【文徒】2020年(令和2)3月3日(第8巻39号・通巻1696号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】首相も酷いが「記者クラブ」メディアも酷い
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.3.3 Shuppanjin

1)【記事】首相も酷いが「記者クラブ」メディアも酷い

毎日新聞記者の横山裕道のツイート。
《自分の言葉で語れない首相
安倍首相の会見は思った通り空疎だった。全国の小中高の休校という子どもと親にとってエッと驚くような要請をしたのに、具体的な根拠を示さない。質問にも原稿を読むだけ。これで「コロナウイルスにしっかり向き合おう」と考えた人はいるだろうか。》
《9年前の福島原発事故の時、菅首相原発視察を行って批判を浴びた。しかし一国の最高指導者が現場の状況を頭に焼き付け、その後の判断に役立てた点で意味があったと思う。安倍首相は「悪夢のような民主党政権」と言うが、その言葉はコロナ対策であたふたする今の政権にこそふさわしい。》
https://twitter.com/zxghiro/status/1233846737997090816
https://twitter.com/zxghiro/status/1233846910894690305
元検察官の郷原信郎にしても、2月29日の記者会見には驚いたようである。こうツイートしている。
《これでは、記者・ジャーナリストを「聴衆」として招いた”安倍首相演説会”でしかない。「記者会見」とは言わない。》
https://twitter.com/nobuogohara/status/1233721819145752576
「記者会見」と称し、記者クラブに所属しないジャーナリストにまで門戸を開きながらも、安倍首相に質問できたのは、朝日新聞とテレビ朝日という記者クラブの幹事社2社の記者と長谷川栄一内閣広報官に指名されたNHK、読売、AP通信という3記者だけであった。テレビ業界用語に「やらせ」という言葉があることを私は思い出さずにはいられなかった。断っておくが「やらせ」の責任は安倍首相が一身に負うべきではあるまい。「やらせ」は官邸に唯々諾々と従っている「記者クラブ」メディアとの共犯関係なくしては成立しなかったはずである。
批判されるべきは安倍首相だけではない。「記者クラブ」ムラに属している大手メディアのあり方もまた厳しく批判されてしかるべきなのである。批判しても何も変わらない。しかし、批判さえやめてしまっては、何が問題なのかも隠蔽されてしまうことだろう。「ビデオニュース・ドットコム」の神保哲生のツイートに耳を傾けたい
《サラリーマン記者なんてやめる覚悟でやれって簡単にいうけど、そうすると7年間総理会見に通って手を上げ続けても一度も当てられないなんて処遇に耐える覚悟が必要になります。新卒で大手メディアに入って以来、すべてお膳立てされている環境で生きてきた彼らにはそれは無理ですね。》
《僕は手を挙げ続けても当てられない7年間の前に、会見に入ることさえできない20年がありますから、これくらいは大したことないって思えますけど。その間にフリーでも記者クラブと対等に質問ができた民主党政権の3年間がありますが、それが既存メディアを安倍政権に走らせる一因にもなってるわけです。》
《独演会ならまだいいんですよ。すべて官邸官僚が事前に用意した答弁をベタ読みしているだけなところが問題なんです。しかも質問まで官邸官僚が事前に取りまとめて、その答えも用意し、当てる順番まで決まってる。でも一番の問題はそれに唯々諾々と従ってる内閣記者会の記者たちです。》
https://twitter.com/tjimbo/status/1233776777845202944
https://twitter.com/tjimbo/status/1233777625790865409
https://twitter.com/tjimbo/status/1233753043960782848
江川紹子は「YAHOO!ニュース」に3月1日付で「新型コロナ対策・首相記者会見で私が聞きたかったこと~政府は国民への説明責任を果たせ」を発表し、次のように書いている。
