【文徒】2019年(令和元)7月29日(第7巻134号・通巻1554号)


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1)【記事】講談社「はじめてのはたらくくるま」のどこが偏向しているのか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】講談社「はじめてのはたらくくるま」のどこが偏向しているのか?

講談社が発売元の「はじめてのはたらくくるま」だが、編集を担っ講談社ビーシーが増刷中止を決めた。これを「共産党系組織が講談社『はじめてのはたらくくるま』に抗議し増刷中止に追い込んだ」と考えるのは陰謀論の類だろう。確かに「はじめてのはたらくくるま」に偏向のあることを最初に告発したのは日共系の「新日本婦人の会」機関紙である。だが「はじめてのはたらくくるま」に問題があることを感じたのは「新日本婦人の会だけではなかったのである。
私にしてもそうだし、電通OBの森隆一から何度かその名前を聞いていた映画監督の松井久子が7月7日にフェイスブックに次のように投稿している。
《【お母さんたち、気をつけて!】
『はじめてのはたらくくるま』
昔からおなじみ、親が子どもに与えてきた「働く車」の図鑑だ。
この児童書を教えてくれたのはペンクラブの児童書委員長されている作家のドリアン助川さん。
パトカーや消防車、救急車、ショベルカーなど、3歳の子どものための働く車図鑑の30頁中6ページにわたって陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の戦車や航空機、潜水艦などが取り上げられている。
今の子どもたちは当たり前のように「戦争をする国」の働く車両として3 歳から脳と心に植えつけられているのである。
しかも表紙に紹介されている高機動車は、自演隊員が乗っているばかりか機関銃さえ構えて戦闘態勢をとっている。
親が書店で買うときは、その写真が帯で隠されていて気づかないという巧妙さだ。
このように今の社会には気づかぬうちの洗脳が溢れている。版元の講談社は先日、自民党とタイアップで女性ファッション誌VIVIの広告記事を載せ物議をかもした出版社だ。
このような老舗の出版物までもが政府の思惑に沿っているのだとしたら、親たちは子どもに与える本の一冊さえよほど注意して選ばねばならない。ほんとに恐ろしい時代になったものだ。》
https://www.facebook.com/hisako.matsui.9/posts/2091269927669109
ドリアン助川が委員長をつとめる日本ペンクラブの「子どもの本」委員会やJBBY(日本国際児童図書評議会)でも「はたらくくるま」は問題になっていたのである。
野上暁のペンネームで「おもちゃと遊び」(現代書館)や「子ども化の現代史 遊び・メディア・サブカルチャーの奔流」(大月書店)などの著書を持つ小学館の元取締役である上野明雄がフェイスブックで、こう書いている。
《表紙に銃を構える自衛隊員の写真が掲載され、本中には、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の戦車や戦闘機、潜水艦までが、働く車として掲載されていたため、ペンクラブの「子どもの本」委員会やJBBYでも問題になって声明や抗議案まで作成したけど、各団体からの抗議や申し入れで、講談社は不適切だと認め今後は重版しないとネットで公表した。》
https://www.facebook.com/nogami.aquira/posts/2318663428210007
金曜日の7月26日付で紹介した「さかさまライオン」や「うそつきのつき」などで知られている内田麟太郎のブログもこう書いている。
《幼児絵本『はじめてのはたらくくるま』(講談社ビーシー)に、銃を構えた自衛隊員を乗せたジープや戦車などが、働く車として掲載されていることに、子どもの本・九条の会(代表・丘修三)、日本子どもの本研究会、親子読書地域庫全国連絡会(代表・原良子)、そして私たちの日本児童学者協会は、講談社ビーシーに、本で子どもに伝えるべきは、人種、性別、国境を越え、友情と平和を語り続けることではないかと、意見書や要請書を出してきました。》
https://blog.goo.ne.jp/rintaro-uchida/e/104ed2b12c61d5c89cfbe8eb32df8078
講談社の社員であれば内田のフェイスブックに大竹永介が「お恥ずかしい限りです」と書き込んでいることに感謝すべきだろう。このフェイスブックでの内田の発言は編集を稼業とする者であれば一字一句を頭に叩き込んでおきたい。例えば、こんなくだりがある。
《子どもを信じる。そうだと思います。でも、この論理を無条件に広げていったら、戦時下の児童学者の責任も、童画家の責任も、出版社の責任も問えないのではないでしょうか。なぜなら、それらを最終的に選んだのは子どもたちですから。今回の件も、最後は子どもに選ばせる(子どもを信じる)のが答えならば編集者はいりません。
素材を売れるように配置するレイアウト担当者がいればいいだけですから。それではあまりにも編集者が哀れです。編集者の誇りは、「いい本を出したぞ」「この作者はおれが見つけたぞ」という自分の目(感性)に対する誇りでしょう。たとえ最後は読者が決めるにしても、それを選んだ自分がいるはずです。それこそがプロの誇りではないでしょうか。今回問われたのはこのことです。私たちは神の視点で絶版を求めたのではありません。編集者の、出版社の姿勢を問うたのです。すべての最終価値判断がすべて子どもに委ねられるのならば、どこにも批評は成立しないでしょう。
