【文徒】2019年(令和元)10月7日(第7巻181号・通巻1601号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】新潮社が百田尚樹「夏の騎士」ヨイショ感想募集の波紋
2)【記事】「天皇陛下肖像画をバーナーで燃やして足で踏みつけた展示」を考える
3)【記事】日本郵政は「まるで暴力団」!?
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.10.7 Shuppanjin

1)【記事】新潮社が百田尚樹「夏の騎士」ヨイショ感想募集の波紋

ツイッターの「新潮社」は「新潮社宣伝部」の公式アカウントのようだ。こう呟いているのが話題だ。
百田尚樹の最新小説『夏の騎士』を/ほめちぎる読書感想を募集!/このアカウントをフォローの上/#夏の騎士ヨイショ感想 をつけて/感想をツイートして下さい。/※ネタバレは禁止/百田先生を気持ちよくさせた/20名の方に、ネットで使える/1万円分の図書カードを贈呈!/期間:10月25日23:59まで》
https://twitter.com/SHINCHOSHA_PR/status/1180023713581809664
新潮社は丁寧にも「ヨイショ」の例までツイートしている。
《例 1/4:王道は純粋なヨイショ
 「国語の教科書にのせるべきだ」
読了後、最初に心に浮かんだ気持ちだ。/この作品は人生に必要なすべてを
おしみなく読者に与えてくれる。/知らぬ間に涙が頬をつたっていた。
「そうか。この本と出会うために、/僕は生まれてきたんだ。」》
https://twitter.com/SHINCHOSHA_PR/status/1180024541558394880
《例 2/4 : 画像でヨイショしてもOK!
 『夏の騎士』面白すぎて20万円分/買いました!1万円分の図書カード/20枚ください!》
https://twitter.com/SHINCHOSHA_PR/status/1180024547824717824
《例 3/4 :ダジャレでヨイショしてもOK!
 百田満点(^^)》
https://twitter.com/SHINCHOSHA_PR/status/1180024550450294784
新潮社の投稿を読んだ編集&ライターの新保信長が呟く。
《新潮社、いよいよおかしくなってきた。》
https://twitter.com/nobunagashinbo/status/1180110002255564800
小田嶋隆は合掌する。
《いろいろな意味でいろいろな人がかわいそうすぎる。/オレらの業界も、いよいよ本格的な最終段階に到達しつつあるようだ。/自己憐憫にだけは陥らないようにこころがけたい/合掌。》
https://twitter.com/tako_ashi/status/1180122676985073664
「誰かが私をきらいでも」(ベストセラーズ)の及川眠子は版元から提案があっても拒否すると書いている。Winkの曲の大半は及川の作詞であった。
《私も一応物書きの端くれだが、自分の著書や音楽作品でこういうことをやりましょと言われたら、頼むからそんなみっともないことはやめてと拒否するわ。私らが作ってるのは嗜好品。好きな人がいれば嫌いな人がいて当然。金や物に釣られずに感想を書いてくれる人たちの言葉を信じていたい。》
https://twitter.com/oikawaneko/status/1180192190561050625
盛田隆二は小説家をバカにした企画だと捉えている。
《これは小説家をバカにした企画だな。/読書家をバカにした企画でもある。/小説を蔑む、侮る、貶める企画と言い換えてもいい。/担当編集者からこんな企画を持ちかけられたらもちろん断る。》
https://twitter.com/product1954/status/1180256078073741313
高橋源一郎は、こう皮肉る。
《新潮社も意地悪いよね。自社から本を出してる作家をこんなに辱めて、百田さん、怒ったんじゃないの。ヨイショ=チヤホヤして気持ちよくさせる、媚びを売る、ゴマをする、いい気にさせる、お世辞をいう、歓心を買う、尾をふる、ご機嫌とりをする、鼻息をうかがう、しっぽを振る(シソーラス類語辞典)》
https://twitter.com/takagengen/status/1180318079705735169
「『こころ』異聞」(岩波書店)、「美しい花 小林秀雄」(藝春秋)の若松英輔は新潮社で仕事をする知り合いの編集者の気持ちを慮る。
《この広告が出るまでには、社内で幾つかのステップがあるはずだ。複数の人が係わり、経営陣をはじめ複数の人間が承認しているのあろう。判断は、担当者の責任で、利益は経営者のもの、というわけにはいかないだろう。新潮社には信頼できる編集者を複数知っている。彼、彼女らの怒りはいかばかりだろう。》
https://twitter.com/yomutokaku/status/1180323366441377792
マンガ「いいふうふ」の渡辺ペコ
《ある出版社でこういう企画を大っぴらに宣伝することで、他のよい仕事や作品やそれに関わる編集者や作家の足をめちゃくちゃ引っ張るし、何より会社自体のイメージも名前も毀損してることに気づかないんだろうか。わかった上でやってるのか……》
