【文徒】2021年(令和3)1月18日(第9巻9号・通巻1906号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】中森明夫の小説「キャッシー」(藝春秋)の周辺
2)【記事】雑誌広告ビジネスのマンガシフト
3)【記事】安野光雅が昨年12月24日に亡くなっていた
4)【記事】東京五輪開催に懐疑的な海外メディア!わが国の大新聞・テレビは沈黙
5)【本日の一行情報】
6)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2021.1.18 Shuppanjin

1)【記事】中森明夫の小説「キャッシー」(藝春秋)の周辺

女優の「のん」は中森明夫の小説「キャッシー」(藝春秋)で装画を描いているそうだ。
https://www.instagram.com/p/CKDuHNMJcr7/
「キャッシー」は中森明夫にとって大杉栄の魂が100年の時空を超え、17歳パンク少年の脳内に甦ってしまう「アナーキーイン・ザ・JP」(新潮社)以来、10年ぶりの長編小説ということになる。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163913131
緊急事態宣言が発令されなければ、中森明夫は全国を回ってのプロモーションに取り組みたかったようだ。代わりに次のような連ツイを発表している。
《新作小説『キャッシー』、出版! 超能力アイドル少女の物語です。10年ぶりの長編小説で、全国を廻るなどプロモーションしたかったんですが、緊急事態宣言下でもあり、残念ながら控えなければなりません。せめてツイッターで思いを伝えようと思います。》
《10年前、ツイッターを始めたのも『アナーキー・イン・ザ・JP』の出版がきっかけでした。この小説とツイッターのおかげで様々な人たちと出会えました。忘れられないのは三省堂書店有楽町店の副店長・小松崎敦子さんです。拙著の感想の熱いお手紙をいただき、同店を覗くとコーナーが作られ…》
《猛烈な推薦ポップとアナーキズムの黒い旗まで飾られてました…。思いきって声をかけるとメガネの優しそうな女性店員さんで、パッと笑顔になり書店の事務室へと呼び込まれ、本にサインしました。部下の女性店員さんが「小松崎さんがおかしくなったかと思いました。すごい勢いで中森さんの小説を推して》
《あんなコーナーを作って…」と。小松崎さんは笑っていました。うれしかった。この人に見込まれたんだ、この人の期待を絶対に裏切ってはいけない。約束した雪と雨の寒い朝にもお店へ行って、サインしました。「中森さんの小説が大好きです。次の作品を待っています」とまっすぐな瞳で言ってくれた。》
《2年後、小松崎さんは病死されました。訃報を聞いて、号泣しました。その後、小説が書けない自分が不甲斐なかった。新しい本が出ると、私は必ず三省堂書店・有楽町店へ行って本の棚の前で小松崎さんに黙祷します。こういう行為に意味があるかどうか、わからないけど…。》
《7年前、友人の芸誌編集長に「中森さん、決定的なアイドル小説を書いてください!」と依頼された。直後に彼は亡くなりました。46歳だった。『東京トンガリキッズが自分の10代の頃のバイブルでした…と言ってくれ、庫版の解説を書いてくれた高橋秀明氏です。私の新作小説を一番待っていてくれた…》
