【文徒】2019年(令和元)10月16日(第7巻187号・通巻1607号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】電通新聞局長が現行犯逮捕の衝撃
2)【記事】ノーベル経済学賞みすず書房日本評論社
3)【記事】「炎上を呼ぶ男」百田尚樹の次なる敵は杉田水脈
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.10.16 Shuppanjin

1)【記事】電通新聞局長が現行犯逮捕の衝撃

中川、吉武には、それほど世話になった記憶はない。成田が君臨した時代を私は知らない。阿部…私にとっては、この名前からリアリティを帯びて来る。池松…親しくしてもらった。俣木…私が今日あるのは俣木さんのお陰だろう。高嶋…新橋の寿司屋で酒精を交わした。森…感性が私に近かった。杉本…ディルタイサルトルについて酒精の勢いを借りて論じさせてもらった。
電通といえば新聞局であった。新聞局長が電通を背負っていた。そういう時代が長くつづいた。これに終止符を打つような事件が起きた。もっとも私は残念ながら吉野純と名刺交換したことすらなかった。最初に報じたのは神奈川新聞であった。10月15日 12時9分に「電通局長を現行犯逮捕 ラグビー観戦後、警備員殴った容疑」を掲載した。ただし、吉野純という名前は伏せた記事であった。
ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会を観戦後、日産スタジアム(横浜市港北区小机町)の会場で警備員を殴ったとして、港北署は13日、暴行の疑いで、大手広告代理店「電通」(本社・東京)の新聞局長の容疑者(51)=東京都港区=を現行犯逮捕した。署によると、同容疑者は「たたいていない」と供述、容疑を否認している。》
https://www.kanaloco.jp/article/entry-202104.html
電通の新聞局長が警備員を殴る。どんな理由があろうともあってはならないことである。これまで取り組んできた働き方改革を無にするようなことをしでかす人材が新聞局長であることに驚かざるを得ない。毎日新聞が10月15日 13時04分に「ラグビーW杯観戦後、酔って警備員の顔殴った容疑 電通新聞局長を逮捕 容疑を否認」を掲載している。毎日は吉野純という名前を隠しはしなかった。
日産スタジアム横浜市)で13日にラグビー・ワールドカップの日本―スコットランド戦を観戦後、会場近くで警備員の顔を殴ったとして、神奈川県警港北署は暴行容疑で電通新聞局長、吉野純容疑者(51)=東京都港区=を逮捕した。「たたいていません」と容疑を否認している。逮捕は13日。》
https://mainichi.jp/articles/20191015/k00/00m/040/095000c
容疑を否認するのであれば、現行犯逮捕であることをどのように理解すれば良いのだろうか。日経は10月15 日13時31分に「暴行容疑で電通局長逮捕 地検が釈放、W杯観戦後」を掲載している。
横浜地検は15日、吉野容疑者を釈放した。勾留請求しなかった。今後、任意で調べる。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50975140V11C19A0000000/
産経新聞は10月15 日14時2分に「暴行容疑で電通局長逮捕 ラグビーW杯観戦後」を掲載している。
《港北署によると、吉野容疑者は当時、酒に酔っており、スタジアムの外に設置された誘導用の柵に体当たりをしていて、注意した警備員を殴ったという。》
https://www.sankei.com/affairs/news/191015/afr1910150038-n1.html
飲んでも酔うな!そう私は電通人に教わって来た。朝日新聞デジタルは10月15日19時03分に「電通新聞局長を逮捕 ラグビー観戦後に警備員を暴行容疑」を掲載している。
《港北署によると、吉野容疑者は13日午後10時15分ごろ、横浜国際総合競技場(横浜市港北区)で、警備のアルバイトをしていた大学生の男性(21)の顔を平手打ちした疑いがある。警備にあたっていた警察官が取り押さえた。》
https://www.asahi.com/articles/ASMBH53LLMBHULOB01S.html
讀賣新聞は10月15日21時25分に「電通局長、W杯警備の大学生に注意されたたく…暴行容疑逮捕後釈放」を掲載している。
《吉野局長はW杯の観戦の帰りで、会場で酒を飲んでいた。観客誘導用の柵をずらして前の人を追い抜こうとした際、警備員に注意されて腹を立てたという。電通は、今大会の市場調査などを担当している。》
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191015-OYT1T50032/
吉野よ!電通の新聞局長とやらは、そんなに偉いのか?電通新聞局の輝かしい歴史に新聞局長自らが終止符を打つとは…情けないの一言に尽きる。