《私が、「質問があります」と述べたのに打ち切られた、という趣旨の私のツイートは、20時間ほどで280万以上の人に見られ、2万1000回リツイートされ、4万1000もの「いいね」がついた。それを見ても、今回の会見に落胆した人は、相当数に上ると言えるのではないか。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20200301-00165497/
私たちは安倍首相にも、「記者クラブ」メディアにも落胆しているのである。
小林秀雄 美しい花」(藝春秋)の若松英輔もこの日のメディアに落胆した一人であることは、このツイートを読めばわかることである。
《夕方からの記者会見を見て、多くの人がメディアへの信頼を失っただろう。新聞社には友人も多い。だがあの会見は受け入れがたい。メディアが媒介となって不誠実を拡散した出来事以外の何ものでもなかった。メディアから正義が消えたなら、存在する意味がないではないか。私はこちらの方に失望した。》
https://twitter.com/yomutokaku/status/1233756729319419904
中島岳志がツイートする通りだ。
《苦しみ抜いてイベントを中止にした人。この先の生活の不安に押しつぶされそうになっている人。重い空気の中、心が折れそうになっている人。この国の首相には、そんな人たちと同じ地平に立っていてほしかった。この気持ちを共有できていないことが明確になった記者会見だった。退いてもらうしかない。》
https://twitter.com/nakajima1975/status/1233796457905324032
平野啓一郎がツイートする通りだ。
《それにしても、今更だけど、その場で記者から出る質問に1問も答えない(答えられない)首相なんているの? 要るの? 全部事前質問で、全部、原稿棒読みなんて、国の恥だろう。首相に求める水準、国民が下げすぎだろう。》
https://twitter.com/hiranok/status/1233733805539594240
この「情けない状況」をつくりだしているのは首相と記者なのだ。平川克美が指摘するように江川ひとりだけではなく、他の記者が声を揃えれば、記者会見はまた別の様相を帯びたのかもしれない。
《記者会見35分。ヤラセのような質疑が10分程度。「まだ質問があります」の声を背に、そそくさと逃げるように帰ってしまった。真っ当な質疑ができない首相と、真っ当な質問ができない記者。この情けない状況こそ断腸の想いである。》
《あの時、せめて、10人ほどの記者が、「まだ、質問があります」「聞きたいことがあります」と声をあげるだけで、記者会見は全く違うものになったはず。大手メディアの記者諸君、どうして、そんなこともできない。》
https://twitter.com/hirakawamaru/status/1233761126476738561
https://twitter.com/hirakawamaru/status/1233941896524730369
朝日や毎日はまだマシだなどと考えてはならないのだ。山崎雅弘のツイートするように両者もまた同じ穴の狢なのである。
《フジサンケイや読売、NHKに比べれば、朝日新聞毎日新聞「マシな仕事」をしているかのように見えるが、他の民主主義国のジャーナリズムを踏まえて俯瞰すれば、首相のヤラセ会見に加担して国民をだます片棒を担ぐ両社も同じ穴のムジナ。いざとなれば先の戦争と同じ態度をとる。今日それがわかった。》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1233749608230080512
マザー・テレサ語る」(早川書房)の翻訳者として知られている猪熊弘子は「記者クラブ加盟社」の加担を見逃さないし、保育関係の記事も例外ではないとツイッターで喝破している。
お手盛り「政府発表」に加担してるのは、他ならぬ記者クラブ盟社なのでは?
この数年、記者クラブを通した会見記事は政府広報ばかり。
保育関係の記事も例外ではありません。制度がそうなったら、現場がどうなるかがわからない記者がリリース丸写しにしてることが多くて、まるで政府の広報紙です。》
《本気でまともな記事を書きたい新聞記者の友人は、こぞって新聞社を辞めちゃいましたね。もちろん中で頑張ろうとしてる友人もいますが、現場を外されて記事を書けなくされたりとか、ひどい対応をされている人も多い。》
