【文徒】2016年(平成28)10月3日(第4巻184号・通巻871号)

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1)【記事】長谷川豊がテレビ番組を次々に降板
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.10.3.Shuppanjin

1)【記事】長谷川豊がテレビ番組を次々に降板

長谷川豊 がテレビ大阪の報道番組「ニュースリアルFRIDAY」 を降板することになった。長谷川は同番組のキャスターをつとめていた。テレビ大阪は9月19日にエントリした長谷川のブログ記事「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」 を問題にしたようだ。日経によればテレビ大阪は「内容に行き過ぎた表現があった。報道番組のキャスターとしては、不適切な発信と言わざるを得ない」と判断したそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07808150Z20C16A9CR8000/
読売テレビの情報バラエティー番組「上沼・高田のクギズケ!」 も降板する。朝日新聞によれば「長谷川氏のブログ、およびその後の患者団体による抗議への長谷川氏の対応などから総合的に判断した」そうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASJB12V5SJB1PTFC002.html
http://mainichi.jp/articles/20161001/k00/00e/040/234000c
言論フォーム「BLOGOS」 のライターからも外されることになった。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/10/01/kiji/K20161001013456220.html
長谷川は降板の件を自らのブログで触れているが、 私などからすれば驚きを禁じ得ないのは、次のような箇所だ。長谷川はネットでの表現を軽く見ていたのである。
「本心を言うと、さすがにテレビ上の発言ではなく『ネットのブログのタイトルの文言』が、テレビ大阪の仕事を『降板』というところまで発展するとは夢にも思ってはいませんでした。そこは私の甘いところでした。私はネットはネット、番組は番組で使い分けているつもりでしたが、そういう訳にも行かなかったのでしょう。スポンサーへの大量の攻撃の呼びかけもあったと聞いています」
http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/48552418.html
http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/48562750.html
マスメディアであろうと、ネットメディアであろうと、「差別意識」に裏打ちされた「暴言」が許されて良いはずないのである。しかも、長谷川は「Nuzz News.JP」によれば自身がMCを務めるTOKYO MXの「バラいろダンディ」 でもブログ同様の暴言を繰り返していたようだ。
http://www.buzznews.jp/?p=2103006
立川志らくの次のようなツイートが目についた。
「長谷川豊氏のブログはアウト。自堕落な人工透析患者は死ねというつまり蟻とキリギリスのキリギリスは死ねという。自堕落で病気になった奴を保険で救うなという事。あのね、落語的発想だとそういう自堕落な人間ほど愛おしい。そういう駄目人間こそ人間。働き蟻は理想。人間は本来怠け者のキリギリス 」
https://twitter.com/shiraku666/status/781507839227416577
長谷川は問題のブログを書くに際して「だいちゃん.com」から盗用(パクリ)を認めた。
http://www.goo.gl/G3Oimn

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2)【本日の一行情報】

◎10月29日に東京堂書店で「知られざる出版『裏面』史 元木昌彦インタヴューズ」(発行:弊社/発売:東洋出版)の刊行を記念して元木昌彦坪内祐三の両氏によるトークイベント〈「出版『裏面』史」のそのまた「裏面」に迫る!〉を開催する。参加費は500円。
「出版に不況はないと言われ、出版が輝いていた時代−−。それは拳骨の知性をもって新たな試みに挑み、精神の拳骨をもって周囲の軋轢と戦ってきた編集者や記者たちによって切り拓かれた時代でもあった。元『週刊現代』編集長、元『フライデー』編集長の元木昌彦によって聞き出され、まとめられた本書にすら載せられなかったウラのウラに文壇内幕エッセイ『酒中日記』で知られる坪内祐三の「博覧強記」が切り込む!!」
http://www.tokyodo-web.co.jp/blog/?p=12456
是非、お申込み下さい。

◎「モテ髪師」なんていう言い方があるんだね。「彼にヘアをやってもらった女性たちからは『彼氏ができた』『ナンパされた』『プロポーズされた』という数多くの声が。そのなんと数2万人 」とは驚くばかりだ。マガジンハウスのムック「モテ髪師大悟の『自分でできる』モテ髪テクニック!」。
http://magazineworld.jp/books/paper/5137/
大悟によれば「モテ髪」とは、「自分のことがもっと好きになれる」「自分に自信が持てる『自信髪』」なんだそうだ。
http://ameblo.jp/motegamishi/entry-12182330085.html

