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1)【記事】石戸諭が津田大介による朝日「論壇時評」に訂正を要求
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.7.2 Shuppanjin
1)【記事】石戸諭が津田大介による朝日「論壇時評」に訂正を要求
朝日新聞の5月30日付「論壇時評」で津田大介は、石戸諭が「ニューズウィーク日本版」に掲載した「百田尚樹現象」について次のように批判した。
《石戸は百田を「ごく普通の人」と位置付けたが、それは誤りである。百田は稀代のストーリーテラーであり、その天才的能力を敵視でつながりたい人々に幅広く提供した「相互承認コミュニティのリーダー」なのだ。》
この表現について石戸は朝日新聞に訂正を要求したそうだ。6月27日付朝日新聞の「論壇委員会から」は次のように書く。
《前回(※筆者注:5月30日13面)の津田大介さんの論壇時評で「特集 百田尚樹現象」(ニューズウィーク日本版)をご紹介しました。「石戸は百田を『ごく普通の人』と位置付けたが、それは誤りである」との表現について、筆者の石戸諭さんから「百田氏を『ごく普通の人』と位置付けた事実はなく、『誤り』と断じることは認められない」と訂正要求がありました。「いかに特異であり『ごく普通の人』とは違う能力を持っているか」を特集で示したといいます。
編集部は、津田さんの表現は百田氏の政治的・思想的な立ち位置という観点から石戸さんの論じ方に疑問を呈した論評であり、訂正は必要ないと考えます。(宮本茂頼)》
これに納得がいかない石戸は「ニューズウィーク日本版」のオフィシャルサイトに「【百田尚樹現象】『ごく普通の人』がキーワードになる理由――特集記事の筆者が批判に反論する」を発表する。
《最初の一文には明らかな誤りがあります。この論考で私は「百田尚樹=普通の人」と位置付けた事実はありません。私はレポートの結論で百田氏について「ごく普通の感覚を忘れない人」と書いていますが、それと「ごく普通の人」は、読解する上で大きな違いがあります。「位置付ける」というのは、「ふさわしいと思われる位置に置く」(日本国語大辞典)です。私はこの論考で、いかに「百田尚樹」という人が特異な才能を持っているかについて、取材をもとに明らかにしていますが、彼を「普通の人」などとはどこにも書いていません。
さらにその後に続く一文「百田は稀代のストーリーテラーであり......」は私が特集の中で強調していることです。誤りを指摘した批判のあと、この一文を続けており、これをそのまま読むと私が「百田をストーリテラー」として認識していないものと読めます。
私はこの時評が発表されてからすぐ、朝日新聞に「訂正してほしい」と抗議をしました。結果は6月27日付朝日新聞朝刊紙上で掲載されている通りです。》
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12403_1.php
オフィシャルサイトは「百田尚樹現象」の全文を公開している。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12393.php
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12394.php
これは石戸のツイート。
《【ニューズウィーク「百田尚樹現象」を全文無料公開します】今朝の朝日新聞朝刊でも掲載されているように、このレポートを批判した同紙の論壇時評について、明らかな誤りがあるため訂正を申し入れました。無料公開にあたり、その理由をここに明記しました。》
https://twitter.com/satoruishido/status/1144163911924453376
石戸の担当編集者である小暮聡子もツイートしている。
