【文徒】2018年(平成30)8月28日(第6巻161号・通巻1335号)

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1)【記事】「オウム事件真相究明の会」と「日本脱カルト協会」、2つの集会
2)【記事】「記者よりもネットデマが信用される時代」vs「ネットよりも記者が頼りにならない時代」
3)【本日の一行情報】
4)【人事・決算】集英社 平成30年8月27日付役員人事と決算報告

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1)【記事】「オウム事件真相究明の会」と「日本脱カルト協会」、2つの集会(岩本太郎)

7月の「13人死刑執行」を受けて久々にオウム真理教問題がメディアを賑わす中、先週末、2つの集会が都内で開催された。
24日が「オウム事件真相究明の会」主催の「死刑執行に抗議し、オウム事件についてもう一度考える」集会(文京区民センター)。25日は「日本脱カルト協会」の公開講座「オウムのすべて 事件をふりかえって そしてこれから」(立正大学品川キャンパス)。
私(岩本)は両日とも参加したが、どちらも会場はほぼ席が埋まる盛況だった。
http://www.aum-shinsokyumei.com/
http://www.jscpr.org/archives/446
「真相究明の会」は映画『A』監督の森達也や作家の雨宮処凛などが中心となり、麻原彰晃ら死刑囚への執行が間近との観測が流れていた6月4日に立ち上げの記者会見を行っている。
他方、日本脱カルト協会(1995年設立)は弁護士の滝本太郎など、80年代後半からオウム信者の脱会支援、サリン事件後の被害者支援に携わってきた人々が参画しており、前記「真相究明の会」に対しては当初から批判的である。特に滝本は森の『A』を試写段階から厳しく批判していたほか、森の著作『A3』が2011年に講談社ノンフィクション賞を受賞した際も、ジャーナリスト青沼陽一郎らと連名で、講談社野間省伸社長あてに抗議書を送っていた。いわば犬猿の仲である。
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24403_4.html
http://dailycult.blogspot.com/2011/09/a3.html
ウェブメディア『やや日刊カルト新聞』主宰の藤倉善郎も以前から森には批判的である。「真相究明の会」に対しても6月4日の会見に出席して以来、その趣旨のほか団体運営の在り方にまで疑問を呈する発信を続けている。
TBS出身ジャーナリストの下村健一が「真相究明の会」に名前を連ねることを見合わせる意向を同会事務局に伝えていたにも関わらず公式サイトで「賛同人」となっていた件をTwitter上で当人に指摘。これを知った下村が驚いて事務局に連絡し、名前を削除させるという一幕もあった(下村は24日の集会には登壇して発言)。
https://twitter.com/daily_cult/status/1030370319570100224
https://twitter.com/ken1shimomura/status/1030382575989080064
https://twitter.com/daily_cult/status/1030384683010293760
https://twitter.com/ken1shimomura/status/1030395188869386241
https://twitter.com/daily_cult/status/1030398084021284864
藤倉は24日の集会にも撮影およびネットでの動画中継を行うべく「真相究明の会」に申し入れるが、同会側は当日の映像中継は岩上安身の「IWJ」に限定する旨を伝えてこれを拒否。
https://dailycult.blogspot.com/2018/08/blog-post_23.html
ネット上での押し問答が続いた末に藤倉は取材を強行すべく当日会場へ赴いたが、そこではIWJのほかにテレビ朝日クルーもカメラを構えていた。そうした状況を確認した藤倉が構わずネット中継の準備に入ろうとしたところ、主催者側スタッフがこれを制止する動きに出た。「真相究明の会」メンバーで当日の司会を務めた『創』編集長の篠田博之精神科医香山リカらが制止にに入ったものの、最終的には藤倉や鈴木エイト(『やや日刊カルト新聞』主筆)によって、その姿をTwitterやブログ上で写真入りで公開される結果となった。
https://twitter.com/cult_and_fraud/status/1032929001965158401
https://twitter.com/cult_and_fraud/status/1032930624204492803
https://twitter.com/cult_and_fraud/status/1033009669793406978
https://twitter.com/daily_cult/status/1032954649156841472
https://dailycult.blogspot.com/2018/08/blog-post_27.html?spref=fb
私も当日、客席後方で背中越しに見、藤倉のTwitterでも事態は把握していた。
篠田は壇上から「勝手に中継をやっている人がいる。ルールを守ってほしい」と呼び掛けていたが、最後はほとんど諦めてしまったようで、藤倉は結局場内を自由に歩き回りながら撮影していた。香山はしつこく彼の動きをマークし続けていた。
当日不参加だった江川紹子も「真相究明の会」には当初から批判的な一人である。江川も藤倉や鈴木エイトのツイートを見ながら動きは注視していたらしく、鈴木に以下のようにリプライ。
《これは拝読したんですけど、写真から伝わってくる憎悪の雰囲気がただならぬ感じで驚きました。先方は妨害しながら、なんと言っていたの?》
https://twitter.com/amneris84/status/1033012845514907648
これに対して香山リカも翌日以下のリプライ。
《私は会場係を拝命しておりました。事前打ち合わせで、動画配信はあらかじめ許可した社のみ、従っていただけない場合は入場お断り、などの注意事項が共有され、それを遂行いたしました。「憎悪」からではありません。聴衆まで映る生配信が行われ、結果的に任務を果たせなかった責任を痛感しております》
https://twitter.com/rkayama/status/1033267305495453696
ここから江川と香山との応酬も始まるが、結局香山が《のちほどおこたえさせていただきます》と沈黙して終わっている。
https://snjpn.net/archives/64570
なお、藤倉のtwitterアカウントは上記の件に関連してか、27日にTwitter社によりロックされたという。これも本人が報告していた。
https://dailycult.blogspot.com/2018/08/twitter.html#more
藤倉は翌25日の日本脱カルト協会主催の集会にも参加。こちらは許可が得られたようで、主催者にとがめられることもなく場内を歩き回りながらカメラで撮影していた。もっとも、同集会も「許可を得たメディア以外の参加者は録画も録音も禁止」とする旨が主催者によって告知され、実際に会場で注意を受けた参加者もいた。こちらの集会にはオウムを脱会した元信者3人が発言者として参加していたため、彼らを含めた出席者のプライバシーに配慮してのことらしい。
1996年より個人で情報発信を続けてきた「オウマー」こと西村新人類(本職は大学職員で、オウムへの信仰歴はなく、当初からオウム教団と、事件を報じるマスメディアの報道にも批判的なスタンスをとる人物)も24・25日の両日とも参加。特に25日の集会に関しては「録音不可」とされたことにもめげず、メモ書きした内容に基づく長尺のレポートをブログ「オウマー日記」に逸早くアップしていた。
24日の集会で登壇した河野義行(1994年松本サリン事件被害者)の「被害者感情」に関する発言に対し、1995年の地下鉄サリン事件で夫を失った高橋シズヱが集会名や個人名を挙げずに批判した下りなど、マスメディアの報道ではほとんど触れられなかった場面もきちんと押さえていた。
http://sinzinrui.blog.fc2.com/blog-entry-4384.html
http://sinzinrui.blog.fc2.com/blog-entry-4385.html
「真相究明の会」にはジャーナリストも多数参加しているのに、「許可した者以外は不可」と選別するような挙に出たことについては他にも多くの批判の声が上がっている。もっとも、日本脱カルト協会側にしても(元信者のプライバシーに配慮したことは理解できるが)ネットやデジタルデバイスが普及した今の時代に「許可した者以外は録画も録音も不可」と申し渡すなど、外向けの広報感覚という点では両日の主催者とも決して褒められたものではなかった。
長らくオウム問題を追ってきた人々の話が集中的に聞けるという点ではどちらも有意義ではあったが、発言者ごとに様々な論点(脱会者支援・被害者支援・死刑制度の是非・オウム裁判の問題点等々)からの意見表明や問題提起が一度になされたため、討論自体は最後までまとまりのないまま終わったという点も双方で共通していた。
なお「真相究明の会」は上記24日の集会をもって解散することが、主催者により当日会場で公表された。

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2)【記事】「記者よりもネットデマが信用される時代」vs「ネットよりも記者が頼りにならない時代」(岩本太郎)

『日経×TECH』はかつて日経BP社の技術系メディアとして運営されてきた『日経テクノロジーオンライン』や『日経アーキテクチュア・ウェブ』『ITpro』などを統合する形で今年2月13日に創刊されたウェブメディアだ。その今月23日付の「記者の目」に同誌および紙媒体『日経NETWORK』の記者である大森敏行が「記者よりもネットデマが信用される時代」と題したコラムを寄せていた。以前に自分が書いた「ある問題」に関する解説記事について「その問題は既に解決済みで存在しない」との指摘をSNSで書かれたとか。
《ところが、どうやってもその問題が解決されていることを確認できない。(略)よく調べてみると、この人が勘違いをしている可能性が高いようだった》
《本来は、その人に連絡を取って確認すべきだったのかもしれない。しかし、私や編集部に直接、連絡が来たわけではなく、あくまでSNSの個人的な書き込みに過ぎない。こちらから下手に連絡すると「誤りを頑なに認めようとしない記者が言いがかりをつけてきた」と受け取られて炎上する可能性がある。私の仕事は読者に正しい情報を提供することだ。記事の誤りを確認できない以上、できることはない。この件にはこれ以上深入りしなかった》
《気になったのは、このアカウントの指摘を無条件に正しいと信じる人が多いように見えたことだ》
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/081000125/?n_cid=nbpnxt_twbn
大森はさらに同僚の記者がある企業について書いた記事が、有名なSNSアカウントで「企業の言いなりだ」と批判されたのをきっかけに炎上した件などにも言及しつつ、そうしたネット上の書き込みの多くには「事実の検証を誰がするのか」という視点が抜けているといった結論で締めている。もっとも「ある問題」とは何か、そのSNSでの書き込みというのが具体的に何なのかなど、個々の名前が全部伏せられているため、この記事自体の「事実の検証」も不可能だ。
そう思いながら探すと、ネット上にはさっそくこれについての「検証記事」が上がっていた。最近の海賊版サイト問題でも「ブロッキング反対」の立場から論陣を張った楠正憲が自身のブログ「雑種路線で行こう」で、上記の大森の「記者よりもネットデマが信用される時代」を翌24日付のエントリ「ネットよりも記者が頼りにならない時代」でさっそく槍玉にあげたのだ。
https://masanork.hateblo.jp/entry/2018/08/24/001854
楠によれば「企業の言いなりだ」との批判を浴びた記事というのは大森の同僚である齊藤貴之が8月10日付で書いた「佐川急便の不正アプリ対策でトレンドマイクロがバッシングされた真相」。これに対して産業技術総合研究所高木浩光が同日に元記事を引用しながら書いた以下のツイートだそうだ。
《まんまといいように言いくるめられた記事https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/080700122/?P=5
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1027722395702849536
《良いことを書くつもりで挑んだはずだったのに、取材先の広報に言われるがままにまんまと丸め込まれてしまった残念な記事。よくあるパターンだと思う。》
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1027902370175279104
《そして見出しが「バッシングされた真相」だの「最新のブログで紹介していないだけ」とおかしな部分が強調されてしまった結果、編集委員が記事の趣旨を見出しの通りに勘違いして宣伝してしまい、元から提灯記事だったかのように読者には受け取られてしまった。お気の毒。》
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1027903641179447296
他にも楠は《「親しき仲にもスクープあり」と公言して憚らないジャーナリストの大先輩と》飲んだ際に出た話なども織り交ぜながら、最後は『日経×TECH』に対し、《しっかりと「裏取り」した質の高い記事を掲載いただきたい》とエールを送って結んでいる。
ただ、「裏取り」の大事さももちろんだが、自らの記事に対して批判してきた相手の名前も出さずに小さなコラムで反論めいたことを書いたとしても、今のメディア環境ではたちまち相手側に伝わってさらなる批判に晒されるということもよく物語るケースだろう。《炎上する可能性がある》などというへっぴり腰は通用しないのだ。

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3)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎KKベストセラーズの新刊『みんなちがって、みんなダメ』(中田考)は7月25日の発売以来すでに三刷までいくなど好調の模様。ベストセラーになった『君たちはどう生きるか』について「読むとバカになり、そして不幸になる」などと異議を唱える内容で、帯の言葉でもそう謳っている。
https://twitter.com/bestshoseki/status/1033558344089231360
https://twitter.com/bestshoseki/status/1033757759827673088
http://best-times.jp/articles/-/9530
そんな同書も含めて26日付の朝日新聞朝刊2面に出稿された半5段の出版広告に対し、朝日新聞から《広告審査の時に「『君たちはどう生きるか』を読むとバカになる!」と書いた帯を外してほしい》との要望があったとKKベストセラーズ書籍編集部が同日付のTwitter公式アカウントで報告していた。すぐ隣りにマガジンハウスが同じ半5段で『君たちはどう生きるか』の出版広告を掲載していたのだ。
https://twitter.com/bestshoseki/status/1033555234314801152

◎24日に開催された政府の知的財産戦略本部「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」第5回会合の模様を『日経×TECH』がレポート。出版広報センターの村瀬拓男弁護士は「漫画村」閉鎖以降の6月からアクセス数が急増しているという「第2の漫画村」の存在を指摘。講談社野間省伸社長は、韓国におけるブロッキング制度について同国の出版社にヒアリングした結果「アクセスの8割を抑えられており、成果に満足」とする意見があがったことなどを報告。東京大学大学院教授の宍戸常寿はブロッキングやフィルタリングに代わる「第3の対策」として「約款に基づくアクセス警告表示」方式を提案したそうだ。
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/02419/?n_cid=nbpnxt_twbn

◎その海賊版サイト問題をめぐり6月に日本アドバタイザーズ協会JAA)、日本広告業協会(JAAA)、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の3団体が共同で公表した声明について『impress BUSINESS MEDIA』がJAAの専務理事・鈴木信二にインタビュー。この問題に関するJAA会員社の受け止め方は、鈴木によれば概ね以下のようであるらしい。
《あくまで感覚値ではありますが、まずは問題意識を持っている、知っているという状態の企業が6〜7割程度。このうち半分程度が「やらなきゃ」と考えているものと思います。残りの3〜4割については従来からの広告観、メディア観のまま「それは広告主の問題ではない」と考えている可能性があります》
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/08/23/30139

◎「小学館漫画賞」の運営を担当し、9月16日に授賞式が行われる「京都国際漫画賞」の審査員長も務める有藤智文が『マンガ新聞』の3回連続インタビューに登場。マンガ家志望者向けに「賞への応募」「持ち込み」「ネット投稿」など様々な道があることを、過去の具体的な事例などをもとにアドバイスしている。有藤は『週刊少年サンデー』で『うる星やつら』『タッチ』などを担当。後に『ビッグコミックスペリオール』編集長を務めたベテラン編集者だ。
http://www.manga-news.jp/news/body/1781
http://www.manga-news.jp/news/body/1974
http://www.manga-news.jp/news/body/1994

◎cakesは21日からマンガ、コラムなどの記事を「LINE NEWS」へ配信開始。
https://www.pieceofcake.co.jp/n/ne8271ce4d40f

毎日新聞社と元NHK堀潤の「8bitNews」が共催の形で現在実施中のワークショップ「毎日ビデオジャーナリズム・ラボ」の公式サイトが新たに開設された。ワークショップの模様や受講者たちが制作した映像作品などが掲載されている。
https://m-videoj.com/

クックパッドは釣り情報サイト『ツリホウ』などを運営するウミーベ(株)(福岡県福岡市)を買収したことを24日に発表。ウミーベ創業者の渡部一紀は音大出身で現在32歳。今後も同社のCEOを兼務しつつクックパッドの新規事業の分野に配属になるという。
https://www.businessinsider.jp/post-173786
https://www.wantedly.com/companies/umeebe

水道橋博士との「ガチ対決」を征した幻冬舎・箕輪厚介の弁舌の勢いはとどまるところを知らない。『withnews』のインタビューでは見城徹に命じられ、自身と《相性がいいけど性格的には真逆》な佐々木紀彦と「NewsPicks」を立ち上げた際のエピソード、オンラインサロン「箕輪編集室」の狙うところなどについて、歯に衣着せぬ例の調子で語っている。
《中途半端なコンテンツは、箕輪編集室のようなオンラインサロンに侵食されていくんじゃないかな。それこそ、箕輪編集室のメンバーは無給どころか月額を払いながら、寝ないで動画を作ったり、記事を書いたりして毎日スキルや実績を得ているのに、サラリーマン編集者が高給をもらいながらコンテンツを生み出していくモデルは、よほどの戦略とクオリティがないと厳しいでしょうね》
https://withnews.jp/article/f0180821002qq000000000000000W02h10101qq000017886A

◎かつて日本テレビで「ネットカフェ難民」など貧困問題に関する報道番組を数多く手がけ、退職後の現在は上智大学文学部教授も務めるジャーナリストの水島宏明が、ゼミ生たちとの合宿の際に生じた宿泊トラブルについて『Yahoo!ニュース』への寄稿でホテルや予約サイトの実名を出しつつ批判を述べたところ逆に批判が殺到。当該記事を削除する事態に。
https://www.j-cast.com/2018/08/24337006.html