《この7年間、彼との約束を忘れた日はありません。第1章を書き上げた時、件の芸誌の編集長は二度変わり、作品は却下された。それを引き受けてくれたのが藝春秋の編集者さんです。『キャッシー』は構想から7年、執筆に4年もかかりました。めちゃくちゃ苦しかった。元原稿は900枚以上あります。》
《苦しい時には小松崎さんからいただいた手紙を読み、高橋秀明笑顔を思い出す。もう一つ、パワーの源があります。3年前、女優・創作あーちすと、#のん さんの個展を見て衝撃を受けました。その図録=アートブックを常に傍らに置き、執筆しました。女の子は牙をむく…それこそ『キャッシー』の主題です》
《#のん さんとは、能年玲奈時代から3度、インタビュー&対談させていただいています。普段はおとなしいのに、演技となると爆発的なパワーを発揮する…私は彼女を超能力少女『キャリー』になぞらえました。『キャリー』のDVDを進呈もしました。小説『キャッシー』が完成した時、どうしても》
《#のん さんに表紙の絵を描いてもらいたいと思いました。お忙しい方だし、無理かもしれない。私は、のんさんと親しくありません。彼女の表現者としての凄さと、その生き方をリスペクトしています。率直に言って、のんさんにとても頼み事なんかできません。それでも、この件だけはなんとかお願いしたい…》
《結果、引き受けていただき、作品を拝見して、鳥肌が立ちました。私の小説を読んだ上で描いた作品を装画としてお借りする形です。実物は大きくカンバスに描かれています。「少女の後ろ姿を」とのみの注でしたが、その背景の黄色に驚きました!》
《『キャッシー』の主人公の少女は世界と対決し、超能力を発揮する時、目の前が黄色く見えます。私は「黄色い」とのみ書きました。が、#のん さんが描いた黄色のなんと精妙で複雑で繊細なことか! ああ、のんさんは本当にこの「黄色」を見たんだ…。芸能界で彼女ほど戦っている人はいないでしょう。》
《打ちのめされました。#のん さんの描いた表紙絵こそ、私の小説に対する最大の批評だと思います。ぜひ、『キャッシー』をお読みください。小説を読んだ後、表紙絵を見ると、さらにその凄さがわかります。のんさんがどんな想いで、どんな顔で、どんな瞳をしてこの絵を描いたかと思うと、涙がこぼれます…》
《20歳でライターデビューして40年が過ぎました。『キャッシー』は私がもっとも力を振り絞って書いた小説です。死ぬかと思いました。楽観的な性格ですが、こればかりはもうできないかもとも。諦めかけた時、約束した亡き友の顔や、書店員さんの言葉や…何より、この小説自身がこの世に生まれたがっている》
《その声を聞きました。私は61歳で、未だ一人身です。先はそう長くはないでしょう。たった一人で死んでいく。もしかしたら、これが最期の作品になるかもしれない…そんな想いで、#のん さんに表紙絵をお願いしました。それに対して、彼女は凄い作品で応答してくれました。幸せです。》
章を書く仕事で生きてきて本当によかった…と今、思います。私が死んだら、この本を棺桶に入れてもらいます。ぜひ、小説『キャッシー』をご一読ください。》
https://twitter.com/a_i_jp/status/1348615465229189125

