【文徒】2019年(令和元)11月20日(第7巻210号・通巻1630号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】毎日新聞記者のYouTuber宣言
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.11.20 Shuppanjin

1)【記事】毎日新聞記者のYouTuber宣言

11月18日、午後10時32分、毎日新聞記者の宮原健太がツィッターでYouTuber宣言をした。
《突然ですが、新聞記者として本日、YouTuberデビューをすることになりました!
バタバタしていたので動画をあげるのが夜遅くになってしまいました…
現場の面白さを前面に出しながら、ニュースに興味を持つ入り口のようなチャンネルにしていけたらと思います!》
https://twitter.com/bunyakenta/status/1196421018442588166
ツイッターのプロフィール欄にはYouTuberであることを明記した。
毎日新聞記者でYouTuber。『ブンヤ健太の記者倶楽部』で動画配信中!東京政治部←福岡本部←宮崎支局。官邸記者クラブで総理番をしながら、政策、政局を取材。学生時代に空手に励んできた体力と、演劇で培った感性を武器に良い記事を書いていきたい。RTは必ずしも賛意を示しません。ツイッターでの発言は全て私見です。》
https://twitter.com/bunyakenta
本気である。これが「ブンヤ健太の記者倶楽部」である。
https://www.youtube.com/watch?v=2J5GyE9Wr_8&feature=youtu.be
「個」を全面的に前面に出すという宮原の心意気は買いたいし、滑舌も良く聞きやすい。しかし、問題は内容である。政治部とか官邸記者クラブという枠組を喰いちぎるような内容でない限り定着しないと思う。「ニュースに興味を持つ入り口のようなチャンネル」にとどまっていては駄目なのである。それこそ毎日新聞のマイケル・ムーアを目指すべきのである。「個性」なき「個」では意味あるまい。
宮原と毎日新聞記者として同期だという一宮俊介は応援している。
《同期がYouTubeチャンネルを開設しました。
おふざけでは決してなく、今の新聞報道のあり方に対する強い危機感から始めたものです。
こうした試みをよく思わない人は社内にもいますが、新聞社を中から変えることをまだ諦めていない若手は多いです。
前向きに応援していただけるととても心強いです。》
https://twitter.com/Ichimiya_Sh/status/1196457862588854272
この程度の試みすら社内でよく思わない人がいるとは! 新聞社に巣食う「イノベーションのジレンマ」は強烈だし、強力のだろう。毎日新聞の現状を踏まえるのであれば、活路は朝読にできないほど大胆なデジタルシフト経営なのではないだろうか。

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎第7回京都本大賞に、天花寺さやかのデビュー作「京都府警あやかし課の事件簿」(PHP研究所)が選ばれた。
https://mainichi.jp/articles/20191117/ddl/k26/040/217000c
https://twitter.com/Tengeiji_Sayaka
エブリスタが運営する「monokaki」で天花寺は次のように述べている。
《エブリスタは書籍化作品が多い点が非常に魅力的でした。作品の投稿の仕方も自分にあっていたのと、頻繁にコンテストも開催されているので、元からあった自作品を出したり、募集テーマに合わせて書くことも楽しかったです。そのままエブリスタでの活動が中心になっていた頃に、『京都府警あやかし課の事件簿』(当時のタイトルは『京都しんぶつ幻想記』)の書籍化の打診をいただき、今に至ります。》
https://monokaki.everystar.jp/feature/sakkatachi/3063/

◎光社は、11月20日(水)に発売される「新宿鮫」シリーズの最新刊「暗約領域 新宿鮫XI」の刊行を記念してワルツと共同キャンペーンを実施する。
ワルツは新宿にワインバーブームを起こした「MARUGOグループ」をはじめ都内に約30店舗の飲食店を展開しており、このキャンペーンでは新宿にあるブックファーストルミネ新宿店、ブックファースト新宿店、丸善新宿京王店、福家書店新宿サブナード店、紀伊國屋書店新宿本店、ブックエキスプレス新宿南口店、bookshelf NEWoMan新宿店という七書店で「暗約領域 新宿鮫XI」を購入すると「MARUGOグループ」の8店舗にてドリンク一杯が無料提供される。キャンペーン期間中は大沢在昌よるディナートークショー&サイン会の開催や、「新宿鮫の世界観を表現した「オリジナルカクテル」を提供する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000021468.html

