【文徒】2020年(令和2)11月17日(第8巻213号・通巻1870号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】ツイッターに垣間見る当世讀賣新聞記者気質
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.11.17 Shuppanjin

1)【記事】ツイッターに垣間見る当世讀賣新聞記者気質

讀賣新聞NHKの記者を経て、現在、コンサルの仕事をしているという島契嗣が呟いている。
《読売新聞記者ってTwitterで一切姿を見せないな(笑)》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1328000506170544128
産経新聞記者・三枝玄太郎が島を引用ツイートしている。
《読売の横浜総局の記者が他社の記者と口をきいたことを理由にぶん殴られたって噂をかれこれ15年くらい前に聞いたことがあるんですが、そんなことあるんでしょうか。確かに読売の記者は付き合い悪い印象があるにはありますが(笑)》
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1328008690453028864
三枝を「限界マスコミのアライさん」が引用ツイートしている。
《読売記者、アライさん周りでは飲み会にも普通に参加してるのだ。支局にいた時、じちょーとソリが合わず退社する弊社同期の送別会を県警クラブの各社若手記者で開いて料理が並んだところで殺人事件勃発し、一番先に読売記者の携帯が鳴りその後辞める彼以外全員呼び出され…という地獄絵図があったのだ。》
https://twitter.com/arai3media/status/1328015124536258560
三枝がリプライ。
《公式な飲み会には来るんですけどね。突っ込んだ話はなかなか本音を見せないというか(笑)》
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1328015672102637568
「限界マスコミのアライさん」が同意する。
《あ、それはあるのだ。付き合い悪いというか、基本忙しいのだ?張り番とか。突っ込んだ話…そういえば社の組織批判とかナベツネ批判とかには同調してこないかも…なのだ。》
https://twitter.com/arai3media/status/1328017453754904576
島が三枝に応じるカタチで讀賣新聞時代の経験談をツイートしている。
《RT たしかに「他社とつるむな」「他社の同期と飲むくらいなら商店街のおっさんと飲め」みたいに言われてましたね。他社の記者と付き合うこともあまりよしとされてなかった記憶(実際にはゴールインするカップル多し)。まぁ、情報管理の観点で懸念するのは当然と思いつつ、自由恋愛ですよね。昔の話。》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1328009603427172353
三枝も島を引用ツイートしている。
《初めて疑問氷解。ありがとうございました。先日、読売のOBの方とお話しする機会があり、とても理知的でフレンドリーだったので。ただ「ナベツネって最低だな~」って昔、ある記者にカマをかけたら「私は一兵卒なので存じ上げません」と返された時は吹いた。少なくとも産経の記者よりは脇が固い(笑)》
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1328010602480955392
島は更に呟いている。
《商店街、帝国データバンク、商工会議所の各おじさんと飲むことをやたら推奨する読売の化、つよい。まちがってない。圧倒的に正しい。帝国データバンクから、捜査2課の動きを把握し汚職をスクープした例はいくつもある。すごい。》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1328010252382474246
三枝玄太郎が次のような連ツイを発表している。
《大阪国税局の担当だった時、ある日、知らないおっさんが記者クラブのソファで陣取っていた。「あの人、誰ですか」って広報室に訊いたら「読売の〇〇さんですわ」と。僕も国税記者ですっごい強かった記者だとは聞いていたんですが、オーラが凄くて(笑)》
《あとで読売の記者のCくんが(彼は読売で珍しい中途入社でめちゃくちゃ強かった)「『Cよ、お前が抜かれるんが、ワシ、嬉しいんや、ちょっと顔見よと思ってな』って言われた」って青い顔して言うんで、笑ってしまった。》
《それから数日後に読売さんから「転職」のお誘いがあった。かなり破格だった。熟慮の末、お断りした。理由は、「お前に読売は無理だ」と相談した3人のうち、3人とも答えたこと。産経ですら浮いている僕が、規律正しい読売で、やっていけるわけがないという至極ごもっともなお答え。》
《1人が言うには「多分、読売さんは君を破格で『最初は』迎えるだろう。本当にそのポストに就けてくれるだろう。でもその後はどう? あの会社は事件で負けたら、めちゃくちゃ厳しいだろ。中途の君がもし負けが込んだら、どんなこと言われるか分からんぞ。》
《ただでさえ、そのポストは記者だったらやってみたいポジションだろ。妬まれて恨まれていじめられるぞ」
 何だか、社内で総スカンを食らっている自分が頭に浮かんでしまい、巨人軍に移籍した他チームの名選手が干されたりしているのもオーバーラップしてしまった。》
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1328151619205099520