《「石戸は百田を『ごく普通の人』と位置付けた」のか?まるで現代文の読解問題のようですが、朝日新聞「論壇時評」にこの文言の記載を見て、筆者の石戸諭さんと担当編集の私は同じ反応をし(驚き)、答えも同じでした(相違があったら大変です)。何があったのか?問いの起点となった記事も公開中です。》
https://twitter.com/Satokogure/status/1144213608953344000
津田大介のツイート。
《僕が執筆した5月30日付朝日新聞論壇時評に対し、石戸諭氏から幾度も強い訂正要求があり、昨日6月27日同紙オピニオン面「論壇委員会から」にて訂正はしない旨が発表されたところ、即日、石戸氏がニューズウィークのサイトで反論記事を公開しました。その記事に反論します》
https://twitter.com/tsuda/status/1144330850630168576
津田が「note」に発表した「【反論への反論】石戸諭氏の特集記事に関する批評と、氏の抗議に応えて」たが、「非公開」にしてしまった。
https://note.mu/tsuda/n/naa2faee7b628
ツイッターでは江川紹子が津田大介に次のようにリプライ。
《新聞に勘違いの論評を一方的に書かれた人が、訂正を求めたり、誤解を解くために新聞社に申し入れをすることを、クレーマーのごとく扱うのはいかがなものでしょうか。対談をお断りになり、授業も直前にキャンセルの通告されたとのこと。津田さんは対話のできない方だということがよく分かりました。》
https://twitter.com/amneris84/status/1144417642096123904
津田は、こう応じる。
《①僕の論評は「勘違い」ではないと思います
②しかし僕の論評が「勘違い」と江川さんが思うことは論評なので受け入れます
③しかしそれは「ファクト」の問題ではないので、江川さんに訂正を求めることはしません
④訂正求めたり誤解を解くために申し入れすることは自由ですが、時間と頻度が過剰です》
《⑤対談はむしろ最初にこちらから彼に申し込んでおり、それに応えずずっと新聞社に訂正要求をし続けたのは彼です
⑥ですので僕が「対談をお断りになり」と表現されるのは「ファクト」の誤りです
⑦授業は彼と朝日新聞が一向に妥結しない状況下で行ったやむを得ない判断です。妥結していればやりました》
《江川さんは石戸の今回の記事を高く評価されていたのでバイアスがかかっていませんか?
僕の論評への批判は甘んじて受け入れます。しかし公開の場の議論を呼びかけたのに応えず、新聞社のデスクに電話をかけ続けたのは彼なので僕を「対話のできない方」と決めつけるのはやめていただけないでしょうか。》
https://twitter.com/tsuda/status/1144428750580244480
https://twitter.com/tsuda/status/1144429523120771072
https://twitter.com/tsuda/status/1144432659902242816
石戸諭は「ニューズウィーク日本版」に今年「沖縄ラプソディ」も発表している。
《ラプソディ、狂詩曲とは一定の形式を持たない、自由奔放な楽曲のことを言う。これまでの沖縄語りから離れ、自由で多層で、異なる声が聞こえるルポルタージュを――。そう考え、県民投票を直前に控えた沖縄に向かった。》
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11743.php
石戸諭の「百田尚樹現象」や「沖縄ラプソディ」を一冊にまとめる企画を誰か考えないものだろうか。
石戸は昨年発表した「芥川賞候補『美しい顔』は『彼らの言葉を奪った』 被災者手記・編者の思い」も良かった。講談社の、まあ渡瀬昌彦常務は読んでいることと思うが、乾智之広報室長は、果たして読んでいるのだろうか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidosatoru/20180707-00088468/