◎「電撃文庫 秋の祭典2016」が 10月2日に秋葉原UDXベルサール秋葉原で開催された。
http://akiba.keizai.biz/headline/3865/

荒木飛呂彦 の「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社)が実写映画化される。監督は三池崇史 。公開は2017年夏。
週刊少年ジャンプ」のマンガが次々に実写映画化されている。
http://news.mynavi.jp/articles/2016/09/28/jojo/

◎「絶望の裁判所」「ニッポンの裁判」(講談社現代新書 )の瀬木比呂志 が小説家としてデビューする。タイトルは「黒い巨塔 最高裁判所」(講談社)だ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49800

YouTubeは、動画を保存しオフライン再生可能にする新たなスマホ用アプリ「YouTube GO」 をリリースする。ただし、インド国内のAndroid端末向けに提供される限定サービスだという。「iPhone Mania」は次のように書いている。
「もし、日本でも利用可能になれば、データ通信量を気にせずYouTubeを楽しめることとなりますが、現時点ではインド国内のAndroid端末向けサービスに限られており、Googleはインド以外の地域でのリリースの可能性を示唆しているものの、具体的な予定については発表されていません」
http://iphone-mania.jp/news-138224/

アメリカでの話だけれど、「DIGIDAY」の「記者・編集者のエージェンシー移籍が過熱、その理由とは?」を興味深く読んだ。
「最近では、どのブランドやエージェンシーも、自らがパブリッシャーになりたがっている。その一方、メディア企業は記者をよりよい待遇で満足させるのに苦労しており、ジャーナリズムに見切りをつけたのは、この人物だけではない 」
http://digiday.jp/agencies/exciting-upbeat-journalists-moving-ad-agencies/

◎「R25」の「異端の編集者 幻冬舎・箕輪厚介の武器は“無知”?」。箕輪は双葉社の出身。双葉社では広告に属していたが、与沢翼が「責任編集長」 をつとめた「ネオヒルズ・ジャパン」をきっかけに編集者に転身した。箕輪の次のような発言が印象的だ。
「業界が順調に拡大している状況だと、それは上に立ってる人が正しいってことになるんで、下はなかなか好き勝手できないと思うんです。今の出版業界はうまくいっていないからこそ、これまでの経験とかが関係なくなってきている」
http://r25.jp/business/00053027/

文藝春秋は『週刊文春』の特派記者を約20年つとめ、2014年よりフリージャーナリストとして活動する中村竜太郎の「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」 を刊行した。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/6619
書評サイト「HONZ 」が早速取り上げている。
「『文春ばかりに情報があつまる』との指摘がある。当たり前だろう。影響力のある報道をすれば、ネタの提供が増え、好循環が生まれる。競合他社は羨むが、もちろん、一朝一夕ではできない。出版不況の荒波に晒されても、ひとりひとりがファイティングポースをとり続けてきた結果であることを本書は教えてくれる」
http://honz.jp/articles/-/43380
言うまでもないが、文藝春秋がひとりひとりのファイティングポースを支え続けて来た結果である。

◎「週刊ポスト」が山本七平の「戦争責任は何処に誰にあるか 昭和天皇憲法・軍部 」(さくら舎)を書評で取り上げている。
「多作だった著者にまだこれだけ面白い論考が残されていることにも驚くが、編集に工夫をこらし、現在の状況への発言としても有効、有益である」
https://news.nifty.com/article/item/neta/12180-451402/

◎「トピックニュース」の「『文春砲』より恐れられるお笑い芸人 芸能レポーターが明かす」という記事だが、次のような部分に着目しておいても良いだろう。
「長谷川氏は、取材する側であるはずの芸能レポーターも『週刊文春』に怯えていると明かした。かつては週刊誌がゴシップを報じ、当事者に取材するのが芸能レポーターの役割だったが、今は『週刊文春』が動画を撮ってデジタル媒体で配信するため、自分たちの役目がなくなっているのだとか 」
http://news.livedoor.com/article/detail/12079557/

◎フォーブス ジャパンは9月28日、「JAPAN’s CEO OF THE YEAR 2016」をパレスホテル東京で開催し、「日本を動かす経営者BEST10」、「世界で最もイノベーティブな企業 日本部門 BEST3」「最もイノベーティブなスタートアップBEST3」にランクインした経営者を表彰 したそうだ。
「世界で最もイノベーティブな企業 日本部門 BEST3」は1位:三木谷浩史楽天)、2位:家次 恒(シスメックス)、3位:柳井 正(ファーストリテイリング)。
「最もイノベーティブなスタートアップ」 の1位は西川 徹(プリファード・ネットワークス)、「日本を動かす経営者BEST10 」の1位は渡邉光一郎(第一生命保険)。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000017289.html