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2)【記事】ノーベル経済学賞みすず書房日本評論社

ノーベル経済学賞が発表された。インド出身で米マサチューセッツ工科大(MIT)のアビジット・バナジー教授とフランス出身でMITのエステール・デュフロ教授、米国出身で米ハーバード大のマイケル・クレマー教授の3人に決まった。日経は10月14日付で「ノーベル経済学賞MITのバナジー氏ら 貧困を緩和」を掲載している。
《バナジー氏はアジアからの受賞者としては1998年のアマルティア・セン氏に続き2人目。デュフロ氏は46歳で史上最年少の受賞となる。また女性としては09年のエリノア・オストロム氏に続いて2人目の受賞。バナジー氏とデュフロ氏は夫婦で同時受賞となった。》
《クレマー氏を含めた3氏は、実験により効果を確かめた貧困の具体的な解決手段を提唱。注目したのは学校教育や子どもの公衆衛生の改善だ。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50967130U9A011C1I00000/
大阪大学准教授の安田洋祐が「note」に発表している「貧困を減らす実験アプローチ」によれば、ナジーとデュフロによる「貧乏人の経済学―もういちど貧困問題を根っこから考える」、デュフロとクレーマーによる「政策評価のための因果関係の見つけ方 ランダム化比較試験入門」、デュフロの「貧困と闘う知――教育、医療、金融、ガバナンス」を読むことができる。
https://note.mu/yagena/n/nef09736ede58
「貧乏人の経済学」「貧困と闘う知」は、みすず書房から刊行されている。
https://www.msz.co.jp/book/detail/07651.html
https://www.msz.co.jp/book/detail/07983.html
政策評価のための因果関係の見つけ方」は日本評論社から今年の7月に刊行されたばかりである。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8075.html
安田は今から7年前に荻上チキと「シノドス」で対談している。「社会を変える新しい経済学」がそうなのだが、ここで安田は「貧乏人の経済学」について次のように語っている。
《著者はマサチューセッツ工科大学のバナジーとデュフロ。二人とも今をときめく開発経済学の専門家です。開発分野なので、扱っている対象は途上国になるわけですが、途上国の場合は先進国と比べると非常に低コストでダイナミックな社会実験ができてしまいます
例えば似たような村が二つあって、ランダムに選んだ片方の村には道路を作り、もう一方の村には作らないということをやって、どれくらい道路に経済的な効果があるかを調べる。日本人の感覚からすると、そんなことやっていいのかという気はしますが、倫理的な問題には目をつぶるとすると、これをやることの強みは、因果関係がかなり正確に特定できることです。
さすがに村が二つだけだと結果の信頼性は低いですが、実際には似たような村をたくさんピックアップしてランダムに二つのグループに分けることで対処しています。今まで禁じ手(!?)だったランダム化対照試行を経済学の分野にも持ちこんで、確たる科学的な証拠を出す道筋を切り拓いたというのが、彼らのいちばんの貢献になります。
本書の中にはランダム化実験によって得られたさまざまな知見が書かれています(以下は有名な研究ですが『貧乏人の経済学』の中では非常に簡単にしか触れられていませんのでご注意ください)。
例えば、ケニアの山奥の子どもたちを学校に通わせるために何をすればいいか、いくつかの実験を行っています。結果的に分かったのは、いちばん安上がりでたくさんの子どもたちを学校に通わせるためには、きちんと虫下しを配ってお腹の病気をなくせばいいということでした。深刻な症状だと学校には通えなくなりますし休みがちになると勉強についていけなくなる。そうすると最終的に通うことをやめてしまう。》
https://synodos.jp/economy/889/4
政策評価のための因果関係の見つけ方」を理解するためには、シカゴ大学教授の伊藤公一朗の「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」(光社新書)を読んでおくと良いかもしれない。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039868
伊藤は「政策評価のための因果関係の見つけ方」の帯を書いているツイッターにも、こう投稿している。
《今年のノーベル経済学賞を予測したかのようなタイミングでの出版。日本評論社と小林庸平(@yohei_econ)さんら訳者の皆様、お見事でした。長年和訳されてこなかった本書ですが、これを機にさらに多くの方に読まれることを願っています。》
https://twitter.com/itonomics/status/1183959210972856320
経済学の最大の課題は、今も昔も貧困の根絶にあるはずだ。

