【文徒】2021年(令和3)4月14日(第9巻69号・通巻1966号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】本屋lighthouseの啖呵と矜持、怒りと響き
2)【記事】今日の東京オリンピック
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
5)【お知らせ】 
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1)【記事】本屋lighthouseの啖呵と矜持、怒りと響き

本屋lighthouse〈幕張支店〉。支店といっても本店は「台風で屋根が飛んだりする小屋本店は改修のため一時休店中」だそうだ。次のような連ツイを発表している。
《近所にDHCの研究所?があるお店として「在日コリアン(にかぎらずあらゆる国籍のひと)は日本の敵ではない」と強い意志を持って明言しておきます。当店には差別やヘイトを助長する本はありませんので、安心してご来店ください。青の看板に恐怖を覚えても、それより濃い紺の中に灯台がありますので。》
《本を買わなくても大丈夫ですので気楽にご来店ください。本棚眺めて帰るのもよし、奥の部屋でぼーっとして帰るのもよし、オクラの水遣りしてもよし。なんなりとどうぞ。昨日サッカーボールも手に入れたので店の前でパス練習もできます。いえい。》
《夜、青の電光看板が光り輝いてるわけですよ。それを見て多くの人は「明るくて安心する」とか思うんでしょうけど、ある人にはそれがとてつもない恐怖を覚えるものになっているわけですよね。そんなんおかしいじゃないですか。》
《あなたにとっては「なんも怖くないもの」でも、誰かにとっては「命の危機すら感じるもの」になる。それが差別やヘイトのもたらす影響なんですよね。だから「自分は差別してないから」では足りなくて、はっきりと「やめろ」と言わなくてはならない。それでもまだイーブンにもならない。》
https://twitter.com/book_lighthouse/status/1380501140387766275