夏の甲子園決勝「大阪桐蔭×金足農」の一戦を、金足農の地元の秋田朝日放送は緊急中継。しかし注目の集まる視聴率は「調査対象期間外」につき、地元ではこの時期そもそも計測されていなかった。ビデオリサーチの世帯視聴率調査が52週(つまり常時)行われているのは関東地区・関西地区・名古屋地区など大都市圏のほかは北部九州・札幌・仙台・広島・静岡・福島・新潟・岡山香川の各地区のみ。他の地区は現在でも24週調査なのだ。
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/08/22/0011565924.shtml
https://www.videor.co.jp/tvrating/pdf/handbook.pdf

◎その上記の金足農が勝ち上がった決勝戦の結果を受けて、日本農業新聞は21日に号外のPDF版を公式サイト上に掲載した。日刊スポーツによれば《TPP交渉の節目など農業関連の重要案件がほとんどで、高校野球の結果が号外になるのは極めて異例》とのこと。
https://www.agrinews.co.jp/static/pdf/kanaasi0821.pdf
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201808210000869.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp

◎「PR TIMES」主催、「CINRA」企画・運営によるメディア関係者向けイベント「MEDIA DAY TOKYO 2018」が9月13・14日に渋谷「EDGE of Tokyo」で開催される。ネットニュースが抱える問題やYouTuberの台頭などをテーマに6セッションが予定され、『BuzzFeed』日本版の朽木誠一郎、『cakes』編集長の大熊信、『BUSINESS INSIDER JAPAN』統括編集長の浜田敬子などがそれぞれ登壇する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000881.000000112.html

小川紳介ゆかりの「山形国際ドキュメンタリー映画祭」が米国アカデミー賞の公認映画祭に認定された。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34411110R20C18A8L01000/
同映画祭は隔年(西暦では奇数年)開催だが、合間の今年も10月6日から「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形 in 東京2018」が都内・新宿のK's cinemaなどを会場に開催される。
https://www.yidff.jp/news/18/180705.html

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4)【人事・決算】集英社 平成30年8月27日付役員人事と決算報告

27日の定時株主総会にて以下の通り取締役を選出。引き続き行われた取締役会にて取締役および役員待遇の担務を決定した。

〈8月27日付役員人事〉

代表取締役社長 堀内丸恵

専務取締役〔昇任〕高梨雄二
管理部門(社長室、人事部、厚生部、総務部、経理部)、編集総務部、資材部、制作部、関連会社担当

常務取締役 柳本重民
雑誌販売部、コミック販売部、書籍販売部、マルチコンテンツ販売部担当

常務取締役 鈴木晴彦
第1〜第5編集部、ジャンプ・コミック出版編集部、ジャンプ・ノベル編集部担当

常務取締役 廣野眞一
宣伝部、コンテンツ事業部、広報部、読者サービス室担当

常務取締役 小林桂
ブランド事業部担当

常務取締役 茨木政彦
出版部門(文芸編集部、文庫編集部、校閲室、新書編集部、ノンフィクション編集部、学芸編集部、出版管理室)、デジタル事業部、ライツ事業部担当

常務取締役〔昇任〕田中恵
第6編集部〜第10編集部、整理編集部、雑誌デジタル編集室、コミュニケーション・デザイン室、女性誌企画編集部、広告部担当

取締役 渡辺隆
社長室、人事部、厚生部、総務部、編集総務部担当

取締役 北畠輝幸
第1〜第3編集部、ライツ事業部担当(兼)第2編集部部長

取締役 隅野叙雄
雑誌販売部、コミック販売部、書籍販売部、マルチコンテンツ販売部担当(兼)雑誌販売部部長

取締役 田中純
第4編集部、ジャンプ・コミック出版編集部担当(兼)第4編集部部長

取締役〔新任〕鈴木麻美
資材部、制作部担当

取締役〔新任〕日高麻子
整理編集部、雑誌デジタル編集室、第7〜第9編集部、コミュニケーション・デザイン室担当(兼)第7編集部部長

取締役〔新任〕徳永真
文芸編集部、文庫編集部、校閲室担当(兼)文芸編集部部長(兼)文庫編集部部長(兼)校閲室部長

役員待遇〔新任〕佐野明夫
書籍販売部担当(兼)書籍販売部部長

役員待遇〔新任〕林秀明
経理部担当(兼)経理部部長

役員待遇〔新任〕海老原美登里
第6編集部、第10編集部、女性誌企画編集部担当(兼)第10編集部部長(兼)女性誌企画編集部部長

監査役 木川真希子

監査役(非常勤) 相賀昌宏

東田英樹専務取締役は退任し、顧問に就任。
石渡孝子常務取締役は退任し、集英社インターナショナル代表取締役専任に。
村田登志江取締役は退任し、集英社クリエイティブ取締役専任に。

〈第77期(平成29年6月1日〜平成30年5月31日)決算報告〉

売上高 116,497百万円(前期比:99.1%)

[内訳]

雑誌売上 50,185百万円(前期比:87.0%)

 ※コミックス含む 内訳 雑誌:24,996百万円 コミックス:25,189百万円)

書籍売上 10,846百万円(前期比:87.3%)

広告売上 9,326百万円(前期比:100.2%)

その他 46,141百万円(前期比:121.1%)

 ※内訳 Web:16,240百万円 版権:21,077百万円 物販等 8,824百万円)

税引前当期純利益 4,122百万円(前期比:55.6%)

当期純利益 2,526百万円(前期比:47.1%)

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【文徒】2018年(平成30)8月27日(第6巻160号・通巻1334号)

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1)【記事】最近書店閉店事情
2)【記事】日本文学振興会の問題ツイートを豊崎由美が批判
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.27 Shuppanjin

1)【記事】最近書店閉店事情

ブックスタマ武蔵関店が8月19日(日)をもって閉店。「8」と「3」を間違えるほど閉店に動揺しているのかもしれない。
武蔵関駅にあるブックスタマ武蔵関店へ行ったら3/19(日)に閉店だとさ。もう歩きで本買えるとこ無くなっちゃうよ。 …ってどローカルネタですまんね 」
https://twitter.com/nice_n_groovy/status/1030028143925460992
くまざわ書店 与次郎店(鹿児島市)が8月19日(日)をもって閉店。
https://twitter.com/d_motty0120/status/1023958478514094080?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1023958478514094080&ref_url=http%3A%2F%2Fkaiten-heiten.com%2Fkumabook-yojiro%2F
埼京線連絡通路にあるBOOK EXPRESS 渋谷店が8月21日(火)をもって閉店(8月21日付文徒で既報)。
「渋谷駅の埼京線のホームから改札に行く途中の本屋さんが今日で閉店らしい。 いつも通る度、一番くじの予告やら新刊を見てワクワクしてたなぁ。BOOK EXPRESS渋谷店、今までありがとう!」
https://twitter.com/drsharuka/status/1031880121924247552
マンガ「予行恋習カノジョ」 (芳文社)のアジイチが閉店を惜しんでいた。
「オレ腐女まで並べてもらってる…!BOOK EXPRESS渋谷店さんにはほんとにお世話になってるので渋谷の方角に足向けて眠れない… オレ腐女の限定ペーパーもいれてもらってるみたいなので、予行恋習から読み始めたって方も是非オレ腐女も併せてよろしくお願いします〜 」
「お世話になってたBOOK EXPRESS渋谷店さんが今月21日で閉店だそうで…寂しい…現在オレ腐女の色紙と共に既刊展開して頂いてるようです。オレ腐女1巻の頃から本当にお世話になりました!ありがとうございました! 」
https://twitter.com/ajiichi_nomoto/status/1015011494990233600
https://twitter.com/ajiichi_nomoto/status/1027151991603003392
コミュニティFM渋谷のラジオ」も呟く。
「渋ラジ近くから、どんどん書店がなくなります… 」
https://twitter.com/shibuyanoradio/status/1031328232811855872
トキワ園書店メイチカ店(名古屋市中央区)が8月25日をもって閉店。
e-honからメール。MY書店からの重要なご連絡、とあるから嫌な予感がしたんだが、その通りだった。名駅のトキワ園書店メイチカ店が25日で閉店だと。高校時代からよく通った店だった。寂しい 」
https://twitter.com/meihung_j/status/1028850130399547392
竹島書店 十条店が8月26日をもって閉店。
「【閉店のおしらせ】 誠に勝手ながら当店は8/26をもちまして閉店させていただきます。 それに伴い、8/26以降はこちらのアカウントからのツイートを停止いたします」
https://twitter.com/tbs_jujo/status/1012535413569826816
十条駅のすぐ近くで立地は良かったはずなんだが… 」
https://twitter.com/you9an/status/1032456446728855552
竹島書店十条店 今週末で閉店。 コミュックスの推しが力強い店、こういう店がなくなると、新しいマンガに出会えなくなるなぁ 」
https://twitter.com/ochaseijin/status/1031841104340180992
蔦屋書店小出店(新潟県魚沼市)が8月31日(金)をもって閉店。閉店セールと称し、本を500円買うと、その場で使える100円券が貰えるようだが、これは再販制に違反してはいないのだろうか。
「こんばんは!蔦屋書店小出店です!
いきなりですが、
当店では8/31で閉店となります…。
そこで本日から閉店セールを行っております!
お得なセールを多々行っておりますのでお客様のご来店を心よりお待ちしております!」
https://twitter.com/tsutaya_koide/status/1031142790548189184
川又書店笠間店 (茨城県笠間市)が8月31日(金)をも って閉店。
「【閉店のお知らせ】
この度2018年8月31日(金)をもちまして、川又書店笠間店を閉店する運びとなりました。
長年に渡り多くのお客様にご利用ご愛顧頂き、誠にありがとうございました。また、ご不便をおかけ致しますことをお詫び申し上げます 」
https://twitter.com/bookaceco/status/1027836057432219648
「日頃より、ブックエース・川又書店をご愛顧、ご利用いただききまして誠にありがとうございます。
この度2018年8月31日(金)をもちまして、川又書店笠間店を閉店させていただくことになりました。
笠間ショッピングセンターポレポレシティのオープンと同時に開店し、20年近くに渡り多くのお客様にご利用、ご愛顧賜りましたことを心より御礼申し上げます」
http://book-ace.co.jp/newstopics#1615
未来屋書店 水戸OPA(オーパ)店 が雑貨と本とカフェ の複合店としてオープンしたのは2017年3月18日 のことだった。
http://www.miraiyashoten.co.jp/news/%E2%98%85%E6%B0%B4%E6%88%B8%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E5%BA%97%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%EF%BC%81/
その未来屋書店 水戸OPA(オーパ)店 が9月2日をもって閉店することになった。開店して1年半での閉店は、未来屋書店の「資本力」がなければ逆に決断できなかったろうが、哀惜のツイートも見当たらない。次のような呟きがあるのみ。
「スクラップさんへ、水戸オーパにあります未来屋書店が閉店します。 空いたスペースに是非ともアジトオブスクラップ水戸オーパ店を作ってください。切実な願い 」
https://twitter.com/clock_tokeitei/status/1032921435155521536
未来屋書店 蓮田店(埼玉県蓮田市)が8月16日(木)をもって閉店。
https://twitter.com/kuromu0703/status/1029175047280357376
アシーネ栄町店(札幌市)が8月19日(日)をもって閉店。
http://kaiten-heiten.com/athine-sakaecho/
未来屋書店 川口店が8月31日(金)をもって閉店。
https://twitter.com/saitama_tamako/status/1031877031762382849
偏見かもしれないが未来屋書店は読者に惜しまれて閉店するケースが少ない。SNSに閉店を惜しむ声が殆んど見当たらないのである。
啓文堂書店武蔵野台店(府中市)が9月17日(月)をもって閉店。ここは2011年にオープンした。
「午後に武蔵野台駅に着いてびっくり、駅に改札外の京王系列のコンビニエンスストアと書店が閉店するとは… ちなみに駅近くの飲食店2軒は閉店したままなんだけど」
https://twitter.com/205noborito/status/1032993728074399744
「いつも啓文堂書店武蔵野台店をご利用いただき誠にありがとうございます。
当店は2018年9月17日(月)をもちまして閉店することになりました。
長い間ご愛顧賜り厚く御礼申し上げます」
http://www.keibundo.co.jp/news/detail/post_85.html
北真堂書店新庄店が8月31日(金)をもって閉店。
https://twitter.com/baioken/status/1030731754791788544
勝山書店(清澄白河) 8月31日(金)をもって閉店。
「#高橋 #のらくろード にある #勝山書店 が今月で閉店してしまうのだ。以前は #森下商店街 にあったのだ。今は地下鉄の出入り口になっちゃってるのだ。子供の頃はわしはよく通っていたのだ。わしとしてはひとつの時代の終わりを見たように思うのだ。これでいいのだ 」
https://twitter.com/shitamachi00/status/1032805840158306304
ブックセンターコスモ岩吉店(鳥取市)が9月17日(月)をもって閉店。
「街から本屋がなくなるのって、ホントによくない」
https://www.instagram.com/p/BmnsXF8FFTB/

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2)【記事】日本文学振興会の問題ツイートを豊崎由美が批判

日本文学振興会の公式アカウントがこんなツイートを公開した。
「8月22日は向田邦子が台湾での航空機事故で亡くなった日。以前もツイートしましたが、向田の #直木賞 受賞(第83回)を後押ししたのは『向田邦子はもう51歳(注・正確には50歳)なんですよ。そんなに長くは生きられないんですよ』という山口瞳選考委員の一言でした。事故はその翌年のことです 」
https://twitter.com/shinko_kai/status/1032113088613441536
豊崎由美文藝春秋の社員ではないが、こうツイートした。
「そんな理由で授賞すべきではないし、向田邦子という素晴らしい小説家はそんな理由で受賞したのではない 」
https://twitter.com/toyozakishatyou/status/1033040051750330368
これに対して「『テレビリアリティ』の時代」の大見崇晴は、次のような文学史的な知識を披露。
「作者はまだ若いのだしあげなくても良いだろうという論調になって山口瞳が憤って、実年齢を知らないで選考に来た他委員から向田を擁護したエピソードだったのに 」
https://twitter.com/ohmitakaharu/status/1033225865629294592
むろん豊崎が知らないはずはない。豊崎が反論する。
「そんなことは存じ上げています。知っている上で、文学賞の授賞理由に年齢は関係させてはいけないし、向田邦子は年齢によって受賞したのではないということを、わたしは言いたかったのですが」
https://twitter.com/toyozakishatyou/status/1033261974291767296
小説家の北野勇作に異議なし!である 。北野は文藝春秋から本を出したことはないんだよね。
「そんなもので受賞したりしなかったりする程度のもの、ということになってしまいますからね。あれが作家にも作品にも賞にも失礼なエピソードであることは間違いないでしょう。あんなのを何かちょっといい話みたいに伝えてるセンスのほうがまず問題ですね 」
https://twitter.com/yuusakukitano/status/1033266073167003648
早速、豊崎由美が北野にリプライ。
「ほんとにほんとにほんとにほんとに北野さんのおっしゃるとおりです。向田邦子という才能に対して失礼千万きわまりなしです」
https://twitter.com/toyozakishatyou/status/1033267124137938944
日本文学振興会のツイートは公式アカウントである以上、シャレでは済まされまい。
文藝春秋は、「春秋」の部分では「文春砲」に相変わらず勢いがあるが、「文藝」には今少し緊張感が足りないのかもしれない。芥川賞直木賞の贈呈式における主催者サイドの挨拶にしても、編集出身の役員が原案に目を通すなり何なりしても良かったのではないかと私は思っている。これまでの常識からすれば、選考委員の東野圭吾には「先生」をつけるべきだし、受賞者を形容するに際しても一定の配慮というか気づかいは必要なはずである。

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3)【本日の一行情報】

◎ブログ「メディアを育てる経済記事批評」が話題となっている。8月24日は「業者寄りの日経『君たちはお金をどう生かすか』を信じるな!」を掲載し、その前日の8月23日は「編集長が参加しても問題多い週刊ダイヤモンド『平成経済全史30』」。細部を厳しく検証している!こんな具合・・・絡まれたメディアは嫌だろうなあ。
「<質問1>
47ページのグラフに『株価急落に反比例するように自殺率が上昇』という説明文が付いています。これは『株価急落に比例するように自殺率が上昇』の誤りではありませんか。『反比例』を使いたいならば『株価に反比例するように自殺率が上昇』でしょうか。グラフからは、『株価急落』が進行するにつれて『自殺率が上昇』する傾向が読み取れます」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/30.html

田原総一朗が「週刊朝日」8月31日号の連載「ギロン堂」で指摘している。
「数年前、全国紙2社の幹部から、次のような話を聞いたことがある。
“入社試験で、1次試験では女性が圧倒的に強い。点数の高い女性をいかにして落として、点数の低い男性をいかにして合格させるか。ここに非常に苦労している”
まるで東京医科大の話のようだ。女性差別は東京医科大の問題ではない。それぞれ自社の問題なのである」
https://dot.asahi.com/wa/2018082100050.html?page=1
マスコミは東京医科大の女性差別を笑えないのである。ところで航空自衛隊に初の女性戦闘機パイロットが誕生したのをご存じだろうか。朝日新聞デジタルが「空自初、女性戦闘機パイロット誕生『小さい頃からの夢』」を掲載している。リドリー・スコットの「G.I.ジェーン 」が公開されて20年が経つ。
https://www.asahi.com/articles/ASL8N644BL8NUTIL031.html
在日米軍司令部の日本語公式ツイッターが呟く。
「小さい頃からの夢を見事叶えた松島美紗2等空尉、おめでとうございます!在日米軍一同、あなたとチームメイトになれることをとても誇りに思います」
https://twitter.com/USFJ_J/status/1032524502725357568
防衛省航空自営隊のツイート。
「2等空尉 松島美紗は、8月24日付で航空自衛隊初の女性戦闘機操縦者となります。航空自衛隊は、操縦職域を含むすべての職域を女性に開放しています」
https://twitter.com/JASDF_PAO/status/1032560356927799296
三沢基地航空祭2018」は日米共催である。
https://twitter.com/USFJ_J/status/1032415889897938944

