【文徒】2017年(平成29)年1月31日(第5巻18号・通巻947号)

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1)【記事】“パクリ撃退マニュアル”を『アサヒカメラ』が次号で再掲載(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】“パクリ撃退マニュアル”を『アサヒカメラ』が次号で再掲載(岩本太郎)

昨年末のDeNA騒動を発端とした「まとめサイト」などでのパクリ問題は今なおネット上で盛んに議論されているが、そうした中で写真専門誌『アサヒカメラ』2月号の特集が話題になっている。同号では“緊急企画”として「写真を無断使用する“泥棒”を追い込むための損害賠償&削除要請マニュアル」という8ページの記事を掲載しているが、『BuzzFeed News』のレポートによれば、1月20日に発売された同号は何と既に“超品薄”になっているとか。佐々木広人編集長は取材に対し、完売しても増刷はしないと語ったが、次の3月号(2月20日発売)には同じマニュアルが再掲載されるという。
佐々木編集長は『BuzzFeed News』に以下のようにコメントしている。無理もないところだろう。
《本当に腹が立ったんですよ。実はずっとイライラしていて、企画のタイミングを見計らっていました。まとめサイトの問題が話題になった今であれば、皆さんの心に間違いなく刺さると考えました》
https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/asahi-camera?utm_term=.vrEYmxm1J#.ovRwozoW4
https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/asahi-camera-2?utm_term=.xgZVKrKx3#.qjj2z5zxy
実際、ネット上ではなおも「あそこはパクリの常習犯だ」と指摘する投稿が引きも切らない。当然、一番の標的であるまとめサイトの側も対応に追われており、例えば「NAVERまとめ」を運営するLINEも25日に開かれた決算会見の席上、出澤剛社長自ら対応策について語っていた。
http://japan.cnet.com/news/business/35095554/
その一方では「パクっていてもバレないように」あの手この手で対応策に走っているメディアもあるらしく、今や追及の目はそちらにも向かっている。「はてなブログ」上の「鈴木です。」というサイトの主であるブロガー「鈴木」は、27日付の「とにかくバレないように工夫を凝らすキュレーションメディア、パクリの常連であるトリッピースのRETRIPが凄い 」と題した記事において、ベンチャー企業のtrippieceが運営する旅行情報のキュレーションメディア「RETRIP(リトリップ)」にパクリ隠しの実態があるとして、こと細かに追及している。
《パクリメディアに画像等をパクられていないか確認する方法としては
site:パクリメディアのURL+半角スペース+自身のサイトURL等
で検索することが多いと思いますが、これが出来ないようにするためRETRIPは出典元のURLにすべてリダイレクトをかけるようにしました。》
《出典偽装を最初から行っていたRETRIPですが元々はGoogleの検索結果等にリンクを張るという手段でした。でもこれは完全に法的にアウトのため(出典元が分からないというのはそもそも引用要件を全く満たさないので)、今度はリダイレクトで対応するという方法にしたのだと思います。もちろん出典元をあきらかにしても引用要件をRETRIPの場合は満たしていないとしか言えないのでアウトなんですけど、CGMということで逃げていました。》
http://suzukidesu23.hateblo.jp/entry/retrip-mlit-yuchaku
RETRIPはJTBなどの大手企業とも連携するなど、旅行情報サイトとして大きな支持を受けている。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

東京地裁から名誉棄損(きそん)を理由に販売差し止め仮処分を受けた菅野完『日本会議の研究』だが、名誉棄損とされた箇所を修正した第七刷(奥付に小さく「修正版」と記載)が既に発売中。先週末には紀伊國屋書店新宿本店でも大々的に陳列されていた。相変らず批判や逆風を逆手にとった話題作りが上手い。
https://twitter.com/iwamototaro/status/824573643778772992