これこそ危険なことです。なぜなら批評は価値観をめぐる、言論の自由による漸進的方法だからです。だからこの場で論が興ったことを私はとても喜んでいます。終わりになりますが、葦平さんの自裁は、戦後世論が一転したからではないと思っています。
若い日に左翼運動にも関わっていた自分を、だれかに批判されたからでもなく、自分で自分を裁かれたのだと思います。このことにおいて葦平さんは哀れで、美しくわたしの中に居られます。藤田嗣治のことは、わがことを棚に上げ批判した者どもは論外としても、藤田には自分を自分で裁いた、自己の戦争責任を見つめ続けた、形跡がありません。ただ天才だけがいます。私は芸術家の矜持は認める者ですが特権は認めません。
藤田はアジアの死者を広島の死者を見続けた足跡がないのです。その画業の偉大さは認めます。その天才も。しかし、それであっても死者の問いに答えるべき自分がいるべきだったと考えています。ありがとうございました。》
https://www.facebook.com/rintaro.uchida.1/posts/1094509797413890?comment_id=1094928197372050&reply_comment_id=1095713053960231&comment_tracking=%7B%22tn%22%3A%22R%22%7D
松井久子は7月24日フェイスブックに次のように投稿している。
《先日このFBで取り上げた幼児向け乗り物図鑑「はじめてのはたらくくるま」についてはほんとうに沢山のいいね!やシェアをいただきましたが、先ほどお友達が「ネットニュースにこんな記事があったよ」と教えてくださったので、早速皆さんにシェアさせていただききます。
記事を読んでまず「そうか…増刷中止止まりで回収はしないんだ…」とは思ったけど、出版社が「不適切」と認めたことは大きいですね。
もちろん私の投稿が講談社の判断に影響したのではないにしても、やはりおかしいことにはおかしいと声を上げていくのは大事なんだと思います。》
https://www.facebook.com/hisako.matsui.9/posts/2119684488160986
童話作家でもある寮美千子の次のようなツイートを読めば、「くるま」という基本からも逸脱した絵本であったことがわかる。
講談社ビーシー「はじめてのはたらくくるま」には、自衛隊の戦車、水陸両用車、地対艦誘導弾発射機搭載車、戦闘機いろいろ(ステルス戦闘機も)、対戦哨戒機、ミサイル護衛艦とか潜水艦なども掲載していた。》
https://twitter.com/ryomichico/status/1153649265945694208
この寮のツイートに木のおもちゃと絵本とリラクゼーションの店「山猫軒」(別府)がリプライしている。
講談社大丈夫か・・・。
ま、福音館ではありえないけどね。》
https://twitter.com/yamanekoyouko/status/1153649908068413440
「『愛国』の技法――神国日本の愛のかたち」や「『日本スゴイディストピア――戦時下自画自賛の系譜」の早川タダノリのツイート。
《『はじめてのはたらくくるま』(講談社)到着。全28ページのうち問題になった6ページは、陸自が4ページで残り2ページで空自・海自・海保を紹介。ここであきらかに「くるま」じゃないものも登場。このバランス感はなつかしい旧軍の縄張り争いかよと。》
https://twitter.com/hayakawa2600/status/1154593122598305793
講談社ビーシーの「様々な種類の車両を紹介したいとの思いだったが、幼児向けの知育図鑑としては適切でなかった。政治的な意図や要請があって掲載したわけではない」という言い訳には《そうなんだー。てっきり「大日本雄弁会講談社の絵本」伝統の、幼少期からの軍事思想の涵養かとおもったー》と、きつ~い一発を早川は見舞っている。
https://twitter.com/hayakawa2600/status/1154349797614051328
大塚英志のツイート。歴史は繰り返すのだろうか。
《幼児向け車図鑑に戦車。児童書に戦車等の兵器を求めたのは遡ると昭和13年内務省指示事項。科学戦に備えた啓蒙の一環。「爆弾、タンク、飛行機等」の「機能や本質」を伝えよ、とある。今後、「はたらくくるま」が「たたかうくるま」にならないとは限らない。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1154597447789735938
東京新聞労働組合のツイート。
《幼児向けの乗り物図鑑
「はたらくくるま」に戦車や戦闘機?!
全30ページのうち6ページで
自衛隊の戦車や車両を紹介。
潜水艦や自走りゅう弾砲も…
「くるま」の図鑑ですらなくなってる。
本を作る過程で、だれも違和感を
覚えなかったのだろうか??》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1154102578294079488
そうした神経を麻痺させてしまっているのは本を作った講談社ビーシーのみならず、本を売った講談社も同罪なのである。小説家にして医師の瀬川深が「note」に「その表現は誰かに労力をアウトソーシングしていないだろうか?」を公開している。
https://note.mu/segawashin/n/nd89abf298203