実は私が石戸諭をマークし始めたのは、「文徒」を創刊する以前のことである。石戸はまだ毎日新聞に籍を置いていた。私がブログに「ツイッター記者について私が知っている二、三の事柄part2」をエントリしたのは2012年5月9日のことであった。そこで、私は次のように書いている。
《毎日新聞の記者で私が最初にフォローを始めたのは石戸諭であるようだ。
「石戸諭(Ishido Satoru)
@satoruishido
毎日新聞で記者をしています。仕事では主にリスクコミュニケーションに関心あり。なおここでの発言は会社と一切関係ありません。1984年生まれ。ご連絡はsatoruishido(at)gmail.comまで。 電子書籍にて「安心の風景―子どもと犯罪、ホントのところ」を発売中。→http://bit.ly/glH68H
大阪市在住 ・ http://twilog.org/satoruishido」
『現代思想』もしっかりとチェックしていると思しき石戸らしいツイートは短いが次のようなものであろう。
「ガレキ問題など具体的な対策が必要な話に対して、観念論で問うという姿勢は、いい加減どうにかならないものか。」4月9日
新聞記事であれば「観念論で問うという姿勢」という表現はしないはず。こういう言い回しに石戸の地が出ていると言って良いだろう。いずれにしてもリスクコミュニケーションに関心を持っているという石戸の次のようなツイートに私は「激同」(ツイッターで良く見られる言い回し。激しく同意するということだろう)する。
「福島では健康調査よりも避難、という声をいただいた。避難も権利というのは賛成だし『避難したいけどできない』という方に支援も必要だと思う。しかし『福島に住む権利』、住みたい場所に住む権利というのは当たり前にある。いまは選ぶことが大事なのであって、一方的な押しつけが必要なのではない。」3月15日
しかし、だからこそ私は新聞に首を傾げざるを得ないのだ。昨年、政府が福島第一原発から20キロ圏を立ち入り禁止にした際に、20キロ圏内で暮らす普通の人々がいたにもかかわらず、新聞が20キロ圏内に入らなかったことに、である。たとえ会社が建前上、入ることを禁じていたとしても、個人として入って、それこそツイッターで発信する新聞記者がいなかったことが私からすれば不思議で仕方ないのである。新聞は福島第一原発の過酷事故にかかわる報道で自らが「事実」を放り出してしまった側面を否定し難いのではないだろうか。石戸も言うように「必要なのは解釈ではなく、事実」なのである。福島第一原発の過酷事故の報道において新聞は「事実」を前に膝を折らなかったと胸を決して張れまい。
「『●●●の陰謀』『●●●が洗脳』。いろんなところで聞くけど、とどのつまりは『真実を知っている私』を強調したいケースがほとんど。その手の自慢話にはついていけないのですよ。必要なのは解釈ではなく、事実であろう。3月23日
よく読んでみると「その手の自慢話」でしかなかったという類の記事が毎日新聞に掲載されないことを心からお祈り申し上げておこう。》
https://teru0702.hatenablog.com/entry/20120509/1336542974
石戸のジャーナリズムの方法論には一貫性があるのだ。だから毎日新聞を辞め、今日に至っているのだ。観念論に逃避せず、観察者たることに徹底することが「ニューズウィーク日本版」での仕事に結晶したのだろう。石戸を批判するのであれば、最低でもこのあたりを押さえておきたいものだ。
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2)【本日の一行情報】
◎「田中康夫YouTube公式チャンネル」が7月1日 付で《Vol.551 甘チャンに任せてしまった大日本雄辯會講談社『ViVi』の痛手! ニャンと社主「野間家」と血縁だったYa‘ssyも 明治神宮で挙式の斜怪派・平野啓一郎閣下の「沈黙は金」に》を発表した。参考資料の中で文徒アーカイブへのリンクも張られている!
