【文徒】2021年(令和3)1月13日(第9巻6号・通巻1903号)


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1)【記事】トランプのアカウント停止と表現の自由
2)【記事】沖縄タイムス出版化賞は平敷武蕉「修羅と豊饒」の版元「コールサック社」について
3)【記事】世論も五輪開催には懐疑的だけれど・・・
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】トランプのアカウント停止と表現の自由

朝日新聞デジタルは1月11日付で「トランプ氏のアカウント停止 表現の自由に反しない?」(小山謙太郎)を掲載している。法政大教授の建石真公子がインタビューされている。
《 ――表現の自由は簡単に線引きできるものではないのですね。
表現は常に動いていて誰かが線引きするものではありません。表現したことには反応があります。市民がどう反応するか、権力者がどう対応するか。ツイッター社は、人々がトランプ氏の発言をどう受け止めたかを深刻に考えたのではないでしょうか。表現の自由は民主主義を守るためにあります。トランプ氏は、その民主主義の根幹である投票結果を、暴力を支持することで破壊しようとしました。民主主義を守るための表現の自由が、反対に民主主義を破壊することにつながってしまったと判断したのでしょう。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1B546RP19UHBI02K.html
門田隆将は次のようにツイートしている。
《米から言論の自由が消えていく事に言論や表現の自由を日頃叫ぶ人々が“言及しない”不思議。彼らは中国の人権弾圧への発信も少なく大統領選に不正はなかったと根拠なく思い込んでいる人が多い。そんな方にはP.ナヴァロ報告を読む事をお勧めする。自由社の危機を感じ取れる筈。》
https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1347777959730429959
時事通信は1月11日付で「トランプ氏追放は『問題』 独首相、ツイッターに苦言」を配信している。
《ドイツのメルケル首相は、短投稿サイトの米ツイッターが自社サービスからトランプ米大統領を永久追放したことについて、表現の自由を制限するのは立法者のみであるべきだとして「問題だ」と苦言を呈した。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021011100704&g=int
東京新聞は1月12日付で「表現の自由は重要 メルケル独首相がTwitter社を問題視 トランプ米大統領のアカウント永久凍結で」(ベルリン 近藤晶)を掲載している。
《独メディアによると、フランスのルメール経済・財務相もトランプ支持者による米議会占拠は「トランプ氏のウソの結果」としながら、規制は国家や司法が行うべきものとの考えを示した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/79386
「社会新報」編集長の田中稔メルケルに賛成している。
《ドイツのメルケル首相がTwitter社によるトランプ氏のアカウントの永久凍結を非難。意見表明の権利の重要性を強調。私はメルケル首相の見解に賛成。まさにヴォルテールの名言を思い起こす。「私はあなたの意見に反対だ。しかし、あなたの発言の権利は命懸けで守る」 。ガースーには分からないだろう。》
https://twitter.com/minorucchu/status/1348810552294821888
そのあまりにもクラシカルな支持理由に私などは不安を感じてしまうのだけれど。
弁護士の神原元のツイート。メビウスの帯である。
《トランプアカウント凍結についてのメルケル見解が面白い。法律によらず凍結すべきでないという。
これだとユーザーの表現の自由が法律で制約できてしまうとの批判があり得る。
しかし「どんな場合でも凍結はしてはならない」というのも、実は私企業であるTwitter社の表現の自由を制約するのだ。》
https://twitter.com/kambara7/status/1348792667061194752
神原元がこうもツイートしている。
《トランプ支持者がワシントンで引き起こした暴動は、表現の自由の名においてデマを放置することがどれほど危険かを世界に示した。それは民主主義そのものを否定する可能性を孕む。
権力を監視し真実を伝えるメディアがいかに大切か。志を持った報道人と市民の連帯が民主主義を守る最後の砦になる。》
https://twitter.com/kambara7/status/1347859204061556736
首相記者会見などを見ていると残念ながらわが国のメインストリームのメディアは権力を補完してしまっている。
町山智浩スティーブン・キングのツイートを紹介している。
スティーブン・キング表現の自由には満員の劇場で『火事だ!』と嘘を叫ぶ権利は含まれていない。それがトランプのしていることで、彼が停止された理由だ」》
https://twitter.com/TomoMachi/status/1347913513247809537
この理屈は戦争も正当化できるのではないだろうか。アメリカ的、なのだ。
「ふしぎな昆虫大研究」(KADOKAWA)の「ぬまがさワタリ」のツイート。
Twitter、トランプのアカウントを永久停止。ずっとデマや差別を撒き散らしてて一般人なら凍結レベルだったし、「大統領でなくなった瞬間に即BANなのでは」と囁かれていたが、やはり議事堂襲撃は本当に決定的だったのだろう。(この後に及んでまだ不正選挙だとか言ってたし…)》
《トランプのBANを受けて「表現の自由が脅かされた…」とか言う人が絶対いるんだろうけど、デマを撒き散らして暴力や差別を扇動する「自由」なんか誰にもないし、最高権力者なら尚更厳しくするべきでしょう。てか、そういう人って要は権力者やマジョリティの「表現の自由」以外は関心がないんだと思う。》
https://twitter.com/numagasa/status/1347746373592993792
https://twitter.com/numagasa/status/1347747918288019458
佐々木俊尚のツイート。
《他国の話ではあるし私はまだまったく整理できていないのだけれど、米国の巨大プラットフォームがこぞってトランプ大統領とその勢力を完全排除に乗り出したのは、テクノロジーと政治の関係においてルビコン川を渡った感がある。これは歴史に残る事態なんじゃないかな。》
https://twitter.com/sasakitoshinao/status/1348480294341341184
プラットフォームもまた「第四の権力」なのである。いや厳密にはメディアが「第四の権力」とすれば、厳密にはプラットフォームは「第五の権力」ということになるのか。もう一点。アメリカの憲法が修正二条で「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。」と謳っていることを忘れてはなるまい。キングが火事の話を持ち出すのも潜在的抗権と無縁ではあるまい。