毎日新聞は11月18日付で「ミシマ社が新レーベル 卸値下げ『買い切り』方式 書店の利益率改善目指す」を掲載している。
《京都を拠点とする出版社「ミシマ社」が、少部数で高めの価格設定を特徴とする新レーベル「ちいさいミシマ社」を始めた。返品可能な委託販売ではなく、書店の「買い切り」方式で、卸値を定価の55%まで引き下げた。》
https://mainichi.jp/articles/20191118/dde/014/040/004000c
ミシマ社の野心的な取り組みは7月よりスタートしている。
《ミシマ社は従来通り七掛けで書店へ直卸する。ちいさいミシマ社は、書店完全買い切りで、五五パーセントで卸す(リアル書店限定)。つまり、「ちいさいミシマ社」では一冊を届けてもらうことで、書店側にしっかり利益が出る。数多く販売することをめざしてもらう必要がない。
そういう条件下、出版社側も、「より売れる」ことを意識するより、「より喜ばれる」本づくりに徹することができる。書店は届けることに、出版社はつくることに専念。大量生産・大量消費の時代が終わった今、書店と出版社、それぞれにある本来の良さを、それぞれがより発揮するための一歩になることを願っています。》
https://mishimasha.com/mishinews/chiisaimishimasha/001604.html

◎ブックエキスプレス・ブックスキヨスクが共催する第13回エキナカ書店大賞は近藤史恵祥伝社庫「スーツケースの半分は」に決定した。
https://hon-hikidashi.jp/bookstore/97226/

◎故・高畑勲監督が手がけたテレビアニメ「じゃりン子チエ」を収録した「じゃりン子チエCOMPLETE DVD BOOK」全6巻の刊行が決定した。版元は、ぴあである。
http://piabook.com/shop/g/g9784835639444/
むろん、私は全巻揃えるつもりだ。もう一つ、ぴあにお願いしたいのは高畑勲訳のジャック・プレヴェール「ことばたち」の復刊だ!これ古本だと、こういう値段になっている。最安値が配送料込で1万7000円超!なのである。
https://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/4835609603/ref=tmm_other_meta_binding_used_olp_sr?ie=UTF8&condition=used&qid=1574128463&sr=1-7
ジャック・プレヴェールは映画「天井桟敷の人々」の脚本を書いたことで知られているし、シャンソンの代表曲である「枯葉」の作詞もそうだ。

産経新聞は11月18日付で「海賊版1・6億円賠償命令 誘導サイトで講談社請求」を掲載している。
《人気漫画や雑誌を無断コピーしたインターネット上の海賊版サイトのURLをまとめ、利用者を誘導するリーチサイト「はるか夢の址」を運営するなどしたとして著作権法違反罪などで有罪判決を受けた被告3人に、講談社が損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)は18日、請求通り計約1億6500万円の支払いを命じた。》
https://www.sankei.com/affairs/news/191118/afr1911180035-n1.html
講談社は「海賊版リーチサイト『はるか夢の址』 損害賠償請求訴訟における弊社「勝訴」のお知らせ」を発表している。
《今回の判決は、刑事事件の判決と併せて、意図的に著作権を侵害し違法な海賊版サイトを運営する行為が、いかに反社会的で悪質なものであるかを示した有意義なものと考えております。
弊社は、海賊版被害の拡大や蔓延を防ぐために、今後も積極的に海賊版サイト運営者らの
責任を厳しく追及してまいります。》
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2019/20191118_harukayumenoato.pdf
今回の判決は抑止効果になるだろう。三崎尚人が次のように呟いている。
《刑事事件でも3人に懲役3年6カ月、同3年、同2年4カ月の実刑判決が大阪高裁で。変な著作権法改正するよりも、地道に実行犯を締め上げた方がよほど抑止効果があるのでは?》
https://twitter.com/nmisaki/status/1196334438361100289
「ねとらぼ」副編集長の池谷勇人もツイートしている。
講談社だけで1億6000万円。ひとまず海賊版サイト訴訟のいい前例ができたと言えそう。ただ被害分をこれで十分カバーできたと言えるかどうか、サイト側の利益はどれくらいだったかなど、まだ素直に喜べない部分も。》
https://twitter.com/tekken8810/status/1196437792089264128

