【文徒】2020年(令和2)12月15日(第8巻232号・通巻1889号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】今度の集英社は「チェンソーマン」!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.12.15 Shuppanjin

1)【記事】今度の集英社は「チェンソーマン」!

「多数決を疑う――社会的選択理論とは何か」(岩波新書)や「ミクロ経済学入門の入門」(岩波新書)で知られている慶應義塾大学経済学部教授の坂井豊貴は藤本タツキの「チェンソーマン」最終回をリリースと同時に読めなかったようである。
チェンソーマンの最終回なので、日付が変わってすぐジャンプを読もうとしたのに、アクセスが集中していて購入できない。いまからコンビニ行って紙の雑誌を買うのは少々面倒である。》
《ジャンプのサーバーは落ちているのだろう。私は読者としては「とっとと対処しろよこの野郎」と思うが、学者としては「月曜早々にジャンプを読みたい熱心な読者は、どうせ待たせても買う。そいつらのために対処しても利益は増えない」と思う。集英社は合理的。》
集英社鬼滅の刃で儲かっているのだから、どうかサーバーの強化くらいしてくれないだろうか。》
集英社、ダイナミックプライシングを導入したらいいと思う。例えば月曜日のゼロ時台だけはジャンプを500円にするとか(通常は290円)。集英社は儲かるし、500円を払ってでも読みたい読者はサーバー落ち無く読めるようになるし。まあ概ねwin-winである。》
《ジャンプが読みたすぎて、ツイッターの広告で出てくるヴィトンのバッグが炭治郎の柄に見える。》
https://twitter.com/toyotaka_sakai/status/1338141209735299075

https://twitter.com/toyotaka_sakai/status/1338149606035636224
チェンソーマン」は「週刊少年ジャンプ」での連載は終了するが、「少年ジャンプ+」で第二部の連載が開始されることが決まったし、テレビアニメ化も決まった。
《本日発売の週刊少年ジャンプに『チェンソーマン』最終97話がセンターカラーにて掲載中!アニメ化&第2部連載決定しました!読者の皆様の応援の御蔭でございます!引き続き、『チェンソーマン』の全てを楽しんで頂けたら嬉しいです!》
https://twitter.com/CHAINSAWMAN_PR/status/1338139111731777536
「ORICON NEWS」の「アニメ&ゲーム」は12月14日付で「漫画『チェンソーマン』第1部完結、第2部がジャンプ+に掲載へ TVアニメ化など新情報続々」を公開している。
《『週刊少年ジャンプ』で2018年12月より連載がスタートした同作は、チェンソーの悪魔・ポチタとともにデビルハンターとして暮らす少年・デンジが主人公で、親が残した借金返済のためド底辺の日々を送る中、裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つ『チェンソーマン』として蘇り、世の悪魔を狩るダークヒーローアクション。》
https://www.oricon.co.jp/news/2179155/full/
さて、坂井教授。次のようなアドバイスを受けた。
スマホアプリ版の方が入りやすかったりしますよ!》
https://twitter.com/peaceandwhisky/status/1338149178564755456
やがて坂井が喜びのリプライ。
《おおお、ほんとだ、入れました!! ありがとうございます。チェンソーマン読みます。これで眠れます。》
https://twitter.com/toyotaka_sakai/status/1338153901774630912
チェンソーマン」も「SPY×FAMILY」も林士平が編集を担当している。「青の祓魔師」も「ファイアパンチ」も「左ききのエレン」も林だ。
https://twitter.com/SHIHEILIN
林は「KAI-YOU」が10月12日付で公開した「『チェンソーマン』と現代のヒーロー像 『少年ジャンプ+』編集者・林士平 Vo.1」で「チェンソーマン」がヒットした要因について次のように語っている。
《世界的に最も大きなテーマのひとつである貧困が主人公の軸にあるのが一因のように感じています。デンジはめちゃくちゃ貧困層出身で、なんでもない普通の生活に憧れる主人公ですから、みんなが応援しやすいヒーローになっているのではないでしょうか。
近年のヒット作である映画『パラサイト』や『ジョーカー』も社会構造のなかでどうしても負のサイクルから抜け出せない人たちが主人公の話でしたし、貧困やそれに伴う分断は一時的なのものではなく、これからも長い間考えなくてはいけない大きなテーマになってくると思います。
デンジは教育も受けていないし、まともな生活もしていない。そんな主人公が少しずつ幸せになっていく様子を描くことで時代にマッチしたエンターテイメントになっているのかもしれません。》
https://premium.kai-you.net/article/281
何を隠そう、私も「チェンソーマン」の描く「階級闘争」のファンである。いずれにしても集英社はIPビジネスのコツを掴みつつあるのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎「ポケベル」と言っても今の若い連中は知るまい。「ポケベルが鳴らなくて」で友人の父と不倫してしまい、友人の家を壊してしまうヒロインを演じた裕木奈江のツイート。
《あのね、お仕事柄突拍子のないお話やSFなどは好みでもあり、表現の自由は守られるべきと思いますが、これだけ世界中が疲弊している時に根拠のない陰謀論を書かれるのはご遠慮いただきたいです。良かれと信じてなさっているのなら身分を明かし、被害が出たなら賠償する、それくらいの覚悟でやりなさい。》
https://twitter.com/nae_auth/status/1338212192513126400
裕木は高橋伴明の「光の雨」では永田洋子を演じていた。高橋の新作「痛くない死に方」が2021年2月20日より公開される。
https://itakunaishinikata.com/
撮影・照明は今井哲郎だ。