https://www.youtube.com/watch?v=VVSMnNTorfU
問われるべきは講談社のガバナビリティであり、コンプライアンスなのである。コンプライアンスってのは要するに「渡世の義理」だ。
◎「Lmaga.jp」によれば、「大垣書店」が印刷会社「修美社」とタッグを組み、堀川商店街に印刷所併設の書店「堀川 AC Lab(エーシーラボ)」をオープンした。本を買うだけでなく、1冊から本を作ることができるそうだ。
《普通の本屋と違うのは、活版印刷機を備え、自分で活版印刷ができる(予約制)ほか、デザインや紙選び、印刷方法など、印刷物に関する相談や、名刺、ポスター、グッズなどの制作もお願いできること。それを担当するのが「修美社」だ。「印刷会社はデザイナーやアーティスト、編集者と取り引きすることが多く、なかなか一般の方と接する機会が少ない。でも、ここは老若男女に向けた印刷よろず相談的な窓口が目標です」と、「修美社」の常務取締役・山下昌毅さんは語る。》
https://www.lmaga.jp/news/2019/06/70084/
良いアイデアである。京都の書店はどこも侮れない。
◎KADOKAWAは、ラブライブ!シリーズ9周年を飾るスペシャル雑誌「電撃G'sマガジン2019年8月号増刊 ラブライブ!総合マガジンVol.01 ~みんなで誌名を決めよう!号~」を発売した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005967.000007006.html
◎9月28日(土)・29日(日)に開催される「PIA MUSIC COMPLEX」(通称「ぴあフェス」)の第4弾アーティストが発表され、全ラインナップが決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001262.000011710.html
◎LINEと弁護士ドットコムは、オンライン法律事業を目的とした業務提携を締結し、両者の強みを活かした新たな相談サービスを2019年秋にスタートする。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2786
◎集英社の女性誌「MORE」8月号の付録は、頭皮マッサージができる「uka」の美髪パドルブラシだ。集英社の女性誌の付録は、宝島社の付録誌に対抗できる存在である。
https://more.hpplus.jp/beauty/b-news/48468
◎幻冬舎の元編集者で、「パピルス」の創刊編集長もつとめた日野淳が石巻中心商店街に「口笛書店」を設立する。河北新報が6月28日付で「古里に『口笛書店』設立 日野淳さん、出版文化を発信 来月記念企画も」を掲載している。
《「口笛書店 会社説明と代表自己紹介の会」を7月25日午後7~8時、IRORI石巻で開く。入場無料。予約不要。
ゲストに幻冬舎時代の同僚で現在、文藝春秋の書籍編集者の篠原一朗さんを招く。
篠原さんは、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」、野田洋次郎さんの「ラリルレ論」、本年度本屋大賞受賞作である瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」など話題作を連発している出版界のヒットメーカー。》
https://www.kahoku.co.jp/special/spe1000/20190628_15.html
https://kuchibueshoten.co.jp/kickoff/
日野は「本のない本屋さんのおじさんを目指したい」そうだ。
◎朝日新聞デジタルは6月28日付「ツイッター社、政治家らの違反ツイートに『告知』表示へ」で米ツイッター社の動きを伝えている。
《同社によると、10万人以上のフォロワーがいる政治家らが対象になる。問題のあるツイートをした場合、「規約違反のツイートだが、公共の利益を鑑みて、閲覧ができるようにしている」とのメッセージを表示。利用者が「閲覧」をクリックすると、実際にそのツイートが見える仕組みになるという。》
https://www.asahi.com/articles/ASM6X4WHSM6XUHBI01H.html
◎「MASHING UP」が「夫婦像の常識をアップデート。講談社のカリスマ編集者と夫、その斬新なライフスタイルとは?」を掲載している。
《『東京タラレバ娘』『海月姫』など、数々のヒット作を生み続ける漫画編集者・助宗佑美さん。多忙な彼女を全面的に支えるのは、「専業主夫」のパートナー、謙一郎さんです。》
https://www.mashingup.jp/2019/06/interview_yumi_kenichiro_01.html