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2)【本日の一行情報】

◎さすがに「週刊現代」OBの元木昌彦は見逃さない。
《最近の週刊現代も相当恥ずかしい。モノクログラビアページで「正力松太郎原子力と巨人を作った男」という特集を組んだ。その最後のページで、信じられないミスをしたのである。
広島東洋カープが悲願の日本一になった1979年、長年野球に貢献してきた正力の「遺影」を掲げる選手もいたとキャプションで書いたが、遺影はなんとカープの熱烈なファンだった作家・梶山季之なのである。梶山はルポライターの生みの親のような人である。
読売の人間も驚いただろう。読売では神様のように崇められている正力が、髪ふさふさの梶山になるとは。d-マガジンでは、そのページがキャプションを残して真っ黒になっている。
月3回刊という変則な刊行形態が、こうした大きな間違いを引き起こしたのではないか。心配だ。》
https://www.j-cast.com/tv/2019/07/26363653.html?p=all
講談社は次号で訂正なり、お詫びを出せばそれで良いという判断なのかもしれないが、インターネットがこれだけ発達している以上、昔ながらの広報戦略は捨ててかかったほうが良いだろう。講談社公式ホームページなり、「現代ビジネス」において、なるべく早くに何らかの章を発表すべきなのである。せめて広報室長には本をちゃんと読んでいる人物を置きたいものだ。

◎日販は、書店向け販促企画「祭」の2019年度企画第1弾として、8月1日(木)より9月8日(日)まで全国1,114店で「書店祭」を実施する。昨年の実施書店は1,004店だから、更に規模を拡大しての開催となる。
今回のメイン企画は、書店でスタンプを集めると、グルメや雑貨、旅行など好きな商品が選べるカタログギフトや、今秋公開される話題の映画のチケットやオリジナルグッズ、さらに今子どもたちに人気の「うんこドリル」(響社)シリーズのオリジナルグッズなどが当たるプレゼントキャンペーンだ。
https://www.nippan.co.jp/news/matsuri_20190801/

◎工藤ノリコの絵本作家デビュー20周年を記念して、「ノラネコぐんだん」シリーズを中心に、これまでの絵本・漫画作品の原画約200点や映像などを集めた「ノラネコぐんだん展」が8月12日(振休・月)まで横浜赤レンガ倉庫1号館 2Fスペースで開催されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000046848.html

◎7月23日付の首相動静によれば安倍晋三首相は6時12分、東京・東麻布の中国料理店「富麗華」で開催された自民党二階俊博幹事長、加藤勝信総務会長、岸田政調会長ら幹部と参院選の慰労会は30分で切り上げ、6時51分には赤坂のイタリア料理店「キッチャーノ」で、曽我豪・朝日新聞編集委員、小田尚・読売新聞東京本社調査研究本部客員研究員、山田孝男毎日新聞特別編集委員、島田敏男・NHK名古屋拠点放送局長、粕谷賢之・日本テレビ取締役執行役員石川一郎テレビ東京ホールディングス専務取締役、政治ジャーナリストの田崎史郎と食事をしている。こういう同じメンバーで構成されている定期会合(=食事会)から離脱するという「見識」もあるはずなのだけれど。
https://www.asahi.com/articles/ASM7R61JLM7RUTFK018.html
孫崎享によれば「ジャーナリストの矜持持たぬ面々」である。
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/1153920678808059905
「キッチャーノ」の熟成肉は、さぞや旨かったろう。ここは低糖質メニューもあるのよ。
http://www.m-onecafe.jp/chicciano/menu/index.html
安倍首相のメシ屋のセンスは、いつもながら良い。