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2)【記事】沖縄タイムス出版化賞は平敷武蕉「修羅と豊饒」の版元「コールサック社」について

沖縄タイムス出版化賞は平敷武蕉「修羅と豊饒」(コールサック社)、中島楽章大航海時代の海域アジアと琉球」(思閣出版)に決まった。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/691264
コールサック社は板橋の出版社。詩人・鈴木比佐雄が2005年に創業した。
《書物とは、詩人・作家という「母」と編集者という「父」が、出来うる限りの最大限の努力を払いながら、様々な矛盾を抱えた社会の中で、多くの未知の人びとが潜在的に待ち望んでいる「子供」(本)を生み出す行為だと考えます。
書物の作者である「母」は妥協することなく優れた原稿を書くと同時に、編集者である「父」の客観的な助言も聞き入れてより良き原稿にしていきます。また編集者である「父」は世に出すことを想定し編集や構成案、装丁、解説などに配慮しながら装丁家組版・校正者などの「助産婦」の力を借りながら最も相応しい造本に仕立て上げていきます。》
《コールサック社は基本的には、自費出版が中心の出版社です。書物はオーダーメイドなので本来的には同じ見積もりはありません。形態、色数、紙質などの品質、頁数、冊数によって変わりますので、ご希望の自費出版の予算や品質を含め、どのような内容の書物を作りたいかのご要望をお気軽にご相談ください。コールサック社は2006年8月設立以来、2013年1月現在まで下記のような約200冊以上の書物を刊行致しました。
詩書や評論・エッセイ集など学に特化しておりますが、宮沢賢治の他者の幸せや世界平和の精神に合致した書物であるなら、他の分野の書物も刊行したいと願っております。
また、特に時代が求める切実な社会的なテーマが徹底して記述されていて販売数が相当数見込めるものは共同出版もしくは企画出版も行っておりますので、ご相談ください。》
http://www.coal-sack.com/syuppan.html
鈴木は、こうも書いている。
《出版業界も同様に電子書籍が未来の出版の在り方のように語る人たちも多くいました。しかし私はそのような無意識に電気メディアに依存する人たちは、紙の本のシンプルな根源的な価値に気付いていないと考えていました。書籍とは本来的に立体であり、詩人・作家・研究者たち、企画・編集・装丁の出版社、印刷・製本会社、用紙会社などの総合芸術だと考えて、そのような本作りを実践してきました。
本の魅力は著者や出版社の美意識や芸術精神や批評精神である「美しいもの」や「根源的なもの」を求める心が生み出すものです。そんな美意識や芸術精神や批評精神と読者が対話をするのが書物という精神の立体物なのだと思われます。そのような総合芸術としての書物を詩人・作家・研究者たちとコールサック社はこれからも多くの皆様に届けていきたいと願っております。そして皆様には、夜には最低限の電力を使用し、昼であれば自然光の下で、コールサック社の良書を心いくまで読んで頂ければと願っております。
今後ともコールサック社の出版活動や詩の運動へのご支援を宜しくお願いいたします。》
http://www.coal-sack.com/aisatsu.html
私にとってコールサック社は「永山則夫罪と罰――せめて二十歳のその日まで」(井口時男)の版元だ。実は、この「修羅と豊饒」は「永山則夫罪と罰」についても言及しており、井口の句集「天來の独楽」(深夜叢書社)から、井口が永山の立場から詠んだ俳句も紹介している。
はまなすにささやいてみる「ひ・と・ご・ろ・し」
http://www.coal-sack.com/syosekis/view/2673/2673%E5%B9%B3%E6%95%B7%E6%AD%A6%E8%95%89%E3%80%8E%E4%BF%AE%E7%BE%85%E3%81%A8%E8%B1%8A%E9%A5%92%E2%80%95%E6%B2%96%E7%B8%84%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%B7%B1%E5%B1%A4%E3%82%92%E7%85%A7%E3%82%89%E3%81%99%E3%80%8F
https://www.google.com/url?client=internal-element-cse&cx=007744063068002915798:vdvjyj_aa80&q=http://www.coal-sack.com/syosekis/view/2139/_%25E4%25BA%2595%25E5%258F%25A3%25E6%2599%2582%25E7%2594%25B7_%25E8%25A9%2595%25E8%25AB%2596%25E9%259B%2586%25E3%2580%258E%25E6%25B0%25B8%25E5%25B1%25B1%25E5%2589%2587%25E5%25A4%25AB%25E3%2581%25AE%25E7%25BD%25AA%25E3%2581%25A8%25E7%25BD%25B0%25E2%2580%2595%25E3%2581%259B%25E3%2582%2581%25E3%2581%25A6%25E4%25BA%258C%25E5%258D%2581%25E6%25AD%25B3%25E3%2581%25AE%25E3%2581%259D%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E3%2581%25BE%25E3%2581%25A7%25E3%2580%258F&sa=U&ved=2ahUKEwiUjYXHo5XuAhUDFogKHbpqADUQFjAAegQIBRAC&usg=AOvVaw0MTmL82L_2vtGqqhPjkYg-
改めて出版化の奥深さを痛感する次第である。