山本七平賞の最終候補作が決まった。
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著 東洋経済新報社
コミンテルンの謀略と日本の敗戦」(江崎道朗著 PHP新書)
親鸞と日本主義」(中島岳志著 新潮選書)
「未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか」(先崎彰容著 新潮選書)
https://www.atpress.ne.jp/news/164117
ウルトラ・ナショナリズム日蓮思想、日蓮信仰については結構、論じられてきた。しかし、蓑田胸喜が激烈なる親鸞主義者であることは、あまり知られていない。そういう意味では「親鸞と日本主義」が受賞するのかな。先崎彰容は「未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか」と「維新と敗戦――学びなおし近代日本思想史」(晶文社)と合わせれば一本となるのだろうけれど。面白いのは中島が吉本隆明を殆んど無視しているのに対して、先崎は積極的に評価していることである。江崎道朗は日本会議。私にとって新井紀子は岩波ブックレット「ほんとうにいいの? デジタル教科書」程度の理科系知識人という位置づけである。
https://www.shobunsha.co.jp/?p=4826
渡辺京二の「原発とジャングル」もそうであったが、「維新と敗戦――学びなおし近代日本思想史」も担当編集者は足立恵美である。

◎「東洋経済オンライン」が掲載した「脱北者の元作家が送る波乱万丈すぎる人生 日本で生まれ海を渡り『党員』になった末に」(村田らむ)は、双葉社から「跳べない蛙 北朝鮮『洗脳文学』の実体」を刊行した金柱聖の文字通り「波乱万丈すぎる人生」を聞き出している。
https://toyokeizai.net/articles/-/233422

カドカワによる「次にくるマンガ大賞 2018」が決定した。
Webマンガ部門ベスト10
1位「先輩がうざい後輩の話」(しろまんた/一迅社
2位「おじさまと猫」(桜井海/スクウェア・エニックス
3位「極主夫道」(おおのこうすけ/新潮社)
4位「ぶっカフェ!」(小林ロク/星海社
5位「お兄ちゃんはおしまい!」(ねことうふ/一迅社
6位「トリマニア」(久世岳/スクウェア・エニックス
7位「血と灰の女王」(バコハジメ小学館
8位「翼くんはあかぬけたいのに」(小花オト/小学館
9位「ふしぎねこのきゅーちゃん」(にとりささみ/星海社
10位「宇崎ちゃんは遊びたい!」(丈/KADOKAWA
Webマンガ部門では集英社がベスト10に一作も入っていない。講談社も入ってはいないけれど関連会社の一迅社星海社が入っている。マンガ出版の大手3社では小学館が二作をランクインさせている。
コミックス部門ベスト10
1位「来世は他人がいい」(小西明日翔講談社
2位「Dr.STONE」(稲垣理一郎Boichi集英社
3位「錦田警部はどろぼうがお好き」(かんばまゆこ小学館
4位「Artiste」(さもえど太郎/新潮社)
5位「アクタージュ act-age」(著:宇佐崎しろ、原著:マツキタツヤ/集英社
6位「呪術廻戦」(芥見下々/集英社
7位「ここは今から倫理です。」(雨瀬シオリ集英社
8位「五等分の花嫁」(春場ねぎ/講談社
9位「シネマこんぷれっくす!」(ビリー/KADOKAWA
10位「熱帯魚は雪に焦がれる」(萩埜まこと/KADOKAWA
コミックス部門ではさすがに集英社は強い。4作品がランクインしている。4作のうち3作が「週刊少年ジャンプ」。講談社のみならずKADOKAWAが2作ランクインさせているにもかかわらず、小学館からのランクインは1作のみであった。
https://tsugimanga.jp/
http://www.manga-news.jp/news/body/2151
https://ddnavi.com/news/482042/a/

◎飯田一史の「マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの? マンガアプリ以降のマンガビジネス大転換時代」(星海社新書)は、マンガ誌のみならず雑誌ビジネスにかかわる者であれば絶対に読んでおきたい一冊だ。ここで書かれていることは奇異で突拍子もない未来像(そう思いたい気持ちはわからないでもないけれど)などではなく、その示唆する時代の必然性においてリアリティに満ち溢れた未来像であろう。
「いまや紙の雑誌を第一に据えるのは、Excelがあるのにそろばんで計算することを第一にするのと同じくらい時代錯誤である」
https://www.seikaisha.co.jp/information/2018/07/09-post-manga.html

谷中キッテ通り の「ひるねこBOOKS」は新刊も古書も扱う 。「店名の通り、猫関連のものをはじめ、暮らしやアート、各種ZINE(小冊子)、絵本や児童書、北欧関係の書籍や雑貨などを幅広く扱っている 」が、店主の小張隆 は童心社で営業をつとめていた人物である。今年から「ひるねこBOOKS」レーベルを立ち上げ、絵本を出版している。朝日新聞デジタルが「谷根千の小路から本の魅力を発信『ひるねこBOOKS』」 。小張は次のように語っている。
「新刊は、いまを生きている人たちが、いまの空気を切り取って世に問うている本で、まさにいま売らなくてはいけない本。一方で古本はいろんな人の目や手を経て受け継がれ、いまに残っているだけに、重層的な魅力を持っています。そのどちらも扱いたかった」
https://www.asahi.com/and_w/articles/SDI2018082288471.html

◎ここ好きなんだよね。アンスティチュ・フランセ東京(日仏学院です!)の玄関口のフランス語専門書店の「RIVE GAUCHE」(リヴ・ゴーシュ)。名前からしてグッと来るなあ。左岸と言えばアラン・レネアニエス・ヴァルダジャック・ドゥミ
https://www.oricon.co.jp/article/532598/
ジャン・ポール・ベルモンドが書店を訪れるところから始まる美しすぎる映画は?ジャン・リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」である。周知のようにゴダールトリュフォーを生んだ映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」は右岸にあった。

朝日新聞デジタルは8月24日付で「漫画の立ち読み大歓迎? 小学館、カバー中止→一部売り上げ増」を掲載し、東京新聞は8月25日付「こちら特報部」で「小学館 漫画本カバー外し実験 立ち読みOK 売上UP」を掲載している。少年、青年向けは変化がなかったが、少女、女性向けは2割も増えたそうだ。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13648336.html

◎「全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方」(文藝春秋)の戸部田誠 が「ダイヤモンド・オンライン」の「日テレの視聴率トップ独走を支える「えげつない」番組づくり」で次のように語っている。
日本テレビの方針として感じられるのは、視聴習慣を徹底的に意識し、番組づくりを行なっている点です。だから、番組開始直後は視聴率が悪くても、簡単にテコ入れすることなく辛抱する。数字が上がればなるべく番組上のフォーマットを大きく変えないのが日テレの強さでしょう 。・・・」
https://diamond.jp/articles/-/178136

文藝春秋電子書籍編集部は、8月24日(金)、島本理生直木賞受賞を記念して『第159回直木賞作家 島本理生のすべて【文春e-Books】』を電子書籍で発売した。
https://www.atpress.ne.jp/news/164218

◎リンベルと東急エージェンシーは、〈九州の人たちが本当に贈りたかったギフト〉をコンセプトにした、九州全7県のグルメを詰め込んだ「リンベル」初の九州カタログギフト「九州七つ星ギフト」を、9月1日(土)より、リンベル公式ホームページ、全国百貨店、量販店、ホテル式場他で販売を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000012798.html

◎日販は、7月豪雨において被害に遭われた方へ図書を寄贈するプロジェクト「チャリティーブック」を8月13日(月)より実施している。本プロジェクトは、取引書店44店舗(フタバ図書、啓文社、フジ・TSUTAYA・エンターテイメント、都野書店)の協力のもと、日販広島支店が中心となって実施している。
https://www.nippan.co.jp/news/charitybook_20180817/

小学館OBである佐藤幸一が創業した悟空出版から刊行された谷口智彦の「安倍晋三の真実」が売れている。4刷重版が決定したそうだ。谷口は内閣官房参与であり、安倍首相の外交スピーチライターでもある。
https://www.goku-books.jp/news/n26127.html
もともと谷口は「日経ビジネス」(日経BP)の記者であった。「リテラ」が「安倍首相のスピーチライターがヘイト出版社から噴飯の安倍礼賛本!『安倍さんは人の悪口を言ったことがない』」を掲載している。
「おもに外交にかんする演説を手がけており、あの国際オリンピック委員会総会での『汚染水は完全にブロックされている』や、米シンクタンクでの『私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ』、エジプト・カイロでの『ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援をお約束します』という演説も、この谷口氏がかかわったとみられているのだ 」
http://lite-ra.com/2018/08/post-4205.html

◎「報道ステーション」(テレビ朝日)のチーフプロデューサーに就任した桐永洋の発言やら何やらが話題になっているようだ。
https://twitter.com/ouenhst/status/1032604083708878848
津田大介ツイッターで「報ステの変容は他ならぬテレ朝の社員たちがショックを受けてて、なかなか口にも出せない雰囲気と聞きました」と指摘している。
https://twitter.com/tsuda/status/1032867085729390592

◎「note」の「『書き手への過度な気遣いは誰のためにもならない』 62歳の現役編集者 加藤晴之に訊く『原則』」。加藤が柿内芳文 の次のような言葉を紹介しているのだが、いやあ柿内って良いなあ。だってオレが思っていることと同じことを言ってるんだもの。
「泥沼化した出版界において、雑誌のような本を作り続けていては誰も幸せにならない」
要するに本を雑に作るなってことじゃないの。少なくとも私が雑誌のように本を作り続けていては駄目だというときには、そういうニュアンスを込めて喋っている。
https://note.mu/jhk/n/n13105d84a7ef
逆に雑誌ってのは、まさに漢字の通り、「雑」であることを武器にしないと面白くもなんともなくなる。

新潮ドキュメント賞古川勝久の「北朝鮮 核の資金源―『国連捜査』秘録―」(新潮社)に決まった。小林秀雄賞は南直哉の「超越と実存 『無常』をめぐる仏教史」(新潮社)に決まった。 南は恐山の禅僧である。
http://www.shinchosha.co.jp/book/351411/
http://www.shinchosha.co.jp/prizes/kobayashisho/
「超越と実存 『無常』をめぐる仏教史」の編集は金寿煥なのだろうな。金寿煥は「仏壇編集者」として有名である。山本七平賞にノミネートされた中島岳志の「親鸞と日本主義」も編集は金寿煥だ。
https://higan.net/interview/2012/09/kim01/
https://higan.net/interview/2012/09/kim02/

◎マガジンハウスの「アンアン」8月22日号は特集は「脳と血流で、夏のカラダリセット!/木村拓哉」。しかし、電子版では木村の掲載写真はすべて「グレー」に塗りつぶされて見ることができないと、「Business Journal」が掲載した「木村拓哉『anan』電子版『写真全削除』でファン激怒......ジャニーズ『時代遅れ』『ファン無視』の象徴」で指摘している。
https://biz-journal.jp/gj/2018/08/post_7647.html

◎「東洋経済オンライン」が弁護士の田上嘉一による「『カメラを止めるな!』盗作騒動の法的な論点」を掲載している。
「・・・ある映画のあらすじや人物設定、物語の背景などについては、たとえそれらをまねして同じような作品を作ったとしても著作権の侵害とはならないのです。これが、アイデアそのものを保護する特許法と、表現としての著作物を保護する著作権の大きな違いです。
今回、クレジット表記をめぐっては、『原案』か『原作』なのかが争点になっているようです。どちらも正確な法律用語ではないものの、実務上は、あくまでアイデアにとどまるものを『原案』、オリジナルとなっている著作物を『原作』と、それぞれ呼称するのが通常です 」
https://toyokeizai.net/articles/-/234964

講談社は「西日本応援イラスト集」を8月24日(金)から9月30日(日)までの期間限定で 、なおかつ同社が運営する「コミックDAYS」に限定して発売する。売上は全額義援金として寄付する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001845.000001719.html

◎「週刊新潮」8月30日号が「『読売』上層部に激震… 92歳『ナベツネ主筆』の頸椎骨折」を掲載している。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/08210300/?all=1

◎「朝日新聞慰安婦報道取り下げ英文記事で検索回避の設定 指摘受け解除、『作業漏れ』と説明」と朝日に鋭く詰め寄る産経だが、「デイリー新潮」では早稲田大学社会科学総合学術院教授の有馬哲夫に「産経新聞『原爆』記事はスクープではない」とお叱りを受けている。産経新聞が8月10日付で報じた「米原爆投下 7月1日に署名 チャーチル首相、深く関与」は有馬が2年以上前の2016年の「新潮45」7月号に掲載した論文「イギリスとカナダも原爆投下に同意していた」と内容がほとんど重なる というのだ。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/08241600/?all=1
ってことは「パクリ」?!

◎日刊スポーツが「矢部太郎の大家さん死去 手塚さん『きっと幸せ』」を掲載した。
「お笑いコンビ、カラテカ矢部太郎(41)の漫画で、第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した『大家さんと僕』(新潮社)の登場人物である『大家さん』の訃報に、ファンや芸能人たちから悲しみの声があがった 」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201808240000270.html
「大家さんと僕」は50万部のベストセラーとなっている。


◎ロイターによればトランプ米大統領は「24日、検閲行為を通して『数百万人』を沈黙させたとして、ソーシャルメディア各社を批判した 」そうだ。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-tech-socia-media-0824-idJPKCN1L91RD

◎「日刊SPA!」が「官能小説の逆襲! 出版不況の今、なぜ活況なのか? 15万部超えのヒット作品も」を掲載している。
「近年で特筆すべきは、2015年に出版された『処女刑事(デカ)』(著・沢里裕二/実業之日本社文庫)だろう。ミステリーの世界で人気だった刑事モノを官能小説にも大胆に導入し、シリーズ累計15万部越えを記録。これは官能小説では異例の大ヒットだ。それまで、おかみを刺激するような内容はエロ表現においてタブーとされていたのだが、同作によって“ミステリー+アクション+官能小説”という新たな地平を開拓した 」
https://nikkan-spa.jp/1503191
注目のヌーベル官能小説作家5人のひとりとして霧原一輝の名前があげられていた。霧原はブログで次のように書いている。
森田童子が亡くなっていたと知って、この三日間ずっと森田童子を聴いている。
 YouTubeのmixだと長時間流れているから、書いているときも寝る前もずっと聴いている。
 昨夜は、書き下ろしを一本書き終えた昂奮さめやらず、ほとんど眠れなかったので、ずっと聴いていた。うとうとしながら、彼女のあの優しい声を聴いてると、とても心地よい。内容は超暗いんだけどね。
 まあ、亡くなった友への鎮魂歌だからね。
(中略)
で、社民党福島瑞穂が彼女のファンだったと知って、ますます、福島瑞穂が好きになった。声が好き。容姿が小学生の時に俺をかわいがってくれた女教師に似ている 」
http://www.kiriharakazuki.com/nikki/nicky201806.html

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4)【深夜の誌人語録】

努力とは飽きるまで繰り返すことだ。

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【文徒】2018年(平成30)8月24日(第6巻159号・通巻1333号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】杉田水脈衆議院議員の発言に抗議する出版社82社の共同声明が公表された
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.24 Shuppanjin