博報堂DYメディアパートナーズとデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)は、両社が開発した「動画クリエイティブプラナー」に新たな分析手法を掛け合わせ、専門的に対応するチームを博報堂DYグループ横断で組成することで、動画広告の最適化を継続的に支援するコンサルティングサービス「動画クリエイティブプラナーX(クロス)」の提供を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000038657.html

◎「漫画原作者狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP, STAND UP!!》」が双葉社から刊行された。実は双葉社小学館、KADOKAWA、日本芸社の四社共同編集という画期的な一冊である。そうだ、漫画は学なのである。
https://natalie.mu/comic/news/340805
私は「ハード&ルーズ」と「ルードボーイ」、それから「リバースエッジ 大川端探偵社」が好きなんだけれど。

NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)が来春開始の「エール」から月~金曜の週5日放映に変更される。
https://www.asahi.com/articles/ASM7S621CM7SUCVL01P.html

時事通信が7月24日付で「NHK、京アニ放火当日に取材予定=番組の制作依頼で」を発表している。
《アニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(京都府治市)の放火事件に関連し、NHKは24日の放送総局長定例会見で、事件当日に同スタジオで取材を予定していたことを明らかにした。取材は18日午前11時開始予定で、スタッフが到着した時には既に火災が起きていたという。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072401014&g=soc
NHK京都アニメーションパラリンピック競技の魅力をアニメで発信する「アニ×パラ」という5分間のアニメの制作を依頼していたそうだ。

◎TBSのバラエティ番組「中居正広の金曜日のスマイルたちへは公式HPで「『金曜日のスマイルたちへ』番組からのお知らせ」を7月23日付で発表した。「お知らせ」では「中居正広の」という部分を削除している。
《今週発売された週刊誌に、当番組の収録現場で、
番組の元スタッフが盗撮を行っていたことを報じる記事が掲載されました。
番組制作の過程でこのようなことは起きてはならないことであり、被害にあわれたご本人には、お会いしてお詫びと経緯のご説明をいたしました。
元スタッフ本人は警察に出向き事案を届け出ていて、元スタッフの所属会社は、その解明を待って本人を厳正に処分する方針と聞いています。
番組を楽しみにご覧いただいている視聴者のみなさまの信頼を裏切る形となったことを深刻に反省し、制作スタッフのモラル、現場の管理について、改めて徹底していく所存です。》
http://www.tbs.co.jp/company/information/20190723.html
「今週発売された週刊誌」とは「週刊女性」のこと。7月23日発売の8月2日号である。「『金スマ』スタッフが女性出演者の下着姿を盗撮」というタイトルの記事が掲載されている。公式HPは「週刊女性」だと具体的に書くべきだろう。
https://www.fujisan.co.jp/product/1133/new/
デイリースポーツが掲載した「金スマ、盗撮報道に謝罪 被害者には『お詫びと経緯をご説明』」は「週刊女性」とは書いていないが、こういう書き方は明らかに変である。
《TBS系バラエティ「金曜日のスマイルたちへ」の公式HPは23日、番組の元スタッフが盗撮をしていたと一部週刊誌に報じられた件に関し「被害にあわれたご本人には、お会いしてお詫びと経緯のご説明をいたしました」と報告し、謝罪した。》
https://www.daily.co.jp/gossip/2019/07/24/0012544275.shtml
スポーツニッポンの「TBS・金スマ 番組スタッフ盗撮問題を謝罪『信頼を裏切る形となったことを深刻に反省』」は「週刊女性」と書いている。
《TBS「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(後8・57)の公式サイトが23日、「週刊女性」で報じられた番組スタッフの盗撮問題について、謝罪した。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/07/24/kiji/20190724s00041000210000c.html

