【文徒】2019年(令和元)8月21日(第7巻150号・通巻1570号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】津田大介・村山悟郎DOMMUNE対談へ、東浩紀ツッコミ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.8.21 Shuppanjin

1)【記事】津田大介・村山悟郎DOMMUNE対談へ、東浩紀ツッコミ

「ウェブ版美術手帖」が8月19日付で「津田大介がDOMMUNEで参加作家・村山悟郎と対談。『明確なゴールの共有を』」を発表している。瀬戸内国際芸術祭とあいちトリエンナーレの横断企画として8月18日にライブストリーミングサイトの「DOMMUNE」で「いま、津田大介が考えていること」をテーマに対談が行われた。
《冒頭、村山は今回の「表現の不自由展・その後」に端を発した一連の流れについて、「『表現の不自由展・その後』の情動性が展覧会全体に非常に悪い影響をおよぼしている」とコメント。トリエンナーレ全体のキュレーションについて、「こんなことになるなら先に言っておいてくれ、と。作家によっては作品の中に(表現の不自由展・その後への)応答性を入れることもできた」と指摘。「作家の知る権利」が侵害されていると語った。
「自分の作品がどういうコンテクストに置かれるかを作家は知る権利があるし、それが侵されている。直撃を受けたのは韓国の作家たち。僕が一番問題だと思うのは、彼らをそういうパースペクティブに巻き込んだこと。韓国のアーティストにも前もって伝える必要があったかもしれない。作家がないがしろにされていると感じてしまう。信頼関係が崩れてくることになる」。》
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/20366
村上は8月6日に次のようにツイートしていた。
《自分は、抗議と暴力に疲弊する現場の状況を鑑みれば「表現の不自由展」は中止せざるを得なかったという立場なので、声明にはサインしませんでした。まずは現場職員さんへ敬意と慰労をもって、連帯を深めてゆきたい。しかし、ひらかれた議論をしてゆくことは大賛成です。》
https://twitter.com/goromurayama/status/1158572756423733248
DOMMUNE」に登場するにあたっては、こうツイートしていた。
《あいちトリエンナーレの次なる展開に賭けて登壇します。瀬戸芸とあいトレ双方の出展作家として津田さんから依頼を受けました。批判的な質問を津田さんに投げる役割になるかと思います。》
https://twitter.com/goromurayama/status/1162582630304374785
あいちトリエンナーレのアドバイザーを辞任した東浩紀も「DOMMUNE」で対談を視聴していた。ツイッターに次のような投稿を始めた。
《いまの村山さんの指摘はじつによかった。まったくそのとおりだと思う。(そしてアドバイザーとしてその状況を事前に予測し改善を進言できなかったことを、あらためて謝罪します)》
https://twitter.com/hazuma/status/1163035148088041473
津田大介は村山悟郎の問いに正面から答えなかった。東がツイートする。
《ええっ、なんでここであいトリの紹介に入ってしまうの?》
https://twitter.com/hazuma/status/1163035283698245632
《もどかしい》
https://twitter.com/hazuma/status/1163037281118121985
《津田さんの話が終わったら、さっきの村山さんの問題提起にすぐ戻ってほしい。アーティストからあそこまで疑問符を突きつけられているのだから、正面から答えないと。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163037906736308226
《経緯説明してる場合じゃないよ。#DOMMUNE なんだから、みんなが知りたいのは津田さんの考えだよ!!!!!津田さん、どうした? これでは政治家の答弁じゃないか。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163038236391772161