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3)【記事】世論も五輪開催には懐疑的だけれど・・・

NHK NEWS WEB」は1月12日付で「WHO『集団免疫』“ことし中に獲得 難しい” 新型コロナ」を公開している。
《WHO=世界保健機関は、新型コロナウイルスのワクチンの接種をめぐって、世界の多くの人が免疫を持つことで感染が広がりにくくなる、いわゆる「集団免疫」の状態をことし中に獲得することは難しいという認識を示しました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210112/amp/k10012809441000.html
この記事を清水潔は引用ツイートしている。
《WHOが記者会見。これは夏の東京オリンピック開催へのとどめを刺すことになるだろう。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1348815979283771392
それでも政府や五輪関係者は世論の動向などは気にせずに開催を強行するつもりなのだろう。「TOKYO HEADLINE WEB」は1月11日付で「加藤勝信 内閣官房長官に聞く、2021年の新たなキーワード<SDGs成に向けた日本の成長戦略>」を公開している。かつて政府はコロナ禍を乗り越えた証として開催するとアピールしていたが、加藤は「コロナ禍を乗り越えた証につながっていく」と発言を後退させ、それでも開催すると語っている。
《2020年大会は1年延期されておりますが、ひとつは東日本大震災から10年の節目でもあります。復興がポイントで、その姿を世界に発信する機会です。もうひとつは、新型コロナウイルス感染症の中にあっても成功裡に終わったということが、コロナ禍を乗り越えた証につながっていくのではないかと思っております。》
https://www.tokyoheadline.com/531303/
TBS NEWSは1月11日付で「JNN世論調査、内閣支持と不支持が逆転 コロナ対応で軒並み厳しい評価」を発表している。
《今年夏に予定される東京オリンピックパラリンピックについて、「開催できると思う」と答えた人は13%、「開催できると思わない」と答えた人は81%でした。》
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4170858.htm
青木俊からすれば五輪開催は「狂気の沙汰」にほかならない。
《だいたいそもそも、五輪はスポーツの祭典と言われるようにお祭りである。伝染病が世界で猛威をふるって死者続出の時に、お祭りをやめませんと言うこと自体、狂気の沙汰。》
https://twitter.com/AokiTonko/status/1348573846064885760
日刊スポーツは1月11日付で「東京五輪見直し世論紹介 中国『困難は増している』」を掲載している。共同通信の配信記事だ。
《中国国営通信、新華社は11日、8割超が東京五輪・パラリンピックの今夏開催の見直しを求めたとの共同通信世論調査結果を報じ、「菅義偉首相が予定通り開催したいと考えても、東京五輪が直面する困難は次第に増している」と伝えた。「中止」との一部報道にも触れた。》
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/general/news/202101110000858.html
新華社は「週刊実話」の報道も紹介したという。
朝日新聞デジタルは1月12日付で「『スマホみると私の悪口ばかり』 森会長が新年あいさつ」を掲載している。
《今夏に1年延期となった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの大会組織委員会森喜朗会長は12日、新年の職員向けのあいさつで「春が来ないことはない。最大の難関を突破するように頑張りましょう」と呼びかけた。新型コロナウイルスの感染拡大で約200日後に迫る大会開催を危ぶむ声も高まる中「ここで私が考え込んだり、たじろいだり、もし心の中に多少の迷いがあったら、全てに影響してくる。あくまで進めていかないとならん。淡々と予定通り、進めていくという以外にお答えする方法はない」と述べた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1D4CXCP1DUTQP008.html?ref=tw_asahi
東京五輪だ!己れ殺して!国生かせ!ってか。そうだ!進め一億火の玉だ!
デーブ・スペクターはユーモアを忘れない。
《【速報】東京五輪組織委は、史上初となる無選手での実施を検討へ。森会長は「選手がいなくても開催されることに、不安はない」と表明。》
https://twitter.com/dave_spector/status/1347682277040418816

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4)【本日の一行情報】

◎「食品新聞」は1月11日付で「1ミリもあせないサントリー社是 コロナで読み返し心がけた3つの視点とは?」を掲載している。サントリーの社是は「人間の生命の輝きをめざし 若者の勇気に満ちて 価値のフロンティアに挑戦しよう」「日日あらたな心」「グローバルな探索」「積極果敢な行動」。
https://shokuhin.net/39284/2021/01/11/inryou/inryou-inryou/
「人間の生命の輝きをめざし 若者の勇気に満ちて 価値のフロンティアに挑戦しよう」とは、学の痕跡を残した社是ではないか。

◎遂に全国紙の社説に登場した!毎日新聞は1月12日付で社説「鬼滅の刃』人気 苦境の今に響く前向く力」を掲載している。
《身近な人をコロナで亡くしたり、仕事を失ったりした人もいる。働き方をリセットする必要にも迫られただろう。学生もオンライン授業を余儀なくされ、友人との学校生活を奪われた。
そんな中で、鬼に立ち向かう主人公やその仲間たちの「心を燃やせ」「歯を喰いしばって前を向け」といったストレートなセリフの数々が共感を呼んだのだろう。》
https://mainichi.jp/articles/20210112/ddm/005/070/016000c

東京国立博物館化財活用センターと凸版印刷は、現在開催中のバーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」の連動企画として、東京国立博物館東洋館内TNM & TOPPAN ミュージアムシアターにて、1月20日(水)から4月11日(日)までVR作品「洛中洛外図?風 舟木本」を再上演する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000573.000033034.html

