【文徒】2019年(令和元)9月30日(第7巻176号・通巻1596号)

1596号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】あいちトリエンナーレ補助金不交付への響きと怒り
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.9.30 Shuppanjin

1)【記事】あいちトリエンナーレ補助金不交付への響きと怒り

1)補助金カット賛成派の言い分

NHK NEWS WEB」が9月26日付で「愛知 国際芸術祭への補助金 不交付の方針 化庁」を発表した。
慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190926/k10012099321000.html
有本香からすれば補助金カットは当然である。
《当たり前でしょう。昭和天皇の顔を損壊して踏みつける映像を流す展示に、国税を注ぎ込めるはずがない。これはいわゆる「表現の自由」とは次元の違う話。しかし化庁には「抗議」が寄せられているとか。》
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1177061135310176256
門田隆将は怒っているのだが、それは「NHK NEWS WEB」の記事が「慰安婦を象徴する少女像」にしか焦点が当てられていないからである。補助金カットには当然賛成なのだろう。
NHKが"少女像"だけに矮小化した報道を続けている。河村市長の「国民の心を踏みにじる。税金を使ってやるものではない」との言葉は"昭和天皇の肖像をバーナーで焼き、燃えかすを足で踏みつける作品"を伝えなければ理解できない。なぜ事実を報じないNHKは報道の使命を果たせ。》
https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1177069960692060160
高須克弥補助金カットに賛成だ。
《あまりの抗議の多さに驚き、勝手に展示中止したのは主催者である。
国家の象徴に火をつけて踏みにじる作品は「芸術」ではない。プロパガンダ。
プロパガンダ交付金は×
自腹で展示したらよろし》
https://twitter.com/katsuyatakasu/status/1177369806590242816
政治学者の岩田温のツイート。
字通り馬鹿ばかり。税金を投入する価値がないというだけの話だ。何、被害者ぶっているんだよ。日本国民の象徴を燃やして「芸術」?ふざけるな。》
https://twitter.com/iwata910/status/1177723833681235969

2)化的先進国からの失墜?

「あいちトリエンナーレ」で芸術監督をつとめる津田大介は最初、言葉にならないほどの衝撃を受けた様子だ。
《うわ……。》
https://twitter.com/tsuda/status/1176924174465417216
そして、津田は吐き捨てるかのように呟いている。
《ようやるわ。》
https://twitter.com/tsuda/status/1176926471585034240
津田には芸術監督として補助金カットについて責任があるはずだ。経済学者の田中秀臣も津田に責任があると見ている。
東浩紀もそうだったけど、津田大介もなんでこんなに他人事のようなんだろうか? 検証委員会の中間報告でも津田の責任と指摘され、県知事からも厳重注意をされたばかりなのに。
この報道が正しければ、化庁のこの方針を生んだのは厳重注意された津田の行動だけどね。》
https://twitter.com/hidetomitanaka/status/1176964263530790912
テレビマンユニオンの中村佑子にとって補助金カットは他人事ではない。中村は哲学書房で編集者の経験もある。
《私も化庁の助成金をもらって撮ったが、ドキュメンタリーの場合は申請時の内容を保証できない(実際大幅に変わった)。この決定は大なり小なり、今後作り手のあり方に大きく影響する。今回の全額不交付の理由は「実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれるかの2点」となっているけれど、》
《脅迫を受けて展示を一部中止→それに抗議してアーティストが作品をボイコット→この流れを「事業継続困難」と判断するのは、まず「脅迫」にこそ原因があるわけで、「脅迫」や「暴力」を申請時に予測しろということか?論理破綻していないだろうか。大村知事が係争判断に持って行ったら勝てないのか?》
《どんな内容であれ、脅迫や暴力を受ける可能性はある。今回、芸術祭という事業継続を妨げたのは、ひとえに「脅迫」でしかない。脅迫を誘引する内容は助成金の対象ではない、とする正式な応募要項でもない限り、論理破綻としか感じられない。愛知県は国を相手取って法律的に戦えないのか。》
https://twitter.com/yukonakamura108/status/1177059554783199232
https://twitter.com/yukonakamura108/status/1177060728936599552
https://twitter.com/yukonakamura108/status/1177061929715716096
佐々木敦によれば補助金カットは日本が完全に化的先進国から失墜してしまったことの証明である。佐々木は、これまで日本は的先進国だったという認識なのである。こういうところに私は付いていけないのだけれど。これまでも日本は「化低国」だったのではあるまいか。
《この国が完全に化的先進国から失墜してしまったことの証明。
僕は芸術表現の公的組織への全面的な依存には反対だが、この判断は致命的に酷い。これを批判せず、大多数の支持を得られなかったのだから仕方ないとするような識者には、今後化にかかわる資格はないと思う。》
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/1177051843488186368
町山智浩は、今後は政府に都合のいい化事業にしか補助金が出ないと予測する。
《あいちトリエンナーレ化庁は補助金7800万円を交付する予定だったが、少女像などの具体的な展示内容の説明がなく不十分だったとして、補助金を交付しない方針を固めた。政府に都合のい化事業にしか補助金が出ない。今後、戦争の歴史的展示にも同じことが起こるぞ。》
https://twitter.com/TomoMachi/status/1176971308321529857
平野啓一郎のツイート。
《こんな前例を作ってはならない。強く抗議します。》
https://twitter.com/hiranok/status/1177024595221594112
辻田真佐憲のツイート。
《ここまでやるか。これは検閲といわれても仕方ない。。》
https://twitter.com/reichsneet/status/1177057090231132160