◎日本初のパワーサラダ専門店「ハイファイブサラダ」が監修した「パワーサラダレシピ」は、レシピ監修の西岡麻央のTV出演が相次ぎ話題となったが、第二弾となる「パワースープ&パワーホットサラダレシピ」が主婦の友社から発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001450.000002372.html

◎こんなツイートを発見。
《コロナ禍の教室換気の為、従来タイツが禁止だった公立中学校でも、タイツを認め始めている。しかし、未だ認めない中学校もあり、禁止の理由を聞いてみた→「寒さを感じるのは気の緩みで、気の緩みから、タイツをファッション目的で履くようになる」そうだ。実に不可解な精神論だ。》
https://twitter.com/modifyso1/status/1337698178703872000
テレビ東京の報道局出身の青木俊が引用ツイートしていたのだ。
《精神論が合理性に勝っちゃうこの国。またメチャクチャをしでかすぞ。開戦直前の昭和16年、日本の資源、産業など国力を分析し、米国と戦争すると確実に負ける、と結論した報告書を東條英機は一蹴する。「この報告には抜けている要素が一つある、精神力だ」。》
https://twitter.com/AokiTonko/status/1338246785345540096

主婦の友社が9月29日に発売した笹野美紀恵の「キレイをかなえる『しきじの娘』のサウナ美容」が、静岡の書店でランキング1位を獲得した。私は知らなかったが、静岡県の「サウナしきじ」は「サウナの聖地」と呼ばれ、元モデル、美容家の笹野は「サウナしきじ」の娘だという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001409.000002372.html
ここ、天然水の水風呂が有名のようである。
https://saunashikiji.jp/bath/
《薬草サウナから汗びっしょりで入る水風呂が最高すぎる
まろやかな水は今までにないものでした!!また来ます》
https://twitter.com/baseball_nk1977/status/1337668378853404674

