【文徒】2021年(令和3)1月25日(第9巻14号・通巻1911号)つづき

◎「TOUTEN BOOKSTORE」(トウテンブックストア)が1月16日、名古屋市熱田区の沢上商店街にオープンした。へぇ~コーヒーのみならずビールも飲める。平日は午前7時45分と朝早くから開店している。店主の古賀詩穂子は日販からエディトリアル・ジェットセット(東京)を経て、今回の開業に至る。
https://onimaga.jp/touten-bookstore.html

◎「月刊パチマガスロマガ」(プラントピア:発行 発売:双葉社)が、1月21日発売の2021年3月号をもって休刊。「パチンコ攻略マガジン」として1987年11月に創刊されてから34年の歴史に終止符を打った。
https://biz-journal.jp/gj/2021/01/post_203650.html

◎全国にTSUTAYAを展開する蔦屋書店と徳間書店、TSUTAYAの店舗で取り扱うエンタテインメント商品の商物流事業会社であるMPDは、徳間書店が発行するアニメ雑誌アニメージュ掲載の描き下ろしイラストを使用した「TSUTAYA限定オリジナルグッズ」の完全受注生産での予約販売を1月22日(金)より開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001139.000018760.html

毎日新聞は1月22日付で「ファクトチェック 本当にデタラメなのか 河野太郎行革相が批判したNHKワクチン報道を検証した」(井川加菜美)を掲載している。
《気になるワクチン接種の時期をめぐるNHKの報道を、ワクチン接種を担当する河野太郎行政改革担当相が「デタラメ」だとツイートした。担当大臣の否定である。ネット交流サービス(SNS上ではNHKへの批判が噴出。ところが、厚生労働省の公表資料に類似スケジュールが出ていたことから、河野氏への批判も出ている。》
https://mainichi.jp/articles/20210122/k00/00m/010/216000c
毎日新聞編集編成局次長兼写真・映像報道センター長の斎藤信宏が引用ツイートしている。
《あまりに軽い河野太郎氏。正しい報道をフェイクニュースのように投稿するその言はアメリカのトランプ前大統領のようで怖くなります。》
https://twitter.com/nobusaitoh/status/1352584793351811073
毎日新聞ウェブ編成センターの大村健一も引用ツイート。これ言い得て妙だ。
Uberで頼んで「あと15分で来ます」と表示されているのを、店主が「フェイクニュースだ」と言い、「実際はあと1時間かかるぞ」と威張って開き直る感じ。》
https://twitter.com/k_oomura/status/1352892006100475904
江川紹子が「YAHOO!ニュース」に「河野太郎・ワクチン担当相への期待と懸念~その発信力と情報コントロールへのこだわりについて~」を発表している。
河野氏にしてみれば、すべての段取りが整って、自身が納得のいく状態で発表し、それを伝えてこそ、正確な報道なのだろう。そのため、行政機関のトップとして、情報漏れが起きないような措置を講じる、というのは理解できる。しかし、自身の発信力を利用し、予定外の報道を「フェイク」扱いし、その信用性を毀損することで情報をコントロールしようとするのは強権的に過ぎるのではないか。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20210123-00218931/
河野太郎はトランプ流を意識しているのだろうか。

◎「ハーバー・ビジネス・オンライン」は1月23日付で「権力に擦り寄り、スクープを取れなくなった大手新聞。記者クラブの大罪 <編集者・元木昌彦氏>」を掲載している。「月刊日本」2月号に掲載された記事だが、元木は次のように語っている。
《…『週刊春』以外の週刊誌が再びスクープに取り組むことはないでしょう。『週刊現代』や『週刊ポスト』の編集長にスクープ志向の人がついたとしても、スクープをやらなくなってからだいぶ時間がたっていますから、編集者や記者にスクープをとるためのノウハウがなくなっているので、『週刊春』のような真似はできません。会社も費用対効果を考えて、スクープをとる体制を復活させるとは思えません。》
https://hbol.jp/237561

◎「カレーの日」だという1月22日、小学館は第2回「日本おいしい小説大賞」を受賞した幸村しゅうの「私のカレーを食べてください」を刊行した。巻末には、「第7回料理レシピ本大賞【コミック賞】」受賞の印度カリー子特製カレーレシピが掲載されている。
印度カリー子もまた1月22日に「一肉一菜スパイス弁当」を世界化社から刊行している。加えて両社はTwitterもしくはInstagramで「私のカレーを食べてください」か、「一肉一菜スパイス弁当」のうち、どちらかの本の表紙と、ユーザーが好きなカレーをいっしょに写した写真を投稿すると賞品が当たるキャンペーンを共同で実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001000.000013640.html
1月22日が「カレーの日」だとは知らなかったが、私は銀座のナイルでムルギランチの大盛を平らげている。私はムルギランチを40年以上にわたって食べ続けている。恐らく最低でも2000食は食べているはずだ。大東亜戦争がアジア解放の理念を持っていたことを証明するのがナイルでもある。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784892193064

静岡新聞は1月22日付で「街の本屋巡りに新たな形 各店独自の『御書印』集め、参加店増加」を掲載している。
《昨年6月に加わった谷島屋(本社・浜松市中区)は2店舗で発行している。連尺店(同区)は明治初期の趣ある外観を描いた版画をはんこに選び、島崎藤村の小説「新生」から「今日まで自分を導いてきた力は、明日も自分を導いてくれるだろう。」の一を入れる。1938年に書店の看板字を島崎に依頼した経緯から同社営業本部の野尻真さん(47)が「先が読めない時代だからこそ前向きになれる、心に残るものを探した」と話す。
静岡市内で2店舗を展開する吉見書店は、駿府城巽櫓(たつみやぐら)と徳川家康像、安倍川と富士山をはんこのモチーフに、芭蕉句とちゃっきり節の一節を選んだ。創業者が駿府城内にあった静岡学問所教授から書籍商を始めた縁も込めたという。竜南店の柳下博幸店長(53)は「お客さんとの会話が弾む。地元の歴史を見直す機会になれば」と期待する。》
https://www.at-s.com/news/article/culture/shizuoka/853933.html