https://twitter.com/hirokoinokuma/status/1233900492859658240
https://twitter.com/hirokoinokuma/status/1233902063219859457
東京新聞労働組合によれば「八百長会見」だったのである。ここは主流派の組合ではないようだが、その指摘は鋭い。
《たった三十数分の記者会見で/開始から20分は一方的な演説。/その後、カンニング(事前に質問入手)/と思われる質疑応答が10分ちょっと。/内閣記者会は、こんな八百長会見が/読者・視聴者に見透かされてないとでも/思ってるのか?》
《記者会見は、演説会ではない。/「質問に端的に答えろ」/「長々と冒頭発言するな」/その2点を内閣記者会が詰めるだけでも/はるかにマシな会見になる。/なぜ、それすらできないのか?》
《質問通告がいけない理由。/基本的なことを聞かれて/為政者が自分の頭と言葉で/まともに説明できなかったときに/読者・視聴者は/「こんな質問にも答えられないのか」/「こんなことも知らないのか」/「こんな間違った認識してるのか」/と、知ることができる。/質問通告により、その機会は奪われる。》
《冒頭20分の首相演説の内容を/内閣記者会は事前に知らされてたのか。/ふつうに考えれば/冒頭演説の内容について/事前に質問通告しておくのは不可能。/通告外でも、その場で逐一質疑すべき。/なぜ、それすらしないのか?》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233706244713541632
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233708359607447552
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233711093857443846
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233716658650284032
東京新聞労働組合がツイートしているように「記者クラブ」が「記者クラブ」でありつづけるためには事前通告は欠かせないのだろう
《驚いた。/昨夜の首相の記者会見。/政府側は「約20分間」の予定と/記者会側に事前通告していたという。/そんな短時間の設定自体/内閣記者会は事前に/はね返しておくべきではないか。》
《結局、冒頭から首相の独演会で/20分間をまるまる消費され/幹事社を含む5人の記者の質疑は/はなから「超過時間」扱いされたのか。/で「だいぶ時間が過ぎてるから」と/官邸に仕切られ、30数分で強制終了。/質問者はまだ多数いたのに。/内閣記者会はいつまでこんな/ていたらくを続けるつもりなのか。
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233866966332428289
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1233873646038306817
毎日新聞記者の宮城裕也が呟いている。
《こんな「出来レース」会見を市井の方々が許すはずない…と信じたい。》
https://twitter.com/hiroyamiyagi9/status/1233914012233957376
その「出来レース」に毎日新聞も加担しているという問題に宮城が気づいている…と信じたい。
安倍演説が相当支離滅裂であったことは間違いあるまい。佐藤清ツイッターで指摘している。これは別に揚げ足を取っているわけではないが、どこか新聞は指摘したのだろうか。
《「今からの2週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くす」として「第2弾となる緊急対応策を今後10日程度」と聞いた際、うちの家族もこうテレビに突っ込んでた。「は?1週間から10日引いたら、マイナスでしょ?あんたは、『1週間に十日来い』の五月みどりか?」》
https://twitter.com/SavenSatow/status/1233900647482679298