◎元産経新聞秋田支局長の藤澤志穂子が世界化社から「釣りキチ三平の夢~矢口高雄外伝」を刊行する。毎日新聞は12月12日付で「『矢口高雄外伝』出版へ 元産経支局長、5年かけ本人らに取材 『生前に届けられず残念』 /秋田」(古川修司)を掲載している。
《著書では、矢口さんの幼少期からの歩みをたどり、自然と人間の関わりをテーマにした作品制作への思いや、漫画の地位向上に努めてきたことなどを、編集者や漫画家仲間らの証言も交えてまとめた。代表作「釣りキチ三平」などの原画がふんだんに使われ、矢口さんが地方と都会とのギャップに複雑な思いを抱き、貧しさや豪雪など農村の現実も取り上げた点にも触れた。》
https://mainichi.jp/articles/20201212/ddl/k05/040/138000c

毎日新聞は12月12日付で「『フィクションってことにしませんか』で炎上 プラットフォームメディア『cakes』 編集姿勢に批判」(待鳥航志)を掲載しているが、この記事が駄目なのは、浅野真澄に着目している一方で、ポインティの連載打ち切りの件に関しては知っていても目を瞑ってしまっていることである
《「フィクションってことにしませんか」。担当編集者からそんな提案を受けたライターが、連載中止に至るまでのやりとりの一部始終を公表した。多様な分野のコンテンツを集めて急成長したプラットフォームメディア「cakes(ケイクス)」の編集姿勢が批判にさらされている。中止になった連載企画は友人の自死を巡るノンフィクションで、ケイクスのコンテストで入選していた。ケイクスでは「炎上」が相次ぎ、編集長を交代させて立て直しを図っていた矢先に、今回の連載中止が明らかになった。ケイクスで一体何が起きているのか。》
https://mainichi.jp/articles/20201211/k00/00m/040/387000c

◎光社の女性ファッション誌「VERY」は、2020年のコロナ禍に出産したママとパパを応援するためにオンライン「VERY児童館」をスタートする。第1回目となるオンラインイベントでは、赤ちゃんとの生活が楽しくなり、ママの息抜きとなるようなテーマとして「初めてのクリスマス!頑張らなくても映えるクリスマス写真の撮り方」をメインに、12月18日(金)10時より、オンライン会議システム「Zoom」を使い開催する。
https://veryweb.jp/kids/140436/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000684.000021468.html

中日新聞12月12日付「大波小波」の「もう死んでいる…」は古井由吉を取り上げている。
《…彼の学の本質は、いま現在を自分は「もう死んでいるのではないか」との目で見る「現在における死後」だ。生者と死者の二重の立ち位置こそが、現(うつつ)と幻(まぼろし)の作風の根源である。古井は死者の眼差しによって、確固たる自己の存在基盤を確立した。もちろん彼の「現在における死後」の根拠には、幼いころの恐怖と不安の空襲体験がある。》
https://www.chunichi.co.jp/article/169216
どちらかといえば小説を苦手とする私だが古井の作品は好きだった

白泉社が運営する総合エンタメアプリ「マンガPark」が800万ダウンロードを突破。
これを記念して、「花とゆめ」の名作1300チャプター以上が無料で読めるキャンペーンを実施している。あわせて、「花とゆめの歴史を彩る作家たちの作品特集も公開する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000387.000046848.html

毎日新聞は12月13日付で「互いを尊重する社会を目指すには--台湾の『天才大臣』オードリー・タン氏が語る」を掲載している。
《「台湾では離島でも山間部でも、月額499台湾ドル(約1800円)で高速インターネットに接続できます。ネットで政治に参画する仕組みを作れば、4年に1度(の選挙)だけでなく、いつでもどこでも政治に対して意見を言えるようになります」
台湾政府は、行政情報を集約したサイトを開設しており、市民が意見を政府に伝えたり、自身のアイデアに賛同者を募ったりすることもできる。賛同者が60日以内に5000人を超えれば、政府は2カ月以内に検討結果を公表する義務がある。》
台湾はIT先進国であるし、民主主義においても私たちの一歩先を歩いているのかもしれない。《唐氏は、16年に政府からデジタル担当相への就任を要請された際に、三つの条件を出した。その一つが「誰からも命令されないし、誰にも命令をしない」だった。
「同僚たちは、私のためではなく私と共に仕事をしています。私も政府のためではなく、政府と共に仕事をしています。自分から進んでやる、ということが最も重要なポイントです」
残りの2条件は、会議やイベント、取材など「全てを公開して透明性を確保する」ことと「オフィス以外の場所で仕事をしてもよい」だった。》
https://mainichi.jp/articles/20201213/k00/00m/030/004000c
我が国においてガースー政権がつづくかぎり「全てを公開して透明性を確保する」など夢のまた夢である。