《もどかしい。津田さん、これじゃ届かないよ。めっちゃ電話で介入とかしたくなってきた・・・(しませんが)》
https://twitter.com/hazuma/status/1163039026867105793
《アーティストとのコミュニケーションは、いま、まさに、この番組でできてないよ!!!!
村山さん、がんばれ。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163044866848202754
次のようなツイートは「表現の不自由展」が「表現の不自由展」になっていないことを問題にしているのだろう。
《たしかに表現の自由はどんどん狭くなっているという実感はある。日本だけでなく世界でも。政治的主張だけでなく性的表現でも。しかし、件の展示はその現実を代表していたのだろうか? そこが問われないまま、表現の自由は大切だからこの問題にみなコミットすべきというのは乱暴すぎるように思う。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163058614996594690
DOMMUNE」が終わってからも東浩紀はツイートをつづけた
《自分はこれをしたい、それで人々が納得するかどうかわからない、でも努力すると言えばいいのでは。むろんそれで結果出ないこともあるかもしれないけど、それはしかたないじゃない?
まずは津田さんがなにを目標としているのかわからないのでは、ぼくを含め、人々も混乱するばかりです。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163137878035058688
《津田さんが、まわりの空気を忖度して自分の狙いを隠しているのが、いちばんいけないと思うんだよな。表現の不自由展実行委員会に共感した、テロに屈して展示中止したのはまちがいだった、もういちど展示再開したいので知事と戦う、ならばそういえばいいじゃん。なぜそれがいえないのか。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163138314834079744
《まわりにむかって「知事とは一枚岩だ」とかいう必要だってないじゃん。行政の長と芸術監督は立場ちがうんだから衝突するのは当然だし、それで監督が負けたんなら、そんときこそ検閲を問題にすればいいじゃん。いまはよく立場がわからないよ。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163138652693647360
《もう事態はこじれてるんだし、みんなだれとも衝突しないってのは無理だよ。もっと率直に言えばいいんだと思うけどなー》
https://twitter.com/hazuma/status/1163139162146344960
《ちなみに僕自身は、表現の不自由展再開は、出展者の説得よりもむしろ市民の説得のほうがハードル高くて、そこクリアするのすごいたいへんだと思うし、トリエンナーレをそこまでひとつの政治的な企画に集中させるのはまちがいだと思ってますよ(だから辞任した)。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163139662778474496
《でも、津田さんは芸術監督なんだから、それやりたいと思ったらやればいい。でもそれならば、こうなった以上、もうその意図を隠してもしかたないと思うんですよ。だましてこっそり展示再開とかは絶対にできないんだから。堂々とやるしかない。そうしたら支持者もいるんだし。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163139931427835904
《というわけで、今日のDOMMUNEは、津田さんのよさがほんとうに消えていて、「おいおい!」って感じですよ。マジでむかしの津田さんに戻ってほしい。よろしくです。口悪いけど、友人のよしみで許してください。》
https://twitter.com/hazuma/status/1163140166279548928
津田大介は政治に敗北した芸術監督なのである。東浩紀は哲学(=デリダ)を失った哲学者である。