安倍の発言を正確に引用すると「今からの1から2週間程」なのである。たしかに1週間だと10日を引くとマイナスである。
「殺人犯はそこにいる」の清水潔がツイートしているように「記者クラブ」メディアに巣食う記者たちの実態もまた今回の首相記者会見で露わになったのである。
《予定調和の質問と、用意された回答の棒読み。その後はもう食い下がらない記者たち。そして数名で「時間だ」と質問打ち切り。終了。
毎日、官邸でどんな記者会見が行われているのかが日本中に知れ渡った。そういう意味では良い中継でした。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1233691173174165504
安倍首相は3月2日の参院予算委員会蓮舫議員議員の質問に答えて堂々と言っている。
《やり取りはあらかじめ質問をもらってる、誰に当てるかは広報が決める》
https://twitter.com/ggzhmru2/status/1234369031613767680
清水潔は「日本のメディアはまた大きく信頼を失った」とツイートしている。
《権力とジャーナリズムの関係。そして記者クラブの問題については、もう40年間ぐらい指摘してきた。だが一向に改まらないどころか年々悪化してきた。そのツケが今日の問題を産んだ。国会であっさりと総理の口から晒された記者会見の実態は国民には驚異だ。日本のメディアはまた大きく信頼を失った。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1234403973974478851
中林香ではないが「日本の報道」は当てにできないのである。
《記者会見で首相がほとんど中身のない、具体的でもないスピーチをするのは予想してた通りでしたが、今この状況になっても記者が事前に質問を知らせて、首相が回答の原稿を読むという緊張感の無さと問題意識の低さは驚くべきものであるし、日本の報道をあてにはできないという明確な証拠でもあると思う。》
https://twitter.com/kaokou11/status/1233695038598795265
安彦良和戦争と平和」(中公新書ラクレ)の杉田俊介がツイートしている。
《あの会見を見て怖くならない人って、どういう心理なんだろう。新型コロナよりも安倍政権のほうが怖いし、デマを信じる人と同じくらい安倍の言葉を信じる人が怖いし、転売屋よりも国家と公共を売りさばく連中の方がずっと怖い。》
https://twitter.com/sssugita/status/1233735122236477440
NHK記者の立岩陽一郎が「YAHOO!ニュース」に3月2日付で「新型コロナウイルス拡大防止の総理会見を茶番劇にした官邸と官邸記者クラブの愚」を発表している。
《更に言えば、これはもう記者会見ではない。これは単なる演説会だ。質問に答えない記者会見を記者会見と呼んではいけない。官邸記者クラブの記者に言いたい。次からは「記者クラブ主催総理演説会」と名称を変えた方が良い。そうでなければ、記者会見を本物の記者会見、つまり権力者と取材者との真剣勝負の場に変えなければいけない。この未曾有の事態に際して人々を茶番劇には付き合わせてはいけない。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20200302-00165551/
毎日新聞の公式アカウントによる3月1日のツイート。
《突然の休校要請について国民の理解を得るために開いたはずの会見の場でしたが、安倍首相は疑問に答えきるには至りませんでした。》
https://twitter.com/mainichi/status/1233874588460732416
朝日新聞の三浦英之がリツイートしてアドバイスしている。
《「答えきるには至りませんでした」なんて日本語あるんでしょうか。為政者に気など使わず「ほとんど答えませんでした」でいいのではないでしょか?》
https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1234111488119304192
「答えきるには至りませんでした」という変な日本語を使ってしまうことで、政治に忖度する「記者クラブメディアの尻尾を出してしまったというわけである。