https://twitter.com/book_lighthouse/status/1380503367076605953
これに「野良猫丸」が次のようにリプライした。
《この手の理論には、もううんざりですよ。
私は自分の欲しい本のある店に行くよ。
朝田理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E7%94%B0%E7%90%86%E8%AB%96
「不利益と不快を感じさせられたら全て差別」「差別か否かというのは被差別者しか分からない」といった、つまり『差別』と感じた者に全ての決定権と主導権があるという考え方。》
https://twitter.com/wildcat_x/status/1381524208279187458
本屋lighthouse〈幕張支店〉は、このリプライを次のように引用ツイートしている。
《ありがとうございます。当店にはお越し頂かなくて結構です。「死ね」「殺してやる」などと言われている人がいるという現状に対して、「差別だと感じたら全部差別になるのはおかしいよね」的な言説をぶつけてくる人間は被差別者にとって恐怖でしかないので、違う本屋に行ってください。》
https://twitter.com/book_lighthouse/status/1381587238836838401
本屋lighthouseはホームページに次のような章を掲げている。少し長いが全をお読みいただきたい。
《2019年5月1日、本屋lighthouseは畑のなかの小屋の本屋としてスタートしました。そのときのウェブサイトに記した、
 暗闇に迷うひとには足下を照らす光を
夢を抱くひとには果てなき道を照らすしるべとなる光を
過去、そして未来へと あまねく光を
 というテーマは、いまも変わっていませんし、これからも変わることはありません。
 本は光となりうる。読むひとにとって。書くひとにとって。その間をつなぐ存在としての、灯台でありたいと思っています。
 では、なぜ本は光となりうるのか。そこには人生が、そして歴史が織りこまれているからだと思います。本を読むこととは、書き手の人生を知ることであり、書き手や私たち皆が生きている社会の歴史を知ることです。それらは「過去」と言い換えることもできるでしょう。
そして、私たちが自らの現在や未来に希望を抱くことができるのも、過去の積み重ねがあるからです。本に書かれている/描かれている多種多様な生きかたや価値観、その積み重ねとしての連綿とつづく歴史=過去。私たちは先人が残してきたそれを本を通して受け継ぎ、同時に、私たちがいま/これから積み上げていくそれを後世に向けて本として残していくことで、未来の「私たち」ひとりひとりを、ひいては社会全体をよりよいものにしていくことができる。そう考えています。
 本屋はその媒介です。ゆえに、社会を苦しみや憎悪に満ちたものへと向かわせるような本を置くことはあってはなりません。少なくとも本屋lighthouseはそうありたいと思っているし、そのためにいくつか基準のようなものを設定しています。
とはいえ設定といっても、厳格で明確なそれを提示することはできないので、本屋lighthouseでは「かっこいい大人になるための本」というものをイメージしながら、本屋を運営していきます。
となると「かっこいい大人」とはなんなのか?という問いが新たに生まれ、やはりまたそれに対する厳格かつ明確な回答は出せないのですが、逆に「かっこわるい大人」というのはなんなのかを考えてみると、つまり「本棚に並べない本」のことを考えてみると、いくつかはっきりとわかるものがありました。
 ・他者を傷つけることで自らの苦しみを誤魔化そうとする大人
・自己保身のために嘘をつく大人
 つまり、いわゆる「ヘイト本」や「歴史修正主義的な本」です。これらに該当する本は、本屋lighthouseでは一切扱いません。お客さんからの注品であっても断ります。どうしても欲しい場合はほかの本屋でお買い求めください。いまのあなたは「ヘイト本や歴史修正主義本に頼ることでしか自らを救えないほど弱っている」状況なのでしょうから。ですがあなたが向かっている先にあるのは底なしの暗闇です。いつかこちらに、光のほうへ来てくれることを願っていますし、そのときはハグをしましょう。ようこそlighthouseへ。
 他者を傷つけることなく自らを救うこと。自らの過ちと向き合い、乗り越えようとすること。この2つができていれば「かっこいい大人」なのだと思いますし、頭がいいとか仕事ができるとかおしゃべりが上手いとか見た目がいいとかお金持ちだとか、そういうのは関係ないです。
後世のひとたちが、いや、もっと身近に考えて、いま目の前にいる子どもたちが、「こういう大人になりたい」と憧れるような存在に、私たち皆でなりましょう。私たちがしあわせな人生を送るために必要なのは、まっとうな社会であり、まっとうな社会であるためには、私たちが「かっこいい大人」である必要があるのです。》
https://books-lighthouse.com/about/
私は2018年(平成30)8月30日付で本屋lighthouseの関口竜平を取り上げている。
https://teru0702.hatenablog.com/entry/20181001/1538378405
関口は2018年8月26日付で「本屋lighthouseにおける『腐った本』への対応について」を発表している。
《長いことモヤモヤしていたことへの区切り、覚悟のようなものがついた。いや、つけたいからつける。いまから。
講談社のケント本、そして新潮45と、いわゆる大手の出す「腐った本」への向き合いかた。》
《これから本屋lighthouseでは、「僕が」「腐った本だ」と判断した本を出している版元の本は、その売上を、その「腐った本」によって傷つけられているひとたちを支援するために使うことにする。もちろん腐った本そのものは仕入れない。》
https://note.com/books_lighthouse/n/n1cee9d72e044
本屋lighthouseは次のように呼びかけている。
《たとえば神奈川は大船のポルベニールブックストアさん(@porvenir_books1 )なんかもハッキリとNO HATEを表明してますが、ほかにも同様の表明及び実践をしている本屋は増えてきていると思います。リストにまとめたいですね。なので「うちもやで!」という本屋、挙手!!》
https://twitter.com/book_lighthouse/status/1381611135997075462