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3)【記事】「炎上を呼ぶ男」百田尚樹の次なる敵は杉田水脈

「日刊サイゾー」が10月10日付で「百田尚樹『ヨイショ感想』で新潮社が大炎上! ラグビー日本代表にまで飛び火の顛末」を発表している。
ラグビー日本代表の立役者でもあるナンバー8の姫野和樹が『THE ANSWER』のインタビューで、百田の『日本国紀』を愛読していると告白。『日本国紀』は、縄時代から平成までを500ページにわたってたどった本だが、発売直後から内容の矛盾やコピペ疑惑など、多くの疑問が寄せられていた問題の一冊。
そのため、姫野に対して、「ガックリ」「まともな本読めよ」「応援する気がいっぺんに失せた」といった失望の声が浴びせられてしまったのだ。》
https://www.cyzo.com/2019/10/post_218739_entry.html
アエラドット」は10月12日付で「百田尚樹の小説『ヨイショ感想』 2日で中止した新潮社の想定外とは」を掲載している。
https://dot.asahi.com/wa/2019101000082.html?page=1
日刊ゲンダイDIGITALに10月12日付で適菜収が「書評の信頼性に泥を塗った新潮社の『ヨイショ感想』騒動」を寄稿している。
《問題は新潮社だ。安倍のヨイショライターをヨイショするという企画もグロテスクだが、これは高評価のレビューをカネで買うのと同じ。
話題になればいい、アンチなんて無視すればいい、法に触れるわけではない、面白ければいい……。こうした悪性のニヒリズムと戦うのが言論やそれを支える出版社の役割ではないか。こうした常識を古臭いとせせら笑い、算盤をはじくしか能がない連中が社会をおかしくしていくのだ。》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263163
百田尚樹SNSにおいては「炎上を呼ぶ男」なのである。史上最大級の台風19号が上陸しようとしているなか、百田は仕掛けた。今度の敵は「新潮45」休刊のきっかけを作った衆議院議員の杉田水脈である。杉田は八幡和郎が上梓した「『日本国紀』は世紀の名著かトンデモ本か」(ぱるす出版)の書影を掲げながら次のように10月11日にツイートした。
《今朝は8時から自民党女性活躍推進本部の会合が開かれ、事務局次長に就任することが決まりました。本日の議 題 は「フィンランドバルト三国視察報告」についてでしたが、私も時間をいただき、先月のフランス視察の報告をしました。
9時からは予算委員会に出席。》
《そしてお昼は、女性議員飛躍の会。講師に八幡 和郎先生をお迎えし、皇室についての勉強会を行いました。》
https://twitter.com/miosugita/status/1182637229648203776
https://twitter.com/miosugita/status/1182637248036007937
これに百田尚樹は黙っていなかった。強烈なリプライを発信したのである。
《八幡和郎が私を攻撃した本を堂々とアップしたということは、この女性議員、はっきりと私を挑発しているんやな。あるいは宣戦布告か。
なるほど、なら、その挑発に乗るわ。これまでは武士の情けで言わなかったことも今後は出す。
関係ないけど、実物とまるで違うアイコンはどういうつもりやねん。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182900583411273728
更に追い打ちをかけるかのように杉田の別のツイートにもリプライする。
《どうでもいいけど、相変わらず写真の修正はすごいな。
八頭身になってるやん。
恥ずかしくないのかな。恥ずかしくないんやろうな。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182901145078878208
有本香は百田が怒りのツイートを繰り広げる理由を解説している。
《去年の新潮45騒動の時、百田さんは関係者に「軽率な章だったが、あんなに責められることじゃないし責めるほうが異常」と言って陰で庇っていた。しかし今回SNSで例の本の写真をアップし、さらにそこへ書かれた百田さん誹謗コメントに議員自ら「いいね」を押すに至っては、敵対と思われても仕方ない。》
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1182908358501625856
いずれにしても百田尚樹の怒りは収まらない。百田台風が杉田水脈に襲い掛かっている。
《今まで言わなかった事です。杉田議員は「慰安婦問題が私のライフワーク」と言っていましたが、吉村大阪市長がサンフランシスコ市が公地に慰安婦像を建てる事に抗議した際、一言も彼を応援しませんでした。大阪自民党が市長に反対していたからです。自民党に入った途端にこれ。
