【文徒】2021年(令和3)4月15日(第9巻70号・通巻1967号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】今日の東京オリンピック 朝日は「無観客開催」が社論!?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】 
----------------------------------------2021.4.15 Shuppanjin

1)【記事】今日の東京オリンピック 朝日は「無観客開催」が社論!?

朝日新聞デジタルは開催を前提に世論調査を実施した。4月12日付で「五輪『観客なしで』45%『制限」』49% 朝日世論調査」を掲載している。
《10、11日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、東京五輪パラリンピックの観客数をどうするのがよいか尋ねたところ、「制限して行う」は49%、「観客なしで行う」は45%だった。「通常通りの観客数で行う」は2%どまりだった。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4D6GW7P4DUZPS004.html
朝日新聞デジタルは、こうした記事を書く一方で「五輪まで100日、本当に開催できるの? 各地で懸念」を掲載している。荻原千明がサッカーや7人制ラグビーの会場となる東京スタジアムなど、三つの競技会場がある調布市を取り上げている。西田とは西田医院院長の西田伸一のことだ。
《市医師会長でもある西田さんは、医院での患者対応と、ワクチン接種の準備に追われている。「五輪、本当にやるのでしょうか」》
《海外観客は入れないことが決まったが、関係者だけでも相当な人数の来日が予想される。変異ウイルスの入ってくる可能性を懸念する。「開くのであれば、無観客しかない」。医院の外の街灯では、大会をPRするフラッグが揺れていた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4F7QGXP4FUTIL004.html
この二つの記事からし朝日新聞の「社論」は無観客開催であることがわかる。
毎日新聞は4月13日付で「迫る五輪、課題山積 選手『優先接種』報道に批判、観客上限決まらず」を掲載している
《政府が東京五輪パラリンピックの日本代表選手に新型コロナウイルスワクチンの優先接種を検討しているとの報道が流れると、ネット交流サービス(SNS)では「あり得ない」「医療従事者と高齢者の命をないがしろにするのか」と批判する声が相次いだ。
丸川珠代五輪担当相は9日の閣議後会見で火消しに追われ、こう強調せざるを得なかった。「現時点ではもちろん、これから先も具体的な検討を行う予定はない」》
《産業能率大が3月に発表した五輪の意識調査によると、回答を得た全国1万人のうち、コロナ下での開催条件として「無観客しかない」との意見が69・2%を占めた。「無観客開催」は国民の理解を得る新たな打開策となり得るが、大きな痛手を被る。組織委が900億円を見込むチケット収入が失われるため、さらなる公費負担が避けられない。さらに感染が広がれば、新たなジレンマが待ち受ける。》
https://mainichi.jp/articles/20210413/k00/00m/050/275000c
毎日新聞も「無観客開催」か。毎日新聞は4月14日付で「新型コロナ 五輪100日前 「赤信号」太陽の塔に聖火 一般客入れず周回」を掲載している。
大阪府聖火リレーが13日、万博記念公園吹田市)で始まった。コロナ感染者の急増を受け、府は7日に独自の警戒ランクで最悪の「赤信号」を点灯させ、府民に不要不急な外出の自粛を求めた。当初は18市町の計約40キロを巡る計画だったが、公園内3キロの周回コースに集約された。14日までの2日間で計約180人のランナーが約200メートルずつを走る。当日は一般客の出入りが規制され、観客はランナー1人につき家族ら4人に絞られた。》
https://mainichi.jp/articles/20210414/ddp/012/050/008000c
毎日新聞は4月14日付で「松山市での聖火リレー中止決定 代替策なくランナー走れず」を掲載している。
東京オリンピック聖火リレーについて、愛媛県中村時広知事は14日、松山市内でのリレーを中止すると発表した。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う措置。県によると、代替策もなく、ランナーに走る機会がなくなるのは全国で初めて。既に大会組織委員会に申し入れ、了承を得た。》
https://mainichi.jp/articles/20210414/k00/00m/050/150000c
共同通信が4月13日に配信した「やまゆり園での採火、『ありえない』と考える6つの理由
作家の佐藤幹夫氏に聞く」で「飢餓陣営」を主宰する佐藤幹夫は次のように語っている。
《主催者は、やまゆり園で採火することで、共生社会の実現をアピールするといいます。しかし、やまゆり園は大惨事が起きた場所です。亡くなった方々への哀悼も十分でないまま共生社会のアピールの場とする、というその考え方に強い疑義を持ちます。自分たちを利するときだけ障害者の存在を持ち出し、アリバイ作りとする。そう思えてならないのです。市長のいう「共生社会」や「新しいパートナーシップ」をどう考えるか。
誤解を受けやすいところですが、たとえば近代的に整えられた施設があり、そこで利用者の方たちが安全と安心を満喫して過ごしている。専門的な訓練を受けたスタッフによって、手厚い支援を受けることができる。設備も外観も整えられている。そのような施設が各地に完備されていくことが、共生社会の実現に向かっている姿だと私は考えません。》
https://this.kiji.is/753907997669343232?c=39546741839462401&fbclid=IwAR3uSADCQD932gpGXbXfInhfMcD7cmgIUeT8mJEIrSmgQ8W_uCoYZaPwt_U
共同通信は4月13日付で「五輪続行はリスクと英紙 日本とIOCに自問促す」を配信している。
《英紙ガーディアン(電子版)は12日、新型コロナウイルス再拡大の懸念があることを受け、今夏に延期された東京五輪の開催に「ショーは続行しなければいけないのか?」と疑問を呈する論説記事を公開した。》
https://this.kiji.is/754649837977206784?c=39546741839462401
日本低国の報道機関は海外メディアの厳しい論調を紹介することに長けているというべきか。五百旗頭幸男のツイート。
《未だかつて世界からこんなに白い目で見られた五輪があっただろうか。
NBC聖火リレーの火は消されるべきだ」
NYタイムズ「一大感染イベント」
ガーディアン「続行しなければいけないのか?」》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1381969604596039688
英タイムズの論調も厳しかった。
讀賣新聞よりもスポーツ報知のほうが東京五輪に厳しい記事が多いのではないだろうか。スポーツ報知は4月13日付で「東京都医師会長、東京五輪『これ以上感染拡大すれば無観客でも難しい』」を掲載している。
《東京都医師会の尾崎治夫会長は13日の会見で、14日に開幕100日前を迎える東京五輪パラリンピックについて「これ以上感染が広がることがあれば、現実的には従来通りの色んな国から選手が来て開催される五輪というのは、例え無観客であってもなかなか難しい」との見方を示した。》
https://hochi.news/articles/20210413-OHT1T50184.html
日テレNEWS24」は4月14日付で「IOCが断言 東京五輪は『確実に開催』」を公開している。
東京オリンピックの開幕まで14日で100日となるのを前に、IOC(=国際オリンピック委員会)がビデオメッセージを公開し、「大会は確実に開催される」と断言しました。》
https://www.news24.jp/articles/2021/04/14/10855882.html
「Weの市民革命」が話題の佐久間裕美子のツイート。
《経済も回したい、五輪もやりたい割には大した感染対策もせずに、精神論で押し通そうとしたところで感染大拡大、そこに原発処理水流すとか、自ら世界の顰蹙を一身に集めにいく感じ、政府は何がしたいんですか。》
https://twitter.com/yumikosakuma/status/1381854023792390144