https://twitter.com/a_i_jp/status/1348638437746753541
この連ツイを読んだなら、それは「キャッシー」を読みたくなるよ。さて、連ツイに登場する小松崎敦子は急性白血病で亡くなっている。瀬尾健がブログ「新・リストラなう日記 たぬきち最後の日々」で2012年8月22日にエントリしている「素敵な書店員、K・Aさんの思い出」に詳しい。
《…Kさんは、ベストセラーだけじゃない、意表を突いてマニアックな書目が刺さっている、刺激的な芸棚を作り続けていた。ハリウッド超大作も手がけるけど、東欧やアジアのインディペンデント映画にも目配りを欠かさない映画館、みたいな仕事だと思った。》
http://tanu-ki.hatenablog.com/entry/20120822/1345640922
一方、高橋秀明は「小説すばる」の編集長。2014年4月に脳梗塞で急死した。「新刊JP」は2016年8月28日付で「村山由佳の新作のモチーフは自らが抱いた『静かな殺意』だった」を発表している。
《――『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』についてうかがっていきたいのですが、この物語はどのようなモチーフをもとに書かれたのでしょうか
村山:この小説の核となる部分は殺意の場面です。傍から見れば幸せに溢れた春の日の光景の中で、包丁がキッチンに並んでいる。「殺意とはこんなに静かなものなのか」というあの場面は、私自身の経験に基づくものなんです。
その殺意の話を『小説すばる』の前編集長だった高橋秀明さんに伝えたところ、「それだけで小説の一部分になるから、そこを核に村山さんに一つの小説を書いてほしい」と言っていただいて生まれたのが、この『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』という小説です。》
https://www.excite.co.jp/news/article/Sinkan_7023/?p=2
週刊女性PRIME」は2019年6月16日付で「江國香織2年ぶりの長編小説を絶対に『小説すばる』で連載したかった理由」を発表している。江國の「彼女たちの場合は」について書いている記事だ。
《「私自身、アメリカに留学していた23歳のときに、友達とふたりでアメリカ旅行に出かけたことがあったんです。当時はデラウェアという田舎町に住んでいたのですが、もっといろんなアメリカを見たいなって思って。グレイハウンドに乗ってボストンとポーツマスに行ったんです。そのころの私は、精神年齢が幼かったんでしょうね。ずっと赤ちゃんの人形を抱いて旅をしていました(笑)」
その話をした際、当時、『小説すばる』の編集長を務めていた高橋秀明氏に小説に書くことをすすめられたという。だが、実現できないまま高橋氏は2014年に急逝してしまった。
「だから、アメリカ旅行の話を書くなら絶対に『小説すばる』で連載したいと思っていたんです。私自身が年齢を重ねるにつれて主人公の年齢も自然と上がってきたので、久しぶりに若い人の物語を書きたいと思ってもいました。そうした理由から、あのとき彼と約束した旅の話を書くことにしたんです」
https://www.jprime.jp/articles/print/15340
ちなみに高橋秀明は「週刊プレイボーイ」で大川興業大川豊総裁の政治連載を担当していたことでも知られる。畠山理仁のこんなツイートも残っている。
《元『週刊プレイボーイ』編集者で現『小説すばる』編集長の高橋秀明さんの通夜。私が20代の頃から「どんどん取材に行っちゃって」と背中を押してくれた方でした。頼んでもいないのに思いついたように寺澤有さんに電話をして、いきなり私を紹介してくれたのも高橋さんでした。享年46。嘘みたい。》
《高橋さんは『週刊プレイボーイ』で警察批判の記事を寺澤有さんと一緒に手がけていた編集者でした。武富士が寺澤さんや複数の雑誌を名誉毀損で訴えた時、週プレに対する請求金額だけが他誌より低かったことを「なんでなんだ!」と、とても悔しがっていました。》
https://twitter.com/hatakezo/status/458916777708118016
https://twitter.com/hatakezo/status/458918528901320704
柳澤健の「1974年のサマークリスマス」も高橋秀明から「林美雄で青春ノンフィクションの連載をやってくれ」と持ちかけられたことから始まった企画である。
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2016/09/21/72361/
中森は2014年4月24日に次のようなツイートを投稿していた
《友人の葬儀に参列。内ポケットに『東京トンガリキッズ庫版を忍ばせて。20年前に『東京トンガリキッズ』を持って私の前に現れ、10年前に庫化された時、約束通り解説を書いてくれた。こんなに早く亡くなるなんて…。重松清さんの弔辞が胸にしみた。高橋秀明さん、さようなら。》
https://twitter.com/a_i_jp/status/459204208097374208
中森は2019年に光社から「青い秋」を刊行しているが、この自伝的小説の第一章「芸編集者」のモデルは言うまでもなく高橋秀明である。「リアルサウンド」が2020年1月24日付で公開している「中森明夫が語る、80年代精神と“青い秋”の生き方 『本当のお祭りはついぞ訪れなかった』」で中森は次のように語っている。
《第1章の「芸編集者」に出てくる編集者のモデルは高橋秀明んという『小説すばる』の元編集長で、僕は彼が『週刊プレイボーイ』の編集をやっていた頃から20年来の友人だったんです。その高橋くんが6年前に突然亡くなってしまって、後任の編集長から彼についての短編を書いてほしいと依頼を受けたのが、この小説を書くことになったきっかけです。単発で高橋くんの短編を書いた後、それに連なる作品を書かないかという話になって、僕も良い歳だし、この機会に自分の人生を振り返ってみようと書き始めました。》
https://realsound.jp/book/2020/01/post-491757.html