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

小学館は「コロコロコミック」を3月2日から、児童誌としては異例のバックナンバー無料配信を開始した(兄弟誌「コロコロイチバン!」は3月9日から配信予定)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000578.000013640.html
少女誌「ベツコミ」も無料配信する。
https://www.oricon.co.jp/news/2156518/full/
いや「ベツコミ」だけではなく、「Sho-Comi」「Cheese!」「ちゃおデラックス」「ベツコミ」「プチコミック」「月刊flowers」の6誌を無料公開する。
https://csbs.shogakukan.co.jp/campaign?id=2003-e9e3d23d45781432
集英社は「週刊少年ジャンプ」のバックナンバー(2020年1号~13号)を無料配信を開始した。漫画アプリ「少年ジャンプ+集英社の総合電子書店「ゼブラック」で配信し、「週刊少年ジャンプ」を10冊以上一度に無料公開するのは初の試みとなる
https://www.oricon.co.jp/news/2156532/full/
で、講談社は?というと---3月2日14時15分の段階で何の発表もない。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2003/01/news023.html
広報室が機能していないから、こういうことになるのである。講談社の広報室に「公聴」機能はない。昔はあったのに!

野田秀樹が3月1日付で「意見書 公演中止で本当に良いのか」を発表した。
《コロナウィルス感染症対策による公演自粛の要請を受け、一演劇人として劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。
ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません。もちろん、感染症が撲滅されるべきであることには何の異議申し立てするつもりはありません。けれども劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません。
現在、この困難な状況でも懸命に上演を目指している演劇人に対して、「身勝手な芸術家たち」という風評が出回ることを危惧します。公演収入で生計をたてる多くの舞台関係者にも思いをいたしてください。劇場公演の中止は、考えうる限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべきです。「いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません。」使い古された言葉ではありますが、ゆえに、劇場の真髄をついた言葉かと思います。》
https://www.nodamap.com/site/news/424

◎ディズニーランド&ディズニーシーは2月29日から3月15日まで臨時休園している。
https://www.oricon.co.jp/news/2155913/full/

東京新聞は3月2日付で「<新型コロナ>習氏、来日延期へ」を掲載している。
《日本と中国両政府は四月で調整している習近平・中国国家主席国賓来日を延期する方向で検討に入った。複数の日本政府筋が一日、明らかにした。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202003/CK2020030202000156.html

◎「NHK NEWS WEB」は3月1日付で「大相撲春場所 無観客で開催へ 力士感染なら中止も」を公開している。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本相撲協会は臨時理事会で、今月、大阪市で予定されている大相撲の春場所について「社会全体で感染拡大を防いでいることなどを勘案した」などとして、観客を入れずに開催することを決めました。相撲協会は、今後、力士などに感染者が出た場合は場所の途中でも中止にする方針です。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200301/k10012308621000.html

◎「AsageiBiz」は2月28日付で「椎名林檎、『東京事変』ライブ“決行”に戸惑うファンと飛び交う“賛否両論”」を公開している。
椎名林檎率いる5人編成ロックバンド「東京事変」が、2月29日と3月1日に予定していた約5000人収容の東京国際フォーラム(ホールA)のライブを強行開催すると発表。しかし26日の政府の要請以降、約2週間のライブイベントなどが全国各地で延期や中止になっている中、さすがに疑問を呈する声が殺到している。》
https://asagei.biz/excerpt/13309
さすが「選ばれざる国民」である。これ新曲のタイトル。もっとも椎名林檎の実態は「選ばれた国民」である。「女子SPA!は2月28日付で「椎名林檎東京事変、ライブ決行は無責任?カッコいい?」を公開し、次のように書いている。
《とはいえ、椎名林檎が『東京2020オリンピック・パラリンピック』の「4式典総合プランニングチーム」の一員であることに引っ掛かる人もいるかもしれません。つまり、東京五輪の中枢にがっつり入り込んでいる人物がすすんで“自粛”しないでどうするんだ、とツッコまれる可能性ですね。なかには、“論功行賞の特例で許されたんじゃないか”なんて考える、疑い深い人もいるんじゃないでしょうか。》
https://joshi-spa.jp/989820
元「SWITCH」編集長の内田正樹が呟いている。
東京事変、再生。あらゆる意味で記憶に刻まれた2020年の閏日。》
https://twitter.com/uchdmski/status/1233764878298447872
アンコールはなかったと聞くが、この東京国際フォーラムにおける東京事変の2日間にわたる「復活」コンサートが語り継がれることになるのは間違いあるまい。サンケイスポーツは2月29日付で「決行の東京事変ライブ、マスク姿のファンでほぼ満員 8年ぶりに再始動」を掲載している。
《会場の出入り口では、マスクとビニール手袋を着けたスタッフが消毒液を持って立ち、来場者を送り迎えした。チケットの払い戻しにも応じると事前告知していたが、会場はマスク姿のファンでほぼ満員。MCやアンコールはなく1時間半にわたり代表曲「群青日和」「能動的三分間」などを熱唱した。1日も同所で行われる予定。》
https://www.sanspo.com/geino/news/20200229/geo20022923110026-n1.html

毎日新聞が3月1日付で掲載した「松尾貴史のちょっと違和感 『コロナかかってる人いないよね』 ネットに投稿増殖、税金でやらせ?」によれば、「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね笑 噂の力ってすごい」という一語一句違わないコピペ章が若い女を装って投稿され、拡散されたそうだ。
https://mainichi.jp/articles/20200301/ddv/010/070/012000c
津田大介が指摘しているように「業者にやらせてる疑いが濃厚」なのではあるまいか。
https://twitter.com/tsuda/status/1231794566027599874