https://twitter.com/pekowatanabe/status/1180266981531930624
町山智浩は、こう呆れている。
《お金を払ってアマゾンに賞賛レビューを投稿させることが問題になっている時に、出版社が自らヨイショ・レビューを金で募集するとは……。「批判してもいいから素晴らしい書評に100万円」くらいのことができないのか。》
https://twitter.com/TomoMachi/status/1180315689820676097
新潮社は、こんな広告も制作している。
https://twitter.com/SHINCHOSHA_PR/status/1178610761188294661
こんなことを勝手にされたら、嫌なのは万城目学ばかりではない。
《ちょうど昨日、新潮社の方と連絡を取り、次の庫化作品について万事お願いしますと伝え、電話を切ったわけでありますが、筆者・作品・さらに自分の会社とトリプルで評判を毀損することを厭わない宣伝部に、万事お願いしなければならない現実を前に、躊躇する。そら、躊躇する。》
https://twitter.com/maqime/status/1180298814944473088
綾辻行人も心配する。
《ん?  うーん、大丈夫か?  正気か?   新潮社。>ヨイショ感想募集》
https://twitter.com/ayatsujiyukito/status/1180235891526139905
出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズの大崎梢は落ち込んでいる。
《新潮社のあれ。ひどすぎる…。朝から落ち込む。20万もの予算がおりてるってことは、ひとりふたりの思いつきや暴走じゃないんですよね。》
https://twitter.com/o_kozue/status/1180272233765171200
住野よるの担当者も関わっているそうだ。
《僕はそもそも小説家をむやみに持ち上げることに抵抗があるので、新潮社が始めたとあるキャンペーンにドン引きしてるし、あれに僕の担当さんも関わってるの激引きしてる。》
https://twitter.com/978434403435_8/status/1180154506362777601
「〈自己表象〉の学史」の日比嘉高のツイート。
《新潮社の前身の、新声社の時代から見てきた研究者としては、万感去来するものがある。
とはいえまあ、新声社もいろいろあったわけだがね。
にしても、これが新潮社ですか、といっておく。矜持持ってくれよ。》
https://twitter.com/yshibi/status/1180119701688442880
有志舎の社長・永滝稔まで参戦!?
《ちっとも笑えないし、唖然とする。
新潮社、もうダメですね。ここまでくると、もはや哀れ。
あの、芸の新潮社がですよ。太宰治とか、草葉の陰で泣いていると思う。。》
https://twitter.com/yushisha/status/1180265019767836672
「日本エロ本全史」の安田理央は新潮社を確信犯と見ているのだろう。
《すげえな、これ。新潮社がこんな炎上狙いのキャンペーンするとは…。》
https://twitter.com/rioysd/status/1180119428664418304
ラサール石井は、こんなになってしまった新潮社を心配する。
《なんだこれ。これおおっぴらにやることなのか。マジな宣伝を洒落っぽくやったつもりか。マジな気持ちが透けて見えて、洒落っぽさから何万光年も遠いわ。新潮社様。「波」も定期購読しております。どうしちゃったんですか。お気を確かに。》
https://twitter.com/lasar141/status/1180106858889011207
岸政彦。
《金ピカの百田のやつ、新潮社か…………………/どうしようかな……………/もうほんと何もかも嫌になるな》
https://twitter.com/sociologbook/status/1180134404493987841
書評家の杉江松恋は一言だけツイート。
《馬鹿じゃないの。》
https://twitter.com/from41tohomania/status/1180128673451536384
オレは栗原裕一郎のツイートが鋭いと思うよ。
斎藤十一イズムをビンビンに感じるぜ…。新潮社芸部門は今回も反旗を翻すのであろうか。》
https://twitter.com/y_kurihara/status/1180288966701924352
マジ、戦後民主主義百田尚樹のような「自虐小説家」を生んでしまったのである。
朝日新聞デジタルが10月5日付で「『百田小説褒めたら賞品』 新潮社の宣伝、批判受け中止」を掲載している。
《批判が相次いだことなどから、同社は5日夜、わずか2日でキャンペーンを中止すると発表した。》
https://www.asahi.com/articles/ASMB5739JMB5UCLV008.html?ref=tw_asahi