防衛省の広報誌だが、女性タレントのグラビア写真など一般誌のような紙面作りでも知られる月刊誌『MAMOR』が今月で創刊10周年。発行元の扶桑社で編集長を務める高久裕が『新刊JPニュース』のロングインタビューに応じた。『SPA!』の編集を経て、2005年に社内で新設されたカスタム出版の部署に異動。そこで当時の防衛庁に「やわらかい自衛隊の広報誌を作りませんか?」と提案したのだそうだ。
http://www.sinkan.jp/news/7493
http://www.fusosha.co.jp/magazines/mamor/

◎『ヤングジャンプ』掲載作品のアニメ化企画が進行中。1月26日の正午から「週刊ヤングジャンプアニメ化企画解禁まであと――」と示すカウントダウンサイトもオープンした。2月1日の午前0時に解禁されるということだろうか。
http://kda-anime.com/
http://natalie.mu/comic/news/218308

講談社から2月7日に発売される白石麻衣の写真集『パスポート』の初版部数は「乃木坂46史上最高」の10万部。しかも発売前に異例となる1万部の重版が決定したとか。
http://www.oricon.co.jp/news/2085069/

◎『NAVI CARS』3月号の特集は「僕らが愛する『自動車雑誌』の現在・過去・未来」。現『GQ JAPAN』編集長で、かつて『NAVI』編集長を務めた鈴木正文(同誌に連載された矢作俊彦の小説『スズキさんの休息と遍歴』のモデル)のほか、カーグラフィック社長の加藤哲也、『ニューモデルマガジンX』編集長の神領貢らも登場。デジタルメディア全盛時代の自動車雑誌の在り方について模索している。
http://www.webcg.net/articles/-/35828

◎サン・クロレラ販売の広告手法をめぐる訴訟に関して、1月24日の最高裁判決では「不特定多数にあてた広告が一律に勧誘に当たらないということはできない」との判断が示された。このことは今後の通販業界や広告業界に大きな影響を与えかねないと、『ネットショップ担当者フォーラム』編集長の瀧川正実が指摘している。
https://netshop.impress.co.jp/node/3921

デジタルアドバタイジングコンソーシアムDAC)が2009年から発行している『ネット広告ハンドブック』の累計発行部数が2万5千部を突破した。
http://www.dac.co.jp/press/2017/20170127_handbook
http://www.jiji.com/jc/article?k=000000055.000017676&g=prt

◎フランスに本社を置くメガエージェンシー・ピュブリシスは、現CEOで74歳のモーリス・レビに代わって、45歳のアルチュール・サドゥン氏が6月1日付で新CEOに就任すると発表した。レビの在任期間は1987年の就任以来30年に及んだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H0I_Y7A120C1NNE000/

近畿大学が4月にオープンする新図書館は、約7万冊の蔵書のうち漫画が30%以上の約2万2000冊を占めるのだそうだ。蔵書の選定は編集工学研究所所長の松岡正剛が担当。
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20170128-OYO1T50013.html

◎2015年9月にオープンした福岡天狼院書店は独特な店づくりや、店長でブログライターでもある川代紗生のキャラクターなどから地元でも話題の書店になっているらしい。今日23時からNHK Eテレで放送される『人生デザイン U-29』が密着取材を行っているそうだ(再放送は2月4日午前1時〜)
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/3101/2319330/index.html
http://www.j-cast.com/tv/2017/01/29289165.html

和歌山市に江戸時代から続く老舗「帯伊書店」の200年を超える歴史をまとめた『帯伊書店ものがたり 紀伊国名所図会とともに』を、1月11日に同書店が自ら刊行した。
http://www.nwn.jp/news/2017012801_obiisan/
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg//061000/100nen/documents/6_obiisyoten.pdf

沖縄県宮古島市に属する離島で、人口が約30人しかおらず存続の危機にひんしているという大神島自治会が、同島の歴史や伝統文化などを記録した生活誌『ウプシ』を発行した。島内外の人たちが足かけ5年を費やして長老から聞き取り調査を実施し、秘祭・祖神祭(ウヤガン)の様子など、これまで住民間での口承でしか伝えられてこなかった島の歴史について記したという。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-435264.html

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3)【深夜の誌人語録】(岩本太郎)

無条件に自分を信用してくれる相手を、得てして人は裏切れないものだ。