◎特殊詐欺グループの男に、タワーマンションの賃貸契約のために名義を貸したとして、大阪府警と神奈川県警は詐欺容疑で、電通男性社員を書類送検していたそうだ。7月24日付産経新聞特殊詐欺の男に名義貸し 電通社員を書類送検 大阪府警」は、こう書いている。
《捜査関係者によると、男性社員は、社会的信用がなく賃貸契約が結べない人に対して名義貸しを仲介するグループから、名義貸しの報酬として数万円を受け取っていた。ほかにも複数回名義貸しをしていたとみられる。》
https://www.sankei.com/west/news/190724/wst1907240039-n1.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47731210U9A720C1000000/

一迅社は、現在NHKで放送中の連続テレビ小説なつぞら」をコミカライズし、コミックス上下巻(上巻:2019年9月28日発売予定、下巻:2020年3月27日発売予定)で発売する。
https://www.atpress.ne.jp/news/189392

KADOKAWAが運営しているライトノベルをユーザー別にレコメンドするウェブサイト「キミラノ」は、7月24日(水)~8月30日(金)まで「#キミラノ夏ラノベTwitterキャンペーンを実施する。キャンペーン期間中は、この夏におすすめのライトノベル6作品を1巻まるごと試し読みできるという。
さらに、対象6作品の「おすすめコメント」をツイートしたユーザーの中から抽選で合計160名に、著者サイン本や図書カードNEXTをプレゼントされる。
https://www.famitsu.com/news/201907/25180281.html

◎総合光学機器メーカーのビクセンは、9月14日(土)に所沢航空記念公園 茶室「彩翔亭」(所沢市)にて行われる、KADOKAWA主催の「ところざわ観月俳句祭 秋の名月を詠む」に協力する。
https://www.atpress.ne.jp/news/189577

◎米の大手出版社のマクミランは、新刊書の発売後8週間までは、図書館システムによるデジタルコピーのアクセスを1冊分に制限する方針だという。「THE WALL STREET JOURNAL日本版」が「米図書館で人気のeブック貸出、出版業界は苦慮」を公開している。
《「米国では図書館での閲覧がデジタル書籍全体の閲覧回数の45%を占めている」。マクミランのジョン・サージェント最高経営責任者(CEO)はインタビューでこう語った。「それが当社のデジタル書籍売上高を奪っている」》
《米国の図書館ではここ数年、デジタル図書を貸し出すプラットフォームの利便性が大いに向上した。多くの図書館が独自のスマートフォンアプリを提供し、電子書籍検索やダウンロードを無料で行えるようにしている。》
《現在はデジタルコピー1冊に固定料金を課し、2年ごとに更新する契約となっている。》
https://jp.wsj.com/articles/SB11529455906466464454504585448640737682802
例えば日本の図書館が電子コミックの貸し出しを始めたならば、どうするのだろうか。

◎純丘曜彰と書いて「すみおかてるあき」と読むそうだ。肩書は「大阪芸術大学芸術学部教授」だというけれど、私にとっては初めて聞く名前だ。「INSIGHT NOW!」なるビジネスメディアが純丘曜彰のコラム「終わりなき日常の終わり:京アニ放火事件の土壌」を発表したのは7月21日のことだが現在では削除されている。かわりに次のようなお詫びが掲載されていた。
《今回一部の記事に不適切な表現があったことをお詫びいたします。運営事務局として、記事表現の管理とその後の対応に対して、行き届かなかったことを重ねてお詫び申し上げ、改善を図ってまいります。》
https://www.insightnow.jp/categories/sales
純丘はコラムのなかで京都アニメーションを「偽の夢を売って弱者や敗者を精神的に搾取し続け、自分たち自身も中毒に染まるというのは、麻薬の売人以下だ」と書いていたようだ。「キャリコネニュース」が「京アニは『麻薬の売人以下』大阪芸大教授のコラムに批判殺到 記事を削除する事態に」を公開している。
キャリコネニュース編集部が確認したところ、記事は24日に読めなくなっていた。その後、内容を大幅に削減した上で「終わりなき日常の終わり」のタイトルで再掲され、末尾に「この記事は、大阪芸術大学の意見・見解を代表・代弁するものではありません」と追記されていたが、25日夕方には、記事は再度削除され読めなくなっていた。》
https://news.careerconnection.jp/?p=75717
J-CASTニュース」が「京アニを『麻薬の売人以下』呼ばわりの大芸大教授コラム 削除→再掲載→削除・謝罪のドタバタさらす」を公開している。
J-CASTニュースは25日、同記事が公開・削除・再公開された一連の経緯や意図などについて、掲載サイト「インサイトナウ」を運営する南青山インサイト(本社・東京都港区)に質問したが、「確認する」として明確な返事がなかった。
ところがその後25日夕までに、再公開した上記記事も削除された。「インサイトナウ」トップページには以下の謝罪が掲載されている。》
https://www.j-cast.com/2019/07/25363546.html?p=all
「BLOGOS」が「『京アニは麻薬の売人以下』と表現なされた純丘曜彰先生ご著書の出版社」を公開している。純丘は著書の大半を「瓦塔院出版」なる出版社から電子書籍としてリリースしているのだが、この記事は「早い話、『瓦塔院出版』というのは多分だけどこれ、純丘曜彰先生の個人出版だな」と推測している。
https://blogos.com/article/393555/?p=2
小説家になろう」に2作品を投稿している純丘曜彰と同一人物なのだろう。
https://mypage.syosetu.com/mypage/novellist/userid/1626746/