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2)【記事】「天皇陛下肖像画をバーナーで燃やして足で踏みつけた展示」を考える

有本香のツイート。
《あいちトリエンナーレの件。この期に及んでまだ、キー局のなかに一社としてまともに、昭和天皇のご真影をバーナーで焼き足で踏みつける作品のことを報じるところがない。今回の事件の「肝」を、なかったことにしているのはなぜなのでしょうか。》
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1178715998569910272
門田隆将のツイート。
《「天皇陛下肖像画をバーナーで燃やして足で踏みつけた展示」を語る河村名古屋市長。だがマスコミは書かない。展示物の酷さが分れば表現の自由が吹っ飛んでしまうからだ。事実を正しく伝えるという基本を捨てた新聞TV。媒体を自らの主張の場としか思っていない記者達。ネットに主役の座を奪われる筈。》
https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1178833850530594816
「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」で委員を務めた青山学院大学客員教授・岩渕潤子のツイート。
《大浦作品をTVのニュースで流さないことについてあれこれ憶測している人が何人かいるのを見たが、プライムタイムのニュースで毎回権利をクリアして「20分全部見ないと理解できない」という作品の同一性保持権を無視して流すことができないことを報道機関なら知っているからだと思う。とても単純な話。》
https://twitter.com/tawarayasotatsu/status/1179944497116938240
ウェブ版「美術手帖」が10月4日付で「SNS時代に崩れる『美術館の壁』。いまこそ『公共』の議論を」を公開している。岩渕潤子がインタビューに応じて語っている。
SNS以前は、限られたメディアだけが美術館の意図をその通りに伝えていましたが、明らかに今回はそういう時代ではなくなったことが露呈した。美術館の壁が崩れ、美術館が美術館の力だけで作家やキュレーターや観客を守ることができない時代になったと強く感じます。いままで、海外の国際展や特定の美術館がテロの標的になったことは幸いにもありませんが、今後、美術館が物理的なテロの対象になりうるかもしれないという恐怖を実感しています。》
岩渕の次のような指摘は重要である。
《日本では「そもそも公共とは何か」という議論がないわけですよ。戦後の新憲法のもとでもその議論はしてこなかった。
良い例なのは、ニューヨーク公共図書館。この図書館は私立の3つの財団が共同して運営しているのに、なぜ「公共」と呼ばれるのかということが日本人にはわかりにくい。アメリカでの「公共」は「we」であり「our」です。ニューヨーク公共図書館は「公立」だからではなく、自分たち(we)が使うものだから「公共図書館」と呼ばれているのです。日本にとって「公共」は国や自治体=theyだから「their」。》
https://bijutsutecho.com/magazine/interview/20596
アメリカと日本では「公共」の意味が違うのだ。フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」について私は次のように書いた。
パティ・スミスジャン・ジュネについて語る講演会を公共図書館が企画するのは、単に住民に対するサービスだからではない。公共図書館が民主主義の柱であり、民主主義の広場であるからなのだ。ニューヨーク公共図書館において「公共」とは、即ち民主主義の実践の場であるということにほかならないはずだ。》
https://teru0702.hatenablog.com/entry/2019/08/05/172326
ART iT」が椹木野衣の「美術と時評87:表現の不自由・それ以前 小早川秋聲、山下菊二、大浦信行の<2019年>をめぐって」を公開している。大浦信行の展示が単に「天皇陛下肖像画をバーナーで燃やして足で踏みつけた展示」でないことがわかる。
《もともと大浦が天皇の肖像をとりあげたのは、天皇制に反対するためではない。かつて海外に身を置き、どこまでも空虚な自己を埋めるよすがとして浮上した天皇を自画像=コラージュの一要素として使ったということだったはずだ。
だが、そうして完成した「遠近を抱えて」を、国は受け入れなかった。いや、正確にはいったんは受け入れたのだが、右翼からの非難や攻撃が相次ぐと、これを購入のうえ展示していた富山県立近代美術館は作品をいつのまにか非公開とし、外部へと売り払い、図録はすべて焼却してしまった。これを機に大浦らが起こした訴訟は最終的に最高裁で棄却され、敗訴している。
つまり大浦は、かつての小早川がそうであったように、実質、国家によって公的に作品が存在することの価値を拒まれたことになる。問題となった映像作品「遠近を抱えて Part II」は、行政によるこの一連の拒絶の過程を反復するものであって、そもそもが天皇を「狙い」にするものではない。わかりやすく言えば、加害者ではなく被害者としての立場が、大浦の主観のなかでなぞり返されている。
作家として受けたそのような侮蔑を明確に示すことなくして、いったいどのような立場から、「あいちトリエンナーレ」ほどの公的な機会にのうのうと作品を出すことができるだろうか。実際、大浦らの訴えを全面的に退けた第二審の判決を下したのは、ほかでもない名古屋高裁金沢支部であった。》
https://www.art-it.asia/top/contributertop/204110?fbclid=IwAR0OJJDSZsbLW7llCB-cFBGy5Ni3stB4AaVJF8C2NSW5Xjjg6wHCmvMk1kI
ふと三島由紀夫が存命であればと思う。