何がライフワークだよ。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182905433750568960
《杉田議員は前の選挙に落ちてから「自分はもう議員にはならない。民間人として慰安婦問題に取り組んでいく」と何度も宣言していました。「日本のこころ」党員として頑張っていくとも。しかし2017年の選挙直前、某氏に「安倍総理に紹介して」と頼みこみ、自民党比例代表候補となって当選。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182907434530000896
《ちなみに、杉田議員は「慰安婦問題では、自腹でスイスの国連に出向いて頑張っている」と一般に受け止められているが、その金は全部、ある会社が出している。他人の金なら何でもできる。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182908546054180864
《杉田議員は私の目の前では「維新を応援しています。都構想に賛成です」と言いながら、別の場所では、「維新は共産党以下のひどい政党」と言い、都構想の悪口三昧。
それ以来、私は距離を置いてきたが、敢えて悪口は言わなかった。しかし堂々と挑発されたら、こちらも何だって言うよ。
本番はこれから。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182910149058424842
《台風で大変な時に、杉田水脈のクソツイートを見てしまい、ついカッとなってしまいました。
台風が過ぎ去り、復旧がひと段落するまでは、杉田のことについてはツイートしません。
皆さん、見苦しいツイートをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1182913529705222144
台風は過ぎ去ったものの、復旧はひと段落していないにもかかわらず、百田尚樹は、はすみとしこのツイートにリプライすると、10月13日には再び怒りを爆発させたようである。
《…私はこれまで彼女に対する批判は抑えてきました。しかし今回、彼女は勉強会に来た6人の講師の中で八幡氏の名前だけを挙げ、また私の本の表紙デザインまでパクった中傷本をこれみよがしにアップしました。
私は売られたケンカを買ったまで。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183252795853393920
《私は保守団結には興味もありませんが、敢えて自分からそれを壊しにはいきません。
繰り返しますが、何もアクションを起こしていない私に対して、杉田議員が挑発してきたのです。
私に大義がないとおっしゃるなら、杉田議員に言うべきではないですか。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183252797342437376
《当日、その勉強会に出席した某議員は、八幡氏の講義に「?」となったそうです。私もその講義内容を聞いて呆れました。
そんな八幡氏の名前をわざわざ挙げ(当日6人の講師)、その本を堂々とアップするのは、明らかに私に対する挑発です。
彼女が私を挑発する理由は知りませんが、私は受けて立ちます。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183255840188321793
ただ、これらのツイートは杉田に対する反撃ではないようだ。「やる」のは、あくまで復旧がひと段落してからだ。百田曰く
《しかも、その写真を堂々とアップして、勉強になった、とまで言われては、こちらもやるしかないですからね。
台風の復旧がひと段落したら、やりますよ。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183256882682581003
《聞けば、八幡氏は勉強会の始まる前に、議員たちの机の上に、私の中傷本を一冊ずつ置いていたらしい。出席者の人数以上の本を持ってきたという。
この人、こうやって方々で自分の本をばらまいているようです。
すると今回の杉田議員のように、ツイッターでアップしてくれるバカがたまに現れる。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183259675334045696
杉田水脈は沈黙しているけれど、百田尚樹は沈黙が苦手なのだろう
《杉田議員には悪気がなかったと言う皆さん。
私はまったくそう思っていませんが、もし悪意がなかったなら、とっとと当該ツイートを削除し、誤解を与えた旨を説明するツイをしているはずです。
それをしないということは推して知るべしです。
今後、彼女を擁護するリプを送った人は即ブロックします。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1183277569057026048