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2)【記事】雑誌広告ビジネスのマンガシフト

ユーグレナは、講談社の「月刊少年シリウス」に連載されている清水茜のマンガ「はたらく細胞」と企業広告でコラボする。具体的には1月13日(水)から、アニメ声優陣によるフルボイス動画「はたらく細胞 ユーグレナ編~ユーグレナで、免疫細胞がもっと強くはたらく!~」を公開し、以降は冊子やWEBサービスなどマルチメディアで展開する予定だ。
https://www.euglena.jp/news/20200113-2/
雑誌広告ビジネスの中心が女性誌から「マンガ」に移動しつつある。雑誌広告ビジネスのマンガ・シフトである。
こんな動きもある。モバイル広告と広告マネタイズサービスを手がけるTapjoy Inc.(本社:米サンフランシスコ)とメディアドゥは1月13日に業務提携し、電子書店向けに広告マネタイズサービスの提供を開始した。メディアドゥ 取締役 CBDO 溝口敦が次のようなコメントを発表している。
《アプリ広告のグローバルスタンダードを築き上げたTapjoy社と業務提携をできることを非常に嬉しく思っています。電子書籍市場はこの数年大きな成長を遂げてきていますが、その中でもマンガアプリ広告市場は目覚ましく伸張してきています。私達はこの提携を通じ、1ページでも多くマンガを読むユーザーを増やす事で、電子・紙に関わらず、より多くのマンガ流通が広がり、ひいては新たなコンテンツが生まれる源泉となる事を期待しています》
https://mediado.jp/corporate/3687/
グローバル・ブランドもマンガを見逃さない。これは小学館。連載開始から50年となる「ドラえもん」と創業100年を迎えたGUCCIによるアニバーサリー企画で、バッグ、 靴、ウェアなどさまざまなアイテムが揃う「DORAEMON X GUCCI」のコラボコレクションが1月20日に発売となるが、これを記念して、「CanCam」「Oggi」「Precious」3月号の付録も「ドラえもん」とGUCCIのコラボである。CanCam」はGUCCIのミニGGパターンに花を持ったドラえもんがデザインされたコラボノート、「Oggi」はミニGGパターンにさまざまな表情のドラえもんがデザインされたハードカバー製メモパッド、「Precious」は「ドラえもん×GUCCI」のロゴがあしらわれた3種の便箋がそれぞれ付録となる。
https://news.mynavi.jp/article/20210115-1645722/
小学館ならではのマンガシフトである。
ビジネスの中心を移動させようとしているのは雑誌ばかりではない。映画もそうだ。
映画.com」は1月14日付で「Netflix、2021年は毎週新作映画を配信 計71作品を製作」を公開している。
Netflixは、15年の「ビースト・オブ・ノー・ネーション」(キャリー・フクナガ監督)をきっかけにオリジナル長編映画の製作に着手し、その後、徐々に製作本数を増やしてきた。有名クリエイターの勧誘に次々と成功し、量産体制を整えることができたのは、3年前に映画部門のトップに就任したスコット・ステューバー氏の功績と言われている。
テューバー氏は、ユニバーサルを拠点に数多くの映画作品をプロデュースしたほか、ユニバーサル・ピクチャーズの副会長も務めており、有名クリエイターとの太いパイプを持つことでも知られている。》
https://eiga.com/news/20210114/14/
映画ビジネスの中心がネットフリックスに移動しようとしている。ライフスタイルのデジタル化とコロナ禍によって、多くのメディアビジネスにおいて中心が移動しつつあるのである。