◎出版科学研究所が今年上半期の紙と電子出版を合わせた出版市場統計を発表した。これによれば推定販売金額は前年同期比1・1%減の7743億円。紙が同4・9%減の6371億円であり、電子は同22・0%増の1372億円となっている。電子のうち、電子コミックは同27・9%増の1133億円と絶好調だった。
https://www.sankei.com/life/news/190725/lif1907250021-n1.html

◎日本ヴォーグ社から刊行される三浦百恵のキルト作品集「時間(とき)の花束 Bouquet du temps」(オールカラー128ページ、税込み2160円)の初版部数は何と10万部だそうだ。毎日新聞が7月25日付で「百恵さん新著、印税は被災地に寄付 引退後の暮らしも紹介」を掲載している。
https://mainichi.jp/articles/20190725/k00/00m/040/084000c

◎茅ケ崎の長谷川書店ネスパ店で8月7日(水)に特別授業「 ドラえもん」が開催される。講師を務めるのは小学館ドラえもんームの徳山雅記編集長だ。「タウンニュース」は次のように書いている。
《今春、 『ドラえもん』付き記者”として知られたフリーライターの熊澤淳さん(PN銅鑼屋/笹木輦)が亡くなった。茅花舎社員の鈴木志保さんは熊澤さんの従妹にあたり、幼少期は茅ヶ崎の海で一緒に遊んだ思い出もある。葬儀には徳山さんをはじめ編集・出版関係者が多く集い、思い出話に花を咲かせた。有志が展示した熊澤さんが手がけた仕事や資料を見た鈴木さん。本を作る裏方の仕事の面白さを伝えたいと、茅花舎代表の内田清子さんに相談し、以前から交流のあった長谷川書店とイベントを企画した。》
https://www.townnews.co.jp/0603/2019/07/26/490913.html

◎「ダイヤモンドオンライン」が塚崎公義(久留米大学商学部教授)の「NHKは受信料を廃止して税金で運営すべき理由」を公開している。
《NHKの受信料は、所得にも消費額にも関係なく、全員同額である。テレビ(テレビ受信機のみならず、ワンセグ対応スマホ等も含む、以下同様)を持たない人を別とすれば、大多数の国民が同額の受信料を払わされる。これは真に逆進的だといえるだろう。
しかも、非効率である。誰がテレビを持っているかを調べ、個別に受信料を請求し、入金を確認し、未入金ならさらに請求する手間がかかる。
というわけで、公共放送が必要なのであれば、受信料ではなく税金で賄うべきだと筆者は考える。》
https://diamond.jp/articles/-/209878
先の参議院選挙でNHKから国民を守る党が一議席を獲得してしまうほど、NHKの受信料のあり方に人々は不満を抱いているのである。

◎「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」は松本創「軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い」(東洋経済新報社)に決定した。「講談社科学出版賞」は青野由利「ゲノム編集の光と闇 人類の未来に何をもたらすか」(ちくま新書)に決定した。
http://bookpooh.com/archives/15904
本田靖春ノンフィクション賞」ではなく、「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」なんだね。何も無理に本田靖春の名前を割り込ませる必要はなかったのではないか。本田の名前を使うのであれば「講談社」はトルべきだろう。本田の前に社名を載せては、本田に失礼になるとは誰も考えなかったのだろうか。「本田靖春ノンフィクション賞」とできずに「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」とするのであれば、私は「講談社ンフィクション賞」のままで良かったと思っている。