1)【記事】杉田水脈衆議院議員の発言に抗議する出版社82社の共同声明が公表された

しんぶん赤旗」が「自民・杉田議員発言は忌まわしき『優生思想』 出版社代表82人が抗議 共同声明」を掲載している。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-22/2018082214_01_1.html
共同声明の内容は次の通りだ。長いけれど全文を引用しておこう。
自民党杉田水脈衆議院議員の『LGBTは子供を作らない、生産性がない』発言に抗議・議員辞職を求めます。
私たちは、出版人として、基本的人権が擁護される世界が現世代、次世代に渡って実現することを希望しております。
さて、自民党衆議院議員杉田水脈氏が、『新潮45』(2018年8月号、新潮社)に『『LGBT』支援の度が過ぎる』という文章を寄稿し、『LGBTカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女たちは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか』と公言しています。
『子どもを産まないことが生産性がない』ことなら、その該当者は、杉田議員が名指しするLGBTにとどまりません。そもそもLGBTが子どもを産まない、子どもを育てないという認識自体が虚妄ですが、さまざまな理由で子どもを望まない人、子どもを持てない人がいます。
子どもを『生産』する能力の有無が税金投入の対象を選別する際の要素になるというなら、その発言は明らかに法の下における平等、基本的人権を蹂躙する考え方に他なりません。
『生産性がない』者は国の保護の対象になじまない、福祉の対象に値しない存在として排斥する思想は、杉田議員の専売でもなければ、目新しいものでもありません。
『生産性』という言葉で人間を選別する忌まわしき『優生思想』であり、さまざまな差別の根源的思想であり、その犯罪性は『優生思想』がもたらした各国の歴史を見ても明らかです。
あまつさえ、杉田氏は、憲法を遵守すべき国会議員であり、上記の発言は国会議員としての適格性を著しく欠いた発言と言わざるを得ません。
杉田発言について見解を問われた菅官房長官、二階自民党幹事長はそれぞれに『別に大きな驚きを持っているわけではない』『人それぞれ政治的立場はもとより、いろんな人生観もあり』などとして容認を表明しましたが、むしろ『大きな驚きを持たないこと』に自民党安倍政権の政治思想の著しい退廃を感じざるを得ません。
杉田議員によると、自身の発言によって巻き起こった批判に対して、自民党の中で『大臣クラスの方をはじめ、先輩方が声をかけてくださる』『心配もされ、励まされた』と弁明していますが、杉田発言が容認され、その思想に基づいて行政・政治が進められたとき、どんな事態が起こるか、私たちは深く考える必要があります。
言論・思想の自由だということで、杉田発言を容認する意見があるかもしれません。しかし、問題の核心は言論・思想の自由にあるのではなく、国会議員による『命を選別する思想』『優生思想』が日本の社会の中で容認されていく危険性にあります。
今回の雑誌寄稿で、杉田議員が主張したことは、単なる思い付きや失言ではありません。
『男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です』(2014年10月の国会発言)、『女性の権利、子供の権利を言い募ると、それは特権と化してしまう』など、権利、人権の擁護に関して攻撃を繰り返しています。
さらに日中・日韓の歴史問題に関しても荒唐無稽の妄言を撒き散らし、『科研費を使って韓国の団体と一緒になって反日プロパガンダをやっている』『これは本当にゆゆしき問題』(衆院予算員会2018年2月26日)という発言をおこなっています。
私たちは、言論・出版に関わる出版人として、基本的人権を蹂躙し、学術研究の独自性を攻撃する杉田議員の行動を到底容認することはできません」
呼びかけ人は次の通り。
松田健二(社会評論社代表)
大江正章(コモンズ代表)
北村肇(週刊金曜日代表)
菊地泰博(現代書館代表)
高野政司(解放出版社代表)
成澤壽信(現代人文社代表)
竹村正治かもがわ出版代表)
高須次郎(緑風出版代表)
久保則之(あけび書房代表)
水野久(晩成書房代表)
中川進(大月書店代表)
上野良治(合同出版代表)
賛同者は次の通り。
阿吽社(小笠原正仁代表)
あけび書房(久保則之代表)
梓出版社(本谷高哲代表)
アテネコーポレーション(吉村親義代表)
アルファベータブックス(春日俊一代表)
いかだ社(新沼光太郎代表)
いそっぷ社(首藤知哉代表)
一声社(米山傑代表)
インパクト出版会(深田卓代表)
大月書店(中川進代表)
オルタナ(森摂代表)
海象社(山田一志代表)
解放出版社(高野政司代表)
学習の友社(須藤秀幸代表)
花伝社(平田勝代表)
かもがわ出版(竹村正治代表)
雁思社(吉村三郎代表)
吉夏社(津山明宏代表)
気天舎(西岡泰和代表)
ギャラップ(坂井泉代表)
共和国(下平尾直代表)
クレヨンハウス(落合恵子代表)
現代書館(菊地泰博代表)
現代人文社(成澤壽信代表)
合同出版(上野良治代表)
合同フォレスト(山中洋二代表)
高文研(飯塚直代表)
コスモの本(石田伸哉代表)
子どもの文化普及協会(岩間建亜取締役)
子どもの未来社(奥川隆代表)
こぶし書房(西井雅彦代表)
コモンズ(大江正章代表)
彩流社(竹内淳夫代表)
桜井書店(桜井香代表)
社会評論社(松田健二代表)
三一書房(小番伊佐夫代表)
三元社(石田俊二代表)
三陸書房(佐藤康之代表)
三和書籍(高橋考代表)
自治体研究社(福島譲代表)
時潮社(相良景行代表)
自然食通信社(横山豊子代表)
週刊金曜日(北村肇代表)
出版ニュース社(清田義昭代表)
出版人(今井照容代表)
旬報社(木内洋育代表)
松柏社(森信久代表)
新宿書房(村山恒夫代表)
新水社(村上克江代表)
新読書社(伊集院郁夫代表)
新日本出版社(田所稔代表)
随想舎(卯木伸男代表)
スタジオタッククリエイティブ(高橋矩彦代表)
生活思想社(五十嵐美那子代表)
世織書房(伊藤晶宣代表)
千書房(志子田悦郎代表取締役
食べもの通信社(千賀ひろみ代表)
太郎次郎社エディタス(北山理子代表)
知泉書館(小山光夫代表)
創出版篠田博之代表)
柘植書房新社(上浦英俊代表)
DAYSJAPAN(広河隆一代表)
同時代社(川上隆代表)
梨の木舎(羽田ゆみ子代表)
七つ森書館(中里英章代表)
南方新社向原祥隆代表)
日本キリスト教団出版局(新藤敦局長)
白澤社(吉田朋子代表)
晩成書房(水野久代表)
ひとなる書房(名古屋研一代表)
批評社(佐藤英之代表)
風媒社(山口章代表)
文理閣(黒川美富子代表)
本の泉社(新舩海三郎代表)
ほんの木(高橋利直代表)
めこん(桑原晨代表)
芽ばえ社(奥川隆代表)
木犀社(遠藤真広代表)
唯学書房(村田浩司代表)
ゆいぽおと(山本直子代表)
有志舎(永滝稔代表)
リベルタ出版(田悟恒雄代表)
緑風出版(高須次郎代表)
一般紙は、このことを未だ取り上げていない。「党派」を超えて、これだけの出版社がよくぞ集まったものである。
呼びかけ人を大江正章代表がつとめたコモンズがホームページに声明文を全文掲載している。
http://www.commonsonline.co.jp/event/event2018/201808sugita_mio.html

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2)【本日の一行情報】

◎私が新谷学を評価しているのは、新谷が「落穂拾い」を覚悟していたからだ。「収入の多角化」と言えば耳障りは良いかもしれないが、雑誌にとって「収入の多角化」とは、恥ずかしげもなく「落穂拾い」に踏み出すことだ。たまさか「文春砲」なる呼称が定着したこともあるが、新谷は「落穂拾い」を「文春ブランド」を毀損することなく格好良く見せたのである。
https://www.buzzfeed.com/jp/daisukefuruta/bunshun-shintani-live?utm_term=.nwW9j0YDLX#.wmqk2onyEp

松岡正剛はウェブサイト「千夜千冊」を書物として再構成した「千夜千冊エディション」シリーズを角川ソフィア文庫から刊行した。
https://www.sankei.com/life/news/180822/lif1808220018-n1.html
松岡は早大の出身だが、学生時代の友人が朝倉喬司なのである。松岡は朝倉について「千夜千冊」で次のように描写している。
「そもそもジャーナリストが筋金入りかどうかは『裏側』に入っていけたかどうかにかかっているのだが、とりわけヤクザ社会に詳しいジャーナリストやライターのものは、思いがけないヒントをもたらしてくれる。アナーキーな社会をずっと追いかけていた朝倉喬司(810夜)はわが大学時代の新聞部の同僚だし、元祖『裏側』ルポライター竹中労(388夜)からも多くの切れ味を教えてもらった。二人ともいまはもういない」
https://1000ya.isis.ne.jp/1453.html
「いかにもいま読んだばかりというふうにわざとらしく書いてきたけれど、実は朝倉喬司はぼくの大学時代の仲間の一人である。朝倉がこのような書き方でしか文章を書かない男であることは、よっく知っている。
しかし、朝倉を紹介するには、この『知らないふりして、入っていく』という手が一番なのである。
そもそも朝倉喬司の生き方がアウトローに近く、異界をばかり覗きこんできた。朝倉は根っからアナーキーであって、また放浪漂泊的であって、それでいてその真情は『籠もりトポス』そのものなのである。むろんそのような男たちは、少なくない。けれども、そういう男が文章を書くと、ヤクザの回顧録がよくそういうふうになっているのだが、妙にまじめくさくなっていく。また、アウトローを好んで書く多くの文筆家たちも少なくないけれど(たとえば笹沢左保には『天保国定忠治無頼録』がある)、かれらは案外、淡々と抑制の効いた文章を書きたがる(朝倉もながらく『週刊現代』の記者だった)」
https://1000ya.isis.ne.jp/0810.html
大学時代の新聞部を仕切っていたのが宝島社の蓮見清一、洋泉社の石井慎二であったと言われている。石井が蓮見の先輩なんだよね。二人とも「週刊現代」の記者をつとめていたのだが、「週刊ポスト」が創刊されるに際して声がかかる。ここが二人の頭の良さなのだが、二人して「週刊ポスト」には移籍せず、石井は「週刊現代」に残り、蓮見だけが「週刊ポスト」に移る。「週刊現代」はアンカーを「孤独な探究者の歩み――評伝若き黒田寛一」の高知聡がつとめていたことも付記しておこうか。
やがて蓮見は石井とともに宝島社の前身となるJICC出版局を創業する。

◎ポーラとCCCグループとのコラボはBEAUTY CULTIVATION(磨く、養う、ともに高め合う)をスローガンにして、第一弾、第二弾はポーラ イノベーティブ・マガジン「WE/」5・6月号「かなでる 縄文×近未来」をテーマに、二子玉川 蔦屋家電・梅田 蔦屋書店とともにイベントを開催した。第三弾には「WE/」7・8月号「なぞらえる」をテーマに歌舞伎とオプアートを融合させたイベントを、7月に銀座 蔦屋書店で実施し、3日間で約5,000人を動員した。これを8月24日(金)〜9月2日(日)までの10日間にわたり、梅田 蔦屋書店(大阪府大阪市)で開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000036737.html

NHK連続テレビ小説半分、青い。」のコンピレーション・アルバム「NHK 連続テレビ小説半分、青い。』ソングブック すずめのうた」が発売となった。
http://www.110107.com/s/oto/page/suzumenouta?ima=4836
https://tower.jp/article/news/2018/08/21/tg010

◎「BusinessJournal」が真壁昭夫法政大学大学院教授による「LINEはもう『LINE』じゃない…ある事業が利益爆増、本当に銀行を超えるかもしれない」を掲載している。
「現在、ラインのユーザーは7000万人を超える。これは、国内最大手の三菱UFJ銀行の個人口座数(4000万)を上回る。ラインの取り組み次第では、同社のフィンテック事業が銀行など既存の金融機関が提供してきた資金決済などのサービスを上回る人気を獲得する可能性もある」
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24490.html

◎ダンス&ボーカルグループ・超特急が、ファッションブランド「earth music&ecology」、主婦の友社の女性ファッション誌「Ray」とタッグを組み、トリプルコラボワンピースを発売する。コラボワンピの詳細は、23日売り「Ray」10月号で紹介している。
https://www.oricon.co.jp/news/2117950/full/

◎「週刊文春」8月30日号が「日経子会社『フィナンシャル・タイムズ』トップが報酬7000万円を返還」を掲載している。
「2015年11月末の買収によって日経新聞の子会社となったイギリスの有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(以下FT)。ジョン・リディングCEO(53)の昨年の報酬をめぐり、同社で労働争議が勃発。その結果、リディング氏は報酬の増加分7000万円の返還を余儀なくされていたことが明らかになった」
http://bunshun.jp/articles/-/8682

Netflixは、8月23日午前2時、日本でのサービス利用料を値上げする。新料金はベーシックが150円の値上げで800円、スタンダードが250円の値上げで1,200円、プレミアムが350円の値上げで1,800円。
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1139133.html

綾辻行人が「東京五輪学生ボランティア応援団」をツイッターで絶賛している。
「大変に健全な皮肉ですにゃ(笑)。
途中でやめないで、ちゃんと最後まで読みましょうね――と、いちおう」
https://twitter.com/ayatsujiyukito/status/1031446354009047040
斎藤環も絶賛。
「感動で涙が止まらない。全筑波大生必読。そうだ竹槍精神だ! インパールラソンだ!」
https://twitter.com/pentaxxx/status/1031427902640861184
茂木健一郎でさえもも、こうツイート。
「ぼくは、東京オリンピックのボランティア経験は有意義なものと考えていますが、このサイトの批判的思考の精神はごもっともと思います。一読をおすすめします。
このようなサイトの批判に耐えられるような大会運営であってほしいと思います」
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1031440834166546432
これ、これ、これがそう。
https://2020volunteers.netlify.com/
毎日新聞が「東京五輪 学生ボランティア風刺サイト 作者語る」を掲載している。
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20180823/k00/00m/040/179000c?fm=mnm

◎金足農の吉田輝星投手が8月22日ツイッターを開設したところ、わずか7時間でフォロワーが8万を超えたのだが…。デイリースポーツは、こう書いている。
「午後8時にはフォロワー数が8万人を突破していたが、このころに投稿がすべて“消えた”。ネット上では、吉田の投稿が消えてしまったことから『消えてる』『消した』などと心配の声が上がっている。
吉田はチームメートの菊地彪吾選手のツイートをリツイートしていたが、同じく菊地のツイッターも午後8時すぎに、投稿が全て削除されている」
https://www.daily.co.jp/baseball/2018/08/22/0011567625.shtml
毎日新聞小川一が呟く。
「あまりの反響に怖くなったのでしょうか。その気持ちもよくわかります。それにしても、ツイートを削除しただけで大きなニュースになるとは。なんとすごい高校生」
https://twitter.com/pinpinkiri/status/1032475122429452288

◎米ウォルマート楽天Koboとの提携で電子書籍サービスを開始した。日本では楽天西友がネットスーパーを協業している。楽天の副社長執行役員 メディア&スポーツカンパニー プレジデントである有馬誠のコメント。
「『Walmart eBooks by Rakuten Kobo』は、ウォルマート社と楽天による戦略的提携のマイルストーンとなるものです。世界有数の小売業者であるとともに有力な書籍販売業者でもあるウォルマート社との協業を通じ、米国の読書愛好家の皆様にさらに多くの選択肢と価値を提供できることを楽しみにしています」
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2018/0822_01.html?year=2018&month=8&category=corp%20ec

◎マンガジャパンが「メルカリ上で著作権違反の物品が販売されている件についてのお知らせ」を発表した。
「最近メルカリ上でマンガのキャラクターがシールとして著作権者に無断で製作、販売されているケースが判明しました。
シールに画像が利用されている当該マンガ家の何人かから『使用許可を出していない』と伺いました」
http://www.manga-japan.net/?p=4987

◎「時事通信労働者委員会」のホームページが「『電通株依存』の経営を徹底批判 大室社長、3年ぶり経常赤字に打開策示せず 遅きに失した田崎特別解説委員の契約打ち切りに抗議」を掲載している。
時事通信労働者委員会は7月5日、社と団体交渉を行い、大室真生社長が出席した。大室氏は時事通信が2017年度に経常損益が3年ぶりの赤字に陥ったことについて『社員には頑張っていただいたが、最終的に私の責任で赤字になった。申し訳ない』と述べて陳謝した。労働者委は社の経営が2015、16両年度に経常黒字を確保していたとはいえ、電通株の配当増に依存するものだったと指摘。『経営の実態は決して良くなっていない』とクギを刺し、『巨額の営業赤字からの脱却』という本来の課題を直視して経営に取り組むよう求めた。
また社は、田崎史郎時事通信特別解説委員との契約を6月末で打ち切ったことを明らかにした。大室氏はその理由について田崎氏の年齢が内規で定める同ポストの上限の68歳に達したことを挙げた。田崎氏は、テレビを中心に安倍政権寄りに偏向した言論活動を行い、社内外から批判が絶えず、労働者委が早急に解任するよう要求してきた。労働者委は、遅きに失した社の対応に強く抗議した」
http://www006.upp.so-net.ne.jp/wocomjp/index.html
田崎史郎の契約解除は「リテラ」でも報じられている。
http://lite-ra.com/2018/08/post-4200.html

クックパッド連結子会社であり、料理動画事業を展開しているCookpadTVは、三菱商事を割当先として40億円の第三者割当増資を実施することを決議し、引受契約書を締結した。
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2018_0823

                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

絶望する勇気も時としては必要である。

【文徒】2018年(平成30)8月23日(第6巻158号・通巻1332号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「FLASH」が映画「カメラを止めるな!」の著作権侵害疑惑をスクープ
2)【記事】夏の甲子園の主役は金足農業だったけれど
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.23 Shuppanjin