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2)【記事】今日の東京オリンピック

朝日新聞デジタルは4月12日付で「NHK聖火リレー、30秒の空白 当事者に聞いたその時」(宮田裕介、上田真由美)を掲載している
《このとき、沿道では10人ほどが五輪への抗議活動をしていた。その一人、江沢正雄さん(71)は帰宅後、ライブ配信を見ていた妻から音声が消えていたと知らされ、驚いた。「技術的なことはよくわからないけれど、意図的に声を絞ったのだとしたら、その後ろにある意思というか思想というか、表現の自由踏みにじられたと思えてしまう」と話す。
この日、江沢さんたちは「密」にならないよう気をつけながら、長野市内の大通りで小さなハンドマイクを使って「オリンピック反対」「長野オリンピックで残ったのは借金と自然破壊だけ」などと訴えた。朝日新聞を含む報道機関が五輪のオフィシャルパートナーに名を連ねることにも言及しながら、「メディアはオリンピックに協力するな」とも声をあげたという。》
《ドキュメンタリー作品で知られる映画監督、作家の森達也さんは「現実にある音を消すことは加工であり、NHKの『さまざまな状況に応じて判断』という回答は、説明責任を果たしていない」と話す。ヘイトスピーチなどが映像に入れば、緊急的に音を消す対応することはありうるが、その場合でも説明することが必要だという。
そもそも、NHKは受信料制度によって市民が支えている。政府やスポンサーの意向を受けない公共メディアとして、五輪反対の声や、少数派の意見も紹介する番組をつくるべきだという。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4D4TBKP49UCVL01L.html
辻田真佐憲のツイート。
聖火リレーなんてそもそも五輪となんの関係もなく、ただ準備したからいまさら止められず、開始しちゃったわけでしょう。》
https://twitter.com/reichsneet/status/1381814947445809153
毎日新聞は4月12日付で「やまゆり園遺族ら『寝耳に水』『違和感』 パラ聖火の採火に疑問」を掲載している。
《2016年7月に入所者19人が殺害される事件があった相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で東京パラリンピックの聖火の採火をすることについて、事件の遺族や被害者家族が中止を求める意向であることが判明した。
13日に神奈川県と同市に要請する。中止を要請するのは、事件で娘の美帆さん(当時19歳)を失った母親と、重傷を負った尾野一矢さん(48)の父剛志さん(77)。遺族らは「まだ心の傷が癒えていない。フェスティバルの一環としての採火に違和感を持つ」などと説明している。》
https://mainichi.jp/articles/20210412/k00/00m/050/244000c
東京新聞は4月12日付で「やまゆり園での採火中止を 遺族ら相模原市に要請「遺族の気持ちないがしろ」を掲載している
《2016年7月に入所者ら45人が殺傷された相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で東京パラリンピックの聖火を採取することに、事件の被害者の遺族や家族が反対していることが12日、分かった。「家族が犠牲になった場所で採火が行われるのは違和感がある」として、市と神奈川県に中止を要請した。
要請したのは、事件で犠牲になり、昨年1~3月に開かれた横浜地裁公判で名前だけ明かされた美帆さん=当時(19)=の遺族と、重傷を負った尾野一矢さん(48)の父剛志さん(77)。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97620
ミサオ・レッドウルフのツイート。
《やまゆり園聖火の件に本当に憤る。というか、悲しくなるよね。こういう発想できる人って、心か倫理観が病んでるんじゃあないでしょうか。ただでさえ五輪辞めてほしいのに、もううんざりだ。》
https://twitter.com/MisaoRedwolf/status/1381588583388045320
日本経済新聞は4月13日付で「大阪の聖火リレー万博公園でスタート 公道回避は初」を掲載している。
東京五輪聖火リレーが13日、大阪府で始まった。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて公道での開催が初めて中止となり、代替措置として「太陽の塔」のある万博記念公園(同府吹田市内を周回するコースとなった。感染対策のため一般客を入れず、観覧は家族ら少人数に制限された。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC127C80S1A410C2000000/
毎日新聞は4月13日付で「東京五輪は『最悪のタイミング、一大感染イベント』 NYタイムズ」を掲載している。共同通信の配信記事だ。
《12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、日本で新型コロナウイルス感染が収まらずワクチン接種も滞る中で東京オリンピック開催するのは「最悪のタイミング」であり、日本と世界にとって「一大感染イベント」になる可能性があると伝えた。》