3)新聞記者も絶句している!

佐藤圭は東京新聞の記者である。
《検閲そのものではないか。表現の自由に対する安倍政権の重大な挑戦。ニーメラーの警句で言えば、攻撃されているのは誰かではなく、あなたであり、私であり、すべての表現者だ。》
https://twitter.com/tokyo_satokei/status/1177028028867571712
三浦英之は朝日新聞の記者である。
《ひどいニュース。あり得ない。同種の芸術展は今後、加速度的に上目使いの役人が幅を利かせ、為政者の都合の良い「芸術」だけに光が当てられるようになっていくだろう。恥を知れ、化庁後進国を作り出しているのは、あなたたちだ》
https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1177075740329701376
田崎基は神奈川新聞の記者である。
《こんなバカげた話があるか!》
https://twitter.com/tasaki_kanagawa/status/1177028305460948995
中川聡子は毎日新聞の記者である。
《一旦、交付を決めたということは申請手続きに問題がなかった、あるいは化庁の審査に瑕疵があったということだろう。そもそも電凸で中止になったのに、実行委側にそのペナルティを課すような形で事後的に不交付を決定することが許されるのか。》
https://twitter.com/nakagawas1/status/1177026121923039232
須藤建は岩波書店の編集者である。
《政府が内容を気に入らなきゃ後出しジャンケンでもいい加減な理由で補助金をチャラにできる.これもう検閲じゃないか.》
https://twitter.com/ajian1108/status/1176997180877365249
OurPlanetTV代表白石草のツイートによれば安倍総理お花見会には5700万円が投じられているようだ。
《そうか、総理の花見は5700万か。化庁が見合わせる補助金は7800万。この国のあり方がよく分かる。》
https://twitter.com/hamemen/status/1177367255278968832
岩波ジュニア新書「司法の現場で働きたい!弁護士・裁判官・検察官」の著者である弁護士の佐藤倫子
《ひどい。キュレーションに不十分な点があったかもしれないが悪いのは脅迫する輩。一度交付を決めた補助金を、不正があったわけでもないのに後付けで不交付にするなんてことがまかり通れば、怖くて補助金申請なんてできない。》
https://twitter.com/sato__michiko/status/1177011719953977345
音楽評論家の高橋健太郎は、これは全面戦争だと指摘する。
《ここまでの全面戦争になったか。これが全面戦争だと認識する人がどれだけいるかは分からないが。》
https://twitter.com/kentarotakahash/status/1176985164120903680