https://www.mashingup.jp/2019/06/interview_yumi_kenichiro_02.html
◎JTBグループで旅行・ライフスタイル情報を提供するJTBパブリッシングと岩手県大船渡市は、高齢者・障がい者を含めた誰もが容易に利用することができ、大船渡市の魅力の積極的な発信や、災害時における確実な情報の取得ができるホームページをコンセプトに、大船渡市の公式ホームページをリニューアした。
https://www.dreamnews.jp/press/0000197240/
◎Snow Manが表紙を飾ったマガジンハウスの週刊女性誌「anan」6月26日発売2157号の緊急重版が決定した。特集テーマは「NEXT ジェネレーション」。「anan」の重版は櫻井翔「オトコノカラダ」(1693号/2010年)、King & Prince「最強の出会い」(2103号/2018年)、SixTONES「色気の法則」(2145号/2019年)に続く4度目となる。
https://mdpr.jp/news/detail/1847292
◎コンピュータ関連書籍を発行する出版社7社が加盟する「コンピュータ出版販売研究機構」(CPU)は、CPU大賞を発表した。2018年度におけるコンピュータ書籍の書店別販売実績ランキングは【第1位】紀伊國屋書店新宿本店(東京都)(販売冊数76,791冊 前期比106.6%)、【第2位】ジュンク堂書店池袋本店(東京都)(販売冊数68,755冊 前期比104.7%)、【第3位】丸善丸の内本店(東京都)(販売冊数49,106冊 前期比104.4%)。
書籍部門で第1位となったのは「ドラゴンクエストXを支える技術 ── 大規模オンラインRPGの舞台裏」(技術評論社)だった。
https://www.atpress.ne.jp/news/187111
◎「萩尾望都 ポーの一族展」は7月25日から8月6日まで東京・松屋銀座8階のイベントスクエアで開催される。「月刊flowers」8月号(小学館)がガイドを掲載している。
https://natalie.mu/comic/news/337567
◎JR東日本企画、小学館集英社プロダクション、タカラトミーの3社原案による玩具シリーズ「新幹線変形ロボ シンカリオン」は、テレビアニメ化され、劇場版が、「新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X」のタイトルで2019年12月に公開される。
https://anime.eiga.com/news/108894/
◎青木祐子の「これは経費で落ちません! 」(集英社オレンジ文庫)がNHK総合で実写ドラマ化され、7月26日(金)より放送開始となる。石鹸メーカーの経理部で働く森若沙名子が、社内で起きる問題を淡々と解決していく物語だ。
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/87156/
◎朝日新聞デジタルは6月28日付で「情報流出、ベネッセの賠償責任認める初の判決 東京高裁」を発表した。
《判決は、請求を棄却した一審を変更し、ベネッセと業務委託先の会社に対し、1人あたり2千円の支払いを命じた。原告側によると、同様の訴訟でベネッセの賠償責任を認めたのは初めてという。》
https://www.asahi.com/articles/ASM6X64WWM6XUTIL043.html
◎毎日新聞が6月28日付で「万引き防止に『顔認証』 渋谷3書店共有へ 入店でアラームも」を公開している。
《新システムでは、7月30日以降に現行犯で逮捕された人や、被害後に防犯カメラから盗んだことが確実と見込まれる人の顔画像や特徴、日時や被害状況を共有する。氏名は記録しない。各店舗は顔認証システムを使い、こうした人が入店した時にアラームが鳴るようにする。》
https://mainichi.jp/articles/20190628/k00/00m/040/263000c
丸善ジュンク堂、啓文堂書店、大盛堂書店の三書店が取り組む。確かに「万引」は許されないし、書店の経営を圧迫する要因のひとつではある。そうは分かっていても、私は俄かに賛成できない。フーコーを念頭に置いていえば、これは書店のパノプティコン化であるということもできるはずだ。「渋谷ではもう本屋に行かないことを決めました」といった声もSNSでは呟き始められている。人権侵害の可能性もあるからだ。渋谷の三書店にはフーコーの「監獄の誕生」を置いて欲しくないものだ。大塚英二がツイートしている。
《書店の事情はわからなくないが、「客を顔認証で監視する書店」というのは、どこか釈然としないのは僕だけか?