1)【記事】「FLASH」が映画「カメラを止めるな!」の著作権侵害疑惑をスクープ

光文社の写真週刊誌「FLASH」がスクープを飛ばした。「大ヒット映画をめぐる著作権侵害疑惑 『カメラを止めるな!』は私の作品を無断でパクった」がそうだ。この夏、爆発的な大ヒットとなった上田慎一郎監督の映画「カメラを止めるな!」は、劇団「PEACE」を主宰していた和田亮一の舞台「GHOST IN THE BOX!」の「盗作」ではないかと報じたのである。
https://smart-flash.jp/showbiz/47826
産経が「大ヒット映画『カメラを止めるな!』に盗作疑惑と写真週刊誌が報道」を掲載した。
「同誌によると、劇団を主宰していた男性が、映画の構成は自身の舞台と『まったく一緒』と主張。著作権が侵害されたとして映画の製作側を訴える準備を進めているという。同誌は、映画と舞台の類似点を15カ所指摘している」
https://www.sankei.com/entertainments/news/180821/ent1808210005-n1.html
テレビのワイドショーでも大騒ぎである。上田監督は「原作」ではなく舞台から着想を得たという言い方をツイッターでしている。
「『カメラを止めるな!』は劇団PEACEの舞台『GHOST IN THE BOX!』から着想を得たものです。ただ僕としてはその後自らが脚本・監督・編集して作ったオリジナル作品だと思っています。和田さんや劇団の方の主張にもしっかり耳を傾け、お互い円満な解決が出来ればと思っています。よろしくお願いします!」
https://twitter.com/shin0407/status/1031908659608006657
映画を製作したENBUゼミナール「『カメラを止めるな!』に関するご連絡」は「FLASH」に対して怒っている。
「…本映画は上田監督自身による脚本、監督、編集というように、本舞台とは独自の形で製作を進め、ストーリーは本舞台と全く別物である上、脚本の内容も異なるものですから、本映画について、本記事の見出しに掲載されているような、法的に『著作権侵害』が生じていたり、本舞台を『パクった』といった事実は一切ございません。
また、当方としましては、本舞台関係者の方々と都度協議を行っており、クレジットを含めたその他の条件や今後の対応についても協議を進めようとしていたところでした。
それにもかかわらず、このような『著作権侵害』や『パクった』といったセンセーショナルな見出しや、未だ確定していない本舞台関係者との協議過程の内容を含む記事が掲載されたことに強く憤りを感じます」
http://kametome.net/news/7320551
驚かされるのは和田亮一が7月8日にツイッターに投稿した呟きである。映画がミニシアター2館で公開された当初は「カメラを止めるな!」を絶賛しているのだ。
カメラを止めるな!
めちゃ面白かった。作り手のみんな、映画が好きなんだなぁと思えた。
あの頃命かけて大好きな仲間と作ってた作品がこんな感じで命を与えられてて、本当にうれしかった。最高でした」
https://twitter.com/Rookey_rw/status/1015955712843739137
この間、何が変わったかと言えば映画が予想外の大ヒットとなったことである。公開劇場も200館を超えた。和田は8月21日に次のようにツイートしている。
「怒りの告発とありますが、決して怒っているわけではありません。
こうなる前になんとかする方法もあったのでは無いかとも思っています。
だけど、僕が声を上げることで、同じようにもやもやしている人たちにも届けばいいと思っています」
https://twitter.com/Rookey_rw/status/1031697123836739584
和田は「note」に「映画『カメラを止めるな!』について」を8月21日に発表した。
「その件で直接話をするために、先方のプロデューサー含め、会って話しました。
その際に、配給拡大のタイミングで、今日クレジットは決めなくてはならない。といわれ、最終的に向こうから妥協案として『原案』だったらどうですか、という話になり、“ひとまず”クレジットには原案として劇団名、作品名を入れてもらいました。
そして、その後原作かどうかは判断しましょう。
という話になりました。
だから今、映画のエンドロールには
原案:劇団PEACE『GHOST IN THE BOX!』(作:A 演出:和田亮一)
special thanks で和田亮一と入っています。
でも僕は、ただ、『原作』と入れて欲しかったんです。
元劇団員のみんなが『あの作品PEACEの芝居が原作なんだよ!』と、素直に応援して、自慢できるようにしたかったんです。
『原案』は作品を作るに当たって参考にしたアイデア
『原作』はその作品を作るための元の作品
です。
銀魂の映画は、全くオリジナルストーリーだけどちゃんと『原作』って入ってます」
https://note.mu/rookey/n/ne25a640b8cc7
こんな呟きもあった。
カメラを止めるな!盗作問題。件の和田亮一さんの名前を追いかけていったらTwiリンクにあるラップスクール→運営会社の社長が和田氏→そこはサイブリッジという会社の100%子会社→サイブリッジの取引先に光文社→光文社はFLASHの出版元、と辿り着いてしまったんですが偶然ですよね?」
https://twitter.com/roy_twi/status/1031961290002980864
確かにギガトレンドの社長は和田亮一である。
https://www.giga-trend.com/
確かにサイブリッジは光文社の仕事をしているようだ。
https://www.cybridge.jp/business/integration/systemworks/
https://www.cybridge.jp/corporation/pr/offer
歌人枡野浩一がツイートしている。
「私は、原案として自分の名前をクレジットしてほしいとお願いしたのに関係者全員から無視された経験があり、原案のかたのお気持ちも察しますが、法的に著作権違反をしているとは思いにくいケース。原案とクレジットしたのも、法的に必要だからというより、もとよりリスペクトの気持ちがあったからでは」
「『盗作』問題は専門家の栗原裕一郎@y_kurihara さんの見解を待ちたい。「アイデア」自体には著作権ないはず。原案を隠してもいない。私はむしろ別の劇団の恒例の構造と同じと書いたことがあり、ネタバレになるから消しましたが、同様の構造の映画も複数あります。元の劇も再演して仲よくしてください」
https://twitter.com/toiimasunomo/status/1031772882303574016
https://twitter.com/toiimasunomo/status/1031756590641102848
ゲーム作家の米光一成に次のようなツイートがあることも枡野の呟きで知った。
「カメ止の原案か原作かでもめてるのは、予想外のヒットによるフェイズの変化で引き起こってるコミュニケーション不足で、どっちが悪いとかじゃないし、盗作かどうかですらない。ふたりで、いままでの経緯のトークショーとかやって、ふたりが活動しやすくなるといいなー」
https://twitter.com/yonemitsu/status/1031718324399292421
メモリースティック ポップカルチャーと社会をつなぐやり方」の著者である九龍ジョーもこの件に言及している。
「『カメラを止めるな!』の件、多くの演劇ファンが指摘する通り、舞台ではよく使われる作劇構造なわけで。それでもカメ止めが特別なのは、その背景となるドラマが監督も含めたインディ映画をとりまく人間群像と重なる、という部分にあるかと。なので『原案』は妥当な気が。後は手続きと気持ちの問題か…」
https://twitter.com/wannyan/status/1031821772595724289
弁護士の福井健策はこの件で取材を受けたようだ。
「この件で取材。答えたこと:ポイントは、①両作品が著作権を侵害するほど似ているか、②(YESなら)舞台脚本の著作者は誰だったか、③その者が映画化に同意していたか」
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1032052181938130944

                                                                                                        • -

2)【記事】夏の甲子園の主役は金足農業だったけれど

夏の甲子園秋田県立金足農業高等学校が決勝に勝ち進んだこともあり大いに盛り上がったようである。
地元のAAB秋田朝日放送のタイムラインを追ってみよう。最初は決勝進出を決めた際のツイート。完全に切れちゃっている。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
https://twitter.com/AAB_5ch/status/1030737151925792768
「あああ秋田の皆さん!!なんと明日13:55から #甲子園 を!AAB秋田朝日放送で中継放送することが!!決まりました…!!弊社甲子園の放送は初めてです!!秋田だけのCMもありますので是非・・・是非・・・一緒に応援しましょう!!13:55からですよ!!」
https://twitter.com/AAB_5ch/status/1031386031738695681
「弊社 甲子園の《決勝で秋田県勢の中継をするのは》初めてです!
興奮して言葉足らずでした…申し訳ありません!!」
https://twitter.com/AAB_5ch/status/1031414702402760706
「皆さんちゃんとごはん食べましたか??
さぁ、14時からの #甲子園 決勝、#金足農業 は先攻に決まりましたね!
雑草は美しい花を咲かせます 秋田の侍!がんばれ!!!AAB秋田朝日放送社員一同応援しております!!
あっ放送は13:55からですよ!一緒に応援しましょう!」
https://twitter.com/AAB_5ch/status/1031757429048889344
ABS秋田放送・広報の公式ツイッターだって負けてはいない。金足農業が決勝進出を決めると相場詩織アナウンサーらが、「外人4コマ」として知られるポーズをきめた写真を公開したのだ。これがそうだ。
https://twitter.com/ABS_PR_AKITA/status/1031381142790856705?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1031381142790856705&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.huffingtonpost.jp%2F2018%2F08%2F20%2Fkana-ashi-abs_a_23505280%2F
「ハフポスト日本版」も「金足農業が決勝進出を決めた瞬間、秋田放送の社内がすごいことに」で、この写真をデカデカと掲載される。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/20/kana-ashi-abs_a_23505280/
NHK秋田放送局の公式ツイッターも興奮していた。決勝進出を決めた際のツイートは言葉になっていないんだもの。AAB秋田朝日放送が「あ」だから、こっちは「お」で行こうという程度の理性は機能しているろだろうけれど。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
https://twitter.com/nhk_akita/status/1031379574829895680
エフエム秋田も意味不明のツイートだが、「あ」や「お」に比べれば凝り過ぎじゃないのと半畳も入れたくなるようなツイートであった。
「コ---ノ---ミ---チニ----!!
ワレ-ラ-ヒラ--カ---ン---!!!!!!!
ワ--レラ--ワ--レラ--!!!
ワ-レラ---!!ヒラ--カ---ン---!!!!!」
https://twitter.com/fm_akita/status/1031380746634637314
残念ながら甲子園の優勝旗は今回も白河の関を越えなかった。優勝は大阪桐蔭に決まった。ただ、判官びいきというのだろうか、地域ナショナリズムは秋田にとどまらず、金足農業に対する声援は全国的に拡大していった。
日本人は「敗北」に美を見てしまうという屈折した習性が昔からあるのかもしれないのだけれど、メディアには、これに歯止めをかけるという意識が希薄である。自らが煽って醸成された熱狂の奔流に自らも流されて行ってしまう。AAB秋田朝日放送にしても、そうした全国的な声援に呼応するかのようにツイートしている。
「弊社アカウントが注目を頂いたのも金足農業高校球児たちのおかげです!本当にありがとう!こんなにも全国の方々と一緒に興奮して喜びを分かち合ったのは初めてです…!お疲れ様でした!お気をつけて帰って、おいしい物食べて、ゆっくり休んでください…!」
https://twitter.com/AAB_5ch/status/1031806825518096384
こうしたメディアのあり方は、今から70年以上も前に「玉砕」や「特攻」を美化してやまなかった「戦争報道」と相似形をなすということは、やはり指摘しておいたほうが良かろう。吉田輝星投手は投げ過ぎなのではないのだろうかという指摘が普段はリベラルな主張をするメディアですらなされない「翼賛報道」に吐き気を誰も催さない?
私は橋下徹のツイートに同意する。
大阪桐蔭金足農業のメンバーには敬意。しかし金足農業の吉田選手を美談で終わらす間は、日本のスポーツ界に未来はない。吉田選手にどれだけの負担がかかり、選手寿命をどれだけ縮めたのかを科学的に明らかにすべき。それくらいのことができないなら日本のスポーツ科学論は役立たず」
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1032076530728333313
ホームレス作家」の松井計にも同意する。
金足農業の投手、予選から1517球投げたの? とんでもない話だ。これが美談になるようでは、高校生投手への虐待はなくならないし、大投手になる可能性を持つ若いもんを潰す愚行もなくならない」
https://twitter.com/matsuikei/status/1032111250296074240
東洋経済オンライン」が広尾晃の「金足農『投手の玉砕』を賞賛する甲子園の病」を掲載した。
「高校生の世代で短期間に膨大な球数を投げれば、その後の野球人生に深刻な影響を与えるのは、疑問の余地がない。選手生活も短くなり、投手を続けられなくなる可能性さえある」
https://toyokeizai.net/articles/-/234656

                                                                                                        • -

3)【本日の一行情報】

朝吹真理子は「流跡」を「新潮」2009年10月号に発表して、小説家としてデビュー。2010年に単行本化され、第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。堀江敏幸の選考だった。「新潮」2010年9月号に「きことわ」を発表すると、これが芥川賞を受賞。2011年2月のことであった。あれから7年、朝吹の小説が新潮社から刊行された。しかも長編。タイトルは「TIMELESS」。産経が「芥川賞作家・朝吹真理子さん 7年の沈黙を破って世に問う『永遠』」を掲載している。
「父は詩人の朝吹亮二さんで、大叔母は仏作家、サガンなどの翻訳で知られた朝吹登水子さん。“文学一家”に育った才媛の鮮烈なデビューは話題となったが、その後『TIMELESS』の連載を始める27年末まで筆が進まなかった」
https://www.sankei.com/life/news/180820/lif1808200001-n1.html
驚くのは未だ早い。曽祖父は衆議院議長までつとめた政治家の石井光次郎元帝国生命保険(朝日生命保険)社長などをつとめた朝吹常吉である。シャンソン歌手の石井好子も大叔母だ。
篠山紀信朝吹真理子を被写体にして個展「Untitled 朝吹真理子」を清澄のギャラリーhiromiyoshiiで開催したのは2011年9月。あれから7年が経つわけだ。
http://bp.shogakukan.co.jp/junkishin/backnumber/vol11_110920/index.html

◎「AERAdot.」が「芥川賞作家が被災地で書店オープン 創作活動に思いがけない影響も」を掲載している。柳美里福島県南相馬市のJR小高駅からほど近い場所に今年の4月に開店した書店「フルハウス」を取り上げた記事だが、タイトルに柳美里と入れていないのは、これを入れるとPVを稼げないと判断したためだろう。「芥川賞作家・柳美里」よりも、「芥川賞作家」としたほうが撒餌としては効果があると踏んだに違いない。
https://dot.asahi.com/aera/2018081600013.html?page=1

◎ビデオリサーチは、日本雑誌協会、日本雑誌広告協会に協力し、2018年2月〜4月に「雑誌広告効果測定調査」を実施し、その結果をまとめた。
これによれば雑誌閲読者のうち、掲載された広告に「注目」した(確かに見た)人の割合を示す「広告注目率」は、のべ38誌702素材平均で47.9%。
また、広告種類別に主要指標のスコアをみると、「広告接触率」「広告注目率」では純広告が記事広告・タイアップ広告と比べて高い一方、「興味関心度」「購入・利用意向度」では記事広告・タイアップ広告が純広告を上回る結果となった。
https://www.videor.co.jp/press/2018/180820.htm
まあデータは多いに越したことはないからね。雑誌業界の悪いところって一つのことにしか集中できないことなのではないだろうか。あれもこれもとなると足並みが急に揃わなくなる。昔も今も変わらない「風景」である。こう書きゃオレの思いはわかるでしょ!

◎光文社の「小説宝石」9月号。柳澤健の「2016年の週刊文春」の連載第9回「遊び人たち」は、何故かオレの発言から始まる。
「頭がいい坊ちゃん、という点では文藝春秋も新潮社も朝日新聞も同じだけど、新潮や朝日に入っちゃうと、坊ちゃんっぽいところを捨てて、ドス黒くならないといけない(笑)。
でも、文春だと底抜けに明るい感じが最後まで認められちゃう。仕事を仕事と思っていなくて、アマチュアのままずっときている良さがある。雑誌って、本来そういうものじゃないかな」
https://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=104001
ここでいうアマチュアリズムの基本は本が好きという、ミーハー精神である。

◎ロイターが「インタビュー:米大統領ソーシャルメディアの利用禁止『非常に危険』」を掲載している。
「トランプ米大統領は20日、ロイターのインタビューに応じ、ツイッター(TWTR.N)やフェイスブック(FB.O)などのソーシャルメディア企業が一部のユーザーに自社サービスの利用を禁止した措置について『非常に危険』だと述べた」
https://jp.reuters.com/article/trump-sns-idJPKCN1L52CO

◎「BuzzFeed News」が「朝日新聞取材班の文庫本、表紙が類書に酷似 『パクリ』指摘の声も」によれば、朝日新聞の連載を文庫化した『【増補版】子どもと貧困』(朝日新聞出版)の表紙が、NHKディレクター新井直之の「チャイルド・プア〜社会を蝕む子どもの貧困〜」(TOブックス)にソックリなのである。
「調べてみると、確かにこの写真は『Hiroyuki Oniki / Getty Images』の署名、『watching the rail』のタイトルでGettyに登録されていた。お金さえ払えば、誰でも写真を利用することができる。
ただ、法的な問題とは別に、『子どもと貧困』の文庫化に際して、なぜ同一ジャンルの先行書である『チャイルド・プア』と同じ写真を使ったのか、という疑問は残る」
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/asahi?utm_term=.irO3456mqp#.jrv2nNKXGk
庶民感覚からすれば「パクリ」なんじゃないの?