4)交付カットの撤回を求めるアーティストたち

装丁家の川名潤。
《「この国に表現の自由はない」と、この国の化庁が言いだした。》
https://twitter.com/kawanasan/status/1177004723422908416
ショックを受けている演劇人は多いはずだ。綾門優季は自宅で卒倒した!
《自宅で卒倒したニュース。化庁から助成金をいただいたことがある方ならご存知の通り、1年前(あるいはそれ以上前)から書類を提出するので、「具体的な展示内容の説明がなく不十分」という理由が通ってしまうなら、萎縮して演劇は内容がほぼ決まっている再演ばかりになる。》
https://twitter.com/ayatoyuuki/status/1177059356019322880
「表現の不自由」問題を考えるには避けて通れないアーティストである会田誠が連続ツイートしている。
化庁長官・宮田亮平様、今からでも遅くないので、その方針を取り消してください。国にとっても化にとっても良いことが一つもなく、悪いことばかりあります。国家百年の計を見ましょう。》
《加えて元・東京芸大学長でもある宮田亮平様。今回のこの決定は、貴方の母校の在学生にも陰に陽に悪い精神的影響を与え、国際的な芸術の流れからどんどん取り残される結果を生むと思います。ぜひ再考をお願いします。》
《そりゃオレだって「表現の不自由展実行委員」とはソリが合わず、「この堅物め!」と思ってるさ。でもそんな人たちも社会にいるべきだし、芸術祭の100あるコンテンツの1つにあっていいんだよ。そんなことも許されなくなったら、単一性による虚弱体質が本格化して、この国の終わりが始まるんだよ。》
https://twitter.com/makotoaida/status/1176985053932294144
https://twitter.com/makotoaida/status/1177009366815240192
https://twitter.com/makotoaida/status/1177013825196789761
化庁新進芸術家海外研修制度によってロサンゼルスに留学した経験を持つ美術家の田中功起は新聞にコメントを発表したようだが、これを訂正して連投している。
《新聞向けコメントを訂正して連投します →「化庁によるあいちトリエンナーレ補助金交付中止に強く抗議します。今回の決定によって、今後、国内の芸術祭や国公立美術館、補助金や公的助成金を受けているすべての化事業が委縮するでしょう。》
《検閲は通常事前に行われます。日本の場合はそれは自主規制という体でソフトに行われてきた。申請内容との関係での事後的な補助金カットは、新しい検閲のあり方です。アイデア段階でもすでに自主規制されていたものが、発表後の補助金カットの可能性があれば、自己検閲としてより強く内面化されるだろう》
化庁は、いままでさまざまな表現を受け入れ、ぼくもそのサポートによって活動を広げてきた。でもこれから化庁の事業も、大きく変わっていくかもしれない。それはとても残念でならない。まずは交付中止の撤回が必要です。》
https://twitter.com/kktnk/status/1177406483501182977
https://twitter.com/kktnk/status/1177406484340043777
https://twitter.com/kktnk/status/1177406485430538240
あいちトリエンナーレ2019パフォーミングアーツ部門に参加しているクワクボリョウタ補助金カットに抗議する章を発表した
《僕は化庁が今回の決定を撤回し、当初予定通りの助成金をあいトリエンナーレ実行委員会へ交付することを求め、ささやかながら個人的に抗議のアクションをとります。
僕は交付が認められない限り、
・年末に予定されていた化庁主催の展覧会への出品
・今後一切の化庁メディア芸術祭への関与
を拒否します。
どうぞ考え直してください。》
http://ryotakuwakubo.com/
あいちトリエンナーレに出展している美術家の村山悟郎もツイッターで抗議している。
《あいちトリエンナーレ2019への化庁の補助金不交付決定にたいして、断固抗議し、日本の国際的な化政策の大失態として歴史に汚名を残さないよう、速やかに撤回を求めます。》
《そして粛々と迅速に、あいちトリエンナーレ2019のすべての展示再開を目指して、尽力します。》
《何が辛いって、これから化庁関連の案件ひかえて頑張って準備してたアーティスト達だよね。俺には別にないから葛藤はないけど。》
化庁案件にたいして、ボイコットするのもいいし、あとはみんなでラディカルなプランばっかり出すっていうのもあるね。》
https://twitter.com/goromurayama/status/1177245884624461824
https://twitter.com/goromurayama/status/1177250673911455744
https://twitter.com/goromurayama/status/1177955402064912385
https://twitter.com/goromurayama/status/1177967831951872000