◎ヤフーは「経営統合に関する基本合意書の締結について(Zホールディングス株式会社)」を発表した。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/11/18a/
国際大学GLOCOM客員研究員の楠正憲が「BUSINESS INSIDER JAPAN」に「ヤフー・LINE『経営統合ショック』が業界にもたらす巨大インパクト」を寄稿している。楠の指摘するように「事業のポートフォリオを整理するには、かなりの豪腕を要する」のは間違いあるまい。果たして持ち株会社による統合で事業のポーフォリオを思惑通りに整理できるのかどうか。持株会社にはソフトバンクとNAVERが50%ずつ出資することになるようだが、この出資比率も事業のポートフォリオを整理するに際してブレーキにならないともかぎるまい。
楠は、こうも書いている。
《LINEには既に多くのサービスが統合されており、関連アプリへの導線は複雑になりつつある。LINE Payで決済した店舗からのプッシュ通知が煩わしいという不満も聞かれる。
事業上のシナジー(相乗効果)を出すにはLINEから各サービスへの誘導を増やす必要があるが、それ自体がLINEの競争力を損なうリスクがある。その上、単にLINEアプリから呼び出せるというだけでは、各セグメントでトップを獲ることは難しい。》
https://www.businessinsider.jp/post-202618
私がこの統合に「未来」を感じられないのは、私は現時点でヤフーともLINEとも一切かかわりがないからだ。検索にグーグル、買い物にAmazonソーシャルメディアTwitterとFacebookというように仕事においても、生活においても、私の場合、ヤフーにもLINEにも未来が既にないのである。次はメルカリあたりを買うのだろうけれど、これも私は使っていない。
「TechCrunch Japan」は11月18日付で「世界で戦えるAIテックカンパニーを目指す、ヤフーとLINE経営統合の理由」を公開している。
《現状ではYahoo!とLINEの重複事業については経営統合後の課題として具体的な言及はなかった。しかし、効率化を図るために重複事業を統合していくのは世の常。スタートアップ企業にしてみれば、優秀な人材が流動化するチャンスになるかもしれない。
https://jp.techcrunch.com/2019/11/18/yahoo-line-integration/

KADOKAWAは、成田国際空港 第2旅客ターミナル本館2階に、アニメをテーマにした物販と飲食による体験型エンターテインメント施設「成田アニメデッキ」を11月28日(木)にオープンする。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006500.000007006.html

◎2019年度の新聞協会賞を受賞した日本経済新聞の連載企画「データの世紀」が、日本経済新聞出版社から出版された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000011115.html

ファンタジスタは、英訳マンガのサブスクリプションの新サービス「Manga Planet」を11月18日よりスタートした。「Manga Planet」は、出版社からライセンスされたマンガ作品の英語版が月額6.99米ドルで読めるオンラインマンガ配信サービスでファンタジスタ大日本印刷と共同で開発、運営する。
https://www.atpress.ne.jp/news/198383

ハースト婦人画報社の男性ファッション誌「メンズクラブ」2020年1月号は、2019年ラグビーワールドカップ日本代表・田村優が表紙を飾り、スペシャルインタビューに登場する。田村が、単独でファッション誌に登場するのは、今回が初めてとなる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000008128.html

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

無知を喜ぶことをもって第一歩とする。