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3)【記事】安野光雅が昨年12月24日に亡くなっていた

朝日新聞デジタルは1月16日付で「画家の安野光雅さん死去 『ふしぎなえ』『旅の絵本』」を掲載している。
《遊び心にあふれる絵本や淡い色調の風景画で知られる画家の安野光雅(あんの・みつまさ)さんが、昨年12月24日、肝硬変のため死去した。94歳だった。葬儀は家族で営んだ。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1J0PSTP1HUCLV016.html
ミシマ社の代表・三島邦弘がインスタグラムに投稿している。
安野光雅さんご逝去。。つい先日、小一の長男と『はじめてであう すうがくの絵本』をコタツで寝そべりながら遊んだところでした。1ページ1ページから溢れでる愛を感じて、何とも幸せなひとときを過ごしました。心よりご冥福をお祈りいたします》
https://twitter.com/mishimakunihiro/status/1350395434146131970
今井書店のブックカバーは安野光雅である。
安野光雅先生の訃報に驚きました。津和野ご出身で地元に縁のある方であり、また当社今井書店のブックカバーは安野先生の絵を使わせていただいております。(このカバーは当社スタッフも大好きで自慢のひとつなんです)
先生、沢山の作品をありがとうございました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。》
https://twitter.com/imaibooks/status/1350296201225142276
安野光雅赤紙で召集された世代である。朝日新聞の北野隆一のツイ―ト。
安野光雅さんは19歳で召集され、香川県終戦百人一首をもじり「歌かなし終戦の夜は歩哨にてわが衣手は露にぬれつつ」と詠み「戦はすべての論理を破壊する。殺されもするが、殺しもした。それが戦争というものだった」とつづった》
https://twitter.com/R_KitanoR/status/1350300090255122432
ロバート・キャンベルが呟く。そう、その通りだ。
《暗く緊張した夜に「もりのえほん」を開くだけでパッと陽のさす木立へ運ばれたものでした。合掌。》
https://twitter.com/rcampbelltokyo/status/1350329153359233024
国立ハンセン病資料館の学芸員・木村哲也のツイート。
安野光雅さん装幀の『ハンセン病学全集』全10巻(皓星社。この全集が出たとき、とっても清新な印象を受けたのを憶えている。》
https://twitter.com/KimutetsuHD/status/1350344234293870596
こんなツイートを発見した。
安野光雅さんが昨年暮れになくなっていたらしい。94歳。『ハンセン病学全集』は安野さんの装丁だった。安野さんが長く「数理科学」の表紙を描きその編集長が村松武司だった縁による。合掌。》
https://twitter.com/koseisha/status/1350302610910179329
安野とかかわりの深い版元によるツイートがタイムラインには並んでいる。
岩波書店《画家の安野光雅さんがお亡くなりになりました。温かみのある独創的な作品で数々の国際的な賞を受賞。小社では、絵本「きつねがひろった イソップものがたり/グリム童話」シリーズ、新書『絵のある人生』、エッセイ集『故郷へ帰る道』等をご執筆いただきました。謹んでお悔やみを申し上げます。》
https://twitter.com/Iwanamishoten/status/1350291634441879552
福音館書店《画家であり絵本作家でもある安野光雅さんがお亡くなりになりました。『ふしぎなえ』『もりのえほん』「はじめてであうすうがくの絵本」「旅の絵本」シリーズなど、本当にたくさんの絵本を子どもたちに届けてくださいました。謹んでご冥福をお祈りします。》
https://twitter.com/Fukuinkan_PR/status/1350352125054763009
平凡社安野光雅さんがお亡くなりになりました。名著『空想工房』をはじめ、90年以上にわたる人生を振り返った一昨年刊行の『安野光雅 自分の眼で見て、考える』まで、弊社でも大変お世話になりました。心よりお悔やみ申し上げます。》
https://twitter.com/heibonshatoday/status/1350297634662088710
筑摩書房《画家の安野光雅さんがお亡くなりになりました。
筑摩書房では、ちくま庫の創刊時からの装幀や「ちくま学の森」の編者、『庫手帳』のデザインを務めていただき、『片想い百人一首』(ちくま庫)などを刊行させていただきました
謹んでご冥福をお祈りいたします。》
https://twitter.com/chikumashobo/status/1350304144733605891
庫《安野光雅さんの訃報をニュースで知り、寂しさに包まれています。装丁でも何度もお世話になりました。半藤さんに続き、なつかしい方を失い、悲しいです。ご冥福をお祈りいたします。》
https://twitter.com/bunshunbunko/status/1350301541731766274
月刊MOE《画家、絵本作家として数々の絵本を手がけた安野光雅さんが逝去されました。
MOEでも長年に渡り取材に快く応じていただき、安野さんが92歳の2018年8月号には「子ども、絵本、『考える』こと」と題する1万字のインタビューを掲載させていただきました。ご冥福をお祈り致します。》
https://twitter.com/MOE_web/status/1350374811797577728
東京新聞《本紙では二〇〇二年、化面で「安野光雅字パレット」としてエッセーを連載した。一二年十月に本紙「原発事故取材班」が菊池寛賞を受賞した際、「芸春秋」誌上で「涙ぐましい報道」と祝辞を寄せた。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/80381

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4)【記事】東京五輪開催に懐疑的な海外メディア!わが国の大新聞・テレビは沈黙

