【文徒】2020年(令和2)12月9日(第8巻228号・通巻1885号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】豊田章一郎理事長の豊田理化学研究所フェローが逮捕される!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】豊田章一郎理事長の豊田理化学研究所フェローが逮捕される!

産経新聞は12月7日付で「日本学術会議会員の男逮捕 下半身触る姿見せた疑い」を掲載している。
《商業施設内で自分の下半身を触り、その様子を女性店員に見せつけたとして、兵庫県警西宮署が県迷惑防止条例違反の疑いで、豊田理化学研究所フェロー、川村光容疑者(66)=名古屋市名東区を逮捕していたことが7日、県警への取材で分かった。川村容疑者は日本学術会議の会員。》
https://www.sankei.com/west/news/201207/wst2012070024-n1.html
スガーリン首相による学術会議任命拒否事件が起きていなければ、自分の下半身を触り、その様子を見せつけた容疑者が日本学術会議の会員であることを記事で果たして書かれたかどうか。ニュースバリューとしては豊田理化学研究所フェローであるということのほうが大きかったに違いない。
豊田理化学研究所は、豊田佐吉の長男でトヨタ自動車の創業者であ豊田喜一郎によって設立された。現在の理事長は豊田章一郎だ。産経新聞の記事は、そういう意味では「印象操作」(前首相は、この言葉が好きだったよね)の痕跡が見え隠れしている。そうした「印象操作」に産経新聞出身の三枝玄太郎は乗ってツイートしているのかもしれない。
《今、こんな事件を起こしたらどうなるのか、66歳にもなって分からなかったんですね。歪んだ性癖は恐ろしい。あれだけ左派メディアが大騒ぎしながら支持を得られなかった案件も珍しい。国の補助をゼロにするか、解散ってことでしょう、日本学術会議
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1336117215507095553
豊田章一郎の責任は追及しないのである。さすがプチ鹿島、彼は気がついている。
《これ、見出しのつけ方として興味深い。
9月までなら「日本学術会議会員」ではなく「豊田理化学研究所ェロー」だったろう。
朝刊で確認したらやはり「豊田理化学~」だった。
つまりネット用。》
https://twitter.com/pkashima/status/1336074071356764160
ネット用であるし、夕刊フジ用である。
https://twitter.com/yukanfuji_hodo/status/1335973829093388288
上念司も「トヨタ」との関係は脇においてツイートしている。
《日本でも下半身の戦狼外交やってる奴がいた!日本学術会議とチャイナの関係はどうなってる?疑惑が深まった!w》
https://twitter.com/smith796000/status/1336109937961811970
むろん「GEISTE」のような評価も可能だろう。
《学術会議会員が本務の人なんかいないんだからこの見出しは政治的な意図しかないし、そもそもこの人は豊田理化学研究所フェローってことなんで、政府がもっと増やせと言ってた民間研究者だよな。なんだこれ。》
https://twitter.com/J_geiste/status/1336041187937959937
東浩紀が呟く。
日本学術会議、有名になったせいでこういう見出しに使われるようになったか・・・》
https://twitter.com/hazuma/status/1335950585862864896
これは早川タダノリ。
《昨日から出回っているニュースだが、産経は「日本学術会議会員の男」なる人間のジャンルを作りやがった》
https://twitter.com/hayakawa2600/status/1335982455883407374
リベラル系や左派系と目されるアカウントも豊田章一郎に関心はないようだ。右も左も関心があるのは日本学術会議なのである。
「ポップ・スピリチュアリティ」(岩波書店)の宗教学者・堀江宗正は、こんな風に推測している。
《警察発表で「日本学術会議会員の男」と出たとすれば、逮捕する時点でそれを知っていたか。普通はない。となると、研究者の不祥事が出たら、学術会議と関係がないか調べるようにという通達が産経新聞のなかにあるのか。》
https://twitter.com/NorichikaHorie/status/1336001467145064448
トヨタイムズでは取り上げないのだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎千葉雅也がツイートしている。
《人生はプロレスだな。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1336210609390538758
う~ん、含蓄がある。

◎メディア・ヴァーグが運営する自動車総合ウェブメディア「くるまのニュース」(編集長:横倉達也)は、2020年11月に月間ページビューが2億2000万PVと2018年4月の運用開始から2年8カ月で初の2億PVを超えた。また月間ユニークユーザー数も1200万UUを達成。日本の総人口1億2000万人で見ると、「10人に1人が見る自動車メディア」に成長した計算になる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000031435.html

毎日新聞は12月7日付で「今井絵理子さんの長男デビュー「強くなりたい」難聴レスラー、鍛えたボディー&ソウル」(福田智沙)を掲載している。
《先天性難聴で耳が聞こえない今井礼夢(らいむ)さん(16)=東京都=が7日夜、プロレスデビューした。三半規管が弱いためにマット上で重要な平衡感覚がつかみにくいが、厳しい練習を乗り越えプロテストに合格。鍛えてきたボディー(肉体)とソウル(魂)で「同じような境遇の方に勇気を与えたい」という挑戦が始まった。》
https://mainichi.jp/articles/20201205/k00/00m/050/215000c
母親は参議院議員で元「SPEED」メンバー今井絵理子だ。