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4)【本日の一行情報】

又吉直樹にとって初の長編小説となる「人間」が毎日新聞出版ら10日に発売されたが、同日の午前、三省堂書店神保町本店で又吉のサイン会が開催された。単行本も売れるのだろうが、毎日新聞出版からすれば庫を持っていないのが辛いところだろう。
https://mainichi.jp/articles/20191010/k00/00m/040/135000c

◎「なかよし」(講談社)11月号の付録は東ハトとコラボした「キャラメルコーンそのまんまバッグ」。
https://news.dwango.jp/news/42068-1910
https://www.youtube.com/watch?v=93ADtpoCqFM&feature=youtu.be

◎韓国でベストセラーとなった「反日種族主義 日韓危機の根源」は、11月14日に藝春秋から発売される。日本でもベストセラーになるだろう。
https://bunshun.jp/articles/-/14632

◎KKベストセラーズは、月刊誌「競馬最強の法則」を11月号(10月12日発売)をもって休刊する。
https://www.kk-bestsellers.com/ud/magazine/5d9d7e4677656182dd000000
https://www.oricon.co.jp/news/2146395/full/

◎「ハヤカワ 時代ミステリ庫」創刊について書くのを忘れていた。第二弾が刊行された。
https://www.hayakawabooks.com/n/n6fadffbb4d8b

三池崇史監督にとって初めてのラブストーリーとなる映画「初恋」(2020年2月28日公開)が、小学館が配信する無料WEB漫画サイト「やわらかスピリッツ」でコミカライズされる。
https://www.oricon.co.jp/news/2146383/full/

河出書房新社の「藝」2019年冬季号の増刷が決まり、創刊86年の歴史上初となる2号連続での増刷となった。ビートたけしではなく、北野武名義での初小説となる「足立区島根町を発表している。特集は「詩(うた)・ラップ・ことば」。クリープハイプのボーカル・ギターでもある尾崎世界観が新作小説「バズの中にはおよそシェア100万個分の栄養素が含まれている」を寄稿している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000269.000012754.html
北野武第一短篇集「純、学」も河出書房新社から刊行される。「疲労もポン!これが『小説』の覚醒剤」という帯がラジカルである
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028224/

◎宝島社は、ドトールコーヒーと協業し、ドトールコーヒーが運営する「カフェ レクセル」におけるメニュー・商品開発および、店内装飾のプロデュースを実施した。10月1日より、コラボ第1弾として、オリジナルパッケージのドリップコーヒーを、カフェ レクセル全店にて発売している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000932.000005069.html
毎日新聞が10月12日付で「トレンド観測 Theme 異業種コラボ 雑誌不況脱出へ強化」を掲載している。
《宝島社の自社の北欧デザインのライフスタイルブランド「kippis」(キッピス)は、今月初めに大手コーヒー店ドトールとのコラボレーションを開始した。まずドトールが運営する「カフェ レクセル」で、キッピスの北欧デザインのドリップコーヒーの販売を開始。12月から「カフェ レクセル」の店内装飾や北欧メニューなど店舗プロデュースを行う予定だ。》
https://mainichi.jp/articles/20191012/ddm/014/040/017000c