https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1328153452967444481
オレも東京タイムスなる新聞社の営業本部に陣取っていた時代がある。まあ、そこで中川六平に知り合ったわけですよね。

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2)【本日の一行情報】

◎マガジンハウスは、「中居正広のニュースな会」(毎週土曜ひる12時~テレビ朝日系)で生まれた絵本「♪ピンポンパンポンプー」(監修・中居正広、キャラクターデザイン・劇団ひとり、脚本・古市憲寿)を11月26日に発売する。書店からの予約注が殺到し、発売前に何と4回の重版が決定し、累計発行部数は10万部を突破した。
古市憲寿による「絵本の下絵となった原画」と「手書きメッセージ」のデータを希望する書店に無料で配信することを11月14日の同番組放送で告知している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000030125.html
三洋堂書店大田川店(愛知県東海市)がツイートしている。
《#ピンポンパンポンプー の原画POPが書店に
ありがとうございます!
#古市憲寿 先生 いつも地方書店員の心を汲んで頂いています
たくさんの人に絵本を届けたいと思います!》
https://twitter.com/sanyodo_otagawa/status/1327469728655241217

東浩紀のツイート。
《震災からまもなく10年が経とうとしているけど、この10年で日本が何をしたかと振り返ると、ちょっとびっくりするぐらい何もしていない。ただひたすら各種指標が悪化していくだけ。それなのに、来る20年代には人々が心を入れ変えて「変わる」とは、とても予想できないのです。いいとか悪いとかではなく。》
https://twitter.com/hazuma/status/1327916554365718529
「保守」が後退し、「反動」が席巻した結果かもしれない。

毎日新聞は11月14日付で掲載している「#全集中!『鬼滅の刃』考『非王道』漫画はなぜ時代をつかんだのか エンタメ学者が説くヒットの法則」(後藤豪)で、「ボランティア社会の誕生~欺瞞を感じるからくり~」(三重大学出版会)の著者であり、現在は総合エンターテインメント企業「ブシロード」で執行役員をつとめる中山淳雄にインタビューしている。中川は、こんなことを語っている。
鬼滅の刃の焦点は、完全に「家族」ですよね。内にこもった感じがある。強さも求めてはいるんだけど、そこにあまり焦点を当てていない。戦う相手の事情なんかも描いて、慈しみながら、浄化していくような。「戦い」というより、みんなの中のこだわりとかわだかまりを解消していくような物語だな、と私は感じたんですよね。
《それから、作者の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんが女性だからかもしれませんが、女性キャラがちゃんと一人間として描かれていて、全然添え物ではない。心情描写もそうですし、身体的にも、(鬼殺隊幹部「柱」の一人である)胡蝶(こちょう)しのぶが、力では負けるけど毒で倒すとか、リアルに描かれている。これも非常に印象的です。》
https://mainichi.jp/articles/20201113/k00/00m/040/298000c
「家族」を焦点にし、女性キャラがしっかりと描かれることがコロナ禍にある情況とものの見事に同調し、配信アニメでブームに火がついたという側面は確かにある。

◎ロイターは11月13日付で「フジテレビ社員逮捕」を配信している。もともとは共同通信の記事である。
《自転車で追い抜きざまに女性の胸を触ったとして、警視庁麻布署が東京都迷惑防止条例違反の疑いで、フジテレビの男性社員(35)を逮捕していたことが13日、同署への取材で分かった。逮捕は11日付。署によると容疑を否認している。13日夜に釈放された。》
https://jp.reuters.com/article/idJP2020111301002179
当初は実名報道されていた。
https://twitter.com/yorozya_1/status/1327192658754748416