5)広がる補助金カット反対の声、声、声

交付金カットに反対する主なツイートを拾ってみることにした。
《決定に首を傾げざるを得ません。主催者が事業を安全に運営できるか懸念があったのに申告はなく適正な審査ができなかったと結論づけるなら「懸念」がいつ何を背景に生じたかも合わせて丁寧に検証結果を説明すべき。県側が事前に警察に相談したのは円滑運営を担保する行為では?》(国学研究資料館長ロバート・キャンベル
https://twitter.com/rcampbelltokyo/status/1177278480423227394
《一連の中で一番ダメだと思った。このタイミングで後出しで国がハシゴを外すのかと。いろいろプレッシャーやら忖度やらあったのだろうが化庁ここは踏ん張りどころだった。》(「ふたつの日本『移民国家』の建前と現実」の望月優大)
https://twitter.com/hirokim21/status/1177021195796922368
《不自由展はあいトレのごくごく一部で、検証委によれば事業費の0.57%、展示面積の0.75%を占めるのみ。その分を削るというならまだしも、全額不交付というのは酷すぎる。》(江川紹子
https://twitter.com/amneris84/status/1177051223679070208
《問題はあったにせよ、いったん採択した7800万円を後から不交付決定は、申請書に余程の虚偽記載があったのでもなければ無茶苦茶で、審査する側は一体何を審査していたのかという事になります。申請書類を公表し、この決定が適切か、オープンに検証すべきと思います。》(米山隆一
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1176982836047306753
《ちょっとこれはありえないな。国際芸術祭だけでなく演劇祭や博物館での展示なんかにも影響あるだろうし、化行政の根底がゆらいでしまう。後出し不交付とは・・・。》(「新復興論」の小松理虔)
https://twitter.com/riken_komatsu/status/1177002881414656000
《公権力が、自分たちと考えの近い人たちからの喝采、を基準に仕事をしている。》(武田砂鉄)
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1177010304749694976
《つまり「脅迫を受けるような可能性のある表現に対しては交付金は出さない」ということだな。しかも「結果的に脅迫された」という後付可能で。国は表現の自由を放棄しました。》(「若者を見殺しにする国」の赤木智弘
https://twitter.com/T_akagi/status/1176972853855436800
《「表現の自主規制促進政策」なんだろうな…と思います。これをしておけば、今後は各組織が自発的に内部で検閲をしてくれると》愛知県立大学国語学部准教授 亀井伸孝)
https://twitter.com/jinrui_nikki/status/1176983293666848768
《政府がこんな態度にでると日本でのアート展への信用は失われる。愛知トリエンナーレだけではなく横浜トリエンナーレなどにも影響を及ぼす。》(中沢けい
https://twitter.com/kei_nakazawa/status/1176967880153292800
《ひどすぎる。
これがまかり通ると、補助金を盾にした、事実上の国家による検閲につながる。これからの申請団体は、自主規制(自己検閲)せざるを得なくなるから。
そして、芸術に対して脅迫行為を行った者達に対して、国がその正当性を認めるかのようなメッセージとなりかねない。
これはだめだよ。》(「ジャパニーズ・アメリカ 移民学・出版化・収容所」の日比嘉高
https://twitter.com/yshibi/status/1176999680749629440
《これ検閲よりもひどいんです。検閲は「事前規制」つまり内容が気に食わなければ申請却下。しかしこれは「事後規制」、つまり採択したあとに気にくわないからと却下して、本来交付さるはずの補助金を取り上げ、企画に経済的打撃を与えるというもの。戦前の出版警察が用いた手法ににている。憲法違反です》(「ポピュリズムと『民意』の政治学 : 3・11以後の民主主義」の木下ちがや
https://twitter.com/sangituyama/status/1177021286406471680
化庁があいちトリエンナーレ補助金を交付しないと発表した件、「表現の不自由展・その後」再開への動きが出てきたタイミングなのがおそろしく露骨で、面の皮が厚い政権なのはわかっていたけど、いやー、アカンですよ。》(「大砲とスタンプ」のマンガ家 速水螺旋人
https://twitter.com/RASENJIN/status/1177094537988018176
《今回の補助金不交付は今後すごい抑止効果をもつので本当にマジで撤回させたほうがいいんだけど、たぶん無理だろう。というのも、表現の不自由展そのものに国民的支持が集まっていないから。官邸はその空気は正確に読んでる。裏返せば、権力に喧嘩売るなら、もう少し国民の支持集めとけってことだな・・》(東浩紀
https://twitter.com/hazuma/status/1177046454365384704
《愛知の芸術祭への補助金不交付の決定は、化活動へのすべての補助金は「政権への忠誠度」を基準に採否を決すると科省が宣言したと僕は解しました。すでに外交、経済、学術の全分野で劣化が止まらない日本にそれでも最後に残っていた化的発信力もこれでとどめを刺されました。》(内田樹
https://twitter.com/levinassien/status/1177016418635673600
《あいちトリエンナーレへの国の補助金不交付決定。めちゃくちゃだ。責められるべきは不当な脅迫をした者たちなのに。これでは日本は世界に冠たる「表現の不自由」国になってしまう。》(上野千鶴子
https://twitter.com/ueno_wan/status/1177577358510841857
《今後「トリエンナーレのように補助金を取り消さないってことは展示内容を良しとしてるってことだな」式の批判が来るようになるかもしれず、それを避けるため補助金は穏当で公権力批判色ゼロの企画のみにしようってことになるかもだし企画者側も無難作品に限定するようになるかも。そんな国でいいのか。》(南野森)
https://twitter.com/sspmi/status/1177007801463263232
《えっ!これ事実なのだろうか?こんなことが許されるなら、実質政府の顔色伺いながらやるしか無くなるじゃないか。これ酷すぎないか。化庁は脅迫をした人たちに手を貸すってこと?これじゃ国の言いなりでしか物か出来ないじゃないか。》(大友良英
https://twitter.com/otomojamjam/status/1177069179821686784
ただし、反対!反対!の大合唱に水を差すわけではないが、補助金と「利権」とは、どこが違うのか?これもしっかりと考えてはおきたいところだ。それこそがジャーナリズムの役割なのではないだろうか。