◎「チコちゃん家計簿2020」が発売された。版元はNHK出版ではなく、フジテレビの関連会社である扶桑社だ。
https://straightpress.jp/company_news/detail?pr=000000357.000026633

◎米Amazonは10月10日、tvOS 12.0以降のApple TV向けにAmazon Musicアプリをリリースした。これによりAmazon MusicApple TVで利用可能になった。アレクサはApple Musicに対応していたのでこれで対等となった。なお一般的なAndroid端末はApple Musicに対応しているが、AmazonKindle Fireは非対応。
https://japanese.engadget.com/2019/10/11/amazon-music-apple-tv/

◎and factoryは、小学館集英社及び白泉社各社との間で、デジタル領域における新たな取り組みを目的として資本業務提携をした。and factoryが手がけているのは「マンガUP!」「マンガPark」「マンガMee」「コミックevery」「サンデーうぇぶり」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000014185.html
集英社とは「ヤンジャン!」の開発及び運営において、業務提携契約を締結した。今後は2020年春に予定する「ヤンジャン!」アプリのフルリニューアルを実施するとともに共同で運営を行う。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000153.000014185.html
更にand factoryは、アムタスとマンガアプリ開発運営事業において、業務提携契約を締結した。今後は「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」のリニューアルを実施するとともに共同で運営を行う
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000014185.html
ツイッターではこんな評価も投稿されていた。
《今日決算発表のあったand factoryは、漫画アプリの運営とIoT事業を行っている会社です。業界の中では提携出版社の数やMAUが最大なのですが、売上高は12億ほどでARPUは2円程度です。会社側は広告や宣伝で売上高を増加させるですが、無料利用者の多い漫画アプリでは収益率の増加は難しいですね。》
https://twitter.com/med_invest_leo/status/1182667369212194818

◎「ハースト ビューティ フェスティバル2019」の開催は台風19号により中止となった。開催の延期は予定していない。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/corp-191011-HearstBeautyFestival_2019_cancel

◎「平凡Special 僕らの80年代」が刊行された。1982年前後のヤングカルチャーを発掘紹介する一冊である。最近見た映画「ジョーカー」の舞台は1981年のゴッサムシティ。私が東京アドエージに入社し、「地獄の季節」を味わうことになったのも1981年。灰皿を投げられたり、ヤクルト本社地下の料理店で数時間にわたり立たされたり、ジョーカーと同じような扱いを受けていた時代である。単純に懐かしめないのが私の80年代である。
https://magazineworld.jp/books/paper/5377/

◎「NHK NEWS WEB」が10月11日付で「NHK経営委 会長への厳重注意は『編集の自由損ねず』委員長」を公開している
《…日本郵政の鈴木・上級副社長は、「圧力をかけた記憶は毛頭ない。放送されたものに続いて第2回の取材をするという際に、極めて刺激的なことばだけを並べたようなツイッターを出していたので、それを削除してほしいと要請した」と述べました。
一方、NHKの石原経営委員長は、上田会長を厳重注意した経緯について、「経営委員会は番組の内容や中身に立ち入ることは法律上禁止されている」と述べました。
そのうえで、「番組担当者の説明は、ガバナンスの問題として、会長の職員に対する教育などの面で欠けているところがあると判断した」と述べ、厳重注意によって、NHKの自主自律や番組編集の自由を損ねた事実はないという認識を示しました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191011/k10012123701000.html
専修大教授の山田健太は10月10日付東京新聞の「視点 見張りの塔から メディアの今」で次のように書いている。当事者たちは、こうした真っ当な指摘には結局、聴く耳を持たないのである。
放送法は、NHKの経営委員が番組編集に干渉することを明確に禁じている。今回、経営委員会が個別の番組内容を巡って会長に注意したことは限りなく違法行為である。しかも、その事実を議事録に「あえて」掲載していない。経営委員会は、現場を守るのではなく、郵政におもねったといえるだろう。
このおもんぱかるNHKの姿勢は一貫している。直近の会長会見でも、かんぽ生命保険の「不適切な販売」という言い方をした。同グループの中間調査報告でも法令や社内ルール違反の可能性が指摘され、世の中一般では明白な「不正」であって、限りなく違法に近い実態が明らかになっている。にもかかわらず、オブラートに包んだ言い方に終始する徹底ぶりだ。
こうした姿勢を一方で示しつつ、上田会長が「自主・自律」を貫いていると繰り返し強調しても、視聴者は信用できないのではないか。》
毎日新聞が10月12日付で「かんぽ報道 郵政側最初の抗議判明『経営に支障を来す』」を掲載している。
《…郵政側の一連の抗議や申し入れのうち、昨年7月に初めてNHK側に送った抗議を入手した。番組が続編に向けツイッターに公開した情報提供を呼びかける動画に対し「経営に支障を来す」などとして、上田会長に削除を求めていた。NHKは昨年8月に続編延期を決め、動画を削除したが、動画の内容に問題はなかったと反論している。》
https://mainichi.jp/articles/20191012/k00/00m/040/201000c?fm=mnm