毎日新聞が11月15日付で掲載している「#排除する政治~学術会議問題を考える『イエスマンの集まりになったら国は滅びる』中島秀人・東工大教授」(五味香織)で、「ロバート・フック ニュートンに消された男」(朝日新聞出版)や「日本の科学/技術はどこへいくのか」などの著書で知られる科学技術史家・東京工業大教授の中島秀人は次のように語っている。
《政府は、日本学術会議が成立して10年もたたない1950年ごろから、その批判機能を少しずつ奪ってきました。次は組織を潰す話になるのではないかと思っていたら、行政改革の対象にするという話になりました。予想通りというか、ここまできたかという思いです。》
《政治と学術は、一定の距離感がないといけないと思います。よく言われることですが、自分をきちんと批判してくれる人を身近に置いておくことは、リーダーにとって大事です。取り巻きがイエスンの集まりだったら国が滅びます。》
https://mainichi.jp/articles/20201114/k00/00m/010/119000c

朝日新聞デジタルが11月9日付で掲載している「学、漫画…すべてフランス 500冊集めたカフェ」(島崎周)は福岡市中央区谷1丁目にあるブックカフェ「Nautilus(ノティリュス)」を紹介している。
《フランスのシャンソンやラジオが流れる店内には、「星の王子様」「海底二万里」「ルパン、最後の恋」「おばけのバーバパパなど、フランス人作家の作品が並ぶ。「不便でも気にしないフランス人」「嫁はフランス人」といったフランスにちなんだ本も。学、歴史、人学、芸術、漫画、料理、児童書など、分野別に500冊ほど。8月にオープンした。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNC943T6NC5TIPE00T.html
店名は「海底二万里」に登場する潜水艦の名前だ。

◎オレなんかの色分けからすると宇野重規という政治学者は「保守反動」に分類されるのだが、官邸からすると真逆の評価なのだろうか。東京新聞は11月14日付で「【独自】学術会議人事、2年前にも東大の宇野教授を任命拒否 官邸、理由示さず難色」(望月衣塑子)を掲載している。
日本学術会議の会員候補が任命拒否された問題で、6人のうちの1人、東京大の宇野重規教授(53)が2018年10月の会員補充人事でも、官邸側に任命を拒否されていたことが、学術会議関係者の話で分かった。官邸側が特定の候補者を指定し、会議側に繰り返し難色を示していた実態が判明、政治による恣意的な人事介入だとの批判が改めて強まる可能性がある。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/68282
内務省」政治が復活しているのだろうか。
朝日新聞の11月14日付書評面で宇野重規はスティーブン・グリーンブラットの「暴君 シェイクスピア政治学」を取り上げて次のように書いている。
《暴君が勝利するように思える時代もある。が、最後は抑圧されても消えない人間的精神によって暴君は倒される。皆がまともさを回復する最良のチャンスは、普通の人々の政治活動にあるという結論が重い。今こそシェイクスピアを読み直すべきかもしれない。》
https://book.asahi.com/article/13927977
そう「普通の人々」が問われているのだ。

石橋湛山賞琉球大学准教授・山本章子の「日米地位協定ー在日米軍と「同盟」の70年ー」に決まったことは既報の通りだが、こんな事件が琉球大学で起きていた。「BuzzFeedNews」は11月13日付で「【独自】国に対して批判的? 琉球大、日米地位協定めぐる准教授コメントの一部を修正要請」を発表している。
日米地位協定に関する著書で「石橋湛山賞」を受賞した琉球大学の山本章子准教授が授賞式で述べたコメントについて、大学側が同大ホームページに掲載する前に、国に対して批判的な言の一部の修正を求めていたことが、BuzzFeed Newsの取材でわかった。
山本准教授は「研究には問題提起をする役割がある。忖度するべきではない」と批判しているが、大学側は「掲載前の記事については答えられない」としている。》
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/ryukyu-univ
「忖度の輪」は大学も飲み込もうとしている。

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3)【深夜の誌人語録】

リーダーに必要なのは自らの間違いを認める勇気である。