◎「鬼滅の刃」ばかりではない。集英社は芸能アイドル誌も絶好調だ。産経新聞は12月7日付で「家でも『推し活』?…雑誌厳冬期に『男性アイドル誌』快進撃の理由」を掲載している。
集英社が発行している老舗雑誌「Myojo(明星)」は、1月~3月の1号あたりの平均印刷部数が22万6667部だったが、4月~6月は28万8333部、7月~9月は38万部を突破。同社によると、8月に発売された10月号は、通常版とミニサイズの「ちっこい版」を合わせて発行部数50万部に達したという。》
《平成30年にデビューした「King&Prince」(キング&プリンス)や、今年デビューした「SixTONES(ストーンズ)」や「Snow Man(スノーマン)」などの人気で、男性アイドル市場が盛り上がるなかでのコロナ禍。ライブやイベントの中止が相次ぎ、露出減に対するファンの飢餓感をアイドル誌が補った形のようだ。》
https://www.sankei.com/life/news/201207/lif2012070002-n1.html

◎イー・ガーディアンによる「SNS流行語大賞2020」が発表された。
第1位「StayHome / おうち時間」
第2位「アベノマスク」
第3位「アマビエ」
https://www.e-guardian.co.jp/info/2020/20201203.html
「新型コロナ」は、どこも流行語に入れていないけれど、これが今年最大の流行語ではなかったろうか。

朝日新聞デジタルは12月8日付で「電通・まつりさんの死から5年 母がいま気がかりなのは」(木村裕明)を掲載している。もう5年が経つのか。
《命日に届く朝刊の紙面作りが進むクリスマスイブの夕方。手記全を1面に載せると同僚から電話で伝えられ、とても驚いた。手記、しかも全が1面のトップ記事になることはめったにない。東京の夜景の写真とともにレイアウトされた印刷前の紙面イメージを見て、目頭が熱くなったことを覚えている。
掲載された手記は大きな反響を呼んだ。その3日後、電通は労働基準法違反容疑で書類送検され、石井直(ただし)社長(当時)が即日引責辞任を表明。日本企業にはびこる長時間労働の是正に向けた社会の関心は一気に高まった。》
https://digital.asahi.com/articles/ASND45SQ0ND3ULFA056.html

小学館集英社プロダクションは、2021年1月1日より米マーベル・コミックスとアメリカンコミックスの邦訳出版に関する新たな契約を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000340.000002610.html
https://books.shopro.co.jp/?news=shopro-books-2021-2020-%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%82%b3%e3%83%9f%e5%88%8a%e8%a1%8c%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%8a%e3%83%83%e3%83%97

KADOKAWAは、映画「滑走路」(KADOKAWA)公開の反響を受け、「歌集 滑走路」(角川化振興財団/KADOKAWA刊)と「歌集 滑走路」(角川庫)の重版を決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007854.000007006.html

◎「GQ JAPAN」は12月6日付で畠山理仁の「『政治系ドキュメンタリー映画』がおもしろいわけ」を公開している。原一男の「れいわ一揆」、大島新の「なぜ君は総理大臣になれないのか」、五百旗頭幸男、砂沢智史の「はりぼて」が公開された。畠山が言うようにこの三本すべて傑作だ。
《3作品に共通するのは「見たことのない政治」を濃縮してスクリーンに活写したことだ。どの作品も「これまで私たちが見てきた政治はなんだったのか」と深く考えるきっかけになる。
政治はもっとカラフルになる可能性を秘めている。しかし、その芽を摘んできたのは、政治を見てこなかった有権者ではないのか。》
https://www.gqjapan.jp/culture/article/20201205-michiyoshi-hatakeyama-movie

小学館の12月16日発売の生活情報誌「DIME」2・3月合併号の付録!お気に入りのアイテムがキレイに撮れる「LED照明付きコンパクト撮影ボックス」だ。こういう付録の「遊び心」は雑誌ならではの魅力である。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/07/news117.html
別になくても良いけれど、あれば楽しくなるという、これが付録の王道だ。宝島社の付録には「遊び心」がなく、それは純然たる商品なのだ。例えば宝島社の女性ファッション誌「大人のおしゃれ手帖」1月号のセブンイレブン売りの付録は「TABASA(タバサ)超音波式 コンパクト加湿器」。そりゃあ役に立つのだろうけれど、「遊び心」は、どこにも見当たらない。だから良いと判断する読者も多いのだろうけれど、オレは「DIME」だね。
https://youpouch.com/2020/12/07/725849/
雑誌って昔は夢を売るものだったのだけれど。

村本大輔ダイヤモンド社から12月16日に「おれは無関心なあなたを傷つけたい」を刊行する。話題になりそうだ。「ダイヤモンド・オンライン」にサワリの部分が紹介されているが熱い。私は、こういう熱気が嫌いじゃない。
https://diamond.jp/articles/-/256014
岩田温がツイートしている。
《本を出版するんですね。予約しました。だいぶ刺激的な本の予感。楽しみにしております。》
https://twitter.com/iwata910/status/1335428150663106560
村本本人がリプライ。
《ええええ!!!》
https://twitter.com/WRHMURAMOTO/status/1336211409500164096

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3)【深夜の誌人語録】

だいたいでいいんだよ、だいたいで。「だいたい」の素晴らしさに気がつきたい。