6)東大・石田英敬が報道を添削!

東京大学石田英敬は「権力は『枝葉末節』を口実として抑圧を進めるのだから、物事の『骨と筋』を明らかにする報道を心がけよ」とメディアを鼓舞している。
《ヒドいな、これこそ、まったく政治的だ。もし本当にそういうことをすれば、この件を超えてそれこそ化の圧殺だ。》
日本国憲法下の戦後政治において、国家権力がここまで露骨に化領域に介入し、威嚇するということがあっただろうか?このままでは化は沈黙させられる。学術も危ない。化や学術に関わる人びとは今声を上げないととんでもない時代になっていく。》
《本件についてメディアは「事態の本質」を浮き彫りにする報道を工夫しなければならない。「事実」を漠然と羅列するのでなく、権力は「枝葉末節」を口実として抑圧を進めるのだから、物事の「骨と筋」を明らかにする報道を心がけよ。いつもの「中立的」書きぶりではなくきちんと立場を打ち出せ!》
https://twitter.com/nulptyx/status/1177008287696355329
https://twitter.com/nulptyx/status/1177019276651192321
https://twitter.com/nulptyx/status/1177025263294484480
朝日新聞デジタルが9月26日付で「あいちトリエンナーレへの補助金を交付せず 化庁発表」を掲載している。これに石田は「いわんこっちゃない」と反応し、添削に乗り出す。
《ええといわんこっちゃない。だから下のような記事はダメなんです。狭い紙面でも1,2パラグラフ、問題の構図を書けます。そういうのできないから日本の新聞はクオリティーペーパーではないのです!》
《添削しよう。二番目のパラグラフを加えるだけで、記事はぐっと引き締まります。「しかし、このような決定が行われれば、一度交付が内定していた事業に政治的な力が加わったのではないかというさらに重大な表現の問題が発生することは否定できない」とか、何とか、書けるでしょう?(つづく)》
《あくまで例えばですけどね。それを書けないのが日本の新聞で、デスクが通さない、記者の主観が入るとか何とか、で、書かない。そうすると、どうなるか?無責任になる。誰も章に責任をとらない。そうすると、どうなるか?情報がありふれた社会でだれも新聞読まなくなる。新聞はもはや(つづく)》
《「事実」を伝えるには遅すぎるメディアなので、誰も責任をとらないような事実報道はいらない。もっと、「問題の構図」をぱっと読み解けるような、エッジの効いた報道言語のシフトしないと、朝日新聞、消えますよ!「しかし」とか、「ところが」とか、そういう接続詞のついた記事を書きましょう。》
https://twitter.com/nulptyx/status/1177034110398652418
https://twitter.com/nulptyx/status/1177036617535459328
https://twitter.com/nulptyx/status/1177037364956291072
https://twitter.com/nulptyx/status/1177038005392920576