◎この2月29日に投稿されたドラッグストアで働いている「tama」のツイートは3月2日午前9時50分現在、33.1万のリツイート 58.8万の「いいね」を聞くしている。ツイートには、こうある
《ドラッグストア店員の思いです。
私たちも同じ人間です。
ありがとう、頑張ってねが一個でもあれば良いのに。
すみません、申し訳ございませんばかりで疲れました。》
このツイートに次のような長が添付されているのである。
《現在、コロナウイルスに感染し、闘病している方々が回復に向かうこと、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
現在、コロナ問題で毎日ニュースが流れ、感染者・死者が出るたびに、恐怖が煽られています。私はコロナウイルス の専門家でも医者でもありません。ただのドラッグストア店員です
12年勤めてきて、良い時も悪い時もありましたが、楽しく勤めてきた仕事だったのに。1.5カ月前。まさにコロナにより、マスクの供給不足となった頃から毎日毎日同じことを聞かれて、あげくキレられたりと増えてきました。
「マスクの入荷はいつ?」
「いつもないじゃない!」
「病人がいていつも買えないのに、1個くらい取り置きしてよ!」
今まで笑顔だったお客様が、全員鬼に見えます。
購入数量の規制もかかり、多く持ってきた方に説明すれば、不服そうに句を言われます。
だけど「申し訳ありません」「すみません」と頭を下げます。きっと、「ありがとうございます!」よりも「すみません」の方が割合が多くなり、正直、ノイローゼ気味です。
電話もよく鳴るようになりました。
「在庫聞きたいんですが」
「いつなら入る?」
電話が鳴るたびにストレスです。
実際、マスクの入荷日には列が半端なく、レジスタッフも今までにない状況に過呼吸や貧血を起こす人も出ています。
そして、2日前から急に、今度はペーパー・生理用品・ベビーおむつまでも買い溜めする方が増えました。
ずっとレジから離れられない状況で、いつもの日常業務もまったくできなくなりました。
そして、また始まるのです。
「いつ?」「なんで?」など、数量も規制がかかり説明するたびに「これも?!」と。頭を下げる日々です。
ドラッグストア店員としては、コロナよりも怖いのは人間だと思います。
目に見えないものより、目に見える人間が怖いです。
優しかった人々が、殺気立って、とにかくイライラをぶつけてきます。
よく考えてください。医者も研究者も頑張ってます。マスク業者も頑張ってます。店員だって、今までの人数でひたすら頑張ってるんです。
ペーパー類なんてデマ情報に流され、買い込むから品薄になるんです。自分たちの首を自分たちでしめてるだけです。
家にこもるなら、ペーパーがなくてもシャワーで洗い流すなりできます。生理用品だって、10個も使いますか?布ナプキンだってあります。
少し落ち着いてください。
謝ることに疲れました。
私はウイルスよりも、人間が怖いです。ストレスで、声をかけられるとビクッとし、またマスクだ。消毒だ。と恐怖です。
会社からも「何度同じことを聞かれても、対応は優しく丁寧に」と言われました。
ですが、考えてみてください。同じことを作業を止められて毎回聞かれて、最後は「すみません」と謝るんです。1回、2回じゃなく、何十回と。
疲れます。とにかくノイローゼになります。
どうか落ち着いてください。それを願うばかりです。》
https://twitter.com/tama_punpa/status/1233431441737826304
「ドラッグストア店員としては、コロナよりも怖いのは人間だと思います」にはドキリとさせられる。「BuzzFeedNews」は3月1日付で「『コロナよりも怖いのは人間だった』。ドラッグストアの店員が語る恐怖の体験」を公開している。
《そして、消費者の不安や怒りの矛先が、落ち度はない各店舗の店員に向かうという構図が生まれているようだ。》
https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/corona-drugstore?bffbjapan&utm_term=4ldqpgp#4ldqpgp
こういうネタを週刊誌系のオンラインメディアがいち早く紹介できるようになれば良いのだけれど。まだまだ出版社はインターネットの世界ではスピードが足りないのである。