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3)【記事】日本郵政は「まるで暴力団」!?

朝日新聞デジタルが10月3日付で「元次官の副社長がNHK側の番組確認求める かんぽ報道」を掲載している。
かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHKの番組「クローズアップ現代+」が日本郵政グループから抗議を受け、昨年10月にNHK経営委員会が上田良一会長を注意していた問題で、同11月に郵政側が鈴木康雄副社長名で経営委に送った書の詳細が分かった。鈴木氏は総務省の元事務次官。放送行政に携わっていた経歴を示した上で、幹部・経営陣による番組への確認などを求めていた。》
https://www.asahi.com/articles/ASMB14W6MMB1UCVL01D.html
毎日新聞は10月3日付で「『NHK、まるで暴力団』 郵政・鈴木副社長 かんぽ問題放送延期で」を掲載している。
かんぽ生命保険の不正販売問題を追及したNHKの番組「クローズアップ現代+(プラス)」(クロ現)を巡り、日本郵政グループの要求を受けたNHK経営委員会が上田良一会長に対して厳重注意した問題で、日本郵政の鈴木康雄上級副社長は3日、NHKの取材手法について「まるで暴力団と一緒でしょ」と記者団に述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20191003/k00/00m/040/167000c?fm=mnm
産経新聞は10月3日付で「郵政副社長『NHKは暴力団と一緒』 番組の取材手法で」を掲載している。
《鈴木氏は、NHK側から「取材を受けてくれるなら(情報提供を呼び掛ける)動画を消す」と言われたと説明し、「そんなことを言っているやつの話を聞けるか。それじゃ暴力団と一緒でしょ。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならもうやめてやる、俺の言うことを聞けって。ばかじゃないの」と不満を述べた。》
https://www.sankei.com/entertainments/news/191003/ent1910030008-n1.html
東京新聞は10月4日付で「かんぽ報道 NHK会長、抗議影響否定 『編集の自由損なわれず』」を掲載している。
《鈴木康雄・日本郵政上級副社長(元総務事務次官)は三日、番組の取材手法について「暴力団と一緒」と発言した。国会内での野党合同ヒアリング後、記者団に語った。
鈴木氏は、NHK側から「取材を受けてくれるなら(情報提供を呼び掛ける)動画を消す」と言われたと説明し、「そんなことを言っているやつの話を聞けるか。それじゃ暴力団と一緒でしょ。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならもうやめてやる、俺の言うことを聞けって。ばかじゃないの」と不満を述べた。
この発言を受け、同日のNHK会長定例会見で同局幹部は「丁寧に取材交渉していると認識しているので正直驚いている」との見解を示した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019100402000119.html
産経を読んでも、東京を読んでも、鈴木という日本郵政上級副社長の品性に首を傾げたくなるのは私たちだけであろうか。
毎日新聞は10月3日付で「NHK会長、歯切れ悪く 経営委判断優先し“謝罪” かんぽ報道延期」を掲載している。
かんぽ生命保険の不正販売問題を追及したNHK番組を巡り、NHK経営委員会が昨年10月に日本郵政グループの要求を受けて上田良一会長を厳重注意した問題。上田会長は3日の定例記者会見で「自主自律や番組編集の自由が損なわれた事実はない」と強調した。しかし、続編の放送を延期した経緯などでは歯切れの悪い説明も目立ち、郵政側の抗議や申し入れに屈したとの疑念は払拭できなかった。》
https://mainichi.jp/articles/20191003/k00/00m/040/251000c?fm=mnm