共同通信は1月16日付で「東京五輪中止の可能性、米紙報道 コロナ影響で開催見通し厳しく」を配信している。
《米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、新型コロナウイルスの影響で今夏の東京五輪の開催見通しが日々厳しさを増しており、第2次大戦後、初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。》
https://this.kiji.is/722980033327775744?c=113147194022725109
やはりディック・パウンドIOC委員(カナダ)が「私は確信できない。ウイルスの急増という誰も触れたがらない問題が進行中だからだ」と述べたことが大きいのだろう。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021010800854&g=spo
田原総一朗が共同の記事を引用ツイートしている。
《この報道、日本のオリンピック委員会はどのように対応するのか。日本としては何としても実現したいと考えてるはずだ。》
https://twitter.com/namatahara/status/1350394296558473217
デイリースポーツは1月16日付で「東京五輪、海外紙中止言及相次ぐ 理由に『開催国のサポート喪失』と米ブルームバーグ」を掲載している。
《…15日の米ブルームバーグ通信は「東京2020五輪がまだ確実ではない理由」と題し、「第二次世界大戦以来、最初の中止となる可能性がある」と報じた。
中止となる理由について、3点を挙げ「1つは各国が予防接種を実施しているにも関わらず、依然として猛威をふるうパンデミック世界的流行)」、「2つ目は日本政府が1月に大都市圏で緊急事態宣言を出しており、日本で依然として感染が高く推移していること」、そして最後の理由として「3つ目は、パンデミックの最中に世界的なイベントを開催することが壊滅的なコロナウイルスの波をもたらす可能性があることを多くの人が心配している。開催国のサポートの喪失です」とし、NHKの世論調査で開催支持が16%しかなかったことを指摘した。》
https://www.daily.co.jp/general/2021/01/16/0014010033.shtml
時事通信は1月16日付で「東京五輪、コロナ猛威で暗雲 高まる中止論、春がヤマ場―ワクチン頼みも見通せず」を配信している。
《政府は今春、観客の受け入れの在り方を最終判断する方針。3月25日には福島県から聖火リレーが始まる。昨年は聖火リレー開始直前に1年延期が決まった。聖火リレー開始までに、緊急事態宣言を解除し、感染収束にめどを付けることができるかが焦点となりそうだ。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021011600400&g=spo
共同通信は1月16日付で「河野氏の五輪発言波紋『どちらに転ぶか』と報道」を配信している。
《ロイター通信が河野氏の「(無観客の可能性を含めて)五輪に備えて最善を尽くす必要があるが、どちらに転ぶかは分からない」との発言を紹介し、フランス紙フィガロも「日本の閣僚、五輪が開催されない可能性に言及」と伝えた。》
https://this.kiji.is/723172685101154304?c=39546741839462401
ひろゆき(西村博之)のツイートが核心をついているのかもしれない。
《国内であれば、日本政府は無理を通して道理が引っ込ませられるけど、海外は無理なんですよねぇ。。
いくら日本人に向けて気炎を吐いてもオリンピックは外国選手が来ないと出来ないんですよ。。と。》
https://twitter.com/hirox246/status/1350262368044019718
「はりぼて」の監督・五百旗頭幸男のツイート。
ノルウェーファイザー社のワクチン接種後に23人が死亡。
全員80歳以上の高齢者で基礎疾患があったようです。日本も高齢者の接種を優先的に進める方針ですが、東京五輪開催ありきの逆算スケジュールで急いだあまり犠牲者が増えたなんてことは絶対にあってはなりません。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1350145772046569473
小泉内閣で秘書官をつとめた小野次郎は新聞やテレビといった大メディアの姿勢を問うている。
《日本で開催するかどうかの問題なのに、内外の感染状況から、厳しい見通しをキチンと伝えるのは海外の報道。
国内の報道は、開催予定に拘る現政権に「忖度」して、未だに言葉を濁している。
それでは、報道の存在価値がない。》
https://twitter.com/onojiro/status/1350419688426147841
ラグビー平尾剛京都新聞東京五輪は中止すべきだと主張していることをミシマ社代表の三島邦弘のツイートで知った。
京都新聞平尾剛さん「東京五輪は中止すべき」。「これまで運営側の商業主義を問題にしてきたが、いったん差し置く。世界がコロナ禍に見舞われている今は、五輪などやっている場合ではない」「一刻も早く中止すべき」「最前線で奮闘する医療従事者に、これ以上の負担をかけてはならない」。100%支持!》
https://twitter.com/mishimakunihiro/status/1350035395556196353
全国紙はお得意の両論併記すらしないで済ませている。スポーツ紙だが、日刊スポーツが一面で取り上げていた。小説家の吉村萬壱呟いている。
東京五輪は「出来ない」のではなくて、日本の意思として「しない」と言うべきだと思う。》
https://twitter.com/yoshimuramanman/status/1350382263238754309
共同通信は1月17日付で「東京五輪変更なし―加藤官房長官 欧米各紙の中止可能性否定」を配信している。
加藤勝信官房長官は17日のフジテレビ番組で、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、欧米各紙が今夏の東京五輪が中止となる可能性を相次いで報じたことに対し、開催方針に変更はないと報道内容を否定した。》
https://this.kiji.is/723431263864438784