◎「VOGUE JAPAN」まで安室奈美恵を表紙に使うのかよ…でも、これ、格好良い!
https://tower.jp/article/news/2018/08/21/tg009
そういえば、オレ、先週、安室が琉球共和国の大統領に就任した夢を見たのよ。

◎デーリー東北が8月22日付で「1日平均487人、販売は30冊 公設書店『八戸ブックセンター』の利用実績」を掲載している。
青森県八戸市は21日、八戸ブックセンターの開館(2016年12月)から18年3月までの約1年4カ月間の利用実績を明らかにした。累計来館者数は19万9639人で1日平均487人。今年7月の八戸まちなか広場『マチニワ』オープン以降は、2〜3割程度増加している。累計販売冊数は1万2287冊で、1日平均約30冊。同センターは今後も各種イベントを積極的に開催し、来街者の増加や市民が本に親しむ環境づくりに取り組む方針だ」
https://this.kiji.is/404826432536953953

                                                                                                        • -

4)【深夜の誌人語録】

空気は読まないこと。流れには乗らないこと。ただ、空気や流れには敏感でなければならぬ。

【文徒】2018年(平成30)8月22日(第6巻157号・通巻1331号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】夏休みに読んだ三冊を紹介しよう
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.22 Shuppanjin

1)【記事】夏休みに読んだ三冊を紹介しよう

これは拾い物だった。山本譲司の「刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話」(大月書店)だ。著者の山本は菅直人の秘書から衆議院議員にまで登りつめるが、政策秘書給与の流用疑惑による詐欺容疑で逮捕され、衆議院議員を辞職し、懲役1年6か月の実刑判決を受けた。このとき山本は刑務所で触法障害者と出会う。現在も触法障害者や出所者の支援に奔走する山本が、まさに刑務所しか居場所のない触法障害者と呼ばれる人々の実態を活写しているのが本書だ。http://www.otsukishoten.co.jp/book/b357417.html
私は「刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話」の存在を読売新聞の書評欄で知った。
https://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/nextweek/20180814-OYT8T50061.html
中度の知的障害を持つ男性が、車のダッシュボードに置かれていた30円を盗んだという事件の裁判の結果は、何と男性に懲役3年の実刑判決が下ってしまうのだ。朝日新聞も6月に書評で取り上げていた。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13563413.html
見逃しちゃダメだよ!と自戒する。言い訳めいてしまうが私の場合、大月書店という名前を目にすると条件反射的に忌避する習性があるため、この本をこれまで見逃していた。
新聞の書評で初めて、その存在を知り、書店に走り、即座に読み始めて、その書物に圧倒され、自分の不明を恥じるということは、毎日のように東京堂書店三省堂書店に出向き新刊をチェックしている私にしても少なからずある。
フィリップ・フーズの「ナチスに挑戦した少年たち」(小学館)は東京新聞の書評で知った。これはナチス占領下のデンマークで自分たちのグループをチャーチルクラブと呼んでレジスタンス活動を繰り広げた少年たちの活動を描いているノンフィクションなのだが、私にとってレジスタンス活動する少年がデンマークにいたということ自体が驚きであった。ジャンルとしては児童文学に分類され、大人たちの眼には入り難いのだが、どうやら戦前を生き始めた日本の大人たちこそ読むべき一冊だと私は思った。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09290613
拾い物といえば、この3月に東大を退職した松原隆一郎が苦楽堂なる私にとっては初耳の版元から上梓した「頼介伝」もそうだった。松原は私からすると未だに「格闘技としての同時代論争 外国人横綱から自由主義まで」の著者であったのだが、岸信介と同級生だったという祖父・頼介の評伝なのだが、これはノンフィクションとして傑作なのである。何しろ松原頼介が最初に起業した神戸の東出町周辺には同時期にダイエーの創業者である中内功東山魁夷横溝正史、そして山口組の初代もいたのである。
文徒で岩本太郎が紹介した田代靖久もツイッターで絶賛している。しかし、「社会科学ノンフィクション」とは言い得て妙だ。
松原隆一郎さん『頼介伝』(苦楽堂)読了。期待に違わず面白かった。書き手の『書かねばならない』という執念、あるいは書き手とテーマとの結びつきの切実さは、時としてノンフィクションの作品に強い力を与えることがある。本書はまさしくそんな一冊だ」
「人生の一時期まで著者の針路を支配した祖父頼介、祖父の事業の失敗を契機に、そのくびきから解き放たれた若き日の著者。自らの意志で経済学者の道を歩んだ著者は、祖父の人生を知ることを欲し、9年という年月をかけて本書を完成させたという。思いが込められ、贅沢に時間を費やされた書物は、その一事をもっても十分に魅力的だ。物語は、父の死後発見されたといういくつもの謎にみちた古い一枚の魅惑的な写真から語り始められる。写真の謎解きをきっかけに、闇に埋もれかけた祖父の人生に少しずつ光をあて解き明かしていく筆致は、学者らしく丹念で着実なのだが、思いの他スリリングだ。
松原頼介という無名の起業家の生きた個人史が、日本の近現代史および神戸史に重ね合わされ、激動の時代が甦ってくる。それは結果として『社会科学ノンフィクション』とでも呼びたくなるこの作品の、独特の硬質な感触につながっている。自分ただ一人しか書けないテーマを見事に書ききった力作だ」
https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029610896408993792
https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029611495246651392
https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029611967357452291
https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029612412943577088
付言しておくならば、この「頼介伝」や東良美季(親父は戸浦六宏である)の「デリヘルドライバー」(駒草出版)を正当に評価できないようだとノンフィクション業界に明日などあるまい。
いずれにせよ、出版業界の奥はまだまだ深いのである。その深さを知らずに出版業界の危機を騒ぎ立てることにかけては一人前という版元の人間が増えて来たと感じているのは私だけであろうか。そこの、お前だよ!本を書店で買って読むという習慣を持たないのであれば、とっとと業界から去って欲しいものである。

                                                                                                          • -

2)【本日の一行情報】

江口寿史熊本県水俣市出身なんだね。熊本市内の中央区上通町の長崎書店で個展が開催されている。
https://this.kiji.is/403760511776261217?c=92619697908483575
江口の描いた女性はステキだ、好きだ、抱きしめたい。

東京新聞は8月19日付の書評欄で「歴史修正主義サブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化」の社会学者・倉橋耕平を取り上げている。
歴史修正主義は決してネット時代の現象ではなく、一九九〇年代には仕組みがあった。ルーツの一つが『新しい歴史教科書をつくる会』。歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人が中心を担った。右肩下がりの出版界で彼らの主張は『商品』として、論壇誌、漫画など複数のメディアを横断しながら拡散された。<『売れれば』いいという消費文化の論理で展開され、熱心な『お客様』を手放さないよう扱うなかで作られた言論>というわけだ」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/kakuhito/list/CK2018081902000183.html
私がこの記事に違和感を抱かざるを得ないのは「歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人」という言い方である。「新しい歴史教科書をつくる会」とやらを「歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人」が担って何が悪いのだろうか。私は「サンカ研究会」に属していたが私もまた歴史の専門家でもなく、民俗の専門家でもなかったし、同じく「サンカ研究会」のメンバーでもあった朝倉喬司中川六平紀和鏡も歴史や民俗学のアマチュアであったが、「マージナル」(現代書館)を10号まで刊行した。
http://www.gendaishokan.co.jp/C1303101.htm

◎発売から1カ月足らずで累計10万部に到達し「清原和博 告白」は、西船橋の居酒屋で一歩を踏み出した企画と言って良いのかもしれない。「文春オンライン」が「覚せい剤逮捕から2年半。『清原和博 告白』はなぜ生まれたのか」を掲載している。
http://bunshun.jp/articles/-/8666
こういう本の「背景」に焦点を当てた記事は「文春オンライン」ならではのもの。本の販促にも繋がるしね。編集者や作家の顔を表に晒すのは、出版社の擁するネットメディアの重要な役割のひとつであると私は認識している。

昭文社は、ガイドブックシリーズ「ことりっぷ」の創刊10周年を記念した「ことりっぷ 10周年の10のこと」の企画のひとつとして、「ことりっぷ 旅するマルシェ」を11月3・4日の2日間、目黒駅徒歩2分の撮影スタジオ「EASE」で開催する。「日本のよいもの、かわいいもの」をテーマに、日本全国から編集部がセレクトしたお店が集まり、食品、雑貨などの販売を実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000007916.html

◎日刊スポーツの「権力VSメディア 日本の場合/政界地獄耳」は次のように書いている。
「さて我が国はどうだろう。権力はメディアを敵と味方に分け、味方には情報を流し敵には教えない。メディアは自分の社だけが知らないのではないかと不安になり、多くが権力の顔色を見るようになる。どうやらそれでいいと思っている記者と、それは不健全だと思っている記者がいるようだが、メディアとして毅然と対峙しているとは言い難い。米メディアの状況は遠い話か、明日の我が身か」
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808200000221.html
首相動静を見れば「メディアとして毅然と対峙しているとは言い難い」ことは明らかである。
「笹川会長、森喜朗元首相、小泉純一郎元首相、麻生太郎副総理兼財務相茂木敏充経済再生担当相、加藤勝信厚生労働相西村康稔官房副長官自民党岸田文雄政調会長萩生田光一幹事長代行、日枝久フジテレビ相談役らと食事」(8月15日)
https://www.asahi.com/articles/ASL8H64JHL8HUTFK013.html

空知英秋の「銀魂」が、9月15日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)42号で完結することになった。コミックス第1巻から74巻までの累計発行部数は5500万部を突破している。
https://www.oricon.co.jp/news/2117854/full/

◎未来創造が運営していた小説投稿サイト「トークメーカー」は、講談社が運営元となり、「NOVEL DAYS」として生まれ変わることになった。「講談社11誌150人超の編集者と出逢える場所」として好評を博しているマッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」と、アトリエ特化型イラスト投稿サイト「ILLUST DAYS」の兄弟サイトとなる。開発・バージョンアップ・システム運営管理などは引き続き未来創造が担う。チャットノベル(キャラクター同士の掛け合いの会話形式ノベル)、コラボノベル(複数人で執筆する共著形式ノベル)も投稿できる。
https://talkmaker.com/info/713.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001830.000001719.html

安室奈美恵がゲスト出演するラジオ特別番組「WE LOVE RADIO, WE LOVE AMURO NAMIE」が、9月8日(土)より民放連加盟101局にてオンエアされることになった。
https://www.barks.jp/news/?id=1000158918

◎「日刊スポーツ」が「村上春樹氏の初ラジオ番組がシェア83・8%」を掲載している。
「作家の村上春樹氏(69)がDJ(ディスクジョッキー)に初挑戦し、TOKYO FMで5日午後7時から放送された番組『村上RADIO〜RUN&SONGS〜』が、パソコンやスマートフォンでラジオを聴くことができるサービス『radiko』の過去1週間以内の放送を聴くことができるタイムフリー聴取で、在京ラジオ同時間帯平均で83・8%のシェアを獲得した。20日、同局が発表した」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201808200000416.html

◎「NEWSポストセブン」が「富田林署逃走事件、大迷惑だったテレビクルーの大追跡」を掲載した。「週刊ポスト」の記事である。
「特に問題となったのがTBSの取材スタッフだった。事情を知るTBS関係者はこう話す。
『最近の長丁場の現場では各局の報道クルーの車がWi-Fi(無線の電波でインターネット接続ができる)設備があるコンビニの駐車場を“拠点”としてよく利用するんです。店側から苦情があれば謝罪して対応するのが筋ですが、今回、TBSの報道スタッフがコンビニ店員とやり取りするなかで、駐車問題について言われると“でも、売り上げも上がったでしょう”という反論をしたようです。さすがにそうした対応などについて、コンビニ側から局に直接苦情が来ました』」
https://www.news-postseven.com/archives/20180819_742615.html?PAGE=1#container

白石麻衣(乃木坂46)の写真集「パスポート』(講談社)が、21度目の重版で1万部を増刷し、累計発行部数が32万部を突破した。発売して1年半も経つのに、これだけの勢いがあるとは!
https://mdpr.jp/news/detail/1787189
白石は小学館の女性ファッション誌「Oggi」10月号(小学館)で、初登場にして表紙を飾る。
https://www.oricon.co.jp/news/2117944/full/

大日本印刷紀伊國屋書店および、大日本印刷グループの丸善ジュンク堂書店は、書店のコミック売り場で人気コミック作品のキャラクターやその一場面等の「プレミアムブロマイド」の販売を展開している。2018年1月4日から紀伊國屋書店新宿本店をはじめ、札幌本店、グランフロント大阪店、福岡本店、前橋店で展開を開始。また、7月1日からジュンク堂書店三宮店、7月11日からジュンク堂書店池袋本店に拡げ、全国で7店舗となった。
https://www.dnp.co.jp/news/detail/1190232_1587.html

小学館の園児の知育雑誌「幼稚園」9月号の付録は、回転ずしチェーン「無添くら寿司」とコラボした「かいてんずし つかみゲーム」。こういう手もあるのか。この企画を考えついた広告人は偉い!
https://netatopi.jp/article/1138769.html

クックパッドが監修する月刊誌「cookpad plus」はセブン&アイ出版より、9月1日(土)に創刊される。「リサ・ラーソン」のマイキーとベイビーマイキーをあしらった多機能おでかけポシェットが付録となる。880円(税込み)。18万部の発行というが、付録からしても完売は間違いあるまい。
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2018_0821

◎「AERA dot.」が「シリアで凶弾に倒れた山本美香さん七回忌 パートナーが語る戦場の真実『安田純平さん問題は自己責任が政府の逃げ道に』」を掲載している。
「戦場取材の原点は「怒り」だと佐藤さん。戦争という不条理に対する『冗談じゃない』という強い気持ちが山本さんを突き動かした。山本さんが伝える映像は凛としたまなざしで女性や子どもに寄り添うものも多かったが、2003年のイラク戦争でジャーナリストの拠点となっていたパレスチナホテルが米軍に攻撃されたときの記録には彼女の怒りが強く刻まれている。その砲撃により、ともに戦場を取材していたロイター通信のカメラマンが死亡。悔しさから思わず発した『ちくしょう』という山本さんの言葉は、日本のメディアでも取り上げられた。この言葉こそ、不条理への怒りそのものだった」
https://dot.asahi.com/dot/2018081800012.html?page=1

◎昨日の文徒で紹介した「マガジン航」の「出版流通はなんでもありの変革期を迎えた」(湯浅誠)が「NewsPicks」に取り上げられた。湯浅が提案した委託制度の廃止については毎日新聞小川一取締役が「真摯に検討する必要がある」と応じている。また「月刊FACTA」の宮嶋巌も「取次に搾取されるビジネスモデルなんか糞くらえ!」と吠えているし、元トーハン元明屋書店の小島俊一も次のように書きこんでいる。
「読むに値する出版界からの考察です」
https://newspicks.com/news/3256860/?ref=business
https://magazine-k.jp/2018/08/20/revolution-in-book-distribustion/
湯浅はTAC出版で営業部に属している。

                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

失敗とは希望を捨ててしまうことである。

【文徒】2018年(平成30)8月21日(第6巻156号・通巻1330号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】海賊版サイトはアプリの普及により駆逐される?
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】海賊版サイトはアプリの普及により駆逐される?(岩本太郎)

『Business Journal』が14日付で「海賊版サイトは放っておいても消滅する」とする論考を掲載していた。博報堂出身の中川淳一郎の以下のようなコメントを交えながら展開している。
《10年ほど前まで、ネット広告は『閲覧数やCTR(クリック率)の数字がわかるから公明正大』と評価されていました。当時はまだ、テレビ・新聞・雑誌といった既存メディアが出稿先のメインで、新興メディアのネットは広告効果がわかりやすいという点を売りにしていました。しかし、『漫画村』で横行していたアドフラウドのような手法が蔓延すると、その評価が地に堕ちてしまいかねない(略)出稿がなくなることで『漫画村』のような海賊版サイトは兵糧攻めに遭うようなかたちになり、いずれ消えていくでしょう。結果的に自滅することになるのでは……》
アドフラウドとは《「漫画村」の閲覧者にわからないかたちで同時に別サイトが立ち上がり、そのなかに“裏広告”として掲載されていたという手法だ。広告は「閲覧された」とカウントされるが実際は誰も見ていない》といった詐欺的広告だ。
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24424.html
『Business Journal』は続いて18日にも「ネット広告の闇…アプリに蔓延するアドフラウド(広告詐欺)の実態」とのレポートを掲載している。広告の効果測定や不正防止を目的とするプラットフォーム「adjust」で日本チームカントリーマネージャーを務める佐々直紀はインタビューに応じ、「漫画村」が結局アプリに行けなかった理由もそこにあったと指摘する。
《「漫画村」の問題は「ウェブサイト」だから起きたことであり、「アプリ」では比較的難しいと思います。アプリの場合は「Google Play」や「App Store」の審査があるので、「漫画村」のように道義的に問題のあるアプリは審査の段階ではじかれてしまいます。(略)裏を返せば「広告を利用して不正を働き、儲けようとする人や組織が活動する場所も、ウェブからアプリに移りつつある」とも言えるということです》
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24471.html
アクセス数の大きな媒体に出稿してたくさんクリックしてもらうという従来の手法に代わって深刻化しているのがアドフラウドだ、と佐々は指摘している。
ただ、いずれにせよこれまでのような海賊版を舞台にした無法地帯的な状況はアプリの登場によりある程度は「浄化」されるとの見たてのようだ。もっとも、アプリ以外の「合法的な」無料サイトは今後もすみ分けする形で残るのだろう。以前も紹介した「漫画ビレッジ」はフリーランスプログラマーたちが独自に開発したシステムで、出版社が公式に提供しているマンガサービスにリンクするという、至ってシンプルなサービスだ。
https://www.manga-village.com/
https://mag.app-liv.jp/archive/118257
往年の一般読者が独自に立ち読みしたりマンガ本を仲間で貸し借りしていたような感覚のこうしたサービスと、大手が資本投下のうえ開発したアプリを活用した広告モデルのサービス。「LINEマンガ」や「マンガワン」などのアプリの存在がますます大きくなり、広告による収益を作家に分配するような仕組みも拡充されてきた中で、こうした二つの方向への筋道が何となく見えてきているのかもしれない。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎『マガジン航』で今月6日に仲俣暁生が載せた論考『出版業界は沈みゆく泥舟なのか』に呼応し、TAC出版の湯浅創が「出版流通はなんでもありの変革期を迎えた」と応答の寄稿。創作物を伝える媒体である本の流通経路がなくなるのは困ると述べた仲俣に対しだ《だが、もしかするともはや要らないのかもしれない》と挑発的に前置きしつつ、「委託制度の廃止」の可能性にまで言及している。
https://magazine-k.jp/2018/08/20/revolution-in-book-distribustion/