毎日新聞は10月4日付で社説「NHKのかんぽ報道 揺らいだ公共放送の理念」を掲載している。
《番組内容に誤りがあったのならともかく、郵政側の筋違いの要求に屈したことには首をかしげざるを得ない。》
《軽視できないのは、郵政幹部に放送行政を所管する総務省出身者が少なくない点である。
鈴木康雄・日本郵政上級副社長は元事務次官だ。上田会長から謝罪書を受け取った直後、経営委に書を送り、NHK執行部に対する強力な指導・監督を注していた。
きのうは、NHKの取材手法を「まるで暴力団」とまで批判した。
https://mainichi.jp/articles/20191004/ddm/005/070/073000c
東京新聞は10月4日付で社説「NHK経営委 番組への介入許されぬ」を掲載している。
《問題はいくつもある。戦時中の反省から番組制作と経営とは分離する定めがある。それが放送法三二条で、経営委が個別番組の編集に介入・干渉することを禁じている。経営委の行動は圧力そのものであろう。越権行為で、法に抵触する疑いがある。これを許せば番組制作の現場が萎縮するのは明白だ。国会などで厳しく追及すべきである。》
日本郵政の上級副社長は放送行政を所管する総務省の元事務次官でもある。NHKも「二回目の放送はしない」と安易に連絡した。しかも謝罪書を郵政側に手渡したのは放送部門トップの放送総局長だった。続編の番組は日本郵政が不正を認めた後に放送された。これでは番組が抗議と圧力にやすやすと屈したに等しい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019100402000168.html
朝日新聞は10月4日付で社説「かんぽ不正 これでは信頼は戻らぬ」を掲載している。
《さらに驚くのは、昨年かんぽの販売問題を報じたNHKの番組への対応だ。長門氏は「今となってはまったくその(番組の)通り」で反省していると述べるが、当時は「偏っているのではないかと感じた」。自社の問題点に目を向けるどころか、NHKへの抗議に動いた。会長らに質問状を出したが主張が通らないので、経営委員会にクレームを言ったという。
反論があるのであれば、一般的な手続きで問題を指摘すればいい。総務省幹部を経営陣に擁し、強い政治力も持つ郵政グループが、個別番組への関与を禁じられている経営委員会をも通じて、公共放送に水面下で圧力をかけた事態は重大だ。》
https://www.asahi.com/articles/DA3S14204667.html?iref=editorial_backnumber

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4)【本日の一行情報】

ラグビーのワールドカップで盛り上がっているなか、書店で私の目に飛び込んできたのが流智美の「東京12チャンネル時代の国際プロレス」(辰巳出版)であった。私は阿修羅原の名前を思い出した。原はラグビーの日本代表を経て、プロレスラーとして国際プロレスでデビューしたのである。国際プロレスを牛耳っていたグレー草津ラグビー出身だったのである。阿修羅原というリングネームはラグビーファンとして有名だった野坂昭如によるものだ。原は国際プロレスの解散を見届けたプロレスラーである。
https://www.news-postseven.com/archives/20191001_1459968.html

双葉社は「プロのためのセカンドオピニオン賞」が、好評につき、第2回の募集を開始した。これはグッドアイデアだと思う。こういうゲリラ戦がマンガを活性化すればシメたものである。
http://webaction.jp/2nd-opinion.php

電通は、北海道日本ハムファイターズ日本ハムとの共同で、新球場を保有・運営する新会社「株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント」を10月1日付で設立した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019092-1002.pdf