インプレスR&Dが、2015年よりサービス提供しているPOD流通サービスの利用出版社が20社 となったそうである。このサービスは、POD設備を保有するアマゾンや三省堂書店、ウェブの書斎のほか、honto.jpや楽天ブックスといった複数のストアへのPOD出版の流通代行を行うサービスである。 利用出版社は、1種類のPDFと書誌を用意するだけで、POD流通サービスがサポートするすべてのストアで販売できるそうだ。
http://www.impressrd.jp/news/160929/NP

◎「美術手帖」を擁するCCC系の美術出版社は、Minimalと広告関連業務におけるアドヴァイザー契約を締結した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000010983.html

日経広告研究所の2015年度「有力企業の広告宣伝費」 によれば、非上場の有力企業を含む3080社(親子上場を除く)連結決算ベースの広告宣伝費の総額は6兆136億円。前年度比で4.6%増。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HGA_Y6A920C1TI5000/
この数字を前に雑誌はデジタルシフトの遅れを猛省すべきだと思う。

博報堂博報堂DYメディアパートナーズ従業員組合主催(博報堂博報堂DYメディアパートナーズ協力)の大運動会 が9月26日に千駄ヶ谷東京体育館 で開催された。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/report/33456

電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」は、「ニコニコカドカワ祭り2016〜KADOKAWA作品 26,000冊以上 50%OFF&コイン最大70倍!キング以上はさらに+5倍!! ペヤング(総計)1年分がもらえる『KADO-1』とか『KADOラブ』も開催してるから要チェケら!スペシャル〜」を10月7日(金)23:59まで 実施 している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000746.000001227.html

◎「コトビー」の「なぜ書店を支配する?日販とトーハンが本屋を欲しがる本当の理由」は次のように書いている。
「取次は詳細な売上データを持っていますから、店舗ごとの客層や立地に合った定番の売れ筋商品を知っています。
『ウチに良いデータがあるよ。このデータどおり本を並べれば問題ないから。書店員さん、仕入れはこっちに任せなさい』
といった具合です。
その通りに本を書店に並べれば、売り上げも取れるし返品も抑制できます。商売上のメリットが大きいわけです。
こうした現場への影響力を持つことができるので、取次会社が書店を傘下に収めるケースが増えているといえるでしょう」
http://kot-book.com/to-nippan-bookstore/

◎光文社の「JJnet」は、フルリニューアルから約半年を記念して、プレゼントキャンペーンを実施 している。
http://jj-jj.net/lifestyle/39743/
クイーンズコートと「JJ」がニットアップをコラボ している。
http://jj-jj.net/201611_qc/

◎光文社の「CLASSY.編集部」は今泉祐二編集長によれば「東京へぎそば 匠 TAKUMI 四谷三丁目店」を「部室」としているそうだ。
http://classy-online.jp/lifestyle/945/

日本出版クラブの「出版業界連続学生セミナー」第6回は 小学館の相賀昌宏社長を講師に して10月16日(日)に開催される。題して「出版人に求められる『視点』」。
http://www.shuppan-club.jp/?p=1014

日本電子出版協会(JEPA)は10月21日に「電子雑誌:国内での成功事例と海外へ向けた取り組み」セミナーを開催するが、ハースト婦人画報社 のデジタルプロダクト部マネージャー 兼 製作部デジタルマガジン課 松延 秀夫課長による「 電子雑誌・海外展開 翻訳配信トライアル 〜人工知能を用いたデバイス最適化について〜 」は聞いてみたいなと思う。
http://kokucheese.com/event/index/429333/
雑誌のグローバル化(≒アジア化)は雑誌社にとって必須の課題だ。日本は人口減少が加速度的に進むわけだから。