◎日刊スポーツが7月25日付で「宮迫ギャラ飲み報じたFRIDAY売り上げ1割増」を掲載している。
《お笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之(49)の“ギャラ飲み”疑惑を報じた今月19日発売の写真週刊誌FRIDAYの売り上げが、前週と比べて約1割増えていたことが25日、関係者への取材で分かった。》
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201907250000467.html

凸版印刷のグループ会社である電子書籍ストア「BookLive!」は、2019年7月24日に縦スクロール閲覧に対応した。これによりマンガ・雑誌・写真集・一部書籍を閲覧する際に、これまで通りの横スクロールだけでなく、縦スクロールでも閲覧することが可能となった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000022823.html

◎こうした実用書は主婦の友社のまさに「保守本流」でもある。「尿の色 健康手帖」が刊行された。タイトルも良いよね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000942.000002372.html

◎誠堂新光社、秋田書店、パルプライドの3社によって創刊された新たな小説レーベル「APeS Novels」(エイプス・ノベルズ)」は「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)が、2019年7月に創刊50周年を迎えることを記念したプロジェクトだ。第一弾に選ばれたのは瀬名秀明による「小説 ブラック・ジャック」と、大石圭による「小説 恐怖新聞」で7月16日(火)に発売された。誠堂新光社の商品として取り扱われる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000791.000012109.html
第二弾が堀江貴が自身のビジネス書「多動力」(幻冬舎)を異世界小説にノベライズした「多動力」と岩井志麻子による「小説エコエコアザラク」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000807.000012109.html
http://www.seibundo-shinkosha.net/pickup/apesnovels/
八重洲ブックセンター社長が呟いている。
《なんか、すごいことになっているんですけど。》
https://twitter.com/yaesuyama/status/1150903971139076098

幕張メッセで男子高校生の髪を燃やした疑いで、千葉県警は大田区の予備校生を傷害容疑で逮捕したが、当日の幕張メッセではイベント「ジャンプビクトリーカーニバル2019」が開催されていた。
https://www.asahi.com/articles/ASM7W023JM7VUDCB024.html
https://www.sankei.com/affairs/news/190727/afr1907270001-n1.html
7月28日開催の大阪では「ライター等火気類」の持ち込みを禁止することが「ジャンプビクトリーカーニバル2019」の公式ホームページで発表された。
https://www.shonenjump.com/jvc/

◎私が10代の頃愛読していたスーザン・ソンタグだが、国産の女性ファッション誌が取り上げることは、まずあるまい。「VOGUE JAPAN」2019年9月号はニューヨークを拠点とする写真家・小浪次郎がディープな東京を背景にスーザン・ソンタグが論考した「キャンプ」の美学を東京の街で華麗に進化させた水原希子を撮り下ろしているそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000592.000000930.html
松岡正剛を引用しておくか。
《つまりキャンプとは、スタイルを基準にして見た世界のヴィジョンの断片であって、それゆえそこからはどんな多義性もどんな両性具有性も、またどんな変更をも許容する編集可能性がかいま見えているはずの様式感覚なのだ。
だからキャンプの奥の奥は純真なものでできているはずで、そうだからこそいつでも不純なフリが効き、一見して、それはできそこないかもしれないという保留をもたせる、つまりは極度に過敏なスタイルなのでもある。》
https://1000ya.isis.ne.jp/0695.html
ソンダクが先行していたからこそ、私などは蓮實重彦の映画批評に「騙されて」しまったものである。しかし、出版史的に特筆すべきはソンタグも、ニザンも、パヴェーゼも、カルヴィーノも、ベンヤミンも、エンツェンスベルガーも晶社から刊行されたということである。ホッファーを柄谷行人が訳し、ドゥルーズを蓮實が訳していたのも晶社である。オレがコロッといっちゃった「ラジカルな意志のスタイル」の一節である。
《「なにもない」なにかを見ることは、やはりなにかを見ていることであり、やはりなにかが見えることなのだ───たとえそれが自分自身が期待しているものの影であるにしても。充満を知覚するためには、それを浮き立たせる空虚について鋭敏な意識を持ち続けなければならない。逆に、空虚を知覚するには、世界の他の領域を、充満したものとして把握しなければならない。》
どうでも良いことだけれど私はソンタグアイロニーを経て「ロマティッシュ・イロニー」(保田與重郎)にも出会う。オレって、こういうところが倒錯しているといえば倒錯しているよね。

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3)【深夜の誌人語録】

無理にトップを走らずとも、自分のペースで走り切れば良いのである。