2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

断片の昭和史(6) バー「メッカ」殺人事件

1953年(昭和28)7月16日、伊東絹子がミスユニバースコンテストで3位に入賞する。やがて「八頭身」美人という言葉が流行することになる。 同年7月27日、新橋駅東口の繁華街、十仁病院向かいのバー「メッカ」。客が冷えたビールを飲んでいると、さして広くな…

新聞33紙の社説が読めるアプリ「社説リーダー」を使ってみた!

新聞33紙の社説が読めるアプリ「社説リーダー」は既にアンドロイドでは存在していたアプリだが、2月15日にiphone版が遂にリリースされた。33紙というの日本経済新聞、讀賣新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞、東奥日報、岩手日報、河北新報、秋…

Gumroadと経済の「ソーシャル化」について

ソーシャルメディアは新しい経済(市場)を自らの胎内に育てようとしている。それは大量生産・大量消費の複雑な経済ではない。ソーシャルメディアは経済を原点回帰させるような力学を孕んでいると言えば良いのだろうか、極めて単純な経済を成立させようとして…

歴史ノート 一揆論のための覚書

土一揆・徳政一揆前年からの天候不順が続き、流行病が蔓延していた。室町幕府の第五代将軍・足利義量が早世し、義量の父で第四代将軍の足利義持も後継者を決めずに没したため第六代将軍・足利義教は何と籤引きで選ばれた。深刻な社会不安と幕府権力の空白状…

私はこう考える!前原誠司の産経新聞取材拒否について

民主党の前原誠司政調会長は産経新聞に「言うだけ番長」というレッテルを貼られての報道にいたくご立腹らしい。産経新聞からすれば八ツ場(やんば)ダム建設中止にしても、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件でも「言うだけ」であった前原に田中康夫が命名した「…

朝日新聞の小沢一郎インタビュー ジャーナリズムとしての堕落が新聞を滅ぼす

昨日の一面で既に予告(PRとしたほうが正確か)していたように小沢一郎のインタビューが朝日新聞のオピニオン欄に掲載された。一面題字下で曰く「民主党の小沢一郎元代表が動き始めた」。しかし、朝日新聞に登場すると、どうして「動き始めた」ということにな…

朝日新聞はこう読め!覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された文化くらし報道部記者の新谷祐一記者の書いた記事

1月13日日付の社説で『「小沢氏は検察にはめられた」と主張してきた人々は、これでも小沢氏を擁護するのだろうか』と言い放ち、小沢一郎に政治家失格の烙印を押した朝日新聞が今日2月23日付の一面に小沢一郎を登場させた。松田京平と星野典久による単独イン…

断片の昭和史(5)日本共産党の大森銀行ギャング事件

大森銀行ギャング事件を『警視庁史昭和前編』に従って再現してみよう。 昭和七年(1932)十月六日午後四時ごろ。いずれも茶のバーバリーコートにソフト帽を目深にかぶり、マスクで顔を覆った三人組が川崎第百銀行大森支店の裏口から事務室に乱入する。 三人…

光市母子殺人事件の死刑確定判決で思考停止に陥った新聞の社説

山口県光市で1991年に起きた母子殺害事件で2月20日、最高裁において「元少年」の死刑が確定した。朝日新聞、讀賣新聞、日本経済新聞、産経新聞が実名で報じ、毎日新聞、東京新聞は匿名とした。新聞社によって「見解」が明確にわかれたわけだが、朝日と産経は…

東京新聞2月19日付社説「週のはじめに考える 傍らに立つということ」に見る「俗情との結託」

昨日、2月19日付東京新聞の「週のはじめに考える 傍らに立つということ」は「です」「ます」調で書かれた社説であった。社説が「です」「ます」調で書かれていると、何故か、擦り寄られている気分になる。それだけ社説の文章はいつも偉そうだし、居丈高であ…

歴史ルポ③ 京都に刻まれた法華コミューンの痕跡を訪ねて

旅行ガイドブックの類では殆んど取り上げられることのない京都を今谷明の『天文法華の乱』をヒントにして二日間にわたって歩いてみようと思った。 「ウチのお寺は四季折々、お花が本当に綺麗なんですが注目されません」 と、この界隈の寺院関係者のひとりは…

毎日新聞「ソーシャルメディアと新聞」の小川一に問いたいこと

2月18日付毎日新聞の「つながる:ソーシャルメディアと新聞/下」によれば、同紙は14日に東京本社でソーシャルメディアを考える研究会を開いたそうだ。その場でコンテンツ事業本部次長の小川一は毎日新聞の報道の特徴は「公開」「個性」「共感」にあるととい…

断片の昭和史(4) 「連合赤軍」事件 今から40年前の「テロルの季節」

連合赤軍の誕生 昭和四十六年(1971)十二月二十七日、共産主義者同盟赤軍派の軍事組織の残党を率いる森恒夫は「新党」を宣言した。日本共産党革命左派神奈川県委員会の人民革命軍に属する永田洋子、坂口弘等は、森に分派闘争を迫られていたが、遂に川島豪議…

ソーシャルメディアと宗教について

宗教は間接的にも直接的にも、教養としても比喩としても、いまだかつて真理を含んだことはない。というのは、どんな宗教も不安と欲求から生まれたものであるからだ。 ニーチェ『人間的な、あまりに人間的な』 新興宗教、既成の、伝統的な宗教に対し、戦後に…

最近のツイートをまとめてみました!

terumasa imai @0702terumasa 私は「ジャパンナレッジ」を使っているが、これを電子書籍のプラットフォームにしてしまうことはできないものだろうか。人文系などアカデミズムにかかわる電子書籍を想定するならば『ジャパンナレッジ』がそのプラットフォーム…

断片の昭和史(3)牧口常三郎の信仰について

牧口常三郎が折伏を受け日蓮正宗に入信したのは昭和三年(1928)六月のことである。牧口、五十七歳の時である。白金尋常小学校の校長を務めていた。 牧口が柳田國男とともに新渡戸稲造が明治四十三年(1910)に発足させた郷土会の常連であったことはよく知ら…

ソーシャルメディアと資本主義について

ソーシャルメディアが依拠する「経済」は共有や贈与という、資本主義からすれば「呪われた部分」(バタイユ)に他ならない。しかし、そうはいってもソーシャルメディアも資本主義から完全に自由なわけではない。共有や贈与の経済はそれだけで自立することはで…

新聞とソーシャルメディア マスメディアという資本主義はソーシャルメディアの共有、贈与に耐えられるか?