講談社は金融・経済サイト『マネー現代』を20日に公開した。編集長は同社の週刊誌・書籍分野で金融・経済情報に携わってきた代泰征(だい・やすゆき)が担当。人気ファイナンシャルプランナー陣による連載のほか、大物投資家への独占インタビューなどを今後公開していく予定とのこと。
https://gendai.ismedia.jp/money
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2018/20180820_moneygendai.pdf

講談社は10月5日に新しい小説レーベル「レジェンドノベルス」を創刊する。「小説家になろう」などの投稿サイトに投稿されたファンタジー小説の専門レーベルで、今後は毎月5日に4冊ずつ刊行する予定。
http://legendnovels.jp/
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2018/20180820_legendnovels.pdf

◎2010年に開設され、地震などの自然災害発生時に逸早く関連情報をまとめてツイートしていることから現在までに50万人近くものフォロワーがついているTwitter上の個人アカウント「特務機関NERV」を運営する石森大貴が『AERA.dot』のインタビューに登場。石森は都内でITセキュリティの会社を経営する28歳の男性で、開設翌年に発生した東日本大震災によりフォロワー数が数万人規模で伸びたが、宮城県石巻市の実家は津波で全壊、親戚や友人を亡くしたという。
https://twitter.com/un_nerv
https://dot.asahi.com/aera/2018080800079.html

◎その「特務機関NERV」でも時には誤った情報を拡散してしまうことがある。さる19日には「房総半島南方沖を震源とする最大震度4の地震が発生した」旨をツイートしたが、これは気象庁の発表に基づく誤報だった。同庁によると、南太平洋のフィジー諸島沖で起きたマグニチュード8.2の地震が伝わってきた影響で緊急地震速報が出たらしい。
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/m82-fiji?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter

◎「港区で一番小さい出版社」を標榜するビーナイスの杉田龍彦が渋谷区円山町のギャラリー「irodoriya.(いろどりやま)」で26日まで「ちいさな出版社のちいさな本屋さん」展を開催中。同社刊行物のほか、コラボしたミニチュア絵本制作キットやオリジナルグッズ、同社も会員の「本づくり協会」の会報誌『BOOK ARTS AND CRAFTS』などの販売も行っている。
https://twitter.com/beniceinc
https://www.shibukei.com/headline/13379/

◎JR渋谷駅の構内にある書店「BOOK EXPRESS渋谷」が今日21日で閉店。同店は埼京線の連絡通路内に位置し、埼京線ホームの移設工事に伴い閉店されることになったが、これで渋谷駅からまた書店が消える。
https://www.shibukei.com/headline/13375/

電通はイージスを通じ、オーストラリアの大手マーケティングテクノロジー会社「Amicus Digital Ventures Pty Ltd」(アミクスデジタル社)の株式100%を取得。アメリカに本社を置くイージス傘下のデータマーケティング会社「Merkle」(マークル)の事業拡大を目的としたもので、同社はイージス傘下入りと同時に社名を「Amicus Digital, a Merkle Company」に改称する。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0820-009591.html

◎「日本初の古書検索サイト」とされる「スーパー源氏」を運営元である会社「紫式部」代表の河野真が『ITMediaビジネスONLINE #SHIFT』のインタビューに登場。電機機器メーカーのリコーの社員だった1996年に40歳で「スーパー源氏」を立ち上げ、4年後に独立。「Amazonとは違う世界を」求めて現在も展開中だ。
https://www.supergenji.jp/
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1808/20/news019.html

◎KKベストセラーズからの『自選作品集』の刊行が途中で中止となった柳美里だが、今年4月に移住先の福島県南相馬市に開店した書店「フルハウス」は「第二幕」に入るとか。店の改装工事開始を前に、さる11日には同店で仙台市在住の佐伯一麦と対談。4月以来続けてきたトークイベントの開催に一区切りをつけた。9月に柳の劇団「青春五月党」の復活公演を行った後に改装工事に入り、書店は11月中旬まで休業するという。
https://twitter.com/odaka_fullhouse
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201808/20180816_63033.html

◎ブックリスタは投稿プラットフォームの「シミルボン」において、桜庭一樹作品の「二次創作」を募集する「『桜庭一樹で創る』第7回シミルボンコラム大賞」を開催する。審査には翻訳家の金原瑞人、そして桜庭一樹本人もあたるとのこと。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000297.000006388.html

高知県立大学が新図書館への移転に伴い、旧図書館にあった約3万8000冊の図書や雑誌を焼却処分にしていたことが問題視されたことについて、同大学学長の野嶋佐由美が18日に公式サイトで《除却に際しての配慮が十分でなく、多数の図書を焼却するに至ったことについて、お詫びいたします》と謝罪。
http://www.u-kochi.ac.jp/soshiki/7/oshirase.html
https://mainichi.jp/articles/20180819/ddl/k39/100/319000c
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/u-kochi?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter

日本電子出版協会(JEPA)は9月26日にセミナー「hon.jpからHON.jp、営利企業から非営利メディアへ」を開催する。講師はhon.jp DayWatch編集長でNPO日本独立作家同盟の鷹野凌。代表・塩崎泰三の急逝によって事業を終了したhon.jpよりニュースブログ事業を継承し、この10月1日から「HON.jp News Blog」と名前を改め正式に稼働を開始する。
http://www.jepa.or.jp/seminar/20180926/
https://kokucheese.com/event/index/532642/

【文徒】2018年(平成30)8月20日(第6巻155号・通巻1329号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「週刊新潮」に太田光代社長が激怒!
2)【記事】出版と軽減税率をめぐって
3)【記事】約400の米新聞が社説でトランプ大統領に抗議
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「週刊新潮」に太田光代社長が激怒!

週刊新潮」は8月16・23日夏季特大号で「爆笑問題太田光』を日大に裏口入学させた父の溺愛」を掲載した。「日大関係者」の暴露によって成立している記事なんだけれど……。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
これに太田光代ツイッターで激怒した。太田光代爆笑問題太田光の妻にして、芸能事務所タイタンの社長である。「週刊新潮」が発売される前日の8月7日に呟いた。
「訴えます!
民事と刑事両方で。訴えます。残念ながら訴えます」
https://twitter.com/ota324/status/1026874607876202496
橋下徹はタイタンの所属タレントにして、顧問弁護士でもある。
「弊社の顧問弁護士事務所に委託書を出しました。あとは弁護士が書類作成し提出するだけです。迅速な弁護士事務所なので提出までの時間は、大して要しないと思います」
https://twitter.com/ota324/status/1027162702504837121
怒りの焦点が「週刊新潮」=新潮社にフォーカスされていく。
週刊新潮さんは思わなかったのかな。国語力が高いことを買って小説やその他の雑誌に寄稿した太田の能力を。なぜ、考えて思わなかった。日芸マークシートが限りなくゼロなんて言ったのかな。調べるように言ったんだけど、記事が次の日に印刷所にある不思議。頼まれてたよ。いつも」
https://twitter.com/ota324/status/1027550259713437703
太田光の今は亡き父母の遺影と位牌をアップし、ツイート。
「ここに手を合わせられないのは誰?私の部屋に全てあるわ」
「顔向けが出来ないなら、説明してよ。週刊新潮の誰か」
https://twitter.com/ota324/status/1028995927619424257
https://twitter.com/ota324/status/1028998765384855552
こう呟いた後、怒りを爆発させる。
「火のないところに煙立たすヤツ。誰。裁判が民主主義の根源でしょう。日本は民主主義のもと、成り立っている国でしょう。だから、法定に」
「法定」は「法廷」の変換ミスだろう。
https://twitter.com/ota324/status/1029001087104106499
取材を受けた内幕も暴露する。
「随分と自信を持っていらして5ページ。日曜日、2時間以上説明したのは記事に全く反映しなかった。調べてもくれなかった」
https://twitter.com/ota324/status/1029005443111084032
指定暴力団の名前を何故、私に言ったの。私も知り得ない人の名前。私を脅したのかな。同席したマネージャーが覚えていることもあるかも。
弊社、私は、公の場でしか、色々とお話できないので、訴えを起こしました。先方にはまだ届いていないと思いますから、確認が取れ次第、お話しします」
https://twitter.com/ota324/status/1029007149467295744
「意見とか、笑いにするとか。それは良いから民主主義。どこの国もさ。
だからもちろん、意見は行った方が良い。
意見を言うベースがマスコミにある。でも、そのベースが死人に口なしになったら、なんでもアリの嘘ついて金儲ける側になる。私はマスコミ側にいるから許せない。死人に口なしは無理だ」
https://twitter.com/ota324/status/1029014198188105728
これも「行った」は「言った」だろう。
事務所の社長という立場からすれば「週刊新潮」に書かれたことが信じられないのだろう。何故なら、太田光は新潮社から短編小説集「マボロシの鳥」、長編小説「文明の子」、エッセイ集「トリックスターから、空へ」を上梓している作家でもあるのだ。こうツイートしている。
「仲良くしてたはず。新潮社。作家をバカバカ扱いするように仕向けたのは誰?教えてよ」
https://twitter.com/ota324/status/1029041287695978496
「懇切丁寧に2時間以上も説明したのよ。丁寧に、こんな風に調べたらって言ったのに!恥をかかせたくなかったの!新潮社に。弊社の書籍担当は痛風になったわ。貴方に言う事ではないけど!
弊社は、新潮社に協力こそしてきたけど、こんな仕打ちに合うと思ってなかった!分かって」
https://twitter.com/ota324/status/1029050913342672901
日刊スポーツが「太田光代社長『死人に口なしは無理だ』新潮社に怒り」を掲載している。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201808140000209.html
新潮社は 太田光の「文才」よりも、「週刊新潮」で太田のスキャンダルを報じたほうがカネになると判断したのだろうか。

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2)【記事】出版と軽減税率をめぐって

ダ・ヴィンチニュース」が「出版界が『軽減税率導入』で直面する問題とは?  ポルノと違い線引きがあいまいな有害図書は排除」を掲載している。
「売上の減少が続く出版業界が、軽減税率に期待を掛けたいという背景も理解できる。また、『ポルノ』(的な表現)全体に標準税率の適用を拡げてしまっては、今度は対象が大きくなりすぎ却って売上が縮小するという懸念があることも容易に想像できる。しかし、政治すなわち権力からの要請に沿って、その内容についての検閲や表現規制を行う仕組みを整えるというのは、表現の自由を自ら捨てるきっかけにもなりかねない。もう一度、出版と表現の自由のあり方について慎重な検討が必要ではないだろうか? 」
https://ddnavi.com/review/480568/a/
産経ニュースが8月18日付で「出版団体、政府と軽減税率で対立 『有害図書以外適用を』」を掲載した。
「8%から10%への消費税率引き上げが来年10月に迫る中、有害図書を除く書籍や雑誌に対し税率を低く抑える『軽減税率』の適用を求める出版社団体と、適用に慎重な政府が対立していることが17日、分かった」
https://www.sankei.com/economy/news/180818/ecn1808180003-n1.html
https://twitter.com/Sankei_news/status/1030622185180655616
参議院議員山田太郎がこの記事についてツイートしている。
「軽減税率と有害図書指定、産経新聞がマスコミとして重い腰をあげました。税区分を民間が決めるのは違法、国による有害図書指定判別は検閲にあたるは、2016年の私が総理や官房長官から引き出した答弁がそのまま政府の見解となってます。私の国会質疑が確実に政治に生きてます」
https://twitter.com/yamadataro43/status/1030803406162558981
「軽減税率には所得分配を是正する効果はないが、マスコミを黙らせる効果は大きい 」とは池田信夫の指摘である。
http://agora-web.jp/archives/2034300-2.html
これは堀江貴文の呟き。
「マジで軽減税率とかやめてほしい」
https://twitter.com/takapon_jp/status/1030772564660969472
「字が汚い!」(文藝春秋)という著書を持つ新保信長のツイートも紹介しておこう。
「印税と同じ率を税金で持っていかれるのは納得いかんがコレはあかん。おめこぼししてもらったら政府批判もできなくなるよ。『有害図書以外』ってのも自殺行為。歯を食いしばって受け入れろ 」
https://twitter.com/nobunagashinbo/status/1030812522478153730
作家の盛田隆二もツイートしている。盛田は「ぴあ」の編集者であった。
「書協・雑協など出版4団体が『新聞と同じく、書籍や雑誌にも『軽減税率』を適用せよ。ただし有害図書を除く』と訴えている。
もちろん本が高くなるのは歓迎しないが、出版業界自らが図書の『有害/無害』を区別するなど自殺行為。ここまで露骨に政府にすり寄るのか。情けない」
https://twitter.com/product1954/status/1031039320667258880
「子どもの貧困」が増刷となった水曜社のツイート。言い切っている。
「【私的なこと】軽減税率の適用不要 」
https://twitter.com/suiyosha/status/1030823199636742144
ただし、軽減税率が適用されなかったら、消費税率が引き上げられると書店の閉店が更に加速することにはなろう。

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3)【記事】約400の米新聞が社説でトランプ大統領に抗議

米の300以上の新聞社がメディアは国民の敵であり、その政権に批判的な報道はフェイクニュースだとツイッターで糾弾を続けるトランプ大統領に抗議する社説を掲載したそうである。
「16日付社説での一斉キャンペーンは、米東部ボストンに本拠を置く有力紙『ボストン・グローブ』の社説担当者の呼びかけで実施された。新聞社の政治思想や規模に関係なく、トランプ政権下で強まる『言論の自由』に対する危機感について、各紙が自由に意見を述べるように求めた」
「一方で、『独立性』を重視する姿勢から有力紙の『ワシントン・ポスト』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』、『ロサンゼルス・タイムズ』などは参加しなかった 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3425105017082018000000/
米国憲法修正第1条。
「議会は、国教の樹立を支援する法律を立てることも、宗教の自由行使を禁じることもできない。 表現の自由、あるいは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済のために請願する権利を制限することもできない」
AFPBB News 」は「米メディア200社、報道の自由訴えるキャンペーン トランプ氏に対抗」で次のように書いている。
「米紙USAトゥデー(USA Today)の元編集長で、現在は首都ワシントンにある報道博物館『ニュージアム(Newseum)』憲法修正第1条センター(First Amendment Center)の代表とミドルテネシー州立大学(Middle Tennessee State University)コミュニケーション学部長を兼任するケン・ポールソン(Ken Paulson)氏は、『メディアが何もせずにただ引き下がり、黙って耐え続けるだけだとは思わない。世界で最も権力を持つ人物が憲法修正第1条を損ねようとしている時こそ、メディアは自身の主張の正しさを示す必要がある』と述べた」
http://www.afpbb.com/articles/-/3186247
英紙ガーディアンなどの国際的な新聞社も賛同している。「BBC NEWS JAPAN」は「米メディア、報道の自由訴えるキャンペーン実施 トランプ氏の攻撃受け」を掲載した。
「英ロンドンに本社があるガーディアンは16日掲載予定の社説(15日午後11時59分ウェブ版公開)で、トランプ氏は『報道の仕事を弱体化し、非合法化し、危険にさらしすらする、計算され一貫した方針を持つように見える』初めての米大統領だと書いた 」
https://www.bbc.com/japanese/45204963
毎日新聞は8月18日付で社説「米350紙が大統領批判の社説 メディア敵視を改める時」を掲載した。
「『一斉社説』から改めて見えてきたのは、批判に耳を貸さずに突っ走る超大国の危うい姿だ。その危うさは人ごとでも対岸の火事でもない 」
https://mainichi.jp/articles/20180818/ddm/005/070/045000c
朝日新聞も8月18日 付で社説「自由な報道 民主主義の存立基盤だ」を掲載した。
「報道や論評自体ももちろん、批判や検証の対象である。報道への信頼を保つ責任はつねに、朝日新聞を含む世界のメディアが自覚せねばならない。
「国民の本当の敵は、無知であり、権力の乱用であり、腐敗とウソである」(ミシガン州のデッドライン・デトロイト
どんな政権に対しても、メディアは沈黙してはなるまい」
https://www.asahi.com/articles/DA3S13640288.html?ref=editorial_backnumber
地方紙では沖縄タイムスが8月19日に社説「[米政権のメディア攻撃]民主主義の土台を崩す」を掲げている。
「メディア不信は世界的な現象だといわれる。
ネットの普及などさまざまな要因が考えられるが、『自分たちが見たい事実だけを見ているのではないか』との批判が増えているのは確かである 」
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/300637
全米で社説を掲げた新聞は400紙を超えたようである。立川談四楼 のツイートである。
「『全米350紙以上の新聞が、16日付の紙面で報道の自由の必要性を訴え、トランプ大統領に反論する社説を一斉に掲載した』とのニュースの羨ましさに、溜息が出た。我が国のマスコミのトップは安倍さんのメシ友であることを恥じない。いやドヤ顔さえしているからだ。アメリカを見習うべきはここなんだが」
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1030293485851561984
事の発端はリベラル派のCNNがホワイトハウスから排除されたことに右派のFOXが抗議したことであった。でも、約400紙が「せいの!」って社説を掲げるのは、これメディアスクラムでもあるよね。 読売新聞は、この話題を社説で取り上げなかった。米流のメディアスクラムに対する異議申し立てか?!「定年退職した元フランス外交官」を名乗るYoJung Chenのツイートは皮肉が効いている。
「生涯(フランス)政府広報に携わった者としてこの様に全国の新聞数百社が団結して報道の自由を脅かす権力に立ち向かう動きに敬意を抱き、拍手をおくる。
政権を批判すると番組を降板させられたり、記者クラブ村八分にされたりする様な国々では期待出来そうもない動き」
https://twitter.com/YoJungChen/status/1030643394614255616