7)国を訴える覚悟の大村愛知県知事

朝日新聞デジタルが9月26日付で「大村知事、国を訴える考え 不自由展の補助金とりやめで」を掲載している。
《大村氏は記者団に対し、化庁の決定について「正直言って驚いた。手順、手続きに従ってやってきて採択決定まで頂いている。それが抽象的な事由で一方的に不交付が決定されるのは承服できない。合理的な理由がない」と指摘。決定の取り消しを求め、国を訴える考えを明らかにした。》
https://www.asahi.com/articles/ASM9V5RSPM9VOIPE04F.html
加藤登紀子も無関心ではいられない様子だ。
《この展開、見守ろう。補助金不交付なんてことが当たり前に起こるようなことが、既成事実になることが恐ろしい。》
https://twitter.com/TokikoKato/status/1177397662372392960
一方、ジャーナリストの石井孝明は、こう呟く。
《この国不気味だわ。あれが化ってナチかソ連か。騒ぐ奴頭おかしいが普通の感覚》
https://twitter.com/ishiitakaaki/status/1177397610983776257
大村知事は展示の内容に賛同しているわけではない。だからこそ大村の態度は立派だと詩人の河野聖恵は指摘する。
《保守派の大村知事は展示の内容には賛同していないかも知れない。しかしそれとは切り離し、表現の自由の絶対的な価値を主張している。当たり前だけど今の日本では本当に立派だと思う。》
https://twitter.com/kiyoekawazu/status/1177396365065764865
五月書房新社の佐藤章は補助金カットが表現の自由に「委縮」をもたらすことを危惧している。
《安倍がまた憲法違反をやった。21条で禁止されている検閲をや表現の自由を著しく傷つけた。これでは芸術的な表現は大きく圧迫され日本社会は脅迫者たちの天国となる。安倍と脅迫者の天国には普通の人たちは住めない。安倍と脅迫者から社会を守ろう。安倍を追放するしかない。》
https://twitter.com/bSM2TC2coIKWrlM/status/1177392828634132481
本来、「自由な表現」に補助金など必要ないという考え方もあろう。「偶然完全 勝新太郎伝」「球童 伊良部秀輝伝」「電通とFIFA」などの著書で知られるノンフィクション作家の田崎健太もそのひとりだ。
《ノンフィクションという表現に関わっているが、当たり前のことではあるが、補助金なんか貰ったこともないし、貰おうと思ったことはない。今回の是非はともかくとして、本来自由である表現に、国の財力をあてにするのは、いびつ。自立していない表現に本当の自由はあるのだろうか。》
https://twitter.com/tazakikenta/status/1177382008839737345
成城大学法学部教授の町村泰貴(田丁木寸)は裁判では「検閲」を争うべきではないとアドバイスしている。
《あいちトリエンナーレに対する化庁の補助金不交付問題、「検閲」として非難する声が多い。一般的に使いやすく問題を分かりやすく表す言葉かもしれないが、最高裁の用語法とは異なるので、つまらない反論で終りとなりやすい。「これは検閲ではありません」と。》
最高裁は「「検閲」とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す」という。》
最大判昭和59年12月12日民集38巻12号1308頁で、税関検査が検閲に当たらないとした事件の一般論で、以後、累次の判例が積み重ねられている。
それに、あいトレの補助金不交付は、本音はともかく、慰安婦像を展示したからではなく実現可能性が乏しいことになる事情を申請時に明らかにしなかったこと。》