新潮新書スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著/久山葉子訳)が発売二カ月で22万部に到達した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000047877.html
緊急事態宣言が発出されてから書店は混み始めているんだよね。

◎「リアルサウンド」は1月22日付で「三島由紀夫命売ります』帯に加藤シゲアキがコメント 累計発行部数32万部突破記念」を掲載している。
三島由紀夫、異色のエンタメ小説『命売ります』(ちくま庫)が累計発行部数32万部を突破した。これを機に、加藤シゲアキコメントと写真を掲載した新しい帯となる。2月5日出荷分よりこの帯が巻かれ、全国書店で随時発売される。》
https://realsound.jp/book/2021/01/post-695358.html

集英社は、松井玲奈の小説第2作「累々」を1月26日(火)に刊行するが、発売前重版が決まったそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000202.000011454.html

◎「南方熊楠のロンドン 国際学術雑誌と近代科学の進歩」(慶應義塾大学出版)でサントリー学芸賞を受賞した志村真幸が「熊楠と幽霊」をインターナショナル新書から刊行した。
https://www.atpress.ne.jp/news/244004
安藤礼二河出書房新社から「熊楠 - 生命と霊性」を刊行している。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028491/
今年は南方熊楠の没後80周年にあたる。

日本経済新聞は1月22日付で「グーグル、仏メディアに記事使用料支払いへ」を掲載している。
《米アルファベット傘下のグーグルは21日、同社サービスでニュース記事を表示する場合に、使用料を支払うことでフランス報道各社と合意したと発表した。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2205Z0S1A120C2000000

◎やはり異例というべきだろう。1月23日付朝日新聞が書評で投資ファンド経営者の書いた本を絶賛しているのだ。取り上げたのは、みさき投資代表取締役社長の中神康議がダイヤモンド社から刊行した「三位一体の経営 経営者・従業員・株主がみなで豊かになる」である。評者は慶大教授の坂井豊貴である。冒険小説のようなビジネス書とまで絶賛されている以上、これは読まねばなるまい。
《…著者は卓越した経営者だけがもつ、特異な仮説を重視する。例えばヤマト運輸小倉昌男は、国家が宅配事業を独占していた時代に、巨大な宅配ネットワークをつくれば勝てると仮説を立てた。そのような仮説こそが、競合を阻む巨大な障壁となり、高い利回りを長期化させる。著者は経済や経営の学識を丁寧に使い、論理を積み上げていく。その展開はまるで冒険小説のようだ。語り口は柔らかいが、著者の心の躍動が伝わってきて、ともにこの世の秘密を覗いている気分になる。》
https://book.asahi.com/article/14128511
日本経済新聞も《みんなで貧しくなる歯車を止め、逆に動かす取り組みが浮き上がる》とまで評価しているのか。
https://twitter.com/hiroshi_toshima/status/1347720293712764931

朝日新聞経済部記者・野口陽のツイート。
毎日新聞は、素晴らしい報道をいくつもしてきた。地に足をつけて真摯に取材をする、見習うべき記者が多くいる。
同社の資本金減額を揶揄する声があるが、私は応援していく。彼らが頑張ってくれなければ、日本のメディアや言論の危機は、さらに深まると思う。》
https://twitter.com/ngcyh/status/1352256112507056129
その通り、だ。

東京新聞は1月24日付で玉川奈々福の「浪花節で生きてみる!」(さくら舎)の太田和彦による書評を掲載している。
《一方興味を持ったのは、上智大学を卒業後、出版界に入り、筑摩書房では鶴見俊輔井上ひさし両氏らに従いて日本学全集を編むなど名編集者として知られた前歴だが、それを表にしない姿勢は「異色の浪曲師」などと呼ばれたくない覚悟の定まりだった。週五日は編集業、土日は過酷な浪曲修業を十九年も続けて倒れて会社を辞し、一気に浪曲再興につき進む。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81568/

村上春樹は、ラジオ番組「村上RADIO」の「年越しスペシャル~牛坂21~」でゲストに日本学術会議前会長の山極寿一を呼んでいた。毎日新聞は1月24日付で「村上春樹をめぐるメモらんだむ なぜ『焚書坑儒』を語ったのか」を掲載している。
《…村上さんは「日本の政治家はゴリラの世界ではリーダーになれそうにない気がする」と語った。その後、おもむろに「学術会議を政府はなんであんなに煙たがるんですか」と核心の問題に切り込んだ。山極さんは新会員候補105人のうち6人の任命拒否を知った時「腰を抜かすほどびっくり」し、菅義偉首相に理由を聞いたが、「理由は言えない」との答えだったと経緯を説明。村上さんが「変わってますよね」と評したのを受けて、山極さんは述べた。
「問答無用だというわけです。これが民主主義国家かと思いましたよ。さっき言ったサルの政治になっている。(中略)もう少しゴリラを見習えば、もっと平和な政治になると言いたい」》
《特に村上さんは「焚書坑儒」という表現で、今回の問題は明白な言論弾圧だという見方を示し、反対意見に耳を傾けない政治は腐敗すると指摘した。》
https://mainichi.jp/articles/20210124/ddm/014/070/005000c

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4)【深夜の誌人語録】

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