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2)【本日の一行情報】

◎オトバンクは、講談社と提携して、講談社現代新書の一部を音声で楽しめるポッドキャスト「聴く講談社現代新書」の配信を4月12日よりaudiobook. jpのほか、iTunes PodcastSpotify 等、各音声プラットフォームで開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000034798.html

◎アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が公開178日間で動員2869万人、興収396億円を突破した。400億円を達成するのかもしれない。
https://www.oricon.co.jp/news/2190153/full/
映画の興行収入集英社の利益とはならないのだろうけれど、これは凄い数字だ。

◎「現代ビジネス」は4月13日付で飯田一史の「意外と知らない…空前の『ショートショートブーム』が起こっている『これだけの理由』」を発表している。
《2021年4月には、主に「週刊少年ジャンプ」掲載マンガのノベライズを刊行するレーベル集英社ジャンプjBOOKSもオリジナル短編集『5分で読める驚愕のラストの物語』『5分で読める胸キュンなラストの物語』『5分で読める恐怖のラストの物語』で新規参入するなど、今もこのジャンルは拡大を続けている。》
《たとえば小説投稿サイト「小説家になろう」の年間純学【】ランキングで1位となった村崎羯諦『余命3000字』や、Twitter上に書かれた140字ぴったりで完結する神田澪のショートショート集『最後は会ってさよならをしよう』などは、いわゆるライト芸の読者層(大人の女性が多いとされる)を中心に「感動」と「驚き」を求める人たちにも支持されている。》
ここは重要な指摘だ。
《本がたくさん出版されている背景には、読み手が増えただけでなく、書き手も圧倒的に増えているという事情がある。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81953?imp=0
芸誌の「世界」に収まらない芸が生まれつつある。

幻冬舎が運営するブロックチェーン/暗号資産(仮想通貨)専門メディア「あたらしい経済」と、学習サービスPoL(ポル)を運営するtechtecは業務提携することを発表した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000588.000007254.html

SmartNews(スマートニュース)のチャンネルプラスに「FRIDAYデジタル」チャンネルが開設された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003184.000001719.html