東スポWebは1月10日付で「数字は悪くないのに番組打ち切り…テレビ業界に新機軸」を掲載している。3月をもって打ち切りとなるのは、日本テレビメレンゲの気持ち」「火曜サプライズ」、TBS「噂の!東京マガジン」「爆報!THEフライデー」など。
《そんな番組が打ち切りとなった謎を解き明かすカギは、視聴率ではなく視聴者層だという。
「4番組に共通する主な視聴者層はFM4層(60歳以上の男女)。でも現在、スポンサーが広告を入れるのはコア層と呼ばれる13~49歳の視聴者層に向けた番組なんです。コロナ禍でスポンサーも経営が苦しいので、広告費の選別を始めたんです。その結果、視聴率ではなく視聴者層で選別するようになった」(制作関係者)》
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/2603421/
◎望月衣塑子がこう怒っている。
菅首相になって開かれた会見で、既に3回も指されている社がある中で、東京新聞北海道新聞は、一度も指されていない。
明らかに不公平。フリー枠が10と制限され、1回会出ると2回目出れないのもおかしい。そもそも質問時間が短すぎる。
指名してる山田真貴子内閣広報官の意図を感じる。抗議すべきだ》
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1348781609676247042
上西充子のツイートによれば、幹事社でなくとも讀賣新聞、共同通信、京都新聞は三回も指されている。朝日新聞は一回。
https://twitter.com/mu0283/status/1348424127581863938
質問を事前に伝えないと指名されにくいようである。そのことを東京新聞や北海道新聞は何故、紙面を使って報道しないのだろうか。
https://twitter.com/mu0283/status/1348423295570350081

朝日新聞デジタルは「私、におう? 人との距離選べぬ苦しさ 宇佐見りんさん」を掲載している。宇佐見は次のように述べている
《この遠隔での関わり合いでは抜け落ちてしまうものもあるだろう。「におい」をはじめとした、自分でコントロールできない情報は、遠隔では共有されづらい。良くも悪くも、見たくないものは見ることなく、見せたくないものは引っ込めたままになる。物事に対するとっさの反応、醸し出す雰囲気、相槌(あいづち)などは、言葉よりもずっと正確にその人を映し出すこともあるが、遠隔ではそれらがなかなか見えてこない。》
《コロナ禍は、人と人との距離を分断した一方で、同じ家に住む者同士の距離を強制的に縮めることとなった。四六時中、狭い場所で一緒に過ごすことで、心を蝕(むしば)まれる人も多い。けれど「におい」を嗅ぎ続け、互いにそれを受け入れあうことの安心感というのもまた存在するはずである。「におい」を含んだ繋(つな)がりの強さ、確かさは、やはりある。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1461VMNDCUPQJ00V.html
コロナ禍は私たちの生活を「極端」に追い込んでいるのだ。この「極端」を強いられることによって蓄積されるストレスを「極端」にではなく解放する術を身につけていかないと大変なことになるだろう。