毎日新聞は12月14日付で「#排除する政治~学術会議問題を考える 水戸黄門の印籠? 元最高裁判事・浜田邦夫さん『憲法を持ち出すのはこじつけ』」を掲載している。浜田は次のように語っている。
《…学術会議の趣旨からいって、任命拒否ができるケースは限られています。それは、候補者に犯罪歴や著しい非行があったり、学者として業績が足りなかったりする場合です。だから、首相には「候補者の思想信条が政府の方針に反していた」という理由で任命拒否する権限はありません。さらにいえば、推薦された人の中から首相が自由に任命できるなんてことは、法解釈からしてありえないのです。》
《首相が持つ学術会議会員に対する任命権が、憲法が規定する広い意味での行政権の範疇(はんちゅう)にあるのは正しい。ですが、憲法65条や15条が対象としているのは、あくまで一般の公務員に対する話です。学術会議の会員は、独立した組織の特別職公務員なので、この対象とするのは適当ではありません。》
https://mainichi.jp/articles/20201211/k00/00m/040/413000c

毎日新聞は12月14日付「経済プレミア」で元サンデー毎日集長・山田道子「メディア万華鏡 社外取締役『女性アナ』なぜ多い? 男社会の透ける本音」で、こう書き始めている。
新型コロナウイルス禍前の2019年夏から、毎日新聞では早期退職勧奨制度(要するにリストラ)で50歳以上の社員が次々辞めていった。私もそうだ。
「女性の管理職を増やさないといけない今、社外取締役のオファーがいろいろあるんじゃないの」と、退社を決意した女性社員は友人に言われたという。
それを聞いて、「あり得ない」と思った。リベラル系と目されるメディアで権力にいろいろモノ申してきた女性にそんなオファーはこないだろう、と。》
その一方で女性アナウンサーが「社外取締役」として大活躍している。
《「FRIDAY DIGITAL」(7月21日)には「竹内香苗菊間千乃…女子アナが続々大企業の社外役員就任のワケ」という記事が載った。
それによると、金融持ち株会社SBIホールディングスが、6月株主総会で元TBSアナウンサー竹内香苗氏を社外役員として取締役に選任した。昨年起用の元NHKアナウンサーの久保純子氏と入れ替わり。「『女性の視点に立った経営戦略』が重要な当社にとって、その分野に極めて高い知見を有しております」が竹内氏選任の理由だ。
記事は、元NHK草野満代氏がオンワードホールディングス▽元NHK山根基世氏が伊藤忠エネクス▽フリーの国谷裕子氏が日本郵船▽フリーの伊藤聡子氏が十六銀行三谷産業、積水樹脂▽CBC福島敦子氏がヒューリック、カルビー名古屋鉄道元フジテレビの菊間千乃氏がコーセー--の社外役員を務めていることも伝えた。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20201210/biz/00m/020/017000c
山田も指摘しているように、女子アナ出身の社外取締役は次々に誕生しても、テレビ局においてなぜ女性アナが社内取締役になれないかを問うべきだろう。

共同通信は12月13日付で「NHK報道局の記者がコロナ感染 国会などで取材」を配信している。
NHKは13日、報道局の30代の男性記者が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。記者は、国会などで政治関係の取材をしているという。》
https://www.47news.jp/5601251.html

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3)【深夜の誌人語録】

寝かせることでアイデアを熟成させる。