エイベックス・エンタテインメントは、電通ライブ、バスキュールと、XR領域における音声AR事業での連携を開始し、音声ARコンテンツの制作、プラットフォーム開発で相互協力する。
事業連携の最初の取り組みとして、和歌山県和歌山市無人島「友ヶ島」の観光活性化を目的とした、音声ARによる島内観光ガイドアプリ「友ヶ島」を、和歌山市と共同で10月3日(木)にリリースした。
https://avex.com/jp/ja/news/2019/onsei_ar/

◎「書評アーカイブサイト『ALL REVIEWS』に参加する書評家と書店内をくまなく巡り、その場で様々なジャンルの『おすすめ本』を教えてもらえる」という書店ツアーの第一回は仏学者・明治大学教授の鹿島茂! 第二回はロシア・東欧学者 ・ 東京大学教授の沼野充義。行先は東京堂書店! これは魅力的だ。
https://allreviews.jp/news/3781

◎「BuzzFeed Japan」が10月3日付で「オムツや生理用品より新聞が大事? 軽減税率の理由、財務省に聞いた」を発表している。これが財務省の見解。
《新聞は情報媒体として、日々の生活に直結する情報を幅広く、あまねく均質に広げるという意味合いがあります。そういう観点から対象品目として検討がなされていました。
また、新聞についても飲食用品と一緒で、低所得者ほど家計に締める負担が多い。消費税は「逆進的」と言われますが、逆進制を少しでも緩和しようというのがひとつの理由としてありました。
また、海外でもOECD35カ国中28カ国で新聞については軽減税率が適用されている。総合的に勘案した結果です。》
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/why-japanese-people-2

白泉社の「MOE」11月号はムーミンづくし。巻頭大特集も「ムーミン」だし、特別附録は「ムーミンダイアリー2020」、綴込み付録は、ダイアリーに貼れる「ちっちゃなムーミンシール」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000046848.html

トーハンは、タカラトミーと企画協力し、大人の女性をターゲットにしたトミカの新ライン「ディズニーモータース ジュエリーウェイ」の書店限定バージョンを発売した。
https://www.tohan.jp/news/20191003_1475.html

◎「潜入ルポ amazon帝国」(小学館)を書き上げた横田増生が「現代ビジネス」に「日本のアマゾン物流センターで『5年で5人が死亡』という衝撃事実」を10月3日付で寄稿している。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67580

◎「春オンライン」が10月4日午前11時35分に「ソフトバンクグループの窮地で孫正義が狙うLINE買収」を発表している
https://bunshun.jp/articles/-/14493

前澤友作が10月4日ツイッターで報告した。
《【ご報告】ということで、私 前澤友作は、9月12日にZOZO社を辞任し、その直後に新会社「株式会社スタートトゥデイ」を設立し代表取締役社長に就任しました。まだ一人も社員はいませんが、今後このスタートトゥデイ社を通し、またゼロから新事業を起こしていく予定です。どうぞよろしくお願いします。》
https://twitter.com/yousuck2020/status/1179948070139641856
「NEWSポストセブン」が10月3日16時に「前澤友作氏、新生・スタートトゥデイ設立 新たな挑戦へ」を発表している。そう前澤本人のツイートよりも早い「NEWSポストセブン」のスクープである。
《──ちなみに社長退任会見のときに、前の社名の「スタートトゥデイ」と書かれたTシャツを改めて着てたっていうのは何か意味があるんですか。
前澤:あのとき言わなかったんですけど、スタートトゥデイっていう会社を、あの日、また作ったんですよ。》
https://www.news-postseven.com/archives/20191003_1461729.html
インタビュアーは吉田豪。もっと早くにアピールすれば良いんだよね。

◎11月1日付をもって「株式会社大阪屋栗田」は「楽天ブックスネットワーク株式会社」に社名変更する。
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2019/1004_02.html
太田出版星海社を経て志学社を千葉県市川市に創業した平林緑萌が呟いている。
《大阪屋や栗田に通っていた身からすると悲しみがある……。》
https://twitter.com/moegi_hira/status/1180026142201245696
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59754
H.A.Bookstoreも呟く。
《しょうがないのかもしれないし、お前が言うなって話ですけど、寂しいなぁ。大阪屋も栗田も歴史ある社名なんだけどね。》
https://twitter.com/koya_books/status/1180005372926410752
こういうことが次々に起こって行くのだろうけれど、その結果、どうなるのかを今から考えておく必要があるだろう。

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5)【深夜の誌人語録】

焦らず、慌てず、黙々と。