報道に誤り『山口さんの投稿ではありませんでした』」を公開した。
「26日の放送では「山口真帆さんInstagramより※削除済み」としたうえで、山口が当該ツイートに対して「『嘘をつかれるのは悲しい 3人は望んで卒業した訳ではありません その意味を考え続けて下さい』と批判した」と放送していた。
この放送内容について、ツイートは山口本人のものではなく、別人のものだとの指摘があり、ファンなどから批判があがっていた」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/05/27/kiji/20190527s00041000178000c.html
バラエティ番組とはいえ、誤報は許されまい。「サンデージャポン【公式】」がツイッターで次のように謝罪している。
「5月26日放送の『サンデージャポン』で、NGT48のSNS騒動を報じた際、元メンバー山口真帆さんが25日深夜にインスタグラムに投稿したとして伝えたコメント『3人は望んで卒業した訳ではありません。その意味を考えて下さい。』は山口さんの投稿ではありませんでした。
お詫びして訂正します」
https://twitter.com/sunjapo_tbs/status/1132833562384711680
ツイッターとはいえ、TBSは、こうして「お詫び」を発表した。講談社は公開質問状の期限前に「お詫び」しても少しも構わないのだけれど。
人は渡瀬昌彦常務や乾智之広報室長に限らず、嘘をついて、その嘘が発覚してしまったならば誠心誠意、謝罪することから始めなければならないはずだ。嘘をついたことを認めなければ認めないほど「人間失格」の泥沼で喘ぐことになるだろう。そもそも嘘をついたことを謝罪すらできずにいる君は、病床の母親に恥ずかしくないのだろうか? これからの人生、ペテロを選ぶか、ユダを選ぶかである。

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4)【本日の一行情報】

◎5月26日付日経によれば、香川県は香川漆芸の振興の中核事業として、世界化社の「家庭画報」の協力のもと、高級ブランドとのコラボレーションによる地元漆芸作家の商品制作を今年度も企画する方針だそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45241170U9A520C1LA0000/
こういうことに「家庭画報」は取り組んできている。
https://www.kateigaho.com/yosoou/42865/
https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir4/dir4_3/dir4_3_2/wntoe8190222155555.shtml

◎「MORE」7月号の表紙は、Hey! Say! JUMPなのだが、付録のある通常版と付録のない増刊では、ポーズが違う。Hey! Say! JUMPのファンであれば、オレが「気分はもう戦争」が復活した漫画アクション」を二冊買いしたように二冊買いするのだろうな
https://more.hpplus.jp/odekake/o-news/47689/2/

電通は、同社の持つ企画・クリエーティブ力と出版社の持つ編集・営業力を掛け合わせることにより、既存の書籍にはない形の書籍を創り出し新たな読者体験の機会を提供、出版業界活性化を図るプロジェクトを開始した。第1弾として、高橋書店と共同で企画・制作した「外来生物大集合!おさわがせいきもの事典」を5月28日に発売した。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201905276800

Amazon Kindleストアで「小学館祥伝社 スーパービッグフェア」が実施されている。第一弾となった「歴史・時代小説」は5月23日に終了。第三弾の「新書」、第四弾「語学・教養・ビジネス・自己啓発」は5月30日まで。小学館と祥伝社が組んだことに注目しよう。「KADOKAWAラノベ一気読み!」「KADOKAWA BL フェスティバル 第3弾」も開催されている。
http://societas.blog.jp/1074823295

◎「BusinessJournal」が「成人誌が8月末でコンビニから完全撤去…性が排除されるほど“不快な性”が増える矛盾」を発表した。ミリオン出版元社長で成人誌の編集にも長年携わってきた比嘉健二編集長がインタビューに応じている。
「エロ自体はなくならないのだから、ネット通販で買えない人たちのために流通を変えることも検討していきたいですね。コアなニーズにこたえるために、同人誌的な売り方もアリかなと思っています。けっこう本気で考えているのは、『ビッグイシューのように駅前などで手売りをすることです。これなら読者と直で話ができて、意見を聞くこともできるし、楽しいと思いますよ」
https://biz-journal.jp/2019/05/post_28074.html

◎「RONZA」に岩波書店の渡部朝香が「ひとり出版社『共和国』の野望と恥じらい」を掲載している。
「刊行直後に『食べること考えること』を手にとったときの衝撃は忘れられない。異彩を放つ定型外の造本。帯に印刷された「定価2400円+悪税」の字。栞状のカードに小さな字でみっしりとメッセージが書かれた「共和国急使」。本がただならぬ熱を帯びていた。以来、共和国が出す本を気にせずにはいられなくなった」
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019052700004.html?page=1
私も何を隠そう共和国のファンである。

凸版印刷のグループ会社であるONE COMPATHが運営するウォーキングアプリ「aruku&」(あるくと)は、映画「きみと、波にのれたら」の公開を記念し、映画ゆかりの場所をめぐる特別コースの設置や、イベントをクリアすると抽選で映画グッズが当たる「きみと、波にのれたら キャンペーン」を5月27日(月)より実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000087.000018526.html

◎JR倉敷駅前の商店街にある愛社書店がリニューアルオープンした。創業が明治元年という老舗である。山陰新聞デジタルの5月27日付「倉敷の老舗書店 時代に合わせ刷新 愛社、訪日客も視野に品ぞろえ」が次のように紹介している。
「江戸中期建造など2棟の建物を店舗として使っており、リニューアルに際しても瓦や柱、はりをできるだけ残して改築。内装に木を多用するなどし、改装前以上に古民家の趣を感じさせる店に仕上げた」
https://www.sanyonews.jp/article/902660

◎「週刊金曜日オンライン」が「講談社、“盗用疑惑”『美しい顔』めぐり業界誌に圧力」を掲載した。
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2019/05/28/antena-482/
今年、講談社は110周年を迎えるが、110周年に泥を塗る君側の奸は誰なのかということである。そろそろ講談社は乾智之広報室長が単なる「社内デマゴーグ」の役割しか果たしていなかったことに気がつくべきだろう。手遅れになる前に、だ。

はてなは、集英社のデジタルマンガ雑誌サービス「少年ジャンプ+」ブラウザ版(Web版)にて、同社開発のマンガビューワ「GigaViewer」のストア機能が採用され、5月27日より提供を開始した。これにより、ユーザーは「ポイント」の購入が可能になり、作品を1話単位でレンタルできるようになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000006510.html

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5)【深夜の誌人語録】

暴走を許してしまった原因を明らかにしなければ、暴走は繰り返されよう。