《法的に不交付を争うなら、やはり申請と審査に通常要求される水準に照らして不備がなかったことを主張するというテクニカルな話が第一だろう。
テクニカルに見えても、これは、事後的にネトウヨが騒いで脅迫して混乱や中断を招いたとしても、そんなことでは公金使用が左右されないと示すことになる。》
《今回の問題は、ネットで反感を買って中止に追い込まれるような表現行為について、それ自体不当なことだが、それに国や地方公共団体が加担して事後的にもダメージを与えることで、ますます表現行為の自由さが失われていくこと。
その危険は慰安婦像だけでなく、性的表現でも環境保護の主張でも同じ。》
《従って表現の自由を危うくする行為ではあっても、検閲だというのはちょっと違う。》
https://twitter.com/matimura/status/1177399136414420992
https://twitter.com/matimura/status/1177399137689407488
https://twitter.com/matimura/status/1177399138951917569
https://twitter.com/matimura/status/1177399140227022848
https://twitter.com/matimura/status/1177399142391238656
https://twitter.com/matimura/status/1177399143662145537
自民党参議院議員である山田太郎は自らのブログに「あいちトリエンナーレの補助金全額不交付の件」をエントリしている。
《展示が始まっているにもかかわらず、危険予知を報告しなかったということを理由に補助金交付の決定をしなかったということは、今後の補助金事業についての悪影響も懸念され慎重さを欠いた判断であり、問題があります》
https://taroyamada.jp/?p=11489
「PRESIDENT Online」が山本一郎による「あいトリ炎上は津田大介氏の『個人的な野心』か」を発表している。
補助金が全額不交付決定されるような事態になれば、常識的には芸術監督は責任を取って役職を降りるべきところ、なぜか任命者である大村知事は津田さんに厳重注意とし、津田さんもなぜか芸術監督に留任する姿勢であるように見えるのは不思議なことです。》
https://president.jp/articles/-/30132

8)芸大で抗議集会が開かれる

朝日新聞デジタルは9月27日付で「『化庁が化殺すな』長官ゆかりの東京芸大で抗議集会」を掲載している。
トリエンナーレに出品しているという卒業生の彫刻作家、小田原のどかさん(33)は「決定的な悪しき前例になる。国立で唯一の芸術大学だからこそ声を上げるべきだ」と訴えた。》
化庁の宮田亮平長官は同大の元学長で、芸術家でもある。正門前には「宮田長官頑張れ!!」の紙がいくつも張られた。ツイッターで集会を呼びかけた毛利嘉孝教授は「化にゆかりの深い大学の声を届けて、宮田長官には思いとどまってほしい」と語った。》
https://www.asahi.com/articles/ASM9W533FM9WUTIL01W.html
「ストリートの思想――転換期としての1990年代」の社会学である毛利嘉孝は9月26日にツイッターで次のように呼びかけた
化庁のあいトリ補助金交付撤回に反対する緊急ミーティング。2019年9月27日(金)18時~。上野東京藝術大学美術学部正門。集合後、場所は移動する可能性あり。》
https://twitter.com/mouri/status/1177216370913579016
毛利は9月27日には、「戦えよ」と呼びかける。
《今回の