新聞、テレビといったマスメディアの編集や報道と名のつくセクションに働く、自称他称かはいざしらず、ジャーナリストとは、何か特別な資格をもってジャーナリズムを担っているわけではない。酒場で酔いも手伝ってか、ジャーナリストでございと胸を張ったと…

『三角寛「サンカ小説」の誕生』(現代書館刊)について  

今度の一冊は400頁を超えてしまった。厚い書物は売れないから作らないと版元の多くが判断している昨今、このような無謀な企画を快諾してくれた現代書館には心の底から感謝している。 この企画の第一歩は私が三角寛というタイムマシンに乗ってみようと思った…

三角寛「サンカ小説」の終焉

昭和十五年(1940 )正月三が日、神武天皇を祭神とする橿原神宮には百二十五万人もの人々が参拝に訪れた。これは前年の約二十倍にあたる参拝者数である。こうして紀元二千六百年にあたる昭和十五年は明けたのである。しかし、紀元二千六百年とは言うものの、皇…

毎日新聞の『私たちは原発のない日本をめざします』という意見広告に反対する

昨日、朝刊に掲出された「私たちは原発のない日本をめざします」という広告にとても違和感を覚えた。そこには「私たちは原発のない日本をめざします」という文字がデカデカと刷り込まれ、その巨大活字の合間を縫って賛同者の名前がズラリと記されているだけ…

歴史ルポ② 司馬遼太郎『世に棲む日日』を歩きながら考えたこと

私たちが萩に到着したのは日没後のことである。城下町は既に闇に包まれていた。カメラ撮影を伴う取材はできないだろう。強い酒精を求めてタクシーに飛び乗る。 札場跡の信号の辺りでタクシーを降りた私たちが発見したのは場末というに相応しい崩壊感を漂わせ…

YouTubeの「TrueView」が広告のあり方を変えるのか?広告を押し付けないというマーケティング・イデオロギーの誕生

インターネットという新大陸を母胎にソーシャル・メディアが生まれたことで、広告のあり方が大きく変わりつつある。1950年代から活躍していた広告マンに聞くと、昔は企業に飛び込み営業で訪れると受付に押し売り、獅子舞、広告代理店はお断りのような張り紙…

今日はネットを賑わす「ステマ」という流行語について考えてみた

「ステマ」という流行語がある。広告業界用語と言って良いだろう。『断捨離』がベストセラーとなったから、「捨てるマーケティング」の略称だなどと早とちりしてはなるまい。もともとはステルス・マーケティング(stealth marketing)の略称である。敵のレーダ…

ソーシャル・イッピーの誕生か!?ikedahayato.blog(イケダハヤトブログ)を読んでみた

イケダハヤト。「所得倍増計画」の池田勇人ではない。むしろ、池田勇人のイデオロギーの対極に位置する思考の持ち主と言って良いだろう。イケダハヤトという名前を名乗ること自体が彼の批評性を物語っているのかもしれない。イケダハヤトはソーシャル・メデ…

Togetter「佐々木俊尚氏に絡む広告業界の人たち」を検証する

私はこのブログをはじめ、ツイッター、フェイスブックを実名をもって登録しているが、私にとってソーシャルメディアは「自由な言論」の場に他ならない。原稿料は発生しないが、1円の使用料もかからない。ソーシャルメディアとマスメディアの最大の違いは、マ…

歴史ルポ 本願寺顕如「造悪論」と織田信長「長島一向一揆」大虐殺の幻 改訂版

ある日あるとき、親鸞は弟子の唯円に問うた。 「私の言うことを信じるか」 唯円は何の躊躇もなく答える。 「もちろん、信じますとも」 一点の曇りもなく答えた唯円に親鸞は穏やかな表情で重ねて問う。 「唯円房は私の言ったことに異を唱えることはないのだな…

朝刊一面を飾る経済記事に『増税』『TPP』を後押しする新聞の『政治』を見た!

朝日新聞が損保ジャパンと日本興亜の合併を伝えた記事は1月27日付朝刊の一面を飾った。この合併が実現すれば「売上高にあたる『正味収入保険料』が約1兆9千億円になり、東京海上日動火災保険の約1兆7千億円を抜き、国内首位となる」のだそうだ。さぞや日…

毎日新聞・小川一「記者の目 ソーシャルメディアと新聞」を読んで違和感を覚えた理由

「@pinpinkiri」は私もフォローしているアカウントのひとつであった。何故、フォローをしていたかと言えば「記者とかしています」とあり、職業が新聞記者らしいことが推測されたからだ。そんな「@pinpinkiri」が実名を公開した。 毎日新聞で記者とかしていま…

人口減少と高齢化は悪いことなのか?「怒れる老人たち」を夢見るのも悪くないのかもしれない

人口減少が新聞やテレビで話題になっている。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が将来人口を推計し直した結果を1月30日付で発表したことによる。 人口推計の出発点である平成22(2010)年の日本の総人口は同年の国勢調査によれば1億2,806万人であった…