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5)【本日の一行情報】

朝日新聞デジタルに1月14日付で掲載された「『刀剣乱舞』が教えてくれた刀の美 知識深める女性たち」(斉藤勝寿)によれば、「刀剣乱舞―ONLINE―」で日本刀ブームに火がつき、1939(昭和14)年に岩波新書の一冊として刊行された本間順治の「日本刀」も今また売れているという。
《『日本刀』は43年発行の5刷で品切れになっていたが、「岩波新書クラシックス」の一環として2019年10月に6刷として復刊された。最初に刷った部数は発売後3日ほどで売り切れ、4カ月弱で累計1万5千部を超えるヒットとなった。版を重ね、昨年11月には12刷となっている。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1F3QXNP1BUZVL001.html

日本経済新聞は1月16日付で「時価総額1000億円超相次ぐ 今年上場見通し、100社規模」を掲載し、こう書いている。
《ネット銀行大手の住信SBIネット銀行クラウドファンディングを手がけるCAMPFIRE(キャンプファイヤー)が上場準備に入った。》
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=2&ng=DGKKZO68229130V10C21A1DTA000&scode=8473
家入一真が呟く。
《知らなかった…》
https://twitter.com/hbkr/status/1350280536112025600
家入はキャンプファイヤー代表取締役だ。
https://campfire.co.jp/board/

東京新聞1月17日付で佐藤洋二郎が増田みず子の「小説」(田畑書店)を書評で取り上げている。
《心情が素直に吐露されていて、こちらも書けない日々が続いたこともあるので、書けない苦しみは同業者として心が揺さぶられるものがあった。十代での家族との確執。高校で一年先輩だった夫と結婚した喜び。孫のような青年を好きになる戸惑い。老いてスポーツをやる愉(たの)しみ。認知症になった両親を見つめる目。それら日々の暮らしを通して作家の生きざまが見える作品で、切り口のいい短編集だ。久しぶりに小説というものを堪能した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/80236
何よりも、そのタイトルに驚かされる。中沢けいもツイートしている。
《すごいタイトル。増田みず子の最新刊。》
https://twitter.com/kei_nakazawa/status/1325230441901686784
まさにこれが小説なのだという作家の矜持が込められている。しかも、増田にとって約20年ぶりの新刊であることにも驚かされる。
《真っ直ぐな言葉の連なりが織り成す微妙な色合い。
読むほどに人と人の心の綾が身に沁みて、少しだけ人生が愛おしくなる ― 長い沈黙のトンネルの果てに、作家がたどり着いた境地。
およそ20年ぶりの新刊、堂々の復帰作。》
https://twitter.com/infotabata1968/status/1325229841843691521
増田みず子は「孤体」という言い方をしていた。「〈孤体〉の生命感 小説と生命の論理」が刊行されてから30年以上が経つのか。「小説」は増刷したようだ。田畑書店が昨年末にツイートしている。
https://twitter.com/infotabata1968/status/1341267870630612992
堂書店や高久書店はちゃんとツイートで取り上げている。こういう書店が学を支えているといっても過言ではあるまい。
https://twitter.com/Kyoubundo_new/status/1327147225303101443
https://twitter.com/books_takaku/status/1328216546175373313

◎ガースー・ベイダーはマスコミ対策には長けているということなのだろう。1月15日付首相動静。記者会見よりも、たっぷりと時間を割いている。
《午後2時57分から同3時27分まで、新聞・通信各社の論説委員らと懇談。
 午後3時28分から同54分まで、在京民放各社の解説委員らと懇談。》
 午後3時55分から同4時19分まで、内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談。
《午後7時40分から同43分まで、報道各社のインタビュー。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021011500294&g=pol
新聞通信社論説委員懇談30分、在京民放解説員懇談 26分、内閣記者会加盟記者懇談24分で合計80分となり、これは1月13日の首相記者会見よりも30分も長いのである。国民の見えないところでは、サービスに抜かりがないということなのだろうか。
https://twitter.com/jitsute_rayu/status/1350305189866086400
首相の広報戦略の基本方針は記者会見軽視、人間関係重視なのだろう。

東スポWebは1月14日付で「『週刊アサヒ芸能』1月21日特大号 特別付録は『素人ラブホ撮影会』DVD76分 未公開シーンも満載」を掲載している。
《年末年始3号連続の特別オリジナル付録第3弾は、好評シリーズ「素人ラブホ撮影会」のDVD76分。初々しいメーキング動画、そして誌面では未公開だったシャワーシーンなどが満載だ。》
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/2615457/