https://mainichi.jp/articles/20210413/k00/00m/050/054000c
東京新聞の望月衣塑子がツイートしている。
《大阪は千人を超えた。ワクチン打てる国は限られる、五輪開催は見送るべきだ》
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1381857058689978368
東京新聞は4月13日付で「出来レース? 73億円「五輪アプリ」の入札期限がわずか4日半、応札1者のみ 公正性に疑問の声」(坂田奈央)を掲載している。
《73億円という巨額の予算が投じられた「オリパラアプリ」は、事業の委託先が競争入札で決められたものの、応札したのは1者のみだった。入札の公示から書類の提出期限までが、年末年始の休みを除くと実質4日半しかなかったことから、手続きの公正性に対する疑問も上がっている。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97648
東京新聞は4月13日付で「海外客断念なのに…73億円『五輪アプリ』の見直し迷走中」(坂田奈央)を掲載している。
東京五輪パラリンピック新型コロナウイルス対策として、訪日観戦客の健康管理を行うアプリの開発が迷走している。3月に海外からの観戦受け入れを断念した後、政府が利用の仕方を決めかねているためだ。この「オリパラアプリ」は、開発する民間企業への委託費約73億円に対して当初から「高額だ」との批判が上がっていたが、政府は現時点で事業の凍結に向かわず継続する方針だ。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97645
西日本新聞は4月5日付で「【東京五輪感染症】 平野啓一郎さん」を掲載している。平野は五輪中止の決断を一刻も早く急げと提言している。
《メディアは、五輪が中止になった場合の損失を試算するが、なぜ、それによって感染症の対策に集中した場合の利益を示さないのか? その場合の受益者が誰なのか、なぜ分析しないのか? 変異株の蔓延(まんえん)が、第4波を招く懸念の強い現在、開催の強行で、コロナの感染拡大に収拾がつかなくなった場合の損失は、どのように想定されているのか? もし五輪を去年の段階で中止し、コロナ対策に専念していたならば、どれほどの経済効果があったのか?
そもそも、「復興五輪」という名目自体が、完全な欺瞞(ぎまん)だった。東京で五輪が開催されることが、なぜ、東北の復興の証となるのか? 五輪を通じて象徴的に被災地を応援するのと、直接支援するのと、どちらが効果的だったか?
五輪に、「人類がコロナに打ち勝った証」などという意味づけをするのは、恐るべき軽薄さである。
一体、いつ、「人類がコロナに打ち勝った」のか? その「人類」には、コロナの犠牲者たちも含まれているのか? コロナの克服とは、ただ、人々が感染リスクを怖れずに元の生活に復帰することではないのか? その象徴機能を、なぜ五輪が担う必要があるのか?》
《実質を欠いた「証」を幾ら掲げても現実は良くならない。政府と東京都は、一刻も早く五輪中止の判断を下し、コロナ対策に全力を注ぐべきである。》
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/718429/
春オンライン」は4月13日付でプチ鹿島の「『下世話』が『王道』を超えてしまう“強烈な違和感” 本当の正論はどこにあるのか?」を発表している。少し長めに引用しよう。
《このところ「週刊春」という猟犬は、“東京五輪の開閉会式の演出”を口にくわえてどんどん獲ってきてます。下世話です。
これに対して五輪組織委員会は「掲載誌回収」「春オンライン記事の削除」を求めた。すると春は「税金が投入されている公共性の高い組織のあり方として、異常なもの」と指摘。返り討ちでその闇体質をツッコんでいた。
しかも回収要求を出された次号では組織委の「内部告発5連発」をデカデカと載せた。その見出しには、
「回収要求された小誌だから書ける」
あーあ。
五輪組織委は春にエサを与えてしまった。回収要求なんてしたら逆に喜ぶに決まってる。「向こうから飛び込んできたぞー、お前も焼いてやろうか」という山賊の宴会みたいだ。言わんこっちゃない。聖火がますます炎上している。
 ただ、ここ数週の記事を読むと演出プランをただ暴露しているのではなく、開会式の演出チームがいつのまにか「乗っ取られていた」ことを追及していた。つまり莫大な税金を使うイベントの公益性を問う内容だった。
皮肉な展開である。この本質を新聞もテレビも見て見ぬふりするから、下世話が王道を超えてしまっている。スキャンダリズムがいつの間にか東京五輪の不透明な体質を問う役割を担っている。いいのか他のメディアはそれで。》
https://bunshun.jp/articles/-/44742
プチ鹿島師匠のおっしゃられる通り。新聞は変化球しか投げられず、剛速球は「週刊春」が独占してしまっているという「歪み」が生じてしまっているのだ。新聞は読者に見捨てられるだけなのだろう。私が心配なのは剛速球投手の肩である。