「陰謀のセオリー」という映画で「ライ麦畑」が書店で買われないか監視されてるっていうネタが笑えない時代になっている。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1145652283750801411
◎長崎新聞創刊130周年記念事業「名探偵コナン 科学捜査展」(主催・長崎新聞社、NIB長崎国際テレビ、長崎県美術館、特別協賛・大誠ハウス)が長崎県美術館(長崎市出島町)で開催されている。
https://this.kiji.is/517523499691525217?c=39546741839462401
◎光文社の「Mart」がインスタグラムを使ってパナソニックと組んで『Martおうち食パン部』キャンペーンをスタートさせた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000183.000021468.html
◎「Engadget 日本版」が「ニュース雑誌読み放題Apple News+、一部出版社から『予想の20分の1しか儲からない』との声も」を公開した。
《ある出版社の幹部は、アップルはApple News+が初年度の終わりにはTexture(Apple News+の前身になったニュース版Netflix)の10倍の収入を予想していたものの、実際にはその1/20にすぎないとぼやいているそうです。また他の出版社は、Apple News+の購読収入はTexture時代と同程度かそれ以下だと述べているとのことです。》
https://japanese.engadget.com/2019/06/29/apple-news-20-1/
◎連載40年を超える漫画を実写映画化した「劇場版パタリロ!」が公開された。コミックス101巻も白泉社から発売されたばかりだ。
https://eiga.com/news/20190628/22/
◎小学館がクラウドファンディングサイト「小学館スタートアップゲート 」をCCC(TSUTAYA )グループのクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING 」とパートナー契約 のもと 7 月 1 日に立ち上げた。
第一弾となるのは「トランスフォーマー35周年記念 コンボイ司令BOX」と「新幹線変形ロボ シンカリオン 復刻版 500 TYPE EVA & シンカリオン超全集BOXスペシャルセット」。シンカリオンの目標金額は約6,000万円 (19,800 円× 3,000BOX 59,400,000 円)、 トランスフォーマーの目標金額は 3,360万円 (16,800 円× 2,000 BOX )。 これをクリアしないと企画自体が実現しない超チャレンジングな取り組みだ。目標金額は併せて9000万円を超える!
https://greenfunding.jp/startupgate/projects/2912
https://greenfunding.jp/startupgate/projects/2954
現状プロジェクトの公募は行っていないそうだ。こうした「成立すれば国内クラウドファンディング史上、例を見ない目標額」をもって話題を盛り上げるのも良いが、たとえ公募できなくとも、もっと小さな、しかしキラリと光るよう企画のクラウドファンディングであれば、私も投資したい。ジャーリスティックなノンフィクションとか、若手の批評集とか、学術書とか。個人は無理でも中小の版元も活用できる大手版元のクラウドファンディングという考え方はあり得ないのだろうか。
実は私もCAMPFIREを使って二度クラウドファンディングを試みている。
https://camp-fire.jp/projects/view/9683
https://camp-fire.jp/projects/view/41319
クラウドファンディングのお蔭で二冊とも刊行に漕ぎつけた。
https://item.rakuten.co.jp/hmvjapan/7353047/
https://item.rakuten.co.jp/webbymono/ts9784908927027/
◎これは重要な指摘だ。「出版状況クロニクル134(2019年6月1日~6月30日)」は次のように書いている。
《『日経MJ』(6/3)の一面で、プロデュース事業を手がけるスマイルズが紹介されていたことで知ったが、日販の「文喫」も店名も含め、スマイルズの企画だという。日販やCCC=TSUTAYAの周辺にはこうしたコンサルタントが様々にパラサイトし、新たな複合型書店、パルコ型システム、ツタヤ図書館なども、そのようにして出現してきたのだろう。
トーハンにしても、8月には旧京都支店跡地にホテルが開設され、本社の再開発においても、6月にトーハン別巻の解体工事が始まり、12月に新本社建設が着工されるという。おそらくこのような不動産プロジェクトにも、多くのコンサルタントが関わっていると考えられる。
コンサルタントにあやつられ、失敗に終わった地方の行政市場プロジェクトをいくつも見てきた。取次がその轍を踏まないように祈るばかりだ。》
http://odamitsuo.hatenablog.com/entry/2019/07/01/000000
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3)【深夜の誌人語録】
飛躍は積み重ねの結果でしかあり得ない。