◎通販新聞の「月刊ネット販売調べ 2015年度のネット販売市場、主要300社で3兆2522億円」は「書籍、CD・DVD」分野 について次のように書いている。
「『書籍、CD・DVD』分野でも、アマゾンジャパンが3999億6000万円(推定値)で引き続きトップを獲得。集客力と各種キャンペーンによって書籍・DVDともに売り上げを拡大させた。注目企業としては、大日本印刷(DNP)グループのトゥ・ディファクトが電子書籍で伸びており、今期に入っても通販サイトの大幅なリニューアルを実施。丸善ジュンク堂といった同じDNPグループの書店との連携を深め、サイト内で店舗の売れ筋をリアルタイム表示したり、サイトを通じた店頭取り置き・取り寄せなどを可能にしている。また、ブックオフオンラインについても、前年比15%以上増加。物流倉庫の増床に加え、実店舗からの書籍在庫移動も進めた。20年3月期には売上高100億円を目指している 」
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2016/09/20153003.html

小学館桜木紫乃 の長編ミステリー「氷の轍 」を刊行する。「大型映像化」が決定しているそうだ。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09386450

◎名古屋・栄地区のシンボルである中部日本ビルディング が建て替えられることになった。朝日新聞によれば「中日新聞の水野和伸専務は『ホテルの誘致も含め、あらゆる可能性を検討する』と述べた」そうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASJ9X5JLCJ9XOIPE01L.html

◎世界最強を自認する音楽ストリーミングサービス「Spotify」が 日本上陸を果たした。
https://www.spotify.com/jp/invite/
CNET Japan」の「音楽聞き放題『Spotify』が日本参入を“じっくり”待った理由」でSpotify最高戦略責任者兼最高コンテンツ責任者のステファン・ブロム がインタビューに応じている。
「海外で展開しているSpotifyをまるまる日本に置き換えるだけではダメだと思っています。日本にとって必要なサービスを考えた際に、歌詞の表示機能(日本先行機能)が必要だと分かったのです。今後もこうした日本向けのサービスを提供していく予定です 」
http://japan.cnet.com/interview/35089824/

◎日販は、10月1日(土)から11月9日(水)まで、全国の87書店で「おはなしマラソン」読み聞かせキャンペーンを展開している。
http://www.nippan.co.jp/news/ohanashi_20160929/
87書店の顔ぶれは、こうだ。TSUTAYAが多い。
http://www.nippan.co.jp/ohanashi_marathon/list/

◎東京・秩父宮ラグビー場で開催される「ALL OUT!! DAY」に日販の移動式本屋BOOK ROUTEが出店する。
http://www.nippan.co.jp/news/alloutday_20160930/

◎宝島社が日経に出稿したベッキーセミヌード広告が予想通り話題になっている。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1717228.html
http://mainichi.jp/articles/20160929/dyo/00m/200/020000c
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/09/30/kiji/K20160930013449320.html
http://www.sankei.com/entertainments/news/160929/ent1609290005-n1.html
http://www.daily.co.jp/gossip/2016/09/30/0009538367.shtml
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160929-OHT1T50157.html
メディアがメッセージであるということは、広告もまたメッセージなのである。

◎私が原田隆に出会ったのは、当時「エスクァイア日本版」の編集長をつとめていた長澤潔を介してのことであった。記憶は定かではないが、「エスクァイア日本版」が松任谷由実ラテンアメリカに連れ出した別冊「TIERRA」を刊行した頃だったと思う。1990年であったはずだ。
私からすれば原田は書籍編集者というよりも雑誌編集者にほかならなかった。ほぼ確信をもって言えるが、私は原田が編集した書籍を一冊も読んでいないだろう。しかも、原田が書籍編集者に転身してからは、酒精をともにすることもなくなっていた。逆に原田が編集長をつとめていた頃の「フラウ」は毎号、欠かさず読んでいた。「キング」の創刊編集長も原田であった。
その昔、六本木のロアビルの裏にWDIが経営していた「スパゴ」というカリフォルニア・キュイジーヌの レストランがあったが、ここでも原田の顔をよく見かけた。西麻布の和食店でもバッタリ会ったことがある。原田と酒精を交わすのも六本木とか、西麻布であった。
原田の訃報に接したのは先々週のことだった。香港で亡くなったという。聞くところによれば杉山恒太郎電通の元取締役常務執行役員で、現在ライトパブリシティ代表取締役)、福田和也と一緒だったという。杉山とホテルでは同室であったため、脳出血で倒れたが、即座に病院に運ばれ、一回目の手術は成功したという。しかし、二回目の手術後、亡くなってしまったと聞く。10月1日の築地本願寺での通夜の前日に御遺体が日本に帰って来たそうである。
享年58歳。まだまだ亡くなるには早すぎる年齢だ。合掌。

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3)【深夜の誌人語録】

今日を迎えられるということ自体が幸福なのである。