◎「J-CASTニュース 」が出口 治明と上野 千鶴子の対談本「あなたの会社、その働き方は幸せですか?」を取り上げている。1月14日付「上野千鶴子さんと出口治明さんの嘆き 『みんながオフィスで仕事しよう』という経営者は無能力だ」がそうだ。ちなみに上野は京大俳句会の出身だ。
《「好きなことはお金にならない」「置かれた場所で咲くということ」など、二人の働くことへの意識は驚くほど似ている。たまたま1948年生まれ、学部は違うが京都大学の同期生ということもあるのだろうか。それぞれユニークな仕事をしてきた二人の言葉は、これから就職しようという大学生や若いサラリーマンの参考になるだろう。》
https://www.j-cast.com/kaisha/2021/01/14402377.html?p=all
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396617493
出版ビジネスの奥深さとは、「百田尚樹日本国憲法」も、「あなたの会社、その働き方は幸せですか?」も、ともに版元が祥伝社ということだ。

◎「DIGIDAY」は1月14日付で「デジタル広告の『収益増』に湧く、日本の地方新聞社たち:『目標を2倍に上方修正した』」を公開している。
《今期、中国新聞社全体の売上は、昨年に比べ減少する見込みだ。しかし、はじめて緊急事態宣言が発令された2020年4月、中国新聞デジタルのページビュー数は前年同月の7倍以上に跳ね上がり、それに伴いデジタル広告による収益は伸長。5月以降もページビュー数は上下しつつも、高い水準を維持し続けているという。
園部氏は「コロナ不況により、広告単価はおよそ3割低下した。しかしそれ以上に、ページビュー数やインプレッション数が増加したことにより、デジタル広告の収益が伸びた」と述べる。また、同社では現在、プログラマティック広告と純広告を扱っているが、そのいずれも好調だという。
また、埼玉新聞社でも同様の傾向が見られた。加藤氏によると、2020年度上半期、デジタル版埼玉新聞のページビュー数は、コロナ禍における情報需要の高まりから大幅に増加。デジタル広告収益は前年比の2倍にまで成長しているという。》
https://digiday.jp/publishers/the-impact-of-covid-19-on-the-digital-advertising-business-of-local-publishers/
「元記者の紀谷理馬」がこの記事を引用ツイートしている。
《コロナによって特に地域ニュースのニーズが高まり地方紙のPVが高まった。7倍ほどに増えたケースもあるというが、広告収益は2倍止まり。つまり単価は下がってる。売り方を変えたわけではないから当然。アドセンスSSPを張っているだけのまま。これは本質的な成長ではない。》
https://twitter.com/motokisha/status/1349940384181350402
いずれにしても地方紙は生き残りに必死なのだろう。ニュースを扱うメディアである限り、デジタル化は地方紙といえども避けては通れないのである。

博報堂、大広、読売広告社の2020年12月度単体売上高。博報堂の12月は対前年比は-1.6%だから、ほぼ復調している。そうしたなかにあって新聞やテレビが対前年比でプラスの数字を記録しているなかで雑誌は-21.9%。しかし、だからといって出版が広告業界から遠ざかっているわけではない。「鬼滅の刃を見よ!である。出版は他メディアと連動、連携することによって、広告ビジネスには欠かせざるプレイヤーなのである。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2433/tdnet/1918660/00.pdf
復調したところで再び緊急事態宣言である。

産経新聞は1月14日付で「拝啓 玉川徹様 報道の使命忘れた『煽り発言』に思う 白岩賢太・大阪正論室次長」を掲載している。
《…中国のコロナ対策が成功したかのようにおっしゃっていますが、本気でそう思っておられるのか、不思議でならないことがあります。
かの国はつい先日も、新型コロナの発生源を調べる世界保健機関WHO)の調査団の入国を拒否していましたよね。その不誠実な態度のみならず、一連のコロナ対応をみていれば、そもそも当局発表の情報が信用に値するのか、むしろ疑いの目を向ける方が、ジャーナリストとして常識的な感覚だと思うのですが、いかがお考えでしょうか?》
https://www.sankei.com/west/news/210114/wst2101140005-n1.html
記事のタイトルと記事の内容は随分と違っているのではないか。大阪の「正論」くんは、中国さえ引き合いに出さなければ、問題がないと言っているように私には読めてしまう。「正論」くんには、ウイズ・コロナか、ゼロ・コロナかという本質的なところで玉川批判はできないようだ。

トーハンは緊急事態宣言発出に伴う業務体制を1月7日付で次の