宇波彰が亡くなった。私などは原書を読めなかったこともあり、フランス現代思想の動向を宇波彰の著書によって知った。「引用の想像力」や「記号のエコロジー」は赤線を引きながら読んだ記憶がある。宇波彰ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリジャン・ボードリヤールの最初の翻訳者であった。一方で、「自己批評 スターリニズムと知識人」のエドガール・モランの翻訳者でもあった。これらは主として法政大学出版局を舞台にしての仕事であった。いずれにしても、私のサルトルの食わず嫌いの責任は宇波彰にあるのかもしれない。千葉雅也がツイートしている。
宇波彰さんが亡くなったそうだ。『意味の論理学』の訳は当時まだ研究が進んでいない中で誤訳が多いが、それでも独特の柔らかな体が魅力的な訳書だった。今では研究用には使えないが、あの体からは影響を受けたと思う。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1348486370507988994
「ぴあ」のOBでもある作家の盛田隆二が千葉をリツイートしている。盛田と宇波にこんなにも深い関係があったとは驚きである。
宇波彰先生の訃報、たった今知った
1970年~川越高校の英語教師としてお世話になり、1974年~大学時代に創刊した同人誌を批評して頂き、1990年に長編小説『ストリート・チルドレン』(講談社)でデビューした折には平岡篤頼先生と共に出版記念会の発起人を買って出て下さった。50年来の師だった。合掌》
https://twitter.com/product1954/status/1348526838436433920
岡和田晃のツイート。
《フランス学者の宇波彰さんが87歳で亡くなったとの報。以前から、ドゥルーズガタリや、ボードリヤールの訳に親しみ、縁があって何度か手紙のやりとりをさせていただきました。お目にかかった折にも、気さくにお話しをいただきました。最近の仕事では『ラカン的思考』も良かった。》
https://twitter.com/orionaveugle/status/1348489403455262721
ラカン的思考」の版元は作品社。
明治学院大学名誉教授でフランス学者、哲学者の宇波彰さんが亡くなったそうです。弊社で刊行させていただいた『ラカン的思考』が、最後の単著となってしまいました。心よりご冥福をお祈りいたします。》
https://twitter.com/sakuhinsha/status/1348523783628283905
五野井郁夫は宇波に教わっているのか。
宇波彰先生ご逝去の報。学部生時代から研究会等でフランス現代思想の基礎的な読み方から解釈まで、丁寧に教えていただきました。「出発のリトルネロ」をどう扱うのかについて議論したことなどは、今でも昨日のことのように覚えています。今まで本当にどうも有難うございました。ご冥福をお祈りします。》
https://twitter.com/gonoi/status/1348556052212576259
小説家の木村紅美は宇波の記号論の講義を受講し、卒論の監査も受けているという。
宇波彰先生の訃報を知る。明学で私は記号論の講義を取ってました。卒論の監査も先生。それより思い出すのは、私がアイルランドに興味があると話したらチーフタンズの当時の最新作「ロングブラックヴェイル」を薦められたこと。マリアンヌフェイスフルの歌声が素晴らしいんだよと。素敵な先生でした。》
https://twitter.com/waremokouko1/status/1348495302500577281