------------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎「J-CASTニュース」が「BOOKウォッチ」で「現職の新聞労連委員長である南彰の朝日新書「報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか」を紹介している。
《本書ではいくつかのことを再確認したが、その一つが最高裁判事問題。安倍政権が長期化する中で、日弁連の推薦者が選ばれなくなっているのだという。2017年1月、日弁連推薦の判事2人の退官に際し、選ばれたのは日弁連推薦者以外の2人だった。》
《また、大手メディアへの斬新な提言もあった。これからの時代のメディアの幹部には、社内調整力だけではなく、社会との対話能力が資質として求められるとし、「例えば、編集局長になるには『10万件のツイッターフォロワー』を要件と課してもいいだろう」と書いている。また、新聞社から一度離れた後、ネットメディアで活躍している人材が、新聞社の社長や編集長として復帰するような柔軟な人事制度も必要だろうとも。》
https://www.j-cast.com/bookwatch/2019/08/19009625.html

ベネリックは、全国のJUMP SHOP常設11店舗+期間限定東京・アクアシティお台場店において、9月6日(金)から9月16日(月・祝)まで「週刊少年ジャンプ」で連載されている「鬼滅の刃」フェアを開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000502.000022901.html

◎「BUSINESS INSIDER JAPAN」が「OKじゃない、グーグルが抱える問題」を公開している。
《グーグルの企業化の問題は、同社の元CEOで親会社アルファベット(Alphabet)の会長、エリック・シュミットEric Schmidt)の言葉に集約されている。
「異常な天才は必要だ。大抵の場合、彼らが製品をすばらしいものにするのだから」とシュミットは今年初め、ワイアードのインタビューで語った。
「異常な天才」と呼ばれた1人に、Androidの元責任者、アンディ・ルービンがいた。ルービンは2014年、同僚の女性にわいせつな行為を強要したと告発され、9000万ドル(約95億円)の退職金を得てグーグルを去った。》
https://www.businessinsider.jp/post-196475

自由民主党衆議院議員杉田水脈が「天皇制に終止符を!」という集会の講師が、女たちの戦争と平和資料館(WAM)の館長であり、このWAMの隣のビルに反天連(反天皇制運動連絡会の本部があるとしたうえで、その住所をツイートしている。
https://twitter.com/miosugita/status/1162870510469832704
このツイートに影書房がこうリプライしている。
《わざわざwamの住所をさらすということは、wamへの攻撃を呼びかけているとしか思えません。国会議員のやることではない。完全に一線を越えた行為です。議員辞職を求めます。》
https://twitter.com/kageshobo/status/1162976877176221696

ウーマンラッシュアワー村本大輔がツイート。
《あおり運転して人殴るやつも逮捕されたそいつを1日何回も吊るし上げみんなで汚い言葉を浴びせ石を投げ続ける社会もどっちも狂ってるぜ》
https://twitter.com/WRHMURAMOTO/status/1163338502244691968
松尾貴史もこうツイートしている。
煽り運転の珍妙な容疑者の報道、もちろん煽りも暴力も許されないけれど、ここまで執拗に報じるのは動画の存在と視聴率の優先だろうなぁ。もっと追求せねばならんものが他に山ほどあるけれど。
https://twitter.com/Kitsch_Matsuo/status/1163634153734098945
あおり運転の男のみならず、ガラケー女に対してもマスもソーシャルもメディアは「欲望」の対象としてしまった。そうしたなかでSNSは「誤報」を撒き散らした。「NHK NEWS WEB」は「“起きたら犯罪者扱い” いったいなぜ」を発表している。
《「起きたら犯罪者扱いされててびっくりですが完全に事実と異なります」
茨城県の高速道路で起きたあおり運転の事件で、容疑者の女と間違われネット上で実名をさらされた女性がSNSに書き込んだことばです。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190819/k10012040821000.html
http://irocommu.com/wp-content/uploads/2019/08/20190817_%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9_%E7%AC%B9%E5%8E%9F%E6%B0%8F.pdf
8月20日付の新聞のテレビ欄を見ると、「羽鳥モーニングショー」は「あおり容疑者総力取材 ①卒業アルバムに『夢は芸能人』②『お茶かけた』うどん店で4時間猛クレーム③別の高級外車でもあおり運転」とある。武田砂鉄のツイート。
《まさかの、今日も「あおり運転」だらけ。法整備の話ではなく、人となり探索。
『卒業アルバムに「夢は芸能人」』って書いた人は、あおり運転をする大人になるのかしら?》
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1163594957006884864

◎アンテナハウスの小林徳滋社長が「マガジン航」に「雑誌売上の減少問題を製品マーケティングの観点から考える」を寄稿している
《現在のインターネット広告の技術では、良質な見込み客に効率的にリーチするのは至難の業である。この結果、専門的な製品のマーケティング手段としての広告がますます非効率になっている。企業の製品マーケティングの観点から、冊子形式の専門雑誌媒体に匹敵する効果をもつ電子媒体の開発が強く望まれる。》
https://magazine-k.jp/2019/08/19/magazine-ad-and-product-marketing/?fbclid=IwAR1__O1xHoTfkEPE4BcHOm0BtyZHrvuBaXr8kzWq23S0u0-T7S7gH3d8rvA

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

決めつけなければ希望が生まれる。