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3)【本日の一行情報】

◎4月11日付産経新聞が掲載している「【聞きたい。】佐藤直樹さん 『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』」で佐藤は「美術史って探偵っぽい面白さがあるんですよ」と語っているが、同書はミステリを読むような面白さであった。カラヴァッジョの「聖マタイのお召し」で、マタイがどの人物かを説明する筆致は、まさに美術探偵の筆さばきであった。版元が世界化社であることが意外であった。
https://www.sankei.com/life/news/210411/lif2104110009-n1.html
ちなみに佐藤の西洋美術史印象派は入っていない。

◎薗部真一という名前は覚えておきたい。藝春秋で「証言『機動戦士ガンダム藝春秋が見た宇宙世紀100年」を担当した編集者だ。「リアルサウンド」が4月11日付で公開した「『機動戦士ガンダム』の事件を春がスクープ!? 担当編集者が語る、前代未聞のガンダム本へのこだわり」で、薗部真一は次のように語っている。
《2年前に藝春秋に転職したんですが、その前の会社でもガンダムに関係する書籍を編集していたんですよ。転職した後に、またガンダムに関連する仕事をやりましょうと権利元のサンライズさんとお話していて、それでふと出たのが「藝春秋らしいガンダムの本を出せないか」というアイデアだったんです。それはどういうものだろうか……と詰めていくうちに、どうせなら「宇宙世紀藝春秋があったら」という体裁でいこうということになりました。》
《僕も月刊の「藝春秋」や「週刊春」編集部にいたことがあるわけではないので、一生懸命それぞれを読んで研究しました。ぶっちゃけ、ただの読者に近いところにいたので(笑)。だから外から来た人間としてある種パロディをやった感じですね。そういう意味で藝春秋という会社は懐が深いな、と。》
《テキストに関してだと、基本的に藝春秋の雑誌って記者が自分で何かを断言しないんですよ。まず誰か関係者とか目撃者の証言があって、それに対してまた反論の証言を集めたり裏を取ったりしながら結論を導く形です。だから勝手に「私が取材したところこうだった」と書くのではなく、誰かがこう証言していた、というカギカッコ付きの証言を積み重ねていく記事にしてほしいというのはライターさんにお願いしました。》
https://realsound.jp/book/2021/04/post-737720.html
ちなみに薗部真一は宝島社の出身。「このマンガがすごい!」の編集長だった。「翔んで埼玉」を当てたのも薗部だ。実は、宝島社に入社する前は、祥伝社中途採用では落ちてしまったようである。「ざんねんな偉人伝」シリーズの真山知幸がツイートしている。
《「なかなか呼ばれませんね」。2004年あたりだろうか。祥伝社の中途面接の会場で話しかけてきたのが、薗部真一君だった。二人とも選考には落ちたが、それからの付き合いで、お互いの状況も変わった。薗部君は紆余曲折を経て藝春秋社へ、私は執筆業へ。思えば遠くまで来たものだ。お楽しみはこれから。
https://twitter.com/mayama3/status/1305514549685043206
藝春秋はマンガに本気なのである。藝春秋の出版社としての幅がじわりと広がりつつあるのは間違いあるまい。

Netflix、凄い。今度は「機動戦士ガンダム」の実写版を独占配信してしまおうというのか。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2104/13/news055.html

◎マガジンハウスのライフスタイル誌「Hanako」は、フルーツの輸入加工販売を行うユニフルーティー ジャパンと、同社の定番商品である「こだわリッチ」バナナのパッケージデザインとコンテンツを共同開発した。4月12日頃より順次、コラボレーションパッケージに切り替わり、6月末までの期間限定で発売される。購入者だけが読める特典であるエッセイを執筆したのは、吉本ばななだ。「こだわリッチ」バナナに貼られたシールをめくると現れるQRコードを読み込めば、購入者特典のエッセイが読める仕組みになっている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000184.000030125.html

ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ」は編集作業をオンライン化しているのか。千人のスタッフが紙を使わず、在宅のまま編集しているという。
https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00129/032500027/?i_cid=nbpnxta_top

テレビ東京系にて現在ドラマ化され放送中の「私の夫は冷凍庫に眠っている」は小説投稿サイト「エブリスタ」で話題を集めた同名小説を、小学館が運営するコミックアプリ「マンガワンがコミカライズしたもの。更に紙の出版物としても刊行されることになった。しかも書き下ろしエピソードを増補した内容で、小学館庫より5月7日(金)に発売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001104.000013640.html
「投稿サイト→庫化→コミカライズ→テレビ化」ではなく、「投稿サイト→コミカライズ→テレビ化→庫化」という流れに注目したい。紙の出版を一番後に持って来ることで、紙の出版物の売行をマックスに持って行こうという考え方なのだろう。

小学館集英社プロダクションの運営する保育施設は、本物に触れる質の高い食育活動を行うことを目的として、フルーツを通じた食育活動を展開するため新宿高野とのコラボレーションをスタートした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000402.000002610.html

朝日新聞デジタルは4月12日付で「見えぬ中国の『情報』リスク LINEが突きつけた問い」(福田直之、編集委員・峯村健司、杉山歩)を掲載している。
《対話アプリ「LINE」の個人情報が業務委託先の中国企業からアクセスできる状態になっていた問題をきっかけに、情報管理をめぐる「中国リスク」に注目が集まっている。中国には、国民や企業に諜報活動への協力を義務づける「国家情報法」があるが、運用の実態は見えない。日本企業にとって、どこにどんなリスクがあるのかも分からず、対応に苦慮するケースが増えそうだ。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP496CZ7P49ULFA029.html

毎日新聞が4月12日付で掲載している「90年越しの悲願成就 なぜ松山英樹は勝てたのか その意義は?」(角田直哉)は次のように書いている。
新型コロナウイルスが中国・武漢から拡大して以降、米国ではアジア系住民らへの人種差別やヘイトクライム憎悪犯罪が深刻化している。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は松山選手の優勝を「アジア人やアジア系米国人に対する人種差別的な暴力が社会に動揺を与える中での画期的な勝利」と報じた。》
https://mainichi.jp/articles/20210412/k00/00m/050/267000c

朝日新聞デジタルは紙では4月7日付で掲載した田玉恵美論説委員の「多事奏論」を4月12日付で拡大版として掲載している。タイトルは「NHK値下げの社説を書いた 総務省に呼び出された」。
《もう一度、総務省に行って課長と話をしてみたいと考え始めた翌月、ニュースを見ていて思わず声が出た。東北新社にいる首相の長男らから違法接待を受けて懲戒処分を受けた官僚の中に、あの課長の名前があった。同社の外資規制違反問題でも渦中の人になっている。》
《あの抗議の真意を知りたい。改めて課長に取材を申し込むと、接待問題の調査担当者を経由して、国会対応などで相当多忙であり取材はお断りしたいと返事が来た。放送法を勉強しろとお怒りだった課長に、国家公務員倫理法の勉強はどうなっていたのかも聞きたかったのだが。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4C425KP49USPT001.html

◎メディアドゥと出版取次大手のトーハンは、業務提携の目的である全国書店の活性化を実現するために、ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)を活用した「デジタル付録」のサービスを開始する。このサービスに関する技術開発は2021年夏ごろの完了を予定しており、サービス展開は年内を目指すという。
現在、KADOKAWA講談社集英社小学館と施策の検討を開始している。この取り組みでリアル書店のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現し、書店で魅力あるデジタルコンテンツを入手可能にすることで、来店者増、紙出版物の売上増、出版業界全体の活性化を図る。
https://mediado.jp/service/3842/

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4)【深夜の誌人語録】

正論に欠けているのは正論だ。

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5)【お知らせ】 

」2000号まで、あと34号。