◎「EnterpriseZine」は2月28日付で「サブスクリプションビジネスで成功する方法──Zuora 日本社長に聞く」を公開している。Zuora日本法人社長の桑野順一郎が次のように語っている。
《日本法人設立から6年目に入りましたが、The Financial Times、The Daily Telegraph、The Guardianなど、英米主要メディアのほとんどがZuoraを使っているものの、日本のメディア企業の導入はそれほど進んでいませんでした。けれども、ダイヤモンド社が新サービスの「ダイヤモンド・プレミアム」を提供するにあたり、Zuoraを採用するなど、ここに来て変化の兆候が見え始めたと感じています。》
https://enterprisezine.jp/article/detail/12701

◎「YAHOO!ニュース」が公開した花田紀凱の「毎日新聞の広告拒否」が削除されてしまっている。
《月刊『Hanada』1月号(11月26日発売)は上念司さんの「拝啓朝日新聞様 謹んで訂正致します」、総力大特集「在寅の『反日種族主義』」などが好評で、売れ行き好調だったから追広を出すことにした。 すると毎日新聞だけが断ってきた。》
てな、内容の記事であったようだ。
YouTubeの「花田紀凱[月刊Hanada]編集長の『週刊誌欠席裁判』」が公開している「『毎日新聞』が『月刊Hanada』の広告掲載料をいきなり7倍で吹っ掛けてきました。」は視聴できる。「月刊Hanada」は毎日新聞の広告掲載料を50万円から350万円に値上げされたそうである。
https://www.youtube.com/watch?v=FtlHMg9xN7w
商売としては「月刊Hanada」のほうが真っ当なのではないか。花田さん、オレんところは表4でも良いですよ。是非、ご出稿のほど何とぞ宜しくお願い申し上げます。

手塚治虫化賞の「マンガ大賞」の候補作が発表された。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14382496.html
リイド社から三島芳治の「児玉まりあ学集成」と高浜寛の「ニュクスの角灯」がノミネートされている。本命は「鬼滅の刃」で、対抗は「ニュクスの角灯」なのではないか。対抗が意外に強いかもしれない。高浜はプロが憧れる作家だと思う。何しろマルグリッド・デュラスの「愛人 ラマン」を漫画化してしまうんだもの。デュラスはアラン・レネ二十四時間の情事」(ヒロシマ・モナムール)の脚本家である。
http://to-ti.in/product/nyx
http://to-ti.in/product/lamant
高浜寛のマンガに登場するアイテムで読み解く19世紀末展」が熊本市現代美術館で開催されているが、コロナウイルス感染拡大防止のため閉館になってしまった。
https://www.camk.jp/blog/3564/
「愛人 ラマン」はフランス語版も出版されている。高浜はフランスの「CNEWS」のインコビューに応じて次のように語っている。
《Apres avoir lu ce roman tres jeune, il y a eu des moments de ma vie ou je me suis sentie proche de ce roman. D'abord, parce que moi aussi j'ai eu des problemes d'addiction a l’alcool, des relations amoureuses difficiles et j'ai ete confrontee au racisme. J’ai eu une relation amoureuse avec un coreen du Nord lorsque j'etais plus jeune. Nous etions obliges de nous cacher, sa nationalite etait un frein social a notre amour, je ne pouvais pas le presenter a ma mere par exemple.》
https://www.cnews.fr/culture/2020-02-04/kan-takahama-propos-de-lamant-jai-pu-marcher-dans-les-pas-de-marguerite-duras
ちなみに高浜は女性であり、差別と直面した経験があるということである。しかも、アルコール依存症の経験もある…。「草」のキム・ジェンドリ・グムスクと高浜寛の対談を企画するメディアはないのだうか。