毎日新聞が10月11日付で社説「『表現の不自由展』再開 それでもなお課題は残る」を掲載している。
《今回の企画展で抗議の対象になったのは、元従軍慰安婦を象徴する少女像や、昭和天皇の肖像を素材とした作品だ。政治性の高い作品を公共の空間でどう見せるか。これを機に議論を深めたい。》
https://mainichi.jp/articles/20191011/ddm/005/070/066000c
専修大教授の山田健太は10月12日付琉球新報に「<メディア時評・表現の不自由展>言論封殺、政治家が容認 消極的加担の報道も」を寄稿している。
《表現行為に対する公的サポートのあり方や、検閲とは何を指すのかなど、中止はもちろん、再開に向けた動きの中にも、表現の自由の核心に触れる多くの問題が山積している。私たちはあいトレを通して大きな宿題を負うことになった。》
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1006178.html

テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)は、Zeppyと資本業務提携した。Zeppyは、経済に特化したプロダクションとして2019年6月に設立され、主に投資、経済に特化したWEB動画コンテンツの制作事業を強みとし、経済インフルエンサーのマネジメントなども手がけている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001020.000002734.html

◎10月12日付産経新聞によれば自民党岸田派(宏池会)の名誉会長をつとめる古賀誠元幹事長が「憲法九条は世界遺産」(かもがわ出版)を出版し、党内に波紋が広がっているそうだ。
https://www.sankei.com/politics/news/191012/plt1910120005-n1.html
古賀誠が「赤旗」日曜版に登場したのが2013年5月のことだった。この頃から「平和主義は『世界遺産』に匹敵する」と語っていた。今度は、かもがわ出版か。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-31/2013053101_08_1.html
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ka/1045.html

講談社の100周年記念として刊行された百田尚樹の「錨を上げよ」は原稿枚数2400枚に及ぶ大作であり、上下の二巻本として2010年11月に刊行された。講談社では小林龍之が担当したようだ。
http://konoichi.kodansha.co.jp/1209/05.html
講談社の100周年記念企画であったにもかかわらず、講談社では庫化されることなく、幻冬舎庫から4巻本として今秋、刊行された。
https://www.gentosha.jp/article/14020/
「トヨトミの野望」にしてもそうだが、講談社は親本の庫化に拘りはないのだろうか。マンガで大儲けしている版元の余裕?!

板垣巴留のマンガ「BEASTARS」(秋田書店)がアニメ化され、Netflixで世界190か国に配信される。
https://ananweb.jp/news/254254/

ラグビーW杯で日本がスコットランドに勝利し、ベスト8入り。「The Guardian」の取材力に感服するのみ。
https://twitter.com/ynwataiga/status/1183542541511266304
関東での平均視聴率は39.2%。瞬間最高視聴率は53.7%。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50971270V11C19A0CR0000/

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5)【深夜の誌人語録】

配慮するのに遠慮は必要あるまい。