◎久しぶりに南正人という名前が目に飛び込んできたのは昨年、12月30日のことであった。音楽プロデューサーの寺本幸司がフェイスブックに次のように投稿していたのだ。
《今年の7月頃だったか南からめずらしく電話があって「てら、コロナコロナでライブの予定がみんな飛んじまって引きこもりの中、CDになった音や全国各地のライブハウスでやって録音した音源を毎日毎日聴き込んでいるうちに116曲選んで『歌日記自選集』2枚組CD6枚になるけど出すことにしたんだ」とめずらしくきっぱりした声でいいきった。
「おいおいまさか遺言自選歌集じゃないだろうな」といったら「てら、リセットリセット、これを出してからまた次の場面に行くのよ!」という笑声で賛同して音を形にしてくれているT.Sawamura に連絡した。
とりあえず2枚組CDVol.1  ,2を出す算段をしていると聞いて音を送ってもらってふた晩聴き込んだ。
これがいいんだ。
たしかにCDに収録された音に比べるとライブハウスの音質は衰えるけど南の体温とかその場のグルーブする空気とか伝わって来てたまらない。
ぜひ手にとって聴いていただきたいと思った。》
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=688982271801103&id=100020680098709&__cft__[0]=AZWR5e9gBirzcoreMR6I1uLNQryumGWz3PaIsT4WSBN9RflJlnYB8gfbm_slpQ0tYw1l-mS_K8qhlHrLvbrtVGVoW9fPB5s7Juj6FW9ThqmbodWU_X_1YWGfGNLX3acox3I&__tn__=%2CO%2CP-R
この記事を読んでいただけに年が明けて南正人の訃報を新聞で知ったときはショックだった。
シンガー・ソングライターの南正人氏が7日、解離性大動脈りゅうのため横浜市内の病院で死去した。76歳だった。東京都出身。葬儀は親族で行う。喪主は長男泰人氏。》
https://mainichi.jp/articles/20210109/k00/00m/040/003000c
この共同通信の配信記事には「7日に横浜市内でライブ出演中に倒れ、病院に搬送された」とあった。湯川れい子がツイートしている。
《南正人さん。
泉谷しげるさんにも影響を与えた気骨と反骨のシンガー。
大学時代に世界を放浪。70年の中津川フォークジャンボリー以降は昨夜まで、転々と歌い続けて来て、7年前に私の友人とは離婚。でも昨夜は一人息子さんがドラムで共演中、その腕の中で亡くなったのだそうです。
天晴れな一生でした。》
《ステージで、元気に4曲歌ったところでバッタリ。
息子さんが抱き起こして「親父!!俺がいるからしっかりして!」と声をかけたら、頷くように息を吸い込んで。
その時に亡くなられたらしいと言うことでした。
別れた友人も病院に駆けつけ、
家族としてご遺体を引き受けて帰って来たと。
お見事でした。》
https://twitter.com/yukawareiko/status/1347555889725665283
https://twitter.com/yukawareiko/status/1347562000235171840
ソウル・フラワー・ユニオンがツイートしている。
《まじか。南正人さんの訃報が。横浜サムズアップのライヴ中やったんか…。阪神淡路大震災以降、寿町や西部講堂等、色々なイベントで一緒になり、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットを絶賛してくれたナミさんとは、一緒にいい時間を過ごさせて貰ってた。無念。安らかに。》
https://twitter.com/soulflowerunion/status/1347208437864701952