◎CCCメディアハウスから赤松利一の「下級国民A」が刊行された。プロフィールからして魅力的だ。
《1956年、香川県出身。関西大学学部卒業後、大手消費者金融会社に入社。上場準備の激務をこなした結果、燃え尽き症候群なり、30歳を前に退社。35歳でゴルフ場の芝生管理の仕事で起業。年収は二千万円を超えたが、精神病を患った娘とともに暮らす生活の中で会社が回らなくなり、仕事も家庭も破綻。
2011年の東日本大震災後、宮城県で土木作業員、福島県で除染作業員を経験する。所持金五千円で上京した後は、風俗店の呼び込みなどで食いつなぎながら「住所不定」の生活を送り、漫画喫茶で書き上げた『藻屑蟹』(徳間書店)で第一回大藪春彦人賞を受賞する。
著書に『鯖』『犬』(徳間書店)、『ボダ子』(新潮社)、『純子』『らんちう』(双葉社)、『女童』(光社)など。2020年、『犬』で第22回大藪春彦賞受賞。》
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000394.000011369.html
う~ん、女性からモテるタイプだよなぁ。

◎「漫画家 忠津陽子ぬりえBOOK」が双葉社から発売された。1300円+税。忠津陽子は「別冊マーガレット」などで活躍した作家である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000014531.html
大久保の「spicy curry 魯珈」の店主の母親が忠津陽子だ。
https://spicycurryroka.jimdofree.com/
https://twitter.com/erichincurry/status/1233368204841324546

◎「ITmediaNEWS」は2月29日付で「『フジフイルムPV炎上』のモヤッと感を整理する」を公開している。
《2月上旬、富士フイルムのカメラ「X100V」のプロモーション映像として、同カメラを用いた鈴木達朗氏によるインタビューと、それに付随してストリートスナップ撮影の模様が公開された。こストリートスナップの撮影状況が、迷惑行為であるとしてネットで炎上、公開動画が削除されるに至った。》
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/29/news016.html
鈴木達朗はドイツの老舗写真集出版社Steidlの「Steidl Book Award Japan」でグランプリを受賞している写真家だ。
https://store.tsite.jp/item-detail/art/18016.html
わが国で人気のソール・ライターもまたストリートスナップの写真家である。小学館から今年1月に刊行された「永遠のソール・ライター」は発売即重版となった。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682325
ただし、Bunkamura ザ・ミュージアム「永遠のソール・ライター」展は感染拡大防止で中止となってしまった。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/

克・亜樹の「ふたりエッチ」のコミックス第80巻が白泉社から発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000046848.html
特別編集の電子書籍「ふたりエッチ 80 Selections」が2月28日から5月17日の80日間限定で無料閲覧できる。
https://bit.ly/2SPVlSA

川崎昌平の「重版未来 表現の自由はなぜ失われたのか」(白泉社)が東京堂書店一階の新刊平台に積まれていた!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000157.000046848.html
荻窪の「Title」もツイッターで紹介している。
《いま起こっていることを未来へと引き伸ばしてみれば、ここで描かれる、出版に起こるディストピアも実感をもって迫ってくる。表現の自由とは何か、架空の出版社・漂流社の(いつもはほのぼのとした)面々が、その身をもって問いかける。川崎昌平『重版未来 表現の自由はなぜ失われたのか』(白泉社)》
https://twitter.com/Title_books/status/1233976693666152450
川崎自身も呟いている。
《最近の「表現をとりまく日本の現状」について、息苦しさや苛立ちや怒りや不安を感じる人には、ぜひ読んでもらいたいと思っています。》
https://twitter.com/shouheikawasaki/status/1232318042970832896

島田雅彦がツイートしている。
《緊急事態の収束に最も有効なのは安倍が辞めること。緊急事態宣言を出して、防疫失敗を隠蔽すれば、状況はさらに悪化し、経済はドン底、世界からも総スカンを喰らい、