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4)【本日の一行情報】

◎100年以上の歴史を有する雑誌は7誌ある。「中央公論」(1887年8月)、「週刊東洋経済」(1895年11月創刊)、「婦人之友」(1903年4月創刊)、「新潮」(1904年5月創刊)、「婦人画報」(1905年7月創刊)、「週刊ダイヤモンド」(1913年5月)、「婦人公論」(1916年1月創刊)。
https://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/48a00a279bf07348d6c65d7566d442d5/
中央公論新社は100年以上の歴史を有する雑誌を2誌も擁している。

KDDIの全キャリア対応の電子書籍サービス「ブックパス」は、毎月推しマンガを紹介するキャンペーンサイト「ぺちゃくちゃ書店」(http://kddi-l.jp/jgq)を8月1日(水)より立ち上げたが、これを記念して、8月15日に東京・渋谷のBOOK LAB TOKYO で、リアル店舗「ぺちゃくちゃ書店 渋谷店」が一日限定でオープンし、最上もがが店長をつとめるイベントを開催した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000034485.html
最上は、でんぱ組を脱退して1年が経つ。「ぺちゃくちゃ書店」の8月のイチオシはおかざき真里の「サプリ」(祥伝社)だ。

青山剛昌の「名探偵コナン」からスピンオフしたキャラクター・安室透を主人公に据えた「名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)」のコミックス第1巻は8日に発売されたが、1週間もたたずして重版が決まった。累計発行部数は60万部を突破する。
https://mantan-web.jp/article/20180813dog00m200008000c.html
https://ddnavi.com/news/479642/a/
https://www.j-cast.com/trend/2018/08/15336217.html

集英社100%出資の子会社であるProject8が「広告商品開発」の正社員を募集している。応募資格としてGoogleAnalytics, MS Officeなどの5年以上の経験者、事業会社やEC系企業、新規事業で成功経験を持っていることなどが掲げられている。
https://www.itnavi.jp/details/610130657/

小学館の女性ファッション誌「CanCam」10月号(8月23日発売)はAAAを大特集し、表紙の異なる「通常版」と「AAA限定版」の2冊が同時発売される。表紙のみならず、特集においても8ページは共通するが、内容が異なる撮り下ろし12ページを掲載 する。
https://cancam.jp/archives/592396
一人で二冊買うというファンもいることだろう。ABC部数対策でもある。集英社の「non-no」10月号の表紙もAAAである。男女グループによる「non-no」の表紙は1971年の創刊以来、47年の歴史で初めてのことだそうだ。こちらも通常版と増刊の二種類が用意され、写真が異なる。
https://www.oricon.co.jp/news/2117721/full/

◎絵本「ノラネコぐんだん」シリーズの累計100万部突破記念して、作者の工藤ノリコと版元である白泉社代表取締役社長・鳥嶋和彦スペシャトーク動画が8/14に公開された。
https://www.hakusensha.co.jp/news/52551/
あのマシリトが「絵本を舐めててすみませんでした」と謝ったイベントの動画だ。私はマシリトを偉いと思うし、こうしてイベントの場で頭を下げられる度胸というか、人間としての大きさを尊敬する。

◎「ダイヤモンド・オンライン」が「中国で日本の絵本が爆発的に売れている理由、1000万部超も」を掲載している。ポプラ社の中国法人「北京蒲蒲蘭文化発展有限公司」で董事長を務める永盛史雄の発言を紹介しておこう。
「例えば中国の最大手書籍販売サイト『当当』では、絵本の中で欧米系の絵本のシェアが61%で、それ以外が日本などアジア圏の絵本です。これまで弊社の絵本は、『くまくんのあかちゃん』シリーズが累計販売数約1000万部、『ティラノサウルス』シリーズが800万部を売り上げています」
https://diamond.jp/articles/-/176906

◎麻生節が炸裂!麻生太郎は心底、朝日新聞が嫌いなのだろう。産経が「昭和のサマータイム廃止『朝日新聞の責任』、麻生氏『記者が飲みに行きにくくなるからだろ?』」を掲載。
朝日新聞の記者が、政府・与党が平成32(2020)年の東京五輪パラリンピックの酷暑対策として、サマータイムの導入を検討していることについて質問。すると麻生氏は『確か俺の記憶だけど、違ってたらごめん』と付け加えた上で、『(当時の朝日新聞サマータイム導入を)あおって書いたんだ。だけど良くないから止めた方がよいって(報道した)』と朝日記者に対して恨み節を炸裂させた」
https://www.sankei.com/politics/news/180815/plt1808150025-n1.html

◎「bizSPA!フレッシュ」が「上陸から3年…“動画サービスの黒船”Netflixが苦戦する日本市場の壁」を掲載している。Netflixの日本における動画サービス市場のシェアは7%程度に過ぎない。日本では動画サービス市場はAmazonプライム・ビデオの一人勝ち。Amazonプライム・ビデオに次いでユーザーが多いのはAbemaTVだが、AbemaTVは2017年11月をピークに横ばいだそうだ。
https://bizspa.jp/post-52342/
アメリカではNetflixが独走している。
https://wired.jp/2018/08/17/hulu-netflix-amazon-streaming/

◎「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)に連載され、コミックスは94巻を数える「江戸前の旬」(原作・九十九森 漫画・さとう輝)がTVドラマ化されることになった。
https://twitter.com/BETSUGORAKU/status/1028869058370756609

◎シニア女性誌「ハルメク」は8月15日、雑誌と連動した50代からの女性のための情報サイト「ハルメクWEB」をローンチした。
https://www.tsuhannews.jp/55511

◎KKベストセラーズは「【お詫び】『柳美里 自選作品集』刊行中止のお知らせ」を7月に発表していた。ライターの荒井カオルのツイートで知ったのだけれど、それまで私は気がつかなかった。業界誌記者失格である。反省。
「『柳美里 自選作品集』全六巻の、2018年8月発売として案内しておりました第三巻以降の刊行が中止となりました。第三巻以降を予約されていました読者の皆様、書店の皆様には、突然のご案内にて大変ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げます」
https://twitter.com/araikaoru/status/1030255847547392000
http://www.kk-bestsellers.com/cgi-bin/detail.cgi?isbn=978-4-584-13871-7

北田暁大は「終わらない『失われた20年』」(筑摩書房)で上野千鶴子を厳しく批判しているが、上野はブログに「北田暁大さんへの応答」を発表した。
社会学者としてわたしは『理想主義を忘れない現実主義者』を自認してきたが、理想主義と現実主義のバランスをとるのは難しい。現実主義を忘れた理想主義はただの夢想だが、理想主義を忘れた現実主義も困りものだ。ここではわたしは後者へと傾いてしまったようだ」
「わたしは性差別の解消について理想主義を失ったことがないのだから、人種差別の解消についても理想主義を失うべきではなかった」
https://wan.or.jp/article/show/8029
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016690/
北田の鋭さを褒めるよりも、自己批判を厭わない上野の誠実さに私は共感する。

大塚英志が「手塚マンガで憲法九条を読む」(子どもの未来社)を「週刊ポスト」の書評で取り上げ、次のように喝破する。異議なし!
憲法九条を変えるべきではないという本書の政治的立場にぼくは賛同する。しかし、その上で、本書のようにその学習教材として直截の手塚作品を読ませることには違和を表明する」
https://www.news-postseven.com/archives/20180816_735379.html
護憲派と自称する連中の一部がソフトスターリニズムの悪臭を漂わせていると思っているのは私だけではあるまい。そういう輩は手塚治虫に限らず、大衆文化を自らの政治主義に隷属させることに何のためらいもないのである。天皇さえ利用しかねないものな、こいつらは。


◎「ニュースイッチ」が「翻訳家・柴田元幸さん『教養を身につけても別に良いことはない』」を掲載している。周知のように柴田は文芸誌「MONKEY」に携わり、「15号まで”広告なし”で赤字も出さずやってこられた」そうだ。そんな柴田がソーシャルメディアの時代の本質を言い当てた発言をしている。
「言葉は真実を伝えるためのものだという前提が今まではあったが、その前提がなくなってきている。以前は「嘘をつけば世の中機能しない」という考えのもとに何らかの歯止めがあった。言葉を公の場で発する時には新聞や本があり、色々な人が関わることでチェック機能も働いていた。今はチェック機能なしで全世界に情報を流せる。実はチェックが働いていた方が幸運な状態だったのかもしれない」
https://newswitch.jp/p/14081
ソーシャルメディアの時代は、最良の展開を回避し、その可能性において最悪の局面を露呈させていると言っては言い過ぎになるだろうか。ソーシャルメディアの時代がソクラテス殺しに加担しないことを私は心底願っている。

田中康夫が『「貧すれば鈍した」日販に物申せぬ日本「文壇人」の鈍感力w #銀座ソニーパークださい 騒動が映し出す「企業倫理」 YouTubeでも解説Part2』で日販を強烈に批判している。
https://buzzwall.net/ginza/archives/3526
https://youtu.be/ZYLh-uiHXHQ
「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」とは坂口安吾の「堕落論」である。

矢吹丈力石徹の対決がいよいよ決着する。ぴあから「あしたのジョー COMPLETE DVD BOOKシリーズ」全13巻のVol.6が発売された。最近、私はカラオケで寺山修司作詞の「力石徹のテーマ」を必ず歌っている。「自分の傷は自分で舐めろ」というところが良いのよ。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=E04677
「戦え!オスパー」なんて、作詞が寺山で、作曲は冨田勲、歌ったのが山田太郎だったのよ。頭脳警察の「時代はサーカスの象にのって」も寺山修司。では、私の愛誦歌も紹介しておこう。
空は本それをめくらむためにのみ雲雀もにがき心を通る

宮内庁大膳課厨房第二係に勤務し、洋食担当の天皇の料理番であったシェフ工藤極の「「陛下、お味はいかがでしょう。『天皇の料理番』の絵日記」 が徳間書店から刊行されているが、産経フォトが「宮中のレシピはいかが 昭和天皇の食支えた日々」を掲載している。
「『宮中の日常の食事は極めてシンプル。自宅で再現して楽しんでもらいたい』との思いから、皇居内で実際に食されているカレーやサンドイッチなどの作り方も載せた」
https://www.sankei.com/photo/story/news/180816/sty1808160004-n1.html

◎この本棚が話題になっている。
https://twitter.com/aru2kan/status/1029661413969555456
「これが『少年ジャンプ』の厳しい世界か…短期連載だった漫画の単行本を集めた本棚が味わい深い」てな記事にもなって拡散している。
http://news.livedoor.com/article/detail/15168281/

◎「オレンジページ」のレシピ「フライパンちぎりパン」は、丸くてかわいい形と、ほんのり甘くて、しっとり、もっちりとした生地、そしてちぎって食べるユニークなスタイルが受けて大人気となっている。そのなかの「塩バター味」が商品化され、「ちぎりパン BY ORANGE PAGE」として「むさしの森珈琲」の春日井篠木店・松井山手店・岐阜柳津店・金沢入江店・杉並井草店・平塚桜ヶ丘店・富山経堂店という計7店舗に登場する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000033462.html
これは食べてみたい。

◎学研プラスは、「大きな字の英和辞典」「大きな字の和英辞典」(定価:各本体2,300円+税))を発売した。シニア対応商品である。
http://mainichi.jp/articles/20180817/pls/00m/020/002000c

国文学研究資料館長のロバート・キャンベル東大名誉教授は自らのブログで同性愛者であることをさらりと公表した。
「積極的に排除はしないが『触れてほしくない』が日本の常識で『美風』であるなら、改めるべき時期に来ていると私は信じます。アンケートにLGBTが『周囲にいない』と答える日本人が多いのは、存在しない、ということではなく、安心して「いるよ」と言えない社会の仕組みに原因があります。ふつうに、『ここにいる』ことが言える社会になってほしいです 」
https://robertcampbell.jp/blog/2018/08/%e3%80%8c%e3%81%93%e3%81%93%e3%81%ab%e3%81%84%e3%82%8b%e3%82%88%e3%80%8d%e3%81%a8%e8%a8%80%e3%81%88%e3%81%aa%e3%81%84%e7%a4%be%e4%bc%9a/
ロバート・キャンベルは谷川とむや杉田水脈を名指しで批判しているわけではない。ロバート・キャンベルは次のように書く。
衆院議員が性的指向性自認のことを『趣味みたいなもの』と言うのを聞いて笑ってしまった 」
「同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの人々をひっくるめて『生産性がない』ので「支援」に値しないという別の議員が発した言葉も、お粗末すぎて、反論する気持ちも起きません」
例えば朝日新聞デジタルは「ロバート・キャンベルさん同性婚公表 杉田氏寄稿を批判」を掲載しているけれど、この記事からロバート・キャンベルの奥ゆかしさは伝わらないように思えてならない。
https://www.asahi.com/articles/ASL8H643ML8HUTFK00F.html
こんなツイートを発見。同感である。
「ロバートキャンベルさんのブログ、理知的で憤るべき現状に対しても温かな未来への希望をこめていて、さすがと感動しました。しかし、それを報じるニュースサイトがカムアウトを切り取って見出しの冒頭に持ってくるのは、すこし卑怯ではないかなと思います。ニュースは伝えるべき事を伝える仕事をして 」
https://twitter.com/nachisan2/status/1029566848663080960
ロバート・キャンベルのユーモア感覚もステキだ。8月15日にツイートしている。
「昨日『公言』以来初めて近所を散策。隣人がゴミ当番で落ち葉を掃いていたから軽く手伝ってから駅前に行って買い物。ジムで汗を流しシャワーを浴び、ゆっくりと自宅まで歩く。が、何も、起こりませんでした 出迎える猫いわく『当たり前だわ』(笑)。 」
https://twitter.com/rcampbelltokyo/status/1029896215788281856

◎エディアと講談社の共同プロジェクトである新作位置情報恋愛シミュレーションゲーム「マップラス+カノジョ」の事前登録者数が7万人を突破した。
http://www.edia.co.jp/news/press/20180817-purakano.html

◎「AFPBB News 」は「グーグル従業員1400人、中国の検閲向け検索エンジン開発に抗議署名」を掲載し、次のように書いている。
「米グーグルが中国に再進出するために、中国政府の検閲に適合させた検索エンジンを開発しているとの報道を受け、同社の従業員1400人がこれに抗議する書簡に署名した 」
http://www.afpbb.com/articles/-/3186334

◎エブリスタと双葉社の共同出資会社であるDEF STUDIOSは、10月1日(月)より、「キャラクター小説」をテーマにした小説大賞「DEF STUDIOS presents 双葉社からデビュー賞」を小説投稿サイト「エブリスタ」で実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000033139.html

◎9月8日(土)から22日(土)まで「第40回ぴあフィルムフェスティバル」(PFF)が 国立映画アーカイブ(旧東京国立近代美術館フィルムセンター)で開催される。「映画は孤独に効く」という荒木啓子(総合ディレクター)の発言は本当にそう思う。私が貪るように映画を見たのも孤独に効いたからだ。映画を浴びることによって孤独が「個立」に鍛えられていった。
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2018/08/40th-pia-film-festival-keiko-araki-interview.html

中公新書の刊行点数が2500に達する。「YOMIURI ONLINE」は次のように解説している。
「創刊は岩波新書の方が早いが、青版、黄版などがあったため、通巻番号が2500に至ったのは新書では初という」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20180817-OYT1T50107.html

電通イージス・ネットワークの取締役会議長でもあるティム・アンドレーが「Campaign Japan」のインタビューに応えている。
「2017年の我が社の新規獲得売上高(純増分)は52億米ドル(約5720億円)で、どのライバル企業よりも多いものでした。競争のプレッシャーが良い結果を引き出したのでしょう。ですが、昨年の成長率は17%でした。通常のオーガニック成長は全体の50%なので、大きく後退したことになります。他社をしのげなかったことは(イージスの買収以来)はじめてのことで、我々は「抜きん出た存在」ではなくなってしまいました」
https://www.campaignjapan.com/article/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%93%E3%81%9D-%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E6%88%90%E9%95%B7%E6%A9%9F%E4%BC%9A%EF%BC%9A%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%EF%BC%88%E9%9B%BB%E9%80%9A%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B9%EF%BC%89/446610

◎元プロ野球選手の清原和博の半生を綴った「清原和博告白」の重版(4刷)を文藝春秋は決定した。累計発行部数が10万部。
https://www.hochi.co.jp/topics/20180817-OHT1T50137.html

◎「REALKYOTO」に福嶋亮大が「文壇の末期的状況を批判する」を特別寄稿している。福嶋は「渡部直己のセクハラ事件を端緒にした一連の騒動」と「北条裕子『美しい顔』をめぐる盗用疑惑」を取り上げて、まさに批評している。
「私は文芸批評家を自称しているけれど、文芸誌では特段大きな仕事をしたことはないし、今後もその予定も意志もないが、今のように『責任ある大人たち』が文学をめちゃくちゃにし、しかもそのことをまともに自覚すらしていない現状を放置するのも無責任かと思い、この文章を記した」
http://realkyoto.jp/article/fukushima_bundan/
文学業界も「忖度」が重要な意味を持つ、「原子力ムラ」と同じような類の「ムラ」でしかないのかもしれない。

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5)【深夜の誌人語録】

実力以上を目指すから実力を発揮できるのである。