傑作「回帰線」には細野晴臣水谷孝が加わっている。デリリウム淀川が指摘している。
《南正人の訃報。『回帰線』、特に裸のラリーズ水谷孝が参加したこの曲は幾度となく聴いた。細野晴臣水谷孝が同じ場で演奏していた事実に、そしてその場を司る南正人の胆力に改めて驚嘆する。まさしく"果てしない流れに咲く胸いっぱいの愛"を与えてくれた人。》
https://twitter.com/thehellofit/status/1347203140563607553
YMOの細野と裸のラリーズの水谷という組み合わせに驚かずにはおられまい。ちなみによど号ハイジャック事件に加わった若林盛亮裸のラリーズ結成時のメンバーである。
BuzzFeed Newsが2017年10月17日付で「裸のラリーズ結成50周年 ハイジャックで北朝鮮へ渡った元メンバーが語る」を掲載している若林盛亮がインタビューに応じているのだ。
《1967年の秋のことです。同志社の学生会館の2階ロビーで座っていたら、水谷君と中村君が近づいてきた。そこから話が始まりました。当時長髪で目立っていたから、目に留まったのかもしれない。
後になって音楽雑誌で知ったのですが、水谷君は軽音楽部に「自己批判」を迫って退部したらしい。新しいメンバーを物色していたところに、私が引っかかった可能性もありますね。》
《日本の音楽シーンを革命するバンドをつくろう、という話になりました。当時のことですから「記憶は遠い」ですが、ジミ・ヘンドリックスやピンク・フロイド、ジェファーソン・エアプレインなんかの話題が出たのではないかと思います。
いまの音楽界は何なんだ、グループサウンズをはじめ「日本のもの」がないじゃないか、ということで完全に意気投合しました。GSにゲバルトをかけよう、自分たちのものをつくろうと。》
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/rallizes1
閑話休題。寺本幸司は1月8日にフェイスブックに再び南正人について投稿することになってしまった。
《南正人は、昨日(1/7)横浜サムズアップの1stステージで2曲歌ったあとギターの弦が切れたので楽屋に向かおうと立ち上がった瞬間倒れた。
ドラムを叩いていた息子の泰人が駆け寄って抱き上げたとき大きく息を2回吸って吐いたあと絶命した。
救急車で搬送された病院の医師が死因は解離性動脈瘤破裂と診断し「瞬時に起きたので痛みは感じなかったはずだ」といったそうだ。
成田ヒロシからの電話で知ったのだが、午後6時にフェイスブックで南とやりとりをしたばっかりだったので「えっ!」といったあと頭が真っ白になったが、南がステージで倒れて息子のトット(泰人)の腕の中で息絶えたと聞いて「凄いな。南らしい。こんな死に方は南正人しかできないよ」とやっとコトバが出た。
紆余曲折あったが昨年暮れ、拙著「音楽プロデューサーとは何か。- 浅川マキ、桑名正博、りりィに弔鐘が鳴る-」が毎日新聞出版社から4月に出版されることに決まったが、副題「浅川マキ、桑名正博、りりィ、南正人に弔鐘が鳴る」とするしかない。
生き残った者は辛い。》
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=693656908000306&id=100020680098709&__cft__[0]=AZWd7CfCxJaPSqCUdyhemw6Zw6gZpGwRO4-zk2xCgxL9DVLci9omUSmMWdKpoRzg7VnFX1huwzH-j4SyRgBQcUUFs6DOsZny8kPgBQmjNwHlX1APX4xR-3t3osAj8RJDmbA&__tn__=%2CO%2CP-R

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5)【深夜の誌人語録】

後悔を明日に引きずるな!