◎日販は、図書館選書センターに2020年5月~2021年3月に来場した図書館関係者が選書した図書のランキングを発表した。セット部門(小・中学校)で第1位となったのはKADOKAWAグループの汐社の「地球が危ない!プラスチックごみ」。小学校の単品部門第1位は、光村図書出版の「なんだろう なんだろう」(ヨシタケシンスケ)。中学校の単品部門の第1位はイカロス出版の「行きたい!企業ミュージアム」であった。
https://www.nippan.co.jp/news/sensho-center-ranking2020/

川端康成学賞が千葉雅也「マジックミラー」(ことばと vol.1)に決まった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000047877.html
千葉雅也がツイートしている。
《短編「マジックミラー」で第45回川端康成学賞を受賞することになりました。初めて挑戦した短編作品なのにまさかと驚いています。ありがとうございます。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1381821010198994945
《親戚の間でお祝いの電話が飛び交ってるらしいのだが、あの小説で……笑》
https://twitter.com/masayachiba/status/1382116734950281217
《同性愛のリアルをテーマにした小説を書くとなると、それが評価されて親族の知るところとなれば半ば自動的にカムアウト的意味を持ち、親族はそれを認めつつ半分見ないようにするみたいな、だがおめでとうおめでとうと盛り上がる、というなんとも微妙な状態になる。このこと自体が小説的なのだが。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1382117764396052485
《うちは親にはカムアウトして一応受け入れてもらっているが、他の親戚にべつに言うことでもなく、『デッドライン』の芥川賞ノミネートで騒がれたときに、親が親戚にほどほどに説明してくれたらしい。そこは面倒なので任せるから、と伝えたのだった。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1382118499925954560
「ことばと vol.1」の版元は福岡の書肆侃侃房だ。
http://www.kankanbou.com/books/kotobato/3966
私には「学界」5月号に千葉が発表した「霊的世俗性―フーコー『肉の告白』論」の「罪と救済という二元性のゲーム」という言い方が刺激的であった。ゲームから脱落する、ゲームから逃げる。そんなことを考えながら二時間ほど休憩した。

◎「サントリー天然水」のテレビCM「雨あがる」篇は良かった。石橋静河が魅力的だ。父が石橋凌で、母が原田美枝子
https://www.advertimes.com/20210413/article346643/

◎第20回「女による女のためのR-18学賞」は宮島未奈の「ありがとう西武大津店」が大賞、読者賞、友近賞を受賞し、初の三冠に輝いた。4月22日発売の「小説新潮」5月号に掲載される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000190.000047877.html
タイトルが良いなあ。

村上春樹がディスクジョッキーをつとめる番組「村上RADIO」は、4月より毎月最終日曜日放送の、月イチレギュラー番組として放送されることになった。月イチレギュラーキックオフの4月25日(日)の「村上RADIO」の選曲テーマは、「村上RADIO~花咲くメドレー特集~」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002346.000004829.html
どこか田中康夫をDJとしたレギュラー番組を企画してくれないものか。私は田中の「たまらなく、アーベイン」が傑作であるということを学史の常識として語り継いでゆきたい。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309023762/

東京新聞は4月13日付で「DHC吉田会長、ネット上で『コリアン系』ヘイト声明 荒唐無稽な主張次々」(石井紀代美、佐藤直子)を掲載している。
《「在日コリアンが日本を支配しているなどとこれほど繰り返すのは、今どき珍しい。コテコテの、古風なネトウヨ言説だ」と語るのは、立教大の明戸隆浩助教社会学)だ。》
《明戸氏は、今後の影響について「DHCと取引している企業やふるさと納税事業などで連携している自治体も、このヘイトを見逃して取引を続けたら同罪だ。ヘイト問題はDHC一企業の問題にとどまらなくなった」と分析する。》
《ジャーナリストの安田浩一氏は「差別を許容してきた日本社会はDHCを甘やかしてきたが、企業は株主や従業員だけでなく、消費者や地域とつながる社会的責任ある存在だという認識を徹底しなければ」と指摘する。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/97800

◎「NEWSポストセブン」は4月13日付で「付録もIT化 創刊96年の『小学一年生』、時代に合わせた誌面作り」を掲載している。
《朗らかな声を上げてカラフルな地図上を進むのは、雑誌『小学一年生』5・6月号の付録「プログラミングタケコプター」。進行方向のボタンを押すと、その指示通りにドラえもんがしゃべりながら動いていく。同誌の長竹俊治編集長が言う。
「小学校でプログラミングの授業が始まったこともあり、ドラえもんで楽しく学習してもらうため付録にしました。いまの子供たちはさまざまなデジタルデバイスに慣れ親しんでいるため、付録も常に進化させる必要があります」》
https://www.news-postseven.com/archives/20210413_1650584.html?DETAIL
小学館の雑誌にとって付録は雑誌の「入口」なのだ。付録が総ての雑誌とは一線を画しているということだ。

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3)【深夜の誌人語録】

始まりを恐れてはならない。

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4)【お知らせ】 

」2000号まで、あと33号。